JP2582421B2 - 人工臓器プライミング用小型炭酸ガス供給装置 - Google Patents

人工臓器プライミング用小型炭酸ガス供給装置

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JP2582421B2 JP63289606A JP28960688A JP2582421B2 JP 2582421 B2 JP2582421 B2 JP 2582421B2 JP 63289606 A JP63289606 A JP 63289606A JP 28960688 A JP28960688 A JP 28960688A JP 2582421 B2 JP2582421 B2 JP 2582421B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、人工臓器を使用するに先立って行なわれる
プライミング操作において、生理食塩水で人工臓器内部
および付属血液回路内の気泡を迅速且つ完全に除去する
ために用いられる人工臓器プライミング用小型炭酸ガス
供給装置に関する。
[従来の技術] 人工腎臓、血漿交換器、人工肺等の人工臓器を使用す
る際、人工臓器モジュール内の中空糸中あるいは中空糸
外側への血液導入をスムースに行い、且つ中空糸内の洗
浄および気泡除去を目的として、使用前に生理食塩液等
で中空糸内部を充填する操作、いわゆるプライミング操
作が行なわれているが、生理食塩液の回路に空気が存在
しているため、中空糸内部に空気が残存したり、中空糸
内部の気泡除去に時間を要するという問題があった。
この解決策として、炭酸ガスが生理食塩液に対して溶
解度が高いという性質を利用し、例えば、人工肺のプラ
イミングの際、中空糸の中に予め炭酸ガスを注入してお
くと生理食塩液との交換も順調に行われ、しかも中空糸
の中に気泡を残すことなくプライミングができるという
ことで、人工肺のプライミングでは実用されている。
この場合、プライミング用炭酸ガスの送入方法として
は、従来、大型の炭酸ガスボンベを使用し、該ボンベよ
り炭酸ガスを人工臓器に導入する方法(特開昭51−4627
0号)や人工臓器内に予め炭酸ガスを封入して密封した
もの(特開昭51−64795号)、或いは人工臓器内に化学
物質を充填し化学反応によって炭酸ガスを発生させる方
法等が行なわれている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記従来の方法にあっては、大型の炭
酸ガスボンベを使用する方法では、大型の炭酸ガスボン
ベの用意されていない場所においてはプライミングを行
うことができず、特に、救急車の中などで緊急にプライ
ミングを必要とする際には、炭酸ガスボンベがないと即
座に対応できず、患者の生死に係わってくるという問題
があった。また、大型ボンベを用いた場合には、測定装
置がないと、血液回路中に充填された炭酸ガスの量は正
確に把握できず、しかも、大型ボンベでは設置場所を要
すること、大型のため取り扱いが不便であり、操作の時
間がかかる点、また、高圧のため危険であり、更に使い
捨てができない等の問題があった。
また、人工臓器内にあらかじめ炭酸ガスを充填したも
のでは、炭酸ガスが存在するのは人工臓器内のみであ
り、しかも使用するまでの長時間の間に外部へ拡散して
空気と置換してしまうという問題があった。更に、人工
臓器内で化学物質により炭酸ガスを発生する方法では、
化学反応を起こさせるために人工臓器の中に水溶液を注
入しなければならず、また化学反応によるため炭酸ガス
の発生までに時間を要し、更に反応生成物の毒性の面か
ら使用できる化学物質は限られるという問題点があっ
た。
[課題を解決するための手段] そこで、本発明者は、上記従来の問題点に鑑み種々検
討を行なった結果、人工臓器のプライミング用に小型の
炭酸ガスカートリッジを用い予め必要な量だけ炭酸ガス
を充填しておき、それを人工臓器の使用直前に使用する
ことにより、前記従来の問題点を解決できることを見出
し本発明に至った。
即ち、本発明によれば、人工臓器または人工臓器に付
属する血液回路内に存在するガスを炭酸ガスに置換する
ための人工臓器プライミング用炭酸ガスカートリッジを
内蔵したハンディタイプの小型炭酸ガス供給装置であっ
て、前記血液回路側と前記炭酸ガスカートリッジとの間
に、ガスを減圧し菌を遮断するためフィルター、該カー
トリッジの封板に孔を開けるためのピン及び該カートリ
ッジをピンに押し当てるための押し当て機構を設けた、
人工臓器プライミング用小型炭酸ガス供給装置が提供さ
れる。
本装置は、片手内に充分収容し得るハンディタイプの
ものであるため持ち運びに便利であり、またカートリッ
ジ式のものであるから迅速にCO2導入が可能である。
また、本装置は低圧でもあるため、約60℃の温度とな
っても危険はなく、エチレンオキサイドガス等による滅
菌処理も行うことができる。
[実施例] 以下、本発明を図示の実施例に基いて更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではな
い。
第1図は本発明の小型炭酸ガス供給装置の一実施例を
示す断面図である。
人工臓器(人工腎臓、血漿交換器等)を含む血液回路
中にCO2ガスを供給し、プライミングを容易にするため
の小型炭酸ガス供給装置11は、円筒状収容ケース12によ
って保持されそれに内蔵された小型炭酸ガスカートリッ
ジ13から主として構成されている。この小型炭酸ガスカ
ートリッジ13を送りねじ14によりピン15に押し当て、封
板16をピン15にて開けてCO2ガスを放出させる。放出さ
れたCO2ガスは減圧用フィルター17及び菌遮断用フィル
ター18を通って減圧された後、炭酸ガス導出路19を介し
て外部に排出され、炭酸ガス導出路19に接続されている
血液回路(各種人工臓器を含む。)内に導入される。
このように行なうことにより、CO2ガスは水に対する
溶解性が高いため、生理食塩液を充填する際に気泡が残
らずに充填することができるのである。
本発明の装置11において、フィルターは炭酸ガスの減
圧(第1の目的)と外部からの菌の浸入を遮断する(第
2の目的)ために設置されており、上記実施例では2つ
のフィルター17および18を設けたが、いずれか一方のみ
を用いることもできる。これらフィルターの材質として
はポリプロピレン、セルロース系、テフロン、ポリアク
リロニトリル(PAN)、ポリカーボネート、ポリエチレ
ン、ナイロン等が挙げられる。菌を遮断するためのフィ
ルターは、多孔質でそのポアサイズは0.05〜10μm、好
ましくは0.1〜5μmである。また、減圧を行うための
フィルターの構造としては、ファイバー状、スポンジ
状、多孔質フィルム等が挙げられ、円筒状多孔質膜が好
ましい。さらにこのフィルターは上記した菌遮断用フィ
ルターのポアサイズかそれ以上のポアサイズを持つもの
で、好ましくは1〜10μmである。
また、小型炭酸ガスカートリッジ13をピン15の方へ送
り出してピン15に押し当てる装置としては、第1図に示
すように、送りねじ14を回転させることによってカート
リッジ13を送り出す方法のほか、てこの原理を利用する
ことによってカートリッジ13を送り出す方法、バネを利
用し留め金をバネから外しバネの反発力によってカート
リッジ13を送り出す方法等が考えられる。又、炭酸ガス
カートリッジ13から放出された炭酸ガスを外部に導出さ
せる炭酸ガス導出路19は、カートリッジ13内の炭酸ガス
が吹き出した際、人工臓器や血液回路内に、局部的なま
た急激な圧力上昇の及ぼさないようにする役割を持つ。
本発明に使用される小型炭酸ガスカートリッジ13の容
量は数百cc〜数リッター()が適当であり、この容器
にあらかじめ必要な量だけの炭酸ガスを、0.1〜5kg・cm
程度の低圧で充填しておき、人工臓器または血液回路に
使用する直前に放出する。
更に、炭酸ガスを血液回路中に導入する場合は、血液
回路中にあるコック付きポートを介して、或いは、本炭
酸ガス供給装置に針を装着し、混注ポートを介して、プ
ライミング開始直前に導入する。
次に、本発明の更に具体的な実施結果を説明する。
(実施例) 人工臓器として人工肺を用いた血液循環回路に対し
て、第1図に示す本発明の小型炭酸ガス供給装置を使用
して炭酸ガスの充填を行った。まず、ピン押し当て装置
の送りねじ14を回転させることによって容量:600cc、充
填圧力:3kg・cmの小型炭酸ガスカートリッジ(日本炭酸
瓦斯(株)製)13をピン15の方に送り出しピン15に押し
当てることにより、ピン15によって封板16の中心部に孔
を開け、小型炭酸ガスカートリッジ13中の炭酸ガスを放
出させた。この炭酸ガスは口径:0.3mmのピン15を通り、
次いで、ポアサイズ:5μmのセルロース系円筒状フィル
ター(減圧用)17およびポアサイズ:0.2μmのフィルム
状フィルター18(菌遮断用)を通って無菌状態で炭酸ガ
ス導出路19を経由し、逆止弁(図示せず)を経て人工肺
及びそれに付属した血液回路内に清浄炭酸ガスを充填し
た。
充填に要した時間は僅か2〜3秒であり、この充填操
作は容易且つ順調に行うことができた。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の小型炭酸ガス供給装置
によれば、用いるカートリッジが小型でしかも低圧のた
め取扱いは容易で、短時間に操作が可能である。さら
に、人工臓器に適合した一定量の炭酸ガスが充填されて
いるので、人工臓器への充填を正確に行うことができ
る。
また、炭酸ガスを発生するために化学薬品を使用しな
いので安全であり、更にプライミングの直前に炭酸ガス
を人工臓器等に導入するので、あらかじめ導入して保存
する方法のように炭酸ガスが漏出する恐れがない等、優
れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の小型炭酸ガス供給装置の一実施例を示
す断面図である。 11……小型炭酸ガス供給装置、12……収容ケース、13…
…小型炭酸ガスカートリッジ、14……送りねじ、15……
ピン、16……封板、17……減圧用フィルター、18……菌
遮断用フィルター、19……炭酸ガス導出路。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】人工臓器または人工臓器に付属する血液回
    路内に存在するガスを炭酸ガスに置換するための人工臓
    器プライミング用炭酸ガスカートリッジを内蔵した小型
    炭酸ガス供給装置であって、前記血液回路側と前記炭酸
    ガスカートリッジとの間に、ガスを減圧し菌を遮断する
    ためフィルター、該カートリッジの封板に孔を開けるた
    めのピン及び該カートリッジをピンに押し当てるための
    押し当て機構を設けたことを特徴とする人工臓器プライ
    ミング用小型炭酸ガス供給装置。
JP63289606A 1988-11-16 1988-11-16 人工臓器プライミング用小型炭酸ガス供給装置 Expired - Lifetime JP2582421B2 (ja)

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