JP2584208B2 - 耐火防水オ−プンジヨイント工法 - Google Patents

耐火防水オ−プンジヨイント工法

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JP2584208B2 JP60148943A JP14894385A JP2584208B2 JP 2584208 B2 JP2584208 B2 JP 2584208B2 JP 60148943 A JP60148943 A JP 60148943A JP 14894385 A JP14894385 A JP 14894385A JP 2584208 B2 JP2584208 B2 JP 2584208B2
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Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は外壁カーテンウォールのオープンジョイント
工法、特に縦目地の耐火防水オープンジョイント工法に
関するものである。
（従来技術とその問題点） 近年、外壁カーテンウォールの防水工法として目地の
隙間を大きさに開けておき、等圧理論を応用して雨水を
進入させない、所謂オープンジョイント工法が採用され
つつある。というのは、従来、第８図に示すように、目
地Ｓの外側に不定型シール（１）をバックアップ材
（２）を介して充填する一方、目地内側に定型弾性シー
ル（３）を先付けにて内装して防水層を形成し、水を内
側に侵入させない方法（言わば、二重シール方法）が採
用されていたが、シーリング材の耐用年数がカーテンウ
ォール等の外壁構成部に比して比較的短く、かつ、層間
変位等によりシールに欠陥が生じると、目地内部の引圧
現象により吸水作用が生じ、漏水の原因となるからであ
る。
（発明が解決しようとする課題） しかしながら、オープンジョイント工法では、第９図
に示すように、等圧空間BSにより防水効果は発揮されて
も、等圧空間がカーテンウォール外側に対して開放され
ているため、火炎侵入経路となって、内側に設けられる
ウインドバリア（５）のみでは耐火性能に対し、万全を
期せず、自ずとウォール巾厚を大きく取らざるを得な
い。また、そうしても耐火性能には限界がある。もちろ
ん、第８図に示すように、耐火材（４）を目地に内装す
れば、よいのであるが、それではオープンジョイント工
法自体の意義が失われる。
そこで、本発明は外壁カーテンウォールのオープンジ
ョイント工法により発揮される防水効果と相反し、オー
プンジョイント工法実施上のネックとなっている耐火性
能を与え得る耐火防水オープンジョイント工法を提供
し、以て、外壁カーテンウォール薄板化を図ることを目
的とする。
（課題を解決するための手段） 本発明者らは、鋭意研究の結果、オープンジョイント
工法において、定形シールの外側に形成される等圧空間
を等圧空間の機能を減ずることなく熱遮断目地板により
前後に区分すれば、熱遮断目地板がカーテンウォール外
側からの火炎を遮断することができると同時に上記熱遮
断目地板と定形シール間は熱遮断目地板からの放射熱の
内方への伝達を低減させることができる第２等圧空間を
構成し、上記相反する作用効果が矛盾なく解決できるこ
とを見出し、本発明を完成した。
（発明の構成） 本発明にかかる耐火防水オープンジョイント工法は、
第１図（ａ）に示すように、まず、内側寄りに第２シ
ールとして定形シール20を先付けにて付設する一方、外
側寄りに小口垂直方向に延びる位置決め溝11を穿設して
なる外壁カーテンウォール、例えば、PCカーテンウォー
ルＷ、Ｗを通常のオープンジョイント工法により施工す
る。例えば、第１図（ｂ）に示すように、両側PCパネル
間にPCパネルＷを引き込み、チェーンブロックCBで徐々
に降ろしながら、取り付け位置近くにセットし、ファス
ナー取り付け後、レベル調整、面内外調整を行った後、
ボルトおよびナットでPCパネル２次ファスナーと躯体側
１次ファスナーとを接合して、第１図（ｃ）に示すよう
に、縦目地内側寄りには定型シール20、20とが密着して
ウインドバリアとしての第２次シーンを形成する。他
方、その目地の外側寄りには隣接するカーテンウォール
の位置決め溝11、11が互いに対向するように垂直方向に
延びる。
次いで、第２シール前方外側に至って形成される等圧
空間BSの上記対向する位置決め溝11、11に第１シールと
して熱遮断目地板10を上方から内挿する。該第１シール
は第２図に示すように、両側に切り欠きによる通気孔13
を有する脚部12を折り曲げ形成した熱遮断目地板、例え
ば、長尺の薄ステンレス鋼製の熱遮断目地板10から構成
され、第１図（ｄ）に示すように、上記等圧空間BSはカ
ーテンウォール外側空間に連続する第１等圧空間Ａと、
上記熱遮断目地板と定形シール間の第２等圧空間に区分
される。
なお、上記熱遮断目地板10の形状は両側に通気孔を有
する種々の形態が採用されてよく、上記実施例では折り
曲げて断面コ字形とし、形成した脚部12に通気孔13を設
けたが、熱遮断目地板10を長手方向（上下方向）に蛇腹
折り形状とすることにより両側に通気孔を形成すること
もできる。また、平板形状の熱遮断目地板10の裏面にス
ペーサを取り付けて両側に通気孔を形成するようにする
こともできる。
勿論、第３図に示すように、第１シールとしての熱遮
断目地板10はPCカーテンウォールの小口に前後して穿設
された各位置決め溝11、11に各一枚づつ内装するように
してもよい。
なお、目地部で対向する位置決め溝11によって形成さ
れる空間と熱遮断目地板10との関係はかかる空間により
等圧空間の機能を減じないように、即ち減圧作用が発生
しないように、かつ、かかる空間内に内装される熱遮断
目地板10の左右動および雨水の流動により空隙が封鎖さ
れず、等圧空間を確保できるように考慮される必要があ
る。
（発明の作用） 以上のオープンジョイント工法により構成される耐火
防水構造目地においては、例えば第10図矢視ａは第11図
に示すように構成される。即ち、縦目地は熱遮断目地板
10によって第１等圧空間Ａと第２等圧空間Ｂに区分さ
れ、上記縦目地は横目地と連絡している。この目地構造
においては、第４図に示すようにカーテンウォールＷの
外側より進入しようとる火炎は熱遮断目地板10によって
後方の２等圧空間Ｂ内部への進入を遮断される。
更に、放射線が熱遮断目地板10から第２等圧空間Ｂに
及ぶが、第２等圧空間までの空間的な距離により第２シ
ールへ伝達が低減され、横目地からの空気流入により熱
放散され、熱遮断目地板の火炎遮断作用と相まって耐火
効果を発揮する。かかる耐火効果を次のようにして試験
して確認した。すなわち、薄形PCパネルのＷの前方位置
決め溝11に熱遮断目地板10を内装する場合と内装しない
場合とで、PCパネルＷの外側火炎温度の温度降下の現象
を追跡した。結果を第５図に示す。これにより、熱遮断
目地板10を内装しない場合は定型シール20の近傍温度は
約600℃であるのに対し、熱遮断目地板10を内装したも
のは定型シール20の近傍温度は約300℃以下にまで降下
していることがわかる。
また、上記構造においては、雨水はカーテンウォール
外側に衝突して第１等圧空間Ａに進入するが、熱遮断目
地板10に衝突して熱遮断目地板10の表面に沿って落下す
る。
熱遮断目地板10に衝突した雨水はしぶき等となって熱
遮断目地板10と位置決め溝11との空隙を通して後方空間
に進入しようとしても熱遮断目地板10には脚部12の形成
する通気孔13を介して第１等圧空間Ａと気圧差のない比
較的長い等２等圧空間Ｂが形成されているため、吸引作
用が働かず、位置決め溝11の壁部を伝って下方に落下し
てしまうことになる。たとえ第２等空間Ｂに進入したと
しても後方のウインドバイアをなす定形シール20、20に
まで至ることはない。
かかる防水効果を次のように試験した。本発明によっ
て形成されたPCパネル縦目地止水構造の実験設備として
第６図（ａ）（通気孔脚部あり）、（ｂ）通気孔付脚部
なしの平板）を形成し、以下のようにして止水効果の試
験を行った。
即ち、第７図に示すように、外気圧P0が変化する時の
第１等圧空間P1と第２等圧空間圧P2との差ΔＰの変化と
して２次シールの隙間率（％）（100×隙間巾／目地
巾）との関係を漏水限界圧力差（２次シールから漏水し
てくる限界）を基準にして比較した。ここで、２次シー
ルの隙間率とは第12図に示すように、２次シールに強制
的、即ち意図的に設けられた開口面積と室内側の目地見
付け面積との比で定義されたものである。例えば、例え
ば、室内側の目地幅が20mmで、幅5mmの隙間があいてる
場合は隙間率は0.5/20＝1/40となる。
具体的には第７図で説明すると、第１等圧空間の圧力
P1と第２等圧空間の圧力P2の圧力差ΔＰは外界の圧力変
動によって第６図（ａ）、（ｂ）の構造では、第７図に
示すように変動する。今、高層50mにおける設計用風圧
力に相当する外圧力P0＝320kgf/m2の場合の実験結果を
第13図に示す。本発明の場合は２次シールの隙間率1/40
において漏水限界圧力差に達し、漏水が始まる。これに
対し、比較例の場合は上記隙間率1/100において漏水限
界圧力差に達する。したがって、通常施工の２次シール
隙間率1/80を基準にすると、本発明の場合は50mを越え
る高層建築においても安全なオープンジョイント構造と
することができる。
次に、本発明において、２次シールの隙間率に対する
外気圧P0及び圧力差ΔＰの関係の実験結果を第14図に示
す。第14図から、２次シールの役割の重要性が分かる。
即ち、２次シールの隙間率が大きくなると、圧力差ΔＰ
がつきやすくなり、より低い外圧力P0で漏水が開始され
るからである。本発明の場合、隙間率1/40以下において
通常想定される最大外圧力P0でも漏水しない優れた構造
である。比較例の場合、当然のことながら、本発明の場
合よりも更に低い外圧力とより小さな隙間率で漏水が開
始する。
（発明の効果） 以上の説明で明らかなように、本発明によれば、縦目
地に形成される等圧空間は長尺の熱遮断目地板により等
圧空間の機能を減ずることなく、前後に区分され、第１
にカーテンウォール外側空間から目地に進入する火炎は
上記熱遮断目地板により遮断することができるととも
に、上記熱遮断目地板と定形シール間は熱遮断目地板か
らの放射熱の伝達を低減させることができる第２等圧空
間を形成する。それにより、カーテンウォール外側から
目地内に侵入する雨水については上記熱遮断目地板が、
第１および第２等圧空間に圧力差を生じさせず、区分す
るので、定形シールと相まって防水効果を発揮する。他
方、火炎については第１シールの熱遮断目地板による火
炎遮断と第２等空間の放射熱低減作用により、耐火効果
を発揮する。
したがって、上記従来の二重シール工法に比して却っ
て耐火性能が低下するとされていたオープンジョイント
工法において画期的な目地構造を形成することができる
だけでなく、外壁カーテンウォールを薄板化することが
可能となる。
また、熱遮断目地板を後付けにて内装すればよいの
で、オープンジョイント工法における施工作業が非常に
簡単となる。
なお、本発明はPCカーテンウォールの縦目地構造を具
体例として説明されたが、メタルおよびGRCカーテンウ
ォールにおいても同様に適用できることはいうまでもな
い。
【図面の簡単な説明】
第１図（ａ）乃至（ｄ）は本発明に係る最も基本形態を
なす耐火防水オープンジョイント工法の施工過程を示す
概要図、第２図は本発明に係る耐火防水オープンジョイ
ント工法を実施する場合に好ましい熱遮断板の斜視図、
第３図は第１図（ｄ）に対応する耐火防水目地構造の変
形例の横断面図、第４図は耐火作用効果を説明するため
の説明図、第５図は本発明にかかる耐火防水オープンジ
ョイント工法により施工した目地とその耐火防水処理を
しない目地との耐火効果比較を示すグラフ、第６図
（ａ）、（ｂ）は本発明にかかる耐火防水オープンジョ
イント工法により施工した目地の試験対比設備を示す横
断面図、第７図は本発明の作用説明図、第８図は従来の
カーテンウォール目地耐火構造を示す断面概要図、第９
図は従来のオープンジョイント工法により形成される防
水目地構造を示す横断面図である。第10図は、オープン
ジョイント工法の縦目地及び横目地の関係を示す概略
図、第11図は本発明方法で構成した第10図矢視ａ方向斜
視図である。第12図は２次シールの隙間率を説明するた
めの図、第13図は本発明の場合と通気孔付脚部なしの比
較例の場合における外圧力P0＝320kgf/m2での隙間率と
圧力差との関係を示す図、第14図は本発明における隙間
率に対する外圧力と圧力差との関係を示す図である。 10……熱遮断目地板、11……位置決め溝、12……脚部、
13……通気孔、20……定形シール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 御澤 圭三 西宮市甲陽園目神山町11 (72)発明者 渡辺 英彬 神戸市東灘区甲南町３−４―11 (72)発明者 青木 英彦 東京都豊島区南池袋３−４―22 (72)発明者 黒川 敏夫 古河市北町５―１―307 (72)発明者 小野 秀文 茨城県猿島郡総和町駒羽根1426―304 (56)参考文献 特開 昭48−93112（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−137822（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−80004（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】外壁カーテンウォール（Ｗ）の縦目地（V
    J）を形成する縦小口前後巾方向中心より内側寄り端面
    に第２シールとして、定形シール（20）を付設する一
    方、外側寄り端面に互いに対向するように縦小口垂直方
    向に延びる位置決め溝（11）を穿設してなる外壁カーテ
    ンウォール（Ｗ）をオープンジョイント工法により施工
    し、 次いで上記カーテンウォール縦目地の対向する上記位置
    決め溝（11、11）間に、第１シールとして、両側にカー
    テンウォール端面方向に開口する通気孔（13）を設けた
    熱遮断目地板（10）を後付けにて内装して縦目地等圧空
    間を上記熱遮断目地板（10）の前後の第１等圧空間
    （Ａ）、第２等圧空間（Ｂ）に区分することを特徴とす
    る耐火防水オープンジョイント工法。
  2. 【請求項２】上記位置決め溝（11）を縦小口前後に複数
    個形成し、上記熱遮断目地板（10）を各々対向する位置
    決め溝（11、11）間に後付けにて内装する前記第項記
    載の耐火防水オープンジョイント工法。
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