JP2588057B2 - 金型用型材の製造方法 - Google Patents

金型用型材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、全面にわたって通気用の細孔を有する金型
用型材を製造するための方法に関する。
(従来技術と問題点) 本願出願人は、プラスチックの成形あるいは金属の鋳
造等に使用される金型を製作するための型材として、ワ
イヤー切削法により製造した太さ100μm以下の鉄系長
繊維を寸断して得たアスペクト比30〜100の短繊維に炭
素粉を0.5〜1.2wt%添加すると共に必要に応じてCr粉及
びMn粉を加えて混合した混合材料をプレス成形用型若し
くはCIP法用ラバー型内に均一密度に充填し、0.5〜8ton
/cm2の加圧力で加圧成形した後還元性雰囲気にて、加熱
燒結して成る金型用型材をすでに特許出願している(特
開平2−101102号公報)。
このような金型用型材は、微細な空孔が全面にわたっ
て均一に分布しているため通気用の孔加工を一切必要と
せず、また強度及び靭性に優れた特性を有する一方で、
鉄系短繊維が酸化腐食して錆を発生させ、空孔を閉塞さ
せたり、硬度がそれほど高くないことから耐摩耗性が劣
る等の問題があることが判明した。
(目的) 本発明は上記の問題に鑑みて成されたもので全面にわ
たって通気用の微細空孔を有すると共に機械加工が可能
でかつ耐食性に優れ、熱処理による硬さの制御が可能な
金型用型材を製造する方法を提供することを目的とする
ものである。
(発明に至る経過) 本願発明者は、前記目的を達成するために、特開平2
−101102号公報に示めされている鉄系繊維に変えてステ
ンレス鋼繊維を使用することを検討した。しかし、ステ
ンレス鋼繊維を使用するに当っては次のような問題があ
る。
ステンレス鋼は大別してフェライト系、オーステナイ
ト系、マルテンサイト系の3種に分けられる。
フェライト系はC%が低いFe−Cr合金で11.5〜19%Cr
を含み、C%が低いために硬さが低く切削加工は可能で
あるが急冷しても燒きが入らない。
オーステナイト系はFe−Cr合金にNiを数%以上含み、
室温でもオーステナイト組織を呈するものであり、一般
に耐食性、耐熱性に優れるが切削加工において加工硬化
をおこし、加工が非常に困難である。
マルテンサイト系は、C%が高いFe−Cr合金で11.5〜
19%Crを含み、C%を高めると硬さがか増しその硬さの
制御は可能であるがC%の増加に伴って耐食性が劣化し
て錆を発生させる。
本発明は上記のようなステンレス鋼の問題を克服する
ために種々検討を加えた結果フェライト系ステンレス鋼
繊維を使用し、燒結後に窒素を含有させることを思い立
った。
(問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するために本発明における金型用型材
の製造方法は、ワイヤー切削法により製造した太さ100
μm以下のフェライト系ステンレス鋼長繊維を寸断して
得たアスペクト比30〜300の短繊維にフェライト系ステ
ンレス鋼粉とCu粉若しくはCu−Sn粉を加えて混合した混
合材料を、CIP法用ラバー型内に均一に充填し、2〜4to
n/cm2の加圧力で加圧成形した後、真空雰囲気中にて加
熱燒結し、これに連続して若しくは再加熱して窒素ガス
若しくは、アンモニア分解ガス中に、900〜1050℃の温
度で保持して母金属に窒素を0.3〜1.2wt%含有させて成
るものである。
(作用) 本発明は、主材料としてフェライト型ステンレス鋼の
短繊維と粉末を使用する。その代表例はSUS434(C≦0.
1,Cr:16〜19%,Mo:0.5〜2%)SUS430(C≦0.03,Cr:16
〜19%)である。この化学成分からなる線材をワイヤー
の切削法で削り出すことにより、直径換算で10〜50μm
の長繊維を作り、この長繊維をカッターミル等で寸断し
てアスペクト比30〜300の短繊維を得る。
この短繊維は、繊維軸線が切削方向と平行であり、全
体としてカール気味になり、かつ繊維軸線と直角の断面
が割面状若しくは、偏平矩形であり、全体として帯状を
呈している。
このようにして得た短繊維に上記成分のフェライト系
ステンレス鋼粉と、Cu粉若しくはCu−Sn粉を加えて混合
した材料をCIP法用ラバー型内に均一に充填し、2〜4to
n/cm2の加圧力で加圧成形した後真空雰囲気中にて燒結
後これに連続して若しくは再加熱して窒素ガス若しくは
アンモニア分解ガス中に900〜1050℃の温度で保持して
母金属に窒素を0.3〜1.2wt%含有させることにより、全
面に微細な空孔を有し、かつ切削性、耐食性をそこなう
ことなく型材として必要な硬さ、及び熱処理による硬さ
の制御を行なうことができる。
(実施例) SUS434(C:0.1%,Cr:18%,Mo:1%)のステンレス鋼線
材3〜5mmφをワイヤー切削法により切削して直径換算2
0〜50μmの長繊維を作り、これをカッターミルで寸断
してアスペクト比30〜300(長さ0.4〜3.0mm)とした短
繊維を得た。この短繊維40wt%にSUS434系(C:0.05%,C
r:17%,Mo:2%)のステンレス鋼粉を60wt%、さらに電
解銅粉末を4wt%添加して混合した混合材料をCIP法用ラ
バー型に充填して3ton/cm2の加圧力により加圧成形して
圧粉体を得た後、この圧粉体を第1図に示す燒結条件に
て燒結を行ない金型用型材を得た。
今燒結条件について第1図に基づいて説明すると、供
試材として250mm×200mm×100mm(約30kg)のブロック
材を用い、真空燒結炉内で1×10-2torr以下まで減圧
後、昇温を行ない、550℃にて気化成分の十分なる脱気
のため30分間温度保持をし、1×10-2torr以下の真空度
を得た後、再昇温を行ない1150℃にて2時間温度保持を
し、その後700℃まで炉冷を行なう。
その間パーシャル窒素を10torr(10/780気圧)流す。
(パーシャル窒素を流す目的は真空高温に保持した場合
ステンレス鋼中のCr蒸発を防止する。) 700℃になった時点で窒素ガスを3kg/cm2流し供試材を
急速冷却させる。(700℃で急速冷却を開始するのは変
態点をすぎて組織変化を起させないためである。) 上記供試材を各々第2図、及び第3図の窒化条件にて
窒化処理を行ない、その供試材の成分分析値と硬さ分析
値を測定した結果を表1に示す。
今窒化条件について第2図及び第3図に基づいて説明
すると、第2図は、保持時間を一定にして保持温度を変
化させた時の条件を示し、第3図は保持温度を一定にし
て保持時間を変化させた時の条件を示すもので、真空熱
処理炉内で1×10-2torr以下まで減圧後、昇温を行ない
700℃にて気化成分の十分なる脱気のための30分間温度
保持をし、1×10-2torr以下の真空度を得た後、再昇温
を行ない、各保持温度あるいは保持時間を変化させ、1
気圧中の窒素雰囲気下で窒化処理を行なった。
表1に示す結果の中で試料No.6は供試材の表面と内部
の〔N〕量の分析値の差が大きく均一な窒素含有を得る
には保持時間30分以上が必要である。
また硬さがHMV500以上、窒素含有量が1.2%をこすも
のは窒化クロムが多量に生成され、加工が困難となり、
型材としては適さない。
さらに窒素量0.3%以下では型材としての必要な硬さH
MV250は得られない。
実施例1 上記表1の中から機械加工性に優れ、切削速度が通常
の型材(SDK61)と同等のものが得られるところの試料N
o.2を選択し、その機械的性質及び空孔径、空孔率を調
べた結果を第2表に示す。
上記試料No.2のものをそのまま加工し、金型として使
用し汎用ABS樹脂を最小肉厚0.7mm、製品寸法10mm×150m
mのバンド状のものを10ヶ込めにて成形テストを行なっ
たその結果通常の型材を使用した場合射出圧138kg/cm2
必要であったものが射出圧98kg/cm2にてきれいに成形が
できガス燒けのないものが得られた。
実施例2 上記表1の中の試料No.3及びNo.7について真空燒入れ
テストを行なった結果を表3に示す。
今真空燒入れ条件について第4図に基づいて説明する
と、真空熱処理炉内で1×10-2torr程度まで減圧後昇温
を行ない700℃にて気化成分の十分なる脱気のため30分
間温度保持をし、1×10-2torr程度の真空度を得た後95
0℃及び1020℃にそれぞれ再昇温をし、30分間温度保持
をし、その時点で窒素ガスを3kg/cm2流し試料を急速冷
却させ、30分後に1×10-2程度の真空度を得た後250℃
まで昇温して2時間温度保持をし、炉冷を行なった。
上記の真空燒入れ条件は一般の金型材の燒入れに用い
られる条件と同じであり、通常の真空熱処理条件でもHM
V600までの硬さが得られガラス強化樹脂にも十分使用で
きることが確認できた。
尚上記実施例では、加圧成形体の燒結と、燒結体の窒
化処理とを別々の処理炉で行なったが、同一炉で1加熱
サイクル中で連続して処理を行なってもよい。
(効果) 本発明の製造方法により得られた型材による金型は上
記説明から明らかなように従来の型材が持つ優れた特性
を保持すると同時に主材料としてフェライト型ステンレ
ス鋼を使用することから酸化腐食による諸問題を克服で
き、さらに窒化処理が成されていることのため後に行な
われる燒入れ処理によりその硬度を制御するが可能であ
り金型用型材として優れた特性を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は加圧成形体の燒結条件を示すグラフ、第2図
は、保持時間を一定にし加熱温度を変化させた場合の燒
結体の窒化条件を示すグラフ、第3図は加熱温度を一定
にし保持時間を変化させた場合の燒結体の窒化条件を示
すグラフ、第4図は本発明の金型用型材の真空燒入れ条
件を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B22F 5/00 9543−4F B29C 33/38 B29C 33/38 B22F 5/00 F

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワイヤー切削法により製造した太さ100μ
    m以下のフェライト系ステンレス鋼長繊維を寸断して得
    たアスペクト比30〜300の短繊維に、フェライト系ステ
    ンレス鋼粉とCu粉若しくはCu−Sn粉を加えて混合した混
    合材料を、CIP法用ラバー型内に均一に充填し、2〜4to
    n/cm2の加圧力で加圧成形した後、真空雰囲気中にて加
    圧焼結し、これに連続して若しくは再加熱して窒素ガス
    若しくはアンモニア分解ガス中に、900〜1050℃の温度
    で保持して母金属に窒素を0.3〜1.2wt%含有させて成る
    金型用型材の製造方法
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