JP2584084Y2 - プレスブレーキのバックストップ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案はワークの折曲げ位置を
位置決めするプレスブレーキのバックストップ装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来板状のワークを折曲げ加工するプレ
スブレーキには、制御装置により位置制御されるバック
ストップが設けられていて、このバックストップにワー
クの先端を突き当てることにより折曲げ位置が位置決め
できるようになっている。また上記バックストップには
ワークの先端を下から支持することにより突き当て寸法
（脚長）の長いワークでも正確に位置決めできるように
したワーク受けがボルトなどの固着具で取付けられてい
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】バックストップに取付
けられたワーク受けはバックストップの突き当て面より
前方へ突出されている。このため脚長の短いワークを位
置決めすべくバックストップを下型の近傍まで移動され
ると、バックストップより前方へ突出されたワーク受け
の先端が下型と干渉して下型やバックストップが損傷さ
れるため、従来ではその都度バックストップよりワーク
受けを取外している。このためワーク受けを脱着する操
作が面倒であると共に、脚長が大小あるワークについて
は連続曲げができないなどの不具合があった。かかる不
具合を解消するため、流体圧シリンダによりワーク受け
を出し入れ自在にしたバックストップが実開昭５８−１
４６６２２号公報で提案されているが、バックストップ
は下型の高さやワークの長さ、幅などに応じて上下、前
後及び左右方向に移動するため、上記公報のように各バ
ックストップに流体圧シリンダを設けると、これら流体
圧シリンダへ流体圧を供給する可撓管の配管が複雑とな
る上、バックストップの移動に支障をきたさないよう可
撓管の長さに余裕を持たせる必要があるため、配管する
に多くのスペースを必要とすると共に、切換え弁などの
流体圧機器も必要となるため、装置全体が高価になる不
具合がある。この考案は上記不具合を改善する目的でな
されたもので、ワーク受けを取外さずに脚長の短いワー
クの位置決めができる上、バックストップへの配管を必
要としないプレスブレーキのバックストップ装置を提供
しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この考案は上記目的を達
成するために、ワークの先端をバックストップに突き当
てて折曲げ位置を位置決めした後上型と下型の間でワー
クを曲げ加工するプレスブレーキにおいて、上下及び前
後方向に移動自在な本体と、上記本体に設けられた横杆
に、左右方向に移動自在に支承された複数の支持部材
と、上記各支持部材の先端側にそれぞれ設けられ、かつ
突き当て面にワークの先端を突き当てることにより、ワ
ークの折曲げ位置を位置決めする複数のバックストップ
と、上記各バックストップの下側に設けられ、かつバッ
クストップ内に支持されたガイド杆に支承されて、先端
部が上記突き当て面より前方へ出没自在なワーク受け
と、上記各ワーク受けを前方へ付勢する圧縮ばねとより
構成したものである。

【０００５】

【作 用】上記構成により脚長の短いワークを位置決
めする際ワーク受けが下型などと干渉しても突き当て面
より没入するため、下型やワーク受けの破損が防止でき
るようになる。またバックストップへの配管も全く必要
ないことから、配管のためのスペースを必要とせず、構
成も簡単となる。

【０００６】

【実 施 例】この考案の一実施例を図面を参照して詳
述する。図において１はプレスブレーキ、２はプレスブ
レーキ１の後方に設けられたバックストップ装置の本体
を示す。上記プレスブレーキ１はテーブル１ａの上方に
可動ビームが上下動自在に設けられて、この可動ビーム
に取付けられた上型（ともに図示せず）と、上記テーブ
ル１ａ上に固定された下型３の間で板状のワーク４を折
曲げ加工するようになっている。

【０００７】またバックストップ装置の本体２はガイド
レール５に沿ってテーブル１ａの接離方向へ移動自在と
なっていて、この本体２に上下調整機構６を介して横杆
７が下型３と平行するように支持されており、この横杆
７に長手方向に移動自在に複数のバックストップ８が支
持部材９を介して取付けられている。上記支持部材９は
ハンドル１０を締付けることにより、横杆７の任意な位
置にバックストップ８が固定できるようになっていると
共に、支持部材９の先端にピン９ａにより上記バックス
トップ８が枢着されていて、このピン９ａを中心に水平
位置から上方へ回動できるようになっている。

【０００８】上記バックストップ８は図４に示すように
先端側の下面に複数例えば２本の凹溝８ａが長手方向に
形成されていて、これら凹溝８ａにワーク受け１２の上
面に形成された２本の凸条１２ａが下方より嵌入されて
いる。またバックストップ８の先端部には上下方向に貫
通する長方形状のガイド孔８ｂが開口されていて、この
ガイド孔８ｂ内にスライダ１３が収容されている。上記
スライダ１３はガイド孔８ｂの中心部を水平に横架され
たガイド杆１４に支承されていて、ガイド孔８ｂ内をガ
イド杆１４に沿ってスライド自在となっていると共に、
ガイド杆１４に嵌挿された圧縮ばね１５により下型３方
向へ付勢されている。そしてこのスライダ１３の下面に
上記ワーク受け１２が固着具１６により固着されてい
て、スライダ１３の移動とともにワーク受け１２の先端
がバックストップ８の突き当て面８ｃより前方へ出没自
在となっている。なお図３中１８はガイド杆１４をバッ
クストップ８に固定している回り止めピンである。

【０００９】次に作用を説明すると、上記バックストッ
プ８は図示しない制御装置により位置制御されるように
なっており、曲げ加工すべきワーク４はプレスブレーキ
１の手前側より挿入して先端をバックストップ８の突き
当て面８ｃに当接させることにより折曲げ位置の位置決
めを行う。またワーク４の先端を下方より支持するワー
ク受け１２は、圧縮ばね１５の作用で図６に示すように
先端部がバックストップ８の突き当て面８ｃより前方へ
突出されていて、脚長がＡのように長いワーク４の先端
を下方より支持することにより、ワーク４の先端が下方
へたわまないようにしているが、ワーク４の脚長が図４
のＢのように短い場合、バックストップ８の突き当て面
８ｃより突出されたワーク受け１２の先端が下型３と干
渉してしまう。

【００１０】しかしワーク受け１２は圧縮ばね１５によ
り前方へ付勢されていて、先端に下型３が当接すると圧
縮ばね１５に抗してバックストップ８の下側へ没入され
るため、下型３との干渉により破損することがないと共
に、脚長の短いワーク４は先端がたわむことがないた
め、ワーク受け１２を使用しなくとも正確に位置決めが
できるようになる。またワーク受け１２の上面に形成さ
れた凸条１２ａをバックストップ８の下面に形成された
ガイド溝８ａに嵌合させているので、位置決めすべきワ
ーク４が薄板の場合でも、先端がバックストップ８の下
面とワーク受け１２の上面間に入り込むこともなく正確
に位置決めすることができる。

【００１１】この考案は以上詳述したように、バックス
トップの下側に、先端がバックストップの突き当て面よ
り前方へ出没自在にワーク受けを設けたことから、脚長
の短いワークを位置決めする場合にワーク受けの先端が
下型と干渉しても下型やワーク受けが破損するのを防止
することができる。これによって従来のように脚長の短
いワークを曲げ加工する毎にワーク受けを取外す必要が
ないため作業性が格段に向上すると共に、１つのワーク
に脚長の長い曲げ加工と脚長の短い曲げ加工があっても
連続して曲げ加工ができるため生産性も向上する。また
バックストップに流体圧シリンダを設けていないので、
バックストップに可撓管を配管する必要がなく、これに
よって配管スペースのない既存のプレスブレーキにも容
易に実施することができると共に、複雑な配管や流体圧
機器を必要としないので、安価に提供することができ
る。 さらにワーク受けをバックストップ内に設けられた
ガイド杆に前後自在に支承したことから、ワーク受けの
前後動が円滑に行えると共に、バックストップとワーク
受けの摺動面に互に嵌合する凹溝及び凸条を設けておけ
ば、板厚の薄いワークでも先端がバックストップとワー
ク受けの間に入り込むことがないため正確に位置決めを
行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例になるバックストップ装置
を採用したプレスブレーキの側面図である。

【図２】この考案の一実施例になるバックストップ装置
の平面図である。

【図３】この考案の一実施例になるバックストップ装置
の一部切欠側面図である。

【図４】図３のＸ方向からの矢視図である。

【図５】図３のＹ−Ｙ線に沿う断面図である。

【図６】この考案の一実施例になるバックストップ装置
の作用説明図である。

【符号の説明】

３…下型、４…ワーク、８…バックストップ、１２…ワ
ーク受け。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワークの先端をバックストップ８に突き
   当てて折曲げ位置を位置決めした後上型と下型３の間で
   ワークを曲げ加工するプレスブレーキにおいて、上下及
   び前後方向に移動自在な本体２と、上記本体２に設けら
   れた横杆７に、左右方向に移動自在に支承された複数の
   支持部材９と、上記各支持部材９の先端側にそれぞれ設
   けられ、かつ突き当て面８ｃにワーク４の先端を突き当
   てることにより、ワーク４の折曲げ位置を位置決めする
   複数のバックストップ８と、上記各バックストップ８の
   下側に設けられ、かつバックストップ８内に支持された
   ガイド杆１４に支承されて、先端部が上記突当て面８ｃ
   より前方へ出没自在なワーク受け１２と、上記各ワーク
   受け１２を前方へ付勢する圧縮ばね１５とを具備してな
   るプレスブレーキのバックストップ装置。