JP2571627Y2 - 床 板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は床板、特にコンクリート床面に直貼りするに
適した床板に関する。

＜従来技術＞ コンクリート床面に直貼りして用いられる床板におい
ては、該コンクリート床面における不陸に対応させるた
め、また防音性を向上させるために、床板の裏面側に溝
を刻設したり、クッション材を貼着することが従来より
行われている。

例えば、２枚の板状体の中間に粘弾性体を積層してな
る複合ボードであって、少なくとも一方の板状体に溝加
工を施し或はテンダライザー等を用いて部分的に割れや
クラック等の空隙を設けたもの（実開平２−58541号）
や、木質基板の上面に軟質シート層を介して化粧板を積
層し、同木質基板の下面にクッション材層を積層一体化
してなる防音床材において、木質基板の厚さ寸法の略合
致する深さ寸法の条溝を木質基板の下面に多数刻設した
ものが提案されている。

＜考案が解決しようとする課題＞ 上記した従来技術による床板はコンクリート床面にお
ける不陸に追従し、また防音効果を向上させることがで
きるものであったが、反面、裏面に刻設された溝及びク
ッション材の緩衝作用によって、該床板上を歩行する際
に、凹実部と凸実部との嵌合による床板同士の連接部に
おいてこれら実部が抜き差し状態で無理に動いてしま
い、従来の踏み鳴りとは異なる軋み音が発生するという
問題があった。

＜課題を解決するための手段＞ 本考案は上記したような従来技術における問題を解決
するために鋭意工夫の末に創案されたものであって、表
裏板を緩衝シートを介して積層して成る床基板の長手方
向及び幅方向の夫々一側木口に凸状突起が形成されると
共に長手方向及び幅方向の夫々他側木口に凹状溝が形成
され、これら凸状突起及び凹状溝の上面が夫々上記緩衝
シートで構成され、更に上記床基板の裏面に表裏面に複
数の凸部を有する緩衝材が積層接着されて成ることを特
徴とする床板である。上記床基板の裏面側には、上記緩
衝シートに達する深さの横溝及び／又は縦溝がその幅方
向及び／又は長さ方向に亙って複数刻設することができ
る。

＜作用＞ 床板の基板が積層シートを介して表裏に接着された表
裏板によって形成され、この床基板の長手方向及び幅方
向における夫々一側木口に凸状突起が形成されると共に
長手方向及び幅方向における夫々他側木口に凹状溝が形
成され、これら凸状突起及び凹状溝の夫々上面が摩擦係
数の小さい積層シートで構成されるため、床板同士の連
接部においてこれら嵌合部の相対移動が容易である。床
基板の裏面側には表裏に凸部を複数有する緩衝材が貼着
され、床基材及び施工床面との間に吸音空隙を形成す
る。

＜実施例＞ 図示実施例による床板10は、表裏板２及び３を緩衝シ
ート４を介して積層接着して成る床基板１の表面側に化
粧シート７を、裏面側に緩衝材８を夫々積層接着して一
体化して構成されている。

表裏板２及び３としてはいずれも合板、繊維板、パー
ティクルボード、木板等が任意用いられる。

緩衝シート４は塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、アセテート、塩化ビニリデン、アクリル、ポリ
スチレン等の合成樹脂シート又はそれらの発泡体或はゴ
ム等、適度の弾性を有する材料より成るシート状物であ
る。

床基板１の長手方向及び幅方向における夫々一側木口
には凸状突起5,5が、また夫々他側木口には凹状溝が形
成され、床板10同士をこれら凸状突起と凹状溝との嵌合
を介して連接可能としている。凸状突起５の上面及び凹
状溝６の上面はいずれも緩衝シート４で構成される。緩
衝シート４は木材に比べて摩擦係数が小さいため、床板
10同士を凸状突起５と凹状溝６との嵌合が容易に行える
と共に、これらの嵌合を介して連接された後も相対移動
が円滑であって歩行による軋み音の発生を防止すること
ができる。

床基板１の表面に積層される化粧シート７は化粧単
板、化粧紙、化粧合成樹脂シート等であって、柄模様印
刷や着色塗装等の任意化粧が施される。

床基板１の裏面に積層される緩衝材８はゴム系、合成
樹脂或は発泡合成樹脂系、アスファルト系等のシート状
物によって形成される。例えばエチレンとシクロペンタ
ジエンとから成る開環重合モノマー（ノルボルネンモノ
マー）やポリエチレン発泡体等が好ましい例として挙げ
られる。緩衝材８の素材の硬度は30〜65度程度であるこ
とが好ましい。硬度30度未満であると床として施工した
ときにピアノや冷蔵庫、家具等の重量物による荷重によ
って沈みが発生しやすくなり、また65度を越えるような
剛性のものであると緩衝力のエネルギー吸収が不十分と
なって所期の防音効果を得にくくなる。

緩衝材８の表裏には複数の凸部9,9…が形成される。
凸部9,9…は円形、方形、三角形等任意断面形状を有
し、また柱形状、錐形状等の任意形状であって良い。第
３図及び第４図には略切頭円錐状の凸部9,9…を形成し
た例が示されている。凸部が緩衝材面において占める割
合は面積比で30〜60％となるように形成することが好ま
しい。その割合が60％を越えると、床面との接触面積が
大きくなり従って単位面積当たりの伸縮変形量が小さく
なるために床板10に加えられた衝撃エネルギーを吸収す
る緩衝効果を低下させると共に、床基板１と緩衝材９ま
た緩衝材９と床面との間において吸音室として働くべき
空間部の形成が過少となって防音効果を低下させる。一
方凸部の割合が30％未満となると、床板10上に重量物を
載置した場合にその荷重によって沈みが発生しやすくな
るので好ましくない。

床基板１の裏面側にその幅方向に亙って、緩衝シート
４に達する深さの横溝11,11…が複数本刻設される。こ
の横溝11,11…は細幅のもので良く、好ましくは１〜5mm
幅に刻設される。1mm未満の幅であると床面における不
陸に対する追従性が不十分となり、5mm幅を越えると床
板10自体の強度低下を招くおそれがある。横溝11,11…
は裏板３の表裏を貫通して形成されるが、その表面側を
緩衝シート４によって、また裏面側を緩衝材８によっ
て、夫々被覆されるために、吸音空隙として働き、床板
10における表面からの衝撃に伴う固体振動による振動音
を吸音する。

図示されていないが、横溝11,11…と同様の縦溝を裏
板３を貫通して長手方向に延長するよう刻設しても良
く、これにより施工される床面における不陸に対してよ
り効果的に追従することが可能となる。

＜考案の効果＞ 本考案による床板は、裏面に積層接着された緩衝材に
よって床板に与えられた衝撃エネルギーを吸収する緩衝
作用を有する。緩衝材は適度な硬度を有するため、快適
な歩行感が得られる。また緩衝材の表裏に複数形成され
た凸部は床板の施工されるコンクリート床面における不
陸に対する追従性を与え、また床面との間に吸音空隙を
形成して防音効果を向上させる。木口に形成される凸状
突起の上面と凹状溝の上面が共に緩衝シートで構成され
るため、これらの嵌合を介して行われる床板同士の連接
施工が容易となると共に、連接後も相対移動が円滑に行
われるので歩行に伴う軋み音の発生が防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による床板の構成を示す長さ
方向断面図（第２図におけるＸ−Ｘ′断面図）、第２図
はその上面図、第３図は床板の裏面に積層接着される緩
衝材を示す上面図、第４図は第３図におけるＹ−Ｙ′矢
視図である。 符号の説明 １……床基板、２……表板、３……裏板、４……緩衝シ
ート、５……凸状突起、６……凹状溝、７……化粧シー
ト、８……緩衝材、９……凸部、10……床板、11……横
溝

フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭59−94538（ＪＰ，Ｕ) 実願 昭63−137568号（実開 平２− 58541号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ) 実願 昭61−110378号（実開 昭63− 17229号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ)

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表裏板を緩衝シートを介して積層して成る
   床基板の長手方向及び幅方向の夫々一側木口に凸状突起
   が形成されると共に長手方向及び幅方向の夫々他側木口
   に凹状溝が形成され、これら凸状突起及び凹状溝の上面
   が夫々上記緩衝シートで構成され、更に上記床基板の裏
   面に表裏面に複数の凸部を有する緩衝材が積層接着され
   て成ることを特徴とする床板。
2. 【請求項２】上記床基板の裏面側に、上記緩衝シートに
   達する深さの横溝がその幅方向に亙って複数刻設されて
   いることを特徴とする、請求項１記載の床板。
3. 【請求項３】上記床基板の裏面側に、上記緩衝シートに
   達する深さの縦溝がその長さ方向に亙って複数刻設され
   ていることを特徴とする、請求項１又は２記載の床板。