JP2583601B2 - 育苗用播種機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、育苗箱を連続移送しながら播種作業を有す
る育苗用播種機に関する。

（従来の技術〕 従来の育苗用播種機は、育苗箱を移送する移送機構の
上方に繰出ロールを配置し、この繰出ロールの上側に逆
方向に摺接回転する回転ブラシを設け、この回転ブラシ
より種子繰出手前側に繰出ロールと共に種子を溜め且つ
ホッパから落下する種子を繰出ロールへ案内供給する種
子案内部を形成し、この種子案内部の上方にホッパの開
口部を配置して構成されている。

（発明が解決しようとする課題） そころで、種子には芒及び枝梗等が除去された種籾を
使用する、脱芒処理が不完全で、芒及び枝梗が付いたま
まの種籾が混入していることがある。

従来技術において、回転ブラシは繰出ロールの溝内の
種子量を調整するものであるが、枝梗付きの種子がある
と、ブラシにからみ付いて取出せなくなり、回転ブラシ
摺接後の繰出ロール溝へ枝梗付き種子を落下したり、枝
梗付き種子を持ち廻って繰出ロール溝内の正規の種子を
はじき出したり、種子案内部に多量に溜ったり、完全な
脱芒処理された種子まで回転ブラシで持上げたりするこ
とがある。

本発明は、回転ブラシの種子繰出前方側に回転ブラシ
と摺接する離脱スイーパを設けて、回転ブラシに引掛か
った枝梗付き種子を１回転持ち廻わらせずに離脱させる
ことにより、前記従来技術の問題点を解決できるように
した育苗用播種機を提供することを目的とする。

また、回転ブラシの種子繰出手前側に、略種子１粒分
の間隙を有して多数の突起を並設してこの突起を回転ブ
ラシに摺接するようにした制限スイーパを設けることに
よって、回転ブラシにからみ付いた枝梗付き種子によっ
て正常な種子が持上げられるのを防止できるようにした
育苗用播種機を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明における課題解決のための第１の具体的構成
は、育苗箱移送機構５の上方に繰出ロール11を配置し、
この繰出ロール11の上側に逆方向に摺接回転する回転ブ
ラシ14を設け、この回転ブラシ14より種子繰出手前側に
ホッパ12から落下する種子Ａを繰出ロール11へ案内し且
つ溜める種子案内部32を形成した育苗用播種機におい
て、 前記回転ブラシ14の種子出前方側に、回転ブラシ14と
摺接して枝梗付き種子Ａ′を離脱させる離脱スイーパ44
と、この離脱種子を回収する回収箱47とを設けたことで
あり、第２の具体的構成は、前記回転ブラシ14の種子繰
出手前側に、回転ブラシ14の軸芯方向に略種子１粒分の
間隙Ｂを有して多数の突起43aを並設し、且つこの突起4
3aを回転ブラシ14に摺接可能にした制限スイーパ43を設
けたことである。

（作 用） 繰出ロール11が回転すると、種子案内部32内の種子Ａ
は繰出し溝11a内に入り、また、溝11aに入った種子Ａに
引掛かって他の種子も回転ブラシ14側へ移動される。回
転ブラシ14は繰出ロール11の表面に逆方向に回転しなが
ら摺接し、繰出し溝11a内に所定量以上の種子が入って
いると、その過剰種子を押出し、また連れ廻ってきた種
子の移動を規制する。

回転ブラシ14に枝梗付き種子が引掛かり、またそれに
より正常種子も持上げられると、制限スイーパ43によっ
て払い落とされる。制限スイーパ43は、並列された突起
43a間に種子１粒分の間隙Ｂが形成されているため、ブ
ラシに強固にからみ付いている枝梗付き種子Ａ′は払い
落さないが、正常な種子は略完全に払い落し、種子案内
部32へ戻す。

制限スイーパ43を通り抜けた枝梗付き種子は、種子繰
出前方側で回転ブラシ14と摺接している離脱スイーパ44
に当って払い落とされ、回収箱44に収納される。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１〜３図において、１は播種機で、土入機及び潅水
機と共に装置台２に搭載されて、一連の播種装置を構成
する。装置台２は平行に配置された１対のアングル材３
を有し、育苗箱４の移送機構５を支持している。

移送機構５はアングル材３に長手方向等間隔に多数支
持された回転軸６と、この各回転軸６に設けられていて
育苗箱４を搭載するコロ７と、各回転軸６の端部間に設
けられたチェーン伝動手段とを有し、育苗箱４を載置し
ながら第１図矢印８方向に連続移送可能である。

播種機１は左右１対の側板9aで形成されたフレーム９
を有し、このフレーム９の中央部に繰出ロール11を回転
自在に支持し、前上部にホッパ12を固定し、後側部に移
送機構５を駆動する駆動装置13を取付けている。

駆動ロール11の真上方には回転ブラシ14が配置されて
いる。この回転ブラシ14は繰出ロール11と摺接可能であ
り、摺接位置で逆方向に回転されている。この回転ブラ
シ14の軸14aは揺動体15に枢支されており、この揺動体1
5は中途部が支軸16で支持され、後端にラック部17を有
しており、側板9aに支持されたピニオン18を回動するこ
とにより、回転ブラシ14は繰出ロール11に対して遠近位
置調整され、繰出ロール11の繰出し溝11aに入る種子Ａ
の量を調整できる。

前記繰出ロール11の軸11b及び回転ブラシ14の軸14aに
は、夫々ギヤ20,21が設けられており、各ギヤ20,21は中
間軸22に設けられたギヤ23,24と噛合しており、中間軸2
2には回転軸６からチェーン伝動手段25を介して動力が
伝達されるスプロケット26が設けられている。

前記ホッパ12は内上部に複数枚の立壁17を有し、上部
は蓋28で閉鎖されている。このホッパ12の下部の開口部
12aは繰出ロール11から離れて前上方に位置し、開口部1
2aから繰出ロール11まで、種子Ａは案内板29によって案
内される。

前記案内板29は断面レの字状に形成され、その上部は
支軸30に枢支され、水平な下壁29aに繰出ロール11と摺
接する清掃ブラシ31を有し、中途部が繰出ロール11側へ
下向き傾斜した案内壁29bとなっており、繰出ロール11
と共に種子案内部32を形成している。開口部12aから落
下供給される種子Ａは、この種子案内部32に溜められ
て、繰出ロール11の溝11a（又は凹部）に供給される。

案内板29は止めネジ33によって側板9aに固定されてお
り、側板9aには止めネジ33を側板9a外へ移動できる円弧
溝34が形成されており、止めネジ33を緩めて円弧溝34か
ら外方へ引出すことにより、案内板29は支軸30を中心に
回動して、種子案内部32内の種子Ａを放出することがで
きる。

種子案内部32の開口部12aと繰出ロール11との中間位
置には、流量調整体36が設けられている。この流量調整
体36はフレーム９に回動自在に支持された支軸37に取付
けられている。支軸37の外端にはアーム38が固定され、
側板9aには支軸37を中心とする円弧溝39が形成され、こ
の円弧溝39とアーム38を貫通する止めネジ40を締緩する
ことにより、アーム38を側板9aに対して固定及び回動可
能としている。

前記流量調整体36は止めネジ40を緩めて円弧溝39の範
囲内で回動することにより、案内板29との距離が変更さ
れ、開口部12aから案内板29の案内壁29bに沿って落下さ
れる種子Ａの移動を制限し、種子案内部32に溜められる
種子の量を調整する。種子案内部32内の種子量が変わる
と、繰出し溝11aへ種子Ａが入るときの押圧力が変化す
るので、種子繰出量を大まかに調整できることになる。

前記流量調整体36は開口部12aから離れており、従っ
て開口部12aとの間に開口部12aより大面積の空間拡大部
41が形成されることになり、開口部12aでの種子Ａのブ
リッジ現象を防止し、スムーズ流動を可能にする。この
場合の開口部12aは実質的には、ホッパ12の下端と案内
板29との間の開口であり、ホッパ12内の種子重量は主に
案内板29で支持され、ホッパ下端からはみ出て空間拡大
部41に達した種子Ａは上からの種子重量の影響が少なく
なった状態で流量調整体36で流量調整される。

42は側板9aに形成されたのぞき窓で、透明なガラス板
又はプラスチック板で閉鎖されており、流量調整体36の
作用状況を目視できるようにしている。

前記回転ブラシ14の前後には制限スイーパ43と離脱ス
イーパ44とが設けられている。制限スイーパ43は前方
側、即ち、種子繰出手前側に位置されていて、その先端
は回転ブラシ14と摺接可能である。制限スイーパ43を取
付けた軸45の端部にはアーム46が固定され、このアーム
46を回動することにより、制限スイーパ43は回転ブラシ
14に対してオーバラップ量を調整され、また離隔退避さ
れる。

制限スイーパ43の先端は、第２図に示すような鋸歯状
又は波状に形成され、回転ブラシ14の軸芯方向に略種子
１粒の間隔Ｂを有して多数の突起43aを並設した形状と
なっている。従って、回転ブラシ14に種子Ａがからみ付
いていると、枝梗のない正常な種子ならば、突起43aに
よって簡単に払い落とされて種子案内部32に戻され、枝
梗付き種子Ａ′であれば突起43aと当接しても、回転ブ
ラシ14とのからみ付きが強固であるため、間隙Ｂ側へ逃
げて、払い落とされることなく回転ブラシ14によって持
ち廻される。

離脱スイーパ44は回転ブラシ14の後上方側、即ち、種
子繰出前方側の上方に位置し、側板9aに対して上下位置
調整自在に固定されている。この離脱スイーパ44は第３
図に示すようにその先端が直線状であり、回転ブラシ14
と摺接可能であり、上下位置を調整することによりオー
バラップ量を調整し得る。この離脱スイーパ44は制限ス
イーパ43よりも回転ブラシ14と大きくオーバラップして
おり、回転ブラシ14に強固にからみ付いた枝梗付け種子
Ａ′でも確実に払い落とす。

尚、離脱スイーパ44の先端も鋸歯状等に形成しても良
いが、突起間隙は種子１粒より小さくしておく。また、
離脱スイーパ44も制限スイーパ43と同様に軸で支持し
て、回動することにより回転ブラシ14に対して摺接量を
調整するように構成しても良い。

47は離脱スイーパ44によって離脱された枝梗付き種子
Ａ′を収納する回収箱である。この回収箱47はフレーム
９に設けられた台48及び中間軸22等に支持されており、
フレーム９のカバー49をピン50を中心に回動することに
より、フレーム９内から取出し可能となっている。

この回収箱47は前上方へ突出した受けシュート51を有
し、この受けシュート51は離脱スイーパ44の略下方まで
延設されていて、離脱スイーパ44によって回転ブラシ14
から離脱された種子Ａ′が、離脱スイーパ44の上側を通
ってきても下側を通ってきても受け取ることができるよ
うに形成されている。

尚、カバー49を回動すれば、スイーパ43,44に付着し
た籾、芽等も掃除できる。また、スイーパ43,44は使用
しないとき、回転ブラシ14から離隔退避させておくこと
により、回転ブラシの先端の変形を少なくすることがで
きる。

第１図において、53は繰出案内体で、種子繰出前方側
で繰出ロール11に近接して種子Ａの落下を防止すべく、
フレーム９に取付けられており、54はスクレーパで繰出
ロール11の溝11aを横切って周方向に形成された周溝55
に挿入されており、56は育苗箱４の上面清掃用のブラシ
である。

（発明の効果） 以上詳述した本発明によれば、回転ブラシ14の種子繰
出前方側に、離脱スイーパ44と回収箱47とを設けている
ので、離脱スイーパ44によって回転ブラシ14にからみ付
いた枝梗付き種子Ａ′を離脱させ且つ回収することがで
き、枝梗付き種子Ａ′が播種されたり、回転ブラシ14が
持ち廻って種子量調整に悪影響を与えたりすることを防
止でき、播種精度を向上することができる。

また、回転ブラシ14の種子繰出手前側に、回転ブラシ
14の軸芯方向に略種子１粒分の間隙Ｂを有して多数の突
起43aを並設し且つこの突起43aを回転ブラシ14に摺接可
能にした制限スイーパ43を設けているので、回転ブラシ
14にからみ付いた枝梗付き種子Ａ′を払い落すことな
く、それに引掛かって持上げられる正常な種子を払い落
とすことができ、正常な種子まで回収箱47に回収される
のを防止でき、種子案内部32に枝梗付け種子Ａ′が残留
するのを防止でき、播種量を安定化できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示しており、第１図は全体断面
正面図、第２図は制限スイーパの斜視図、第３図は離脱
スイーパの斜視図である。 １……播種機、４……育苗箱、11……繰出ロール、12…
…ホッパ、14……回転ブラシ、32……種子案内部、43…
…制限スイーパ、43a……突起、44……離脱スイーパ、4
7……回収箱、Ａ……種子、Ａ′……枝梗付き種子、Ｂ
……間隙。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】育苗箱移送機構（５）の上方に繰出ロール
   （11）を配置し、この繰出ロール（11）の上側に逆方向
   に摺接回転する回転ブラシ（14）を設け、この回転ブラ
   シ（14）より種子繰出手前側にホッパ（12）から落下す
   る種子（Ａ）を繰出ロール（11）へ案内し且つ溜める種
   子案内部（32）を形成した育苗用播種機において、 前記回転ブラシ（14）の種子繰出前方側に、回転ブラシ
   （14）と摺接して枝梗付き種子（Ａ′）を離脱させる離
   脱スイーパ（44）と、この離脱種子を回収する回収箱
   （47）とを設けたことを特徴とする育苗用播種機。
2. 【請求項２】回転ブラシ（14）の種子繰出手前側に、回
   転ブラシ（14）の軸芯方向に略種子１粒分の間隙（Ｂ）
   を有して多数の突起（43a）を並設し、且つこの突起（4
   3a）を回転ブラシ（14）に摺接可能にした制限スイーパ
   （43）を設けたことを特徴とする請求項１記載の育苗用
   播種機。