JP2582650B2 - 共押出積層水冷インフレーションフィルム - Google Patents
共押出積層水冷インフレーションフィルムInfo
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Description
ィルムに関する。さらに詳しくは本発明は、低温耐衝撃
性、耐引裂性および透明性、開口性、製袋性に優れた水
冷インフレーション法による共押出積層フィルムに関す
る。
良好であり、かつヒートシール適性も有しているため、
食品包装用を主体として広く使用されている。しかしな
がら、一方で前記フィルムは低温強度が著しく劣り、引
裂強さが弱いことから季節的物性変化を受けやすく、冬
期における破袋等のトラブルが多いという欠点があっ
た。
袋、即ちニクロム線等の熱線を用いてヒートシールと同
時に切断して製袋する方式の場合、前記ポリプロピレン
系フィルムによる袋のシール部は非常に脆く裂けやすい
ために、破袋トラブルが多いという欠点もあった。特に
低温時はこのシール部からの破袋が顕著な形で表れてい
た。
り低温特性の改良が図られているが、顕著な改良効果は
認められていないのが現状である。
るが透明性に劣るため、内容物の鮮明な識別性や装飾性
等が要求される高級包装用途には適当でなかった。
エチレンに加えて、近年新しいタイプとして直鎖状低密
度ポリエチレンが開発され、その優れた耐衝撃性と従来
のポリエチレンに比べて透明性も改良されている等の特
徴が活かされて、その用途は拡大している。しかしなが
ら、その剛性、および成形方法にもよるが透明性は、ポ
リプロピレン系フィルムに比べまだ劣るものである。し
かも、共重合比の変更等のポリマーの改質や成形方法等
で透明性を向上させると耐ブロッキング性、スリップ性
が著しく低下し、印刷、製袋等の加工性、作業性が低下
するだけでなく、袋の開口性が劣り、内容物の充填にも
支障が生じるという欠点があった。特に、透明性を向上
させることを目的とした水冷インフレーション加工法に
おいては前記の欠点が顕著に表れ、透明性と開口性との
バランスがうまくとれないというのが現状である。
らなるフィルムそのものを改良することには限界がある
ので、該単層を多層化して単層フィルムの欠点を改善す
る方法が提案されている。例えば、特開昭58−14028号
にはポリプロピレン/直鎖状低密度ポリエチレン/高圧
法低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重
合体からなる積層フィルムが開示されているが、これは
ポリプロピレンにヒートシール性を付与することを目的
としており、他の課題は何ら解決されていない。
り、用途展開上大きな制約となっていた。
し、低温強度、耐引裂性および透明性、開口性、耐ブロ
ッキング性に優れ、かつ加工性、作業性の良好な透明包
装用フィルムを提供することである。
た結果、特定の直鎖状低密度ポリエチレンと高密度ポリ
エチレンを混合したものと、特定の結晶性プロピレン重
合体または共重合体と、直鎖状低密度ポリエチレンとを
用い、一定範囲の構成で共押出することによって諸特性
の極めて優れたフィルムが得られることを見出し本発明
に到達した。
層、(C)層が積層された複合フィルムであって、 (A)層は直鎖状低密度ポリエチレンからなる層であ
り、 (B)層は結晶性プロピレン系重合体または共重合体か
らなる層であり、そして (C)層は密度0.910〜0.940g/ccの直鎖状低密度ポリエ
チレン100重量部と、メルトフローレート(以下、MFRと
記載する)が5.0g/10min以上の高密度ポリエチレン20〜
230重量部との混合体からなる層である共押出積層フィ
ルムに関する。
状低密度ポリエチレンは、通常遷移金属化合物と有機金
属化合物とを組み合わせた触媒を用いて比較的低い圧力
下で主成分のエチレンと炭素原子数4以上のα−オレフ
ィンとを共重合させて得られる実質的に線状のポリエチ
レンであり、従来から一般的に知られている酸素ラジカ
ルを開始剤として高圧下でラジカル反応によりエチレン
を重合して得られる長い枝分かれ分岐を有する低密度ポ
リエチレンとは異なるものであり、両者の分子構造、溶
融特性、結晶化特性および固体物性等も全く異なること
が知られている。
97〜80重量%、炭素原子数4以上のα−オレフィンが3
〜20重量%からなる共重合体であり、このうち本発明の
(A)層においてはその密度が0.910〜0.940g/ccの範囲
内であって、好ましくは0.930〜0.940g/ccの範囲内のも
のが用いられる。
ン100重量部に対しMFRが5.0g/10min以上の高密度ポリエ
チレンを20〜230重量部混合しているが、この高密度ポ
リエチレンとは通常チーグラー型触媒を用いる低圧法お
よび金属酸化物を触媒とする中圧法によって製造される
ものであるが、特に製造方法によって制限されるもので
はない。しかし、本発明においてはそのMFRが5.0g/10mi
n以上でなければならない。このMFRが5.0g/10min未満の
ものでは、本発明の目的の一つである得られた積層フィ
ルムの透明性が低下し、さらには該フィルムの平滑性を
も低下させることから好ましくない。
L−LDPEと記載する)と高密度ポリエチレン(以下、HD
PEと記載する)とは限定された範囲のものを用いるのが
好ましい。即ち、L−LDPEとしては炭素原子数4〜8の
α−オレフィンを5〜15重量%含有する密度0.910〜0.9
40g/cc、好ましくは0.930〜0.940g/ccの範囲で、MFR0.5
〜10g/10min、好ましくは0.8〜2.0g/10minの範囲のエチ
レン・α−オレフィン共重合体であり、HDPEは密度0.95
0g/cc以上、好ましくは0.950〜0.970g/cc、MFR5.0〜15.
0g/10minであり、かつL−LDPEとHDPEの混合体の密度が
0.940g/cc以上とすることが望ましく、またHDPEのL−L
DPEへの混合量は上記したようにL−LDPE100重量部に対
してHDPEが20〜230重量部の範囲でなければならない。
この混合量が20重量部未満ではフィルム加工時の開口性
が劣り、経時でのブロッキング性に問題を生じ、230重
量部を越えるとフィルムの引裂強さおよび透明性が著し
く低下し好ましくない。上記範囲のうち50〜100重量部
の範囲で混合すると積層フィルムにおいてバランス良く
向上した諸特性が得られ、本発明の特徴が最大限に発揮
され特に好ましい。
ることが、積層フィルムの開口性、耐ブロッキング性を
高める点、さらには(B)層および(A)層の樹脂の特
長を十分活かし欠点を解消する点において最も重要な要
素である。
合体または共重合体は、プロピレン単独またはプロピレ
ンを主成分とし、これとエチレンもしくは炭素原子数4
以上のα−オレフィンとの共重合体であり、例えば結晶
性ポリプロピレン、結晶性エチレン・プロピレンランダ
ム共重合体、結晶性プロピレン・ブテン−1共重合体、
結晶性プロピレン・エチレン・ブテン−1三元共重合体
等が一般によく知られている。これらは例えばチーグラ
ー・ナッタ系等の公知のα−オレフィンの立体規則性触
媒を用いてスラリー法、溶液法、気相法またはそれらの
併用法等の公知の方法で単独重合または共重合させるこ
とによって得ることができる。
ものであるが、本発明においては、低温強度改良を
(A)層におけるL−LDPEおよび(C)層においてHDPE
との混合体として用いられているL−LDPEにより可能と
していることから、(B)層にはポリプロピレン中最も
透明性が良好な結晶性プロピレン重合体を用いることが
特に望ましい。
PEとを混合してなる組成物、(A)層に用いるL−LDPE
および(B)層に用いる結晶性プロピレン共重合体には
従来からポリオレフィン系フィルムの添加剤として常用
されているフェノール系、リン系等の熱安定剤、酸化防
止剤、脂肪酸アミド類を主体としたスリップ剤、シリ
カ、ゼオライト等のブロッキング防止剤、グリセライド
アミン誘導体等の界面活性剤を主体とした帯電防止剤、
防曇剤、紫外線吸収剤、着色剤等を本発明の目的を損な
わない範囲で任意に添加するすることができる。
HDPEとを混合する方法および(A)層や(B)層に用い
るL−LDPEまたは結晶性プロピレン重合体もしくは共重
合体と前記の各種添加剤とを配合する方法は、これらが
均一に分散、混合する方法であればいずれでも良く、具
体的には例えばリボンブレンダー、ヘンシルミキサー、
バンバリーミキサー等でよく混合して均一に分散させる
方法、さらにそれらの混合物を押出機、混練ロール等を
用いて溶融混練した後、冷却、切断してペレット状の組
成物として用いる方法に従っても良い。
面に(B)層、(C)層をそれぞれ積層したフィルム
は、(A)、(B)、(C)層の各々に1台の押出機を
用いて、これらから各層の材料を溶融押出し、共押出多
層サーキュラーダイ等の公知の方法により溶融状態で積
層、ブローした後、エアーリングで徐冷、サイジングリ
ングで水冷して得る共押出積層水冷インフレーション法
によって得ることができる。
いずれかの層を2層以上積層させたフィルム、例えば (B)/(A)/(B)/(A)/(C)、 (B)/(A)/(A)/(C) のごとく4層以上のものも本発明は当然包含するもので
ある。
各層の厚さを任意に選択することができ、全厚さ30μ以
下でその一層が2〜3μの超薄層を有するフィルムを得
ることも容易である。また、(C)層をチューブ内面と
して成形し、全厚さ15μ以下になった場合でも開口性、
耐ブロッキング性の点において非常に優れた性能を発揮
するものである。
層の厚さが全厚さの30〜60%、(C)層の厚さが10〜30
%の範囲になるようにするのが好ましい。
く、15〜50μが特に望ましい。
の材料を溶融押出し、三層サーキュラーダイを用いて溶
融状態で積層した後、押出された積層体をエアーにより
ブローし、エアーリングで徐冷し、その後直接水冷方式
のサイジングリングで急冷してチューブ状のフィルムと
し得るが、このサイジングでの水温は20〜30℃とするこ
とが好ましい。この温度が低すぎた場合(20℃未満)は
フィルムのカール、巻きじわ等の問題を生じ、逆に高す
ぎた場合(30℃を越えた場合)は、透明不良の問題を生
じる。
えば印刷、製袋等の2次加工工程を経て、目的とする用
途に使用される。
よび基準で行った。
位:g/cc) (2)メルトフローレート(MFR):JIS K 7210に準拠
し、結晶性ポリプロピレン重合体および共重合体は試験
条件14(230℃,2.16kg)、ポリエチレン類は試験条件4
(190℃,2.16kg)で測定した。
の値が小さい程透明性が良いことを意味する。
切り口を親指と人指し指で軽く摩擦させた時の開口の度
合いを表す。
0cm2の荷重をかけ50℃で24時間エージングした後2枚の
フィルムを平面状態で剥離するのに要した荷重(g)で
表す。
に準拠する。(単位:kg/cm) (7)衝撃強度:ASTM D 1709−Aに準拠する。(単位:
F50g) (8)引裂荷重:JIS K 6781に準拠して常温(23℃)、
−5℃、−15℃の各条件下で測定した。(単位:g) (9)落袋強度:ヒートシーラーにより幅15cm、長さ15
cmのサイズに製袋した袋にポリエチレン系ペレットを10
0g充填しトップシールした。この袋を−10℃の恒温室に
24時間放置した後、同室内で高さ1.0mより10袋落下させ
た場合の破袋した袋の数で表す。
/cm2) 〔実施例〕 以下に本発明の実施例および比較例を示し、本発明を
さらに詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定す
るものではない。
用に口径40mmの計3台の押出機およびこれに連結した三
層サーキュラーダイを用いて、(A)層が中央の芯層
に、(B)層がチューブ外面層に、そして(C)層がチ
ューブ内面層になるように組み合わせて、(B)/
(A)/(C)=1.7:2.3:1.0の構成で溶融押出し、水
冷インフレーション法(サイジングリング水温:23℃)
により全厚さ15μの共押出フィルムを得た。
として行った。
の記載中、開口性の評価は以下のように示した:◎非常
に良好、○良好、△劣る、×非常に劣る。また、この表
の下欄に(A),(B),(C)各層に使用した樹脂の
内容を併記した。
よびエチレン・プロピレンランダム共重合体で(A),
(B),(C)層を構成するフィルムは直鎖状低密度ポ
リエチレンを(A)層とするフィルムと比較して低温強
度が著しく劣り、また引裂強さも劣っている。
とするフィルムは(A)層のみの場合に比べ大幅に低温
強度が向上し、また他のフィルム物性においても優れた
結果となっていた。しかしながら、開口性および耐ブロ
ッキング性が悪く実用上問題となるものであった。
度、MFRの異なる種々の高密度ポリエチレンを用い試験
した結果、開口性は優れていたが、透明性の点で結晶性
プロピレン単独重合体による三層フィルム(比較例1)
のレベルのものは得られず、またエチレン・プロピレン
ランダム共重合体によるフィルムより劣っていた。
った。
層に直鎖状低密度ポリエチレン、(B)層に結晶性プロ
ピレン単独重合体、そして(C)層に直鎖状低密度ポリ
エチレン100重量部と、MFR12.0g/10min,密度0.953g/cc
の高密度ポリエチレン11〜230重量部混合したものを用
い試験した。その結果、(C)層の高密度ポリエチレン
の混合量が11重量部では開口性に若干問題があったが、
これ以上の混合量としたものでは全て開口性が良好であ
り、透明性もエチレン・プロピレンランダム共重合体に
よる三層フィルム(比較例2)より優れており、結晶性
プロピレン単独重合体による三層フィルム(比較例1)
と同レベルのものを得ることができた。さらに、これら
実施例1〜5のフィルムは低温強度、引裂強さおよび耐
ブロッキング性も優れており、実用上なんら問題のない
ものであった。
ィルムは、開口性、透明性、耐ブロッキング性は勿論、
低温強度、引裂強さにも優れ、製袋適性も良好という種
々の優れた特性を有しており、この特性を活用し、従来
ポリプロピレン系フィルムで実用上問題を生じていた耐
寒性を必要とする種々の包装用途に幅広く活用すること
ができる。
Claims (6)
- 【請求項1】共押出法によって(A)層の両面に(B)
層、(C)層が積層された複合フィルムであって、 (A)層は直鎖状低密度ポリエチレンからなる層であ
り、 (B)層は結晶性プロピレン重合体または共重合体から
なる層であり、そして (C)層は密度0.910〜0.940g/ccの直鎖状低密度ポリエ
チレン100重量部と、メルトフローレート(MFR)が5.0g
/10min以上の高密度ポリエチレン20〜230重量部との混
合体からなる層である共押出積層フィルム。 - 【請求項2】(B)層/(A)層/(C)層の順に積層
され、(A)層および(B)層の各々の厚さが複合フィ
ルムの全厚さの30〜60%であり、 (C)層の厚さが10〜30%である請求項1記載の共押出
積層フィルム。 - 【請求項3】(C)層に用いる直鎖状低密度ポリエチレ
ンが炭素原子数4〜8のα−オレフィンを5〜15重量%
含有する密度0.910〜0.940g/cc、MFR0.5〜10g/10minの
エチレン・α−オレフィン共重合体であり、高密度ポリ
エチレンが密度0.950g/cc以上、MFR5.0〜15.0g/10minで
あり、かつ直鎖状低密度ポリエチレンと高密度ポリエチ
レンとの混合体の密度が0.940g/cc以上である請求項1
記載の共押出積層フィルム。 - 【請求項4】請求項3記載のエチレン・α−オレフィン
共重合体を(A)層に用いてなる請求項1記載の共押出
積層フィルム。 - 【請求項5】(B)層に用いる結晶性プロピレン重合体
または共重合体が、MFR1.0〜15.0g/10minで、プロピレ
ン成分を95重量%以上含有する請求項1記載の共押出積
層フィルム。 - 【請求項6】水冷インフレーション法で製造し、かつ
(C)層がチューブ内面層となる請求項1記載の共押出
積層フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1322428A JP2582650B2 (ja) | 1989-12-12 | 1989-12-12 | 共押出積層水冷インフレーションフィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1322428A JP2582650B2 (ja) | 1989-12-12 | 1989-12-12 | 共押出積層水冷インフレーションフィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03182348A JPH03182348A (ja) | 1991-08-08 |
JP2582650B2 true JP2582650B2 (ja) | 1997-02-19 |
Family
ID=18143559
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1322428A Expired - Lifetime JP2582650B2 (ja) | 1989-12-12 | 1989-12-12 | 共押出積層水冷インフレーションフィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2582650B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002069213A (ja) * | 2000-09-01 | 2002-03-08 | Toyobo Co Ltd | ポリオレフィン系樹脂フィルム及び積層包装材料 |
Families Citing this family (3)
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---|---|---|---|---|
EP0703070A1 (en) * | 1994-09-21 | 1996-03-27 | Showa Denko Kabushikikaisha | Transparent multi-layer polyolefin film and process for producing the same |
KR20010074153A (ko) * | 2001-04-02 | 2001-08-04 | 임지택 | 주택 바닥 방음 방진재 |
JP6175425B2 (ja) * | 2012-03-23 | 2017-08-02 | 第一三共株式会社 | Ptp又はブリスターパック用積層体及びptp又はブリスターパック |
-
1989
- 1989-12-12 JP JP1322428A patent/JP2582650B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2002069213A (ja) * | 2000-09-01 | 2002-03-08 | Toyobo Co Ltd | ポリオレフィン系樹脂フィルム及び積層包装材料 |
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JPH03182348A (ja) | 1991-08-08 |
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