JP2573731B2 - 感熱性高分子を利用した染色方法 - Google Patents

感熱性高分子を利用した染色方法

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JP2573731B2
JP2573731B2 JP2231136A JP23113690A JP2573731B2 JP 2573731 B2 JP2573731 B2 JP 2573731B2 JP 2231136 A JP2231136 A JP 2231136A JP 23113690 A JP23113690 A JP 23113690A JP 2573731 B2 JP2573731 B2 JP 2573731B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
本発明は、水と共存する状態で温度によって可逆的に
親水性(低温)−疎水性(高温)に相転移する感熱性ポ
リアクリルアミド系誘導体を主要成分とするフィルムを
用い、布帛の片面にのみ染色する方法に関し、特に薄い
布であっても、染料が他方の面に浸透せず、ほぼ完全に
その片面のみに所定の色または模様を浸染法により染色
することを可能とした染色方法に関する。
【従来の技術】
布帛の所定部分のみを染色せず白色模様として浮き上
がらせるか、あるいは異色に染め分けるいわゆる防染に
おいては、一般に、所定の模様部分に伏糊として防染糊
を塗布、予備乾燥し、しかる後この模様を含む布帛全面
に通常の捺染糊をオーバープリントし、蒸熱等により発
色するか、あるいは該繊維製品を通常の染料水溶液でパ
ティング後常法で固着させたり、染浴中で染色する方法
がとられている。この場合、防染糊には、表面からの染
料の浸透および拡散を阻止する機能(物理的防染)、或
は防染糊中の還元剤の作用により表面から浸透および拡
散する染料を分散させる機能(化学的防染)のいずれか
の機能を有することか要求される。 前記の染色方法において、防染効果を上げるために
は、防染糊に前記2つの機能を合わせる必要がある。し
かしこの場合には、糊剤中の固形分量が多くなり、その
印捺特性が低下するため、均一な防染層の形成が困難と
なり、染色時に色むらが生じることが知られている。ま
た、着色防染の場合に、防染糊中の還元剤で分解されな
い染料が限定され、したがって色相が限定されることも
大きな課題となる。さらに地色を浸染によって染色する
場合には、防染糊の溶解を防ぐため、これを溶剤溶解性
の樹脂で固めたり、濃厚なエマルジョンペーストとする
ことが行われている。しかし、前者の場合は、印捺特性
がきわめて悪いことに加え、後処理に再び溶剤を用いて
伏糊を除去しなければならないという欠点がある。ま
た、後者の場合は、濃厚エマルジョンペースト内に介在
する製造時の乳化剤が伏糊皮膜中に残存しているため表
面から染液が浸透をするという欠点がある。また、浸染
による防染糊の溶解防止のためワックスを用いる場合も
ある。しかしこれは、コールドパッチのような低温染色
には適するが、通常の高温染色では熱のためにワックス
が溶解してしまう。以上に加え、従来の方法では、予備
乾燥を完全に行うため多量の熱エネルギーを必要とし、
また染色処理後に固化の進んだ防染糊を除去することが
大きな問題となっている。 このような理由から、従来の染色方法により布帛を異
色染めするのには、相当高度な技能を要すると共に、防
染糊の塗布とその処理に多大な手数がかかるという課題
があった。 このような課題に対し、本発明者らは、感熱性高分子
であるポリアクリルアミド系誘導体の粘稠水溶液を主成
分とする水溶液が、伏糊として防染効果を有することを
見出した。すなわち、オートスクリーンなど通常の捺染
糊の場合と同様の方法で、布帛の表面に所定模様で前記
ポリアクリルアミド系誘導体の粘稠水溶液を印捺する。
しかる後、予備乾燥なしで、模様部分を含む布帛表面
に、通常の捺染糊を前記防染糊の転移温度以上でオーバ
ープリントし、通常の蒸気を用いた方法で固着発色させ
るか、あるいは同様に予備乾燥なしで、転移温度以上で
のパティングないし浸染によって所定模様部分以外に地
色染料を染着させる。該防染糊を印捺された所定模様部
分においては、相転移温度以上での加熱により防染糊中
の感熱性ポリアクリルアミド系誘導体が疎水化し、その
上オーバープリントされた捺染糊中の染料を吸着すると
同時に染料移行の障害となり、布帛への染料染着を防止
する。この場合において疎水化した感熱性ポリアクリル
アミド系誘導体は布帛表面で模様部分外からの染料移行
を阻害するため所定模様部分はきわめて有効かつ精密に
防染される。 このような感熱性ポリアクリルアミド系誘導体を主成
分とする防染材料は、親水性と疎水性とに変わる移転温
度が常温よりやや高い温度にあって、且つ極めて狭い温
度幅にある。このため、この防染材料は所定の移転温度
を境として、その上下の温度において親水性と疎水性と
に極めて明確に変化する。従って、この防染材料をその
移転温度以下の低温で布帛の表面に塗布し、移転温度よ
り高温で染色しようとするとき、高い防染効果が得ら
れ、防染部分への染料の浸透が殆ど無い。他方、この防
染材料を布帛から洗浄除去しようとするときは、移転温
度より低温にすることで、簡単に洗浄できる。これによ
り、高度な技能を要することなく、縁取りの鮮明な染色
が可能となり、防染材料の処理もきわめて容易となる。
【考案が解決しようとする課題】
さらに本件発明者らは、前記のような感熱性ポリアク
リルアミド系誘導体の特性を利用し、その粘稠水溶液を
主成分とする水溶液を用いて布帛の片面のみを染色する
手段について検討を行った。しかしながら、前記感熱性
ポリアクリルアミド系誘導体は、前記のような移転特性
を有する一方で、その水溶液特有の粘度特性や移転温度
以下における親水特性から、その水溶液をそのまま布帛
に塗布する染色方法では、布帛の一面を完全に防染し、
他方の片面のみに染色することは極めて困難であった。
特に、絹布等の薄手の布帛を浸染法で染色する場合、前
記感熱性ポリアクリルアミド系誘導体の水溶液をそのま
ま布帛に塗布する方法では、布帛の他面に色抜けを起こ
すことなく、布帛の片面にのみ所定の色や模様を浸染法
による染色することは現実的に全く不可能である。 本件発明者らは、その理由について具体的に究明し、
検討した結果、次のような理由によることを明かにする
に至った。すなわち、前記感熱性ポリアクリルアミド系
誘導体の水溶液を布帛の片面に塗布すると、その水溶液
が布帛の他面にまで拡散、浸透してしまうことから、防
染しようとする布帛の片面に充分な感熱性ポリアクリル
アミド系誘導体の層を形成することができないと同時
に、染色しようとする布帛の他面側にまで感熱性ポリア
クリルアミド系誘導体が浸透し、回り込んでしまう。そ
の結果、防染しようとする布帛の片面において所望の防
染効果を挙げることができず、しかも染色しようとする
布帛の他面では染料による着色が阻害されてしまう。特
に、感熱性ポリアクリルアミド系誘導体の低濃度水溶液
を用いる場合、水溶液の粘度が低いことにより、布帛の
片面のみに防染効果のある充分な量の水溶液を印捺する
ことが不可能で、しかも水溶液が布帛の他面へも浸透も
しやすい。そのため、染料が防染しようとする面にも浸
透し、その面が汚染されてしまうと共に、染色しようと
する面への着色が阻害される。これにより、布帛の染色
しようとする面では不完全染色となり、布帛の防染しよ
うとする面では不完全防染となり、染色不良と同時に染
料の裏抜け状態となる。他方、感熱性ポリアクリルアミ
ド系誘導体の高濃度水溶液を用いる場合、水溶液の粘度
が高いことにより、布帛の片面に充分な量の水溶液を印
捺することが可能であり、しかも水溶液が布帛の他面へ
浸透しにくい。しかし、印捺工程等において、水溶液中
に気泡が発生しやすく、しかもこの気泡が感熱性ポリア
クリルアミド系誘導体の層の中に残留しやすい。このた
め、染色時に温度を上げて、感熱性ポリアクリルアミド
系誘導体を疎水化したとき、感熱性ポリアクリルアミド
系誘導体層が多孔質状となり、その孔を通して布帛の表
面に染料が浸透する。その結果、防染しようとする布帛
の片面側が斑状に染色されてしまう。 本発明は、このような従来の課題を解消することを目
的としてなされたもので、絹布等の薄い布帛でも、前記
感熱性ポリアクリルアミド系誘導体の水溶液を用いて、
布帛の防染しようとする面に、いわゆる染料の裏抜けを
生じさせることなく、染色しようとする片面にのみ所定
の色或は模様を染色することが可能な染色方法を提供す
ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明では、前記感熱性ポ
リアクリルアミド系誘導体を主成分とする水溶液をフィ
ルム状とし、この感熱性ポリアクリルアミド系誘導体フ
ィルムを予め湿潤した布帛の片面のみに貼り付けること
で、同布帛の片面のみに均一で緻密な防染層を形成し、
その状態で布帛を所定の色または模様に浸染することと
した。 すなわち、本発明による染色方法は、転移温度以上の
高温で疎水性、転移温度以下の低温で親水性となる感熱
性ポリアクリルアミド系誘導体を主成分とする水溶液を
フィルム状に形成し、この感熱性ポリアクリルアミド系
誘導体フィルムを予め湿潤した布帛の片面のみに貼り付
け、この布帛を前記転移温度以上の高温において所望の
ように浸染し、次いで前記転移温度以下の低温において
布帛から前記感熱性ポリアクリルアミド系誘導体フィル
ムを洗浄除去することを特徴とする。 さらに本発明では、前記染色方法において、フィルム
を布帛の片面のみに貼り付け、浸染した後、前記フィル
ムを洗浄除去するまでの工程を、布帛の各々異なる面に
前後して行うことを特徴とする。
【作用】
本発明の染色方法のように、前記感熱性ポリアクリル
アミド系誘導体を主成分とする水溶液をフィルム状と
し、このフィルムを予め湿潤した布帛の片面のみに貼り
付けることで、フィルムとしての状態をほぼ維持したま
ま、防染しようとする布帛の片面のみに前記フィルムを
完全に密着させることができ、これによって布帛の片面
のみに完全な防染層を形成することができる。 本件発明者らが行った実験によれば、これは次のよう
な作用によることが明かとなった。すなわち、親水性を
有する前記感熱性ポリアクリルアミド系誘導体フィルム
を予め湿潤した布帛の片面のみに貼り付けると、布帛を
構成する繊維に接したフィルム表面の一部が同繊維に含
まれた水により溶解し、フィルムの表面が個々の繊維を
半ば囲むようにして布帛の表面に貼り付く。しかし一方
で、このフィルム表面の水溶は布帛が貼り付いた片方の
表面のみに留まるため、フィルムとしての状態はほぼそ
のまま保持される。この結果、布帛の片面に均一な感熱
性ポリアクリルアミド系誘導体の層ができる。そしてこ
の層は、予め気泡が含まないように前記フィルムを形成
しておくことで、緻密な感熱性ポリアクリルアミド系誘
導体の層となり得る。 従ってその後、布帛の片面を前記感熱性ポリアクリル
アミド系誘導体の転移温度以上の高温において浸染する
と、フィルムは疎水化し、それを貼り付けた布帛の一面
が完全な状態で防染され、布帛の他方の片面のみが染色
される。すなわち、感熱性ポリアクリルアミド系誘導体
フィルムは、その表面が個々の繊維を半ば囲むようにし
て布帛の表面に貼り付くため、フィルムが疎水化する
と、布帛の染色しようとする他面側では、フィルムが付
着していない繊維の表面からのみ染料が浸透し、フィル
ムの表面部分に囲まれた繊維の他の部分からは染料が浸
透しない。また、フィルムがそのフィルムとしての状態
をほぼ維持したまま布帛に貼り付き、緻密な防染層が形
成されるため、染料が布帛の片面側に浸透するのが完全
に阻まれ、同片面が確実に防染される。この結果、布帛
の片面のみが確実に染色されると同時に、布帛の他面に
染料が全く浸透しない。すなわち、染色しようとする布
帛の片面のみが染色され、防染しようとする布帛の他面
が完全に防染されるので、完全な片面染色が行われる。 その後、感熱性ポリアクリルアミド系誘導体の転移温
度以下の低温において布帛を洗浄することで、前記フィ
ルムを布帛から容易に除去することができる。 さらに、布帛の染色及び防染する面を各々変えて、前
記と同様の工程を行えば、布帛の両面を完全に個別的に
染色することが可能となる。いわゆる、リバーシブル染
色が可能である。すなわち、布帛の両面を完全に各々異
なる色或は模様に染色することが可能である。
【実施例】
次に、本発明の実施例について、その望ましい実施態
様と共に詳細に説明する。 本発明においては、感熱性高分子をフィルム状とした
防染フィルムを用いる。この防染フィルムの主成分とな
る感熱性高分子としては、温度変化に敏感に応答して転
移し、かつ高温での転移後に非粘着性を示すものが好ま
しい。しかし、前記感熱性高分子のうち、PVA部分ケン
化物やポリエチレンオキシド、ポリビニルメチルエーテ
ルあるいは、高分子反応によって形成されたポリアクリ
ルアミド誘導体などは該防染材料の主成分としては好ま
しくない。 本発明の防染材料を構成する感熱性高分子は以下のア
クリルアミド系ビニル化合物の高分子の単独重合体もし
くは共重合体である。これらは、具体的には、N−エチ
ルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、
N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメ
タクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、
N、N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−エ
チルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルア
クリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリル
アミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイ
ルピペリジン、N−テトラヒドロフルフリルアクリルア
ミド、N−メトキシプロピルアクリルアミド、N−メト
キシプロピルメタクリルアミド、N−エトキシプロピル
アクリアミド、N−エトキシロピルメタクリルアミド、
N−イソプロポキシプロピルアクリルアミド、N−イソ
プロポキシプロピルメタクリアミド、N−エトキシエチ
ルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミ
ド、N−1−メチル−2−メトキシエチルアクリルアミ
ド、N−1−メチル−2−メトキシエチルメタクリルア
ミド、−N−1−メトキシメチルプロピルアクリルアミ
ド、N−1−メトキシメチルプロピルメタクリルアミ
ド、N−(2、2−ジメトキシエチル)−N−メチルア
クリルアミド、N−(1、3−ジオキソラン−2−イ
ル)アクリルアミド、N−8−アクロイル−1、4−ジ
オキサ−8−アザースピロ[4・5]デカン等をあげる
ことができる。これらのビニル化合物の単独重合体はそ
れぞれ固有の転移温度を有している。 さらに、この防染フィルムを形成する感熱性高分子は
前記のアクリルアミド系ビニル化合物と第二成分として
用いる他の共重合し得るビニル化合物との共重体であっ
てもよい。これらのビニル化合物としては、親水性ビニ
ル化合物(前記のアクリルアミド系ビニル化合物を除
く)、イオン性ビニル化合物、親油性ビニル化合物等を
あげることができ、これら1種類以上を用いることがで
きる。親水性ビニル化合物としては、例えば、N−メチ
ロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミ
ド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルア
クリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリ
ロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、ヒドロ
キシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−メトキ
シエチルアクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリ
ルアミド、N−メトキシプロピルメタクリルアミド、2
−メチル−5ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリ
ドン等をあげることができる。イオン性ビニル化合物と
しては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、2−アクリ
ルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、スチ
レンスルホン酸等及びそれらの塩、N,N−ジメチルアミ
ノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメ
タクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−
ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチ
ルアミノプロピルメタクリアミド等のアミン及びそれら
の塩をあげることができる。親油性ビニル化合物として
は、例えば、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−
ブチルメタクリルアミド、N−sec−ブチルアクリルア
ミド、N−sec−ブチルメタクリルアミド、N−tert−
ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルア
ミド、N−n−ヘキシルアクリルアミド、N−n−ヘキ
シルメタクリルアミド等のN−アルキルアクリルアミド
誘導体、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、
ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジ
ルメタクリレート等のアクリレート誘導体、アクリロニ
トリル、塩化ビニル、スチレン、α−メチルスチレン等
をあげることができる。 これら第二成分として用いるビニル化合物の共重合割
合は、これらビニル化合物の組み合わせにもよるが、通
常全ビニル化合物90モル%以下、好ましくは60%以下で
ある。 一般に感熱性を有する共重体水溶液の転移温度は、構
成単位となるビニル化合物の種類、組み合せ及びその組
成比によって制御することができる。その場合、単独重
合体が感熱性であるビニル化合物2種類以上で形成され
た共重合体では、各単独重合体の転移温度とその組成比
との間に加成性が成り立つことが多い。又、単独重合体
が感熱性であるビニル化合物1種類以上と、他の共重合
しうる感熱性でないビニル化合物1種類以上とを共重合
する場合、それらビニル化合物の導入により、共重合体
水溶性の転移温度は変化するが、一般には親水性ビニル
化合物の導入は転移温度を下降させる傾向にある。多量
の親油性ビニル化合物の導入は、共重合体を水不溶性に
する。防染フィルムの原料となる溶液を調整するにあた
って、これらの感熱性ポリアクリルアミド系誘導体の濃
度は用いる当該高分子の種類と分子量によって異なる
が、たとえば分子量約300,000のポリ−N−イソプロピ
ルアクリルアミド(以下ポリNIPAM)水溶液で10〜30
%、好ましくは約25%であり、分子量約1,000,000のポ
リNIPAMで3〜10%、好ましくは約5%である。このよ
うな溶液を調製するにあたり、感熱性ポリアクリルアミ
ド系誘導体を単独で用いてもよいが、二種類以上の異な
る感熱性ポリアクリルアミド系誘導体を混合して用いて
もよい。さらに必要に応じて各種の塩や界面活性剤等の
第三成分を配合してもよい。この場合一般にこれら第三
成分の配合により、感熱性ポリアクリルアミド系誘導体
の単独水溶液に比し、第三成分の種類と量に応じその転
移温度が低下ないし上昇することに留意する必要があ
る。すなわち、このような感熱性ポリアクリルアミド系
誘導体の粘稠水溶液は、調製条件で決まる固有の転移温
度を有する。 本発明による染色方法では、前記の防染材料の水溶液
を、例えば弗素系樹脂容器へキャストし、フィルム状に
成形したものを使用する。防染フィルムの厚さは、0.5m
m〜1mmが好適であるが、特に制限はない。使用の際、防
染フィルムは所定の形状に裁断される。 水で湿潤された布帛の片面のみに前記防染フィルムを
貼り付けた後、望ましくは一旦乾燥し、その後、例えば
感熱性高分子固有の転移温度以上の温度の染浴中に前記
布帛を浸漬し、その後、感熱性高分子固有の転移温度以
下の温度の水で、布帛に設けた防染フィルムを洗い落
す。これにより、布帛の一方の面への染色が完了する。 さらに、布帛の他方の面にも染色しようとするとき
は、既に染色した布帛を予め湿潤し、前記と同様の防染
フィルムを前記布帛の他方の面に貼り付けた後、感熱性
高分子固有の転移温度以上の温度の染浴中に前記布帛を
浸漬し、その後感熱性高分子固有の転移温度以下の温度
の水で、布帛に貼り付けた防染フィルムを洗い落す。こ
れにより、両面の染色が完了する。 本発明の染色方法の対象となる繊維素材は、天然繊
維、合成繊維のいかなるものであってもよく、特に、絹
布等の薄い布帛であっても、その片面のみの染色が可能
である。特に片面のみの染色には最も条件の悪い浸染法
であっても、布帛の片面のみの染色が可能である。ま
た、着色防染用の差し色染料は、還元剤が共存しないの
で必ずしも不抜染料に限定されることがない。しかしな
がら染料の種類によっては、低濃度の添加で感熱性高分
子材料が不溶化することがある。添加される塩、界面活
性剤等の第三成分についても特に制限はないが、このよ
うな不溶化には留意しなければならない。 次に具体的な実施例により本発明を詳細に説明する。 (実施例) テトラヒドロフラン中における27℃での極限粘度
[η]=1.04(分子量1.98×106)のポリNIPAMの20%水
溶液を調製した後、30cm×30cmの弗素系樹脂バットに流
し込み、自然乾燥し、厚さ0.34mmの防染フィルムを作成
した。この防染フィルムは透明で、バットからの剥離は
良好であった。 予め水で湿潤された10cm×10cmの14匁付平織り絹布
(日本規格協会、染色堅ろう度試験用添付白布)の被染
布の片面に、これと同寸法の前記防染フィルムを貼り付
け、乾燥し、再び被染布を湿潤後、イルガノールブリリ
アントイエロー3GL(チバガイギー)0.1%溶液(酢酸で
PH4に調製)、浴比1:200、50℃の染浴中で染色を開始
し、加熱昇温させ、100℃近くで10分間浸染後、被染布
を引き上げ水洗、乾燥した。このとき、防染フィルムの
糊落ちは良好であった。イルガノールブリリアントイエ
ロー3GLにより片面は鮮明な黄色、防染フィルムを貼り
付けた面は良好な白残しが観測された。すなわち、完全
な片面染色がなされた。 次に、イルガノールブリリアントイエロー3GLにより
黄色に染色された絹布面を水で湿潤した後、同寸法の防
染フィルムを貼り付け、乾燥後スプラノールサイアニン
7BF(バイエル)0.1%溶液(酢酸でPH4に調製)、浴比
1:200、50℃の染浴中で染色を開始し、加熱昇温させ、1
00℃近くで10分間浸染後、被染布を引き上げ水洗、乾燥
した。このとき、やはり防染フィルムの糊落ちは良好で
あった。片面はイルガノールブリリアントイエロー3GL
による鮮明な黄色、他面はスプラノールサイアニン7BF
による鮮明な青色が観測された。これにより、黄色と青
色の表裏別々の色相に染色できた。 次に、被染色絹布の防染部分の測色値[明度
(L)、彩度(C)、色相角(H°)を、測色色差
計を用いて測定した。この結果を、第1表に示す。この
第1表において、色相角(H°)は、赤、黄、青等の位
置を示し、20度付近は赤、90度付近は黄、150度付近は
緑、210度付近は青、300度付近は紫である。従って、絹
布の表が黄色、裏が青紫色を示す。 この結果から明かなように、被染布の表裏は各々別の
色相及び濃度に染色されていることが分かる。 (比較例) 前記実施例において、ポリNIPAMの20%水溶液をフィ
ルムに成型したものに代えて、防染糊としてポリNIPAM
の25%水溶液を使用し、これを直接10cm×10cmの14匁付
平織り絹布の片面側からスクリーンにより印捺した。そ
れ以外は前記実施例と同様にしてイルガノールブリリア
ントイエロー3GLの染浴中で染色をし、その後、被染布
を水洗、乾燥した。その後、同様にして被染布の他面側
から前記防染糊を印捺し、それ以外は前記実施例と同様
の条件でスプラノールサイアニン7BFの染浴中で染色
し、その後被染布を水洗、乾燥した。 この工程において、前記ポリNIPAMの25%水溶液を印
捺したとき、同水溶液は、被染布の表裏の区別なく拡
散、浸透し、水溶液の塗布厚も不均一であった。 そして、イルガノールブリリアントイエロー3GLによ
る染色時は、前記防染糊が染料への吸着を阻害し、防染
糊が薄く不均一な部分のみ僅かに斑状に汚染した程度に
表裏がほぼ同じ色相でほぼ同じ濃度に染色された。 また、スプラノールサイアニン7BFによる染色時にお
いても、前記イルガノールブリリアントイエロー3GLに
よる染色時と同様に、前記防染糊が染料への吸着を阻害
し、防染糊が薄く不均一な部分のみ僅かに斑に汚染した
程度に表裏がほぼ同じ色相でほぼ同じ濃度に染色され
た。そして、被染布上でスプラノールサイアニン7BFと
イルガノールブリリアントイエロー3GLとが混合し合
い、全体として緑がかった色に染色された。 次に、被染色絹布の防染部分の測色値[明度
(L)、彩度(C)、色相角(H°)を、前記実施
例と同様にしてして測定し、この結果を、第2表に示し
た。この第2表から明かな通り、被染布は表裏とも同じ
色相で同じ濃度に染色されているのが分かる。
【発明の効果】 このようにして本発明では、例え、絹布等の薄い布帛
であっても、また浸染法で染色する場合であっても、布
帛の片面を全く染色させず、布帛の他面にのみ所定の色
または模様で片面染色することができる。さらに、布帛
への防染層の形成とその除去が極めて容易である。その
結果、高度な技能を要することなく、簡単な工程によ
り、布帛の完全片面染色、さらには布帛の両面個別染
色、すなわち布帛の両面に異なる色或は模様を染色する
リバーシブル染色が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 合議体 審判長 吉見 京子 審判官 中野 修身 審判官 横尾 俊一 (56)参考文献 特開 昭64−14383(JP,A) 特開 昭62−125080(JP,A) 特開 昭60−21988(JP,A) 特開 昭62−106977(JP,A) 「手描友禅染の技術と技法」昭和59年 3月30日京都市染色試験場発行83頁〜84 頁

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】転移温度以上の高温で疎水性、転移温度以
    下の低温で親水性となる感熱性ポリアクリルアミド系誘
    導体を主成分とする水溶液をフィルム状に形成し、この
    フィルムを予め湿潤した布帛の片面のみに貼り付け、こ
    の布帛を前記転移温度以上の高温において所望のように
    浸染し、次いで前記転移温度以下の低温において布帛か
    ら前記フィルムを洗浄除去することを特徴とする感熱性
    高分子を利用した染色方法。
  2. 【請求項2】前記請求項1において、フィルムを布帛の
    片面のみに貼り付け、浸染した後、前記フィルムを洗浄
    除去するまでの工程を、布帛の各々異なる面に前後して
    行うことを特徴とする感熱性高分子を利用した染色方
    法。
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