JP2569651B2 - ジルコニアによるカドミウム顔料の製造方法 - Google Patents

ジルコニアによるカドミウム顔料の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はカドミウム顔料(以下Cd顔料と略記する)の
表面をZrO2で被覆処理することにより耐熱性に優れた顔
料を製造する方法に関するものであり、特に耐熱性が要
求される琺瑯、タイル等のセラミックス用の顔料として
用いられる。本明細書においてCd顔料とは硫化カドミウ
ム顔料、具体的には、カドミウムイェロー(CdSまたはC
dS+ZnSの固体からなる)とカドミウムレッド(CdSとCd
Seの固溶体からなる)等、意味する。
〔従来の技術とその問題点〕
一般に耐熱性に劣る顔料は顔料表面に化学的安定性に
優れた金属酸化物あるいは金属水酸化物の被覆を設ける
ことによって、耐熱性の向上がはかられる。特にCd顔料
では、主成分である硫化カドミウムが700℃以上の高温
に曝されると硫酸カドミウムもしくは酸化カドミウムを
生成するため変色し、鮮明な色調を発揮し得ない。従っ
て磁器タイル等のように高温で焼付けされるようなもの
にはCd顔料を使用できない。そこでカドミウム顔料の表
面を珪酸もしくは水に不溶性の珪酸塩で被覆し、耐熱性
を高めることが行なわれる。
さらにCd顔料の表面をZrO2で被覆することにより該被
覆顔料が優れた耐熱性を有することも知られている。そ
の方法はCd顔料をジルコニウムアルコキシドあるいは該
アルコキシドと水混和性有機溶媒との溶液に浸漬し、酸
を加え、または加えないで、顔料表面にZrO2の被覆を形
成することからなる。しかしながら、この方法は反応速
度が遅く、生産物の過に時間を要し、生産性が低かっ
た。
〔問題解決についての着眼点〕
本発明者は、Cd顔料の一次粒子の表面を均一かつ緻密
にZrO2で被覆する手段として、ジルコニウムアルコキシ
ドに顔料を浸漬し、その後加水分解反応を生起させるこ
とにより顔料表面にZrO2を生成させる方法について鋭意
検討した結果、Cd顔料をジルコニウムアルコキシドと接
触させた後に、pHを高めてZrのアルコキシドの加水分解
を促進することによって、効率良くカドミウム顔料表面
上に緻密なZrO2の層を形成する方法を見出し、本発明に
至った。
〔発明の構成〕
本発明によれば、カドミウム顔料をジルコニウムアル
コキシドあるいは該アルコキシドと水混和性有機溶媒と
の溶液に浸漬し酸と水を添加しまたは添加しないで、顔
料表面にZrO2の被覆を形成する方法において、該浸漬後
に塩基を加えてpHを上昇させることを特徴とする方法が
提供される。
本発明方法において、使用されるジルコニウムアルコ
キシドは で表わされRが同一または異別のC1〜12好ましくはC
1〜8、より好ましくはC1〜4アルキルまたはHであ
り、少くとも2個がアルキル基である化合物である。
本発明方法において使用される水混和性有機溶媒は、
水と均一相を形成できるアルコール、ケトン、グリコー
ル、エステル等である。
本発明方法において使用される好適な塩基は、アンモ
ニア、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩等である。
本発明方法の好適実施態様において、Cd顔料をZrのア
ルコキシドあるいは該アルコキシドと水混和性有機溶媒
との混合溶液に例えば−10〜80℃、好ましくは−10〜10
℃の低温で浸漬することにより、アルコキシドの加水分
解反応が低く抑えられ、Cd顔料の表面の水酸基と吸着水
によりZrのアルコキシドの縮合物が顔料表面に均一に沈
着もしくは吸着されて一次的に被膜を形成し、その後に
塩基を加えることによって、pHを高めて、上記Zrのアル
コキシドの縮合物の加水分解を促進し、強固な被膜を形
成することが可能となる。しかし、アルコキシドの縮合
が十分に進行していないときにpHを高めると、顔料表面
を均一に被覆できずCd顔料とZrO2が単に共存している状
態となり、耐熱性等の特性を高めることができない。
本発明方法において塩基添加後のpH値は、初期のアル
コキシドの縮合開始の触媒として加える酸の添加量に依
存しており、例えば酸を加えないで顔料表面の親水基お
よび吸着水のみで縮合反応を起こさせる場合、塩基添加
後のpHは8以上が好ましい。pH8未満ではアルコキシド
の加水分解反応時間の短縮が小さく、また濾過性も改善
されず、効果が小さい。またpHの上限値は、急激にpHを
上げない限り被覆反応を疎害することはないが、後の水
洗および廃液処理問題からpHは10以下が好ましい。酸を
触媒として加えた場合、例えば塩酸を加えてpH3とした
場合、塩基を添加してpH5としてもアルコキシドの加水
分解が促進され、また濾過性も改善される。従って酸を
添加するしないにかかわらず、pHを1以上、好ましくは
2以上高めることにより、耐熱性を低下させることな
く、アルコキシドの加水分解反応を促進し、さらに濾過
性も向上することができる。
また本発明方法において、Cd顔料の表面に形成するZr
O2の量は顔料に対して0.1重量%以上、好ましくは1.0重
量%以上20重量%以下の範囲であり、0.1重量%未満で
あると顔料の表面が充分に被覆されず、耐熱性、耐侯
性、耐酸性等が不充分になる。また上記ZrO2量が顔料に
対して20重量%を越えると顔料の分散性が悪くなるだけ
でなく、過剰のZrO2より釉薬の溶融温度が高くなりCd顔
料の酸化からの保護機能が低下し、変色、脱色を生じや
すくなり、また粘性等も変化し着色面の面精度が悪くな
る。
本発明の主旨は、Cd顔料の表面にZrのアルコキシドの
縮合物を生成した後、いかに効率良く反応を進めてZrO2
の強固な被膜を形成し被覆Cd顔料の生産効率を上げるこ
とにあり、その手段としてCd顔料の表面にZrアルコキシ
ドの縮合物が生成した後、酸および水を添加してZrのア
ルコキシドの縮合物の加水分解の反応を進める従来の被
覆反応に適用される。従来の被覆反応はZrのアルコキシ
ドの縮合物の加水分解反応が遅く、曳糸性を生じるため
反応終了後、被覆Cd顔料の濾別が困難であり、工業的生
産性が悪いが、本発明を適用することにより容易に濾別
することができ工業的生産性を高めることが可能とな
る。
〔発明の具体的開示〕
実施例1 カドミウムレッド顔料100重量部をエチルアルコール1
00重量部に添加し、0℃で2時間混合した後、ジルコニ
ウムテトラブトキシド15重量部を滴下した。さらにその
液を0℃で5時間混合攪拌した後、室温(20℃)で20時
間攪拌した。次いでその液に水1000重量部を加え、1Nア
ンモニア水を滴下してpH10に調整し、3時間攪拌後静置
して顔料を沈降させ、濾別、水洗、乾燥を行って被覆顔
料を得た。
この被覆顔料1gを1N塩酸100ccに添加し、50℃で攪拌
しながら6時間経過した後、Cd溶出量を測定した。その
結果Cd溶出量は0.0103g(103ppm)であった。
ここで得られた被覆顔料をフリット釉薬(SK4〜6)
に3重量%添加し、適当量の水を加えてボールミルで30
分間混合してスラリーとし、磁器タイルに塗布し、乾燥
後電気炉で1100℃、1150℃、1200℃、1250℃に2時間で
昇温し、それぞれの温度で10分間焼付けを行ない色調の
変化を調べた。その結果1150℃まで変色、脱色がなく、
1200℃で一部変色を生じた。
またこの被覆顔料を軟質塩化ビニル100重量部に1.0重
量部、白色顔料として酸化チタンを2.0重量部添加し、
熱ロールを用いて120℃で均一に混合し、170℃で1mm厚
にプレス成形し、30×100mmの試験片とし、その試験片
を水に浸して6ヶ月屋外暴露して色の経時変化を調べ
た。色の変化はJIS Z 8722に従い、三刺激値X、Y、Z
を測定し、JIS Z8730に従い、L、a、bを求め暴露前
と暴露後の色差 を計算して調べた。その結果ΔEは0.5以下であり、変
色、退色がほとんどなかった。
実施例2 カドミウムレッド顔料100重量部をメチルアルコール1
00重量部とジルコニウムテトライソプロポキシド0.3重
量部の混合液に添加し室温で24時間混合攪拌した後、水
1000重量部を加え1N水酸化ナトリウムを滴下してpH8に
調整し、3時間攪拌後静置して顔料を沈降させ、濾別、
水洗、乾燥を行って被覆顔料を得た。
ここで得られた被覆顔料を実施例1と同様の条件下で
焼付けを行ない色調の変化を調べた。その結果1100℃ま
で変色、脱色がなく1150℃で一部変色した。
実施例3 カドミウムイエロー顔料100重量部とジルコニウムテ
トラブトキシド60重量部をボールミルで12時間混合した
後、1N塩酸3重量部と水10重量部を添加しさらに12時間
混合した。次いで水1000重量部を加えた別の攪拌槽に上
記混合液を加え1N水酸化リチウムを滴下してpHを2高
め、24時間攪拌後静置して顔料を沈降させ、濾別、水
洗、乾燥を行って被覆顔料を得た。
ここで得られた被覆顔料を実施例1と同様の条件下で
焼付けを行ない色調の変化を調べた。その結果1200℃ま
で変色、脱色がなく1250℃で一部変色した。
実施例4 カドミウムレッド顔料100重量部をイソプロピルアル
コール100重量部に添加し、室温(20℃)で2時間混合
した後、ジルコニウムテトラエトキシドを15重量部を滴
下し、24時間混合攪拌後60℃で1時間攪拌後室温まで放
冷し、水1000重量部を加え、1N水酸化リチウムを滴下し
てpH10に調整し、3時間攪拌後静置して顔料を沈降させ
濾別、水洗、乾燥を行って被覆顔料を得た。
ここで得られた被覆顔料を実施例1と同様の条件下で
焼付けを行ない色調の変化を調べた。その結果1150℃ま
で変色、脱色がなく1150℃で一部変色した。
実施例5 カドミウムイエロー(ペール)顔料100重量部をエチ
ルアルコール100重量部に添加し、室温で2時間混合し
た後、ジルコニウムテトラブトキシド15重量部を滴下
し、24時間混合攪拌後、水1000重量部を加えて1N水酸化
カリウムを滴下してpH10に調整し、3時間攪拌後静置し
て顔料を沈降させ、濾別、水洗、乾燥を行って被覆顔料
を得た。
ここで得られた被覆顔料を実施例1と同様の条件下で
焼付けを行ない色調の変化を調べた。その結果1150℃ま
で変色、脱色がなく1150℃で一部変色した。
比較例1 カドミウムレッド顔料100重量部をエチルアルコール1
00重量部に添加し、0℃で2時間混合した後、ジルコニ
ウムテトラブトキシド15重量部を滴下し、0℃で5時
間、室温(20℃)で20時間攪拌し、濾別、乾燥を行って
被覆顔料を得た。
ここで得られた被覆顔料を実施例1と同様の条件下で
焼付けを行ない色調の変化を調べた。その結果1100℃ま
で変色、脱色がなく1150℃で一部変色を生じた。
比較例2 カドミウムレッド顔料100重量部をエチルアルコール1
00重量部に添加し、室温で2時間混合した後、ジルコニ
ウムテトラブトキシド15重量部を滴下し24時間混合攪拌
後、1N塩酸0.25重量部と水2.5重量部を添加し、さらに2
4時間混合攪拌し、濾別、乾燥を行って被覆材料を得
た。
ここで得られた被覆顔料を実施例1と同様の条件下で
焼付けを行ない色調の変化を調べた。その結果1150℃ま
で変色、脱色がなく1200℃で一部変色生じた。
上記比較例において、比較例の方法は被覆処理後の
過の際、過時間が本発明の方法に比べて5倍以上の時
間を要し、特にZrアルコキシドの加水分解が十分に進ん
でいない比較例1においては10倍以上の過時間を要し
た。なお比較例の方法で加水分解を十分に進めるために
は反応時間を長くする必要があり、これらに関しても本
発明による方法は被覆顔料の耐熱性を低下させることな
く、短時間で効率良く被覆処理を行なうことができるこ
とを示した。
本発明方法によって得られる被覆顔料は高温下での耐
熱性、および化学的安定性、耐酸性、耐候性は比較例の
被覆顔料に比較して劣るところはなかった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カドミウム顔料をジルコニウムのアルコキ
    シドあるいは該アルコキシドと水混和性有機溶媒との溶
    液に浸漬し酸と水を添加しまたは添加しないで、顔料表
    面にZrO2の被覆を形成する方法において、該浸漬後に塩
    基を加えてpHを上昇させることを特徴とする方法。
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JP2009512130A (ja) * 2005-10-05 2009-03-19 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 吸収フィルタを有する蛍光変換型エレクトロルミネッセント装置

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