JP3759806B2 - 光触媒活性を有する薄膜の形成方法 - Google Patents

光触媒活性を有する薄膜の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば抗菌、殺菌または脱臭などに用いられる光触媒活性を有する薄膜の形成方法に関し、より詳細には、光硬化型ゾルゲル法を用いた光触媒活性を有する薄膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光半導性物質の光触媒作用は、水の光分解などの化学反応の触媒としてだけでなく、水中や空気中の環境汚染物質の分解除去、脱臭、抗菌、殺菌などの多くの用途で注目を集めている。また、基材に、抗菌性、防汚性及び脱臭性などの機能を付加するために、従来、基材表面にアナターゼ型酸化チタンなどの光半導性物質を含有する薄膜を形成する方法が種々提案されている。
【0003】
例えば、基材上に光触媒粉末をスプレーコーティングなどにより塗布・固定し、その上に金属酸化物ゾルを塗布し、ゾルゲル法により金属酸化物をゲル化し、光触媒粉末を金属酸化物ゲルにより担持固定する方法が提案されている(特開平5−309267号公報)。
【0004】
上記先行技術に記載の方法におけるゾルゲル法による金属酸化物ゲルの生成は、以下のようにして行われている。最終的に生成される金属酸化物の金属のアルコキシドと、その溶媒と、金属アルコキシドを加水分解するための水とを原料として用いる。このゾルゲル法における反応は、以下のとおりである。
【0005】
【化1】
Figure 0003759806
【0006】
反応(1)において、金属アルコキシドM(OR)n が加水分解される。次に、反応(2)が進行するに従って、金属酸化物MOn/2 が生成する。この金属酸化物は、−M−O−M−O−の骨格を有する一種のポリマーである。そのため、反応(2)が進行するにつれて、金属アルコキシド溶液がゾルとなり、やがてゲル化する。反応終了後、生成された金属酸化物ゲルを数百℃に加熱することにより、焼成する。
【0007】
上記焼成によって、余分な官能基が除去されると共に、上記−M−O−M−O−の骨格を有する化合物間に結合が形成される。従って、十分な機械的強度を有する薄膜として金属酸化物薄膜が形成される。
【0008】
すなわち、上記先行技術に記載の方法では、反応(2)の終了後に数百℃の高温で焼成しなければならなかった。
そのため、使用する基材は、上記焼成温度に耐え得るものでなければならなかった。従って、上記先行技術に記載の方法では、使用する基材に制約があり、特に、耐熱性が十分でない有機材料からなる基材を用いることができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱性が十分でない基材上においても十分な光触媒性能を発揮し得る薄膜を確実に形成することができ、従って基材を構成する材料の制約が殆どない、光触媒活性を有する薄膜の形成方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、光硬化型ゾルゲル法による光触媒活性を有する薄膜の形成方法であって、基材上に未硬化の薄膜を形成する工程と、未硬化の薄膜上に光半導性物質を被着させる工程と、薄膜に光を照射して硬化させると共に光半導性物質を該薄膜に固定する工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明においては、好ましくは、請求項2に記載のように、光吸収波長を長波長側にシフトさせる錯化剤が未硬化の薄膜に含有させる。
また、請求項1または2に記載の発明においては、好ましくは、請求項3に記載のように、上記光半導性物質として、二酸化チタンが用いられる。
【0012】
以下、本発明の詳細を説明する。
請求項1〜3に記載の発明においては、製膜が光硬化型ゾルゲル法により行われる。すなわち、従来のゾルゲル法では、基材上にゾル液を塗布し、ゲル化させた後、数百℃の高温で焼成する必要があったため、基材を構成する材料に制約があったことに鑑み、本発明は、上記のような焼成を必要としない光硬化型ゾルゲル法を用いることにより、上記問題を解決したことに特徴を有する。
【0013】
光硬化型ゾルゲル法による薄膜形成の工程を、金属アルコキシドを原料として用いた場合を例にとり、説明する。
▲1▼まず、金属アルコキシドに溶媒を加え、アルコキシド溶液とし、さらに水を加えて溶液とする。
【0014】
▲2▼次に、上記溶液を基材上に塗布し、不要となる溶媒を揮発などにより除去する。
▲3▼次に、上記金属アルコキシドの吸収波長の光を照射し、金属アルコキシドを分解する。これにより、上記反応(1)及び(2)が進行し、ゲル化が進行する。この方法では、光硬化なので一般的なゾルゲル法における焼成工程を必要としない。
【0015】
従って、請求項1〜3に記載の発明に係る光触媒活性を有する薄膜の製造方法では、従来必要であった焼成工程を必要としないため、基材として耐熱性の低い有機樹脂などからなる基材を用いることも可能である。
【0016】
本発明において光硬化型ゾルゲル法により薄膜を形成する際に用いられる主原料としては、特に限定されるものではないが、従来より光硬化型ゾルゲル法において主原料として用いられている金属アルコキシドを好適に用いることができる。
【0017】
金属アルコキシド
上記金属アルコキシドについても、光硬化型ゾルゲル法によりゲル化し得るものである限り特に限定されるものではなく、該金属アルコキシドに用いられる金属の例を挙げると、A1、Ba、Bi、Ca、Cr、Co、Cu、Fe、La、Mo、Nb、Ni、Pb、P、Si、Sn、Sr、Ti、Ta、V、W、Y、Zrなどがある。また、アルコキシ基の例を挙げると、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などがある。
【0018】
また、金属アルコキシドとして、例えば、アルミニウムブトキシド、アルミニウムエトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ストロンチウムエトキシド、チタンブトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンメトキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、シリコンエトキシドなどは、一般に市販されており、入手が容易であるので、好適に用い得る。
【0019】
上記金属アルコキシドの選択にあたっては、最終的に合成する金属酸化物、並びに溶媒に対する金属アルコキシドの溶解性を考慮して選択することが好ましい。また、上記金属アルコキシドは単独で用いられてもよく、二種以上併用されてもよい。
【0020】
さらに、上記金属アルコキシドの中でも、取り扱いが簡便であるため、アルコキシシランが特に好ましく用いられる。また、耐薬品性能として耐アルカリ性が要求される場合には、薄膜中にジルコニアが含有されるように、ジルコニウムアルコキシドを用いることが好ましい。
【0021】
溶媒
請求項1に記載の発明において用いられる溶媒については、金属アルコキシドを溶解し得るものであれば特に限定されるわけではないが、沈澱物を生成することなく金属アルコキシドを溶解するものが好ましい。また、請求項2に記載の発明においては、さらに後述の錯化剤を溶解し得るもの、並びに錯化剤の添加により形成された錯体を溶解し得るものであれば、特に限定されるものではない。
【0022】
なお、沈澱物が生成すると、最終的に形成された薄膜において力学的物性が低下したり、薄膜そのものが形成され得ないことがある。
請求項1〜3に記載の発明において用い得る溶媒の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エトキシエチルアルコール、アリルアルコール、エチレングリコール、エチレンオキシド、トリエタノールアミン、キシレンなどを挙げることができる。
【0023】
錯化剤
請求項2に記載の発明では、光吸収波長をシフトさせるために錯化剤が用いられるが、この錯化剤としては、β−ジケトン類(R1 COCH2 COR2 、ただし、R1 は、例えばメチル基、エチル基、tert−ブチル基などであり、R2 は例えばメチル基、エチル基、tert−ブチル基などであり、R1 と同じものでもよい)、β−ケトンエステル類(R3 COCH2 COOR4 、R3 は例えばメチル基、エチル基などであり、R4 は例えばメチル基、エチル基などであり、R3 と同じであってもよい)、あるいは各種エタノールアミン類(NH3-X (C2 4 OH)X 、なお、Xは1〜3の整数)を挙げることができる。
【0024】
上記錯化剤の具体的な化合物の例を挙げると、β−ケトン類として、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトンなどを、β−ケトン酸エステル類として、アセト酢酸メチルなどを、エタノールアミン類としてエタノールアミンなどを示すことができる。
【0025】
錯化剤の添加量は特に限定されるものではない。しかしながら、金属アルコキシド1モルに対して、錯化剤は0.5〜3モルの範囲で用いることが好ましい。0.5モルより少ない場合には、錯化剤と金属アルコキシドによるキレートの形成が不十分となり、薄膜が形成されない場合がある。逆に、3モルよりも多くなると、反応系に不純物が多く混在し、形成される薄膜の物性が低下することがある。
【0026】
錯化剤を用いることにより、錯化剤と錯体を形成した金属アルコキシドの光吸収波長がシフトし、光硬化が容易となる。すなわち、照射する光の波長は、錯体形成の要因となるキレート結合の示す吸収極大波長が好ましいが、光硬化が起こる限り、特に限定されるものではない。
【0027】
また、適当な錯化剤と金属アルコキシドとを組み合わせることにより、吸収極大波長が長波長側にシフトされ、それによって作業の容易性や装置の簡便性が改善される。すなわち、光吸収波長が長波長側にシフトするので、利用可能な光源や光学系の選択範囲が広げられる。
【0028】
また、光の照射時間は特に限定されるものではないが、形成された錯体が完全に反応するまで照射することが、薄膜の化学的安定性を高め得るため、好ましい。この場合、反応進行度の測定方法の例を挙げると、基材上に塗布した薄膜について、上記吸収極大波長スペクトルの変化を観察する方法を挙げることができる。
【0029】
光半導性物質
請求項1〜3に記載の発明において、光触媒活性を発現させるために用いられる光半導性物質は、光触媒活性を有するものである限り、特に限定されるものではない。例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム、酸化第二鉄などの金属酸化物;硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化鉛、セレン化亜鉛、セレン化カドミウムなどの金属カルコゲナイド;シリコン、ゲルマニウムなどの第IV属元素;ガリウム−リン、ガリウム−ヒ素、インジウム−リンなどのIII−V属化合物;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリビニルカルバゾールなどの有機半導体などを示すことができる。
【0030】
上記光半導性物質の中でも、化学的安定性及び入手の容易性を考慮すると、酸化チタン、酸化タングステンなどの金属酸化物を用いることが好ましい。中でも、酸化チタンが入手が容易であるため利用し易く、その種類として、アモルファス、ルチル型及びアナターゼ型の何れをも使用することができる。もっとも、抗菌、防汚、脱臭、窒素酸化物の除去などの目的で薄膜を使用する場合には、アナターゼ型酸化チタンの性能が最も優れているため、アナターゼ型酸化チタンが最も好ましい。
【0031】
なお、一般的に白色顔料として使用されている酸化チタンは、多くの場合、表面がアルミナやシリカで完全にコーティングされているため光触媒作用が低く、好ましくない。
【0032】
上記光半導性物質は単独で用いられてもよく、二種以上併用されてもよい。また、光触媒性能を高めるためには、次に述べる導電性物質などを光半導性物質に添加してもよい。
【0033】
さらに、上記光半導性物質の形状及び大きさについても特に限定されるものではないが、請求項1に記載の発明においては、光半導性物質を未硬化の薄膜上に付着させる必要があるため、該光半導性物質の付着を容易とし、かつ薄膜上に均一に分散させるには、光半導性物質は微粉体であることが好ましい。
【0034】
上記光半導性物質を微粉体とした場合の好ましい粒径は、直径1nm〜100μmである。上記範囲外では、薄膜上への分散性や付着性が低下することがある。
【0035】
さらに、光半導性物質は、多孔性物質により被覆されてカプセル化されているものであってもよい。この場合多孔性物質については、光半導性物質の光触媒作用によって容易に劣化されない材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、シリカもしくはアルミナなどの無機物やフッ素樹脂などの有機物を用いることができる。もっとも、光触媒反応に必要な光の透過率などを考慮すると、光透過率に優れたシリカなどのガラス状物質が特に好ましい。
【0036】
導電性物質
請求項1〜3に記載の発明において、好ましくは、導電性物質が光半導性物質と共に使用される。導電性物質を添加することにより、光触媒性能をより一層高めることができる。
【0037】
導電性物質の添加方法としては、例えば、▲1▼酸化チタンなどの光半導性物質の製造工程において、構造中に導電性物質としての例えば酸化鉄成分を含有させておくように、光半導性物質の一部として導電性物質を含有させる方法、あるいは▲2▼酸化チタンなどの光半導性物質表面に、化学的または物理的に導電性物質を担持させる方法などを挙げることができる。
【0038】
さらに簡便な方法としては、光半導性物質と導電性物質の混合物を未硬化薄膜に付着させる方法や、光半導性物質を付着させる前、あるいは/及び後に、導電性物質を付着し、光半導性物質と接触させる方法が挙げられる。
【0039】
使用される導電性物質としては、一般に導電性を付与するために用いられるカーボン粉末(繊維)、金属粉末(繊維)を用い得る。例として、カーボンブラック、銀、銅、金、鉄、アルミニウム、ニッケル、白金、パラジウム、酸化錫、酸化インジウム等が挙げられる。また、非導電体を核材とし、その表面に導電体をコーティングしたものでもよい。例として、銀メッキ微粒子、アルミニウムコーティング微粒子、酸化錫で表面がコーティングされた硫酸バリウム微粒子等が挙げられる。
【0040】
上記導電性物質のうち、実用的な面からは、入手が容易で比較的安価な酸化錫微粒子や酸化錫で表面がコートされた硫酸バリウム微粒子が好ましい。
酸化アンチモンを、0.1〜20重量%添加した酸化錫は、高い導電性を示すため好適に用いられる。
【0041】
上記導電性物質の光半導性物質に対する添加量は、光半導性物質100重量部に対して0.01〜100重量部であることが好ましく、導電性物質を光半導性物質に含有させたり、表面に担持させたりする等の接触させるための特別な工程を経ることなく添加した場合は、1〜100重量部であることが好ましい。上記範囲より少ないと導電性物質添加の効果が生じ難い。また、上記範囲より多くしても、さらに効果を大きくするものではないが、光触媒効果を阻害するものではなく、光半導性物質の担体として用いる場合等は添加量が大きくなっても構わない。
【0042】
基材
請求項1〜3に記載の発明において用いられる基材については、未硬化の薄膜を形成するための溶液を塗布し、薄膜を形成し得るものであれば特に限定されるものではない。このような基材の例を挙げると、ガラス、セラミックスなどの無機材料、プラスチックスもしくは木材などの有機材料、あるいは金属などを挙げることができる。また、基材の形状及び大きさについても特に限定されるものではない。
【0043】
製造方法の詳細
未硬化薄膜を形成するための原料溶液の調製
請求項1に記載の発明において原料溶液における各原料のモル比を金属アルコキシドを1として示すと、金属アルコキシド:溶媒:水=1:10〜60:2〜8が好ましい。また、請求項2に記載の発明においては、上記と同様に金属アルコキシドを1として示すと、金属アルコキシド:溶媒:錯化剤:水=1:10〜60:0.5〜3:2〜8が好ましい。
【0044】
金属アルコキシドに対し、溶媒が上記より少ない場合には、金属アルコキシドの溶解が不十分となり、均一な薄膜を得るのが困難となることがある。逆に、溶媒が上記より多いと、後の工程において溶媒の除去が困難となったり、乾燥工程が長時間となったりすることがある。水が上記範囲より少ない場合には、金属アルコキシドの加水分散速度が低下することがあり、さらに請求項2に記載の発明では、金属アルコキシドと錯化剤により形成された錯体の加水分解の反応速度が低下したり、あるいは反応そのものが不十分となることがある。
【0045】
逆に、水が上記範囲より多い場合には、金属アルコキシドの加水分散速度が高くなりすぎることがあり、さらに請求項2に記載の発明では、錯体の反応速度が高くなり過ぎるので、基材への塗布工程における取り扱い性や形成される薄膜の物性が低下することがある。錯化剤が上記範囲より少ない場合は、金属アルコキシドと錯体との間での錯体の形成が不十分となることがあり、薄膜が形成されないことがある。逆に、錯化剤が上記範囲より多過ぎると、反応系に不純物が多く混在することになるため、形成される薄膜の物性が低下することがある。
【0046】
上記原料溶液の調製方法については、市販の攪拌機やホモジナイザーを用いて行うことができる。
また、請求項2に記載の発明のように、錯化剤を用いる場合には、金属アルコキシドからの錯体形成の確認を、錯体の形成に伴うキレート結合による紫外線領域における吸収スペクトル変化を観察する方法を用いることができる。
【0047】
原料溶液の基材への塗布
上記のようにして調製された原料溶液を基材上に塗布する方法については、特に限定されるものではない。塗布方法の例を挙げると、スプレーコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、カーテンフローコーティング、メニスカスコーティングなどを例示することができる。
【0048】
もっとも、用いる基材の大きさ、形状、コーティングを所望とする部位、コーティングの厚みなどにより上記塗布方法を選択することが好ましい。また、一般的には、作業性及び装置の簡便性等を考慮すると、スプレーコーティングやディップコーティングを用いることが好ましい。
【0049】
なお、上記塗布方法を実施するにあたっては、原料溶液のゲル化による粘度上昇が起こる前に塗布を行う必要がある。許容される粘度範囲は、塗布方法によって異なるため、一義的には定め得ない。
【0050】
光半導性物質の付着
本発明では、上記のようにして基材上に未硬化の薄膜を形成した後に、光半導性物質を未硬化の薄膜上に付着させる。この未硬化の薄膜上に光半導性物質を付着させる方法については、スプレーコーティング、スピンコーティングまたは転写法などの任意の方法で行いうる。なお、転写法とは、離型性を有する材料、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム上に光半導性物質をプレーコーティングなどの適宜の方法により付着させた後、該離型性を持つ材料に光半導性物質が付着されている面と未硬化の薄膜とを例えばプレスで密着させることにより、光半導性物質を未硬化の薄膜上に写し取る方法である。
【0051】
光半導性物質を付着させる量については、抗菌、脱臭、防汚、窒素酸化物除去などの目的に応じて必要な光触媒活性が発現され得る限り、特に限定されるものではない。しかしながら、コストを低減するため、並びに光硬化後の膜からの光半導性物質の脱離を防止するには、光半導性物質の使用量は少ない方が好ましい。
【0052】
また、次に述べるように、光触媒活性の向上を図るために導電性物質を付着させてもよい。
光触媒活性を高めるための導電性物質を未硬化の薄膜上に付着させる方法については、▲1▼市販の攪拌機やホモジナイザーなどを用いて光半導性物質と導電性物質とを予め混合した後該混合物を上記光半導性物質を付着させる方法により付着させ、しかる後、光硬化を行う方法、▲2▼未硬化の薄膜を形成した後に、光半導性物質を上記付着方法により付着させ、さらにその上に導電性物質をスプレーコーティング、スピンコーティングまたは転写法などにより付着させる方法、▲3▼未硬化の薄膜を形成した後に、スプレーコーティング、スピンコーティングまたは転写法などにより導電性物質を未硬化の薄膜上に付着させ、しかる後光半導性物質を上記付着方法に従って付着させる方法などを挙げることができる。
なお、導電性物質を付着させる量は前述したとおりである。
【0053】
薄膜の乾燥
上記した塗布方法により形成された未硬化の薄膜は、溶媒を除去するために乾燥される。乾燥方法については、市販されている各種乾燥機や加熱炉を用いたり、あるいは室温放置により行い得る。しかしながら、膜に対する塵埃の付着防止や、乾燥時間の短縮を目的とした場合には、乾燥機を用いることが好ましい。この場合、薄膜上の局部的な乾燥を防止するために、基材の材質や形状に応じて乾燥機の選択を行う必要がある。
【0054】
光硬化
上記乾燥後、薄膜に光を照射して硬化を行う。この場合の光源としては、特に限定されるものではないが、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどを用いることができる。これらの光源を用いるにあたっては、フィルターなどを用いて、硬化に不必要な波長の光をカットしてもよい。
【0055】
上記光源を用いた光の照射条件については、薄膜の組成や厚みによって異なるため一概には定め得ないが、例えば下記の方法により決定することが望ましい。請求項1に記載の発明において、錯化剤を用いない場合には、▲1▼紫外光領域における金属アルコキシドの光吸収波長を調べる。次に、上記金属アルコキシドの分解が起こる波長の光を照射することが望ましい。▲2▼光の照射時間は、吸収波長における吸収スペクトル変化を調べて決定する。
【0056】
他方、請求項2に記載の発明のように錯化剤を用いる場合には、▲1▼金属アルコキシド単独と、錯化剤を併用した場合の吸収スペクトルを比較し、錯化剤の使用による錯体形成に伴うキレート結合に由来する吸収極大波長を決定する。この吸収極大波長は、一般的には紫外光領域である。▲2▼吸収極大波長付近の光を照射し、吸収極大波長付近の吸収スペクトル変化を測定する。▲3▼光硬化のための照射光の波長は、上記吸収極大波長付近とし、照射時間は▲2▼の観測結果から決定する。上述した各方法により、反応系に用いる金属アルコキシドや錯化剤の種類に応じて好適な光照射条件を決定し得る。
【0057】
光硬化における熱の併用
請求項1〜3に記載の発明において、焼成工程を実施する必要はない。もっとも、光硬化を行う前後、あるいは光硬化と同時に、基材に熱を加えてもよい。また、基材に原料溶液を塗布し、乾燥させた後、形成された未硬化の薄膜に熱を加えてもよい。
【0058】
上記のように加熱を併用した場合、薄膜の硬化が促進され、硬化時間が短縮することがあり、硬化した薄膜の物性、例えば膜強度等が向上することがある。
加熱を併用する場合、加える熱量については、基材の変質や変形等が起こらない範囲であれば特に限定されるものではない。
【0059】
加熱を施すための装置については、通常の加熱炉を用いてもよい。しかしながら、基材の耐熱性、大きさ及び光硬化と加熱とを同時に行うか否かなどの各条件によって、異なる装置を適宜使用する必要がある。
【0060】
作用
請求項1に記載の発明においては、基材上に未硬化の薄膜を形成した後に、光半導性物質を未硬化の薄膜上に付着させた後、光照射により光硬化型ゾルゲル法に従って薄膜が硬化される。従って、高温の焼成工程を必要とせずに薄膜が硬化されるので、基材を構成する材料として耐熱性が劣る材料を用いることができる。すなわち、広範な材料から基材を構成する材料を選択するこができる。加えて、上記未硬化の薄膜上に光半導性物質を付着させた後硬化させるものであるため、光半導性物質が表面に確実に露出され、従って光触媒活性がより確実に発現し得る。
【0061】
請求項2に記載の発明では、光吸収波長をシフトさせる錯化剤が未硬化の薄膜に含有されているので、光吸収長波長側にシフトさせることができ、それによって利用可能な光源や光学系の選択範囲あるいは光学系以外の装置の選択範囲を広げることができる。
【0062】
請求項3に記載の発明では、上記光半導性物質として二酸化チタンを用いるため、該二酸化チタンが入手容易であり、かつ優れた光触媒活性を発揮するため、安価でかつ光触媒性能に優れた薄膜を提供することができる。
【0063】
【実施例】
以下、本発明の非限定的な実施例を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0064】
(実施例)
金属アルコキシドであるジルコニウム(IV)テトラn−ブトキシド10gを、溶媒である1−プロパノール80mlで希釈し、攪拌し、ジルコニウムアルコキシド溶液を調製した。次に、錯化剤としてアセチルアセトン3gを加え、室温で1時間程度攪拌し、金属アルコキシドとの間でキレートを形成させた。これに、水2mlを加え、2時間程度攪拌した。
【0065】
上記溶液を、50mm(幅)×50mm(長さ)×3mm(厚さ)の透明アクリル板の片面の全面に、スプレーコーティング法で1μmの厚みに塗布した。次にスプレーコーティング法により、光半導性物質であるアナターゼ型酸化チタン(1次粒径0.3μm、和光純薬工業社製)0.2gを均一に分散するように付着させた。しかる後、溶媒を揮発させて薄膜を乾燥した後、波長300nmの光を6分間照射し、機能性薄膜サンプルを得た。
【0066】
(比較例)
一液乾燥型アクリル塗料(アクリディックA−166、大日本インキ化学工業社製)2gに、酸化チタン(アナターゼ型、1次粒径0.3μm、和光純薬社製)0.2gを混練し、トルエン5mlを加えた。この懸濁液をスプレーコーティング法により、50mm(幅)×50mm(長さ)×3mm(厚さ)の透明アクリル板の片面の全面に塗布し、乾燥してサンプルを作製した。
【0067】
上記実施例及び比較例で得たサンプルについて、下記の要領で抗菌性試験として、▲1▼抗細菌性評価及び▲2▼抗真菌性評価を行った。その結果を表1に示す。また、耐候性の促進試験を行った後のサンプルについても、抗菌性試験を行った。その結果を表2に示す。
【0068】
▲1▼抗細菌性評価法
滅菌シャーレ中に、実施例及び比較例で製造したサンプルを入れ、この上に試験菌液〔Heart Infusion Broth培地(以下BHI培地、DIFCO社製、25g/l)を生理食塩水で100倍希釈したものの中に、試験菌が1×107 CFU/mlになるように調製したもの〕を各1mlずつ分注して蓋をした。シャーレを密封して、蛍光灯点灯下、30℃で1日間培養した後、培養後の試験菌の生菌数を通常のコロニーカウント法により測定した。
【0069】
▲2▼抗真菌性評価法
予めポテトデキストロース寒天培地(以下PDA培地、日水製薬社製)上で培養したカビ、酵母について白金耳を用いて菌体をかきとり、0.05重量%Tween80添加生理食塩水中に入れ、分散及び攪拌後、ガラスフィルターを用いて濾過を行った。得られた濾液を10000rpm及び15分間で遠心操作して、上澄み液を除去し、沈澱物(胞子)を得た。これにポテトデキストロース液体培地(以下PDB培地、DIFCO社製)を適量加えて胞子懸濁液を調製した。
【0070】
PDA培地をオートクレーブ滅菌後、寒天が固まらないように45℃にてインキュベートし、これに上記の胞子懸濁液をPDA培地の1/10量加えて攪拌した。
【0071】
滅菌シャーレに実施例及び比較例で使用したサンプルを入れ、これに上記の胞子懸濁液入PDA培地を50μlずつ滴下し、半球状に固化させた。シャーレを密封して、蛍光灯点灯下、30℃にて3〜5日培養した後、目視にて菌の生育を判定した。判定は以下の基準により行った。
○ 試験菌の生育が認められない
× 試験菌の生育が認められる
【0072】
▲3▼耐候性
JIS−A1415に規定されている、サンシャインカーボンアーク灯を用いる試験装置を用いて、耐候性の促進試験を100時間行った後のサンプルについて、その抗細菌性及び抗真菌性について上記のようにして評価した。
【0073】
【表1】
Figure 0003759806
【0074】
【表2】
Figure 0003759806
【0075】
酸化チタンをアクリル塗料からなる薄膜に単に分散させた比較例の場合に比べて、光硬化型ゾルゲル法により形成された無機質系薄膜に光半導性物質を担持させた実施例では、抗細菌性及び抗真菌性の何れにおいても優れた結果を示した。これは、実施例では、光半導性物質としての酸化チタンが薄膜内に埋設されている可能性が低く、かなりの割合で薄膜表面に露出しているため、十分な光触媒活性を発現しているためと考えられる。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明においては、光硬化型ゾルゲル法により薄膜が硬化されるので、高温の焼成工程を必要としない。従って、耐熱性の劣る合成樹脂からなる基材を用いることができ、かつ基材の材料も広範な材料から選択することができる。さらに、光半導性物質が未硬化の薄膜上に付着させた後に薄膜が硬化されるので、光半導性物質を薄膜表面から確実に露出させることができる。よって、光触媒活性が高い薄膜を容易に提供することができる。また、無機物による表面コーティングであるため、一般的な合成樹脂を用いたコーティングに比べて耐候性も高められる。

Claims (3)

  1. 光硬化型ゾルゲル法による光触媒活性を有する薄膜の形成方法であって、
    基材上に未硬化の薄膜を形成する工程と、
    未硬化の薄膜上に光半導性物質を付着させる工程と、
    薄膜に光を照射して硬化させると共に光半導性物質を該薄膜に固定する工程とを備えることを特徴とする光触媒活性を有する薄膜の形成方法。
  2. 光吸収波長を長波長側に変化させる錯化剤を未硬化の薄膜に含有させておくことを特徴とする請求項1に記載の光触媒活性を有する薄膜の形成方法。
  3. 光半導性物質として、二酸化チタンを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の光触媒活性を有する薄膜の形成方法。
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