JP2582801Y2 - シリコーン粘着テープが収納された容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はシリコーン粘着テープ、
特には耐熱性ラベルテープ、シリコーンゴム成形品の固
定用などに有用とされるシリコーン粘着テープ、および
これを被着体に簡単に転写するためのシリコーン粘着テ
ープ収納容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】シリコーン粘着剤を使用して被着体同志
を貼りつける時には、シリコーン粘着剤を片方の被着体
に塗布し、風乾して溶媒を揮散させたのち、これに他方
の被着体を重ねて貼着するか、このシリコーン粘着剤か
ら両面シリコーン粘着テープを作り、このテープの片面
の離型紙を剥がして一方の被着体に貼ったのち、このテ
ープの他面の離型紙を剥がして他方の被着体を重ねて貼
着するという方法が知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、この前者の方
法にはシリコーン粘着剤を塗布する被着体に耐熱性が要
求されるので被着体に制限があるし、被着体の形状も粘
着剤の塗布が可能な形状に制限されるという不利がある
し、さらにはこの被着体が別の場所で製造された場合に
はゴミや汚れがつかないようにシリコーン粘着剤用の離
型紙を貼って輸送するなどの手段が必要であるという欠
点があり、この後者の方法には離型紙を剥がす手間がか
かるし、不用な剥離紙が必要であり、片面のみに剥離紙
を設けた両面シリコーン粘着剤テープではシリコーン粘
着剤を塗布するための基材が必要になるという欠点があ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案はこのような不
利、欠点を解決したシリコーン粘着テープが収納された
容器に関するもので、このシリコーン粘着テープはシリ
コーン粘着剤に対する剥離力が裏面に対し表面が 1.5倍
以上である剥離紙の表面にシリコーン粘着剤を塗布し、
これをテープ状に巻回してなることを特徴とするもので
あり、本考案の容器はこのシリコーン粘着テープを外側
に歯車を有するブッシュに装着すると共に、この粘着テ
ープから剥離された剥離紙を上記歯車と噛み合う歯車を
有するブッシュに自動的に巻きとるようにし、これらを
粘着テープ引出し口を有する外側ケースに収納してなる
ことを特徴とするものである。

【０００５】すなわち、本考案者らは溶剤の除去、剥離
紙を剥すなどをせずに、簡単にシリコーン粘着剤を被着
体に塗布できるシリコーン粘着テープおよびその収納容
器を開発すべく種々検討した結果、このシリコーン粘着
テープについてはこれを剥離力が裏に対して表が 1.5倍
以上である剥離紙の表面にシリコーン粘着剤を塗布し、
これをテープ状に巻回したものとし、これを上記したよ
うな収納容器に収納して、このシリコーン粘着テープを
容器の引出し口で被着体に接触して移動させれば、シリ
コーン粘着剤が被着体に塗布されると共に剥離紙が自動
的に剥離されてブッシュに巻き取られるので、容易に被
着体にシリコーン粘着剤が塗布されるということを見出
し、ここに使用されるシリコーン粘着剤、剥離紙の種
類、構成、この容器の具体的構造などについての研究を
進めて本考案を完成させた。以下にこれをさらに詳述す
る。

【０００６】

【作用】本考案はシリコーン粘着テープが収納された容
器に関するもので、このシリコーン粘着テープはシリコ
ーン粘着剤に対する剥離力が裏面に対して表面が 1.5倍
以上である剥離紙の表面にシリコーン粘着剤を塗布し、
これをテープ状に巻回してなるものであり、本考案の収
納容器はこのシリコーン粘着テープを外側に歯車を有す
るブッシュに装着すると共に、この粘着テープから剥離
された剥離紙を上記歯車と噛み合う歯車を有するブッシ
ュに自動的に巻き取るようにし、これらを粘着テープ引
出し口を有する外側ケースに収納してなることを特徴と
するものであるが、これによればこのシリコーン粘着テ
ープを容器の引出し口で被着体に接触して移動させれ
ば、シリコーン粘着剤が被着体に塗布されると共に剥離
紙が自動的に剥離されてブッシュに巻き取られるので、
被着体にシリコーン粘着剤を容易に塗布することができ
るという有利性が与えられる。

【０００７】本考案のシリコーン粘着テープはシリコー
ン粘着剤に対する剥離力が裏面に対し表面が 1.5倍以上
である剥離紙の表面にシリコーン粘着剤を塗布し、これ
をテープ状に巻回してなるものである。ここに使用され
るシリコーン粘着剤は公知のものでよく、これにはシリ
コーン生ゴムとガラス状シリコーンレジンとを結合さ
せ、さらに過酸化物を加えて架橋をさせたもの、水素基
をもつシリコーンオイルにビニル基を有する高分子量の
シリコーンをそのビニル基が水素基に対して大過剰とな
るように配合し、白金化合物での付加反応で粘着性をも
つようにしたものなどが例示される。

【０００８】また、ここに使用する剥離紙は紙、プラス
チックフィルムなどで作られたものとすればよいが、こ
の紙類としてはグラシン紙、グラシンにポリエチレンを
ラミネートした紙などが例示され、プラスチックフィル
ムとしてはポリエチレン、ポリエチレンフタレート、ポ
リブチレンフタレート、ナイロン、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、
ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ＰＥＥ
Ｋ、ＰＥＳ、セルロイド、酢酸繊維系などのフィルムが
例示される。

【０００９】しかし、この剥離紙についてはシリコーン
粘着剤をその表面に塗布してテープ状に巻回したものを
後述する収納容器に収納し、このシリコーン粘着剤を被
着体に転写するときにテープが楽に引き出され、シリコ
ーン粘着剤が剥離紙の表面に残って引き出されることが
必要とされることから、これはこのシリコーン粘着剤に
対する剥離力が裏に対して表が 1.5倍以上であるものと
することが必要とされる。

【００１０】この剥離紙における剥離力を表裏で差をつ
ける方法としては物理的方法、化学的方法、この両者を
併用する方法がある。この物理的方法としては例えば表
面と裏面の表面粗さを変えたり、凹凸をつけたりして接
触面積を変えて剥離力に差をつける方法があり、化学的
方法としてはプリズマエッチング、薬液エッチング、コ
ロナ放電で表面改質するか、離型剤をコーティングする
方法などが例示される。

【００１１】このような剥離紙にシリコーン粘着剤を塗
布する方法はこのシリコーン粘着剤を均一に塗工するこ
とができれば塗工法は特に限定されないが、これは一般
的に知られているダイレクトグラビアコーター、バーコ
ーター、ワイヤーバーコーター、エアーナイフコータ
ー、多段ロール、オフセットグラビアコーターなどで行
えばよく、この塗膜の厚さについても特に制限はなく、
これは被着体の種類、目的によって異なるが概ね10〜 5
00μｍとすればよい。

【００１２】なお、このテープ化は剥離紙にシリコーン
粘着剤を塗布したのち乾燥炉を通してからスリットで適
当な幅、長さとし、これをボビン、紙管などにロールテ
ープ状に巻きとればよいが、このシリコーン粘着テープ
１は図１の縦断面図に示したように、ボビンまたは紙管
２にシリコーン粘着剤層４が剥離紙５の上に塗布された
シリコーン粘着剤が巻回されたもの３になる。

【００１３】このようにして作られた本考案のシリコー
ン粘着テープは収納容器に収納されて被着体へのシリコ
ーン粘着剤塗布に用いられるのであるが、この収納容器
は図２に示したようなものとされる。図２は本考案のシ
リコーン粘着剤テープ収納容器の縦断面図を示したもの
であるが、これは図１に示したシリコーン粘着剤テープ
１が、歯車11を有するブッシュ12に装着されているが、
このシリコーン粘着剤テープ１はシリコーン粘着剤４が
上で剥離紙５が下となっているので、これを歯車11の回
転によってスプールロケット13を通して引き出し口14で
被着体と接着させると被着体の移動に伴なって自動的に
シリコーン粘着剤が被着体に塗布され、剥離紙は自動的
にシリコーン粘着剤テープから剥離される。

【００１４】また、この剥離された剥離紙５はスプルー
ロケット15を通して歯車11と噛み合って逆回転する歯車
16の回転に伴なってブッシュ17に自動的に巻き取られる
のであるが、これらはいずれも外側ケース18に収納され
ているので、これによればシリコーン粘着テープからの
シリコーン粘着剤の被着体への塗布を容易に行なうこと
ができるという有利性が与えられる。

【００１５】

【実施例】つぎに本考案の実施例をあげる。 実施例 片面にマット加工を施した厚さ16μｍのポリエステルフ
ィルムのマット加工面上にシリコーン系離型剤・Ｘ−70
−201 ［信越化学工業（株）製商品名］を塗布し、150
℃で１分間熱キュアーしたのち、マット加工を施してな
い面にシリコーン系離型剤・Ｘ−70−029B［信越化学工
業（株）製商品名］を塗布し、150 ℃で１分間熱キュア
ーして剥離紙を作った。

【００１６】ついでこの剥離紙の離型剤・Ｘ−70−029B
を塗布した面にシリコーン粘着剤・ＫＲ−820 ［信越化
学工業（株）製商品名］を厚さ20μｍに塗布し、このも
のの剥離力と残留接着力を測定したところ、表１に示し
たとおりの結果が得られた。

【００１７】

【表１】

【００１８】つぎに、このものをマット加工した面が下
になるようにして紙管に巻きつけてシリコーン粘着テー
プを作り、これを図２に示した収納容器のブッシュ12に
装着し、このシリコーン粘着テープをその引出し口14で
被着体としてのコピー用紙に接触させ、このコピー用紙
をシリコーン粘着テープに押しつけながら適当な長さで
離したところ、シリコーン粘着剤がコピー用紙に移行
し、このものはガラスによく貼着された。

【００１９】

【考案の効果】本考案はシリコーン粘着テープが収納さ
れた容器に関するものであり、前記したようにこのシリ
コーン粘着テープはシリコーン粘着剤に対する剥離力が
裏面に対し 1.5倍以上である剥離紙の表面にシリコーン
粘着剤を塗布し、これをテープ状に巻回してなることを
特徴とするものであり、本考案の収納容器はこのシリコ
ーン粘着テープを外側に歯車を有するブッシュに装着す
ると共に、この粘着テープから剥離された剥離紙を上記
歯車と噛み合う歯車を有するブッシュに自動的に巻き取
るようにし、これらを粘着テープ引出し口を有する外側
ケースに収納してなることを特徴とするものである。

【００２０】しかして、このシリコーン粘着剤テープは
シリコーン粘着剤が表裏で剥離力が相違する剥離力の大
きい表面に塗布されているので、これを被着体に接触さ
せればシリコーン粘着剤が被着体に塗布されて剥離紙は
自動的に剥離されるので、この作業を容易に行なうこと
ができ、この収納容器はこのシリコーン粘着テープを装
着するブッシュと剥離された剥離紙を自動的に巻取るブ
ッシュがあり、これはまたこのシリコーン粘着テープを
被着体と接触させる取出し口を持っているので、これに
よれば被着体へのシリコーン粘着剤の塗布を容易に行な
うことができるという有利性が与えられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のシリコーン粘着テープの縦断面図を示
したものである。

【図２】本考案のシリコーン粘着テープの収納容器の縦
断面図を示したものである。

【符号の説明】１ …シリコーン粘着テープ、２…ボビンまたは紙管、３
…シリコーン粘着テープ、４…シリコーン粘着剤層、５
…剥離紙、11、16…歯車、 12、17…ブッシ
ュ、13、15 スプルーロケット、14…引出し口、18…外
側ケース

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−225580（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−151679（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−87683（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−47277（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−122535（ＪＰ，Ａ) 特開 昭52−20488（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) C09J 7/00 - 7/04 B65H 35/00 - 35/07

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリコーン粘着剤に対する剥離力が裏面に
   対し表面が 1.5倍以上となるようにプラズマエッチン
   グ、薬液エッチング、コロナ放電処理、離型剤コーティ
   ング処理より選ばれる方法で処理された剥離紙の表面に
   シリコーン粘着剤を塗布し、これをテープ状に巻回して
   なることを特徴とするシリコーン粘着テープを外側に歯
   車を有するブッシュに装着すると共に、この粘着テープ
   から剥離された剥離紙を上記歯車と噛み合う歯車を有す
   るブッシュに自動的に巻き取るようにし、これらを粘着
   テープ引出し口を有する外側ケースに収納してなること
   を特徴とするシリコーン粘着テープが収納された容器。