JP2574884B2 - クレーンの連動特性を設定する方法 - Google Patents

クレーンの連動特性を設定する方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明に係るクレーンの連動特性を設定する方法
は、各種重量物の荷役作業を行なう為のクレーンのブー
ムの伸縮時に、ロープの先端に吊り下げられたフックが
上昇し過ぎたり、反対に下降し過ぎたりしない様にする
為、ブームの伸縮とロープの巻き取り、送り出しとが確
実に連動して行なわれる様にする為等に利用する。
(従来の技術) 各種重量物の荷役作業を行なう為従来から、例えば第
2図に示す様なクレーンが使用されている。
このクレーンは、垂直軸を中心として360度回転自在
な旋回台(図示せず)の上面に植設された支柱1の上端
部にブーム2の基端部を枢支し、支柱1とブーム2との
間に油圧シリンダ3を設ける事で、ブーム2を起伏自在
としている。
テレスコープ状に伸縮自在とされたブーム2には、油
圧シリンダ4を内蔵しており、この油圧シリンダ4への
圧油の給排により、ブーム2を伸縮自在としている。
支柱1の上端部(或は旋回台の上面)に設けられた、
図示しない油圧モータにより回転駆動されるドラム5か
ら引き出され、ブーム2の先端部に枢支したプーリ6に
掛け渡したケーブル7の先端は、ブーム2の先端部に結
合しており、この先端部とプーリ6との間部分に、動滑
車8を介してフック9を吊り下げている。
この様なクレーンは、例えば第3図に示す様な油圧回
路により制御され、旋回台を旋回させたり、ブーム2を
起伏或は伸縮させたり、ドラム5を回転させたり、フッ
ク9を昇降させたりする事により、重量物の上げ下ろし
作業を行なう。
尚、第3図に示した油圧回路に於いて、複数個設けら
れた油圧回路切換弁10、10は、第3図の上から順番に、
ブーム2の伸縮用、ドラム5の回転用、ブーム2の起伏
用、旋回台の旋回用である。各油圧回路切換弁10、10の
スプール11、11は、手動により操作されるハンドル29、
29による他、油圧で動く切換シリンダ12、12によっても
駆動自在としており、各切換シリンダ12、12には、それ
ぞれ電磁弁13、14によって圧油が給排される様にしてい
る。又、各切換シリンダ12、12の位置は、変位計15、15
によって検出自在とし、切換シリンダ12、12の位置を通
じて、クレーンの状態を検知出来る様にしている。
ところで、上述の様に構成され使用されるクレーンに
於いては、ブーム2を伸縮させる場合、伸縮に伴ってド
ラム5とプーリ6との距離が変化する為、ドラム5を固
定したままだと、フック9とプーリ6との距離lが変化
してしまう。
例えば、ドラム5を固定したままブーム2を縮めた場
合、上記距離lが長くなり、反対に、ドラム5を固定し
たままブーム2を伸ばすと、上記距離lが短くなる。
ブーム2の収縮に伴ってフック9とプーリ6との距離
lが極端に長くなった場合、フック9が地面に達し、プ
ーリ6と動滑車8との間に存在するケーブル7が緩ん
で、ケーブル7がプーリ6や動滑車8から外れる原因と
なる。
又、ブーム2の伸長に伴ってフック9とプーリ6との
距離lが極端に短くなった場合、動滑車8とブーム2と
が衝突し、ブーム2等を損傷する原因となる。
この為従来から、ブーム2を伸縮する場合は、作業員
が手動によりドラム5を回転させ、ケーブル7を、ブー
ム2の伸縮量に見合うだけ送り出し、或は巻き取って、
上記距離lが大きくは変化しない様にしていた。更に、
ブーム2の先端部には、フック9の過度の上昇を検知す
る検知手段を設け、この検知手段により、フック9の過
度の上昇が検知された場合には、ブーム2の伸長作業を
停止すると共に、ブザー等による警報を発する様にして
いた。
しかしながら、この様に人手によって、プーリ6とフ
ック9との距離lを一定に保つ事は、面倒で、熟練を要
するだけでなく、検知手段が故障した場合は、フック9
の過度の上昇を確実には防止出来なくなる。
この様な不都合を解消する為、本発明者は先に、ブー
ム2の伸縮とフック9を吊り下げたケーブル7の巻き取
り、送り出しとを連動させる、フックの位置調節機能付
クレーンに関する発明(実願昭63−133416号)を成し
た。
このフックの位置調節機能付クレーンは、第4図のブ
ロック線図に示した様な構成を有し、第5図のフローチ
ャートに示す様に機能するものである。
作業員が操作する制御盤16(テレビ等のリモコンボッ
クスの様なもの)からクレーンの制御器17に送られた制
御信号は、更にこの制御器17から、ブーム2を伸縮させ
る油圧シリンダ4への圧油の給排を制御する為の伸縮制
御部18と、ドラム5を回転させ、フック9を上下させる
為の、油圧モータへの圧油の給排を制御する為のフック
上下制御部19と、油圧シリンダ3への圧油の給排を制御
し、ブーム2を起伏させる為の起伏制御部20と、旋回台
を旋回させる為の油圧モータへの圧油の給排を制御する
旋回制御部21と、上記各制御部18〜21に圧油を供給する
圧油ポンプ駆動用のエンジンの回転数を制御する為のア
クセル制御部22とに、それぞれ独立に送られる。
上記各制御部の内、制御部18〜21はそれぞれ、電磁弁
13、14の切り換えによって移動するサーボシリンダ24、
24と、このサーボシリンダ24、24によって駆動され、油
圧回路を切り換える切換スプール23、23(前述のスプー
ル11、11に相当する。)とから成り、所定の油圧を、所
定の油圧シリンダ或は油圧モータに送り込む様にしてい
る。
又、アクセル制御部22は、電磁弁25、26の切り換えに
よって移動するアクセルシリンダ27を有し、このアクセ
ルシリンダ27によって、直接アクセルを駆動する様にし
ている。
各制御部18〜22のシリンダ24、27には、変位計15、28
を付設し、各シリンダ24、27の変位を通じて、各制御部
18〜22の制御状態を検出する様にしている。
上述の様に構成される先発明の、フックの位置調節機
能付クレーンにより荷役作業を行なう場合、先ず制御器
17の電源をオンし、ステップ1として、変数の初期化
等、制御器17のプログラムの初期化を行なう。
次いで、ステップ2として、制御盤16からの指令信号
の検出を行ない、この指令信号をA/D変換してから、制
御器17のメモリに記憶する。又、ステップ3として、各
変位計15、28からのフィードバック信号を検出し、この
信号をA/D変換してから、各制御部18〜22の制御状態を
表わす信号として、制御器17のメモリに記憶しておく。
この状態から、ドラム5の回転に伴うフック9の上下
操作が行なわれているか否か(ステップ4)、ブーム2
の伸縮操作が行なわれているか否か(ステップ5)を検
出し、フック9の上下操作が行なわれている場合、及び
フック9の上下操作もブーム2の伸縮操作も行なわれて
いない場合は、そのままステップ7に進み、ステップ2
で制御器17のメモリに記憶させた指令信号と、ステップ
3で検出したフィードバック信号とから、各部の状態
(指令に基づく目標に対する偏差)を検出し、制御器17
のメモリに記憶する。
又、フック9の上下操作は行なわれていないが、ブー
ム2の伸縮操作が行なわれている場合は、ステップ6と
して、フック9の位置を自動調整する(フック9とプー
リ6との距離lをほぼ一定値とする)為に、ブーム2を
伸縮させる為の指令信号又はブーム2の制御状態を示す
フィードバック信号から、フック9を昇降させる為にド
ラム5回転用の油圧モータを制御する為の制御信号を求
め、制御器17のメモリに記憶する。
このステップ6により求められたフック2を上下させ
る為の指令信号に基づき、ステップ8に於いて、フック
上下制御部19の電磁弁13、14が制御され、この結果とし
て、ブーム2が伸長する場合には、ドラム5がケーブル
7を送り出す方向に回転し、ブーム2が収縮する場合に
は、ドラム5がケーブル7を巻き取る方向に回転する。
この為、ケーブル7により吊り下げられたフック9
と、ブーム2の先端に枢支したプーリ6との距離lが大
きく変わる事がなくなり、フック9が地面に当たった
り、ブーム2の先端部と衝突する事が防止される。
(発明が解決しようとする課題) ところが、上述の様な先発明に係るフックの位置調節
機能付クレーンに於いても、依然として次に述べる様
な、解決しなければならない問題点が存在する。
即ち、ブーム2の伸縮とドラム5の回転とを同期させ
る為の信号を求める式は、実験により求めて、制御盤に
組み込んだ演算処理回路の記憶部に予め記憶させておく
が、クレーンの油圧回路を構成する油圧回路切換弁10、
10の流通抵抗や、各油圧シリンダや油圧モータの抵抗値
は微妙に異なる為、異なるクレーンを制御する演算処理
回路に同じ式を記憶させた場合(たとえ同じ型式のクレ
ーンであったとしても)、必ずしもブーム2の伸縮とド
ラム5の回転とが同期しなくなってしまう。
本発明のクレーンの連動特性を設定する方法は、この
様な不都合を解消するものである。
(課題を解決する為の手段) 本発明のクレーンの連動特性を設定する方法は、クレ
ーンのブームを伸縮させる為の油圧シリンダとフックを
吊り下げたケーブルを巻いたドラムを駆動する為の油圧
モータとの様に、それぞれが油圧により駆動される第
一、第二の動作部を有し、第一、第二の動作部を独立し
て動作させる他、第一、第二の動作部を連動させて動作
自在としたクレーンに於いて、第一、第二の動作部同士
が連動する特性を設定するものである。
この様なクレーンの連動特性を設定する本発明の方法
は、クレーンの制御盤を設定作業を行なう状態に切り換
えた後、第一、第二の動作部が互いに独立して動作する
状態で、第一の動作部に所定の動作を行なわせつつ、上
記制御盤に設けた調整器により第二の動作部の動作速度
を調節する事で、第一、第二の動作部同士を適切な連動
状態とし、第一、第二の動作部同士を適切な連動状態と
なった際に設定用のスイッチを操作する事で、その瞬間
に於ける第一の動作部を動作させる為の第一の指令信号
と第二の動作部を動作させる為の第二の指令信号との関
係を計算し、この計算値を第一の動作部と第二の動作部
との連動特性として、不揮発性の記憶部に記憶させる。
(作用) 上述の様に構成される本発明のクレーンの連動特性を
設定する方法により、第一、第二の両動作部同士の連動
特性を設定した場合、設定された連動特性は、クレーン
個々の特性を考慮したものとなる為、上記両動作部同士
の連動を確実に行なえる様になる。
(実施例) 次に、本発明の設定方法を表わした第1図のフローチ
ャートを参照しつつ、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の方法により第一の動作部(例えばブーム2の
伸縮部)と第二の動作部(例えばフック9の昇降部)と
の連動特性を設定する場合、クレーンの制御盤を設定作
業を行なう状態に切り換える。この切換作業は、上記制
御盤に設けた設定モードスイッチをONする事により行な
う。
この様に制御盤を設定作業を行なう状態に切り換えて
クレーンの操作を開始すると、先ずステップ1として、
変数の初期化等、制御器のプログラムの初期化を行なっ
てから、ステップ2として、第一の動作部を動作させる
為、制御盤から送り込まれる指令信号の検出を行ない、
この指令信号をA/D変換してから、制御器のメモリに記
憶する。
これらステップ1、2を経た後、ステップ3として、
制御盤が設定モード(第一、第二の動作部の連動特性を
設定し直す為のモード)であるか否かを判定する。設定
モードでなかった場合には、そのままステップ7に進
み、既に記憶されている連動特性をそのまま利用して、
第二の動作部を動作させる為の連動量を計算し、ステッ
プ8に進んで、各動作部を駆動する為の油圧回路中の油
圧切換弁の変位を測定する変位計からのフィードバック
信号を検出し、続くステップ9で、この信号と指令信号
との比較により両者の偏差eを求め、ステップ10、11
で、この偏差eが基準値以下となる様に(動作部の状況
が指令通りになる様に)、各動作部の制御用油圧回路中
の電磁弁を制御する。
尚、ステップ1、2、7、8、9、10、11と続く場合
の作用は、前述した先発明の場合と同様である為、詳し
い説明は省略する。
又、ステップ3により、制御盤が設定モードであると
判定された場合(今回の場合は、前述の様に制御盤に設
けた設定モードスイッチがONされているので、設定モー
ドであると判定される。)には、ステップ4、5、6
で、本発明の設定方法による、連動特性の設定を行な
う。
この場合先ず、ステップ4で連動特性の検出を行なう
が、上記設定モードスイッチがONされる事に伴い、第
一、第二の動作部が互いに独立して動作する状態とされ
ている。
この状態で、第一の動作部に設定の動作を行なわせつ
つ(例えば油圧シリンダ4によりブーム2を伸張させつ
つ)、上記制御盤に設けた調整器(例えばアクセル調節
用のダイヤルを利用出来るが、この場合、ダイヤルとア
クセルの制御部とは切り離す。)により第二の動作部の
動作速度(例えば油圧モータによりドラム5を回転さ
せ、フック9を吊り下げたケーブル7を送り出す速
度。)を調節する事で、第一、第二の動作部同士を適切
な連動状態とする。この際、両動作部に送り込まれる互
いに独立した1対の信号は、常に制御器でのチェックを
受け、この1対の信号から、両動作部の連動特性を検出
しておく。
作業員が目視により第一、第二の動作部同士の連動状
態を観察しつつ、上記調整器による調整作業を行ない、
両動作部同士が適切な連動状態となった(ブームの伸張
に拘らず、フック9とプーリ6との距離lが変化しな
い。)と判断された際には、ステップ5で作業員が、設
定用のスイッチ(例えば警報用ホーンのボタンを利用出
来るが、この場合、ボタンとホーンの制御部とは切り離
す。)を操作する事により、その瞬間に於ける第一の動
作部と第二の動作部との連動特性を、ステップ6で、新
たに使用する連動特性として、制御部17(第4図)に付
属の不揮発性の記憶部に記憶させる。
この様にして本発明のクレーンの連動特性を設定する
方法により、第一、第二の両動作部同士の連動特性を設
定した場合、設定された連動特性は、クレーン個々の特
性を考慮したものとなる為、上記両動作部同士の連動を
確実に行なえる様になる。
上述の様にして連動特性の更新を行なったならば、更
新された連動特性に基づいて得られた連動量を表わす信
号により次のステップ8、9、10、11に進む。
(発明の効果) 本発明のクレーンの連動特性を設定する方法は、以上
に述べた通り構成され作用する為、伸縮するブームの先
端に枢支したプーリとフックとの距離が、ブームの伸縮
に拘らず大きく変化する事を防止して、フックがケーブ
ルから外れたり、或はフックがブームに衝突する事を防
止する等、クレーンを構成する2以上の動作部同士の連
動を、クレーン個々の特性の相違に関係なく、確実に行
なう事が出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のクレーンの連動特性を設定する方法を
示すフローチャート、第2図はクレーンの1例を示す略
側面図、第3図はクレーンの油圧制御回路の1例を示す
油圧回路図、第4図は先発明に係るフックの位置調節機
能付クレーンの制御部を示すブロック図、第5図はこの
制御部の作用を示すフローチャートである。 1:支柱、2:ブーム、3、4:油圧シリンダ、5:ドラム、6:
プーリ、7:ケーブル、8:動滑車、9:フック、10:油圧回
路切換弁、11:スプール、12:切換シリンダ、13、14:電
磁弁、15:変位計、16:制御盤、17:制御器、18:伸縮制御
部、19:フック上下制御部、20:起伏制御部、21:旋回制
御部、22:アクセル制御部、23:切換スプール、24:サー
ボシリンダ、25、26:電磁弁、27:アクセルシリンダ、2
8:変位計、29:ハンドル。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれが油圧により駆動される第一、第
    二の動作部を有し、第一、第二の動作部を独立して動作
    させる他、第一、第二の動作部を連動させて動作自在と
    したクレーンに於いて、第一、第二の動作部同士が連動
    する特性を設定する、クレーンの連動特性を設定する方
    法であって、クレーンの制御盤を設定作業を行なう状態
    に切り換えた後、第一、第二の動作部が互いに独立して
    動作する状態で、第一の動作部に所定の動作を行なわせ
    つつ、上記制御盤に設けた調整器により第二の動作部の
    動作速度を調節する事で、第一、第二の動作部同士を適
    切な連動状態とし、第一、第二の動作部同士を適切な連
    動状態となった際に設定用のスイッチを操作する事で、
    その瞬間に於ける第一の動作部を動作させる為の第一の
    指令信号と第二の動作部を動作させる為の第二の指令信
    号との関係を計算し、この計算値を第一の動作部と第二
    の動作部との連動特性として、不揮発性の記憶部に記憶
    させる、クレーンの連動特性を設定する方法。
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DE19931301B4 (de) * 1999-07-07 2005-08-18 Liebherr-Werk Ehingen Gmbh Verfahren und Vorrichtung zum Führen eines Kranlasthakens
CN102887448B (zh) * 2012-09-26 2015-04-22 三一重工股份有限公司 控制系统、方法及工程机械

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