JPS649135B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は工具交換を自動的に行わしめるように
した旋削工作機械の刃物台に関する。

一般にドラム形タレツト刃物台（主軸軸線と直
角な平面内で回動割出し可能なタレツトに工具を
外周に沿つて設けた刃物台）において、外径工具
と内径工具を組み合わせて使用すると、外径工具
によつてワーク端面を加工するときに、この外径
工具に主軸軸線に沿つて隣設され長寸の内径工具
がワークに干渉する場合が生じる。このような不
具合を避けるためには、タレツトに設けた内径工
具の配置間隔を大きくしなければならないので、
内径工具の取付数を限定したり、タレツトを大き
くしなければならなかつた。この事はワーク径に
対する刃物台の適用範囲を著るしく限定すること
になり機能的には極めて不経済である。さらに外
径工具と内径工具を組合わせて使用する場合の問
題点は外径工具をチヤツキングの元まで近づけた
とき、内径工具が主軸台の前端面に干渉すること
である。即ち、ワークをチヤツクの内爪でチヤツ
キングする場合には、チヤツク側に対向するワー
ク端面がチヤツクボデーの前端面に近接するの
で、外径工具でチヤツク側に対向するワーク端面
まで外径削りしたとき内径工具の先端部と主軸台
前端面との干渉が必然的に生じる。従つてこのよ
うな干渉を避けるためには使用する内径工具の長
さに制限を与えるか、若しくは主軸軸承部をオー
バハングさせなければならないので、機械の仕様
および主軸台構造上好ましくない。また加工物の
形状が多岐にわたり１台の機械でドリル加工等も
要望される場合が多い。しかしながら従来この種
の機械では内径工具は固定工具が主であつて回転
工具を取付けるような構成ではなかつた。

本発明は以上の如き諸問題の不具合点を解消し
たものであつて、その第１の目的とするところ
は、主軸軸線に対して直角な平面内で回動割出し
可能な割出し台を設け、この割出し台から独立し
た位置即ち主軸台またワークにも干渉することの
ない位置に旋回割出し可能な工具貯蔵マガジンを
設け、さらにこの工具貯蔵マガジンに保持された
工具のうち必要な工具を前記割出し台に移送着脱
させて加工作業を実行させ、例えば長寸の内径工
具を使用時のみ切削実行位置に配設させることに
より、前記したような内径工具とワークおよび内
径工具と主軸台とのそれぞれの干渉を皆無にして
いわゆるドラム形タレツト刃物台の利点を損うこ
となく、ワーク径に対する適用範囲を拡げ、内径
工具に切屑が絡み付いても何ら支障を来たすこと
のない刃物台の提供にある。本発明の第２の目的
は、第１の目的に記載の刃物台において、工具貯
蔵マガジンの工具を割出し台に着脱する手段で自
動化することにより、刃物台に対する人為的で正
確を要する工具セツテング作業を排除し、段取り
時間の短縮化を計り得るようにした刃物台を提供
するにある。本発明の第３の目的は、第１の目的
に記載の刃物台において、割出し台には切削実行
位置と工具取換え位置のみ工具配置可能とし、割
出し台の割出し動作は前記２位置のみ交互に反転
させるだけとし迅速で且つ単純な構成とした刃物
台の提供にある。本発明の第４の目的は、第１の
目的に記載の刃物台において、前記割出し台に取
付けられた回転工具が切削実行位置に割出された
とき回転駆動装置と係合するようにし、固定工具
だけでなく回転工具によるフライス、ドリル等の
加工を可能とし広範囲の加工作業ができる刃物台
の提供にある。本発明の第５の目的は、第１の目
的に記載の刃物台において、前記割出し台の旋回
動作と前記回転工具の回転動作を同一駆動系で行
いうるようにし、割出し台が刃物台本体にクラン
プされたとき回転工具のみ駆動可能にした刃物台
の提供にある。

以下本発明の実施例を図により詳細に説明す
る。

第１図および第２図は本発明の実施例を数値制
御旋盤に適用した全体図である。ベツド１上には
主軸台２が設けられ、該主軸台２には回転自在に
支承された主軸３が取付けられている。また前記
主軸台２に対向してベツド１の案内面には主軸軸
線と平行に摺動可能なサドル４が載置されてい
る。

該サドル４上には主軸軸線と直角方向に摺動す
るクロススライド５が載置されている。該クロス
スライド５には本発明の刃物台６が取付けられて
いる。前記刃物台６には複数の工具を収納する工
具貯蔵マガジン７が装架されている。前記工具貯
蔵マガジンは工具取換え準備位置に必要な工具の
割出しが可能であり、割出された工具は割出し台
８との間で出し入れされ、工具は前記工具貯蔵マ
ガジンの工具切換え準備位置から割出し台８の工
具取換え位置に移送される。割出し台８に挿着さ
れた工具は180度割り出され、主軸３のチヤツク
を介して取付けられたワークに相対する切削実行
位置に位置決めされる。また前記刃物台６の上部
には前記割出し台８の旋回および回転工具（後
述）の回転駆動のためのモータ９が載置されてい
る。

次に本発明の構成についてさらに第３図および
第４図で詳細に説明する。前記工具貯蔵マガジン
７は刃物台６に回動自在に載置され、その一端に
は回動旋回のための歯車１０が固着されている。
該歯車１０には小歯車１１が噛合しており、また
該小歯車１１は前記工具貯蔵マガジン７を回動さ
せる油圧モータ１２の軸端にキーを介して固着さ
れている。前記油圧モータ１２は刃物台６に取付
けられており、機械本体に設けられた油圧ユニツ
トの油圧系で駆動される。（図示せず） 前記工具貯蔵マガジン７は前記刃物台６の内周
面１３に支承され回動可能となつており、また前
記工具貯蔵マガジン７は段付端面部と前記歯車１
０の端面で刃物台６を挾持した状態で回動軸線方
向の動きが規制されている。工具貯蔵マガジン７
の外周には複数の工具（本実施例では16個）が収
納可能に放射方向に沿つて削設された挿入溝１４
に設けられている。該挿入溝に工具が溝方向に沿
つて挿入されるとともに、前記工具貯蔵マガジン
７が回動しても外部へ飛び出すことのないよう刃
物台６に円周方向に沿つて設けられた内壁１５，
１６により規制され保持されている。前記工具貯
蔵マガジン７上の工具のうち交換位置に持ち来た
された工具は割出し台８側の取換え位置との間で
搬出入可能となつている。前記工具貯蔵マガジン
のほぼ回動中心部近傍にあつて前記刃物台６に
は、工具貯蔵マガジン７の工具変換位置に持ち来
たされた工具を割出し台８側の取換え位置へ搬入
したり、また逆に割出し台８の工具を工具貯蔵マ
ガジン側へ搬出したりするための駆動装置即ちシ
リンダ装置１７が設けられている。該シリンダ装
置１７のピストンロツド１８先端には工具１９と
係合して往復移動する係合部材２０が設けられて
いる。該係合部材２０の係合部２０′に係合され
た工具１９が割出し台８に持ち来たされて、該割
出し台８が割出し動作を行う際は、工具１９が係
合部材２０の係合部２０′から係合が解かれるよ
うになつている。また前記係合部材２０は刃物台
６に設けられた溝に沿つて案内され工具貯蔵マガ
ジン７と割出し台８との間のみを往復移動する。
一方工具は前記工具貯蔵マガジン７に収納されて
いるときは刃先をマガジンの中心に向けて保持さ
れている。交換位置に割出された工具は向きが一
定のまま前記係合部材２０に係合し割出し台８側
へ移送される。移送に際して工具は前記工具貯蔵
マガジン側の案内溝から離れ、割出し台に設けら
れた案内溝に挿入される。前記割出し台８は前記
工具を挾持する状態で挿入溝が設けられており、
また挿入された工具は割出し台８に正確に位置決
めされるよう係止体２１で保持されている。この
係止体２１は常に工具側へばね２２により弾圧さ
れており、工具が所定位置に位置ぎめされたとき
刃物台４に設けられたノツチ穴に挿入される。

前記割出し台８は支持軸２３に固着され、該支
持軸２３は刃物台６に支承され、回動および軸線
方向に進退自在となつている。即ち前記支持軸２
３の一端にピストン２４が固着され、該ピストン
２４は刃物台６に取付けられているハウジング２
５のシリンダ部に嵌入している。従つて前記ピス
トン２４とシリンダとの間で構成される油室２６
に圧油が加わると前記支持軸２３は浮上り、前記
割出し台８はアンクランプされ、また前記ピスト
ン２４とカバー２７との間で構成される油室２８
に圧油が加わると前記支持軸２３は刃物台側へ引
込まれ前記割出し台８を介して工具は刃物台６に
クランプされる。前記割出し台８のアンクラン
プ、クランプ動作は前記支持軸２３の後端部の前
記ハウジング２５に取付けられたリミツトスイツ
チ２９により検出される。一方前記支持軸２３に
はギヤ３０が固着されており、該ギヤ３０は後述
する割出しおよび回転工具駆動系のギヤ３１と噛
合可能となつている。

前記割出し台８の切削実行位置下面で前記刃物
台６の端面には第１の固定継手３２が設けられて
いる。一方各工具の刃物台６側端面には第２の継
手３３が設けられており、工具が切削実行位置に
持ち来たされた後前記ピストン２４の進退動作で
前記割出し台８が刃物台６側へ引込まれ、前記割
出し台８に係合している工具は第２の継手３３が
前記第１の継手３２に噛合することによりクラン
プされる。

前記工具が割出し台の動作で回動される際、前
記係止体２１がノツチ穴が外れるが、前記工具は
刃物台６に設けられた円周溝に沿つて案内される
ので外部へ飛び出すことはない。

前記第１の継手３２の中央部を貫通して回転工
具の駆動軸３４がベアリング３５，３６に支承さ
れ回転自在にのみ浮動するスリーブ体３７内にス
プラインと係合して進退可能に設けられている。
また前記スリーブ体３７内にはばね３８が内挿さ
れ一端を前記スリーブ体３７に規制され他端を前
記駆動軸３４の一端に当接して該駆動軸３４を工
具側へ弾発している。前記駆動軸３４の先端には
クラツチ３９が設けられ回転工具側に同様に設け
られたクラツチ（図示せず）と噛合するようにな
つている。前記スリーブ体３７の一端にはキーを
介して前記ギヤ３１が取付けられている。該ギヤ
３１には前述の如く前記支持軸２３に設けられた
ギヤ３０と噛合可能となつている。即ち前記支持
軸２３が工具をクランプする際は引き込み噛合関
係が解かれ、工具がアンクランプされる際は浮上
り噛合うことになる。一方前記ギヤ３１には２つ
のベアリングで支持された中間軸４０に嵌挿した
中間ギヤ４１が噛合している。さらに該ギヤ４１
はモータ９（第１図）からベルトを介して駆動さ
れるギヤ軸４２と噛合している。即ちモータ９か
らの伝達は前述のギヤ系を介して常にギヤ３１を
駆動し前記駆動軸３４を回転させ、また前記ギヤ
３０がギヤ３１と噛合したときは支持軸２３を回
動させ割出し台８の割出し動作を行う。即ち一個
のモータで回転工具を回転させるとともに前記割
出し台８の割出し動作を行うようにしている。前
記ギヤ軸４２の歯数と前記ギヤ３０の歯数とは
１：２に設定してあるので、前記ギヤ軸４２が１
回転すると前記ギヤ３０は半回転し、従つて割出
し台８は180度回動されるようになつている。前
記ギヤ軸４２には検出体４３が取付けられ、前記
ギヤ３０が前記ギヤ３１に噛合したとき前記ギヤ
軸４２が１回転する毎に回転動作を検出し前記割
出し台８の割出し動作を確認する。この検出信号
はカウンタ装置（図略）に送られ、またカウンタ
装置では記憶されている設定値と検出信号の比較
を行い工具が準備位置にあるか切削実行位置にあ
るか比較する。

前記割出し台８が割出し定位置の手前まで回転
されると回転減速指令が出され続いて回転停止指
令が出されるようになつている。前記駆動軸３４
は前述の如く前記ばね３８の弾発力により常に工
具側へ押されているが前記切削実行位置に固定工
具が取付けられたときは前記クラツチ３９との噛
合関係はないが割出し動作中といえども回転状態
は維持される。

本発明は以上のように構成され次のように動作
する。呼び出し指令により必要な工具が前記油圧
モータ１２の駆動により工具貯蔵マガジン７が旋
回し交換位置に持ち来たされると、刃物台６上に
設けられた油圧シリンダー１７の動作で前記係合
部材２０と係合された工具は割出し台８側へ移送
される。移送された工具を保持して前記割出し台
８は前記ピストン２４の動作で浮上し、さらに前
記駆動モータ９によりギヤ３１と噛合しているギ
ヤ３０の回動動作で180度割出される。即ち前記
工具は切削実行位置に持ち来たされ、続いて前記
ピストン２４の動作で刃物台６に継手３２，３３
を介して正確に位置決めクランプされる。ここで
もし回転工具が設置されると前述の如く駆動軸の
クラツチ３９は回転工具の駆動系と噛み合う。

一方使用済の工具を工具貯蔵マガジンへ戻す場
合には前述の動作の逆を行えばよい。

かくして前記刃物台６の切削実行位置には前記
割出し台の半回転割出し動作のくり返しで常に必
要な工具を持ち来たすことができる。また相対す
る準備位置においては切削稼動中でも工具貯蔵マ
ガジンとの間で工具の交換動作が可能である。

従つて切削実行位置の工具と準備位置の工具と
の交換動作はほぼ半回転の割出しに要する時間で
よくアイドル時間の短縮が可能である。また刃物
台には割出し台と工具貯蔵マガジンを共に載置し
た構成であるので送り台に対しても着脱作業は工
具貯蔵マガジン等が独立して設けられている構成
のものに比べ簡素化されている。さらに前記割出
し台の割出し動作と回転工具の回転駆動を同一の
駆動源で行えるようにしているため経済的にも効
果のある構成となつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の刃物台を載置した旋盤の側面
図、第２図は第１図の正面図、第３図は刃物台の
全体図、第４図は刃物台の断面図、第５図は部分
断面図。 図において、１……ベツド、２……主軸台、５
……クロススライド、６……刃物台、７……工具
貯蔵マガジン、８……割出し台、９……モータ、
１７……シリンダ装置、２０……係合部材、２３
……支持軸、２４……ピストン、３０，３１……
ギヤ、３２……第１の継手、３３……第２の継
手、３４……駆動軸、３７……スリーブ体、３９
……クラツチ、４３……検出体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 旋削工作機械の刃物台において、複数工具を
   閉ループ状に保持し主軸軸線に対して直角な平面
   内で旋回割出し可能に前記刃物台に設けられた工
   具貯蔵マガジンと、該工具貯蔵マガジンに隣接し
   て設けられ且つ主軸軸線に対して直角な平面内で
   回動割出し可能に設けられた割出し台と、前記工
   具貯蔵マガジンの工具交換位置から工具を前記割
   出し台の準備位置へ主軸軸線と直角方向且つ前記
   工具貯蔵マガジンと割出し台の同一平面上を直線
   動作の移動で出し入れさせる工具取換え手段と、
   該工具取換え手段によつて工具の取換えを行わし
   めるために前記工具貯蔵マガジンに保持される工
   具を前記準備位置に対応する交換位置に持ち来た
   すべく工具貯蔵マガジンを旋回割出しする第１の
   割出し手段と、該第１の割出し手段を駆動する第
   １の駆動装置と、前記準備位置に持ち来たされた
   工具を切削実行位置に前記割出し台を回動割出し
   する第２の割出し手段と、前記切削実行位置に回
   動割出しされた割出し台の工具をクランプするク
   ランプ手段と、前記クランプされる工具のうちの
   回転工具を回転させるため刃物台に設けられた回
   転伝達手段と、前記第２の割出し手段を駆動し且
   つ該第２の割出し手段との係合が外れたとき前記
   回転伝達手段のみを回転駆動させるための第２の
   駆動装置とからなる工作機械の刃物台。