JP2574710Y2 - 壁パネルの縦目地シール構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、隣接する壁パネル間
に形成される縦目地のシール構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】軽量気泡コンクリートパネル（ＡＬＣパ
ネル）、あるいはプレキャストコンクリートパネル（Ｐ
Ｃパネル）等の壁パネルで構成される外壁には、壁パネ
ル間の縦方向及び横方向に各々縦目地及び横目地が形成
される。そして、その目地部分には、防水性または耐火
性を確保するために、ガスケット等からなる定形シーリ
ング材、または流動性のあるシリコン樹脂等からなる不
定形シーリング材、あるいはロックウール等からなる耐
火目地材が配設されている。

【０００３】従来における目地部分のシールとして、目
地部分の外壁面側については、円柱状等の弾性材からな
るバックアップ材を配設し、その後不定形シーリング材
をバックアップ材の外壁面側に充填して一次シールを行
い、他方内壁面側については耐火目地材あるいは定形シ
ーリング材を配設して二次シールを行う等、適宜一次シ
ールと二次シールを組み合わせた構造がある。通常この
シール構造は、横目地、縦目地とも同じ構造が採用され
ている。

【０００４】しかし、横目地部分と縦目地部分とは、壁
パネルの配設構造上、要求されるシール性が異なる。例
えば防水性能からみた場合、横目地部分は下側に位置す
る壁パネルの上端の一部に段差を形成すれば、一次シー
ル部材が劣化、損傷等によりその防水性が低下すること
があっても、前記段差部分で雨水の侵入を阻止すること
ができる。それに対して、縦目地部分は壁パネルに段差
部分を設けても防水効果は少なく、一次シールが不良に
なった場合には全面的に二次シールに頼る以外なかっ
た。

【０００５】従って、縦目地の場合は、一次シールと同
様に二次シールの性能についても高いものが要求され
る。ところが、二次シールに用いられる耐火目地材ある
いはガスケット等の定形シーリング材は、壁パネル端部
のシール面の凹凸等に馴染み難く、地震等による壁パネ
ルの揺れにより、シール面との間に隙間を生じる恐れが
ある。そのため、従来のシール構造では前記の要求を十
分満たすことができなかった。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】そこでこの考案は、前
記の点に鑑み、地震等の際にも壁パネルの変動に追従し
て常に高いシール性を発揮し、耐久性及び施工性にも優
れる縦目地シール構造を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この考案は、壁パネルの
縦目地部内に内壁面側のバックアップ材と外壁面側のバ
ックアップ材を配設し、前記両バックアップ材の外壁面
側に各々シーリング剤を充填するとともに、前記外壁面
側のバックアップ材と内壁面側のシーリング剤間に耐火
目地材を配設してなる壁パネルの縦目地シール構造に係
る。

【０００８】

【作用】この考案の縦目地シール構造によれば、外壁面
側の一次シールはシーリング剤とバックアップ材により
構成され、また内壁面側の二次シールは耐火目地材、シ
ーリング剤及びバックアップ材により構成される。した
がって、地震等に際しても、二次シール部分ではシーリ
ング剤が壁パネルのシール面に追従して変形し、常に高
いシール性を発揮する。また、耐火目地材の存在により
シーリング剤及びバックアップ材の熱劣化、火気劣化を
防止する。

【０００９】

【実施例】以下添付の図面に従ってこの考案を詳細に説
明する。図１はこの考案の一実施例における縦目地部分
を示す断面図である。

【００１０】軽量気泡コンクリートパネルあるいはプレ
キャストコンクリートパネル等からなる壁パネルＰは、
所定間隔で建物躯体（図示せず）外面に取付けられ、隣
接パネルＰ，Ｐ間に縦目地部Ｍが形成されている。

【００１１】縦目地部Ｍ内の内壁面Ｎ側には、バックア
ップ材１１が挿入配設されている。バックアップ材１１
は、ゴム等の弾性材からなり、この実施例では円形断面
をした紐状体で構成されている。このバックアップ材１
１は、後記するシーリング剤のバックアップを主目的と
して用いられるもので、縦目地部Ｍの隙間より大なる断
面形状のものが、やや強引に縦目地部Ｍ内に圧入され
る。その圧入作業は、外壁面Ｇ側から容易に行うことが
できる。

【００１２】バックアップ材１１の外壁面Ｇ側には、シ
ーリング剤２１が充填される。充填されたシーリング剤
２１は、パネルＰのシール面Ｓの凹凸形状に従ってシー
ル面Ｓに密着する。なお、シーリング剤２１としてはシ
リコン樹脂等の公知のものが使用される。またシーリン
グ剤２１の充填は、先端が細い筒状になった公知の充填
装置により外壁面Ｇ側から容易に行うことができる。

【００１３】シーリング剤２１の外壁面Ｇ側には、耐火
目地材３１が配設される。耐火目地材３１としては、ロ
ックウール等が好適に用いられる。この耐火目地材３１
は、外壁面Ｇ側から縦目地部Ｍ内に押し込まれる。な
お、この耐火目地材３１、前記シーリング剤２１及びバ
ックアップ材１１が、縦目地部Ｍの内壁面Ｎ側シール、
すなわち二次シールを構成する。

【００１４】また、前記耐火目地材３１の外壁面Ｇ側に
は、別のバックアップ材４１が配設される。このバック
アップ材４１は、前記内壁面Ｎ側のバックアップ材１１
と同様のものが外壁面Ｇ側から圧入される。そして、そ
のバックアップ材４１の外壁面Ｇ側に、内壁面Ｎ側に充
填したシーリング剤２１と同様のシーリング剤５１が充
填される。充填されたシーリング剤５１は、壁パネルＰ
のシール面Ｓの凹凸形状に従ってシール面Ｓに密着す
る。このシーリング剤５１およびバックアップ材４１
が、縦目地部Ｍの外壁面Ｇ側シール、すなわち一次シー
ルを構成する。

【００１５】

【考案の効果】以上図示し説明したように、この考案に
よれば、縦目地部の内壁面側にもシーリング剤を充填す
るため、地震等の際に前記シーリング剤が壁パネルのシ
ール面の変動に追従し、極めて高いシール性が長期にわ
たって得られる。また、外壁面側のバックアップ材と内
壁面側のシーリング剤間に耐火目地材を配設するため、
熱気あるいは火気によるシーリング剤あるいはバックア
ップ材の劣化を防止することもできる。さらに、シール
作業は鉄骨躯体等に邪魔されることなくすべて外壁面側
から行えるため、作業性に優れる効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例における縦目地部分を示す
断面図である。

【符号の説明】

１１，４１ バックアップ材 ２１，５１ シーリング剤 ３１ 耐火目地材 Ｇ 外壁面 Ｎ 内壁面 Ｐ パネル

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁パネルの縦目地部内に内壁面側のバッ
   クアップ材と外壁面側のバックアップ材を配設し、前記
   両バックアップ材の外壁面側に各々シーリング剤を充填
   するとともに、前記外壁面側のバックアップ材と内壁面
   側のシーリング剤間に耐火目地材を配設してなる壁パネ
   ルの縦目地シール構造。