JP2612807B2 - Itoスパッタリング用ターゲットの製造方法 - Google Patents
Itoスパッタリング用ターゲットの製造方法Info
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Description
ITO膜(Indium Tin Oxide膜)を形成させる際に使用
するITOスパッタリング用ターゲットの製造方法に関
するものである。
を併せ持つため、液晶表示デバイスや、窓ガラス用結露
防止発熱膜等、様々な用途に広く用いられている。この
ITO膜の形成方法としてCVD法、真空蒸着法、スパ
ッタリング法等が知られているが、この中でも特に、ス
パッタリング法は、大面積の成膜が可能である、成
膜速度が速い、低抵抗の膜を再現性よく形成できる、
等などの利点から広く採用されている。
るに際しては、ITOスパッタリング用ターゲット(以
下、「ITOターゲット」という)が使用される。この
ITOターゲットは、一般に酸化インジウムと酸化すず
の粉末混合体、もしくはこれに添加物を入れた粉末混合
物をプレス成形し、焼結したものが用いられている。
ッタリングによるITO成膜に大きな影響を与えること
が知られており、焼結密度が高いもの程、成膜速度が
速い、ターゲット寿命が長い、ITO特有の表面黒
色化が少ない、基板上のゴミ(パーティクル)が減少
する等の利点がある。このためより高い密度のITOタ
ーゲットが求められているが、ITOは焼結性が悪く、
また高温に加熱すると不安定化する性質があるため一般
的な焼成方法では、焼結後の密度が4.2〜5.0g/
cm3 程度(理論密度の60〜70%)の低いものしか得
られない。
製造するために通常の焼結法に替えて、ホットプレス法
が用いられている。これにより、密度6.8g/cm
3 (理論密度95%)程度のものが製造されているが、
この方法には、設備のイニシアルコストが高い、ラ
ンニングコストが高い、同時に多数のターゲツトを焼
結することが困難である、等の欠点がある。
は、焼成時の雰囲気を1気圧以上の加圧酸素雰囲気とす
ることにより理論密度の95%以上の高密度ITOター
ゲットを得る方法が開示されており、ここでは、「焼結
雰囲気の酸素分圧が1気圧(ゲージ圧)を下回ると焼結
体の密度向上効果が小さい」および「より優れた効果を
確保するためには焼結雰囲気の酸素分圧を3気圧以上に
設定するのが望ましい」としている。しかしながら、酸
素ガスは支燃性を持つため、このように圧力の高い酸素
ガスを必要とする製造方法は、操業上危険が伴うという
問題点を有している。
えるITOスパッタリング用ターゲットを製造する方法
は、知られていないのが現状である。
来技術の問題点を解決するためのものであって、高い圧
力の酸素雰囲気を必要とせず、即ち安全かつ低コストで
理論密度の95%を超える高密度のITOターゲットを
高い生産性のもとに製造する方法を提供することを目的
としている。
な目的を達成すべく研究を進め、以下の知見を得るに至
った。すなわち、酸化インジウム及び酸化すずを主成分
とする粉末混合体をプレス成形した成形体を焼成してI
TOターゲットを製造するに際し、原料粉末を混合した
後、乾式ボールミル処理を行い、次いでバインダーを添
加してプレス成形を行い、得られた成形体は酸素雰囲気
中で焼結し、このとき焼結温度にまでプレス成形体を加
熱昇温する速度を1時間に350℃以上とすることによ
り、理論密度の95%を超える高密度のITOスパッタ
リングターゲットが得られる、ということである。
たものであって、酸化インジウムと酸化すずを主成分と
するITOスパッタリング用ターゲットを製造するに際
し、原料粉末を混合した後、乾式ボールミル処理を行
い、次いでバインダーを添加してプレス成形を行い、得
られた成形体を酸素雰囲気中で焼結し、このとき焼結温
度にまでプレス成形体を加熱昇温する速度を1時間に3
50℃以上とすること、を特徴としている。ここで、酸
素雰囲気とは、いわゆる純酸素雰囲気であり、酸素ガス
及び不可避に含まれる不純物ガスをいう。焼結雰囲気の
圧力は常圧であっても、理論密度の95%を超えるIT
Oターゲットが得られるが、加圧雰囲気であれば更に密
度が向上する。ただし、高い圧力の酸素ガスを扱う操業
には危険が伴うため、加圧を行う場合でもゲージ圧で1
気圧以下とすることが好ましい。
は、これより遅い昇温速度では十分に高密度なITOタ
ーゲットが得られないためである。昇温速度には特に上
限はないが、好ましくは800℃/時程度以下とする。
その理由は、急激な昇温に伴って加熱が不均一になると
危険性が高くなり熱歪みにより焼結体にクラック等が生
じる恐れがあるためである。ただし、加熱の均一性が十
分保たれる場合にはこの限りではない。
がないように耐摩耗性の高いZrO2 製またはAl2 O
3 製ボールを用いることが好ましい。
密度のITOターゲットが得られる理由については詳細
には未解明であるが、乾式ボールミル処理によって原料
粉末混合体中の微細な凝結体が解砕される効果と、その
解砕された粒子が表面拡散機構によって緻密化を伴わず
に粒成長してしまうのを抑えるのに急速加熱と酸素雰囲
気が有効に作用しているものと考えられる。
る。実施例1 平均粒径1μm以下の酸化インジウム及び酸化すず混合
粉末(SnO2 10wt%)をZrO2 ボールを使用して
乾式ボールミル処理(10時間)し、次いでバインダー
を添加して900 kgf/cm2 の圧力で成形して150×
150×10(mm)の平板状成形体を得た。これを純酸
素中(大気圧)で1時間に650℃の速さで昇温し15
50℃に達した後2時間保持して焼結を行ったところ得
られたITO焼結体ターゲットの密度は、6.90(g
/cm3 )(理論密度の96.5%)であった。
でバインダー添加して900 kgf/cm2 の圧力でプレス
成形して同様のサイズの成形体を得た。これを純酸素中
(大気圧)で1時間に650℃の速さで昇温し1550
℃に達した後、2時間保持して焼結を行ったところ、得
られたITO焼結体ターゲットの密度は6.38(g/
cm3 )(理論密度の89.2%)であった。
形体を脱脂後、純酸素中(大気圧)で1時間に200℃
の速さで昇温し1550℃に達した後2時間保持して焼
結を行ったところ得られたITO焼結体ターゲットの密
度は6.45(g/cm3 )(理論密度の90.2%)で
あった。実施例1と比較例1−1,1−2を対比する
と、酸素雰囲気中において95%以上の高密度の焼結体
を得るためには、乾式ボールミル処理と急速昇温は必要
条件であることが分る。
圧)で1時間に650℃の速さで昇温し、1600℃に
達した後、2時間保持して焼結を行ったところ、得られ
た焼結体ターゲットの密度は、7.06(g/cm3 )
(理論密度の98.7%)であった。
しでバインダー添加して900kgf /cm2 の圧力でプレ
ス成形して同様のサイズの成形体を得た。これを純酸素
加圧雰囲気(0.9気圧)で1時間に650℃の速さで
昇温し1600℃に達した後、2時間保持して焼結を行
ったところ、得られたITO焼結体ターゲットの密度
は、6.46(g/cm3 )(理論密度の90.3%)で
あった。
形体を純酸素加圧雰囲気(0.9気圧)で1時間に20
0℃の速さで昇温し、1600℃に達した後、2時間保
持して焼結を行ったところ、得られたITO焼結体ター
ゲットの密度は、6.65(g/cm3 )(理論密度の9
3.0%)であった。
ら乾式ボールミル処理と急速昇温をすることによって1
気圧以下の僅かな酸素加圧であっても、非常に高い密度
のITOターゲットが得られることが分る。
を用いることなく、即ち安全かつ低コストで理論密度の
95%を超える高密度ITOスパッタリング用ターゲッ
トを高い生産性のもとに製造することができる。また、
加熱・昇温速度が速くなると全体としての焼結時間が短
くてすむため、生産効率が向上する。
Claims (5)
- 【請求項1】酸化インジウムと酸化すずを主成分とする
ITOスパッタリング用ターゲットを製造するに際し、
原料粉末を混合した後、乾式ボールミル処理を行い、次
いでバインダーを添加してプレス成形を行い、得られた
成形体を酸素雰囲気中で焼結し、このとき成形体を焼結
温度にまで加熱・昇温する速度を1時間に350℃以上
とすることを特徴とする、ITOスパッタリング用ター
ゲットの製造方法。 - 【請求項2】乾式ボールミル処理において、ZrO2製
またはAl2O3製ボールを用いることを特徴とする請
求項1に記載のITOスパッタリング用ターゲットの製
造方法。 - 【請求項3】プレス成形により得られた成形体を脱脂し
て後、酸素雰囲気中で焼結することを特徴とする請求項
1に記載のITOスパッタリング用ターゲットの製造方
法。 - 【請求項4】焼結雰囲気がゲージ圧で1気圧以下の酸素
加圧雰囲気であることを特徴とする請求項1に記載のI
TOスパッタリング用ターゲットの製造方法。 - 【請求項5】成嵌体を焼結温度にまで加熱・昇温する速
度を1時間に350℃〜800℃にすることを特徴とす
る請求項1に記載のITOスパッタリング用ターゲット
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5086350A JP2612807B2 (ja) | 1993-04-13 | 1993-04-13 | Itoスパッタリング用ターゲットの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5086350A JP2612807B2 (ja) | 1993-04-13 | 1993-04-13 | Itoスパッタリング用ターゲットの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06299344A JPH06299344A (ja) | 1994-10-25 |
JP2612807B2 true JP2612807B2 (ja) | 1997-05-21 |
Family
ID=13884434
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5086350A Expired - Lifetime JP2612807B2 (ja) | 1993-04-13 | 1993-04-13 | Itoスパッタリング用ターゲットの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2612807B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007254282A (ja) * | 1995-04-18 | 2007-10-04 | Tosoh Corp | Ito焼結体の製造法 |
US6500225B2 (en) | 1998-12-03 | 2002-12-31 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Method for producing high density indium-tin-oxide sintered body |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2794679B2 (ja) * | 1992-02-17 | 1998-09-10 | 同和鉱業株式会社 | 高密度ito焼結体の製造方法 |
-
1993
- 1993-04-13 JP JP5086350A patent/JP2612807B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06299344A (ja) | 1994-10-25 |
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