JP2589174Y2 - 側溝等の被蓋装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】本考案は周囲の美舗装路面と
マッチさせた充填式化粧無孔構造の覆蓋を用いながら、
路面からの雨水等の流水を側溝内または集水桝内に流入
させる排水機能を持つ側溝等の被蓋装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、前述の側溝や集水桝の被蓋装置と
しては、実開昭５７ー８５０８６号公報に示されている
ように、側溝または集水桝の上端開口縁部に断面Ｌ形状
の受枠を固設し、この受枠の蓋受段部に合成ゴム等の緩
衝ブロックを介して溝蓋または桝蓋（以下、単に蓋と略
記する）を載設して、前記側溝または集水桝の開口上面
を覆う構成のものが多い。

【０００３】ところで、前記のような被蓋装置では、路
面からの雨水等の流水を側溝内または集水桝内に流入さ
せる排水機能を持たせるために、蓋自体がグレーチング
（格子状）或いは複数のスリット状に開口する大きな排
水孔を有する有孔蓋構造とされているので、側溝内また
は集水桝内に溜まった汚水やゴミ等の汚物が蓋の大きな
開口部を通して上から丸見えとなり、その上を歩く歩行
者に不快感を与える問題があった。

【０００４】また、近年では歩道や広場や公園等におい
て、周囲の自然環境に馴染むように化粧タイルや化粧ブ
ロックを付設した美舗装路面が多くなってきているが、
こうした美舗装路面に前述したような格子状或いはスリ
ット状の排水孔を有する有孔蓋を設けると、周囲の美舗
装路面と色彩やデザイン的にマッチせず、違和感を受け
て路面の美観を損ねる問題があった。

【０００５】そこで、本出願人は前述の側溝または集水
桝の蓋を周囲の美舗装路面とマッチする充填式化粧無孔
構造の覆蓋として構成し、この覆蓋の外側部に複数個の
Ｌ形スペーサを所定の配置間隔をもって固着し、このＬ
形スペーサによって蓋外側面と受枠内側面との間に路面
上からの流水を側溝内または集水桝内に流入させる開口
幅の広い横長スリット状の排水通路を構成した特開昭６
４ー５２９３２号に係わる側溝等の被蓋装置（以下、従
来公知の被蓋装置という）を提案している。

【０００６】この従来公知の被蓋装置は、側溝または集
水桝の覆蓋を蓋本体の上面凹部内にモルタルを充填し、
このモルタル充填材の上に化粧タイル，化粧ブロック等
の化粧材を敷き詰めた充填式化粧無孔構造としたので、
この蓋が周囲の美舗装路面と色彩やデザイン的に違和感
なくマッチし、路面の美観を損ねることがなくなる。

【０００７】また、充填式化粧無孔構造の覆蓋は、グレ
ーチングのような有孔構造の蓋と異なり排水機能を持た
ないが、Ｌ形状のスペーサによって蓋外側面と受枠内側
面との間に路面上からの流水を側溝内または集水桝内に
流入させる開口幅の広い横長スリット状の排水通路が確
保されるので、この排水通路を通して路面上からの雨水
等の多量の流水を側溝内または集水桝内にスムーズに流
入させることができ、泥等が流入しても直ぐに塞がって
しまうようなことがなく、排水機能を長く維持すること
ができる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、従来公
知の被蓋装置は、蓋外側面と受枠内側面との間に形成さ
れる排水通路の流水流入側開口部が開口幅１５mm以上の
広い隙間となるので、この広い隙間にハイヒールの踵が
入り込んで歩行者が転倒したり前記隙間の段落縁部に蹴
躓いて歩行者が怪我をしたりする危険性があった。ま
た、スペーサ付きの覆蓋を受枠蓋受段部の上に支承させ
た時にこの蓋受部にガタつき隙間ができて、スペーサ付
きの覆蓋がガタつくという問題もあった。

【０００９】この考案の目的は、十分な排水機能と美観
の両方を満足できるものでありながら、歩行者の蹴躓き
や踵嵌入等による転倒の危険性を解消することができ、
またスペーサ付き覆蓋のガタつきを防止することができ
る側溝等の被蓋装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本考案においては、側溝または集水桝の上端開口
縁部に固設される断面Ｌ形状の受枠と、この受枠の蓋受
段部に載設して側溝または集水桝の開口上面を覆う充填
式化粧無孔構造の覆蓋と、この覆蓋の外側面に該覆蓋と
受枠との相互間複数箇所に位置する配置間隔をもって固
着されて蓋外側面と受枠内側面との間に路面上からの流
水を側溝内または集水桝内に流入させる開口幅の広い横
長スリット状の排水通路を構成するＬ形状をなした複数
個のスペーサとを具備する側溝等の被蓋装置において、
前記各スペーサの上端部に排水通路の流入側開口部をハ
イヒールの踵が嵌入しない間隔に仕切る横桟部材を取付
けたこと、前記各スペーサが蓋外側面に溶接固定される
Ｌ形板と、このＬ形板の下端内縁部に溶接固定される蓋
底支持脚とからなり、前記Ｌ形板の上端部に横桟部材を
嵌合止着させる切欠溝を設けると共に、前記蓋底支持脚
の下端部にスペーサ付きの覆蓋を受枠蓋受段部の上に支
承させるゴムクッションを取付けたことを特徴とする。

【００１１】

【考案の実施の形態】以下、本考案の第１の実施例を図
１〜図４に従い具体的に説明する。この第１の実施例
は、全ての構成部材をステンレス鋼製とした側溝の被蓋
装置に関する適用例であって、側溝１の上端開口両側縁
部に断面Ｌ形状をなしたステンレス鋼の通し縁部材（溝
長手方向に連続するアングル部材）である受枠２，３が
複数個のアンカー２ａ，３ａによって図２の如く固設さ
れ、この両側受枠２，３の下側水平部が蓋受段部４，５
となっている。

【００１２】１１は側溝１の開口上面を覆う充填式化粧
無孔構造の溝蓋として構成した覆蓋で、この覆蓋１１は
底板１２と両側板１３ａ，１３ｂ及び両端板１３ｃ，１
３ｄで画定される上面凹部１３を有し後述するＬ形状の
スペーサ６を介して前記受枠２，３の蓋受段部４，５に
周囲の美舗装路面７と面一になるように載設されるステ
ンレス鋼製の蓋本体１４と、この蓋本体１４の内底面
（底板１２の内側面）に一定の間隔で溶接して取付けら
れた図４の如き逆ハット型の断面形状をなす複数本のリ
ップ付きリブ１７とを具備し、前記蓋本体１４の上面凹
部１３内にリップ付きリブ１７に付着させてモルタル１
５を充填し、該モルタル充填材の上に周囲の美舗装路面
７とマッチする化粧タイル，化粧ブロック等の化粧材１
６を図２及び図３の如く敷き詰めた構成となっている。

【００１３】なお本実施例の場合、前記受枠２，３の間
に確保される側溝開口部の溝幅ａは２９４mm、前記覆蓋
１１の蓋幅ｂは２３４mm、前記受枠２，３の下側水平部
である蓋受段部４，５の幅は５０mmに設定されている。

【００１４】前記覆蓋１１の蓋本体１２の両側外面部に
は、Ｌ形状をなす複数個例えば片側４個ずつ合計８個の
スペーサ６が覆蓋１１と受枠２，３との相互間複数箇所
に位置する図１及び図４の如き配置間隔をもって溶接固
定されている。

【００１５】この各スペーサ６は蓋外側面と受枠内側面
との間に路面７上からの流水を側溝１内に流入させる開
口幅の広い横長スリット状の排水通路１０を構成するも
のであって、本実施例の場合には排水通路１０の流入側
開口部の開口幅ｃ（蓋両側板１３ａ，１３ｂと受枠立上
部との間隔寸法）が２６mm、前記排水通路１０の流出側
開口部の開口幅ｄ（蓋底板１２と受枠蓋受体部４，５と
の間隔寸法）が２２mmとなるように設計されている。

【００１６】前記各スペーサ６は蓋外側面（蓋本体１４
の外側面）に溶接固定されるステンレス鋼製のＬ形板６
ａと、このＬ形板６ａの下端内縁部に溶接固定される円
柱状の蓋底支持脚６ｂ（ステンレス鋼製）とからなり、
前記Ｌ形板６ａの上端部に横桟部材１８を嵌合止着させ
る切欠溝８を設け、前記蓋底支持脚６ｂの下端部にスペ
ーサ付きの覆蓋１１を受枠蓋受段部４，５の上に支承さ
せるゴムクッション９を孔嵌合して取付けた構成となっ
ている（図３参照）。

【００１７】前記横桟部材１８は排水通路１０の開口幅
ｃの広い流入側開口部をハイヒールの踵が嵌入しない１
０mm以下の間隔に仕切るもので、本実施例の場合には蓋
長さと略同一の長さを有する片側２本ずつ合計４本の平
鋼（ステンレス鋼製）を排水通路１０の開口幅ｃが２６
mmの流入側開口部を６mmの間隔をおいて仕切れるよう
に、片側２個ずつのスペーサ切欠溝８に嵌合し、上から
見えない下側部を前記スペーサ６（Ｌ形板６ａ）に溶接
固定することにより、蓋両側板１３ａ，１３ｂ及び蓋受
立上部と平行で且つ上縁部が蓋両側板１３ａ，１３ｂ及
び蓋受立上部の上端面と図３の如く面一になる状態に取
付けられる。なお、前記横桟部材１８の本数は２本に限
定されるものではなく、前記排水通路１０の開口幅ｃが
１５mm〜２０mmである場合には１本でも良い。

【００１８】図５は本考案の第２の実施例を示す。この
第２の実施例は全ての構成部材をステンレス鋼製とした
集水桝の被蓋装置に関する適用例であって、集水桝（図
示せず）の上端開口縁部に固設される断面Ｌ形状の方形
受枠２３と、この方形受枠２３の下側水平部（蓋受段
部）に載設して集水桝の開口上面を覆う桝蓋として構成
した覆蓋２１（この覆蓋は上面凹部１３′を有する蓋本
体２４の内底面に複数本のリップ付きリブ１７ａを一定
間隔で取付け、前記蓋本体２４の上面凹部１３′内に前
記第１実施例と同様にモルタルを充填し、このモルタル
充填材の上に周囲の美舗装路面とマッチする化粧タイル
や化粧ブロック等の化粧材を敷き詰めた充填式化粧無孔
構造となっている）と、この覆蓋２１に該覆蓋と受枠２
３との相互間複数箇所に位置する配置間隔をもって固着
されて蓋外側面と受枠内側面との間に路面上からの流水
を集水桝内に流入させる開口幅の広い横長スリット状の
排水通路１０を構成するＬ形状をなした複数個のスペー
サ６とを具備し、前記各スペーサ６の上端部に排水通路
１０の流入側開口部をハイヒールの踵が嵌入しない間隔
に仕切る２本の横桟部材１８を前記第１実施例と同様に
取付けている。その他の構成と作用は、前記第１の実施
例と同様であるから詳細な説明は省略する。

【００１９】

【考案の効果】以上説明したように、本考案の被蓋装置
によれば、溝蓋または桝蓋を周囲の美舗装路面とマッチ
させた充填式化粧無孔構造の覆蓋とし、この充填式化粧
無孔構造の覆蓋を用いて側溝または集水桝の開口上面を
覆ったにも拘らず、覆蓋と受枠との相互間複数箇所に介
在したＬ形状のスペーサにより、蓋外側面と受枠内側面
との間に開口幅の広い横長スリット状の排水通路を構成
することができ、この開口幅の広い排水通路を通して路
面上からの雨水等の多量の流水を側溝内または集水桝内
にスムーズに流入させることが可能となる。

【００２０】しかも、前記排水通路の流入側開口部を前
記のように広くしても、各スペーサの上端部に排水通路
の流入側開口部をハイヒールの踵が嵌入しない間隔に仕
切る横桟部材を取付けているので、前記排水通路の流入
側開口部にハイヒールの踵が入り込んで歩行者が転倒し
たり開口段落縁部に蹴躓いて歩行者が怪我をしたりする
危険性がなく、十分な排水機能と美観の両方を満足でき
るものでありながら、歩行者の安全性を確保することが
できる。

【００２１】更に、各スペーサを蓋外側面に溶接固定さ
れるＬ形板と、該Ｌ形板の下端内縁部に溶接固定される
蓋底支持脚とから構成し、前記Ｌ形板の上端部に横桟部
材を嵌合止着させる切欠溝を設け、前記蓋底支持脚の下
端部にスペーサ付きの覆蓋を受枠蓋受段部の上に支承さ
せるゴムクッションを取付けたので、横桟部材を切欠溝
に嵌合してスペーサに溶接固定することにより簡単に取
付けることができ、また前記ゴムクッションの緩衝作用
によってスペーサ付きの覆蓋を受枠蓋受段部の上にガタ
つかないように支承させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例による側溝の被蓋装置を
一部切欠して示した平面図。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う横断面図。

【図３】図２の溝蓋支承部を示した要部拡大図。

【図４】図２のＢ−Ｂ線に沿う縦断面図。

【図５】本考案の第２の実施例による集水桝の被蓋装置
を蓋本体内にモルタル及び化粧材が充填されていない状
態で示した平面図。

【符号の説明】

１…側溝、２，３…溝蓋受枠、４，５…蓋受段部、６…
スペーサ、６ａ…Ｌ形板、６ｂ…蓋底支持脚、７…周囲
の美舗装路面、８…切欠溝、９…ゴムクッション、１０
…排水通路、１１…溝蓋である覆蓋、１４…蓋本体、１
５…モルタル、１６…化粧タイル等の化粧材、１８…横
桟部材、２１…桝蓋である覆蓋、２３…方形受枠、２４
…桝蓋本体。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E03F 5/04 E03F 5/06

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 側溝または集水桝の上端開口縁部に固設
   される断面Ｌ形状の受枠と、この受枠の蓋受段部に載設
   して側溝または集水桝の開口上面を覆う充填式化粧無孔
   構造の覆蓋と、この覆蓋の外側面に該覆蓋と受枠との相
   互間複数箇所に位置する配置間隔をもって固着されて蓋
   外側面と受枠内側面との間に路面上からの流水を側溝内
   または集水桝内に流入させる開口幅の広い横長スリット
   状の排水通路を構成するＬ形状をなした複数個のスペー
   サとを具備する側溝等の被蓋装置において、前記各スペ
   ーサの上端部に排水通路の流入側開口部をハイヒールの
   踵が嵌入しない間隔に仕切る横桟部材を取付けたこと、
   前記各スペーサが蓋外側面に溶接固定されるＬ形板と、
   このＬ形板の下端内縁部に溶接固定される蓋底支持脚と
   からなり、前記Ｌ形板の上端部に横桟部材を嵌合止着さ
   せる切欠溝を設けると共に、前記蓋底支持脚の下端部に
   スペーサ付きの覆蓋を受枠蓋受段部の上に支承させるゴ
   ムクッションを取付けたことを特徴とする側溝等の被蓋
   装置。