JP2573239Y2 - ハンガー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は衣服の肩幅に応じてハン
ガー幅を拡縮調整することができる伸縮式のハンガーに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、伸縮式のハンガーとして、実公平
４−３３０１９号公報に示されているように、吊りフッ
クを備えたハンガー本体の左右両側外面に中空状の左右
両側アームを嵌合させ、この両側アームをスライドさせ
てハンガー幅を変化させる構成のものが公知である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが、このように
両側アームをハンガー本体の外側に嵌め込んだ従来のハ
ンガーによると、本体とアームの継ぎ目である段部の位
置が、拡縮調整によって移動するため、この段部の位置
によっては段部が衣服の襟元または肩部分に位置し、と
くに薄物や癖が付き易い衣服の場合に形崩れするおそれ
があった。

【０００４】また、中央側（本体）よりも先端側（アー
ム）が太いため、とくに前が開いていない衣服のように
首口からハンガーを差し込んで掛ける衣服の場合に掛け
外しが面倒となっていた。

【０００５】そこで本考案は、ハンガー本体と両側アー
ムの継ぎ目である段部によって衣服が形崩れするおそれ
がないとともに、衣服の掛け外しが容易なハンガーを提
供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１の考案は、吊り
フックが設けられる有底中空状のハンガー本体と、この
ハンガー本体に対してハンガー幅が拡縮する方向にスラ
イド自在に嵌入された左右両側アームと、この両側アー
ムを複数のスライド位置に保持するアーム保持機構とを
具備し、上記アーム保持機構として、ハンガー本体にア
ームスライド方向に延びるガイド溝が本体底壁を貫通し
て設けられるとともに、このガイド溝に沿って左右複数
段の係合歯が設けられ、この係合歯の両側係合面のう
ち、少なくともハンガー幅縮小方向の係合レバーの動き
を止める係合面が、係合レバーの移動方向に対してほぼ
直角に形成され、一方、両側アームに、上記係合歯に対
して係脱する方向に弾性変形可能な係合レバーが、自然
状態で係合歯に係合し、かつ、ガイド溝を貫通して外部
に突出する状態で設けられてなるものである。

【０００７】請求項２の考案は、請求項１の構成におい
て、ハンガー本体が、底面に開口部を備えた基枠と、こ
の基枠の上記開口部に取付けられた底壁としての底蓋と
によって構成されたものである。

【０００８】請求項３の考案は、請求項２の構成におい
て、基枠の左右両端部が、四周壁を備えた閉断面形状に
形成されたものである。

【０００９】

【作用】上記構成によると、両側アームをハンガー本体
に嵌入（内嵌）して拡縮調整自在に構成しているため、
基本的作用として、本体と両側アームの継ぎ目である段
部の位置が一定不変となる。従って、この段部の位置、
すなわちハンガー本体の幅寸法を、段部が襟元等にかか
らない寸法に設定しておくことにより、段部による衣服
の形崩れを防止することができる。

【００１０】また、中央側（本体）よりも先端側（両側
アーム）が細いため、とくに首口からハンガーを差し込
んで掛ける衣服の場合に掛け外しが容易となる。

【００１１】一方、両側アームを複数のスライド位置に
保持するアーム保持機構が、ハンガー本体底壁を貫通し
て設けられたガイド溝と、このガイド溝沿いに設けられ
た係合歯と、この係合歯に係合する係合レバーとによっ
て構成されているため、 ハンガー幅調整時に、 イ）ハンガー本体とアームの相嵌合する面（内側）でア
ーム保持機構を構成する場合と異なり、アーム保持機構
が外部から見える。

【００１２】ロ）しかも、係合レバーの先端部が外部に
突出していることで、同レバーと係合歯の係合状態を外
部からより明確に確認することができる。

【００１３】このイ）ロ）により、使用者が係合レバー
と係合歯の係合状態を目ではっきりと確認することがで
きるため、両側アームを所定保持位置に、かつ、左右対
称位置に確実に保持することができる。このため、常に
左右のハンガー幅を同一として、衣服を適正にかつ安定
良く吊持することができる。

【００１４】 係合レバーと係合歯の係合作用がハン
ガー本体の底壁で行われるため、ハンガー使用（吊下
げ）時には、この係合部分が外部から殆ど見えない。こ
のため、アーム保持機構によってハンガーの美観が損な
われるおそれがない。

【００１５】 係合レバーが、係合歯に係合した状態
で少なくともハンガー幅縮小方向の動きを止められ、外
部から離脱操作が行われない限り係合状態に保たれるた
め、幅方向の圧縮力によってアームがひとりでに縮んで
しまうおそれがない。

【００１６】 係合レバーの突出部分を操作部とし
て、同レバーの係合歯からの離脱操作を外部から容易
に、しかも両側レバー同時に行うことができる。

【００１７】また、請求項２の構成によると、ハンガー
本体の底蓋にガイド溝および係合歯が設けられているた
め、ハンガー本体と底壁を一体に成形し、これらにガイ
ド溝および係合歯を設ける場合と比較してこれらの加工
が容易となる。

【００１８】また、請求項３の構成によると、請求項２
の構成において、ハンガー本体の基枠の左右両端部、す
なわち両側アームに作用する吊り荷重を支える部分が閉
断面形状に形成されているため、この部分が高強度に形
成され、使用中の同部分の変形や破損が防止される。

【００１９】

【実施例】本発明の実施例を図によって説明する。

【００２０】図において、１はハンガー本体で、このハ
ンガー本体１に左右両側アーム２，２がハンガー幅方向
にスライド自在に嵌入され、この両側アーム２，２のス
ライド操作により、衣服の肩幅に応じてハンガー幅を拡
縮調整しうるようになっている。

【００２１】ハンガー本体１は、底面が開口した基枠３
と、この基枠３の底面開口部に取付けられた底蓋（底
壁）４とによって中空状に形成されている。

【００２２】基枠３には、図３に示すように中心部内方
に筒状部５が上下方向に設けられ、この筒状部５に吊り
フック６の軸部６ａが嵌め込まれて、吊りフック６が取
付けられている。

【００２３】また、筒状部５内の下部に底蓋取付孔７が
設けられ、取付ねじ８が、底蓋４の中心部に設けられた
筒状の取付座９を介して底蓋取付孔７にねじ込まれるこ
とにより、基枠３と底蓋４とが連結されている。

【００２４】一方、基枠３の左右両端部３ａ，３ａは、
四周壁を備えた閉断面形状に形成され、両側アーム２，
２がこの基枠３の左右両端部３ａ，３ａからハンガー本
体１内に嵌入されている。

【００２５】この構成によると、両側アーム２，２に作
用する荷重を支持する基枠両端部３ａ，３ａが閉断面に
よって高強度に形成され、かつ、断面四角形に確実に保
形されるため、使用中に、この両端部３ａ，３ａが荷重
によって変形したり破損したりするおそれがなくなる。

【００２６】なお、ハンガー本体１の補強手段として、
図５に示すように、基枠３の左右両端部（図では片側の
みを示す）３ａの下辺部に前後一対の突起１０，１０、
底蓋４の左右両端部に爪１１がそれぞれ設けられ、基枠
３と底蓋４の連結状態で爪１１が突起１０，１０間に挾
み込まれることにより、ハンガー本体１の対ねじれ強度
が高められるようになっている。

【００２７】また、同図に示すように、基枠３と底蓋４
の相接する面において、基枠３側に凹溝１２、底蓋４側
に凸部１３がそれぞれ幅方向に設けられ、これらが嵌合
した状態となっている。

【００２８】次に、両側アーム２，２を複数のスライド
位置に保持するアーム保持機構を説明する。

【００２９】ハンガー本体１の底蓋４に、ガイド溝１４
が底蓋４を貫通する状態でアームスライド方向に設けら
れるとともに、このガイド溝１４に沿って左右各三段ず
つの係合歯１５…が左右対称配置で設けられている。

【００３０】一方、両側アーム２，２の基端部に係合レ
バー１６，１６が下向きに突設され、両側アーム２，２
の各スライド位置で、この係合レバー１６，１６が係合
歯１５に係合することにより、両側アーム２，２が各ス
ライド位置に保持されるようになっている。

【００３１】係合レバー１６は、図３に示すように上端
部がアーム２の基端部内側に設けられたレバー取付部１
７に圧入固定されることにより、前後方向に弾性変形可
能で、自然状態で係合歯１５に係合し、かつ、下端部１
６ａが底蓋４の下方に突出する状態で取付けられてい
る。

【００３２】この係合レバー１６の下端部１６ａは扁平
なほぼ円形に形成され、図２仮想線で示すようにこのレ
バー下端部１６ａが後方に押し操作されることにより、
図４仮想線で示すように同レバー１６が弾性変形して係
合歯１５から外れ、ガイド溝１４内を自由に移動しうる
状態となる。

【００３３】従って、この状態で両側アーム２，２が図
３，４の仮想線イ，ロ，ハで示すようにスライド可能と
なり、ハンガー幅を拡縮調整することができる。

【００３４】この場合、図２仮想線で示すように、左手
で左側のアーム２と係合レバー１６、右手で右側のアー
ム２と係合レバー１６を操作して左右同時に伸縮調整す
ることができる。

【００３５】また、係合歯１５の両側係合面、すなわ
ち、係合レバー１６のハンガー幅縮小方向の動きを止め
る係合面１５ａ、およびハンガー幅拡張方向の動きを止
める係合面１５ｂは、係合レバースライド方向に対して
ほぼ直角（図では直角よりも少し大きい角度）に形成さ
れ、係合レバー１６が、上記のように外部から積極的に
操作されない限り、係合歯１５から外れないようになっ
ている。

【００３６】従って、重い衣服を掛けた場合等、両側ア
ーム２，２に幅方向の圧縮力が作用した場合でも、アー
ム２，２がひとりでに縮んでしまうおそれがなく、セッ
ト位置に確実に保持される。

【００３７】このハンガーによると、両側アーム２，２
がハンガー本体１の内側に嵌入されてハンガー幅が拡縮
調整自在に構成されているため、本体１と両側アーム
２，２の継ぎ目である段部Ａの位置が一定不変となる。

【００３８】従って、この段部Ａの位置、すなわちハン
ガー本体１（基枠３）の幅寸法Ｗを、段部Ａが衣服の襟
元等にかからない大きさに設定しておくことにより、段
部Ａによる衣服の形崩れを防止することができる。

【００３９】また、ハンガー本体１よりも両側アーム
２，２が細いため、とくに首口からハンガーを差し込ん
で掛ける衣服の場合に掛け外しが容易となる。

【００４０】一方、ハンガー幅調整時に、 アーム保持機構が、ハンガー本体１の底蓋４を貫通
して設けられたガイド溝１４と、このガイド溝１４沿い
に設けられた係合歯１５…と、この係合歯１５…に係合
する係合レバー１６とによって構成され、係合レバー１
６と係合歯１５の係合状態が外部（底部）から見えるこ
と、 さらに、係合レバー１６の下端部１６ａが外部に突
出し、レバー位置が一目で判ること、により、使用者が
係合レバー１６と係合歯１５…の係合状態を目ではっき
りと確認することができる。

【００４１】従って、両側アーム２，２を所定の保持位
置に、かつ、左右対称位置に確実に保持することができ
る。このため、常に左右のハンガー幅を同一として、衣
服を形崩れしたりずり落ちたりするおそれなく、適正に
かつ安定良く吊持することができる。

【００４２】ところで、ハンガー幅縮小方向の係合レバ
ー１６の動きを止める係合面１５ａのみをレバー移動方
向に対してほぼ直角に形成し、反対側の係合面１５ｂ
は、係合レバー１６の自動離脱を許容する鈍角の傾斜面
または曲面に形成してもよい。

【００４３】

【考案の効果】上記のように本考案によるときは、基本
的効果として、両側アームをハンガー本体に対して嵌入
（内嵌）して肩幅拡縮調整自在に構成しているため、本
体と両側アームの継ぎ目である段部の位置が一定不変と
なる。

【００４４】従って、この段部の位置、すなわちハンガ
ー本体の幅寸法を、段部が襟元等にかからない寸法に設
定しておくことにより、段部による衣服の形崩れを防止
することができる。

【００４５】また、中央側（本体）よりも先端側（両側
アーム）が細いため、とくに首口からハンガーを差し込
んで掛ける衣服の場合に掛け外しが容易となる。

【００４６】一方、両側アームを複数のスライド位置に
保持するアーム保持機構が、ハンガー本体底壁を貫通し
て設けられたガイド溝と、このガイド溝沿いに設けられ
た係合歯と、この係合歯に係合する係合レバーとによっ
て構成されているため、 ハンガー幅調整時に、 イ）ハンガー本体とアームの相嵌合する面（内側）でア
ーム保持機構を構成する場合と異なり、アーム保持機構
を外部から見ることができる。

【００４７】ロ）しかも、係合レバーの先端部が外部に
突出していることで、同レバーと係合歯の係合状態を外
部からより明確に確認することができる。

【００４８】このイ）ロ）により、使用者が係合レバー
と係合歯の係合状態を目ではっきりと確認することがで
きるため、両側アームを所定の保持位置に、かつ、左右
対称位置に確実に保持することができる。このため、常
に左右のハンガー幅を同一として、衣服を適正にかつ安
定良く吊持することができる。

【００４９】 係合レバーと係合歯の係合作用がハン
ガー本体の底壁で行われるため、ハンガー使用（吊下
げ）時には、この係合部分が外部から殆ど見えない。こ
のため、アーム保持機構によってハンガーの美観が損な
われるおそれがない。

【００５０】 係合レバーが、係合歯に係合した状態
で少なくともハンガー幅縮小方向の動きを止められ、外
部から離脱操作が行われない限り係合状態に保たれるた
め、幅方向の圧縮力によってアームがひとりでに縮んで
しまうおそれがない。

【００５１】 係合レバーの突出部分を操作部とし
て、同レバーの係合歯からの離脱操作を外部から容易
に、しかも両側レバー同時に行うことができる。

【００５２】また、請求項２の構成によると、ハンガー
本体の底蓋にガイド溝および係合歯が設けられているた
め、ハンガー本体と底壁を一体に成形し、これらにガイ
ド溝および係合歯を設ける場合と比較してこれらの加工
が容易となる。

【００５３】また、請求項３の構成によると、請求項２
の構成において、ハンガー本体の基枠の左右両端部、す
なわち両側アームに作用する吊り荷重を支える部分が閉
断面形状に形成されているため、この部分が高強度に形
成され、使用中の同部分の変形や破損が防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す斜視図である。

【図２】同正面図である。

【図３】同一部断面拡大正面図である。

【図４】同一部断面平面図である。

【図５】同実施例の部分斜視図である。

【符号の説明】

１ ハンガー本体 ２，２ 両側アーム ３ ハンガー本体の基枠 ３ａ，３ａ 基枠の左右両端部 ４ 同本体の底蓋 １４ アーム保持機構を構成するガイド溝 １５ 係合歯 １５ａ，１５ｂ 係合歯の両側係合面 １６ 係合レバー １６ａ 係合レバーの下端部

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 吊りフックが設けられる有底中空状のハ
   ンガー本体と、このハンガー本体に対してハンガー幅が
   拡縮する方向にスライド自在に嵌入された左右両側アー
   ムと、この両側アームを複数のスライド位置に保持する
   アーム保持機構とを具備し、上記アーム保持機構とし
   て、ハンガー本体にアームスライド方向に延びるガイド
   溝が本体底壁を貫通して設けられるとともに、このガイ
   ド溝に沿って左右複数段の係合歯が設けられ、この係合
   歯の両側係合面のうち、少なくともハンガー幅縮小方向
   の係合レバーの動きを止める係合面が、係合レバーの移
   動方向に対してほぼ直角に形成され、一方、両側アーム
   に、上記係合歯に対して係脱する方向に弾性変形可能な
   係合レバーが、自然状態で係合歯に係合し、かつ、ガイ
   ド溝を貫通して外部に突出する状態で設けられてなるこ
   とを特徴とするハンガー。
2. 【請求項２】 ハンガー本体が、底面に開口部を備えた
   基枠と、この基枠の上記開口部に取付けられた底壁とし
   ての底蓋とによって構成されたことを特徴とする請求項
   １記載のハンガー。
3. 【請求項３】 基枠の左右両端部が、四周壁を備えた閉
   断面形状に形成されたことを特徴とする請求項２記載の
   ハンガー。