JP2583577B2 - Bi系酸化物超電導材の製造方法 - Google Patents

Bi系酸化物超電導材の製造方法

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JP2583577B2 JP63163686A JP16368688A JP2583577B2 JP 2583577 B2 JP2583577 B2 JP 2583577B2 JP 63163686 A JP63163686 A JP 63163686A JP 16368688 A JP16368688 A JP 16368688A JP 2583577 B2 JP2583577 B2 JP 2583577B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、磁気浮上列車、医療装置、磁気推進船など
に使用される超電導マグネット用、または、電力輸送線
用などとして応用開発が進められているBi系酸化物超電
導材の製造方法に関する。
「従来の技術」 最近に至り、常電導状態から超電導状態へ遷移する臨
界温度(Tc)が液体窒素温度を超える値を示す酸化物超
電導体が種々発見されている。この種の酸化物超電導体
は、一般式Y−Ba−Cu−OあるいはBi−Sr−Ca−Cu−O
などで示される酸化物であり、液体ヘリウムで冷却する
ことが必要であった従来の合金系あるいは金属間化合物
系の超電導体と比較して格段に有利な冷却条件で使用で
きることから、実用上極めて有望な超電導材料として研
究が進められている。
ところで従来、金属やセラミックスの基材上に前記酸
化物超電導体からなる厚膜を形成する方法として、酸化
物超電導粉末にパインオイルなどの溶剤や有機バインダ
ーを加えて印刷用材料を作成し、この印刷用材料を基材
上にスクリーン印刷する方法が考えられている。
また、前記印刷用材料を製造する場合と同様な方法で
塗布液を作成し、この塗布液を基材表面にスプレー塗装
する方法、あるいは、この塗布液に基材を浸漬して引き
上げ、その表面に塗装膜を形成する方法が考えられてい
る。
更に、半導体の製造分野などで用いられているスパッ
タリング法や蒸着法などの薄膜形成方法を用い、基材の
表面に酸化物超電導層を形成する方法が考えられてい
る。
「発明が解決しようとする課題」 しかしながら前記スクリーン印刷法は、平板の表面や
円筒の外面などの単純な形状部分に適用することは可能
であっても、線材の外周面やテープの周面などの曲率の
大きな部分を含む形状の基材、あるいは、凹凸部分を有
する複雑な形状の基材には適用できない問題があった。
また、スクリーン印刷法によって形成できる膜の厚さは
200μm程度が限界であり、膜厚が200μm以上の超電導
厚膜の形成が困難な問題があった。
更に、前記塗装法および浸漬法においては、複雑な形
状の基材を用いようとする場合、塗布液の粘性を高くす
ると、基材の隅々まで塗布液を均一に塗布することが困
難であり、塗布液の粘性を低くすると、基材を塗布液か
ら引き出した際に塗布液が流れ落ちて基材表面に均一な
塗布ができないために、複雑な形状の基材には適用でき
ない問題があった。また、基材表面に塗装層を形成し、
更に熱処理を施して塗装層に含まれる物質を焼結して酸
化物超電導体を生成する場合、塗装層に含まれるバイン
ダーなどの樹脂成分が焼結するために、基材から酸化物
超電導体が剥離する問題があった。
一方、前記スパッタリング法などの薄膜形成方法にお
いては、形成できる膜厚が数μm程度であって成膜時間
も長いために、200μm以上といった厚さの酸化物超電
導厚膜の形成は困難であり、数μm程度の厚さの超電導
薄膜でも製造時間が長くなる問題がある。また、これら
の方法では、真空中などの特性の雰囲気中で成膜を行う
必要があるために、基材の大きさが製造装置内に収納可
能な大きさに限定され、長尺で大面積の基材には適用で
きない問題があった。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、基材の
表面に緻密な厚膜状の酸化物超電導体を短時間で形成す
ることができ、臨界温度などの超電導特性が優れ、かつ
機械強度が高いBi系の酸化物超電導材を効率よく製造す
る方法の提供を目的とする。
「課題を解決するための手段」 本発明の酸化物超電導体の製造方法においては、Bi系
の酸化物超電導体を具備してなる酸化物超電導材の製造
方法において、前記酸化物超電導体の粉末または酸化物
超電導体の前駆体粉末をN−Nジメチルホルムアミド中
に分散させた電着液中において、少なくとも表面部分に
導電性を有する基材を陰極として電気泳動電着を行い、
該基材の表面に酸化物超電導体を構成する元素を含む電
着層を形成し、この後に熱処理を施すことを課題解決の
手段とした。
「作用」 基材の表面に、電気泳動電着によりBi系の酸化物超電
導体の粉末または酸化物超電導体の前駆体粉末を電着し
て酸化物超電導体を構成する元素を含む電着層を形成
し、この後熱処理を施すことにより、基材の表面に緻密
なBi系酸化物超電導体の焼結層が均一な状態で形成され
る。
「実施例」 第1図ないし第4図は、本発明方法によりBi−Sr−Ca
−Cu−O系の超電導材を製造する例について説明するた
めの図である。この例による超電導材の製造方法では、
まず丸線状の基材1を、電着槽2に収容された電着液3
中に挿入し、電気泳動電着を行って、その表面に電着層
4を形成して第2図に断面構造を示す超電導素材5を作
成する。
この例において使用される基材1として、好ましく
は、融点800℃以上でかつ耐酸化性の良好な、貴金属、T
i、Ta、Zr、Hf、V、Nb、W、Cu等の単体金属やCu−Ni
合金、Cu−Al系合金、Ni−Al系合金、Ti−V系合金、モ
ネルメタル、ステンレス、クロメル、アロメル、カンタ
ルなどの金属基材などが用いられ、更には、石英ガラ
ス、ジルコニア、YSZ、アルミナ、サファイア、チタン
酸ストロンチウムなどのチタン酸化合物、マグネシア、
酸化チタン等のセラミックス基材の表面に、無電解メッ
キ法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真
空蒸着法などの薄膜形成手段を用いてAg、Ni、Cuなどの
金属被覆を施した基材などが使用される。
前記電着液3は、Bi1Sr1Ca1Cu2OXなる組成のどのよう
なBi系の超電導粉末を、N−Nジメチルホルミアミド中
に分散させたものが使用される。この分散媒1中の超
電導粉末の量は1〜500gの範囲とすることが望ましい。
超電導粉末の量を500g/以上とすると、基材表面に超
電導粉末が緻密かつ均一な状態で電着されなくなり、ま
た超電導粉末の量を1g/以下とすると電着効率が悪く
なる。また分散媒中に超電導粉末を分散させるには、超
音波攪拌を行うことが望ましく、更に分散媒中に少量の
水、ゼラチン、デンプン、電解質などを添加して攪拌操
作を行っても良い。この際、分散媒として用いるN−N
ジメチルホルムアミド中に含まれる水分量が1vol.%ま
では、水の電解によるガスの発生が起こらず、また、超
電導粉末の分散状態も良好となって全く問題がなかっ
た。なお、電着液3には、必要に応じて酸化チタン等の
酸化物超電導体の焼結助剤となる材料が添加される。
前記超電導粉末は、粒径50μm以下のものが使用さ
れ、特に粉末粒子の沈降を防止し、均一に分散させるた
めに粒径30μm以下の粉末が好適に使用される。この超
電導粉末を作成する方法としては、例えば、Biの酸化物
粉末とCuの酸化物粉末とCaの炭酸塩粉末とSrの炭酸塩粉
末をBi:Sr:Ca:Cu=1:1:1:2(モル比)となるように均一
に混合して混合粉末とし、次いでこの混合粉末を大気中
あるいは酸素雰囲気中において、750〜850℃で数分間〜
数十時間仮焼して仮焼粉末とし、次いでこの仮焼粉末
に、圧粉成形→加熱→粉砕の一連の操作を1回あるいは
2回以上繰り返し行って、Bi−Sr−Ca−Cu−O系超電導
粉末を作成する粉末混合法が好適である。また粉砕処理
は自動乳鉢、ボールミルなど一般の粉砕処理装置を用い
て行うことができ、更にN−Nジメチルホルムアミドを
加えてボールミル粉砕を行う湿式粉砕処理を用いても良
い。なお、超電導粉末の作成方法は前記粉末混合法に限
定されることなく、共沈法やゲルゾル法を用いても良
い。また、電着液3中の超電導粉末の代わりに、上述の
仮焼粉末(前駆体粉末)を用いても良い。
そして、第1図に示す電気泳動装置によって基材1の
表面に電着層4を形成するには、基材1を電着液3内に
挿入するとともに、この基材1を陰極とし、この基材1
と電着槽2内に配設された陽極6との間に電圧を印加す
る。この電気泳動電着では定電圧法、定電流法のいずれ
も可能であり、さらに電流波形は直流の他、基材1が一
時的にせよ陰極となるようなパルス、交直重畳、断続な
どの電流波形とすることが可能である。定電圧法を用い
る場合には1V以上の電圧を印加すれば良く、また定電流
密度法を用いる場合には電流密度を1〜500μA/cm2の範
囲とするのが望ましい。なお、陽極6としては、白金
板、ステンレス板、炭素電極など通常の電極材料を使用
することができる。またこの陽極6の表面積は、基材1
表面積よりも大きくすることが望ましい。
前記のように、陰極となる基材1と陽極6間に電圧を
印加することにより、電着液3中に分散している超電導
粉末はプラスに帯電し、陰極である基材1の表面に電着
される。そして基材1の表面には超電導粉末からなる緻
密な電着層4が形成され、第2図に示す超電導素材5と
なる。電着槽2内で所定の厚さの電着層4が形成された
超電導素材5は、電着槽2から引き上げられ、次いで熱
風による乾燥処理を行って表面部分に残留するN−Nジ
メチルホルムアミドを除去する。この乾燥処理は、200
℃程度の温度で数分間加熱することで十分である。
次に、この超電導素材5に熱処理を施す。この熱処理
は、超電導素材5を大気中あるいは酸素雰囲気中におい
て、700〜1000℃で数分〜数10時間加熱した後、室温ま
で冷却することによって行われる。
この熱処理により、基材1の表面の電着層4は焼結さ
れ、この部分にBi1Sr1Ca1Cu2OXなる組成の超電導層7が
形成される。以上の各操作により、第3図に示すように
基材1の表面に超電導層7が形成された超電導材Aが得
られる。
そして、このようにして得られた超電導材Aの表面に
は、必要に応じて第4図に示すような被覆層8が形成さ
れる。この被覆層8の材料としてはAg、Cu、Al、Ni、Cu
−Niなどの金属あるいはポリイミドやポリウレタン、ポ
リエステル、アミドイミド、ポリテトラフルオロエチレ
ンなどの合金樹脂あるいはアモルファスカーボンなどが
好適に用いられる。第4図に示す超電導材Bは、被覆層
8により超電導層7が保護されて、長期にわたって超電
導特性の劣化を防止することができるとともに、超電導
層7の剥離やクラックの発生を防いで、機械強度が更に
高いものとなる。
上述の超電導材Aの製造方法では、基材1の表面に、
電気泳動電着によりBi1Sr1Ca1Cu2OXなる組成の酸化物超
電導粉末を電着して緻密な電着層4を形成させることが
できるので、この後の熱処理による収縮が少なく、基材
1の表面に緻密な超電導層7を形成させることができ
る。このため、超電導層7に焼成時の収縮に伴う亀裂な
どの不良を生じることがなく、高臨界電流密度(Jc)を
発揮する高性能の超電導材Aを製造できる。
また、上述の超電導材Aは、基材1の表面に、電気泳
動電着により緻密な電着層4を形成し、この後熱処理を
施して超電導層7を生成するので、超電導層7は基材1
に対して密着性が良好となり、可撓性に優れ、機械強度
の高い超電導材Aを製造することができる。
更に、基材1の表面に、電気泳動電着で超電導粉末か
らなる電着層4を形成するので、印加電圧と電着時間な
どの電着条件を制御することにより超電導層7の厚さを
所望の値に正確に制御することができる。更にまた、電
気泳動電着によって電着層4を形成するので、200μm
以上、例えば、1mm程度の厚い電着層4を短時間の電着
操作で形成することができ、超電導材Aの製造効率を向
上させることができる。また、基材1の表面に形成する
電着層4を十分に厚いものにするならば、熱処理の際に
基材1中の不要元素が超電導層7中に拡散し、拡散部分
の超電導特性が劣化する現象が生じた場合であっても、
超電導層7の全体の厚さに対する劣化部分の割合を小さ
くできるために、全体として高性能の超電導材Aを製造
できる。
なお、先の例では、基材として丸線状の基材1を用い
たが、基材の形状はこれに限定されることなく、板状、
箔状、柱状、リボン状、凹凸部や孔を有する複雑な形状
のものなど種々の形状の基材を使用することができる。
また、本発明による製造方法では、電気泳動電着により
基材表面に超電導粉末からなる緻密な電着層4を形成す
るので、つき回り性が良く、基材表面に凹凸があって
も、この凹凸に沿って均一な厚さの電着層4が形成され
る。
また、基材としてセラミック基材を用いる場合に、そ
の表面に金属被覆を施す代わりにスクリーン印刷法によ
り導電性ペーストを印刷塗布し、これを焼結するなどの
方法を適用することができる。また、セラミック基材の
表面に導電性塗装を施したものを用いても良い。さらに
また、前記金属被覆や導電性塗装などの導電性表面処理
は基材の全面に施される他、例えば回路基板や電磁シー
ルドなどを作成する場合には、通常のマスキング法等を
用いて導電回路部分のみに導電性表面処理を施し、この
回路パターン上に超電導層を形成しても良い。
ところで、超電導素材5を焼結する際に、基材を燃焼
消滅させたり、溶融流出させることにより超電導体部分
のみを残す用途に適用させることができる。従ってこの
場合は、低融点金属や、高分子有機物からなる糸やシー
トなどの種々の成形物に導電性表面処理を施したものを
基材に用いても良い。
次に、本発明の製造方法をBi−Sr−Ca−Cu−O系の長
尺の超電導線の製造方法に適用した例について説明す
る。
第5図は超電導線材の製造に好適に使用される電気泳
動装置の一例を示す図であって、符号11は、基材として
用いる線材、12は電着槽である。なお、この電着槽12内
には先の例で用いたものと同様の電着液3が収容されて
いる。
この例において好適に使用される線材11としては、先
の例と同様の融点800℃以上でかつ耐酸化性の良好な金
属材料で作られた金属線材、石英ガラス、サファイアな
どのセラミックスファイバーの表面にAgなどの金属被覆
を施した複合線材、炭素繊維等が好適に使用される。
この例による超電導材の製造方法では、第5図に示す
電気泳動装置を用い、図中矢印で示すように線材11を電
着液3中で一定の速度で移動させ、この線材11を陰極と
し、この線材11と電着槽12内に配設された陽極14との間
に電圧を印加する。この電圧の印加条件は先の例と同様
であり、陽極14は、先の例で用いた陽極6と同様のもの
を使用することができる。また、電着液3中の超電導粉
末の濃度は電着操作の進行にとともに低下してくるた
め、電着操作の進行にともなって、電着槽12中の電着液
3に超電導粉末を直接供給するか、所定濃度の電着液3
を供給することが好ましい。
電着液12内で所定の厚さの電着層が形成されたなら
ば、超電導素線13を電着槽12から引き出し、次いで熱風
による乾燥処理を行って、表面部分に残留するN−Nジ
メチルホルムアミドを除去する。
次に、この超電導素線13に熱処理を施す。この熱処理
は、先の例と同様に、酸素雰囲気中において、700〜100
0℃で数分〜数10時間加熱した後、室温まで冷却する条
件に設定することが望ましい。
なお、この熱処理時に、所定速度で移動する超電導素
線13を連続的に加熱、徐冷できるような加熱手段、例え
ば長尺のトンネル形の加熱炉などを用いても良く、さら
にこのような加熱炉を上述の電気泳動装置と組み合わせ
て、線材11に電気泳動電着→乾燥→熱処理の各処理を連
続的に施すように構成しても良い。
以上の各処理により、線材11の表面に、Bi1Sr1Ca1Cu2
OXなる組成の緻密な超電導層が形成された長尺の超電導
線材が製造される。なお、得られた超電導線材の表面に
は、先の例と同様に被覆層を形成しても良い。
この例による超電導線材の製造方法は、先の例による
超電導材の製造方法とほぼ同様の効果が得られる他、線
材11の表面に電着層を形成し、この後熱処理を施す一連
の操作を連続的に実施することが容易であり、長尺の超
電導線材の製造を自動化することができ、超電導線材の
製造効率を向上させることができる。
なお、上述の例では、1回の電気泳動電着操作により
電着層を形成したが、この電気泳動電着操作は26回以上
繰り返し行っても良い。
「実施例1」 Bi2O3粉末とSrCO3粉末とCaCO3粉末とSuO粉末をBi:Sr:
Ca:Cu=1:1:1:2(モル比)となるように自動乳鉢で均一
に混合して混合粉末とし、次いでこの混合粉末を大気中
において、820℃で24時間仮焼して仮焼粉末とし、次い
でボールミルによる粉砕処理を行って、平均粒径6.3μ
mのBi1Sr1Ca1Cu2OXなる組成の超電導粉末を作成した。
次いでこの超電導粉末15gをN−Nジメチルホルムア
ミド300ml中に分散させて電着液とした。
この電着液を第1図に示すものと同等の構成の電気泳
動装置の電着槽に収納し、この電着液中に、陽極となる
ステンレス板(SUS304、厚さ1mm、幅50mm、長さ100mm)
と、陰極となる基材を挿入し、ステンレス板(陽極)と
基材(陰極)に10〜500Vの直流定電圧を印加して、電気
泳動電着を2分間行った。なお、基材はZr、Ti、Agの各
金属を材料とする直径1.0mm、長さ5cmの丸線材を用い
た。これらの基材は使用前にエタノール中で超音波洗浄
を施した。
続いて前記電気泳動電着を終了した各々の基材を200
℃で5分間熱風乾燥した後、大気中において860℃で12
時間加熱し、−400℃/時間で室温まで徐冷してBi系超
電導線材を得た。
そして、前述と同等の手順により、基材の種類と処理
電圧の異なる複数の超電導材を作成し、これらの超電導
材の膜厚を顕微鏡を用いて測定した。また、これらの超
電導材の臨界温度(Tc)を4端子法で測定した。これら
の測定結果を第1表に示す。
第1表に示すように、Zr、Ti、Agのいずれの基材にも
高い臨界温度を示す超電導層を形成することができた。
また、各超電導材において超電導層の剥離やクラックの
発生などは認められなかった。
「実施例2」 分散媒としてN−Nジメチルホルムアミノを用い、幅
10mm、長さ20mm、厚さ1mmの安定化ジルコニア(YSZ)基
板とチタン酸ストロンチウム基板を用い、これらの基板
の表面に、塩化スズ、塩化パラジウム水溶液で前処理
後、無電解Niメッキを行って厚さ約2μmの導電層を形
成した後に、前記実施例1と同等の条件で電気泳動電着
および熱処理を行って、基材の種類と処理電圧の異なる
複数の超電導材を作成し、実施例1と同様にこれらの超
電導材の膜厚および臨界温度(Tc)を測定した。これら
の測定結果を第2表に示す。
第2表に示すように、前記各基材のいずれにも高い臨
界温度を示すBi系の超電導層を形成することができた。
また、各超電導材において超電導層の剥離やクラックの
発生は認められなかった。
「比較例」 本発明方法と比較するために、N−Nジメチルホルム
アミド以外の有機溶媒を分散媒に用いて超電導材の製造
を実施した。
ノルマルヘキサン、トルエン、キシレンを分散媒とし
て用い、これらの分散媒中に実施例1で用いたものと同
等の基材を用い、実施例1と同等の条件で電気泳動電着
を行った。その結果、分散媒としてノルマルヘキサン用
いたものでは、基材の表面に電着層が全く形成されず、
トルエンおよびキシレンを用いたものでは、基材の表面
に少量の電着層が形成されたものの、基材との密着性が
悪く、緻密に形成されないために、基材を電着液から引
き上げる際に剥がれ落ちてしまった。
「発明の効果」 以上説明したように本発明によるBi系酸化物超電導材
の製造方法では、基材の表面に、電気泳動電着によりBi
系酸化物超電導粉末を電着して緻密な電着層を形成させ
ることができるので、この後の熱処理による収縮が少な
く、亀裂などの発生のない緻密なBi系超電導層が基材上
に形成された超電導特性の優れた高臨界温度のBi系酸化
物超電導材を得ることができる。
また基材の表面に、電気泳動電着により緻密な電着層
を形成し、この後熱処理を施してBi系超電導体の焼結体
層を生成させるので、超電導層は基材に対して密着性が
良好となり、可撓性に優れ、機械強度の高いBi系超電導
材を製造することができる。
さらに、基材の表面に、電気泳動電着でBi系超電導粉
末からなる電着層を形成するので、電着条件を制御する
ことによって超電導層の厚さを正確に制御することがで
きる。
また、電気泳動電着によって電着層を形成するので、
200μm以上の比較的厚い電着層を短時間の電着操作で
形成することができ、Bi系超電導材の製造効率を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は本発明の製造方法の一例を説明す
るためのものであって、第1図は電気泳動装置の概略構
成図、第2図は超電導素材の断面図、第3図は超電導材
の断面図、第4図は第3図に示す超電導材に被覆を施し
た例を示す超電導材の断面図、第5図は本発明の酸化物
超電導材の製造方法により超電導材を製造するに好適に
使用される電気泳動装置の概略構成図である。 1……基材、3…電着液、4……電着層、 5……超電導素材、6……陽極、7……超電導層、 A,B……超電導材、11……線材(基材)、 13……超電導素線、14……陽極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 宰 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (72)発明者 池野 義光 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (72)発明者 中川 三紀夫 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−283714(JP,A) 特開 平1−247599(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Bi−Sr−Ca−Cu−O系の酸化物超電導体を
    具備してなる酸化物超電導材の製造方法において、 前記酸化物超電導体の粉末または酸化物超電導体の前駆
    体粉末をN−Nジメチルホルムアミド中に分散させた電
    着液中において、少なくとも表面部分に導電性を有する
    基材を陰極として電気泳動電着を行い、該基材の表面に
    酸化物超電導体を構成する元素を含む電着層を形成し、
    この後に熱処理を施すことを特徴とするBi系酸化物超電
    導材の製造方法。
JP63163686A 1988-06-30 1988-06-30 Bi系酸化物超電導材の製造方法 Expired - Lifetime JP2583577B2 (ja)

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