JP2573125B2 - 高圧容器に容れられた半導体製造用ガス - Google Patents

高圧容器に容れられた半導体製造用ガス

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JP2573125B2
JP2573125B2 JP4164304A JP16430492A JP2573125B2 JP 2573125 B2 JP2573125 B2 JP 2573125B2 JP 4164304 A JP4164304 A JP 4164304A JP 16430492 A JP16430492 A JP 16430492A JP 2573125 B2 JP2573125 B2 JP 2573125B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、高圧容器に容れられた半導体
製造用のガスであって、シラン又はゲルマンとシラン又
はゲルマンに対してIII価又はV価の不純物気体が添
加されてなる高圧容器に容れられた半導体製造用ガスに
関し、また高圧容器に容れられた半導体製造用のガスで
あって、高圧容器内に、希釈剤として水素又は水素とヘ
リウムを含み、シラン又はゲルマンとシラン又はゲルマ
ンに対してIII価又はV価の不純物気体が添加されて
なる高圧容器に容れられた半導体製造用ガスに関する。
【0002】本発明の応用できる分野としては、例えば
その内部に3価または5価の不純物気体が十分均質に混
合され、高圧容器に充填されたモノシランまたはポリシ
ランを用いて、微結晶性を有するPまたはN型の非単結
晶珪素半導体またはセミアモルファス珪素半導体を作製
する例等を挙げることができる。
【0003】従来珪化物気体、例えばシランに関して
は、モノシラン(SiH4 沸点-112℃ 融点-185℃) が存在
し、珪素の水素化物が多重結合をしたポリシラン(SixHy
x≧2y≧4)は不安定なもので現実的に存在していない
とされていた。さらに、モノシランは気体であり、それ
ら分子は互いに離間しあうため、SiH4と記すことが最も
適切なものとされていた。
【0004】しかし本発明人はシランがかかる一般常識
ではなくボンベ内等ある特殊な状態即ち高圧下において
は逆にポリシランまたは会合シランになりやすく、常温
または常温付近の温度( 一般に100 ℃以下) において数
十ケ〜数百万ケの珪素が互いに重合または会合すること
が判明した。加えてこの重合または会合分子はさらに本
発明のような塊状のクラスタを積層させるようにして作
製する被膜においてはかえって好ましいものであること
が判明した。
【0005】特に形成させる被膜が珪素の結晶化温度が
ある700 ℃以下、特に500 ℃以下の温度で形成させる半
非晶質半導体( 以下SAS という) を形成させる際、その
被膜を塊状のクラスタをかさね合わせた( 積層させた)
構造とさせることができた。特にこの塊状のクラスタは
結晶化温度以上の温度で形成されるいわゆる境界の明確
な多結晶半導体とは異なり、必ずしも結晶粒界が明確で
なく、またこの粒界に再結合中心となる界面準位が集中
して存在していないという大きな特徴がある。
【0006】 特にこのボンベ内で会合または会合状態
のシランを形成させる際、同時にこのボンベに3価(I
II価)または5価(V価)の不純物例えばジボラン、
またはフォスヒンまたはアルシンを同時にシランに対し
0.05〜5モル%添加すると、その不純物がクラスタ
の内部に均質に分散して混合し、アクセプタまたはドナ
ー中心を98〜100%のイオン化率で成就することが
できた。これは3価または5価の不純物のボンベとシラ
ンのボンベとを反応系に導入する直前に混合するとその
イオン化率が80〜95%であることを考えるときわめ
て著しい効果であった。
【0007】さらにその不純物レベルの活性化エネルギ
が反応系に導入する前後で、ジボラン等3価の不純物と
シランとを混合する方式による従来の方法では0.1 〜0.
2eVであり、更にその電気伝導度も10-4〜10-1( Ωcm)
-1以上にはできなかった。しかし本発明方法では、価電
子帯( 以下VBという) と不純物レベルとの差の活性化エ
ネルギが、0.05〜0.02eVと単結晶の珪素と同様に低い値
を得ることができ、イオン化した即ちアクセプタ準位を
構成した不純物のフェルミ・ディラックの統計則に従っ
てホ−ルを発生させる確率が4N以上と従来の10倍以上に
まで高めることができ、その面でも本発明はすぐれたも
のであった。
【0008】第1図は本発明の高圧反応容器として使用
するボンベを含み、さらにこのボンベを使用して半導体
膜を形成する反応系を示す。図面において、3価の不純
物、例えばジボラン(以下、重合または会合したジボラ
ンを含み単にB2H6という) と珪化物気体例えばシランと
さらに希釈ガスであるヘリウム(He という) 、または水
素(H2 という) または両方とを含有したボンベI(7) 、
またシランのみまたはシランに水素またはヘリウムで希
釈されたボンベII(8) またはN型になる実質的に真性の
シランを相殺する程度の量の3価のP型用不純物が添加
され形成された半導体は、10-9〜10-15(Scm -1) の真性
の半導体用のシランとジボランの混合気体またはシラ
ン、ジボランが水素またはヘリウムで希釈されたボンベ
(8) 、さらに5価の不純物であるフォスヒンまたはアル
シンとシランとが水素またはヘリウムにより希釈された
ボンベ3(9) が設けられている。さらにこれらのボンベ
I(7) 、II(8) 、3(9) より減圧弁をへて流量計(16)(1
7)(18)さらにバルブ(19)(20)(21)をそれぞれ経て反応管
(1) にこれらの反応性気体が導入される。第1図におい
て、其板(15)は200 〜1000μmの厚さを有し、大きさは
10cm角を最大とし、それらを石英製ボ−ド(14)上に林立
させた。ガスの流れにそって平行に形成した。
【0009】この反応管は0.1 〜10GHz の周波数を有す
る誘導エネルギを用いたもので、代表的には500KHz、1
3.56MHz、2.45GHz とした。第1図は13.56MHzの高周波
を用いた。誘導エネルギは容量結合を(2) (3) の電極よ
り行い、反応管(1) の全体が均質に放電するようにし
た。さらにこの放電は被形成面より離れた位置に反応性
気体の活性化室を設け、重合または会合した珪化物気
体、例えばポリシランまたは会合シランは電磁エネルギ
により活性化室(21)で化学的に活性化分解または反応
し、さらに飛翔中にこの工程を進行させ、其板(15)上に
塊状のクラスタをランダムに積層して被膜とした。本発
明のボンベ(7) は水素またはヘリウムにより0.1〜20モ
ル%に希釈された反応性気体がボンベ中の高圧下で重合
または会合状態のシラン(SixHyx>2 y>4においては
mSiH4)を(7) より、またこの珪化物気体に同時に3価の
不純物気体、例えばジボラン(B2H6)をシランに対して0.
05〜5%混入して接続した。また5価においてはリン、ヒ
素、アンチモンをフォスヒン(PH3) 、アルシン(AsH3)、
スチビン(SbH3)により同様に珪化物気体中に添加してボ
ンベ内にHeにより希釈して(9) に接続した。
【0010】更にフッ化物気体例えばSiH4、NF3 、NH4F
を入れ、フッ化物の添加された半導体または窒素の添加
された半導体をさらにまたはアンモニアを同様に珪化物
気体と同時に添加してボンベ内に珪素のフッ化水素化
物、窒化水素化物を形成させた。反応管は管壁の影響を
少なくするため十分太くした。このことは減圧気相法が
壁面の温度を其板の温度と全く同じとし、壁面で形成さ
れた多結晶珪素をも積極的に其板表面に付着させようと
していることと大きく異なっている。其板(15)は抵抗加
熱炉(6) により加熱し、反応した気体および元素の生成
物はニ−ドルバルブ(10)、ストップバルブ(11)、真空ロ
−タリ−ポンプ(12)を経て排気(13)させた。
【0011】反応性気体は主として珪化物気体を用い、
ここではシランを用いた。このシランと3価または5価
の不純物としてジボランまたはフォスヒンを用いた。シ
ラン、フォスヒン、ジボランの反応は、 SiH4→〔Si〕+4〔H〕 311.2Kcal/mol・・・(1) PH3 →〔P〕+3〔H〕 231.0Kcal/mol・・・(2) B2H6→ 2〔B〕+6〔H〕 652.0Kcal/mol・・(3) となり、分解に必要なエネルギは珪素に比べてリンが小
さく、ホウ素が大きい。
【0012】このためリンはSAS の結晶化剤として実質
的に作用し、またホウ素は逆にガラス化剤として作用す
る。さらにSi−H、B−H、H−H、P−Hの結合に関
しても、 B−H>Si−H>P−H>H−H の関係があるため、ホウ素のB−Hの結合を分解するに
はきわめて大きなエネルギを必要とし、特に珪素半導体
中に5モル%以下の低い濃度にP型不純物として作用さ
せるときSi−Hの結合に隠れてしまい、なかなか分解し
ないことがわかった。このためB−Hの結合を切るには
触媒作用をH*によっておこさせればよいことが判明し
た。即ち 3H2 → 6H* ・・・(4) B2H6+6H*→ 2B*+6H2 ・・(5) の反応をプラズマ雰囲気でおこさせればよい。
【0013】このBがSi中に均質に分散して発生させる
ためにボンベ中にジボランとシランとを触媒として働く
水素を水素のみまたは水素とヘリウムとを希釈剤として
作用させて混入すればよいことがわかった。すると、か
かるボンベより放出されるシランとジボランは以下の一
般反応を発生させることができた。 1H2 → 21H* ・・・・(6) nB H+6nH*→ 2nB*+6nH2 ・・(7) mSiH4 → mSi*+2mH2 ・・・(8) 上記反応式において2n個の活性化したホウ素がm個の活
性化した珪素中に侵入型ではなく置換型にn個のホウ素
を配位せしめ1つの欠乏した結合手をホ−ルとして作用
させた。特にこのため、重合または会合しやすいシラ
ン、ジボランは、ボンベよりそれぞれを放出し、外部に
て混合することは均質に珪素中にホウ素を分解して配位
することができず、その特性がイオン化率活性化エネル
ギおよび電気伝導度の面より十分な特性が得られない。
【0014】このため、本発明のように高圧ボンベ中に
シラン、ジボランおよびキャリアガスである水素または
ヘリウムさらにまたは水素とヘリウムとを同時混合して
導入した。この圧力が50Kg/cm2特に100 Kg/cm2を越える
と、このボンベ内の高圧反応によりそれぞれがそれぞれ
の分子のみで会合または重合してしまうことなく、お互
いに高圧下での室温拡散をして分散させることができる
ことが判明した。このため、例えばP型珪素でB/Si=0.
01において1×100 〜102(Ωcm) -1と従来の方法の10-4
〜10-1( Ωcm) -1より10〜1000倍も同じ濃度で高い伝導
率即ち高いイオン化率また小さい活性化エネルギを得る
ことができた。
【0015】さらにN型半導体に関してはPH3 のPにす
るエネルギが(2) 式に示す如く231.0Kcal/mol とシラン
の311.2Kcal/mol に比べて小さいため水素のみのキャリ
アガスは不要であり、同様に同じ原子量でありかつ水素
と同様に熱伝導率が大きいヘリウム(0.123Kcal/mHrC た
だし水素は0.150Kcal/mHrC)または水素とヘリウムとの
混合キャリアガスを使用した。するとこのヘリウムに希
釈加熱されたPH3 とSiH4の混合気体は高圧下で互いに拡
散し、均質に分散させることができた。特にこのフォス
ヒンとシランまたはシランのみに関しては一度解融した
水素が再び結合してしまいやすいため高濃度の水素はむ
しろ好ましくなく、ヘリウムにより20Kg/cm2以上特に50
Kg/cm2以上の高圧状態を発生させることがSAS をプラズ
マ雰囲気で発生させるのに好ましかった。
【0016】反応系( 炉(5) または活性化室(1))は10〜
10torr特に0.005 〜5torr の圧力に反応性気体の導入お
よび排気により調整した。一般に500KHzでは1〜20torr
13.56MHz では0.03〜3torr 、2.45GHz では0.0005〜0.
1torr が最適であった。特に本発明においては、ボンベ
内の圧力はシランの濃度が10〜50%であっても、30〜7K
g/cm2 以上特に50〜10Kg/cm2以上の高圧とし、ボンベ内
にてモノシラン分子が分解しポリマ−を得るべく互いに
反応したり、またはモノシランがその水素による結合
(水素結合)により互いに会合した会合シランにするよ
うにしたことがひとつの特徴である。この重合シランま
たは会合シランは反応系における活性化の際さらにそれ
らが気相中であるにもかかわらず凝集しより安定な結晶
化へと促すいわゆる結晶性を有する塊状のクラスタを構
成させるためにきわめて大きな特徴といえる。水素は3
価の不純物の時特に触媒的に作業するため有効である
が、高圧ボンベ内で珪化物気体の会合を促進させるため
にはヘリウムの方が優れていた。Heはその電離電圧が2
4.57eV であり、他の気体の10〜15eVに比べて大きいこ
と、また熱伝導係数は他の気体の約3倍の0.123Kcal/mH
g ℃であり、形成される被膜の均一性を向上させるため
に好都合であった。
【0017】従来多結晶またはエピタキシァル単結晶被
膜は其板上にて結晶化が進み、さらに安定な高密度化が
行われることを特徴としていた。しかし本発明の如く、
半導体の反応性気体であるシラン等をボンベ内で重合ま
たは会合をさせ、加えてそこに3価の不純物気体をこの
分子内に均質に分散させること、さらにその重合または
会合分子を反応系において誘導エネルギによりプラズマ
グロ−放電をおこさせ、活性化、分解または反応を反応
炉内を飛翔中に実施し結晶化を促し、その活性状態の微
結晶を有する塊(クラスタ)を其板上にそのまま被膜化
させるという思想は全く新しいものであった。
【0018】反応性気体および其板は加熱炉(6) により
室温より700 ℃まで加熱した。図面より明らかな如く、
反応性気体は誘導エネルギ(4) により其板より離れたガ
ス流の前方の供給源側( ボンベ側) に配置され、反応性
気体は誘導エネルギにて励起または活性化分解させた。
またこの活性化物は必要に応じ室温〜200 ℃にまで加熱
させた。かくすることにより、活性化または分解された
反応性気体は互いに凝集し会合または結晶化反応をおこ
させた。物性的にいうならば、互いに凝集させて反応性
気体ここでは珪素が気体中にて活性状態の塊( クラス
タ) を複数ケ作らせた。
【0019】またこの活性化したクラスタは其板上に被
膜化されるため一部の水素が分離し其板上に微結晶化し
たクラスタを互いに重なりあって形成させることにより
P型、真性またはN型のSAS を形成させた。このためこ
のクラスタは飛翔中にエネルギ的に可能な範囲での安定
状態を求めるため、電子間距離は単結晶ほど均一とはい
えず、またその原子同志の配位は比較的安定な方向( 角
度) を有することが判明した。このため例えばこの高圧
容器を用いて作製した珪素の被膜の電子顕微鏡回析写真
においてはハロ−と結晶化を示す半規則的な像を示すリ
ングおよびスポットが観察され、いわゆる結晶粒界の大
きな多結晶または単結晶とも異なった混合物であった。
【0020】第2図(A),(B) は以上の反応過程をシラン
より珪素クラスタを其板上に形成させるプロセスを不純
物がBの場合を例として要約したもので、(B) はポリシ
ランの反応工程を、(A) は会合シランの反応工程を示
す。
【0021】即ち状態Iにおいてmケのシランは例えば
モノシラン(m(SiH4)) とnケのジボラン(n(B2H6)) は状
態IIにおいて活性化(m(SiH4)・nB*,m(SipH2P+2 ・n
B)*、さらに状態3において分解または反応をおこし、
活性のクラスタ( 塊) にSim*H* 4m'・n'B* またはSi*,H
2p'+2・n'B*となる。ここでm、n、m'、n'、p は任意
定数を示し、Si*、H*、B*はSi、H、Bの結合手が不対
結合手となり、活性状態にある状態を示す。SiH* 4 はSi
−Hの結合手がエネルギを有して活性化している状態を
示す。m'、n'はm、nの一部が被膜化せずに外部に放出
されるため、ダッシを付して記した。それらは飛翔中に
互いに会合または凝集し、化学的に活性のクラスタ(26)
になる。この状態を模式的に示すと、Siクラスタ(26)の
主として周辺部に水素がたまって、シェル(25)状態を構
成している。さらにこのクラスタ内には、この場合3価
の不純物であるホウ素および一部の水素がSi−Hを構成
して閉じ込められている。状態IVにて其板(15)の上に平
板状または半球状にクラスタ(30)が被膜化する。
【0022】このためこのクラスタの周辺部の輪郭は必
ずしも超密の多結晶の如く明確ではなく、むしろ電気的
にも再結合中心が集中した状態と異なり、電気的にもそ
の伝導度が真性シリコンで10-5〜10-9 (Ωcm)-1をAM1
下にて1×10-3〜5×10-2 (Ωcm)-1の高い値を得ること
ができた。さらにまたクラスタの大きさ、形状もボンベ
の圧力( 反応性気体の初期状態) 、誘導エネルギの周波
数、パワ−による飛翔時間、圧力さらに其板温度により
大きな影響を受ける。
【0023】しかし透過電子顕微鏡(TEM) において調べ
たところ、この塊は直径10Å〜2.5μmの大きさを有
し、概ね円状であり角は鋭くなかった。かかるクラスタ
(20)が次々と其板上に積み重なるため、さらにそれらは
互いに重なりあっている。このためこの被膜化の工程で
ある状態IVは結晶学的な規則性をむしろ乱すものであ
り、反応性気体の初期状態または活性化および飛翔中の
会合( 凝集) が気体の状態であるにもかかわらず、結晶
の如き規則性特に配位方向の規則性を促すものであるこ
とが本発明の特徴とするものである。さらにこの被膜化
した各クラスタはその厚さとして5〜500 Åを有し、そ
の実効直径は50〜1000Åを実験結果においては有してい
た。
【0024】この本発明の方法は形成させた半導体膜中
のPまたはN型の導電率を自由に制御できないという欠
点を有しつつも量産ラインの如くその導電率が常に同一
の場合は同じボンベに充填した方が操作がしやすくなる
という特徴を有する。更に従来行われる如く、シランと
ジボランまたはフォスヒンをそれぞれ独立のボンベに充
填しそれらをド−ピング系にて混合すると、シランはす
でに会合状態になっているため、ホウ素またはリンはク
ラスタの外側にしか設置できず、ミクロにはホウ素また
はリンが不均質に分布してしまう。特にガラス化剤とし
て一般に作用するホウ素の場合、さらに形成された被膜
においてはクラスタの周辺部に多く集中し、珪素被膜中
に実質的に局部的に偏在してしまう。このため添加量に
対しそれらがアクセプタとして作用するいわゆるイオン
化率 Np=アクセプタ濃度/添加したホウ素濃度 が3〜30%と低い。しかし本発明の如くボンベ中にシラ
ンと同時にジボランまたはフォスヒン、アルシンを添加
すると、非ガラス化剤として作用するリン、ヒ素はイオ
ン化率Nnが98〜100%として作用するに加えて、ホウ素
においても97〜99.9%と桁外れにイオン化率を向上させ
ることができるようになった。
【0025】このためP型、I型、N型の半導体被膜を
積層させてPN接合、PI接合、NI接合を作ろうとした場
合、従来の方法では1〜5モル%のBまたはPを添加し
ても104 〜102 Ωcmの比抵抗を有していたが、本発明に
おいては、0.1 〜1モル%においても10〜0.01Ωcmにま
で下げることができた。また不純物を添加しない実質的
に真性のSAS 半導体膜で、その抵抗率を従来の水素希釈
の低圧型ボンベを用いると、108 〜1011Ωcmであったも
のが、本発明方法では103 〜105 Ωcmと104 倍も高くで
き、更にAM1 の条件下での光伝導度は101 〜103 Ωcmを
得ることができた。それは単結晶の103 〜104 Ωcmとき
わめて近い値であり、非晶質半導体またはSAS において
きわめて注目に値するものである。
【0026】更にこの珪素中にシランと同じボンベ内に
アンモニア、酸素、炭酸ガスまたはメタンを一部注入し
てSi3N4-X (0<X<4) 、SiO2-X(0<X<2) 、SiCx(0<X<1) を
形成してそのエネルギバンド巾を1.2 〜1.7eV ではな
く、さらに1.6 〜3.0eV とそのN、OまたはCの添加量
に比例して増加させ、それに加えて広いエネルギバンド
巾のPまたはN型の半導体としてもよい。
【0027】化学的にはガラス化剤として作用しにくい
窒素がきわめて安定であり、形成された後の組成変成も
少なく、最も好ましい材料であった。本発明においての
被膜作製方法の材料として珪素を中心として記した。し
かしこの材料はゲルマニウム化物であるゲルマン(GeH4)
であっても、また3−5化合物のヒ化ガリウム、リン化
ホウ素またはその他の化合物半導体であっも同様である
ことはいうまでもない。また本発明方法により形成され
た塊状のクラスタの集積した半導体は単結晶半導体膜に
比較して光学的には格子歪を有しているため、この格子
歪により、光の遷移は直接遷移的であることが光電効果
より判明した。このため光電変換装置において照射エネ
ルギの吸収は0.5 〜3μmの厚さで十分であり、単結晶
半導体膜の場合の如く100 〜300 μmの厚さを必要とし
ないことが大きな特徴であった。
【0028】本発明において、半導体膜中の不対結合手
を水素またはヘリウムまたはそれらの混合気体により中
和した。しかしさらにフッ素、塩素等のハロゲン元素を
添加しても、また窒素等を添加しても中和効果が得られ
た。本発明は半非晶質(SAS) のみならず非晶質(AS)の半
導体膜に対してもまた半絶縁体膜に対しても有効である
ことはいうまでもない。なおボンベ内圧力を長期間1〜
6ケ月保持するとその時間に従って重合または会合の状
態が徐々に進行して形成される塊状のクラスタの大きさ
が3〜10倍に大きくなった。加えて本発明における圧力
とはボンベに充填した時の圧力またはボンベの最大圧力
をいい、充填後ボンベの反応性気体を使用すれば圧力は
減少するが、その際反応生成物である重合または会合し
た珪化物等の気体がボンベより得られることはいうまで
もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容器を用いた半導体膜作製用の反応装
置の概略図を示す。
【図2】本発明の使用における反応過程を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高圧容器に容れられた半導体製造用のガス
    であって、高圧容器内にシラン又はゲルマンとシラン又
    はゲルマンに対して0.05〜5モル%のIII価又は
    V価の不純物気体が充填されており、その充填圧力が7
    Kg/cmないし50Kg/cmであることを特徴
    とする高圧容器に容れられた半導体製造用ガス
  2. 【請求項2】高圧容器に容れられた半導体製造用のガス
    であって、高圧容器内に、希釈剤として水素又は水素と
    ヘリウムを含み、シラン又はゲルマンとシラン又はゲル
    マンに対して0.05〜5モル%のIII価又はV価の
    不純物気体が充填されており、その充填圧力が7Kg/
    cmないし50Kg/cmであることを特徴とする
    高圧容器に容れられた半導体製造用ガス
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