JP2572574B2 - 超薄膜積層構造層を有する光受容部材 - Google Patents

超薄膜積層構造層を有する光受容部材

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は、電子写真用感光体等に用いられる光受容部
材、特に改善された表面層を有する光受容部材に関す
る。
〔従来技術の説明〕
従来、電子写真用感光体等に用いられる光受容部材と
しては、その光感度領域の整合性が他の種類の光受容部
材と比較して優れているのに加えて、ピッカース硬度が
高く、公害の問題が少ない等の点から、例えば特開昭54
−86341号公報や特開昭56−83746号公報にみられるよう
なシリコン原子(Si)を母体とする非晶質材料、いわゆ
るアモルファスシリコン(以後、「a−Si」と呼称す
る。)から成る光受容部材が注目されている。
ところでこうした光受容部材は、支持体上にa−Si、
特に好ましくは水素原子(H)又はハロゲン原子(X)
の少なくともいずれか一方を含有するa−Si〔以後、
「a−Si(H,X)」と表記する。〕で構成され、光導伝
性を有する感光層を有するものであるところ、該感光層
が帯電処理を受けた際に表面から感光層に電荷が注入さ
れるのを阻止する電荷注入阻止層として、また、該感光
層の耐湿性、連続繰返し使用特性、電気的耐圧性、使用
環境特性および耐久性等を向上せしめることにより画像
欠陥を防止する層として、高抵抗で光を透過する非晶質
材料で構成された表面層を該感光層上に積層することが
知られている。そして該表面層として、酸素原子
(O)、炭素原子(C)及び窒素原子(N)の中から選
ばれる少なくとも一種を比較的高濃度に有するa−Si
〔以後、「a−Si(O,C,N)(H,X)」と表記する。〕を
使用することが提案されている。
ところがa−Si(O,C,N)(H,X)で構成される表面層
は、高抵抗であるため、繰り返しの帯電及び画像露光に
より、表面層の表面に残留電位を生ずる場合があり、該
残留電位が画像欠陥をひきおこしてしまうという問題が
ある。また、a−Si(O,C,N)(H,X)で構成される表面
層を設けても、長時間の耐久により該層の有する画像欠
陥防止層としての機能が低下し、画像欠陥を生じてしま
うという問題もある。
さらに、a−Si(O,C,N)(H,X)で構成される表面層
は、シリコン原子を供給する原料ガス(SiH4ガス等)
と、酸素原子、炭素原子又は窒素原子を供給する原料ガ
ス(CH4ガス、NOガス、N2ガス、NH3ガス及びこれらの混
合ガス等)とを混合し、グロー放電分解法により、感光
層上に適当な厚さに積層されるのが通常であるが、この
ようにして作製された高抵抗な表面層は、欠陥準位を生
じやすく、該欠陥準位の発生が、耐久での画像欠陥や、
残留電位の原因となっているという問題もある。
また、上述の類の光受容部材は、いずれにしろ所謂多
層構成のものであって、その製造には一般にプラズマCV
D法による堆積膜形成装置が至適なものとして採用され
ている。そして所望のそうした光受容部材を製造するに
当っては、一般には各々の層毎に至適な成膜条件を設定
し、その条件に従って層形成操作を各別に行われてい
る。したがって従来のプラズマCVD法による装置によっ
ては、上述の表面層に係る問題の解決は、当該層の形成
工程の操作に問題解決の条件を設定し、その条件に従っ
て当該層の成膜操作を実施することにより行われること
から、それに引き続く層形成の操作を更に複雑にしてし
まい、所望の多層構成の光受容部材の効率的に量産する
となると装置自体の改良が要求されるところである。
〔発明の目的〕
本発明は、a−Si(H,X)で構成されるに係る上述の
問題を解決して所望機能を奏するものにした、電子写真
用感光体等に用いられる光受容部材を提係することを目
的とするものである。
即ち、本発明の主たる目的は、欠陥準位を有さずし
て、長時間の耐久によっても画像欠陥を生じない優れた
機能を奏する表面層を有する光受容部材を提供すること
にある。
本発明の他の目的は、残留電位の問題が殆んどなく、
画像欠陥の問題がなくして、改善された電気的耐圧性を
有する電子写真用光受容部材を提供することにある。
〔発明の構成〕
本発明者らは、従来のa−Si(H,X)で構成される感
光層を少なくとも有する電子写真用感光体等に用いられ
る光受容部材及びその製造装置について、前述の諸問題
を克服して上述の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結
果、先ず前記光受容部材について、その感光層として、
構成原子の少なくとも一部が異なる少なくとも2種の超
薄膜層を複数回積層されてなるもので構成されたものを
使用した場合、表面層としての前述の諸問題を解決し、
長時間の耐久によっても画像欠陥や残留電位の発生がな
い光受容部材が得られるという知見を得た。
即ち、a−Si(O,C,N)(H,X)で構成される高抵抗な
非晶質材料は、a−Si(H,X)で構成される非晶質材料
よりもバンドギャップが拡大することを本発明者らは事
実として確認しているところ、該a−Si(O,C,N)(H,
X)で構成される超薄膜と、a−Si(O,C,N)(H,X)と
はフェルミレベルまたは/及びハンドギャップが異なる
非晶質材料で構成される超薄膜とを複数回積層した超薄
膜積層構造を有する表面層を用いた場合、a−Si(O,C,
N)(H,X)からなる単層構造の表面層を用いた場合に比
較して、欠陥準位の発生を著しく減少させうることを見
い出した。
ところで、こうした超薄膜積層構造膜に、該膜とは別
の機能を奏する膜を積層すると、例えばそれを電子写真
感光体に供する場合、前記超薄膜積層構造膜と該膜層に
隣接する別の膜層との界面に電荷輸送に対する障壁が生
じ、光照射後の残留電位が大きくなる等の問題がしばし
ば生じる。
本発明者らはこうした背景にあって問題を解決すべく
鋭意研究を重ね、下述する知見を得た。
即ち、本発明者らは、形成する超薄膜積層構造物につ
いて、その形成過程で構成超薄膜層の層厚を積層するに
つれて変化(厚→薄又は薄→厚)させること、又は/及
び前記構成超薄膜層の少なくとも一つの構成元素につい
て、その超薄膜層中での構成比を、該層に隣接する他の
超薄膜層中での前記構成元素の構成比に近づくようにす
ることによって、第3(a)乃至(f)図の模式図に示
すごときエネルギーアンドが得られるように試みた。な
お、第3図において、縦軸は電子のエネルギー、横軸は
層厚を示している。
図示においては、超薄膜積層構造の全体にわたって
か、或いは層界面についてか、或いはまた層界面の側域
についての変化を示している。
第3(a)図の場合は層厚について調整したものであ
り、第3(b)図の場合は層の構成元素の構成比につい
て調整したものであり、第3(c)図は前記層厚(第3
(a)図)+前記構成比(第3(b)図)について調整
したものである。第3(d)図の場合はドーパント
(P)について調整したものであり、第3(e)図の場
合はドーパント(P,n)について調整したものであり、
第3(f)図の場合は層界面での構成元素について調整
(連続変化)したものである。
以上のように超薄膜積層構造にしたところ、該構造体
は、電流を流すと電荷の捕獲、再結合、蓄積を減少させ
ることがわかった。このことはとりもなおさずそれを電
子写真感光体に供する場合、残留電位の減少、そして光
感度の上昇をもたらすことを意味する。
本発明は、上述の実験的に確認された知見に基づいて
完成せしめたものであり、長時間の耐久によっても画像
欠陥を生ずることのない、安定した所望特性を発揮する
光受容部材を提供するものである。
本発明により提供される光受容部材は、下記の2つの
態様を包含する。
(1)支持体と、該支持体上に、シリコン原子を母体と
する非晶質材料で構成される感光層と、該感光層上に層
厚10Å〜150Åのシリコン原子を含有する非単結晶質材
料で構成された第1の層と、層厚10Å〜150Åの少なく
ともシリコン原子と酸素原子、炭素原子及び窒素原子の
中から選ばれる少なくとも一種とを含有する非単結晶質
材料で構成された第2の層を複数回交互に積層させた第
1の領域と、前記第1の層または前記第2の層の少なく
とも一方の層厚を前記第1または第2の層の層厚より薄
くさせて複数回交互に積層させた第2の領域と、を有す
る表面層を少なくとも有し、前記第2の領域は前記感光
層に接して設けられていることを特徴とする超薄膜積層
構造層を有する光受容部材。
(2)支持体と、該支持体上に、シリコン原子を母体と
する非晶質材料で構成される感光層と、該感光層上に層
厚10Å〜150Åのシリコン原子を含有する非単結晶質材
料で構成された第1の層と、層厚10Å〜150Åの少なく
ともシリコン原子と酸素原子、炭素原子及び窒素原子の
中から選ばれる少なくとも一種とを含有する非単結晶質
材料で構成された第2の層を複数回交互に積層させた第
1の領域と、前記感光層に接して設けられ前記第1の層
または前記第2の層の少なくとも一方の構成原子比を前
記感光層の構成原子比に近づけて変化させて複数回交互
に積層させた第2の領域と、を有する表面層を少なくと
も有し、前記第2の領域は前記感光層に接して設けられ
ていることを特徴とする超薄膜積層構造層を有する光受
容部材。
以下、図示の実施例により本発明の内容をより詳しく
説明する。なお、光受容部材について図示する例は電子
写真用のものではあるが、本発明はこれにより限定され
るものではない。
第1(A)乃至(C)図は、本発明の電子写真用光受
容部材の層構成の典型的な例を模式的に示した図であ
る。
第1(A)図に示す例は、支持体101上に、電荷注入
阻止層102、感光層103及び表面層104をこの順に設けた
ものである。
第1(B)図に示す例は、支持体101上に、長波長吸
収層105、感光層103及び表面層104をこの順に設けたも
のであり、該例においては長波長吸収層105及び電荷注
入阻止層102の順序を入れかえることもできる。
第1(C)図に示す例は、支持体101上に、電荷注入
阻止層102、長波長吸収層106、感光層103及び表面層104
をこの順に設けたものである。
本発明に用いる支持体101は、導電性のものであって
も、また電気絶縁性のものであってもよい。導電性支持
体としては、例えば、NiCr、ステンレス、Al、Cr、Mo、
Au、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb等の金属又はこれ等の合金
が挙げられる。
電気絶縁性支持体としては、ポリエステル、ポリエチ
レン、ポリカーボネート、セルロース、アセテート、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフイルム又は
シート、ガラス、セラミック、紙等が挙げられる。これ
等の電気絶縁性支持体は、好適には少なくともその一方
の表面を導電処理し、該導電処理された表面側に光受容
層を設けるのが望ましい。
例えば、ガラスであれば、その表面に、NiCr、Al、C
r、Mo、Au、Ir、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pd、In2O3、Sn
O2、ITO(In2O3+SnO2)等から成る薄膜を設けることに
よって導電性を付与し、或いはポリエステルフイルム等
の合成樹脂フイルムであれば、NiCr、Al、Ag、Pb、Zn、
Ni、Au、Cr、Mo、Ir、Nb、Ta、V、Tl、Pt等の金属の薄
膜を真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング等でそ
の表面に設け、又は前記金属でその表面をラミネート処
理して、その表面に導電性を付与する。支持体の形状は
無端ベルト状又は円筒状とし、その厚さは、所望通りの
光受容部材を形成しうる様に適宜決定するが、光受容部
材として可撓性が要求される場合には、支持体としての
機能が充分発揮される範囲内で可能な限り薄くすること
ができる。しかしながら、支持体の製造上及び取扱い
上、機械的強度等の点から、通常は、10μ以上とされ
る。
本発明の光受容部材において、支持体101と感光層103
の間に設けられる電荷注入阻止層102は、感光層103が帯
電処理を受けた際に支持体側から感光層103中に電子が
注入されることを阻止するために設けられる層であり、
該電荷注入阻止層102は、a−Si、又は多結晶シリコン
(以後、「poly−Si」と呼称する。)、あるいは両者を
含むいわゆる非単結晶シリコン(以後、「Non−Si」と
呼称する。)〔なお、微結晶質シリコンと通称されるも
のはa−Siに分類される。〕に、p型不純物またはn型
不純物と、酸素原子、炭素原子及び窒素原子の中から選
ばれる少なくとも一種とを含有せしめたもの構成されて
いる。
該電荷注入阻止層中に含有せしめる第III族原子とし
ては、具体的には、B(硼素)、Al(アルミニウム)、
Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Tl(タリウム)等
を用いることができるが、特に好ましいものはB、Gaで
ある。また第V族原子としては、具体的には、P
(燐)、As(砒素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマ
ス)等を用いることができるが、特に好ましいものは
P、Asである。そして感光層102中に含有せしめる第III
族原子又は第V族原子の量は、3〜5×104atomic pp
m、好ましくは50〜1×104atomic ppm、最適には1×10
2〜5×103atomic ppmとすることが望ましい。
また、酸素原子、炭素原子及び窒素原子の中から選ば
れる少なくとも一種を含有せしめることにより、支持体
との密着性を向上せしめるとともに、高暗抵抗化を図か
る効果が奏される。そしてこれらの原子を電荷注入阻止
層102中に含有せしめる量は、0.001〜50atomic%、好ま
しくは0.002〜40atomic%、最適には0.003〜30atomic%
とするのが望ましい。
更に、本発明の光受容部材の電荷注入阻止層103の層
厚は、300Å〜10μ、好ましくは400Å〜8μ、最適には
500Å〜5μとするのが望ましい。
ところで、本発明における電荷注入阻止層103は、前
述のごとく第III族原子又は第V族原子と、酸素原子、
炭素原子及び窒素原子の中から選ばれる少なくとも一種
とを含有するNon−Si(H,X)〔以後、「Non−SiM(O,C,
N)(H,X)と呼称する。〕、即ち、a−SiM(O,C,N)
(H,X)又はpoly−SiM(O,C,N)(H,X)あるいは両者の
混合物で構成されるものであるが、poly−Si(O,C,N)
(H,X)で構成される層を形成するについては種々の方
法があり、例えば次のような方法であげられる。
その1つの方法は、基体温度を高温、具体的には400
〜450℃に設定し、該基体上にプラズマCVD法により膜を
堆積せしめる方法である。
他の方法は、基体表面に先ずアモルファス状の膜を形
成し、即ち、基体温度を約250℃にした基体上にプラズ
マCVD法により膜を形成し、該アモルファス状の膜をア
ニーリング処理することによりpoly化する方法である。
該アニーリング処理は、基体を400〜450℃に約20分間加
熱するか、あるいは、レーザー光を約20分間照射するこ
とにより行なわれる。
本発明の光受容部材の感光層103は、a−Si(H,X)で
構成され、光導伝性を有する層であって、該層にはさら
に、第III族原子又は第V族原子又は/及び酸素原子、
炭素原子及び窒素原子の中から選ばれる少なくとも一種
を含有せしめることができる。
感光層103中に含有せしめるハロゲン原子(X)とし
ては、具体的にはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げら
れ、特にフッ素、塩素を好適なものとして挙げることが
できる。そして感光層103中に含有せしめる水素原子
(H)の量又はハロゲン原子(X)の量、あるいは水素
原子とハロゲン原子の量の和(H+X)は、好ましくは
1〜40atomic%、より好ましくは5〜30atomic%とする
のが望ましい。
また、感光層103中に、第III族原子又は第V族原子を
含有せしめる目的は、感光層103の伝導性を制御するこ
とにある。このような第III族原子及び第V族原子とし
ては、前述の電荷注入阻止層102中に含有せしめるもの
と同様のものを用いることができるが、感光層103に含
有せしめる場合には、電荷注入阻止層102に含有せしめ
たものとは逆の極性のものを含有せしめるか、あるいは
電荷注入阻止層102に含有せしめたものと同極性のもの
を該層102に含有される量より一段と少ない量にして含
有せしめることができる。感光層103中に含有せしめる
第III族原子又は第V族原子の量は、1×10-3〜1×103
atomic ppm、好ましくは5×10-2〜5×102atomic pp
m、最適には1×10-1〜2×102atomic ppmとすることが
望ましい。
また、感光層103中に、酸素原子、炭素原子及び窒素
原子の中から選ばれる少なくとも一種を含有せしめる目
的は、感光層103の高暗抵抗化をはかるとともに、感光
層103の膜品質を向上せしめることにある。そして、感
光層103に含有せしめるこうした原子の量は、1×10-3
〜50atomic%、好ましくは2×10-3〜40atomic%、最適
には3×10-3〜30atomic%とするのが望ましい。
また、本発明の光受容部材において、感光層の層厚
は、本発明の目的を効率的に達成するには重要な要因の
1つであって、光受容部材に所望の特性が与えられるよ
うに、光受容部材の設計の際には充分な注意を払う必要
があり、通常は3〜100μとするが、好ましくは5〜80
μ、最適には7〜50μとする。
本発明の光受容部材の表面層104は、前述のごとく、
本発明の特徴とする点であって、a−Si(O,C,N)(H,
X)で構成される高抵抗な非晶質材料であり、a−Si
(O,C,N)(H,N)で構成される超薄膜とa−Si(O,C,
N)(H,X)とはフェルミレベルまたは/及びバンドギャ
ップの異なる非晶質材料で構成される超薄膜層とが交互
に複数回積層されてなる超薄膜積層構造を有する層であ
る。そして該超薄膜積層構造層を構成する夫々の超薄膜
の膜厚は、10〜150Å、好ましくは10〜100Å、最適には
15〜80Åとすることが望ましい。
また、表面層104中に含有せしめる酸素原子、炭素原
子又は窒素原子の量の増加に伴って、前述の諸特性は向
上するが、多すぎると層品質が低下し、電気的および機
械的特性も低下する。こうしたことから、これらの原子
の量は、0.001〜90atomic%、好ましくは1〜90atomic
%、最適には10〜80atomic%とするのが望ましい。
また、本発明の光受容部材において、表面層104の層
厚も本発明の目的を効率的に達成するために重要な要因
の1つであり、所望の目的に応じて適宜決定されるもの
であるが、表面層に含有せしめる構成原子の量、あるい
は表面層に要求される特性に応じて相互的かつ有機的関
連性の下に決定する必要がある。更に生産性や量産性も
加味した経済性の点においても考慮する必要もある。こ
うしたことから、本発明の光受容部材の表面層の層厚
は、3×10-3〜30μより好ましくは4×10-3〜20μ、特
に好ましくは5×10-3〜10μとする。
本発明の光受容部材においては、a−Si(O,C,N)
(H,X)で構成される表面層104を前述のごとき超薄膜積
層構造層とすることが必要とされるが、前述の感光層10
3及び/又は電荷注入阻止層についても超薄膜構造層と
することができる。
即ち、本発明の光受容部材の感光層103は第III族原子
又は第V族原子を含有するa−Si(H,X)〔以後、「a
−SiM(H,X)」と表記する。(但し、Mは第III族原子
又は第V族原子を表わす。)〕で構成されていてもよ
く、あるいはa−Si(O,C,N)(H,X)で構成されていて
もよく、さらには第III族原子又は第V族原子を含有す
るa−Si(O,C,N)(H,X)〔以後、a−SiM(O,C,N)
(H,X)と表記する。〕で構成されていてもよいもので
あるが、a−Si(H,X)で構成される感光層中に、こう
したシリコン原子以外の構成原子を含有せしめる場合、
構成原子の少なくとも一部が異なる超薄膜を少なくとも
2種類以上複数回積層した超薄膜積層構造とすることに
より、バンドギャップを調整することができる。
このところについて第5(A),(B)図を用いて説
明する。
第5(A),(B)図はエネルギーバンドの説明図で
あり、図中、EFはフェルミエネルギー、ECは伝導帯端エ
ネルギー、EVは価電子帯端エネルギー、Egはバンドギャ
ップを表わしている。
第5(A)図は、バンドギャップの異なる二種の超薄
膜を積層した場合を説明する図である。即ち、a−Si
(H,X)中に窒素原子、炭素原子及び窒素原子の中から
選ばれる少なくとも一種を含有せしめた場合には、a−
Si(H,X)よりもバンドギャップが拡大することを本発
明者らは事実として確認しているところ、更に次のとこ
ろも確認し、例えば該a−Si(H,X)で構成される超薄
膜とa−Si(O,C,N)(H,X)で構成される超薄膜のよう
に、バンドギャップの異なる超薄膜層を積層すると、狭
いバンドギャップを有する超薄膜層で、量子効果によ
り、図中破線で示すが如き、サブバンドが形成される。
該サブバンドは、伝導帯及び価電子帯の端部よりもエネ
ルギー的に高い位置に形成され、その結果、超薄膜層を
積層した感光層のバンドギャップは、単層構造の感光層
の場合よりも広がることとなる。そして、第5(B)図
は、p型不純物を含有するa−Si(H,X)で構成される
超薄膜層(以後「p型超薄膜層」と称する。)と、n型
不純物を含有するa−Si(H,X)で構成される超薄膜層
(以後「n型超薄膜層」と称する。)とを交互に積層し
た場合を説明する図である。この場合には、伝導帯側で
は、p型超薄膜層ではさまれたn型超薄膜層で、量る効
果により伝導帯端エネルギーECよりも高いエネルギー側
にサブバンドが形成される。また同様に、価電子帯側で
は、p型超薄膜層において価電子帯端エネルギーEVより
も高いエネルギー側に量る効果によるサブバンドが形成
される。それぞれのサブバンドは、伝導帯側ではp型超
薄膜層へ、また価電子帯側ではn型超薄膜層へしみだし
が生じる。その結果、光吸収は、伝導帯のサブバンド
と、価電子帯のしみだしたサブバンドの間で生じるた
め、p型超薄膜層とn型超薄膜層とを積層した感光層の
バンドギャップは、それぞれp型超薄膜層及びn型超薄
膜層固有のバンドギャップよりも狭くなることとなる。
以上のことから具体的には、感光層103を例えば、a
−Si(H,X)で構成される超薄膜層とa−SiM(H,X)で
構成される超薄膜層とを交互に複数回積層した超薄膜積
層構造層、又は、a−Si(H,X)で構成される超薄膜層
とa−Si(O,C,N)(H,X)で構成される超薄膜構造層と
を交互に複数回積層した超薄膜積層構造層、あるいは、
a−SiM(H,X)で構成される超薄膜層とa−Si(O,C,
N)(H,X)で構成される超薄膜層とを交互に複数回積層
した超薄膜積層構造層とすることができる。
また同様に、本発明の光受容部材の電荷注入阻止層10
2もまた、少なくとも構成原子の一部が異なる超薄膜を
少なくとも2種類以上複数回積層してなる超薄膜積層構
造層とすることができる。例えば具体的には、電荷注入
阻止効果を奏する第III族原子又は第V族原子を含有す
るNon−Si(H,X)で構成される超薄膜と、支持体との密
着効果及び高暗抵抗化等の効果を奏するNon−Si(O,C,
N)(H,X)で構成される超薄膜とを、交互に複数回積層
してなるものとすることができる。電荷注入阻止層102
として、酸素原子、炭素原子及び窒素原子を含有せしめ
た場合の欠点として、欠陥準位の発生を招きやすく、該
欠陥準位の発生が第III族原子又は第V族原子のドーピ
ング効果を阻害することが知られているが、電荷注入阻
止層を上述のごとき超薄膜積層構造とすることにより、
こうした欠点のない、すぐれた電荷注入阻止効果を奏す
るものとすることが可能となるものである。
本発明の光受容部材における長波長吸収層105(106)
は、支持体上、あるいは電荷注入阻止層102の下に設け
られるものであって、ゲルマニウム原子(Ge)又はスズ
原子(Sn)の少なくとも一方を含有するNon−Si(H,X)
〔以後、Non−Si(Ge,Sn)(H,X)と呼称する。〕で構
成されている。該長波長吸収層105(106)は、ゲルマニ
ウム原子又はスズ原子の少なくとも一方を含有せしめる
ことにより、半導体レーザー等の長波長光源を用いた場
合において、感光層103では殆んど吸収しきれない長波
長側の光を、該層105(106)で実質的に完全に吸収する
ことができるようになり、ことことにより、支持体101
表面からの反射によって生ずる干渉を防止することがで
きるものである。長波長側の光を吸収するために該層10
5(106)に含有せしめるゲルマニウム原子又はスズ原子
の量は、1〜9.5×105atomic ppm、好ましくは1×102
〜9×105atomic ppm、最適には5×102〜8×105atomi
c ppmとするのが望ましい。
また、該長波長吸収層105(106)の層厚は、300Å〜1
0μ、好ましくは400Å〜8μ、最適には500Å〜5μと
することが望ましい。
更に、該長波長吸収層105(106)を電荷注入阻止層と
しての機能を兼ねそなえた層とする場合にあっては、ゲ
ルマニウム原子又はスズ原子と、第III族原子又は第V
族原子と、酸素原子、炭素原子及び窒素原子の中から選
ばれる少なくとも一種とを含有するNon−Si(H,X)で構
成される層とすればよい。
次に、本発明の超薄膜積層構造層を有する光受容部材
を製造するのに適した、プラズマCVD法による堆積膜形
成装置について、図面により詳しく説明するが、本発明
はこれらによって限定されるものではない。
第2図は、本発明のプラズマCVD法による堆積膜形成
装置の典型例を模式的に示す図であって、第2(A)図
は装置全体の横断面略図、第2(B)図は装置全体の縦
断面略図である。
第2図において、201は、表面にシリコン原子を母体
とするアモルファス膜を形成するための、アルミニウム
製支持体ドラムである。(以下、単に「ドラム」と称
す。)ドラム201は回転駆動機構202によって中心軸を軸
として回転するようになっており、ドラム201の内部に
は、加熱用ヒーター203を配置する。該加熱用ヒーター2
03は、成膜前にドラムを所定温度に加熱したり、成膜中
にドラムを所定温度に保持したり、あるいは成膜後にア
ニール処理するのに用いる。
204は、カソード電極であり、アノード電極であるド
ラム201と同軸型の対向電極をなしている。205は高周波
電源で、カソード電極204に高周波電力を供給し、アー
スされているアノード電極であるドラム201との間で放
電を生起せしめるものである。206,207は碍子でありア
ノード電極201とカソード電極204を絶縁している。
カソード電極204と碍子206,207で形成される気密性反
応室内は、排気バルブ209,210を介して排気装置208によ
り排気される。211,212は排気バルブ209,210の直前に設
けられた真空計である。
ドラム201を配置した成膜空間には、ガス導入制御の
ための電磁弁213,214をそれぞれ介して、多数の原料ガ
ス噴出孔を有する原料ガス供給管215,216により、原料
ガスが供給されるようにされており、該原料ガス供給管
215,216の他端は、原料ガスボンベ217〜225,227〜235に
連通している。原料ガスボンベ217〜225,227〜235には
夫々原料ガスが密封されており、例えばガスボンベ217,
227にはSiH4ガス、ガスボンベ218,228にはH2ガス、ガス
ボンベ219,229にはCH4ガス、ガスボンベ220,230にはGeH
4ガス、ガスボンベ221,231にはN2ボンベ、ガスボンベ22
2,232にはNOガス、ガスボンベ223,233にはB2H6ガス、ガ
スボンベ224,234にはPH3ガス、ガスボンベ225,235にはS
iF4ガスが夫々密封されている。ガスボンベ217〜225,22
7〜235には夫々バルブ217a〜225a,227a〜235aが設けら
れており、ガス圧力レギュレター217b〜225b,227b〜235
b、流入バルブ217c〜225c,227c〜235c、マスフロコント
ローラー217d〜225d,227d〜235d、及び流出バルブ217e
〜225e,227e〜235eを介して夫々原料ガス供給管215,216
に原料ガスを供給するようにされている。
高周波電源205、マスフローコントローラー217d〜225
d,227d〜235d、ガス流入バルブ217e〜225e,227e〜235
e、電磁弁213,214、排気バルブ209,210はマイクロコン
ピューター(不図示)に接続され、ガス流量、ガスの流
入の制御、反応室内のガスの排気、及びRF電界の印加
は、マイクロコンピューターに入力されている所定のプ
ログラムで制御できるようになっている。
かくなる構成の本発明のプラズマCVD装置の操作につ
いて、その概略を以下に記載する。
ガスボンベ217〜225,227〜235のバルブ217a〜225a,22
7a〜235aが閉じ、さらに流入バルブ217c〜225c,227c〜2
35c及び流出バルブ217e〜225e,227e〜235eが開き、排気
バルブ210を開いて反応室及び各原料ガス供給用配管内
をターボ分子ポンプ212により真空排気し、真空度が約
5×10-6torrになった時点で流出バルブ217e〜225e,227
e〜235eを閉じる。
次にドラム201を加熱ヒーター203で50〜400℃の所定
温度になるまで加熱する。
続いて、ガスボンベ217,227よりSiH4ガス、同218,227
よりH2ガス、同219,229よりCH4ガス、同220,230よりGeH
4ガス、同221,231よりN2ガス、同222,232よりNOガス、
同223,233よりH2ガスで3000ppmに希釈されたB2H6ガス
(以下「B2H6/H2ガス」と表記する。)、同224,234よ
り、H2ガスで3000ppmに希釈されたPH3ガス(以下「PH3/
H2ガス」と表記する。)同225,235よりSiF4ガスを、各
々バルブ217a〜225a,227a〜235aを開き、圧力レギュレ
ータ217b〜225b,227b〜235bにより2Kg/cm3に調整した
後、流入バルブ217c〜225c,227c〜235cを徐々に開いて
マスフローコントローラー217d〜225d,227d〜235d内に
夫々流入させる。引きつづき、膜の形成に必要な原料ガ
スの流出バルブを徐々に開けて、ドラム201とカソード
電極204の間に形成された領域に、原料ガス導入管215,2
16より流入させる。このとき、各領域における原料ガス
の流量が所定の値になるようにマスフローコントローラ
ー217d〜225d,227d〜235dを設定する。真空計211の値が
所望の値になるよう排気バルブ209の開口をマイクロコ
ンピューターからの出力により調整する。そして、ドラ
ム201の温度が所定の温度に設定されていることを確認
し、ドラムを回転させた後、高周波電源205によりカソ
ード電極204に高周波電力を供給し、ドラム201とカソー
ド電極204との間にグロー放電を生起せしめ、プラズマ
状態を形成する。
ヒーター203により50〜400℃の所定の温度に加熱され
たドラム201の表面導入ガスの種類及び流量をマイクロ
コンピューターにより制御しながら、原料ガスを反応室
内に流入する。圧力調整を行ないつつ、所定の時間RF電
界を印加し、電界を切る。ガスの排気を異なる組成のガ
スで行なうことにより、ドラム表面にA層とB層とが交
互に積層される。
A層及びB層の層厚は、各単層の成膜時間、流入ガス
の流量、あるいはRF電源パワーを制御することにより、
所望の値のものが得られる。
ドラム表面に形成された超薄膜構造の膜厚が所定の値
になったところで高周波電源を止めて放電を中止し、流
出バルブ217e〜225e,227e〜235eを閉じる。
以上の操作により超薄膜積層構造層の形成を行なう
が、超薄膜積層構造層以外の層を形成するには、電源の
オンオフ、ガスの流入・排出をくりかえさず、同じ混合
比の混合ガスを必要な流量だけ流入して所定の時間RF電
界を印加し、上述と同様の操作を行なえばよい。この
際、夫々の層を形成する際に必要な原料ガスの流出バル
ブ以外の流出バルブを全て閉じることはいうまでもな
く、また、夫々の層を形成する際、前層の形成に使用し
た原料ガスが反応室内、及び流出バルブから反応室内に
至るガス配管内に残留することを避けるために、流出バ
ルブを閉じて、排気バルブ209,210を全開にして系内を
一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行なう。
第2(A)図の堆積膜形成装置を用いて、超薄膜積層
構造を気体状原料ガスと該気体状原料ガスを酸化する気
体状ハロゲン系酸化剤との酸化反応によって形成するに
は、気体状原料ガスとハロゲン系酸化剤とを別々のガス
導入管で堆積室204へ導入し、堆積室内で酸化反応させ
る。その場合気体状原料ガスの流量をマイクロコンピュ
ーターにより制御して構成原子比の異なる超薄膜を所望
の回数堆積させ、超薄膜積層構造を得る。
この場合気体状原料ガスとしては、水素化ケイ素化合
物、水素化ゲルマニウム化合物、水素化スズ化合物、水
素化炭素化合物等が使用できる。
ハロゲン系酸化剤としてはF2,Cl2,Br2,FCl等のハロゲ
ンガスが使用できる。
気体状原料ガスに酸素含有化合物、III,V族化合物等
を添加しても良い。
〔実施例〕
以下、実施例1〜15により本発明についてより詳細に
説明するが、本発明はこれらにより限定されるものでは
ない。
実施例1 第2図に示した製造装置を用いて、シリンダー状Al基
体表面に、第1表に示す層形成条件で層形成を行ない、
第1(B)図に示す層構成の電子写真用光受容部材を得
た。
成膜操作にあって、第4層の初めの9周期において
は、A,Bの各層を3Åよりそれぞれ1.5Åずつ周期をくり
返すにしたがい増加させ、最終的に30Åの周期にした。
得られた光受容部材を、帯電露光実験装置に設置し
て、5.0KVで0.3秒間コロナ帯電を行ない、直ちに光像
を照射した。光像の照射はタングステンランプ光源を用
い、0.7lux・secの光量を透過型のテストチャートを通
して行なった。
その後直ちに荷電性の現像剤で該光受容部材表面を
カスケード現像することにより、該光受容部材表面上に
良好なトナー画像を得た。次いで該トナー画像を5.0K
Vのコロナ帯電で転写紙上に転写したところ、解像力に
優れ、階調再現性の良好な、鮮明な高濃度の画像が得ら
れた。
また、残留電位は、周期の補正を行なうことなく作成
した光受容部材に比べ10%程度の減少がみられた。
実施例2 層形成条件を第2表に示す条件とした以外はすべて実
施例1と同様にして、第1(A)図に示す層構成の電子
写真用光受容部材を得た。
なお成膜操作における第3層の初めの10周期において
B層のCH4の量はゼロから出発して60SCCMずつ周期を繰
り返すにしたがい増加させ、最終的に600Åになるよう
にした。
得られた光受容部材を用いて、実施例1と同様の方法
でコロナ帯電、タングステンランプによる光像照射、現
像、転写を行なったところ、解像力に優れ、階調再現性
の良好な、鮮明な高濃度の画像が得られた。
第3層の初めの10周期でB層の構成原子の調整を行な
わないで作成した電子写真用光受容部材に比べ残留電位
が20%減少していた。
実施例3〜6 第4層形成時の層形成条件を第3表に示す条件とした
以外はすべて実施例1と同様にして、電子写真用光受容
部材を得た。
得られた夫々の光受容部材を用いて、実施例1と同様
にして画像形成を行なったところ、解像力に優れ、階調
再現性の良好な、鮮明な高濃度の画像が得られた。
また、第4層形成時の周期補正をしなかった光受容部
材に比べ残留電位は大きく低下していた。
実施例7〜9 第2層形成時の層形成条件を第4表に示す条件とした
以外はすべて実施例1と同様にして、電子写真用光受容
部材を得た。
得られた夫々の光受容部材を用いて、実施例1と同様
にして画像形成を行なったところ、解像力に優れ、階調
再現性の良好な、鮮明な高濃度の画像が得られた。
また、第4層形成開始時に周期補正を行わなかった光
受容部材に比べ、残留電位は大きく低下していた。
実施例10〜12 第1層形成時の層形成条件を第5表に示す条件とした
以外はすべて実施例2と同様にして、電子写真用光受容
部材を得た。
得られた夫々の光受容部材を用いて、実施例1と同様
にして、画像形成を行なった(但し、実施例10において
は、帯電を帯電とし、荷電性の現像剤を用いて現像
し、帯電により転写した。)ところ、解像力に優れ、
階調再現性の良好な、鮮明な高濃度の画像が得られた。
また、第3層の初めの10周期でB層の構成原子の調整
を行わないで作成した電子写真用光受容部材に比べ残留
電位は著しく低下していた。
実施例13 層形成条件を第6表に示す条件とし、更に第3層の終
りの10周期の形成時、A層のSiH4の量及びB層のCH4
量を変化させて、Si(A成分)およびC(B成分)が第
4図に示す如くに変化するようにした以外はすべて実施
例1と同様にして第1(A)図に示す電子写真用光受容
部材を得た。
得られた光受容部材を用いて、実施例1と同様にして
画像形成を行なったところ、解像力に優れ、階調再現性
の良好な、鮮明な高濃度の画像が得られた。
また、第3層形成時における構成原子の調整を行わな
いで作成した光受容部材に比べ残留電位は著しく低下し
ていた。
実施例14 第2(A)図に示す装置の原料ガス供給管215及び216
とガス制御バルブ213及び214との間にそれぞれ石英の反
応管をとりつけ、その外側にマイクロ波が印加できるよ
うに導波管をとりつけた。導波管には2.45GHzのマイク
ロ波電源がとりつけられ、石英の反応管にマイクロ波電
界が印加され、石英の反応管中にガスを流すことにより
プラズマが発生され、プラズマで発生されたラジカルが
反応室内に導入されてドラムシリンダー上に成膜が行わ
れる。このときRF電源205はとりはらわれている。
また原料ガス供給管215,216の構造は、ラジカルの供
給に適した構造になおした。また原料ガス供給管215,21
6の配置は2つのガス供給管215,216より吹き出したラジ
カルが、ドラムシリンダー上であわさるような配置にお
いた。
上記のように改造した装置を用い第7表の条件で電子
写真用光受容部材を作成した。
第3層の初めの10周期においては、超薄膜構造の各周
期が4Åから4Åずつ増えていくように成膜時間を調整
し、またB層のC2F6を3SCCMに始まって3SCCMずつ増える
ように流量を調整した。
得られた電子写真用光受容部材を用いて、実施例1と
同様にして画像形成を行なったところ、解像力に優れ、
階調再現性の良好な、鮮明な高濃度の画像が得られた。
また、第3層の初めの10周期での周期補正及び構成原
子補正を行わなくして得た光受容部材と比較したとこ
ろ、残留電位は50%も減少していた。
実施例15 第2(A)図に示す装置のドラムシリンダ201の上側
にAl2O3の窓をとりつけ、その窓の上に円形の導波管を
とりつけた。円形の導波管には2.45GHzのマイクロ波電
源がとりつけられ、反応室内にマイクロ波の電界が印加
され、ガスを流すことによりプラズマが発生される。も
ちろんこのときRF電源205はとりはらわれている。
第8表の条件で電子写真用光受容部材を得た。
このとき第3層の初め10周期において、B層において
CH4の流量を初め4SCCMより1周期ごとに4SCCMずつ増加
させ、超格子構造膜を作成した。
得られた光受容部材を、帯電露光実験装置に設置し
て、5.0KVで0.3秒間コロナ帯電を行ない、直ちに光像
を照射した。光像の照射はタングステンランプ光源を用
い、0.7lux・secの光量を透過型のテストチャートを通
して行なった。
その後直ちに荷電性の現像剤で該光受容部材表面を
カスケード現像することにより、該光受容部材表面上に
良好なトナー画像を得た。次いで該トナー画像を5.0K
Vのコロナ帯電で転写紙上に転写したところ、いずれ
も、解像力に優れ、階調再現性の良好な、鮮明な高濃度
の画像が得られた。
また、第3層の初めの10周期でのB層の構成原子の調
整を行わないで作成した電子写真用光受容部材と比較し
たところ、残留電位は15%減少した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の光受容部材の層構成の典型的な例を
模式的に示した図である。第2図は、本発明の光受容部
材を製造するための装置の典型的実施例を模式的に示す
図であり、(A)図は横断面略図、(B)図は縦断面略
図である。第3図は超薄膜積層構造層におけるエネルギ
ーバンドの模式的説明図である。第4図は、超薄膜積層
構造層の構成元素の分布の説明図である。第5図は感光
層のエネルギーの模式的説明図である。 第1図について、 101……支持体、102……電荷注入阻止層、103……感光
層、104……表面層、105……長波長吸収層を兼ねた電荷
注入阻止層、106……長波長吸収層 第2図について、 201……ドラム、202……回転機構、203……加熱ヒータ
ー、204……カソード電極、205……高周波電源、206,20
7……碍子、208,212……排気装置、209,210……排気バ
ルブ、211……真空計、213,214……バルブ、215,216…
…原料ガス供給管、217〜225,227〜235……原料ガスボ
ンベ、217a〜225a,227a〜235a……バルブ、217b〜225b,
227b〜235b……ガス圧力レギュレター、217c〜225c,227
c〜235c……流入バルブ、217d〜225d,227d〜235d……マ
スフロコントローラー、217e〜225e,227e〜235e……流
入バルブ、236,237……排気口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 5/08 333 G03G 5/08 333 334 334 335 335 336 336 (56)参考文献 特開 昭60−11849(JP,A) 特開 昭61−193489(JP,A) 特開 昭62−43653(JP,A) 特開 昭62−161155(JP,A) 特開 昭62−214619(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体と、該支持体上に、シリコン原子を
    母体とする非晶質材料で構成される感光層と、該感光層
    上に層厚10Å〜150Åのシリコン原子を含有する非単結
    晶質材料で構成された第1の層と、層厚10Å〜150Åの
    少なくともシリコン原子と酸素原子、炭素原子及び窒素
    原子の中から選ばれる少なくとも一種とを含有する非単
    結晶質材料で構成された第2の層を複数回交互に積層さ
    せた第1の領域と、前記第1の層または前記第2の層の
    少なくとも一方の層厚を前記第1または第2の層の層厚
    より薄くさせて複数回交互に積層させた第2の領域と、
    を有する表面層を少なくとも有し、前記第2の領域は前
    記感光層に接して設けられていることを特徴とする超薄
    膜積層構造層を有する光受容部材。
  2. 【請求項2】前記支持体と前記感光層の間に更に電荷注
    入阻止層を有する特許請求の範囲第1項に記載の光受容
    部材。
  3. 【請求項3】前記電荷注入阻止層はシリコン原子を母体
    とし、周期律表第III族または第V族に属する原子、酸
    素原子、炭素原子及び窒素原子の中から選ばれる少なく
    とも一種を含有する非単結晶材料で構成される特許請求
    の範囲第2項に記載の光受容部材。
  4. 【請求項4】支持体と、該支持体上に、シリコン原子を
    母体とする非晶質材料で構成される感光層と、該感光層
    上に層厚10Å〜150Åのシリコン原子を含有する非単結
    晶質材料で構成された第1の層と、層厚10Å〜150Åの
    少なくともシリコン原子と酸素原子、炭素原子及び窒素
    原子の中から選ばれる少なくとも一種とを含有する非単
    結晶質材料で構成された第2の層を複数回交互に積層さ
    せた第1の領域と、前記感光層に接して設けられ前記第
    1の層または前記第2の層の少なくとも一方の構成原子
    比を前記感光層の構成原子比に近づけて変化させて複数
    回交互に積層させた第2の領域と、を有する表面層を少
    なくとも有し、前記第2の領域は前記感光層に接して設
    けられていることを特徴とする超薄膜積層構造層を有す
    る光受容部材。
  5. 【請求項5】前記支持体と前記感光層の間に更に電荷注
    入阻止層を有する特許請求の範囲第4項に記載の光受容
    部材。
  6. 【請求項6】前記電荷注入阻止層はシリコン原子を母体
    とし、周期律表第III族または第V族に属する原子、酸
    素原子、炭素原子及び窒素原子の中から選ばれる少なく
    とも一種を含有する非単結晶材料で構成される特許請求
    の範囲第5項に記載の光受容部材。
JP61146358A 1986-06-23 1986-06-23 超薄膜積層構造層を有する光受容部材 Expired - Fee Related JP2572574B2 (ja)

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