JP6197719B2 - 鉄系粉末混合物、同鉄系粉末混合物から得られる鉄系焼結体、及び同鉄系焼結体から得られる鉄系部品 - Google Patents

鉄系粉末混合物、同鉄系粉末混合物から得られる鉄系焼結体、及び同鉄系焼結体から得られる鉄系部品 Download PDF

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Description

本発明は、鉄系粉末混合物、同鉄系粉末混合物から得られる鉄系焼結体、及び同鉄系焼結体から得られる鉄系部品に関する。
例えばコンロッド、バルブシート及びギヤ(歯車)等の自動車部品において、鉄系焼結体を加工して得られる鉄系部品が広く使用されている。かかる鉄系焼結体は、鉄系粉末を成型して焼結する粉末冶金法によって得られる。
一方、昨今の地球環境保護意識の高まりを受け、自動車部品に限らず、種々の産業機械分野において、部品の軽量化を目的とする薄肉化が求められている。所望の機械的強度を維持しながら薄肉化を達成するためには、部品を構成する材料のヤング率及び/又は破断強度の向上が図られるのが一般的である。
焼結体のヤング率を向上させようとする場合、高いヤング率を有する材料(高ヤング率材料)を鉄系粉末に配合することが知られている。一方、焼結体の破断強度を向上させようとする場合、焼結体の密度、断面空孔数及び最大空孔径を制御することが知られている。例えば、鉄系粉末における微小な粒径を有する成分(微粉)の配合比を高めることにより、疲労試験後の破断強度を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平10−317090号公報
前述したように、当該技術分野においては、鉄系粉末混合物から得られる鉄系焼結体のヤング率及び/又は破断強度を向上させるための種々の技術が提案されている。しかしながら、高ヤング率材料は一般的に高い硬度を有する。そのため、高ヤング率材料を鉄系粉末に配合すると、同鉄系粉末から得られる鉄系焼結体の被削性が悪化する虞がある。一方、鉄系粉末における微粉の配合比を高めると、同鉄系粉末から得られる鉄系焼結体の幾何的強度は向上するものの、鉄系粉末混合物の流動性が悪化し、同鉄系粉末混合物を使用して焼結体を成形することが困難となる虞がある。更に、鉄系粉末混合物における微粉以外の成分の粒度分布によっては、鉄系粉末への微粉の配合による機械的強度の向上効果が十分に得られない場合がある。
上記のように、当該技術分野においては、鉄系焼結体の被削性の悪化及び/又は鉄系粉末混合物の流動性の悪化を伴わずに、鉄系焼結体及び同鉄系焼結体の塑性加工によって得られる鉄系部品の機械的強度を向上させることができる技術は未だ確立されていない。
そこで、本発明者は、鋭意研究の結果、鉄系焼結体の平均断面空孔数及び密度を特定の範囲に収めることにより、同鉄系焼結体のみならず、同鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品においても、被削性の悪化を招く高ヤング率材料を配合すること無く(即ち、被削性の悪化を伴わずに)、機械的強度(ヤング率)を向上させることができることを見出した。更に、本発明者は、特定の粒度分布を有する鉄系粉末混合物により、同鉄系粉末混合物の流動性の悪化を招くこと無く、同鉄系粉末混合物を焼結して、上記「特定の範囲の平均断面空孔数及び密度を有する鉄系焼結体」を得ることができることを見出した。
かかる点に鑑み、本発明に係る鉄系粉末混合物は、45μm以下の粒径を有する鉄系粉末である微粉の含有率が60質量%以上であり、45μmを超え且つ150μm以下の粒径を有する鉄系粉末である中粉の含有率が1質量%未満であり、150μmを超え且つ210μm以下の粒径を有する鉄系粉末である粗粉の含有率が1質量%以上であり、且つ前記粗粉の平均粒径が前記微粉の平均粒径の5.5倍以上である、鉄系粉末混合物である。
上記のような粒度分布を有する鉄系粉末混合物を焼結することによって得られる鉄系焼結体は、従来技術に係る同様の鉄系焼結体と比較して、より高いヤング率を有する。更に、このような鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品は、従来技術に係る同様の鉄系部品と比較して、より高いヤング率を有する。即ち、本発明に係る鉄系粉末混合物によれば、同鉄系粉末混合物を焼結することによって得られる鉄系焼結体及び同鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品のヤング率を、被削性の悪化を伴わずに向上させることができる。
更に、本発明に係る鉄系焼結体は、鉄系粉末を焼結することによって得られる鉄系焼結体であって、1900個/mm以上の平均断面空孔数を有し、7.4g/cm未満の密度を有する、鉄系焼結体である。このような鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品は、従来技術に係る同様の鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品と比較して、より高いヤング率を有する。即ち、本発明に係る鉄系焼結体によれば、鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品のヤング率を、被削性の悪化を伴わずに向上させることができる。
加えて、本発明に係る鉄系部品は、本発明に係る鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品である。上述したように、本発明に係る鉄系部品は、被削性の悪化を伴わずに、高いヤング率を達成することができる。
(a)は従来技術に係る鉄系粉末混合物から得られた焼結体の断面の光学顕微鏡写真であり、(b)は本発明の第1の実施形態(第1形態)に係る鉄系粉末混合物から得られた焼結体の断面の光学顕微鏡写真である。 図1に示されている焼結体(a)及び(b)において粉末の間に形成される空孔を表す模式図である。 鍛造前の焼結体における平均断面空孔数と鍛造後の密度との関係を表す模式的なグラフである。 鉄系粉末混合物における微粉含有率と同鉄系粉末混合物から得られた焼結体の平均断面空孔数との関係を示す模式的なグラフである。 鉄系粉末混合物における微粉含有率と同鉄系粉末混合物から得られた焼結体のヤング率との関係を示す模式的なグラフである。 鉄系粉末混合物における中粉含有率と同鉄系粉末混合物から得られた焼結体のヤング率との関係を示す模式的なグラフである。 鉄系粉末混合物における中粉の有無による粉末間に形成される空孔の違いを表す模式図である。(a)は中粉が含まれない(少ない)場合、(b)は中粉が含まれる場合、をそれぞれ示す。 鉄系粉末混合物における粗粉含有率と同鉄系粉末混合物の流動性との関係を表す模式的なグラフである。 鉄系粉末混合物に含まれる粗粉と微粉との流径比(DL/DS)が同鉄系粉末混合物の流動性に及ぼす影響を表す模式的なグラフである。
前述したように、本発明によれば、鉄系焼結体の平均断面空孔数及び密度を特定の範囲に収めることにより、同鉄系焼結体のみならず、同鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品においても、被削性の悪化を伴わずに、ヤング率を向上させることができる。更に、このような特定の範囲の平均断面空孔数及び密度を有する鉄系焼結体は、特定の粒度分布を有する鉄系粉末混合物を焼結することによって得ることができる。本発明を実施するための幾つかの形態につき、以下に詳しく説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態(以降、「第1形態」と称される場合がある)に係る鉄系粉末混合物は、
45μm以下の粒径を有する鉄系粉末である微粉の含有率が60質量%以上であり、
45μmを超え且つ150μm以下の粒径を有する鉄系粉末である中粉の含有率が1質量%未満であり、
150μmを超え且つ210μm以下の粒径を有する鉄系粉末である粗粉の含有率が1質量%以上であり、且つ
前記粗粉の平均粒径が前記微粉の平均粒径の5.5倍以上である、鉄系粉末混合物である。
上記鉄系粉末混合物を構成する各鉄系粉末は、鉄を主成分とする粉末である限り、特に限定されない。このような鉄系粉末の具体例としては、例えば、所謂「炭素鋼」の粉末を挙げることができる。更に、上記鉄系粉末混合物を構成する鉄系粉末は、鉄以外の金属を少量含有してもよい。より具体的には、上記鉄系粉末混合物を構成する各鉄系粉末は、例えば、0.8%の炭素を含有する鉄系粉末及び0.8%の炭素及び2%の銅を含有する鉄系粉末であってもよい。加えて、上記微粉、中粉及び粗粉を構成する各鉄系粉末の材質は同じであっても、異なっていてもよい。
上記のように、第1形態に係る鉄系粉末混合物において、微粉、中粉及び粗粉の含有率はそれぞれに応じた所定の範囲に収まっており、且つ粗粉の平均粒径(DL)が微粉の平均粒径(DS)の5.5倍以上(即ち、DL/DS≧5.5)である。詳しくは後述するように、このように特定の粒度分布を有する第1形態に係る鉄系粉末混合物を焼結することによって得られる鉄系焼結体は、かかる特定の粒度分布を有しない従来技術に係る鉄系粉末混合物を焼結することによって得られる鉄系焼結体と比較して、同じ密度であっても、より高いヤング率を有する。更に、第1形態に係る鉄系粉末混合物から得られる鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品は、従来技術に係る同様の鉄系粉末混合物から得られる鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品と比較して、より高いヤング率を有する。
ここで、上記につき、添付図面を参照しながら更に詳しく説明する。図1の(a)は従来技術に係る鉄系粉末混合物から得られた焼結体の断面の光学顕微鏡写真であり、図1の(b)は第1形態に係る鉄系粉末混合物から得られた焼結体の断面の光学顕微鏡写真である。より具体的には、図1の(a)に示されている焼結体に対応する従来技術に係る鉄系粉末混合物は、一般的な市販の鉄粉である。一方、図1の(b)に示されている焼結体に対応する第1形態に係る鉄系粉末混合物は、上述した特定の粒度分布を有する鉄系粉末混合物である。従来技術に係る焼結体(a)及び第1形態に対応する焼結体(b)は何れも、それぞれに対応する鉄系粉末混合物を8t/cmの圧力下で1150℃の温度において焼結させることによって製造した。
図1の顕微鏡写真における黒い部分は焼結体の断面に存在する空孔を表している。図1からも明らかであるように、第1形態に対応する焼結体(b)は、従来技術に係る焼結体(a)と比較して、ほぼ同じ密度であるものの、断面における空孔が小さく且つその数が多い。具体的には、本例においては、焼結体(a)の密度は7.11g/cmであり、平均断面空孔数は1185個/mmであるのに対し、焼結体(b)の密度は7.09g/cmであり、平均断面空孔数は2450個/mmであった。尚、本明細書において、平均断面空孔数とは、7×10mmの面積の焼結体の断面を15視野、光学顕微鏡を用いて観察した際に認められる空孔の1mm当たりの平均数を指す。
上記のように、所定量の超微粉を含有する第1形態に係る鉄系粉末混合物から得られた焼結体(b)は、従来技術に係る焼結体(a)と比較して、ほぼ同じ密度であるものの、断面における空孔が小さく且つその数が多い。これは、図2に示されているように、従来技術に係る焼結体(a)においては種々の粒径を有する鉄系粉末(微粉、中粉及び粗粉)の間に比較的大きい空孔が存在するのに対し、第1形態に対応する焼結体(b)においては、粗粉と粗粉との間を微粉が埋めることにより、このような比較的大きい空孔は形成され難く、より小さい空孔がより多く形成されるためであると考えられる。
上記のように、より小さい空孔がより多く形成された第1形態に対応する焼結体(b)は、従来技術に係る焼結体(a)とほぼ同じ密度を有している。しかしながら、第1形態に対応する焼結体(b)を塑性加工することによって得られる鉄系部品の密度は、従来技術に係る焼結体(a)を塑性加工することによって得られる鉄系部品の密度よりも高い。
図3は、鍛造前の焼結体における平均断面空孔数と鍛造後の密度との関係を表す模式的なグラフである。この例においては、種々の平均断面空孔数を有する鉄系焼結体を、7t/cmの面圧下、1150℃における鍛造処理に付した。図3に示されているように、鍛造前の密度が同じであっても、鍛造前の焼結体における平均断面空孔数が多くなるほど鍛造後の密度もより高くなる。同じ密度であるにも拘わらず鍛造前の焼結体における平均断面空孔数が多いということは、上述したように、個々の空孔が小さいことを意味する。従って、図3に示されている鍛造前の焼結体における平均断面空孔数と鍛造後の密度関係との関係は、個々の空孔が小さいほど、例えば鍛造等の塑性加工に付された際に空孔が潰れ易いことを表していると考えられる。
一般に、上記のような焼結体を塑性加工することによって得られる部品のヤング率は、その密度が高いほど高い傾向がある。即ち、塑性加工前の焼結体の内部に形成された空孔が小さく、塑性加工時に潰れ易いほど、塑性加工後の部品のヤング率が大きくなる傾向がある。即ち、同等の密度であれば、塑性加工前の焼結体の平均断面空孔数が多いほど、塑性加工後の部品のヤング率が大きくなる傾向がある。
ところで、前述したように、本発明によれば、鉄系焼結体の平均断面空孔数及び密度を特定の範囲に収めることにより、同鉄系焼結体のみならず、同鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品においても、被削性の悪化を伴わずにヤング率を向上させることができる。更に、本発明によれば、特定の粒度分布を有する鉄系粉末混合物により、同鉄系粉末混合物の流動性の悪化を伴わずに、同鉄系粉末混合物を焼結して上記「特定の範囲の平均断面空孔数及び密度を有する鉄系焼結体」を得ることができる。
ここで、上記につき、必要に応じて添付図面を参照しながら更に詳しく説明する。第1形態に係る鉄系粉末混合物において、45μm以下の粒径を有する鉄系粉末である微粉の含有率は60質量%以上である。図4に示されているように、微粉の含有率が60質量%未満であると、同鉄系粉末混合物を焼結することによって得られる鉄系焼結体の平均断面空孔数が、従来技術に係る鉄系焼結体よりも少なくなる。更に、図5に示されているように、微粉の含有率が60質量%未満であると、同鉄系粉末混合物を焼結することによって得られる鉄系焼結体のヤング率もまた、従来技術に係る鉄系焼結体及び鉄系部品のヤング率よりも低くなるので望ましくない。この場合、同鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品のヤング率もまた低くなるので望ましくない。
更に、第1形態に係る鉄系粉末混合物において、45μmを超え且つ150μm以下の粒径を有する鉄系粉末である中粉の含有率は1質量%未満である。図6に示されているように、中粉の含有率が1質量%以上であると、同鉄系粉末混合物を焼結することによって得られる鉄系焼結体のヤング率が著しく低下するので望ましくない。このような現象は、以下のような理由により生ずると考えられる。第1形態に係る鉄系粉末混合物のように中粉の含有率が少ない(1質量%未満)場合は、図7の(a)に示されているように、粗粉と粗粉との間を微粉が埋めることにより、大きい空孔は形成され難く、多数の小さい空孔が形成される。その結果、同鉄系粉末混合物を焼結することによって得られる鉄系焼結体のヤング率は高くなる。これに対し、中粉の含有率が多い(1質量%以上)場合は、図7の(b)に示されているように、粗粉と粗粉との間に中粉が入り込み、大きい空孔が形成され難くなり、空孔の数が減少する。その結果、同鉄系粉末混合物を焼結することによって得られる鉄系焼結体のヤング率は低くなる。
更に、第1形態に係る鉄系粉末混合物において、150μmを超え且つ210μm以下の粒径を有する鉄系粉末である粗粉の含有率が1質量%以上である。図8に示されているように、粗粉の含有率が1質量%未満であると、同鉄系粉末混合物の流動性が悪化し、同鉄系粉末混合物を使用して焼結体を成形することが困難となる虞があるので望ましくない。例えば、微粉の含有率を100質量%とした場合(即ち、粗粉の含有率が0質量%である場合)、鉄系粉末混合物の流動性が著しく悪化して、同鉄系粉末混合物が目詰まりを起こし、流動性の指標としての「流動度」を測定することすら困難となる。
尚、「流動度」とは、所定の径及び形状を有するオリフィスを所定量の粉体が通過するのに要する時間を指し、この時間が短い(流動度が小さい)ほど流動性が良好であることを意味する。鉄系粉末混合物の流動性を十分に確保する観点からは、粗粉の含有率が10質量%以上であることがより好ましい。従って、第1形態に係る鉄系粉末混合物が中粉を全く含有しない場合、同鉄系粉末混合物における微粉の含有率は99質量%未満であることが好ましく、90%未満であることがより好ましい。
加えて、第1形態に係る鉄系粉末混合物において、粗粉の平均粒径が前記微粉の平均粒径の5.5倍以上である。換言すれば、粗粉の平均粒径(DL)の微粉の平均粒径(DS)に対する比が5.5以上(即ち、DL/DS≧5.5)である。図9に示されているように、粗粉の含有率が増えるほど鉄系粉末混合物の流動性が改善される。しかしながら、粗粉の平均粒径の微粉の平均粒径に対する比(DL/DS)もまた鉄系粉末混合物の流動性に大きな影響を及ぼす。DL/DSが5.5未満であると、図9のグラフにおいて破線で示されているように、鉄系粉末混合物の流動性が低い(流動度が大きい)ので望ましくない。これに対し、第1形態に係る鉄系粉末混合物のようにDL/DSが5.5以上であると、図9のグラフにおいて実線で示されているように、鉄系粉末混合物の流動性が高い(流動度が小さい)。
以上のように、第1形態に係る鉄系粉末混合物によれば、微粉、中粉及び粗粉の含有率並びに粗粉の平均粒径の微粉の平均粒径の比(DL/DS)をそれぞれ所定の範囲に収めることにより、同鉄系粉末混合物の流動性及び同鉄系粉末混合物から得られる鉄系焼結体の被削性を確保しつつ、同鉄系焼結体及び同鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品のヤング率を向上させることができる。
ところで、前述したように、そもそも本発明は、鉄系焼結体の平均断面空孔数及び密度を特定の範囲に収めることにより、同鉄系焼結体のみならず、同鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品においても、被削性の悪化を伴わずにヤング率を向上させることができることを本発明者が見出したことに端を発する。具体的には、このような鉄系焼結体の平均断面空孔数は、1900個/mm以上であることが好ましい。更に、このような鉄系焼結体の密度は、7.4g/cm未満であることが好ましい。
即ち、本発明の第2の実施形態(以降、「第2形態」と称される場合がある)に係る鉄系焼結体は、
鉄系粉末を焼結することによって得られる鉄系焼結体であって、
1900個/mm以上の平均断面空孔数を有し、
7.4g/cm未満の密度を有する、
鉄系焼結体である。
上記のように、第2形態に係る鉄系焼結体は、鉄系粉末を焼結することによって得られる。鉄系粉末の焼結条件は、例えば、鉄系粉末の性状及び目的とする鉄系焼結体の性状等に応じて、適宜定めることができる。具体的には、第2形態に係る鉄系焼結体は、例えば、8t/cm乃至9t/cmの圧力下にて鉄系粉末を成形し、1150℃乃至1250℃の温度において焼結させることによって製造することができる。このようにして得られる第2形態に係る鉄系焼結体は、1900個/mm以上の平均断面空孔数を有する。これにより、同鉄系焼結体は、被削性の悪化を招くこと無く、高いヤング率を達成する。更に、同鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品においても、高いヤング率を達成することができる。
加えて、前述したように、鉄系焼結体を塑性加工することによって鉄系部品を得る際には、塑性加工前の鉄系焼結体における平均断面空孔数が多くなるほど、塑性加工後の鉄系部品の密度もより高くなる(図3を参照)。従って、例えば軽量化等の観点からは、塑性加工前の鉄系焼結体における密度は低い方が望ましい。そのため、第2形態に係る鉄系焼結体の密度は、7.4g/cm未満であることが好ましい。
ところで、前述したように、上記のような鉄系焼結体は、前述のような本発明に係る鉄系粉末混合物を焼結させることによって得ることができる。
そこで、本発明の第3の実施形態(以降、「第3形態」と称される場合がある)に係る鉄系焼結体は、
前記第1形態に係る鉄系粉末混合物を焼結することによって得られる鉄系焼結体であって、
1900個/mm以上の平均断面空孔数を有し、
7.4g/cm未満の密度を有する、
鉄系焼結体である。
更に、上述のような本発明に係る鉄系焼結体は、前述したように、塑性加工によって鉄系部品とすることができる。
従って、本発明の第4の実施形態(以降、「第4形態」と称される場合がある)に係る鉄系部品は、
前記第2形態又は第3形態に係る鉄系焼結体を塑性加工することによって得られる鉄系部品である。
上記において、塑性加工とは、当業者に周知であるように、例えば鍛造及び転造等、加工対象となる材料に大きな力を加えて塑性変形させることにより、同材料を目的とする形状とする加工方法である。即ち、上記塑性加工は、鉄系焼結体の塑性変形を伴う加工方法である限り特に限定されず、鍛造及び転造以外の種々の加工方法を包含する概念である。このような加工方法により、本発明に係る鉄系焼結体の内部に形成された小さい空孔が加工時の塑性変形に伴って潰れることにより、高い密度及びヤング率を有する鉄系部品を製造することができる。このような鉄系部品の具体例としては、例えばコンロッド、バルブシート及びギヤ(歯車)等の自動車部品を挙げることができる。しかしながら、上記鉄系部品は、鉄系焼結体の塑性加工によって製造することが可能である限り特に限定されず、上述した自動車部品以外の種々の鉄系部品を包含する概念である。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び変形例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び変形例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。

Claims (2)

  1. 45μm以下の粒径を有する鉄系粉末である微粉の含有率が60質量%以上であり、
    45μmを超え且つ150μm以下の粒径を有する鉄系粉末である中粉の含有率が1質量%未満であり、
    150μmを超え且つ210μm以下の粒径を有する鉄系粉末である粗粉の含有率が1質量%以上であり、且つ
    前記粗粉の平均粒径が前記微粉の平均粒径の5.5倍以上である、
    鉄系粉末混合物。
  2. 請求項1に記載の鉄系粉末混合物からなる鉄系焼結体を鍛造することによって得られる鉄系部品。
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