JP2583054Y2 - 蓋付き注出栓 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、容器の口部に装着され
る蓋付き注出栓、特に、ポリエチレン樹脂製蓋付き注出
栓に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、容器の口部に装着される蓋付き注
出栓は広く使用されている。この蓋付き注出栓は蓋を紛
失しないという利点がある反面容器内の液体を注ぎ出す
際に蓋体がその自重によって栓本体の注ぎ口に向かって
傾倒し、注出作業の邪魔になる等の問題があった。

【０００３】この問題を解決する考案として実公昭６２
−２９４０９号公報に示される注出栓がある。この注出
栓は栓本体と蓋体とを２本の連結片によって接続し、２
本の連結片の間において、栓本体には角部（段部）を形
成し、蓋体には停止突片を突設したものである。そし
て、開蓋して液体を注ぎ出す際の蓋体の傾倒に対しては
停止突片を角部（段部）の上面に係合することによって
これを防止するものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】上記の蓋付き注出栓に
あっては停止突片と、角部（段部）とは有効な傾倒防止
手段となっていることは確かなことである。しかし、ポ
リプロピレン樹脂のような熱、曲げ、引き裂きに対して
強い材料にあっては、液体を封入した容器を加熱殺菌を
したとき停止突片が変形を起こさない利点があるものの
容器内液体などの未使用を保証するために設けるプルト
ップ構造を備えた蓋付き注出栓を一つの材料（ワンピ−
ス）で作ることは困難である。プルトップ構造を備えた
蓋付き注出栓を一つの材料で作ることのできる材料とし
てはポリエチレン樹脂が挙げられるが、この材料を使用
した場合過熱殺菌のとき停止突片が変形を起こしたり、
ヒンジとなる連結片が蓋の閉塞のときにゆがんで円滑に
被冠できないなどの欠点を持つことになる。

【０００５】本考案では、ポリエチレン樹脂を使用し、
プルトップ構造を備えた蓋付き注出栓であって、加熱殺
菌等による加熱によっても変形しにくい蓋体の傾倒停止
用突片を備えた蓋付き注出栓を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、容器の口部に
装着される栓本体と、前記栓本体に被冠自在に係合する
蓋体とを、それぞれの側壁において間隔を開けた２本の
可撓性帯状連結片で一体に接続したポリエチレン樹脂製
の蓋付き注出栓であって、該２本の連結片の間におい
て、前記栓本体には外壁の上部から略連結片高さ位置よ
り下方に伸びる突条を設け、前記蓋体にはその側壁を延
長した状態の突片を突設すると共にその突片の内側に前
記栓本体に形成した突条に当接する縦方向の溝を設け、
しかも、前記突片の先端縁は前記溝の幅にわたって切り
欠かれていることを特徴とする。

【０００７】

【作用】上記構成により、２本の連結片をヒンジとして
栓本体に蓋体を被冠するとき、蓋体に設けられた突片は
その先端縁を栓本体の突条に摺接し、ヒンジ高さ位置
（略連結片高さ位置）において僅かに撓みながら下降
し、突条の最下部へ向う。この被冠した状態で注出栓を
加熱すると帯状ヒンジ部分に曲がり癖が付くので、開蓋
すると蓋体はその癖によって栓本体側に傾倒してくる。
また、蓋体の突片は単なる板状ではなく、中央に縦方向
の溝を有し、先端を切り欠いた形状であるので熱変形に
耐えうる。これによって、蓋体を開くときは、指で蓋体
を押し上げると、ヒンジ高さ位置において蓋体の突片が
栓本体の突条と圧接し、突片全体が僅かに撓みながら上
方に回動し蓋体が開口される。蓋体から指を放すと、蓋
体が自重等により栓本体側に戻り、前記突片が栓本体の
突条と衝突して蓋体を停止させ設定開角度で支持するこ
とができる。開角度は蓋体の突片の長さと溝のテーパー
面と接点位置によって決めることができる。また、閉動
作は蓋体が設定開角度を越え、蓋体の突片が栓本体の突
条との圧接で撓んで下降した後、突片の先端縁が溝とな
っているので、突片は即、栓本体の突条をつかむように
摺接し、蓋体の下降を確実に案内して栓本体を閉塞す
る。

【０００８】

【実施例】本考案の実施例を添付図面、図１、図２、図
３によって説明する。

【０００９】本考案の注出栓１は、ポリエチレン樹脂で
製作されており、そして容器口に直接装着されて使用さ
れる。注出栓１下部内周には容器口に装着するためのね
じ手段、嵌合突部等が形成される。

【００１０】注出栓１は、筒状の栓本体２と、これに被
冠する筒状の蓋体３とからなり、両者はそれらの側壁に
おいて２本の可撓性連結片４によって接続されている。
連結片４はヒンジの役目を果す。

【００１１】２本の可撓性連結片４の間において、栓本
体２には、外周壁６から下方に延びる傾斜した平面６Ｂ
が形成されており、この平面６Ｂの中央に沿って突条６
Ａが形成されている。（図２，図５参照）。この平面６
Ｂは溝としても良い。

【００１２】また、２本の可撓性連結片４の間におい
て、蓋体３には、その周壁に沿って上方に延びる突片７
が突設されている。突片７は内側には上下に延びる溝７
Ａが形成され、突片７の先端縁においては溝７Ａの幅に
わたって切り欠かれた切欠部７Ｂが形成されている。

【００１３】突片７の内側形状は、栓本体２の突条６に
適合する形状となっている。

【００１４】なお、栓本体２には、未使用状態を保証す
るために、栓本体２の閉鎖板２Ａの下面に穿設した環状
の弱化線８が形成され、弱化線８で囲まれた閉鎖板２Ａ
の上面には指掛け９が閉鎖板２Ａと一体に取付けられて
いる。

【００１５】以上のように構成された注出栓１は、栓本
体２に蓋体３を被冠した後に、容器に充填物の加熱殺菌
のために熱に曝される。このとき、ポリエチレン樹脂の
連結片４は中央が肉薄で弯曲した状態なので、弯曲した
癖がつき、また、突片７は丸くなる傾向があるが、縦溝
を形成し先端縁を切り欠いた構成としたので熱変形を抑
え、原形をとどめ設計寸法を維持する。したがって、蓋
の開動作において、蓋体３を開けるとき、突片７は溝７
Ａにより突条６Ａに摺接、案内され、ヒンジ高さ位置に
おいて突片７が栓本体２と圧接することができ、この箇
所を乗り越えて突片７が上方に移動したときに開状態に
なる。注ぎ出し作業において、注出栓を傾倒させると、
蓋体３は途中、図６に示す状態になる。すなわち、蓋体
３が栓本体２側に傾倒すると突片７の先端縁が栓本体２
の外壁と接触することになり、それ以上の傾倒は阻止す
ることができる。これにより、蓋体３によって注ぎ口５
が塞がれることなく注ぎ出しを行うことができる。

【００１６】勿論、強い力で図６の状態の蓋体３を押し
倒せば、突片７の先端部およびその附近の溝７Ａは突条
６Ａに強く押しつけられ、かつ僅かに変形しつつ突条６
Ａに添いながら下降してゆき、ついには図７のように蓋
体３を栓本体に被冠することができる。

【００１７】

【考案の効果】本考案は、傾倒防止用の突片を有する注
出栓をポリエチレン樹脂においてワンピースで作成する
ので、実用的価値の高い注出栓を安価で得ることができ
る。また、注出栓の加熱処理にあっても突片に大きな変
形が起きないので、栓本体の突条と蓋体の溝の嵌合が設
計通り維持される。これにより、軟質の材料であっても
蓋体の開閉時に突条と突片の溝が確実に摺接、案内を行
うことができ、突片がヒンジ高さ位置を越えるときに確
実に圧接され、開状態において蓋体が栓本体側に傾倒し
ても突片が栓本体の外壁に衝突して戻り防止されるもの
であり、注出時に蓋体が邪魔にならず、スムーズな操作
性を得るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案注出栓の要部拡大断面図

【図２】本考案注出栓の平面図

【図３】図２のＡ−Ａ線に沿う断面図

【図４】図１のＡ−Ａ線に沿う拡大断面図

【図５】図１のＢ−Ｂ線に沿う拡大断面図

【図６】蓋体の傾倒が阻止されている状態を示す要部拡
大断面図

【図７】蓋体を栓本体に被冠した状態を示す要部拡大断
面図

【符号の説明】

１ 注出栓 ２ 栓本体 ３ 蓋体 ４ ２本の連結片 ６ 外壁 ６Ａ 突条 ７ 突片 ７Ａ 溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B65D 35/44 - 35/54 B65D 39/00 - 55/16

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器の口部に装着される栓本体と、前記
   栓本体に被冠自在に係合する蓋体とを、それぞれの側壁
   において間隔を開けた２本の可撓性帯状連結片で一体に
   接続したポリエチレン樹脂製の蓋付き注出栓であって、該 ２本の連結片の間において、前記栓本体には外壁の上
   部から略連結片高さ位置より下方に伸びる突条を設け、
   前記蓋体にはその側壁を延長した状態の突片を突設する
   と共にその突片の内側に前記栓本体に形成した突条に当
   接する縦方向の溝を設け、しかも、前記突片の先端縁は
   前記溝の幅にわたって切り欠かれていることを特徴とす
   る蓋付き注出栓。