JP2570832B2 - 良導電性インジウムースズ酸化物焼結体の製造法 - Google Patents

良導電性インジウムースズ酸化物焼結体の製造法

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JP2570832B2 JP63265818A JP26581888A JP2570832B2 JP 2570832 B2 JP2570832 B2 JP 2570832B2 JP 63265818 A JP63265818 A JP 63265818A JP 26581888 A JP26581888 A JP 26581888A JP 2570832 B2 JP2570832 B2 JP 2570832B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、導電性にすぐれたインジウム−スズ酸化
物(以下、ITOという)焼結体に関するものであり、上
記ITO焼結体は、液晶表示素子等の透明導電膜作製のた
めの真空蒸着用タブレツトまたはスパツタリング用ター
ゲツトなどに用いられる。
〔従来の技術〕
従来、透明導電膜作製のためのITO焼結体の製造法と
して、 (1) In2O3粉末とSnO2粉末の混合粉末を一軸プレス
あるいは静水圧プレスして成形した後に常圧焼結または
真空ホツトプレスする方法(特開昭61−136954号公報参
照)、 (2) In2O3粉末とSnO2粉末の混合粉末を大気中で焼
成した後、一軸プレスあるいは静水圧プレスして成形
し、ついで常圧焼結または真空ホツトプレスする方法
(特開昭62−21751号公報および特開昭62−21752号公報
参照)、 が知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが上記従来の技術(1)および(2)の方法に
よつて作製されたITO焼結体は電気抵抗が高く、安価な
直流スパツタリング装置のターゲツトとして用いた場
合、低パワーでのスパツタリングは可能であるけれど
も、生産性向上のために高パワーに負荷するとターゲツ
トが急速加熱されて割れてしまい、さらに異常放電が生
じるという問題点があつた。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者等は、直流スパツタリング装置のタ
ーゲツトとしても使用可能な導電性に優れたITO焼結体
を製造すべく研究を行つた結果、 In2O3粉末に金属Sn粉末を混合し、この混合粉末を非
酸化性雰囲気下で焼成してIn−Sn−O系酸化物固溶体を
作製し、このIn−Sn−O系酸化物固溶体を粉砕して得ら
れたIn−Sn−O系酸化物固溶体粉末を、非酸化性雰囲気
の下でホツトプレスするか、または、成形後非酸化性雰
囲気下で焼結することによりITO結晶体を作製すると、
得られた上記ITO焼結体は、良導電性を示し、直流スパ
ツタリング装置のターゲツトとしても使用可能であると
いう知見を得たのである。
この発明は、かかる知見にもとづいてなされたもので
あつて、 In2O3粉末に金属Sn粉末を混合して非酸化性雰囲気中
で焼成し、In−Sn−O系酸化物固溶体を作製する工程、 上記In−Sn−O系酸化物固溶体を粉砕して得られた粉
末を非酸化性雰囲気下でホツトプレスするかまたは成形
後非酸化性雰囲気下で焼結する工程からなる良導電性イ
ンジウム−スズ酸化物焼結体の製造法に特徴を有するも
のである。
上記非酸化性雰囲気は、還元性雰囲気、不活性ガス雰
囲気または真空雰囲気のうちのいずれでもよいが、特に
還元性雰囲気が好ましい。
上記In2O3粉末に加える金属Sn粉末は、合量で3〜15
重量%であり、In2O3粉末に対して比較的少量であるか
ら、In2O3粉末と金属Sn粉末の混合粉末を非酸化性雰囲
気で焼成して得られたIn−Sn−O系酸化物固溶体は簡単
に解砕または粉砕して微粉末とすることができる。
この発明により得られたインジウム−スズ酸化物焼結
体が良導電性を示すのは、次のような理由によるものと
考えられる。
一般に、In−Sn−O系酸化物固溶体のような酸化物固
溶体の導電率は、原子空孔量に比例することはよく知ら
れているところである。
この発明の製造法により、In2O3粉末と金属Sn粉末の
混合粉末を非酸化性雰囲気(好ましくは、還元性雰囲
気)において焼成すると、In−Sn−O系酸化物固溶体が
形成され、SnO2よりも反応性に富んだ金属Snを用いて非
酸化性雰囲気中で焼成することにより、酸素が不足し上
記In−Sn−O系酸化物固溶体に含まれる酸素原子空孔量
が大巾に増大し、したがつて、すぐれた導電性を示すも
のと考えられる。これに対し、従来の方法により作製さ
れたものは、In2O3粉末とSnO2粉末の混合粉末を大気中
で焼成したのち焼結するか、または大気中でホツトプレ
スするために、In−Sn−O系酸化物固溶体は生成する
が、酸化性雰囲気で行なわれるために酸素原子空孔の生
成量は少なく、したがつて導電性が劣るものと考えられ
る。
〔実施例〕
つぎに、この発明を実施例にもとづいて具体的に説明
する。
平均粒径:3μmのIn2O3粉末に平均粒径:15μmの金属
Sn粉末を合量で3.9重量%加えて、ボールミルにより2
時間混合し、混合粉末を作製した。
実施例1 上記混合粉末を、温度:500℃、水素:10容量%の水素
と窒素の混合雰囲気中2時間保持の条件で焼成し、In−
Sn−O系酸化物固溶体を作製した。この時の酸素含有量
は16.0重量%であつた。この焼成粉末をボールミルによ
り6時間粉砕し、平均粒径:5μmのIn−Sn−O系酸化物
固溶体粉末を作製し、この粉末を用いて、温度:950℃、
アルゴン雰囲気中、プレス圧力:150kg/cm2の条件でホツ
トプレスし、直径:125mm×厚さ:10mm焼結体を作製し
た。
このようにして得られた焼結体の密度および電気抵抗
値を測定したところ、 密度:6.6g/cm3、 電気抵抗値:0.7×10-3Ω・cm、 であつた。
実施例2 上記混合粉末を、温度:1000℃、真空度:1×10-3Torr
の真空中、2時間保持の条件で焼成し、In−Sn−O系酸
化物固溶体を作製した。この時の酸素含有量は16.6重量
%であつた。
この焼成して得られたIn−Sn−O系酸化物固溶体をボ
ールミルにより6時間粉砕し、平均粒径:5μmのIn−Sn
−O系酸化物固溶体粉末とし、この酸化物固溶体粉末を
温度:950℃、真空度:1×10-3Torrの真空中、プレス圧
力:150kg/cm2の条件下でホツトプレスし、直径:125mm×
厚さ:10mmの焼結体を作製した。
このようにして得られた焼結体は、黒味がかつた青色
を呈しており、 密度:6.5g/cm3、 電気抵抗値:1.0×10-3Ω・cm、 であつた。
実施例3 上記混合粉末を、温度:900℃、Arガス雰囲気中、1.0
時間保持の条件で焼成し、In−Sn−O系酸化物固溶体を
作製した。この時の酸素含有量は、16.8重量%であつ
た。
この条件で焼成して得られたIn−Sn−O系酸化物固溶
体をボールミルにより6時間粉砕し、平均粒径:5μmの
In−Sn−O系酸化物固溶体粉末を作製した。この酸化物
固溶体粉末をプレス成形して直径:30mm×厚さ:5mmの圧
粉体とし、この圧粉体を温度:1000℃、Arガス雰囲気
中、5時間保持の条件で焼結して直径:25mm×厚さ:4.1m
mの焼結体を作製した。ついでこの焼結体の密度および
電気抵抗値を測定したところ、 密度:6.3g/cm3、 電気抵抗値:1.5×10-3Ω・cm、 であつた。
上記実施例1〜3で作製した焼結体を、直流スパツタ
リング装置のターゲツトとしてセツトし、スパツタ出
力:1.0A/500Vの高パワー負荷で24時間の連続運転を行な
つたが、ターゲツトにクラツクは認められず、異常放電
も発生しなかつた。
〔発明の効果〕
この発明により得られた焼結体は、導電性にすぐれて
いるので、安価な直流スパツタリング装置のターゲツト
として使用し、高パワー負荷操業をすることができ、そ
のため生産性を大巾に向上することができるという産業
上すぐれた効果がある。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化インジウム粉末と金属スズ粉末の混合
    粉末を非酸化性雰囲気中で焼成したのち粉砕して得られ
    た焼成粉末を、非酸化性雰囲気中でホツトプレスするこ
    とを特徴とする良導電性インジウム−スズ酸化物焼結体
    の製造法。
  2. 【請求項2】酸化インジウム粉末と金属スズ粉末の混合
    粉末を非酸化性雰囲気中で焼成したのち粉砕して得られ
    た焼成粉末を、プレス成形して圧粉体とし、ついで、こ
    の圧粉体を非酸化性雰囲気中で焼結することを特徴とす
    る良導電性インジウム−スズ酸化物焼結体の製造法。
  3. 【請求項3】上記非酸化性雰囲気は、還元性雰囲気であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の良導電性イ
    ンジウム−スズ酸化物焼結体の製造法。
  4. 【請求項4】上記非酸化性雰囲気は、真空雰囲気である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の良導電性イン
    ジウム−スズ酸化物焼結体の製造法。
  5. 【請求項5】上記非酸化性雰囲気は、不活性ガス雰囲気
    であることを特徴とする請求項1または2記載の良導電
    性インジウム−スズ酸化物焼結体の製造法。
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