JP2579018B2 - 車両用前照灯装置 - Google Patents

車両用前照灯装置

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JP2579018B2
JP2579018B2 JP2038626A JP3862690A JP2579018B2 JP 2579018 B2 JP2579018 B2 JP 2579018B2 JP 2038626 A JP2038626 A JP 2038626A JP 3862690 A JP3862690 A JP 3862690A JP 2579018 B2 JP2579018 B2 JP 2579018B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、前照灯光源からの放射の紫外部をカットす
る車両用前照灯装置に関する。
従来の技術 従来、車両用前照灯装置の光源には、温度放射現象に
よって光放射を得る白熱ランプが用いられてきた。しか
し、今後、車両用前照灯装置の光源を、放電現象によっ
て光放射を得る高輝度放電ランプに切り替えようとする
動きがある。
発明が解決しようとする課題 しかし、単に車両用前照灯装置の光源を、白熱ランプ
から、高輝度放電ランプに切り替えるのみでは、従来考
えられなかった次のような問題が発生する。
高輝度放電ランプは、白熱ランプより紫外および可視
域の短波長の光放射が大きいため、同一光束の車両用前
照灯装置を作った場合、誘虫性が増大し、道路周辺の農
作物への害虫被害や、車両走行の妨げになる。また、被
照物の損傷劣化が促進される。さらに、人体に対して
は、日焼け、紅斑に相当する皮膚への影響、角膜、網膜
の傷害などの割合が増加する。さらに、高輝度放電ラン
プは、白熱ランプより光源の色温度が高いことにより、
光源のグレアの程度が増し、対向車の運転者が、不快な
まぶしさを感じたり、視機能が低下する。さらに、車両
前照灯光学系の光学材料が紫外線を浴びることとなるた
め光学的特性が変化しやすくなり、長期的に前記光学系
の分光光学特性を安定保持しがたい。
本発明は、かかる問題点を解消した車両用前照灯装置
を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段 本発明の第一の手段においては、高輝度放電ランプを
光源とし、前記光源からの光を前面光透過材を通して環
境へ照射する車両用前照灯装置であって、前記光源から
の光放射の紫外線をカットする特性を有し、かつ所定の
波長傾斜幅を持った光学材料を前記前面光透過材と前記
光源との間に介在させる。
第二の手段においては、高輝度放電ランプを光源と
し、前記光源からの放射を配光制御する反射板と、前記
光源からの光を前面光透過材を通して環境へ照射する車
両用前照灯装置であって、前記放射の紫外線をカットす
る特性を有し、かつ所定の波長傾斜幅を持った光学材料
を前記反射板と前記光源との間に介在させる。
第三の手段においては、高輝度放電ランプを光源と
し、前記光源からの放射を配光制御する反射板と、前記
光源からの光を前面光透過材を通して環境へ照射する車
両用前照灯装置であって、前記放射の紫外線をカットす
る特性を有し、かつ所定の波長傾斜幅を持った光学材料
を前記光源と前記反射材との間および前記光源と前記前
面光透過材との間に介在させる。
第四の手段においては、高輝度放電ランプを光源と
し、前記光源からの光を前面光透過材を通して環境へ照
射する車両用前照灯装置であって、前記光源からの光放
射の紫外部と可視域短波長部をカットする特性を有した
光学材料を前記前面光透過材と前記光源との間に介在さ
せる。
第五の手段においては、高輝度放電ランプを光源と
し、前記光源からの放射が、環境へ照射されるまでに、
ある波長以下の光をカットするシャープカット特性を有
し、前記シャープカット部の波長傾斜幅が35nm以内、か
つ、前記波長傾斜幅の中央に該当する波長が435nm以下
である光学材料を介在させる。
第六の手段においては、光学材料に、波長435nm付近
と波長635nm付近の可視光についての色温度変換能力を
示すB−R変換能力が0以上である特性を持たせる。
第七の手段においては、車両用高輝度放電ランプのバ
ルブまたは反射材に第一の手段から第六の手段に記載の
光学材料の特性を持たせる。また、前記車両用高輝度放
電ランプを一般の車両用前照灯装置に組み込ませる。
作用 本発明は、上記した第一〜第三の構成により、紅斑作
用、角膜傷害の作用を従来の車両前照灯用白熱ランプよ
りも軽減し、日焼けの作用、誘虫性の作用などを従来の
車両前照灯用白熱ランプ程度に軽減できる。
また、上記した第四〜第七の構成により、高輝度放電
ランプからの放射が環境へ照射されるまでに、紫外部を
カットする光学材料の介在により、皮膚の紅斑作用や角
膜傷害の作用を防止でき、加えて、可視域短波長部も効
果的にカットすると、日焼けの作用、誘虫性の作用、物
質の損傷劣化の作用、網膜傷害の作用をほぼ従来の白熱
ランプ前照灯程度に抑制できる。
さらに、短波長側のカット特性を効果的にシャープに
しているので、可視域長波長の光放射の減衰は少なく、
可視域の光放射の効率低下を最小限に抑えことができ
る。
また、光源の所定の輝度を低い色温度で得ることによ
りグレアを抑制している。
さらに、前記光学材料の光学特性を車両用高輝度放電
ランプ自体のバルブや反射材に持たせることにより、所
望の効果を得られる。
実施例 まず初めに本発明の前提となる色温度、輝度、グレア
に関する新規知見について説明する。
第3図に、夜間の道路の路面輝度として一般的な1cd/
m2に順応した視覚条件下で、従来の白熱ランプの色温度
である3000Kの光源と、それより高い色温度4000K,5000K
の光源が同じグレアの程度となる点を求めた実験結果を
示す。この実験は、多人数の被験者に、基準光源ととも
に提示した基準光源と異なる色温度の試験光源の輝度
を、同時比較させ、両光源が同じグレアを持つように試
験光源の輝度を調整させたものである。この結果から、
光源の色温度が高まるほど、同じまぶしさを感ずる輝度
が低下する。つまり、光源色温度が高まるほどグレアの
程度は増すこととなる。
前記車両用前照灯装置の見かけの色温度を低下させる
ことによって、前記車両用前照灯装置の光源色温度が従
来の白熱ランプの色温度から高輝度放電ランプの色温度
へ高まったことによる光源のグレアの程度の増加を抑制
することができる。
次に、第2図を用いて本発明の放射の波長と、各種作
用を誘引する程度との関係を説明する。紅斑作用は皮膚
が赤みをおびる炎症の程度、角膜傷害の作用は眼球の角
膜がダメージを受ける程度、日焼けの作用は日焼けによ
って皮膚が色素沈着をおこす程度、誘虫性の作用は光源
に昆虫が集まってくるの程度、物質の損傷劣化の作用は
被照物の色あせや劣化の程度、網膜傷害の作用は眼球内
の網膜がダメージを受ける程度を示す。
次に、本発明の一実施例について説明する。第1図に
おいて、1は車両用前照灯の光源の車両用高輝度放電ラ
ンプであり、光源からの放射は、反射板5で配光制御さ
れ、車両用前照灯灯具2から前面ガラス4を通して環境
に放射されるまでの間に、光学材料3で形成されたラン
プキャップを透過する。
第1図からも明かなように、光源である高輝度放電ラ
ンプ1からの光放射の紫外部をカットする特性を有した
光学材料3を前面光透過材である前面ガラス4と高輝度
放電ランプ1との間もしくは反射板5と高輝度放電ラン
プ1との間に介在させて、光源から直接前面ガラスに放
射される光放射はもちろんのこと、反射板を介して間接
に前面ガラスに放射される光放射についても、光学材料
によって紫外部がカットされる。
前記光学材料は、ある波長以下の光をカットするシャ
ープカットフィルタ特性を有し、そのシャープカット部
の波長傾斜幅が35nm以内であることにより、放射の紫外
域と可視域の境界近傍の波長である400nmに、フィルタ
の吸収域が始まる吸収限界波長が存在しても、435nm以
上の波長は大幅にカットされることがない。高輝度放電
ランプの可視域短波長において、分光放射がその波長部
で突然大きくなる水銀輝線の波長405nm、435nmは、前記
各種効果を誘引する程度に非常に大きな寄与をし、405n
m、435nmの波長をカットし、435nm以上の波長は大幅に
カットされることをなくすと、これより長波長の光放射
は効率よく透過可能で、可視域の光放射の効率低下は最
小限に抑えられ、かつ、本発明の効果を最大限確保する
ことができる。
ここで、第1表に車両前照灯用白熱ランプを1とした
場合の、車両前照灯用高輝度放電ランプの各種効果を誘
引する程度と、前記車両前照灯用高輝度放電ランプに完
全に紫外線を非透過で、完全に可視光線を透過する理想
的光学材料を組み合わせた場合と、前記車両前照灯用高
輝度放電ランプに本発明(請求項1〜3、5)の光学材
料を組み合わせた場合との、各種効果を誘引する程度と
の関係の相対比較結果を示す。
前記車両前照灯用高輝度放電ランプをそのまま車両前
照灯用白熱ランプと比較した場合、その光放射が及ぼす
影響は、紅斑作用で約5000倍、角膜傷害の作用で約100
倍、日焼けの作用で約10倍、誘虫性の作用で約5倍、物
質の損傷劣化の作用で約10倍、網膜傷害の作用で約2倍
である。
また、前記車両前照灯用高輝度放電ランプに完全に紫
外線を非透過で、完全に可視光線を透過する理想的光学
材料を組み合わせた場合においても、依然、物質の損傷
劣化の作用で約1.5倍、網膜傷害の作用で約1.6倍であ
る、しかも、現実にはこのような理想的な光学材料は存
在せず、ある程度の波長傾斜幅をもった光学材料を組み
合わせて最適条件を捜さねばならない。
しかし、前記車両前照灯用高輝度放電ランプに本発明
の光学材料を組み合わせた場合において、第1表に記し
た全ての作用を従来の車両前照灯用白熱ランプと同等以
下に抑え、可視域の光効率をできる限り減らさないこと
ができる。
よって、本発明の車両用前照灯装置からは、環境に有
害紫外線が放出されることがなくなり、紅斑作用、角膜
傷害の作用、日焼けの作用、誘虫性の作用、物質の損傷
劣化の作用、網膜傷害の作用などを、車両用高輝度放電
ランプの効率低下を最小限に抑えながら従来の車両前照
灯用白熱ランプ程度以下に軽減できる。
また、光源からの光放射の紫外部と可視域短波長部を
カットする特性を有した光学材料であれば、皮膚の紅斑
作用や角膜傷害の作用の防止に加えて、日焼けの作用、
誘虫性の作用、物質の損傷劣化の作用、網膜傷害の作用
をほぼ従来の白熱ランプ前照灯程度に抑制できる。
また、前記光学材料は、波長435nm付近と波長635nm付
近の可視光についての色温度変換能力であるB−R変換
係数が0以上であり、前記車両用高輝度放電ランプの見
かけの光源色温度を低下させることができるため、光源
色温度が高まったことによる、車両用前照灯装置のグレ
アの程度の増加を抑制することができる。
また、前記光学材料はランプキャップの形態をとって
いるため、前記光学材料が劣化した場合も、ランプキャ
ップのみの交換で整備保全が利く。本実施例では前記光
学材料はランプキャップの形態をとっているが、車両用
前照灯具のレンズが前記光学材料の特性を有してもよ
い。
尚、例えば、ある波長以下の光をカットするシャープ
カット特性を有し、前記シャープカット部の波長傾斜幅
が35nm以内、かつ、前記波長傾斜幅の中央に該当する波
長が435nm以下である光学材料の特性を持つバルブまた
は反射材を有する車両用高輝度放電ランプを用いれば優
れた特性の車両用前照灯装置を実現できる。
発明の効果 以上のように、本発明は車両用前照灯装置の光源を白
熱ランプから高輝度放電ランプに切り替えた場合に発生
する諸問題を解決することによって、小型高輝度の照明
装置を実現することができる。すなわち、 (1)車両用前照灯装置の光源の高輝度放電ランプが、
白熱ランプより紫外および可視域の短波長帯の光放射が
大きいために生じた、誘虫性の増加、被照物の損傷劣化
の促進、人体の紅斑,日焼け,角膜の損傷,網膜の損傷
などの割合の増加の問題を解決できる。
(2)車両用前照灯装置の光源の高輝度放電ランプが、
白熱ランプより光源の色温度が高いため生じた、光源の
グレアの程度の増加の問題を解決できる。
また、可視域の光放射の効率低下を最小限に抑えつつ
上記効果を最大限に得るように提供することであり、本
発明の実施例に示した構成においては、前照灯灯具の光
学系が紫外線を浴びることがなくなるため、前照灯灯具
寿命の延命も可能である。
さらに、車両用高輝度放電ランプ自身に前記光学材料
を組み合わせておけば、車両用高輝度放電ランプ交換に
より、前記光学材料の整備保全が利き、前記光学材料を
確実に整備保全が利くように提供でき、その効果は非常
に大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す車両用前照灯装置の構
成図、第2図は放射の波長と各種作用を誘引する程度と
の関係図、第3図は色温度と輝度とグレアの関係図であ
る。 1……高輝度放電ランプ、2……前照灯灯具、3……光
学材料、4……前面ガラス、5……反射板。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高輝度放電ランプを光源とし、前記光源か
    らの光を前面光透過材を通して環境へ照射する車両用前
    照灯装置であって、前記光源からの光放射の紫外線をカ
    ットする特性を有し、かつ所定の波長傾斜幅を持った光
    学材料を前記前面光透過材と前記光源との間に介在させ
    たことを特徴とする車両用前照灯装置。
  2. 【請求項2】高輝度放電ランプを光源とし、前記光源か
    らの放射を配光制御する反射板と、前記光源からの光を
    前面光透過材を通して環境へ照射する車両用前照灯装置
    であって、前記放射の紫外線をカットする特性を有し、
    かつ所定の波長傾斜幅を持った光学材料を前記反射板と
    前記光源との間に介在させたことを特徴とする車両用前
    照灯装置。
  3. 【請求項3】高輝度放電ランプを光源とし、前記光源か
    らの放射を配光制御する反射板と、前記光源からの光を
    前面光透過材を通して環境へ照射する車両用前照灯装置
    であって、前記放射の紫外線をカットする特性を有し、
    かつ所定の波長傾斜幅を持った光学材料を前記光源と前
    記反射材との間および前記光源と前記前面光透過材との
    間に介在させたことを特徴とする車両用前照灯装置。
  4. 【請求項4】高輝度放電ランプを光源とし、前記光源か
    らの光を前面光透過材を通して環境へ照射する車両用前
    照灯装置であって、前記光源からの光放射の紫外部と可
    視域短波長部をカットする特性を有した光学材料を前記
    前面光透過材と前記光源との間に介在させたことを特徴
    とする車両用前照灯装置。
  5. 【請求項5】高輝度放電ランプを光源とする車両用前照
    灯において、前記車両用前照灯光源からの放射が、環境
    へ照射されるまでに、ある波長以下の光をカットするシ
    ャープカット特性を有し、前記シャープカット部の波長
    傾斜幅が35nm以内、かつ、前記波長傾斜幅の中央に該当
    する波長が435nm以下である光学材料を介在させたこと
    を特徴とする車両用前照灯装置。
  6. 【請求項6】請求項1から請求項5のいずれかに記載の
    車両用前照灯において、光学材料に、波長435nm付近と
    波長635nm付近の可視光についての色温度変換能力を示
    すB−R変換能力が0以上である特性を持たせたことを
    特徴とする車両用前照灯装置。
  7. 【請求項7】請求項1から請求項6のいずれかに記載の
    光学材料の特性を持つバルブまたは反射材を有する車両
    用高輝度放電ランプを使用したことを特徴とする車両用
    前照灯装置。
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