JP2580176B2 - 駆動輪スリップ制御装置 - Google Patents

駆動輪スリップ制御装置

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JP2580176B2 JP62145920A JP14592087A JP2580176B2 JP 2580176 B2 JP2580176 B2 JP 2580176B2 JP 62145920 A JP62145920 A JP 62145920A JP 14592087 A JP14592087 A JP 14592087A JP 2580176 B2 JP2580176 B2 JP 2580176B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は車輌の駆動輪スリップ制御装置に関し、特に
駆動輪が過剰スリップ状態へ移行する際に適切なスリッ
プ制御を行うようにした制御装置に関する。
(従来技術及びその問題点) 一般に、車輌の発進時あるいは加速時に駆動輪の駆動
力がタイヤと路面との摩擦力[タイヤと路面との摩擦係
数×車輌重量の駆動輪への荷重(車輌荷重)]を超える
と、駆動輪はスリップするが、このスリップの程度を表
わすスリップ率λは駆動輪の周方向速度をVw、車輌の速
度をVとすると、次式(1)により求められる。
λ=(Vw−V)/Vw …(1) このスリップ率λによりタイヤと路面との摩擦力(即
ち、駆動輪の駆動力の限界値)は第8図に示すように変
化し、所定値λでこの摩擦力は最大になる。また、こ
のタイヤと路面との摩擦力は車輌の進行方向(縦方向)
の摩擦力であるが、横方向の摩擦力(横力)は同図中点
線で示すようにスリップ率λが大きいほど低下する。
この点に基づいて、タイヤと路面との縦方向の摩擦力
を最大として車輌の駆動効率を最大にし、また、タイヤ
と路面との横方向の摩擦力の低下を極力抑制して車輌の
横すべりを防止するためのスリップ防止装置が、例えば
特公昭52−35837号公報に開示されている。
しかしながら、該従来の装置は駆動輪の過剰スリップ
を防止するための車輌速度の制御が、点火装置のオン−
オフ切換あるいはエンジンへの燃料の供給及び遮断の切
換によってエンジンの駆動トルクを変化させることによ
り行われるように構成されているので、駆動輪が通常の
スリップ状態から過剰スリップ状態へ移行した直後にお
いてエンジンの駆動力が常に急減することにより乗員に
ショックが体感されるため、運転性が良くないという問
題点を有していた。
また、エンジンの燃焼特性はエンジン回転数に応じて
変化するが、上記従来装置ではこれに応じた制御は行わ
れないので、駆動輪が過剰スリップ状態へ移行する際に
エンジンの燃焼特性を適切に制御することができず、未
燃焼燃料が排出されることにより、排気系で燃料が燃焼
されるアフタファイアが発生し易いとともに、排気系に
排気浄化装置として三元触媒を備える場合には、該三元
触媒の温度が上昇するために、その性能が劣化する。
更に、エンジンの駆動力の低下量は、エンジンの負荷
の大きさによって異なるので、上記従来技術のようにエ
ンジンの負荷と無関係にスリップ制御を行う場合、混合
気の空燃比を高負荷運転状態に適合するように設定した
ときには低負荷運転状態において過剰制御となる一方、
低負荷運転状態に適合するように設定したときには高負
荷運転状態において制御不足となり、したがってエンジ
ン負荷の全域にわたり駆動輪のスリップ率を所望の値に
応答性良く制御することができず、良好な運転性を確保
できないという問題点がある。
(発明の目的) 本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになさ
れたものであり、駆動輪が過剰スリップ状態へ移行した
時にアフタファイアの発生と、排気系の排気浄化装置の
温度上昇に起因する排気浄化装置の性能劣化とを防止で
きるとともに、エンジンの運転性を向上させることがで
きる駆動輪スリップ制御装置を提供することを目的とす
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明は上記目的を達成するため、排気系に排気浄化
装置を設けた多気筒エンジンの運転状態に応じて該エン
ジンに燃料を供給する燃料供給手段と、車輌の駆動輪の
過剰スリップ状態を検知する過剰スリップ検知手段と、
該過剰スリップ検知手段が過剰スリップ状態を検知した
ときにエンジンの出力を低減するエンジン出力低減手段
とを備えた駆動輪スリップ制御装置において、前記エン
ジン出力低減手段は前記過剰スリップ状態の検知時に第
1の所定期間、前記車輌の駆動輪のスリップ状態に応じ
て前記燃料供給手段から所定数の気筒への燃料供給を停
止する燃料供給停止手段と、前記過剰スリップ状態検知
時の前記燃料供給の停止終了後の第2の所定期間、前記
燃料供給手段から供給する燃料を減量する燃料減量手段
とから成るものである。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第1図は本発明の駆動輪スリップ制御装置を具備した
車輌1を示し、該車輌1は例えば前輪駆動式のもので、
前輪11、12は内燃エンジン31によって駆動される駆動輪
となっており、後輪13、14は従動輪となっている。
(尚、以下の説明により明らかなように本発明は後輪駆
動式の車輌にも全く同様に適用することができる。)前
記駆動輪11、12及び従動輪13、14には駆動輪速度センサ
21、22及び従動輪速度センサ23、24が夫々備えられてお
り、前記駆動輪速度センサ21、22により左右の駆動輪速
度ωFL、ωFRが検出され、また、前記従動輪速度センサ
23、24により左右の従動輪速度ωRL、ωRRが検出され、
これらの検出信号は電子コントロールユニット(以下
「ECU」という)35に入力される。
該ECU35は、本実施例においては、過剰スリップ検知
手段、燃料供給停止手段及び燃料減量手段を構成するも
のである。
ECU35は後述するように左右の駆動輪速度ωFL、ωFR
のうちのいずれか一方を選択して前記式(1)における
駆動輪速度Vwとし、上記選択した駆動輪速度ωFL又はω
FRと同側の従動輪速度ωRL又はωRRを前記式(1)にお
ける車速Vとして、次式(2)によりスリップ率λを求
める。
更に、ECU35はスリップ率λの変化量(微分値)を
求める。尚、この変化量はディジタル制御においては
演算処理サイクル毎の差分で代用する。
また、エンジン31と駆動輪11、12との間に介装された
変速機16には図示しないセンサが備えられており、該セ
ンサからの変速機信号はECU35に入力される。ECU35は後
述する燃料供給制御装置によってエンジン31の出力を制
御することにより駆動輪11、12のトルクを制御して該駆
動輪11、12のスリップ状態を制御する。
第2図は前記燃料供給制御装置の全体構成図であり、
前記内燃エンジン31は例えば6気筒を備え、該エンジン
31には吸気管32が接続されている。吸気管32の途中には
スロットルボディ33が設けられ、内部にスロットル弁3
3′が設けられている。スロットル弁33′にはスロット
ル弁開度(θTH)センサ34が連設されてスロットル弁3
3′の弁開度を電気的信号に変換し前記ECU35に送るよう
にされている。
吸気管32のエンジン31及びスロットルボディ33間には
各気筒毎に、各気筒の吸気弁(図示せず)の少し上流側
に夫々燃料噴射弁(燃料供給手段)36が設けられてい
る。燃料噴射弁36は図示しない燃料ポンプに接続されて
いると共にECU35に電気的に接続されており、ECU35から
の信号によって燃料噴射弁36の開弁時間が制御される。
一方、前記スロットルボディ33のスロットル弁33′の
下流側には管37を介して吸気管内絶対圧(PBA)センサ3
8が設けられており、この絶対圧センサ38によって電気
的信号に変換された絶対圧信号は前記ECU35に送られ
る。
エンジン31本体にはエンジン冷却水温センサ(以下
「Twセンサ」という)39が設けられ、Twセンサ39はサー
ミスタ等からなり、冷却水が充満したエンジン気筒周壁
内に挿着されて、その検出水温信号をECU35に供給す
る。エンジン回転数センサ(以下「Neセンサ」という)
40がエンジンの図示しないカム軸周囲又はクランク軸周
囲に取り付けられており、Neセンサ40はエンジンのクラ
ンク軸120゜回転毎に所定のクランク角度位置で、即ち
各気筒の吸気行程開始時の上死点(TDC)に関し所定ク
ランク角度前のクランク角度位置でクランク角度位置信
号パルス(以下「TDC信号パルス」という)を出力する
ものであり、このTDC信号パルスはECU35に送られる。
エンジン31の排気管41には三元触媒42が配置され、排
気ガス中のHC、CO、NOx成分の浄化作用を行う。排気管4
1の三元触媒42より上流側にはO2センサ43が挿着され、
このセンサ43は排気中の酸素濃度を検出し、O2濃度信号
をECU35に供給する。
更に、ECU35には前記駆動輪速度センサ21、22、前記
従動輪速度センサ23、24、並びに他のパラメータセンサ
44、例えば変速機16のギヤ比を検出する前記センサが接
続されており、これら各種センサはその検出値信号をEC
U35に供給する。
ECU35は各種センサ(前記駆動輪速度センサ21、22、
前記従動輪速度センサ23、24及び前記変速機16のセンサ
を含む)からの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所
定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に
変換する等の機能を有する入力回路35a、中央演算処理
回路(以下「CPU」という)35b、CPU35bで実行される各
種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶手段35
c、及び前記燃料噴射弁36に駆動信号を供給する出力回
路35d等から構成される。
CPU35bは前記TDC信号パルスが入力する毎に入力回路3
5aを介して供給された前述の各種センサからのエンジン
パラメータ信号に応じ、次式に基づいて燃料噴射弁36の
燃料噴射時間TOUTを算出する。
TOUT=Ti×(KTW・KPA・KSTB・KWOT・ KLS・KAST・KPB・KO2)+(TACC+TIDL) …(3) ここに、Tiは燃料噴射弁36の噴射時間の基準値であ
り、エンジン回転数Neと吸気管内絶対圧PBAに応じて決
定される。
KTWはエンジン31の暖機時に早期暖機のための適正空
燃比の確保等を目的として適用される水温増量係数であ
り、エンジン水温Twに応じて決定される。KPAは大気圧
に応じて求められる大気圧補正係数である、KSTBはスリ
ップ制御用補正係数であり、後述するようにスリップ率
λ及びスリップ率変化量に応じて決定される。
KWOTはスロットル弁全開時の混合気のリッチ化係数、
KLSはスロットル弁全閉時の混合気のリーン化係数、K
ASTは始動後燃料増量係数である。また、KPBは吸気管内
絶対圧PBAの変化率に応じて決定される予測負荷補正係
数、KO2はO2センサ43の出力に応じて求められるO2フィ
ードバック補正係数である。
TACC、TIDLは補正変数であり、前者はエンジン31の加
速時に適用される加速増量変数、後者はエンジン31のア
イドル域において適用されるアイドル補正変数である。
CPU35bは、上述のようにして求めた燃料噴射時間TOUT
に基づいてエンジン31の吸入行程が始まる気筒に対応す
る燃料噴射弁36を開弁させる駆動信号を、出力回路35d
を介して燃料噴射弁36に供給する。
第3図は第2図のCPU35bの要部の構成を示す論理回路
図であり、同図中の平均車速演算回路49は検出従動輪速
度ωRL、ωRRの平均値(ωRL+ωRR)/2を求め、平均車
速判別回路50は該平均値(ωRL+ωRR)/2を表す出力信
号と、極低車速度であるか否かの判別値VMIN(例えば5k
m/h)を表す基準信号とを比較し、後者が大きいと判定
した場合、即ち平均車速が判別値VMINより低い場合には
高レベル信号(以下「H信号」という)を、その他の場
合には低レベル信号(以下「L信号」という)を駆動輪
速度選択回路51に出力する。
該駆動輪速度選択回路51は検出駆動輪速度ωFL、ωFR
のうち、前記平均車速判別回路50からの出力信号がH信
号のとき、即ち車速が極低速域にあるときには値の小さ
い方、即ち低い車輪速を示している方を選択し(ローセ
レクト方式)、出力信号がL信号のとき、即ち車速が極
低速域にないときには値の大きい方、即ち高い車輪速を
示している方を選択して(ハイセレクト方式)、該選択
された検出駆動輪速度ωFL又はωFRを前記式(1)の駆
動輪速度Vwとする。従動輪速度選択回路52は、検出従動
輪速度ωRL、ωRRのうち、前記駆動輪速度選択回路51で
選択された検出駆動輪速度ωFL又はωFRと同側のものを
選択し、該選択された検出従動輪速取ωRL又はωRRを前
記式(1)の車速Vとする。
これらの選択回路51及び52からの出力信号により、ス
リップ率演算回路53は前記式(2)に基づいてスリップ
率λを求める。スリップ率演算回路53からの出力信号に
より微分回路54はスリップ率の微分値を求める。ま
た、設定回路60は、変速機16に備えられたセンサから出
力されるギヤ比を表す信号により、それぞれギヤ比に基
づき、前記スリップ率の第1の敷居値λに応じた補正
係数k1及び補正変数C1、前記スリップ率の第2の敷居値
λに応じた補正係数k2及び補正変数C2並びに第1のス
リップ率変化量基準値を決定する補正係数r1及び補
正変数F1、第2のスリップ率変化量基準値に応じた
補正係数r2及び補正変数F2を設定する。なお、該補正係
数r1、r2及び補正変数F1、F2は、燃料供給制御装置への
作動指令時から実際に該装置が作動するまでの制御遅れ
に応じて補正されて設定される。
第1の速度演算回路61は従動輪速度選択回路52からの
車速Vを表す出力信号と、設定回路60からのスリップ率
の第1の敷居値λに応じた補正係数k1及び補正変数C1
を表す出力信号とにより次式(4)に基づいて第1の所
定速度値VR1を求める。
VR1=k1V+C1 …(4) このときのスリップ率の第1の敷居値λとの関係
は、λ=(VR1−V)/VR1となる。更に、第1の速度
演算回路61は該演算した第1の所定速度値VR1と第1の
速度下限値VC1とを比較し、両者のうちの大きい方の値
を、スリップ率の第1の敷居値λに対応する第1の基
準速度値とする。
また、第2の速度演算回路62は前記第1の速度演算回
路61と同様に従動輪速度選択回路52からの出力信号と、
設定回路60からのスリップ率の第2の敷居値λに応じ
た補正係数k2及び補正変数C2を表す出力信号とにより次
式(5)に基づいて第2の所定速度値VR2を求め、該第
2の所定速度値VCR2及び第2の速度下限値VC2のうち、
大なる値をスリップ率の第2の敷居値λに対応する第
2の基準速度値とする。
VR2=k2V+C2 …(5) 第1の補正回路65は従動輪速度選択回路52からの出力
信号と、設定回路60からギヤ比毎に定められた第1のス
リップ率変化速度基準値に応じた補正係数r1及び補
正変数F1を表す出力信号とにより、次式(6)に基づ
き、第1のスリップ率変化量基準値を車速Vに応じ
て補正する。 =r1V+F1 …(6) また、第2の補正回路66も、前記第1の補正回路65と
同様に、従動輪速度選択回路52からの出力信号と、設定
回路60からのギヤ比毎に定められた第2のスリップ率変
化速度基準値に応じた補正係数r2及び補正変数F2
表す出力信号とにより、次式(7)に基づき、第2のス
リップ率変化量基準値を車速Vに応じて補正する。 =r2V+F2 …(7) 以上述べたスリップ率の第1,第2の敷居値λ1
び第1,第2のスリップ率変化量基準値1,は、いず
れのギヤ比においてもλ<λ及びの関係
が満たされるように設定されている。
過大判定回路55は微分回路54からの出力信号と、第
2の補正回路66からの第2の基準値を表す出力信号
とを比較してスリップ率の微分値が第2の基準値
より大きいと判定したとき、OR回路56を介してH信号を
出力し、その他の場合、L信号を出力する。
第1の予測制御判定回路58は微分回路54からの出力信
号と、第1の補正回路66からの第1の基準値を表す
出力信号とを比較してスリップ率の微分値が第1の基
準値より大きいと判定したとき、AND回路59へH信
号を出力し、その他の場合、L信号を出力する。第2の
予測制御判定回路63は駆動輪速度選択回路51からの出力
信号と、第1の速度演算回路61からの出力信号とを比較
して駆動輪速度Vwがスリップ率の第1の敷居値λに対
応する第1の基準速度値より大きいと判定したとき、AN
D回路59へH信号を出力し、その他の場合、L信号を出
力する。AND回路59は第1及び第2の予測制御判定回路5
8、63の両方からH信号が入力されたとき、OR回路56を
介してH信号を出力する。
過大λ判定回路64は駆動輪速度選択回路51からの出力
信号と、第2の速度速度演算回路62からの出力信号とを
比較して、駆動輪速度Vwがスリップ率の第2の敷居値λ
に対応する第2の基準速度値より大きいと判定したと
き、OR回路56を介してH信号を出力する。
以上のように、(i)(過大スリップ率速
度防止)、(i)>かつλ>λ(予測制御)ま
たは(iii)λ>λ(過大スリップ率防止)のいずれ
かの条件が成立した場合には、OR回路56を介してH信号
が出力され、この場合後述するような燃料カット(以下
「フューエルカット」という)を実行し、駆動輪11、12
のトルクを減少させることにより、スリップ率λ又はス
リップ率変化速度を減少させ、スリップ率λを所望の
値に制御する。以下、OR回路56から出力されるH信号を
フューエルカット信号(FCM信号)と呼び(第5図の
(b)(1))、該フューエルカット信号がオン状態と
なる車輌1の運転領域をフューエルカット領域という
(第5図の(c)(1))。
前記第1及び第2の予測制御判定回路58及び63の信号
はOR回路67にも出力され、該OR回路67は第1及び第2の
予測制御判定回路58及び63の出力信号の少なくとも一方
がH信号であるとき、即ち>あるいはλ>λ
いずれかの条件が成立するときにH信号を出力する。以
下、該OR回路67から出力される信号をスタンバイ信号
(STB信号)と呼び(第5図の(b)(2))、該スタ
ンバイ信号がオン状態にあり、且つ前記フューエルカッ
ト信号がオフ状態にある車輌1の運転領域をスタンバイ
領域(第5図の(c)(2))、該スタンバイ領域及び
前記フューエルカット領域以外の車輌1の運転領域をオ
フスタンバイ領域という(第5図の(c)(3))。
スタンバイ領域は、該領域の設定条件(>又は
λ>λ)及びフューエルカット領域の設定条件(>
且つλ>λ等)から明らかなように、車輌1が通
常の運転領域であるオフスタンバイ領域からフューエル
カットを行うべきフューエルカット領域へ移行する直前
の、又はこれと逆に移行する直後の運転領域に相当する
(第5図の(a)(c))。このような運転領域を設定
するのは、該領域において後述するようにエンジン31に
供給する燃料量を適切に制御し、通常の運転領域とフュ
ーエルカット領域との間を通過する際の混合気の空燃比
及びエンジン31の駆動力等を適切に変化させることによ
り三元触媒42の温度上昇及びアフタファイアの発生を防
止するとともに、運転シヨックの防止等により運転性の
向上を図るためである。
また、第1の車速判別回路68は車速設定回路52からの
車速Vを表す出力信号と、第1の所定値V1(例えば12km
/h)を表す基準信号とを比較し、後者が前者より大なる
とき、即ちV<V1が成立するときに第1の車速判別信号
(FCM1信号)を出力する。更に、第2の車速判別回路69
も第1の車速判別回路68と同様に、車速Vを表す信号
と、前記第1の所定値V1より大なる第2の所定値V2(例
えば20km/h)を表す基準信号とを比較し、V<V2が成立
するときに第2の車速判別信号(FCM2信号)を出力す
る。
第4図は、第3図の論理回路により出力される前記フ
ューエルカット信号及びスタンバイ信号等の発生状態及
び他の運転パラメータに応じてスリップ制御を行うため
の制御プログラムであり、本プログラムはTDC信号パル
スの発生毎に実行される。
まず、ステップ401においてスタンバイ信号が入力さ
れているか否かを判別する。この答が否定(No)、即ち
スタンバイ信号が入力されておらず、したがって、車輌
1がオフスタンバイ領域にあるときには、ステップ402
に進み、第2のフラグFLGFCT2が0に等しいか否かを判
別する。この第2のフラグFLGFCT2は、スタンバイ信号
が入力されたとき、即ち車輌1がスタンバイ領域又はフ
ューエルカット領域にあるときに、後述のステップ419
において1にセットされ、車輌1がオフスタンバイ領域
にあるときには、後述のステップ416において0にセッ
トされるものである。
前記ステップ402の答が否定(No)、即ち第2のフラ
グFLGFCT2が1に等しく、したがって今回ループがオフ
スタンバイ領域に移行した直後のループであるときに
は、ステップ403に進む。このステップ403ではダウンカ
ウンタから成るタイマT.TRCを所定時間tTRC(例えば2.0
秒)にセットし、これをスタートさせ、次いでステップ
404ではエンジン回転数Neが所定回数NeTRC(例えば2,30
0rpm)より大きいか否かを判別する。このステップ404
の答が肯定(Yes)、即ちNe>NeTRCが成立するときに
は、ステップ405に進み、第3の制御変更CUFCT3に第5
の所定回数N4(例えば2)をセットし、次いでステップ
406においてスリップ制御用補正係数KSTBをオフスタン
バイ領域用のリーン化所定値XSTB2(例えば0.8)に設定
する(第5図の(d)(3)の区間A)。次にステップ
406aに進み、水温増量係数KTWを所定値KTWOに設定した
後、後述のステップ411に進む。
第7図はエンジン水温TWに応じて該所定値KTWOを設定
するKTWOテーブルの一例を示したものである。即ち、同
図によれば該所定値KTWOはエンジン水温Twの3個の境界
線TW1〜TW2(例えばそれぞれ−10℃、+20℃及び+50
℃)との関係から、エンジン水温TwがTW1未満又はTW3
上のときには第1の所定値KTWO1(例えば1.00)に、TW1
以上TW2未満のときには第2の所定値KTWO2(例えば0.9
0)に、TW2以上TW3未満のときには第3の所定値K
TWO3(例えば0.95)に設定される。
前記ステップ404の答が否定(No)、即ちエンジン回
転数Ne≦所定回転数NeTRCが成立するときには、ステッ
プ407に進み、前記第3の制御変数CUFCT3に値0をセッ
トし、次いでステップ408においてスリップ制御用補正
変数KSTBを1.0にセットし(第5図の(d)(3)の区
間B)、前記ステップ411に進む。
前記ステップ402の答が肯定(Yes)、即ち前記第2の
フラグFLGFCT2が0に等しく、したがって前回ループ及
び今回ループが共にオフスタンバイ領域にあるときに
は、ステップ409に進み、前記第3の制御変数CUFCT3
0に等しいか否かを判別する。このステップ409の答が
否定(No)、即ち第3の制御変数CUFCT3が0に等しくな
いときには、ステップ410において該第3のカウント数C
UFCT3から値1を減算し、次いで前記ステップ406を実行
し、ステップ411に進む。前記ステップ409の答が肯定
(Yes)、即ち第3の制御変数CUFCT3が0に等しいとき
には前記ステップ408を実行し、ステップ411に進む。
以上のように、車輌がオフスタンバイ領域に移行した
直後のエンジン回転数Neが大きい場合には、スリップ制
御用補正係数KSTBは、該領域への移行後、第5の所定回
数N4に等しいTDC数回だけ、これ以降の通常の値より小
さな値に設定される(第5図の(d)(1))。これに
より、フューエルカット解除初期においてエンジン31に
供給される混合気がリーン化され、エンジン31の出力が
該領域における通常の出力と比較して低減されるので、
駆動トルクの急激な回復によるショックを防止できる。
また、エンジン回転数Neが小さい場合に上記リーン化を
行わないのは、エンジンストールを防止するためであ
る。
なお、上記リーン化に代えて点火時期を遅らせる制御
を行ってもよい。点火時期の遅れによってエンジン31の
出力が低減されるので、この場合にも上記リーン化と同
様の効果を得ることができる。
次に、ステップ411に進み、前記ステップ403でセット
したタイマT.TRCのカウント値T.TRCが0に等しいか否か
を判別する。この答が否定(No)、即ちカウント値T.TR
Cが0に等しくなく、したがってオフスタンバイ領域に
移行してから所定時間tTRCが経過していないときには、
ステップ412、ステップ413において第3のフラグFLG
FCT3、第4のフラグFLGFCT4をそれぞれ1にセットし、
後述のステップ416に進む。前記ステップ411の答が肯定
(Yes)、即ちタイマ値T.TRCが0に等しく、したがって
オフスタンバイ領域に移行してから所定時間tTRCが経過
したときには、ステップ414、ステップ415において、前
記第3のフラグFLGFCT3、第4のフラグFLGFCT4をそれぞ
れ0にセット、次いでステップ416に進む。
ステップ416では前記第2のフラグFLGFCT2を0にセッ
トし、次いでステップ417で第1のフラグFLGFCT1を0に
セットした後、ステップ418に進み、前記ステップ406あ
るいはステップ408で設定したスリップ制御用補正係数K
STBを前記式(3)に適用して燃料噴射時間TOUTを算出
し、該噴射時間TOUTに基づいて燃料噴射を行い、本プロ
グラムを終了する。
前記ステップ401の答が肯定(Yes)、即ちスタンバイ
信号が入力されており、したがって車輌がスタンバイ領
域又はフューエルカット領域のいずれかの領域にあると
きには、ステップ419に進み、前記第2のフラグFLGFCT2
を1にセットする。
次いでステップ420に進み、スタンバイ領域用の所定
値XSTB、フューエルカット領域用の所定値XTRC、第1及
び第2の所定回数N0、N1を、それぞれ記憶手段35cに記
憶されたXSTBテーブル、XTRCテーブル、N0テーブル及び
N1テーブルから、エンジン回転数Neに応じて選択する。
第6図(a)〜(d)はこれらのテーブルの一例を示
したもので、同図によれば各テーブルはエンジン回転数
Neにより5つの領域に区分され、各領域に対してXSTB
XTRC、N0及びN1がそれぞれ一定値として設定されてい
る。即ち、エンジン回転数Neの境界値として小さいもの
から順にNe1、Ne2、Ne3及びNe4(例えばそれぞれ2,30
0、2,800、3,300及び4,800rpm)を設定し、エンジン回
転数NeがNe1未満、Ne1以上Ne2未満、Ne2以上Ne3未満、N
e3以上Ne4未満及びNe4以上の領域をそれぞれ、領域I、
II、III、IV及びVとする。スタンバイ領域用の所定値X
STBは領域I〜Vに対し、領域I側から、即ち低回転域
側から順に、XSTB1、XSTB2、XSTB3、XSTB4及びX
STB5(例えばそれぞれ0.50、0.60、0.80、0.80及び1.7
0)が設定されている。フューエルカット領域用の所定
値XTRC、第1及び第2の所定回数N0、N1も同様に、領域
I〜Vに対し、領域I側から順に、XTRCについてはいず
れも1より小さい値のXTRC1〜XTRC5(例えばそれぞれ0.
35、0.40、0.40、0.45及び0)が、N0についてはN01〜N
05(例えばそれぞれ1、2、3、4及び255)が、N1
ついてはN11〜N15(例えばそれぞれ1、2、3、3及び
0)が設定されている。
なお、これらのテーブルはエンジン特性及び三元触媒
42の種類等に応じて種々の態様に設定することができ
る。
次に、ステップ421に進み、フューエルカット信号が
入力されているか否かを判別する。この答が否定(N
o)、即ちフューエルカット信号が入力されておらず、
したがって車輌がスタンバイ領域にあるときには、ステ
ップ422に進み、前記第3のフラグFLGFCT3が0に等しい
か否かを判別する。このステップ422の答が肯定(Ye
s)、即ち第3のフラグFLGFCT3が0に等しいときにはス
テップ423で前記第4のフラグFLGFCT4を0にセットし、
否定(No)、即ち第3のフラグFLGFCT3が1に等しいと
きにはステップ424で第4のフラグFLGFCT4を1にセット
した後、ステップ425に進む。
このステップ425では、前記式(3)に適用される補
正係数のうちの大気圧補正係数KPAを除く全ての補正係
数を1.0に設定し、且つ全ての補正変数を0に設定する
ことにより、これらの補正係数及び補正変数をキャンセ
ルする。これにより、これらの補正係数及び補正変数の
変動が燃料噴射時間TOUTに与える影響を排除できるの
で、後述のステップ426及び427でスリップ制御用補正係
数KSTB及び水温増量係数KTWが改めて設定されることと
も相まって、エンジン31に供給される混合気を最適な所
望の空燃比にすることができる。したがって、未燃焼燃
料の排出量が低減されることにより、アフタファイアの
発生と、三元触媒42の温度上昇に起因する該三元触媒42
の性能劣化とを防止することができる。また、大気圧補
正係数KPAをキャンセルしないのは、大気圧の変化に伴
ってエンジン31に供給される混合気の空燃比が変化する
のを防止するためにこの係数を掛けているので、スタン
バイ領域においてもオフスタンバイ領域と同様にこの係
数を適用することが必要だからである。
次にステップ426に進み、スリップ制御用補正係数K
STBを、前記ステップ420において設定したスタンバイ領
域用の所定値XSTBに設定する(第5図の(d)(3)の
区間C)。通常の運転領域であるオフスタンバイ領域と
後述するようなフューエルカットが行われるフューエル
カット領域との間の移行時にはエンジン31に供給される
混合気の空燃比が変動しやすく、これに伴ってエンジン
31の燃焼特性が不安定となり、未燃焼燃料が大量に排出
されることにより、三元触媒42の温度上昇及びアフタフ
ァイアが発生しやすい。また、エンジン31の燃料特性は
エンジン回転数Neによって異なる。更に、エンジン31の
低回転数域においては車体のサスペンション関係の共振
現象が生ずることにより、運転性が悪化しやすい。した
がって、前述したように、エンジン回転数Neに応じて設
定されたスタンバイ領域用の所定値XSTBをスリップ制御
用補正係数とすることにより、エンジン回転数の全域に
わたり、三元触媒の温度上昇及びアフタファイアの発生
を防止できるとともに、運転性の向上を図ることができ
る。
なお、スタンバイ領域用の所定値XSTBを高回転側(第
6図の領域V)において1.0以上として混合気のリッチ
化を行っているが、これは混合気のリッチ化によって増
加する未燃焼成分の気化熱により、三元触媒42の冷却作
用が促進され、その温度上昇を防止できるためである。
この高回転側のスタンバイ領域用の所定値XSTBを、三元
触媒42の種類等に応じて1.0未満の値に設定することに
より、逆に混合気をリーン化するようにしてもよい。
次にステップ427に進み、前記ステップ425でキャンセ
ルされた水温増量係数KTWを前述の所定値KTWOに設定す
る。これにより、スタンバイ領域においてエンジン31に
供給する混合気をリーン化できるので、前記ステップ42
5で補正係数及び変数をキャンセルしたのと相まって、
アフタファイアの発生と、三元触媒42の温度上昇に起因
する該三元触媒42の性能劣化とをエンジン31の低温時に
おいても防止することができる。
次いで前記ステップ417及び前記ステップ418を実行
し、前記ステップ426及び427でそれぞれ設定したスリッ
プ制御用補正係数KSTB及び水温増量係数KTWを適用して
燃料噴射を行い本プログラムを終了する。
前記ステップ421の答が肯定(Yes)、即ちフューエル
カット信号が入力しており、したがって車輌がフューエ
ルカット領域にあるときには、ステップ428に進み、前
記第4のフラグFLGFCT4が0に等しいか否かを判別す
る。このステップ428の答が肯定(Yes)、即ち第4のフ
ラグFLGFCT4が0に等しいときには、ステップ429で前記
第3のフラグFLGFCT3を1にセットした後、ステップ430
で前記第1のフラグFLGFCT1を1にセットし、更にステ
ップ431を実行してフューエルカットを行い(第5図の
(d)(3)の区間D)、本プログラムを終了する。
前記第4のフラグFLGFCT4が値0にセットされるの
は、前述のステップ411及びステップ415等から明らかな
ように、タイマT.TRCのタイマ値T.TRCが0に等しいとき
である。即ち、車輌がオフスタンバイ領域に所定時間t
TRC以上留まっていた後にフューエルカット領域に移行
した場合には、ステップ428の答が肯定(Yes)となり、
フューエルカットが続行される。車輌がフューエルカッ
ト領域に移行した場合、それ以前のオフスタンバイ領域
に留まっていた時間が長いときは、直前のスリップ率が
0もしくは0に近い極めて低い値からの加速時の過剰ス
リップであると推定され、スリップ率λの変動幅及び変
化速度が大きくなることが予想されるので、以上のよう
なフューエルカットを続行することにより、エンジン31
の駆動力を確実に低下させ、スリップ率λを所望の値に
速やかに収束させることができる。
なお、フューエルカットを続行する条件として、上記
と異なる条件を設定することも可能である。例えば、ス
ロットル弁33′が全閉状態から開状態になった場合ある
いはスロットル弁開度θTHの変化率が所定値を上回った
場合であって、駆動輪11,12のスリップ状態が過剰であ
ると判別されたときに、一定期間の間、フューエルカッ
トを続行してもよく、これにより上記と同様の効果を得
ることができる。
前記ステップ428の答が否定(No)、即ち第4のフラ
グFLGFCT4が1に等しいときには、ステップ432に進み、
前記第1のフラグFLGFCT1が0に等しいか否かを判別す
る。この第1のフラグFLGFCT1は前記ステップ417及びス
テップ430から明らかなように、フューエルカット領域
におけるフューエルカットの実行時に1にセットされ、
他の領域では0にセットされるものである。
前記ステップ432の答が肯定(Yes)、即ち第1のフラ
グFLGFCT1が0に等しく、したがって今回ループがフュ
ーエルカット領域に移行した直後のループであるときに
は、ステップ433に進み、FCM2信号が入力されているか
否か、即ち車輌の車速Vが第2の所定値V2より小さいか
否かを判別する。このステップ433の答が肯定(Yes)、
即ちFCM2信号が入力されており、したがってV<V2が成
立しているときには、ステップ434に進み、前記ステッ
プ420で選択した第2の所定回数N1に第4の所定回数N3
(例えば1)を加算し、次いでステップ435に進む。
このステップ435ではFCM1信号が入力されているか否
か、即ち車輌の車速Vが第1の所定値V1より小さいか否
かを判別する。この答が肯定(Yes)、即ちFCM1信号が
入力されており、したがってV<V1が成立しているとき
には、ステップ436に進み、前記ステップ420で選択した
第1の所定回数N0から第3の所定回数N2(例えば1)を
減算し、次いでステップ437に進む。
前記ステップ435の答が否定(No)、即ちFCM1信号が
入力されておらず、したがってV≧V1が成立していると
き、及び前記ステップ433の答が否定(No)、即ちFCM2
信号が入力されておらず、したがって、V≧V2が成立し
ているときには前記ステップ437に進む。即ちV<V1
成立するときには第1の所定回転数N0の減算補正及び第
2の所定回数N1の加算補正が、V1≦V<V2が成立すると
きには第2の所定回転数N1の加算補正のみがそれぞれ行
われ、V≧V2が成立するときには両所定回数に対する補
正は行われない。
前記ステップ437では、第1の制御変数CUFCT1に、前
記ステップ420で選択した、又は前記ステップ436でこれ
を補正した第1の所定回数N0をセットし、次いでステッ
プ438に進む。
前記ステップ432の答が否定(No)、即ち第1のフラ
グFLGFCT1が1に等しく、したがって今回ループがフュ
ーエルカット領域に移行した後、2回目以降のループで
あるときには、直接前記ステップ438に進む。即ち、上
述したステップ432〜437のルートは、フューエルカット
領域への移行直後に1回のみ実行される。
前記ステップ438では前記第1の制御変数CUFCT1が0
に等しいか否かを判別する。この答が否定(No)、即ち
CUFCT1が0でないときには、ステップ439に進み、第2
の制御変数CUFCT2に、前記ステップ420で選択した、又
は前記ステップ434でこれを補正した第2の所定回数N1
をセットする。次いでステップ440において前記第1の
制御変数CUFCT1から値1を減算し、更に前記ステップ43
0及びステップ431を実行して、フューエルカットを行い
(第5図の(d)(3)の区間E1)、本プログラムを終
了する。
前記ステップ438の答が肯定(Yes)、即ち第1の制御
変数CUFCT1が0に等しいときには、ステップ441に進
み、第2の制御変数CUFCT2が0に等しいか否かを判別す
る。このステップ441の答が否定(No)、即ちCUFCT2
0でないときにはステップ442に進み、この第2の制御
変数CUFCT2から値1を減算する。次いでステップ443に
進み、前記ステップ425と同様にすべての補正係数及び
補正変数をキャンセルする。次に、スリップ制御用補正
係数KSTBとして、前記ステップ420において選択したフ
ューエルカット領域用の所定値XTRCを設定し(第5図の
(d)(3)の区間E2)、ステップ445において水温増
量係数KTWを1.0に設定する。更に前記ステップ418を実
行し、これらの補正係数及び補正変数を前記式(3)に
適用して燃料噴射を行い、本プログラムを終了する。
前記ステップ441の答が肯定(Yes)、即ち第2の制御
変数CUFCT2が0に等しいときには、ステップ446に進
み、前記ステップ437と同様に第1の制御変数CUFCT1
第1の所定回数N0をセットし、次いで前記ステップ44
0、430及び431を実行し、フューエルカットを行い、本
プログラムを終了する。
以上のように、車輌がフューエルカット領域にある場
合でも、第4のフラグFLGFCT4が1に等しいときには、
フューエルカットを続行するのではなく、第1の所定回
数N0に等しいTDC回数のフューエルカットの実行と、第
2の所定回数N1に等しいTDC回数のフューエルカットの
解除とが交互に繰り返される(第5図の(d)(3)の
区間E)。第4のフラグFLGFCT4が1に設定されるの
は、ステップ411及び413などから明らかなように、車輌
がフューエルカット領域への移行前にオフスタンバイ領
域に留まっていた時間が所定時間tTRC未満の場合、又は
ステップ429、422及び424等から明らかなように、車輌
がフューエルカット領域からスタンバイ領域へ移行し、
オフスタンバイ領域へ移行することなく、再度フューエ
ルカット領域に復帰した場合である。即ち、スリップ制
御が比較的短い時間間隔で行われている場合であり、こ
のような場合には、スリップ率λの変動幅及び変化速度
が小さいので、前述のようにフューエルカットの実行と
解除とを、それぞれ所定のTDC数で行うことにより、エ
ンジン31の駆動トルクの急激な減少に起因する運転ショ
ックを防止し、運転性を高めることができる。
また、この場合、フューエルカット解除時にエンジン
31に供給される混合気の空燃比は、前記ステップ420に
おいてエンジン回転数Neに応じて設定されたフューエル
カット領域用の所定値XTRCにより設定されるので、スタ
ンバイ領域においてスリップ制御用補正係数KSTBとして
設定されるスタンバイ領域用の所定値XSTBを、エンジン
回転数Neに応じて設定したのと同様に、エンジン回転数
Neの全域にわたり、三元触媒42の温度上昇及びアフタフ
ァイアの発生を防止できるとともに、運転性の向上を図
ることができる。
更に、前述のようにフューエルカットの実行及び解除
を行うTDC数比を決定する第1の所定回数N0及び第2の
所定回数N1も、基本的にはそれぞれエンジン回転数Neに
応じて設定されるので、これによりスタンバイ領域用の
XSTB及びフューエルカット領域用の所定値XTRCをエンジ
ン回転数Neに応じて設定した前述の場合と同様の効果を
得ることができる。
なお、本実施例においては、前記第1及び第2の所定
回数N0及びN1をエンジン回転数Neに応じて設定している
が、これに限らず、検出された車輌のスリップ状態、例
えばスリップ率λ又はスリップ率変化量に応じて設定
してもよい。即ち、スリップ率λはスリップ率変化量
が大きいほど、エンジン31の駆動トルクをより大幅に減
少させることが必要であるので、スリップ率λ又はスリ
ップ率変化量に応じて第1の所定回数N0又は第2の所
定回数N1を設定することにより、車輌のスリップ状態を
直接反映させて混合気の空燃比を適切な値に制御するこ
とができる。したがって、エンジン31の駆動力を適正に
低下させることができることにより、スリップ率λ又は
スリップ率変化量を所望の値に速やかに収束させるこ
とができる。
更に、スタンバイ領域用の所定値XSTB、フューエルカ
ット領域用の所定値XTRC、第1の所定回数N0又は第2の
所定回数N1をエンジン回転数Neに応じて設定する代わり
に、あるいはこれとともにエンジン負荷、例えば吸気管
内絶対圧PBA又はスロットル弁開度θTHに応じて設定し
てもよい。即ち、スリップ制御によるエンジン31の駆動
力の低下量は、エンジン31の負荷の大きさによって異な
るため、混合気の空燃比を高負荷運転状態に適合するよ
うにした場合には低負荷運転状態において過剰制御とな
る一方、低負荷運転状態に適合するように設定した場合
には高負荷運転状態において制御不足となる。したがっ
て、前記所定値XSTB、XTRC、所定回数N0又はN1をエンジ
ン負荷に応じて設定することにより、エンジン31の負荷
全域にわたってスリップ制御のための空燃比制御を適切
に行うことができ、良好な運転性を確保することができ
る。この場合、エンジン回転数Ne及び吸気管内絶対圧P
BAの双方により前記所定値XSTB等を設定するときには、
該所定値XSTB等をエンジン回転数Ne及び吸気管内絶対圧
PBAによりマップ化することも勿論可能である。
この他、フューエルカットの実行及び解除の期間を種
々の態様で設定することができ、例えば第1の所定回数
N0及び第2の所定回数N1を従動輪側の車輪速度に応じて
設定してもよい。また、フューエルカットの実行及び解
除の期間の比を、前述のようなTDC数比とする代わり
に、エンジン31の運転状態に応じた時間比とすること、
あるいは制御装置を簡略化する場合等には固定値とする
ことも可能である。
(発明の効果) 以上詳述したように本発明は駆動輪スリップ制御装置
においてエンジン出力低減手段は過剰スリップ状態の検
知時に第1の所定期間、車輌の駆動輪のスリップ状態に
応じて燃料供給手段から所定数の気筒への燃料供給を停
止する燃料供給停止手段と、前記過剰スリップ状態検知
時の前記燃料供給の停止終了後の第2の所定期間、前記
燃料供給手段から供給する燃料を減量する燃料減量手段
とから成るものであるので、駆動輪が過剰スリップ状態
に移行したときにエンジンの駆動トルクの急激に起因す
る運転ショックを防止して、運転性を高めることができ
る。また、前記第1の所定時間と第2の所定時間との比
及び/又は燃料の減量値を、エンジン回転数に応じて設
定することにより、エンジン回転数の全域にわたってエ
ンジンの燃焼特性を安定させ、未燃焼燃料の排出量を確
実に低減できるので、アフタファイアの発生と、排気系
の排気浄化装置の温度上昇に起因する該排気浄化装置の
性能劣化とを防止することができる。更に、前記比及び
/又は燃料の減量値を吸気管内絶対圧に応じて設定する
ことにより、駆動輪のスリップ率をエンジン負荷の全域
にわたって所望の値に速やかに制御できるので、運転性
を更に向上させることができる。また、前記比を駆動輪
のスリップ率及び/又はスリップ率変化量に応じて設定
することにより、スリップ状態を直接反映させて駆動輪
のスリップ率所望の値に速やかに制御できるので、運転
性を高めることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の駆動輪スリップ制御装置を具備した車
輌の構成図、第2図は駆動輪のトルクを制御する燃料供
給制御装置の構成図、第3図はECU35の用部の論理回路
図、第4図はスリップ制御を行うための制御プログラム
のフローチャート、第5図はスリップ率またはスリップ
率変化量と第3図の論理回路図からの出力信号及びスリ
ップ制御との関係を示す図、第6図は第4、5図の制御
プログラムに適用される所定値及び所定回数のテーブル
を示す図、第7図は水温増量係数KTWの所定値KTWOのテ
ーブルを示す図、第8図はタイヤと路面との摩擦力のス
リップ率に対する特性図である。 1……車輌、11、12……駆動輪、21、22……駆動輪速度
センサ、23、24……従動輪速度センサ、31……エンジ
ン、35……電子コントロールユニット(ECU)、36……
燃料噴射弁、38……吸気管内絶対圧センサ、40……エン
ジン回転数センサ。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排気系に排気浄化装置を設けた多気筒エン
    ジンの運転状態に応じて該エンジンに燃料を供給する燃
    料供給手段と、車輌の駆動輪の過剰スリップ状態を検知
    する過剰スリップ検知手段と、該過剰スリップ検知手段
    が過剰スリップ状態を検知したときにエンジンの出力を
    低減するエンジン出力低減手段とを備えた駆動輪スリッ
    プ制御装置において、前記エンジン出力低減手段は前記
    過剰スリップ状態の検知時に第1の所定期間、前記車輌
    の駆動輪のスリップ状態に応じて前記燃料供給手段から
    所定数の気筒への燃料供給を停止する燃料供給停止手段
    と、前記過剰スリップ状態検知時の前記燃料供給の停止
    終了後の第2の所定期間、前記燃料供給手段から供給す
    る燃料を減量する燃料減量手段とから成ることを特徴と
    する駆動輪スリップ制御装置。
  2. 【請求項2】前記第1の所定期間と前記第2の所定期間
    との比は前記エンジンの運転状態に依存することを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の駆動輪スリップ制御
    装置。
  3. 【請求項3】前記エンジンの運転状態を表すパラメータ
    はエンジン回転数及び吸気管内絶対圧の少なくとも一方
    であることを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の駆
    動輪スリップ制御装置。
  4. 【請求項4】前記第1の所定期間と前記第2の所定期間
    との比は前記駆動輪のスリップ状態に依存することを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の駆動輪スリップ制
    御装置。
  5. 【請求項5】前記駆動輪のスリップ状態を表すパラメー
    タはスリップ率及びスリップ率変化量の少なくとも一方
    であることを特徴とする特許請求の範囲第4項記載の駆
    動輪スリップ制御装置。
  6. 【請求項6】前記燃料減量手段による燃料の減量値は前
    記エンジンの運転状態に依存することを特徴とする特許
    請求の範囲第1項記載の駆動輪スリップ制御装置。
  7. 【請求項7】前記エンジンの運転状態を表すパラメータ
    はエンジン回転数及び吸気管内絶対圧の少なくとも一方
    であることを特徴とする特許請求の範囲第6項記載の駆
    動輪スリップ制御装置。
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