JP2569774B2 - インジウム‐スズ酸化物焼結体の製造法 - Google Patents

インジウム‐スズ酸化物焼結体の製造法

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JP2569774B2 JP63295434A JP29543488A JP2569774B2 JP 2569774 B2 JP2569774 B2 JP 2569774B2 JP 63295434 A JP63295434 A JP 63295434A JP 29543488 A JP29543488 A JP 29543488A JP 2569774 B2 JP2569774 B2 JP 2569774B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、通常の大気中で常圧焼結することにより
高密度を有するインジウム−スズ酸化物焼結体(以下、
In−Sn−O系焼結体という)を製造する方法に関するも
のであり、このIn−Sn−O系焼結体は、例えば液晶表示
基板上の配線材として用いられる透明導電膜をスパッタ
リングにより形成する時のターゲットとして使用され
る。
〔従来の技術〕
一般に、In−Sn−O系焼結体は、つぎのような方法に
より製造されている。
まず、In2O3粉末にSnO2粉末を1〜35重量%混合し、
焼成し、ついで解砕した後粉砕して、In2O3−SnO2焼成
粉末を作製する。ついで、 (1)このIn2O3−SnO2焼成粉末を一軸プレス成形また
は静水圧プレス成形して成形体を作製し、ついで、温
度:1000〜1600℃、大気中で焼結し、焼結体を製造する
方法、 (2)このIn2O3−SnO2焼成粉末を真空雰囲気中でホッ
トプレスすることによりIn−Sn−O系焼結体を製造する
方法、 により製造されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記焼成して得られたIn2O3−SnO2焼成粉末は、成形
性および焼結性が悪く、この粉末を静水圧プレス成形に
より成形体を作製しても、その成形体の相対密度は50%
を越えることはなく、この成形体を温度:1600℃で常圧
焼結しても、その結果得られた焼結体の相対密度は65%
を越えることはない。したがって、この成形体を焼結し
て得られたIn−Sn−O系焼結体の相対密度は低く、その
ため焼結体の強度は低く、特に大形のIn−Sn−O系焼結
体を製造することは困難であった。
一方、上記In2O3−SnO2焼成粉末を真空中でホットプ
レスして得られたIn−Sn−O系焼結体の相対密度は90%
までいくが、真空中でグラファイトモールドと接してい
る表層部分が還元され、焼結体の表層部と内部で組成に
差が生じ(すなわち、In−Sn−O系焼結体の表層部と内
部で酸素量に差が生じ、焼結体の表層部と内部で色が異
なる)、さらに、真空ホットプレスは、常圧焼結に比べ
て大形の焼結体を大量生産するにはコストがかかりすぎ
るという問題点があった。
〔課題を解決するための手段〕 そこで、本発明者等は、コストのかからない大気中で
常圧焼結しても高密度を有するIn−Sn−O系焼結体を製
造することのできる製造法を開発すべく研究を行った結
果、 In−Sn−O系焼結体を製造するための酸化物原料粉末
に対して低融点金属または合金粉末を混合し、この混合
粉末をプレス成形して得られた成形体は密度が向上し、
この高密度の成形体を通常の大気中で常圧焼結すると高
密度のIn−Sn−O系焼結体が得られるという知見を得た
のである。
この発明は、かかる知見にもとづいてなされたもので
あって、 (1)In2O3−SnO2焼成粉末、 および、 In粉末、からなる混合粉末、 (2)In2O3−SnO2焼成粉末、 および、 In−Sn合金粉末、からなる混合粉末、 (3)In2O3−SnO2焼成粉末、 In粉末、 および、 In−Sn合金粉末、からなる混合粉末、 (4)In2O3粉末、 SnO2粉末、 および、 In粉末、からなる混合粉末、 (5)In2O3粉末、 SnO2粉末、 および、 In−Sn合金粉末、からなる混合粉末、 (6)In2O3粉末、 SnO2粉末、 In粉末、 および、 In−Sn合金粉末、からなる混合粉末、 (7)In2O3粉末、 SnO2粉末、 In2O3−SnO2焼成粉末、 および、 In粉末、からなる混合粉末、 (8)In2O3粉末、 SnO2粉末、 In2O3−SnO2焼成粉末、 および、 In−Sn合金粉末、からなる混合粉末、 (9)In2O3粉末、 SnO2粉末、 In2O3−SnO2焼成粉末、 In粉末、 および、 In−Sn合金粉末、からなる混合粉末、 (10)In2O3粉末、 および、 In−Sn合金粉末、からなる混合粉末、 上記(1)〜(10)の混合粉末をそれぞれ用意し、これ
ら混合粉末をプレス成形して成形体を作製し、これら成
形体を大気中、常圧焼結するIn−Sn−O系焼結体の製造
法に特徴を有するものである。
上記混合粉末の原料粉末であるIn2O3粉末、SnO2
末、およびIn2O3−SnO2焼成粉末の平均粒径は、それぞ
れ1〜100μmの範囲内のものを使用し、In粉末およびI
n−Sn合金粉末の平均粒径は5〜100μmの範囲内のもの
を使用する。
上記In−Sn合金粉末は、Sn:1〜50重量%含有のIn合金
粉末であり、その融点は120〜160℃の範囲内にあるIn合
金粉末を使用する。さらに、In粉末の融点は、156.4℃
であるから上記In−Sn合金粉末の融点の範囲内に含まれ
る。
上記(1)〜(10)の混合粉末の配合組成範囲は、次
の範囲にあることが望ましい。
重量%で(以下、%は重量%を示す) (1)In2O3−SnO2焼成粉末:65〜92%、 In粉末:8〜35%、 (2)In2O3−SnO2焼成粉末:65〜92%、 In−Sn合金粉末:8〜35%、 (3)In2O3−SnO2焼成粉末:65〜92%、 In−Sn合金粉末:1〜28%、 In粉末:7〜34%、 (但し、In−Sn合金粉末とIn粉末の合計:8〜35%)、 (4)In2O3粉末:30〜91%、 SnO2粉末:1〜35%、 In粉末:8〜35%、 (5)In2O3粉末:30〜91%、 SnO2粉末:1〜35%、 In−Sn合金粉末:8〜35%、 (6)In2O3粉末:30〜90%、 SnO2粉末:1〜35%、 In−Sn合金粉末:1〜28%、 In粉末:7〜34%、 (但し、In−Sn合金粉末とIn粉末の合計:8〜35%)、 (7)In2O3粉末:1〜90%、 SnO2粉末:1〜35%、 In2O3−SnO2焼成粉末:1〜90%、 In粉末:8〜35%、 (8)In2O3粉末:1〜90%、 SnO2粉末:1〜35%、 In2O3−SnO2焼成粉末:1〜90%、 In−Sn合金粉末:8〜35%、 (9)In2O3:粉末1〜90%、 SnO2粉末:1〜35%、 In2O3−SnO2焼成粉末:1〜90%、 In−Sn合金粉末:1〜28%、 In粉末:7〜34%、 (但し、In−Sn合金粉末とIn粉末の合計:8〜35%) (10)In2O3粉末:65〜92%、 In−Sn合金粉末:8〜35%、 上記(1)〜(10)の混合粉末において、酸化物粉末
に対するIn粉末およびIn−Sn粉末の合計添加量は、8〜
35重量%の範囲内にある必要がある。上記酸化物粉末の
隙間を十分に埋めて、かつプレス成形された成形体外に
漏れ出ない量の限界は35重量%であり、一方、酸化物粉
末の隙間で塑性変形あるいは流動することで密度向上効
果を示す最小限必要な金属粉末の添加量は、8重量%で
ある。
上記(1)〜(10)の配合組成を有する混合粉末は、
In−Sn合金粉末またはIn粉末の融点をm.p.とすると、 プレス温度:m.p.−30℃〜m.p.+30℃、 プレス圧:100kg/cm2〜3000kg/cm2、 の条件でプレス成形され、成形体が作製される。上記プ
レス温度がm.p.より30℃を越えて低くなるとIn−Sn合金
粉末およびIn粉末の塑性変形に大きな力を要し、酸化物
粉末の隙間を埋めるために要する圧力が大きくなりすぎ
て経済的ではなく、さらに、m.p.より30℃を越えて高い
と溶融金属の流動性が十分になりすぎて、プレス中に成
形体から溶融金属がしみ出てしまう。また上記(1)〜
(10)の混合粉末に含有されるIn−Sn合金粉末およびIn
粉末を、塑性変形して酸化物粉末の隙間を埋めるに要す
る圧力は1トン/cm2〜3トン/cm2が必要であり、上記
In−Sn合金粉末およびIn粉末が溶融している状態では、
プレス圧は100kg/cm2〜1トン/cm2の圧力で酸化物粉末
の隙間を埋めることができるため、プレス圧は100kg/cm
2〜3000kg/cm2と定めた。上記プレス温度は、上記In−S
n合金粉末およびIn粉末の融点が120〜160℃であるか
ら、具体的には90℃〜190℃が好ましい。
〔実施例〕
つぎに、この発明を実施例にもとづいて具体的に説明
する。
平均粒径:5μmのIn2O3粉末(純度:99.99%)、 平均粒径:6μmのSnO2粉末(純度:99.99%)、 平均粒径:30μmのIn−Sn合金粉末(Sn:40重量%、融
点:120℃)、および 平均粒径::25μmのIn粉末(156.4℃)、 を用意し、さらに、 上記In2O3粉末:90重量%、 SnO2粉末:10重量%、 を配合し、混合し、大気中温度:1300℃で焼成ののち、
湿式ボールミルにより粉砕し、 平均粒径:10μmのIn2O3−SnO2焼成粉末、を作製し、用
意した。
これら、In2O3粉末、SnO2粉末、In2O3−SnO2焼成粉
末、In粉末、およびIn−Sn 合金粉末を第1表に示される組成となるように配合し、
乾式ボールミルによりよく混合し、この混合粉末を第1
表に示されるプレス条件で一軸プレス法により、 直径:80mm×厚さ:5mmの寸法を有する比較的大きな成
形体を作製し、この成形体の密度を測定してその結果を
第1表に示した。
このようにして得られた成形体を第1表の大気中常圧
焼結条件にて焼結し、In−Sn−O系焼結体の密度を測定
し、その結果を測定してその結果を第1表に示した。
第1表の結果から、この発明の製造法により得られた
In−Sn−O系焼結体は、いずれも高密度を有しているに
対し、この発明の条件から外れた条件(第1表において
※を付した値)で製造したIn−Sn−O系焼結体は十分な
密度を有しないことがわかる。
〔発明の効果〕
通常のインジウム−スズ酸化物焼結体製造用酸化物原
料粉末にIn粉末および/またはIn−Sn合金粉末を添加し
た混合粉末をプレス成形して成形体を作製すると、得ら
れた成形体は高密度を有し、したがって従来よりも大形
の成形体を作製することができ、この大形の成形体を最
も低コストな大気中常圧焼結法により焼結して高密度の
インジウム−スズ酸化物焼結体を得ることができる。
また、上記高密度なインジウム−スズ酸化物焼結体を
ターゲットとしてスパッタリングを行った場合、高密度
なターゲットは均一に消耗され、形成されたスパッタリ
ング膜も均一で優れた特性を有するという効果がある。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】混合粉末をプレス成形して成形体を作製
    し、ついで上記成形体を通常の大気中で常圧焼結するイ
    ンジウム−スズ酸化物焼結体の製造法において、 上記混合粉末として、 酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末からなる混合粉末を
    焼成して得られた酸化インジウム−酸化スズ焼成粉末
    (以下、この粉末を酸化インジウム−酸化スズ焼成粉末
    という)、 並びに、 In粉末およびIn−Sn合金粉末のうち1種または2種、 を配合し混合して得られた混合粉末を用いることを特徴
    とするインジウム−スズ酸化物焼結体の製造法。
  2. 【請求項2】上記混合粉末として、 酸化インジウム粉末、 酸化スズ粉末、 並びに、 In粉末およびIn−Sn合金粉末のうち1種または2種、 を配合し混合して得られた混合粉末を用いることを特徴
    とする請求項1記載のインジウム−スズ酸化物焼結体の
    製造法。
  3. 【請求項3】上記混合粉末として、 酸化インジウム粉末、 酸化スズ粉末、 酸化インジウム−酸化スズ焼成粉末、 並びに、 In粉末およびIn−Sn合金粉末のうち1種または2種、 を配合し混合して得られた混合粉末を用いることを特徴
    とする請求項1記載のインジウム−スズ酸化物焼結体の
    製造法。
  4. 【請求項4】上記混合粉末として、 酸化インジウム粉末、 および、 In−Sn合金粉末、 を配合し混合して得られた混合粉末を用いることを特徴
    とする請求項1記載のインジウム−スズ酸化物焼結体の
    製造法。
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