JP2580586B2 - カラ−陰極線管の製造方法 - Google Patents

カラ−陰極線管の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、超高精細度を有するカラー陰極線管の製造
方法に関するものであり、特に外面露光法におけるブラ
ック・マトリクス(カーボン・ストライプ)の剥離を防
止する方法を提供するものである。
〔発明の概要〕
本発明は、高精細度を有するカラー陰極線管をいわゆ
る外面露光法により製造するに際し、 ブラック・マトリクスが形成されてなるガラスパネル
上に予め透明な感光性材料よりなる保護膜を設けておく
ことにより、 以後の工程で行われる反転現像により上記ブラック・
マトリクスがガラスパネルから剥離することを防止しよ
うとするものである。
〔従来の技術〕 カラー陰極線管上で高度に細密な画像を再現するため
には、その蛍光面上において非常に微細な3原色の各蛍
光体ストライプ(またはドット)が光吸収層であるブラ
ック・マトリクスにより明瞭に分離されている必要があ
る。この分離が完全に行われていないと、各種の誤差を
考慮に入れた実働状態において電子ビームのミスランデ
ィングの影響を強く受けるようになり、画質を大きく劣
化させる原因となる。したがって、各蛍光体のエッジが
明瞭で、充填密度の高い蛍光面の形成方法が従来各方面
で研究されている。
このカラー陰極線管の製造方法として従来最も一般的
なものに、いわゆる内面露光法がある。これは、所定の
パターンのカーボン・ストライプを形成したガラスバネ
ル上に、顔料を光硬化性樹脂中に分散させた蛍光体スラ
リーを塗布し、光学用マスクを介して露光し、現像処理
によって非硬化部を除去する工程を赤、緑、青の3色に
ついて順次繰り返すことによりストライプ型のカラー蛍
光面を製造するものである。
また、本願出願人は上記内面露光法の改良法として、
先に特開昭60−119055号公報において、反転能力に差の
ある2種類の感光剤を用いることにより隣接ストライプ
間の混色を防止する、いわゆる外面露光法を開示した。
これは、カーボン・ストライプをあらかじめ形成したガ
ラス・パネル上に、過酸化水素水で反転され得る第1の
感光剤を用いたレジスト層と、過酸化水素で反転されな
い第2の感光剤に蛍光色素を分散させた蛍光体スラリー
を所定の順序にしたがって塗布・硬化させることにより
蛍光面を作成するものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、上記内面露光法においては、光学用マスク
を介して蛍光体ストライプを焼付けているために、ハー
フシャドウ等の問題があり、また蛍光体ストライプとガ
ラスパネル内面との接着力の不足により細密で明瞭なエ
ッジを有する蛍光体ストライプを形成することが難しか
った。
本願出願人による外面露光法では、従来の内面露光法
における上述の欠点は克服されたが、いまひとつ解決で
きない問題点があった。すなわち、外面露光法において
は1色の蛍光体ストライプを形成する際に必ず1回の反
転現像を経るので、3色の蛍光体ストライプを完成する
までには3回の反転現像を経ることになる。しかしこの
ようにしてレジスト層の反転、すなわち溶解除去が繰返
し行われると、これに伴って上記レジスト層に接触して
いるカーボン・ストライプが少しずつ侵食されて剥離に
至り、製造された蛍光面の品質を劣化させるというもの
である。
そこで本発明は、上述の工程を大幅に変更することな
くカーボン・ストライプの剥離を防止することのできる
方法を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕 本発明はかかる事情にかんがみてなされたものであ
り、パネル内面に所定のパターンの光吸収層を形成した
後、パネル内面の全面を覆う如く感光性樹脂を塗布し全
面露光を施して保護膜を形成した後、レジスト層を第1
色目の蛍光体スラリーが塗布される部分以外の他部分に
形成する工程と、上記レジスト層の反転剤では除去不可
能な感光剤に第1色目の蛍光体を混入してなる蛍光体ス
ラリーを塗布する工程と、パネル外面より全面露光し、
現像処理する工程と、上記反転剤を用いて上記他部分の
蛍光体を上記レジスト層とともに除去する工程とを有し
て第1色目の蛍光体ストライプを形成し、同様に少なく
とも第2色目の蛍光体ストライプを形成することを特徴
とするカラー陰極線管の製造方法を提供するものであ
る。
〔作用〕
カーボン・ストライプが形成されてなるガラスパネル
上に、過酸化水素水によって解重合を起こさない、透明
な光硬化樹脂の保護膜を予め設けると、カーボン・スト
ライプはこの保護膜により以後の工程で形成される蛍光
体ストライプやレジスト層から完全に隔絶され、反転工
程が繰返されても剥離を起こす虞れがない。またこの保
護膜は光学的に透明なので、以後の工程で行われる光照
射を妨害しない。
〔実施例〕
以下、本発明を適用した実施例について説明する。
カラー陰極線管の螢光面を作成するに際しては、まず
カーボン・ストライプを形成する。すなわち、たとえば
20インチのカラー陰極線管用ガラスパネルの内面にポリ
ビニルアルコール(PVA)感光液を塗布し乾燥させる。
これに対してアパーチャー・グリルを光学用マスクとし
て紫外線露光を行う。この時、紫外線光源を赤、緑、青
の各光源の偏向中心にそれぞれ正しく位置させ、3回露
光を繰り返す。このパネルを現像処理することにより、
各色の蛍光体ストライプに対応する位置に多数のストラ
イプ状のレジスト層が形成される。次いで、このパネル
上の全面にカーボン・スラリーを塗布し乾燥させた後に
反転現像を行うと、レジスト上のカーボンはレジスト層
と共に剥がれ落ち、第2図(A)に示すようにガラスパ
ネル(1)上に約1μm厚の多数のカーボン・ストライ
プ(2)が形成される。
次に、この上に保護膜を形成する。ここで使用される
材料には、ブラック・マトリクスおよびガラスパネルに
対する接着性が良いこと、濡れ性が良く上記ブラック・
マトリクスおよびガラスパネル上に薄く均一に塗布でき
ること、光学的に透明であること、十分な塗膜強度を有
すること、および反転現像剤に対して溶解されないこと
等の性質が要求される。本発明の目的を達成し得る材料
として、ポリビニルピロリドン−アジド系感光性樹脂、
ジアゾ系感光性樹脂、およびポリビニルアルコール−ス
チルバゾリウム系感光性樹脂(以下、PVA−SBQ感光性樹
脂と略す。)等をあげることができるが、これらの中で
も、特にPVA−SBQ感光性樹脂は上述の条件を良く満足す
るものとして好適である。
PVA−SBQ感光性樹脂の構造式は次のように表される。
これは、ポリビニルアルコールの主鎖に対してアセター
ル構造を介してスチルバゾリウム基の側鎖が結合されて
いる感光性樹脂である。その側鎖は第四アンモニウム塩
であるため、樹脂自身が実用上十分な親水性を帯びてい
る。
このPVA−SBQ感光性樹脂を1.5%濃度の水溶液とし、
カーボン・ストライプ(2)を形成したガラスパネル
(1)の全面に塗布する。この時のPVA−SBQ感光性樹脂
の濃度は0.5〜3%であれば良く、上記範囲よりも低い
と塗膜が薄くなりがちであるために塗布ムラが発生し易
く、カーボン・ストライプの剥離を完全に防止すること
ができない。また上記範囲よりも高いと塗膜が厚くなり
がちであるために光架橋が十分に起こりにくくなり、塗
膜強度が不足して反転時に塗膜自身が剥がれ易くなる。
次にPVA−SBQ感光性樹脂を光照射により重合させる。
これにあたり、この感光性樹脂の光化学的性質を知る必
要がある。第1図にPVA−SBQ感光性樹脂の吸収曲線
(I)および光重合の感度曲線(II)を示す。この図か
ら、PVA−SBQ感光性樹脂は340nmに吸収極大を有し、そ
の感度は紫外領域から可視領域の450nm付近まで良好で
あることがわかる。したがって、たとえば超高圧水銀ラ
ンプ、UV蛍光ランプ、あるいは目に安全な青色ランプ等
が使用可能である。露光量は、十分な塗膜強度を確保す
るために50mJ以上とする。この露光によりPVA−SBQ感光
性樹脂は光重合を起こして硬化し、第2図(B)に示す
ように上記パネル(1)上に0.2〜1μm厚の保護膜
(3)が形成される。なお、本実施例ではUV蛍光ランプ
を使用した。
次に第2図(C)に示すように、上記保護膜(3)の
上に重クロム酸アンモニウムを少量含むポリビニルアル
コール(PVA−ADC)感光液(4)を塗布し、乾燥させ
る。
次に第2図(D)に示すように、通常の露光方法によ
りアパーチャー・グリル(5)を光学用マスクとして露
光を行う。たとえば緑色の蛍光体ストライプを形成する
場合には、赤と青のストライプに相当する位置をアパー
チャー・グリル(5)で覆い、図中R(赤色)方向およ
びB(青色)方向から露光を行えば良い。このようにし
て露光された部分は光重合により硬化して、PVA−ADCレ
ジスト層(4a)を形成し、露光されなかった部分は水洗
除去されて第2図(E)に示す状態となる。上記PVA−A
DCレジスト層(4a)は、過酸化水素により反転(溶解除
去)することができる。
次に第2図(F)に示すように、PVA−SBQ感光性樹脂
に緑色蛍光体を分散させた緑色蛍光体スラリー(6)を
パネル内面全体に塗布し、パネルの外面から全面露光を
行う。
このPVA−SBQ感光性樹脂は過酸化水素水により反転さ
れない。このパネルを現像すると、光重合によって硬化
した緑色螢光体ストライプ(6a)および緑色螢光体硬化
部(6b)を残して緑色蛍光体スラリーが除去され、第2
図(G)に示す状態となる。ここで、PVA−ADCレジスト
層(4a)上にも緑色螢光体硬化部(6b)が残るが、これ
はPVA−ADCレジスト層(4a)が透明であるために照射光
がこの部分まで到達して光重合を起こすためである。
次に、この状態のものを反転剤である過酸化水素水に
浸漬して反転現像を行うと、PVA−ADCレジスト層(4a)
が溶解除去され、これにともなって上記レジスト層(4
a)の上に形成された緑色螢光体硬化部(6b)も除去さ
れる。この結果、第2図(H)に示すように、厚さ15〜
20μmの緑色螢光体ストライプ(6a)のみが残る。
他の色についても第2図(C)から(H)に至る手順
を同様に繰り返すと、最終的には第2図(I)に示すよ
うに赤色蛍光体ストライプ(7)および青色蛍光体スト
ライプ(8)が形成され、蛍光面が完成される。
本実施例によると、カーボン・ストライプの剥離は認
められず、良好な蛍光面が得られる。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなように、本発明では蛍光体ス
トライプを形成する前にPVA−SBQ感光性樹脂を予め塗布
しているので、従来法において問題となっていたカーボ
ン・ストライプの剥離が効果的に抑えられ、良好な画質
を有するカラー陰極線管を製造することが可能である。
また、保護膜とその上に形成される蛍光体ストライプと
が同じ材料で作成されるため、蛍光体ストライプのパネ
ルへの接着性も向上し、従来の製造工程を大幅に変更す
ることなく信頼性の高い蛍光面を有するカラー陰極線管
を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図はの保護膜の材料であるPVA−SBQ感光性樹脂の吸
収および感度を示すスペクトル図、第2図(A)ないし
(I)は本発明方法を適用したカラー陰極線管の製造方
法の一例を工程順にしたがって示す断面図であり、第2
図(A)はカーボン・ストライプの形成工程、第2図
(B)は保護膜の形成工程、第2図(C)はPVA−ADC感
光液の塗布工程、第2図(D)は内面露光工程、第2図
(E)はPVA−ADCレジスト層の形成工程、第2図(F)
は緑色螢光体スラリーの塗布および外面露光工程、第2
図(G)は現像工程、第2図(H)は反転現像による緑
色螢光体ストライプの形成工程、第2図(I)は緑色、
赤色、青色の螢光体ストライプが形成された状態をそれ
ぞれ示すものである。 1……ガラスパネル 2……カーボン・ストライプ 3……保護膜 4a……PVA−ADCレジスト層 6……緑色蛍光体スラリー

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パネル内面に所定パターンの光吸収層を形
    成し、パネル内面の全面を覆う如く感光性樹脂を塗布し
    全面露光を施して保護膜を形成した後、 レジスト層を第1色目の蛍光体スラリーが塗布される部
    分以外の他部分に形成する工程と、上記レジスト層の反
    転剤では除去不可能な感光剤に第1色目の蛍光体を混入
    してなる蛍光体スラリーを塗布する工程と、パネル外面
    より全面露光し、現像処理する工程と、上記反転剤を用
    いて上記他部分の蛍光体を上記レジスト層とともに除去
    する工程とを有して第1色目の蛍光体ストライプを形成
    し、 同様に少なくとも第2色目の蛍光体ストライプを形成す
    ることを特徴とするカラー陰極線管の製造方法。
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