JP2621088B2 - 内燃エンジンの空燃比フィードバック制御方法 - Google Patents

内燃エンジンの空燃比フィードバック制御方法

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JP2621088B2 JP24699588A JP24699588A JP2621088B2 JP 2621088 B2 JP2621088 B2 JP 2621088B2 JP 24699588 A JP24699588 A JP 24699588A JP 24699588 A JP24699588 A JP 24699588A JP 2621088 B2 JP2621088 B2 JP 2621088B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は内燃エンジンの空燃比フィードバック制御方
法に関し、特にエンジン運転状態が燃料供給停止状態か
らフィードバック制御運転領域に移行したときにおける
内燃エンジンの空燃比フィードバック制御方法に関す
る。
(従来の技術及び発明が解決しようとする課題) 従来、エンジンの空燃比フィードバック制御運転領域
における運転時に、当該エンジンの排気系に配置される
排気ガス濃度検出器の出力に応じて変化する係数を用い
て前記エンジンに供給する混合気の空燃比を制御する内
燃エンジンの空燃比フィードバック制御方法が公知であ
る(特開昭58−160528号公報)。
該従来の制御方法によれば、エンジンがフィードバッ
ク制御運転領域又はフィードバック制御運転領域以外の
いずれかの領域において運転されているかを検出すると
共に、フィードバック制御運転領域での運転時に得られ
た前記係数の平均値を算出し、運転状態が前記フィード
バック制御運転領域以外の運転領域から前記フィードバ
ック制御運転領域に移行したときには前記係数として前
記係数の平均値に所定値を乗算又は加算した値を用いて
前記移行先の領域におけるフィードバック制御を開始す
ることにより、フィードバック制御の開始時における前
記係数の初期値の適正化を図ることができる。
しかしながら、上記従来の制御方法は、前記係数の平
均値に乗算又は加算される所定値が、エンジン水温にか
かわらず設定されるため、エンジン水温の変化に応じた
制御を行う上で改善の余地を残していた。例えば、エン
ジン水温が低いときには、燃料の粘性が高水温時よりも
高いために、吸気管の内壁に付着する燃料の量は低水温
時に比しより多いものとなり、付着量の程度はエンジン
水温に左右される。一方、フィードバック制御領域への
移行時の前のエンジンの運転状態如何によっても吸気管
内壁の付着燃料の量は影響を受け、フューエルカット復
帰後は燃料が付着し易い。
しかして、上記のようにエンジン水温にかかわらず一
律に前記所定値を設定するときは、特にフューエルカッ
ト状態からの移行時に、空燃比のリーン化を適切に補正
できず、良好な排気ガス特性を確保するのが困難であ
り、低水温時に当該移行が行われた場合には、過不足の
ない初期値補正ができない結果、問題はエンジン運転性
にも波及する。
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたもので、
運転状態が燃料供給停止状態からフィードバック制御運
転領域に移行したときに当該移行先の領域における空燃
比を、エンジン水温に対して適切に設定し、もって良好
な排気ガス特性が得られるようにした内燃エンジンの空
燃比フィードバック制御方法を提供することを目的とす
る。
(課題を解決するための手段) 本発明は上記目的を達成するため、内燃エンジンの空
燃比フィードバック制御運転領域における運転時に、当
該エンジンの排気系に配置される排気ガス濃度検出器の
出力に応じて変化する係数を用いて前記エンジンに供給
する混合気の空燃比フィードバック制御する内燃エンジ
ンの空燃比フィードバック制御方法において、エンジン
の燃料供給停止状態を検出したときは前記フィードバッ
ク制御を停止すると共に、前記フィードバック制御運転
領域での運転時に得られた前記係数の平均値を算出し、
運転状態が前記燃料供給停止状態から前記フィードバッ
ク制御運転領域に移行したときには前記係数として前記
係数の平均値をエンジン水温に応じた所定値で補正した
値を初期値として用いて前記移行先の領域におけるフィ
ードバック制御を開始するようにしたものである。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を、図面を参照して説明す
る。
第1図は本発明の方法を適用した燃料供給制御装置の
全体構成図であり、符号1は例えば4気筒4サイクルの
内燃エンジンを示し、エンジン1には吸気管集合部2aを
介して吸気管2が接続されている。吸気管2の集合部上
流にはスロットルボディ3が設けられ、内部にスロット
ル弁3′が設けられている。スロットル弁3′にはスロ
ットル弁開度センサ(θTHセンサ)4が連設されてスロ
ットル弁3′の弁開度を電気的信号に変換し、電子コン
トロールユニット(以下「ECU」という)5に送るよう
にされている。
前記吸気管2のスロットルボディ3より上流側にはメ
イン噴射用の主燃料噴射弁6が設けられている。該主燃
料噴射弁6は内燃エンジン1のアイドル運転以外の運転
時に該内燃エンジン1の全気筒に燃料を供給するための
ものである。
一方、吸気管2のスロットルボディ3より下流側には
補助燃料噴射弁6aが設けられ、内燃エンジン1が十分に
暖められた状態におけるアイドル運転時に該エンジン1
の全気筒に燃料を供給するようにしている。
また、吸気管2の前記補助燃料噴射弁6aより下流側に
は、管7を介して吸気管内絶対圧センサ(PBAセンサ)
8が設けられており、このPBAセンサ8により電気信号
に変換された絶対圧信号は前記ECU5に供給される。ま
た、その下流には吸気温センサ(TAセンサ)9が取付け
られており、これは吸気温度を検出し対応する電気信号
をECU5に供給する。
エンジン1本体にはエンジン冷却水温センサ(Twセン
サ)10が設けられている。該Twセンサ10はサーミスタ等
からなり、冷却水が充満したエンジン気筒周壁内に挿着
されて、その検出水温信号をECU5に供給する。また、エ
ンジン回転数センサ(Neセンサ)11がエンジン1の図示
しないカム軸周囲又はクランク軸周囲に取り付けられて
いる。該Neセンサ11はエンジン1のクランク軸180゜回
転毎に所定のクランク角度位置で、即ち各気筒の吸気行
程開始時の上死点(TDC)に関し所定クランク角度前の
クランク角度位置でクランク角度位置信号(以下「TDC
信号」という)を出力するものであり、このTDC信号はE
CU5に送られる。
エンジン1の排気管12には三元触媒13が配置されてお
り、排気ガス中のHC,CO,NOx等の成分の浄化を行う。排
気濃度センサとしてのO2センサ14は排気管12の三元触媒
13より上流側に装着されており、排気ガス中の酸素濃度
を検出してその検出値に応じた信号を出力しECU5に供給
する。また、ECU5には大気圧を検出する大気圧(PA)セ
ンサ15、車速を検出する車速(V)センサ16が接続され
ており、これらの検出信号が供給される。
ECU5は各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧
レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタ
ル信号値に変換する等の機能を有する入力回路5a,中央
演算処理回路(以下「CPU」という)5b、CPU5bで実行さ
れる各種演算プログラム演算結果等を記憶する記憶手段
5c、前記主燃料噴射弁6と補助燃料噴射弁6aにそれぞれ
駆動信号を供給する出力回路5d等から構成される。
CPU5bは上述の各種エンジンパラメータ信号に応じ、
後述の制御プログラム(第2図乃至第6図)に基づい
て、フューエルカット(燃料遮断)運転領域、エンジン
の負荷に応じて複数設定された空燃比フィードバック制
御域、例えば第7図のようにO2フィードバック(F/B)
領域を負荷に応じて2つの領域II1とII2とに分割した場
合における当該領域II1,II2やオープン制御域等の種々
のエンジン運転状態を判別すると共に、判別したエンジ
ン運転状態に応じて前記TDC信号に同期して主燃料噴射
弁6と補助燃料噴射弁6aを開弁すべき燃料噴射時間を算
出する。
主燃料噴射弁6の燃料噴射時間TOUTMは次式(1)に
基づいて演算される。
TOUTM=TiM×KO2×KWOT×KLS×KTW ×KAST×K1+K2 …(1) ここに、TiMは主燃料噴射弁6の基本燃料噴射時間を
示し、例えば吸気管内絶対圧PBA及びエンジン回転数Ne
に応じてそれぞれ決定される。KO2はエンジン1がフィ
ードバック制御域にあるときO2センサ14の出力、即ち実
際の排気ガス中の酸素濃度に応じて設定され、エンジン
1がオープン制御域にあるとき所定値(例えば値1.0又
はエンジン1がフィードバック運転領域にあるとき前記
TDC信号の発生毎に適用されたKO2値の平均値KREF)に設
定されるO2フィードバック補正係数である。
KWOTはエンジン1がスロットル弁全開域(第7図の領
域III)、即ち高負荷運転状態にあるときに値1.0より大
きい所定値に設定されるリッチ化係数、KLSはエンジン
1がリーン化域(第7図の領域VI)、即ち低負荷運転状
態にあるときに値1.0未満の所定値に設定されるリーン
化係数である。
また、KTWは実際のエンジン冷却水温Twに応じて設定
される水温増量係数、KASTはエンジン1の始動後に適用
される始動後増量係数である。
K1及びK2は夫々各種エンジンパラメータ信号に応じて
演算されるその他の補正係数及び補正変数であり、エン
ジン運転状態に応じた燃費特性、エンジン加速特性等の
諸特性の最適化が図られるような所要値に設定される。
CPU5bは上述のようにして求めた燃料噴射時間TOUTM
基づいて主燃料噴射弁6を開弁させる駆動信号を出力回
路5dを介して主燃料噴射弁6に供給する。
また、CPU5bはエンジン1のアイドル運転時(第7図
の領域Iでの運転時)には補助燃料噴射弁6aからの燃料
供給制御を行う。補助燃料噴射弁6aの燃料噴射時間も所
定の演算式に従って演算され、これに基づいて補助燃料
噴射弁6aの噴射が制御される。
第2図は本発明の制御方法の実行手順を示す制御プロ
グラムのフローチャートであり、本プログラムは前記TD
C信号の発生する毎に実行される。
まず、ステップ201では、エンジン回転数Neが、低回
転オープンループ制御領域(第7図の領域IV)であるか
どうかを判断するための所定回転数NLOP(例えば600rp
m)より低いか否かを判別し、その答が肯定(Yes)、即
ち低回転のときは、O2フィードバック補正係数KO2を値
1.0に設定し(ステップ202)、オープン制御を行う。ス
テップ201の答が否定(No)、即ちNe≧NLOPが成立する
ときは、エンジン回転数Neが、高回転オープンループ制
御領域(第7図の領域V)であるかどうかを判断するた
めの所定回転数NHOP(例えば3500rpm)より高いか否か
を判別し(ステップ203)、その答が否定(No)、即ちN
o≦NHOPが成立するときは直接ステップ204に進む一方、
答が肯定(Yes)、即ち高回転の場合は、リーン化係数K
LSが値1.0より小さいか否かを判別する(ステップ20
5)。該ステップ205の答が否定(No)のときには前記ス
テップ202を実行し本プログラムを終了し、答が肯定(Y
es)のときはステップ204に進む。
ステップ204では主燃料噴射弁6の燃料噴射時間TOUTM
が所定時間TWOT(例えば8m秒)より大きいか否かを判別
する。この判別はエンジン1がスロットル弁全開域にあ
るか否かを判別するためのものである。この答が否定
(No)、即ちTOUTM≦TWOTが成立するときには、直接後
述のステップ207に進む一方、答が肯定(Yes)、即ちT
OUTM>TWOTが成立するときにはダウンカウンタから成る
tDLYタイマのカウント値が0に等しいか否かを判別する
(ステップ206)。該tDLYタイマは、エンジン1がスロ
ットル弁全開域に移行したときに所定時間tDLYにセット
されスタートさせるタイマであり、その所定時間tDLY
図示しないtDLY算出サブルーチンにより設定される。
しかして、前記ステップ206の答が肯定(Yes)、即ち
エンジン1がスロットル分全開域に移行した後、所定時
間tDLYが経過したときには前記ステップ202を実行しオ
ープン制御を行う。
前記ステップ206の答が否定(No)、即ちtDLYが0に
等しくないときにはステップ207に進む。即ち、エンジ
ン1がスロットル弁全開域に移行した場合でも該移行
後、前記所定時間tDLYが経過するまでは前記ステップ20
2によるオープン制御は行わない。これはエンジン1の
運転状態がスロットル弁全開域の境界を行来するように
微細に変化する場合、該変化を吸収して安定した空燃比
制御を行うためである。
以上のステップ201,203〜206は、O2フィードバック制
御を行う場合におけるO2フィードバック領域判定処理の
一環である。
第3図は後述するステップ212の判別に適用されるt
CATタイマの作動サブルーチンのフローチャートであ
る。本サブルーチンはエンジン1がスロットル弁全開域
にあるときに、前記TDC信号の発生に同期して実行され
る。
まず、吸気管内絶対圧PBAが所定値PBACATより大きい
か否かを判別する(ステップ301)。この判別はエンジ
ン1がスロットル弁全開域にあるか否かを判別するため
のものである。この答が否定(No)、即ちPBA≦PBACAT
が成立する低負荷のときには、ダウンカウンタから成る
tWOTCATタイマを第1の所定時間tWOTCATにセットしてス
タートさせ(ステップ302)、本プログラムを終了す
る。
なお、該所定時間tWOTCATについては、気圧に応じて
持ち替えれば、より適切な制御ができる。
前記ステップ301の答が肯定(Yes)、即ちPBA>P
BACATが成立するときは前記ステップ302でスタートさせ
たtWOTCATタイマのカウント値が0に等しいか否かを判
別する(ステップ303)。即ち、吸気管内絶対圧PBAが所
定値PBACATより大きい状態が第1の所定時間tWOTCAT
上継続したか否かを判別する。この判別は、スロットル
弁全開域においてPBA>PBACATなる状態、即ち燃料が吸
気管壁等に付着し易い状態が継続した時間の長短を判定
することにより、エンジン1がスロットル弁全開域を離
脱するときに多量の燃料が吸気管壁等に付着しているか
否かを判別するためのものである。
前記ステップ303の答が肯定(Yes)、即ち高負荷であ
るPBA>PBACATの状態が第1の所定時間tWOTCAT以上接続
し、したがって吸気管壁等に多量の燃料が付着している
と推定されるときには、ダウンカウンタから成るtCAT
イマを第2の所定時間tCATにセットしてスタートさせ、
本プログラムを終了する。前記ステップ303の答が否定
(No)、即ちPBA>PBACATの状態が第1の所定時間t
WOTCAT以上継続しておらず、したがって吸気管壁等に多
量の燃料が付着しているとは推定されないときには、ス
テップ304をスキップし、本プログラムを終了する。
第2図の制御プログラムに戻り、ステップ207ではリ
ーン化係数KLSが値1.0より小さいか否か、即ちエンジン
1がリーン化域(低負荷運転状態)にあるか否かを判別
する。この答が否定(No)、即ちエンジン1がリーン化
域にないときには、第1及び第2のフラグFtCAT1及びFt
CAT2うちの第2のフラグFtCAT2が値1に等しいか否かを
判別する(ステップ208)。
上記各フラグは、いずれもイニシャル時に値1に設定
されるフラグであって、第1のフラグFtCAT1は、その値
が1のとき後述の如くリーン化域内O2フィードバック継
続領域で前記tCATタイマをセットし(後述のステップ21
5,216)、第2のフラグFtCAT2については、その値が1
のとき上記第1のフラグFtCAT1を値1にセットするのに
用いられる。即ち、前記ステップ208の判別の結果、こ
の答が肯定(Yes)のときには前記第1のフラグFtCAT1
を値1にセットし(ステップ210)、否定(No)のとき
には第1のフラグFtCAT1を値0にセットして(ステップ
209)、ステップ211に進む。
ステップ211ではフィードバック制御を行う。即ち、
前記ステップ207の答が否定(No)の場合には、O2フィ
ードバック領域にあると判断し、前述のフラグセットを
経た後、フィードバック制御を実行して本プログラムを
終了する。該ステップ211での処理内容には、フューエ
ルカットが検出された場合においてフィードバック制御
が停止された後、該フューエルカットから復帰したとき
の、即ちフィードバック制御開始のときの補正係数KO2
の初期化処理が含まれ、かかる初期化処理を含むKO2
出処理を行い、O2センサ14の出力に応じてKO2を算出し
エンジン1に供給される混合気の空燃比を設定値となる
ように制御すると共に、該係数KO2の平均値KREFを算出
する(ステップ211)。
前記ステップ207の答が肯定(Yes)、即ちKLS<1.0が
成立し、したがってエンジン1がリーン化域にあるとき
には、前述のtCATタイマのカウント値が0に等しいか否
かを判別する(ステップ213)。この答が否定(No)、
即ちカウント値が0に等しくなく、したがってスロット
ル弁全開域においてPBA>PBACATなる状態が第1の所定
時間tWOTCAT以上継続し、且つエンジン1がスロットル
弁全開域を離脱した後、第2の所定時間tCATが経過して
いないときには、ステップ213において車速Vが所定値V
CAT(例えば19.2km/h)より大きいか否か、ステップ214
においてエンジン回転数Neが所定値NCAT(例えば2,800r
pm)より大きいか否かを判別する。このステップ213及
びステップ3214の判別は三元触媒13の温度が高い状態に
あるか否かを判別するものである。このステップ213及
び214の答がいずれも肯定(Yes)、即ちV>VCAT且つNe
>NCATが成立するときには、三元触媒13が高温状態にあ
るとして前記第1のフラグFtCAT1が値1に等しいか否か
を判別する(ステップ215)。この答が肯定(Yes)のと
きにはtCATタイマを第2の所定時間tCATにセットして再
スタートさせると共に第2のフラグFtFCAT2を値0にセ
ットし(ステップ216,217)、ステップ211を実行する。
前記ステップ215の答が否定(No)のときにはステップ2
16,217をスキップし直接ステップ211へ進む。
ステップ211の処理においてフィードバック制御が行
われるので、上述のようにして、スロットル弁全開域に
おいてPBA>PBACATなる状態が第1の所定時間tWOTCAT
上継続し、且エンジン1がスロットル弁全開域を離脱し
た後、第2の所定時間tCATが経過する前にリーン化域に
移行した場合には、該リーン化域においてもフィードバ
ック制御が実行されることとなる。
この場合、エンジン1がスロットル弁全開域からフィ
ードバック制御域を経てリーン化域に移行したときに
は、ステップ208及び211の実行により、第1のフラグFt
CAT1が値1にセットされ、ステップ215及び216の実行に
より、tCATタイマのセット及びスタートが繰り返される
ので、エンジン1がリーン化域に留まる限り、ステップ
212の答が否定(No)となり、フィードバック制御が繰
り返し実行されることとなる。
また、リーン化域においてアクセルペダルが短時間踏
み込まれた場合のように、エンジン1がリーン化域から
一旦フィードバック制御域に移行し、再びリーン化域へ
復帰したときには、リーン化域においてステップ217の
実行により第2のフラグFtCAT2が値0にセットされ、フ
ィードバック制御においてステップ208及び209の実行に
より第1のフラグFtCAT1が値0にセットされることか
ら、復帰後のリーン化域においてはステップ215の答が
否定(No)となってステップ216が実行されず、したが
ってリーン化域からの離脱後、第2の所定時間tCATが経
過するまでフィードバック制御が継続されることとな
り、これによりこのときにも空燃比のオーバーリッチ化
を防止できる。
このステップ212の答が肯定(Yes)のとき、即ちtCAT
=0が成立し、したがってスロットル分全開域において
PBA>PBACATなる状態が第1の所定時間tWOTCAT以上継続
していないとき又はエンジン1がスロットル弁全開域を
離脱後、第2の所定時間tCAT以上経過したときには、ス
テップ218以下に進みオープン制御を行い、リーン化係
数KLSにより空燃比をリーン化制御する。
即ち、まず、ステップ218では第1のフラグFtCAT1
び第2のフラグFCAT2を値0にセットし、次いでtCAT
イマのカウント値を0にセットする(ステップ219)。
次にステップ220で本ループを所定時間tD継続して通過
したか否かを判別し、その答が否定(No)のときにはO2
フィードバック補正係数KO2を前回ループで得られた値
に保持し、オープン制御を実行する一方(ステップ22
1)、肯定(Yes)のときにはO2フィードバック補正係数
KO2をフィードバック制御時に算出された平均値KREF
設定してオープン制御を行い(ステップ222)、本プロ
グラムを終了する。O2フィードバック補正係数KO2を平
均値KREFに設定する際に、所定の待ち時間tDを設けてい
るのはエンジン1がフィードバック制御域からオープン
制御域へ移行したときの空燃比の過渡的な変化を防止す
るためである。
また、前記ステップ213又は214の答が否定(No)、即
ちV≦VCAT又はNe≦NCATが成立するときには三元触媒13
が高温状態になく、アフタファイアが発生する可能性は
少ないので、この場合にも前記ステップ218以下を実行
し、リーン化係数KLSを適用したオープン制御による空
燃比のリーン化制御を行う。
第4図は、第2図のメインルーチン中の前記ステップ
211において実行されるKO2初期化処理を含むKO2算出サ
ブルーチンのフローチャートを示す。
まず、前回の制御がフィードバック制御であったか否
かを判別し(ステップ401)、ステップ401の答が否定
(No)、即ち前回の制御がオープンループ制御であり、
したがって今回ループがオープンループ制御領域からフ
ィードバック制御領域に移行した直後の最初のループで
あるときには、ステップ402に進む。
ステップ402では補正係数KO2の保持制御中であるか否
かを判別する。この制御はエンジンの所定の減速時ある
いは変速ギヤの作動時等に補正係数KO2の変動を防止す
るためのものである。このステップ402の答が肯定(Ye
s)のときには、周知の積分項(I項)の加算処理によ
る積分制御によって補正係数KO2を算出し(ステップ40
3)、続くステップ404において前記ステップ403を算出
された補正係数KO2のリミットチェックを行い、次いで
後述のKREF2算出処理を行い(ステップ405)、本プログ
ラムを終了する。
前記ステップ402の答が否定(No)のときには、ステ
ップ406に進み、このステップ406では今回が補助燃料噴
射弁6aの作動域(第7図の領域I)(AUX域)にあるか
否かを判別し、この答が肯定(Yes)、即ち今回ループ
がオープンループ制御領域からフィードバック制御領域
中の補助燃料噴射弁6aの作動域へ移行した直後の最初の
ループであるときには、補正係数KO2の初期値を、補助
噴射弁6aの作動域において後述のようにして算出された
補助噴出弁6aの作動域用のKO2の平均値KREF0と所定係数
CR0との積KREF0×CR0に設定しすると共に、tO2LMTタイ
マを所定時間にリセットし、及びこれをスタートさせ
(ステップ407)、前記ステップ403以下を実行して、本
プログラムを終了する。
前記ステップ406の答が否定(No)、即ち今回ループ
がオープンループ制御領域からフィードバック制御領域
中の主燃料噴射弁6の作動域へ移行した直後の最初のル
ープであるときには、前回がフューエルカットを行って
いたか否かを判別する(ステップ408)。即ちエンジン
がフューエルカット状態からフィードバック制御領域に
移行したときにあたるかどうかを判断する。ステップ40
8の答が否定(No)、即ち前回がフューエルカット状態
でなかったときには補正係数KO2の初期値を、主燃料噴
射弁6の作動域において後述のようにして算出された主
燃料噴射弁6の作動域(メイン域)用のKO2の平均値K
REF1に設定する(ステップ409)。
次いでステップ403以下の制御を行う。これにより、
エンジンがオープンループ制御領域からフィードバック
制御領域中の主燃料噴射弁6の作動域に移行したとき
に、補正係数KO2を該主燃料噴射弁6の作動域に適合す
る値に速やかに設定でき、このときの過渡応答性を向上
させることができる。
前記ステップ408の答が肯定(Yes)、即ち前回フュー
エルカット状態であり、かかる状態からフィードバック
制御領域へ移行したときには、ステップ410以下へ進
み、エンジン冷却水温に応じた所定の係数CR1を用い
て、フェーエルカット(F/C)領域からO2フィードバッ
ク制御への移動時のKO2の初期化処理を行う。即ち、ス
テップ410で係数CR1の選択処理を実行し、次いで選択さ
れたCR1を用いてKREF1値を補正することにより補正係数
KO2の初期値を設定する(ステップ411)。
第5図は、上記ステップ410,411において実行されるC
R1選択処理を含む上述のKO2初期化処理のためのサブル
ーチンを示すフローチャートである。
まず、ステップ501では、エンジン水温Twが所定温度T
WO2CR(例えば40℃)より高いか否かを判別し、その答
が肯定(Yes)、即ちTw>TWO2CRが成立する高水温域に
あるときには、補正係数KO2の初期値を、平均値KREF1
リッチ化補正用の所定の補正係数CR10(例えば1.1)と
の積KREF1×CR10に設定し(ステップ502)、本プログラ
ムを終了する。前記ステップ501のの答が否定(No)、
即ちTW≦TWO2CRが成立し、従ってエンジン水温が低温域
にあるときには、補正係数KO2の初期値を、平均値KREF1
と、前記補正係数CR10より大なる所定のリッチ化補正係
数CR11(例えば1.3)との積KREFZ×CR11に設定し(ステ
ップ503)、本プログラムを終了する。
以上により、フューエルカット領域からフィードバッ
ク領域へ移行した時は、KO2の初期値として算出KREF1
対しそのときのエンジン水温に応じてリッチ化補正して
得た値を用いてフィードバック制御が開始されることに
なり、該移行時における空燃比のルーン化による排気ガ
ス特性の低下が回避される。即ち、フューエルカット復
帰後は吸気管内壁に燃料が付着し易く、混合気がリーン
化する傾向にあるが、これを上述のリッチ化補正係数C
R1に対応する分だけリッチ化することにより、燃料付着
に起因するリッチ化を防止することができる。
しかも、この場合、前記係数CR1はエンジン水温に応
じた値のものが適用され、低水温時ほど初期値をリッチ
化させるよう、より大なる係数CR11を選択適用してK
REF1値を補正している。即ち、低水温時には、燃料の粘
性が大きいことから前記付着量が更に増大し、加えて、
燃焼状態を不安定であるため、エンジン出力等運転性に
与える影響もより大きくなる。そこで、かかる場合に
は、リッチ化の度合いを更に大きくすることとしてお
り、このように、フューエルカット状態からフィードバ
ック領域へ移行したときには、Ko2をリッチ方向に初期
設定すると共に、当該初期設定値をエンジン水温Twに応
じて吸気管内壁への付着燃料が多い低温度ほど大きく設
定することにより、O2フィードバック制御開始時のNOX
の発生及び運転性の悪化を防止することができる。第4
図に戻り、ステップ410,411で上述のようにして初期化
処理を行ったならば、エンジン水温に応じて得た前記積
値KREF1×CR0またはKREF1×CR11を初期値として前記ス
テップ403以下を実行し、本プログラムを終了する。
前記ステップ401の答が肯定(Yes)、即ち前回の制御
がフィードバック制御であったときには、前回が補助燃
料噴射弁6aの作動域(AUX域)であったか否かを判別し
(ステップ412)、このステップ412の答が肯定(Yes)
のときには前記ステップ406と同様に今回が補助燃料噴
射弁6aの作動域にあるか否かを判別し(ステップ41
3)、その答が肯定(Yes)、即ちエンジンが前回及び今
回ともに補助燃料噴射弁6aの作動域であるときにはO2
ンサ14の出力VO2レベルが反転したか否かを判別する
(ステップ414)。
前記ステップ413の答が否定(No)、即ち今回ループ
が、エンジンが補助燃料噴射弁6aの作動域から主燃料噴
射弁6の作動域に移行した直後の最初のループであると
きには、車速Vが所定値V1(例えば15km/h)より小さい
か否かを判別し(ステップ415)、その答が肯定(Ye
s)、即ち低車速のときは、補正係数KO2の初期値を、補
助燃料噴射弁6aの作動域から主燃料噴射弁6の作動域へ
の移行後の所定時間内に主燃料噴射弁6の作動域におい
て後述のようにして算出されたKO2の平均値KREF2に設定
し、ダウンカウンタから成るtFBTHタイマを所定時間
(例えば2.5秒)にリセットし、及びこれをスタートさ
せ(ステップ416)、前記ステップ403以下を実行し本プ
ログラムを終了する。
前記ステップ415の答が否定(No)で高車速の場合に
は、前記ステップ409及びステップ403以下を実行し本プ
ログラムを終了する。
前記ステップ412の答が否定(No)のときには今回が
主燃料噴射弁6の作動域(メイン域)にあるか否かを判
別し(ステップ417)、該ステップ417の答が否定(N
o)、即ち今回ループが、エンジンが主燃料噴射弁6の
作動域から補助燃料噴射弁6aの作動域に移行した直後の
最初のループであるときには、前記ステップ407及びス
テップ403以下を実行し本プログラムを終了する。
一方、該ステップ417の答が肯定(Yes)、即ちエンジ
ンが前回及び今回とも主燃料噴射弁6の作動域にあると
きにはステップ418へ進み、前記ステップ414と同様、O2
センサ14の出力VO2レベルが反転したか否かを判別す
る。
ここで、該ステップ418の答が否定(No)のときに
は、ステップ419のCR2選択処理及びステップ420のKO2
期化処理に進み、所定の増減用の係数CR2を用いて、O2
フィードバック領域を負荷に応じた複数の領域に分割し
た場合におけるその内の一の領域から他の領域への移行
時のKO2の初期化処理を行う。
第6図は、上記ステップ419及び420において実行され
るCR2選択処理を含む上述のKO2初期化処理のためのサブ
ルーチンを示すフローチャートである。
まず、ステップ601では、前記tFBTHタイマのカウント
値が0に等しいか否かを判別し、その答が否定(No)の
ときには、O2フィードバック領域内を第7図に示すよう
に高負荷領域(II1)と低負荷領域(II2)とに分割した
場合の一方の領域から他方の領域への移行時に実行すべ
きKO2の初期化処理は行わず(ステップ602)、本プログ
ラムを終了する。即ち、tFBTHタイマは、補助燃料噴射
弁6aの作動域から主燃料噴射弁6の作動域への切換え時
に初期値として適用するKREF2値のためのKREFに演算タ
イマであり、従って、KREF2の算出期間中は本プログラ
ムに従うKO2値の初期化は停止される。
ステップ601の答が肯定(Yes)、即ちtFBTHタイマが
作動中でないときは、エンジン1の運転状態がフィード
バック制御領域内において高負荷領域から低負荷領域へ
移行したか、あるいは低負荷領域から高負荷領域へ移行
したかをみるためステップ603以下の処理を実行する。
即ち、前回の運転状態が、吸気管内絶対圧PBAが所定
の判別値PBO2H(例えば500mmHg)より大きい状態であっ
たか否かを判別し(ステップ603)、その答が肯定(Ye
s)、即ちPBA>PBO2Hが成立し前回が高負荷であったと
きには、今回の運転状態が、吸気管内絶対圧PBAが前記
判別値PBO2Hより小さいか否かを判別し(ステップ60
4)、該ステップ604の答が肯定(Yes)のとき、即ち今
回が低負荷であったときには、減速状態であると判別
し、補正係数KO2の初期値を、平均値KREF1とリーン化補
正用の所定係数CR20(例えば0.96)との積KREF1×CR20
に設定し(ステップ605)、本プログラムを終了する。
これにより、高負荷領域から低負荷領域へ移行した時
は、KO2の初期値として算出KREF1に対してリーン化補正
を行って得た値KREF1×CR20を用いて空燃比のフィード
バック制御が開始されることになり、該移行時の吸気管
壁付着燃料の吸入による空燃比のリッチ化を防止でき、
CO,HCの発生を低減させることができる。即ち、高負荷
から低負荷への移行時には、吸気管内絶対圧PBAの減少
によって多量の付着燃料が燃焼室に吸入され易くなり、
減速時には混合気は濃くなるが、吸気管内絶対圧PBA
よる上述のようなKO2の初期化を行うことによって、か
かる減速オーバーリッチ化の傾向を緩和することができ
る。
前記ステップ604の答が否定(No)のとき、即ち前回
も今回も吸気管内絶対圧PBAが前記判別値PBO2H以上の状
態の場合には、前記ステップ602を実行し本プログラム
を終了する。即ち、高負荷状態から低負荷状態への移行
時ではないため、前記係数CR20を用いた初期化処理を行
わない。
一方、前記ステップ603の答が否定(No)、即ちPBA
PBO2Hが成立し、従って前回のPBA値がPBO2H以下の状態
であった場合には、更に続くステップ606において、前
回PBA値を、前記判別値PBO2Hよりも小さい所定の判別値
PBO2L(例えば470mmHg)と比較し、PBA値が該判別値P
BO2Lより小さい状態であったか否かの判別する。その答
が否定(No)のときは前記ステップ602を実行して本プ
ログラムを終了する一方、ステップ606の答が肯定(Ye
s)、即ちPBA<PBO2Lが成立し前回が低負荷であったと
きには、今回の運転状態が、吸気管内絶対圧PBAが前回
判別値PBO2Lより大きいか否かを判別し(ステップ60
7)、該ステップ407の答が肯定(Yes)のとき、即ち今
回が高負荷であったときには、補正係数KO2の初期値
を、平均値KREF1とリッチ化補正用の所定係数CR21(例
えば1.03)との積KREF1×CR21に設定し(ステップ60
8)、本プログラムを終了する。
このように、上述とは逆にエンジン1がフィードバッ
ク制御領域内の低負荷領域から高負荷領域へ移行した時
は、KO2の初期値として算出KREF1に対してリッチ化補正
を行って得た値KREF1×CR21を用いてフィードバック制
御が開始され、これにより、低負荷から高負荷への移行
時には、燃料の供給遅れによる空燃比のリーン化が防止
され、NOxの発生を低減させることができる。即ち、加
速を行うべくアクセルを踏み込んでスロットル弁3′の
開度を増したときは、空気は非常に軽いので直ぐ入ると
ころ、燃料はこれに比し遅れ、このためリーン化し易い
のであるが、かような燃料の供給遅れによる空燃比のリ
ーン化も回避することができる。
前記ステップ607の答が否定(No)、即ち前回も今回
も吸気管内絶対圧PBAが前記判別値PBO2L以下の状態にあ
る場合には、前記ステップ604と同様に、低負荷状態か
ら高負荷状態への移行時ではないとして、前記ステップ
602を実行し係数CR21を用いた初期化処理は行わない。
従って、増減用の係数CR21を用いたKO2の初期化は、t
FBTHタイマのカウント値が0の条件の下、予め負荷に応
じて分割設定した少くとも2つの領域のうちの一方から
他方への移行時にのみ行われ、それぞれ高負荷状態また
は低負荷状態からの移行に対応してKO2の平均値KREF1
係数CR20またはCR21を乗算補正した値をKO2の初期値と
して適用する。
以上のようにして、減速時のKO2の適切な初期化を行
うことができ、他方、加速時には、減速時の適正空燃比
から加速時の適正空燃比にするため加速時のKO2初期化
を行うこともできる。即ち、減速時のKO2初期化におけ
る空燃比のリーン化によるNOxの増加を防ぐため、低負
荷状態から高負荷状態になったときには、逆に、KREF1
にリッチ化補正のための係数CR21を掛け、加速時の適切
なKO2の初期化を行い、エミッション特性の向上を図る
ことができる。
しかも、この場合、既述した対策手法のように空燃比
の制御をリーン側に移行させ、更にリーン化によるNOx
の増加を防止するため点火時期を送らせるなどして燃費
の低下を招くこともない。従って、CO等の低減によるエ
ミッション特性の改善が行え、かつ、これを空燃比制御
をリーンバイアスさせ点火時期を遅らせることなく実現
することができる。即ちエミッション特性と燃費特性と
の両者を同時に満足させ得る。
更に、初期値として、平均値KREF1に対する増減を行
った値を用いるので、即ち学習値である平均値KREF1
システム全体の誤差を補正するため用いられるものであ
るところ、このような平均値KREF1を使用し、これに対
する増減を行うようにしているから、燃料供給系の設定
バラツキを補正することもできる。
以上の第6図における処理は、前記第5図の場合と同
様、KO2初期化時、前条件に応じた係数を乗算して、即
ちフィードバック開始項補正係数を選択し適用して、空
燃比の変動を抑えるための処理の一つである。
第4図に戻り、ステップ419,420で上述のようにして
初期化処理を行ったならば、前記積値KREF1×CR20また
はKREF1×CR21を初期値として前記ステップ403以下を実
行し、本プログラムで終了する。
前記ステップ418の答が肯定(Yes)、即ちO2センサ14
の出力レベルが反転したときには、周知の比例項(P
項)の加算処理による比例制御によって補正係数KO2
算出し(ステップ421)、続くステップ422において前記
ステップ421で算出されたKO2のリミットチェックを行
い、次いで、KREF0,KREF1算出処理を実行し(ステップ4
23)、本プログラムを終了する。また、前記ステップ41
4の答が否定(No)、即ちエンジンが前回及び今回とも
補助燃料噴射弁6aの作動域にある場合においてO2センサ
14の出力レベルが反転していないときには、前記ステッ
プ403以下を実行し、本プログラムを終了する一方、そ
の答が肯定(Yes)のときは前記ステップ421以下を実行
し本プログラムを終了する。
以上のようにして算出された補正係数KO2の値を使用
してKO2の平均値KREFがステップ405,423において算出さ
れ、メモリに記憶される。
この場合、平均値KREFの算出は、今回ループが該当す
るフィードバック制御領域に応じて、図示しないKREF
出サブルーチンに基づき、各領域毎にKREF0,KREF1また
はKREF2の算出が行われ、KREF0及びKREF1については次
式(2)に従ってKREF(i)(i=0,1)が算出され、ま
た、KREF2について次式(3)に従って算出される。
KREF(i)=KO2P・(CREF(i)/A)+ KREF(i)(n-1)・(A−CREF(i))/A …(2) KREF2=KO2P/I・(CREF2/A)+ KREF2(n-1)・(A−CREF2)/A …(3) 上記(2)式による平均値KREF0及びKREF1は比例項
(P項)動作直後において、即ちO2センサ14の出力レベ
ルの反転時にのみ算出され、一方平均値KREF2はTDC信号
パルス発生毎に、即ち全域で算出される。
即ち、上記において、値KO2Pは比例項動作直後のKO2
の値、値KO2P/Iは毎回のKO2の値であり、また、Aは定
数、CREF(i)及びCREF2は各領域毎に実験的に設定される
変数で1〜Aのうち適当な値に設定されるものである。
KREF(i)(n-1)及びREF2(n-1)は、それぞれ今回ループが
該当する運転領域において前回までに得られたKO2の平
均値である。
変数CREF(i)及びCREF2の値によって、前回値に対する
KO2値の割合が変化するので、かかる変数の値を、対象
とされる空燃比フィードバック制御装置、エンジン等の
使用に応じて前記1〜Aの範囲で適当な値に設定するこ
とにより、最適なKREF(KREF0,KREF1またはKREF2)を得
ることができる。
上述のようにして各領域において平均値KREFが算出さ
れ、エンジン1がフューエルカット状態からフィードバ
ック制御運転領域へ移行したときには、前記ステップ42
3で算出され記憶されたKREF1値と既述したエンジン水温
に応じた所定係数CR1とを用いてKO2の初期値化処理が行
われ、移行時のエンジン1への供給空燃比が適正に制御
される。
上記実施例では、吸気管集合部上流のスロットル弁上
流側に燃料噴射弁を設けたDPIタイプのエンジンに適用
した場合を説明したが、本発明は通常のMPIのものに適
用することは妨げない。特に、DPIタイプのものに適用
するときは、燃料噴射弁から燃焼室までの距離が長いこ
とによる付着燃料の影響を排除し、DPIタイプにおける
空燃比制御の精度向上により大なる効果がある。
(発明の効果) 本発明によれば、内燃エンジンの空燃比フィードバッ
ク制御運転領域における運転時に、当該エンジンの排気
系に配置される排気ガス濃度検出器の出力に応じて変化
する係数を用いて前記エンジンに供給する混合気の空燃
比をフィードバック制御する内燃エンジンの空燃比フィ
ードバック制御方法において、エンジンの燃料供給停止
状態を検出したときは前記フィードバック制御を停止す
ると共に、前記フィードバック制御運転領域での運転時
に得られた前記係数の平均値を算出し、運転状態が前記
燃料供給停止状態から前記フィードバック制御運転領域
に移行したときには前記係数として前記係数の平均値を
エンジン水温に応じた所定値で補正した値を初期値とし
て用いて前記移行先の領域におけるフィードバック制御
を開始するようにしたものであるから、燃料供給停止状
態からフィードバック制御運転領域に移行したときに、
前記係数をリッチ方向に初期設定する場合でも、当該移
行先の領域における空燃比をエンジン水温に対応して過
不足なく適切に設定することができ、もって良好な排気
ガス特性の確保が図れると共に、初期値設定をエンジン
水温に応じて吸気管内壁付着燃料が多い低温時ほど大き
く設定することによって、フィードバック制御開始時の
NOx成分の発生及び運転性の悪化を防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法が適用された内燃エンジンの燃料
供給制御装置の全体構成図、第2図は本発明の制御方法
の実行手順を示す制御プログラムのフローチャート、第
3図はtACTタイマの作動サブルーチンのフローチャー
ト、第4図は第2図のプログラム中において実行される
KO2初期化処理を含むKO2算出サブルーチンを示すフロー
チャート、第5図は第4図のプログラムにおける係数C
R1を用いたKO2初期値化の手順を示すフローチャート、
第6図は第4図のプログラムにおける係数CR2を用いたK
O2初期値化の手順を示すフローチャート、第7図はエン
ジンの運転領域を示す図である。 1……内燃エンジン、5……電子コントロールユニット
(ECU)、6……主燃料噴射弁、10……エンジン冷却水
温センサ、12……排気管、14……O2センサ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃エンジンの空燃比フィードバック制御
    運転領域における運転時に、当該エンジンの排気系に配
    置される排気ガス濃度検出器の出力に応じて変化する係
    数を用いて前記エンジンに供給する混合気の空燃比をフ
    ィードバック制御する内燃エンジンの空燃比フィードバ
    ック制御方法において、エンジンの燃料供給停止状態を
    検出したときは前記フィードバック制御を停止すると共
    に、前記フィードバック制御運転領域での運転時に得ら
    れた前記係数の平均値を算出し、運転状態が前記燃料供
    給停止状態から前記フィードバック制御運転領域に移行
    したときには前記係数として前記係数の平均値をエンジ
    ン水温に応じた所定値で補正した値を初期値として用い
    て前記移行先の領域におけるフィードバック制御を開始
    することを特徴とする内燃エンジンの空燃比フィードバ
    ック制御方法。
  2. 【請求項2】低水温時には前記初期値をリッチ化させる
    ことを特徴とする請求項1記載の内燃エンジンの空燃比
    フィードバック制御方法。
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