JP2569097B2 - 全芳香族ポリエステル及びその製造法 - Google Patents

全芳香族ポリエステル及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は全芳香族ポリエステルに関するものである。
詳しくは耐熱性及び成形性の優れた3,3′−ビフェニル
ジカルボン酸残基を有する全芳香族ポリエステル及び製
造法に関するものであり成形品、フィルム、繊維等に利
用されうる。 〔従来の技術〕 3,3′−ビフェニルジカルボン酸残基を用いたポリエ
ステルとしては、 1) 2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジ
オールとのポリエステル(Chem.Ind.(London)(28)9
34−9(′69)) 2) 脂肪族又は脂環族残基とから構成される脂肪族ポ
リエステルIzvest.Akad.Nauk.,S.S.S.R,Otdel.Khim.Nau
k,(737〜745(1957)) 3) m−キシリデングリコールとのポリエステル(ib
id 338−343(1959)) 4) 4−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸と2−(1
−メチルペンチル)−1,4−ベンゼンジオールとの全芳
香族ポリエステル(USP−4,447,593) 5) 2−(1−メチルペンチル)−1,4−ベンゼンジ
オールとの全芳香族ポリエステル(USP−4,447,593) の5例が知られているが、1),2),3),5)は構造上溶
融相において液晶性は示さず、4)も溶融相において液
晶性を示し難く、固有粘度も高く、流れ開始温度が295
℃と非常に高く、成形性に乏しく、製造上も問題がある
と考えられる。 また、1),2)は構造上耐熱性に乏しい。3)は軟化
点として99〜107℃と記載されていることからTgはもっ
と低くやはり耐熱性に乏しい。4),5)は流れ開始温度
がそれぞれ295℃、330℃と高すぎ、加工性に乏しいとい
う欠点を各々有する。 また、4,4′−ビフェニルジカルボン酸残基を構成成
分とする全芳香族ポリエステル、即ち、原料モノマー残
基が全て芳香族成分であるポリエステルも知られており
(例えば、特開昭59−41328)、これらは、耐熱性は良
好であるが、成形加工に極めて高温度を有し、溶融粘度
も高く成形性に難点がある。 又、全芳香族ポリエステルを溶融法で製造した場合、
従来の反応器(例えばPET製造用たて型撹拌タイプ)で
はポリマーが固化して抜き出すことができないという問
題もあった。 一方、従来の液晶性ポリマーにおいては、弾性率は高
いものの流れ方向(MD)とそれに垂直な方向(TD)の弾
性率(それぞれEMD,ETDとする)の異方性が大きく成形
品として使用する場合に大きな問題であった。 〔発明の目的〕 本発明は溶融相において光学的に異方性を示し(つま
り液晶相を示し)そのため成形性(流動性)にすぐれ、
かつ高弾性率を有し、さらに耐熱性の良好な全芳香族ポ
リエステルを提供すること、及び従来の装置でこのよう
なポリマーを製造することを目的とする。 また、本発明は液晶性ポリマーとして弾性率が高い上
に異方性が緩和されたすなわちEMD/ETD比の小さい全芳
香族ポリエステルであり、従来のテレフタル酸、イソフ
タル酸を組合わせた全芳香族ポリエステルより溶融粘度
は低く、また従来の装置でそうしたポリマーを製造する
ことが可能で耐熱性と成形性のバランスのとれたポリマ
ーである。 〔発明の構成〕 以下に本発明を詳細に説明する。 本発明の全芳香族ポリエステルにおいては、その構成
成分として、前記(イ)の3,3′−ビフェニルジカルボ
ン酸残基を含有することが必須の要件であり、その含有
比率は、全芳香族成分合計を100当量%として、2〜50
当量%であり、好ましくは2〜40当量%、特に好ましく
は5〜35当量%である。2当量%未満の場合は、成形加
工性が低下し好ましくない。 本発明の全芳香族ポリエステルは、その構成成分とし
て、前記(ロ)の〔2〕式で示される芳香族ジカルボン
酸残基を含有することができる。〔2〕式中のR1,R4
びR5としては、2価のベンゼン残基、ナフタリン残基、
ジフェニル残基等が挙げられる。 〔2〕式で示される芳香族ジカルボン酸残基の具体例
としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフ
タリン−2,6−ジカルボン酸、ナフタリン−1,5−ジカル
ボン酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、メチルテ
レフタル酸、メチルイソフタル酸、ジフェニルエーテル
−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルチオエーテル−4,
4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカ
ルボン酸、ジフェニルケトン−4,4′−ジカルボン酸、
2,2−ジフェニルプロパン−4,4′−ジカルボン酸、テレ
フタル酸ジフェニル、ジフェニルケトン−3,4′−ジカ
ルボン酸のような芳香族ジカルボン酸の残基が挙げられ
るが必ずしもこれに限定されるものではない。またこれ
らは2種以上を混合して使用してもよい。 (ロ)の成分の含有比率は、全芳香族成分合計を100
当量%として、0〜50当量%の範囲であり、好ましくは
0〜45当量%、特に好ましくは10〜40当量%である。 本発明の全芳香族ポリエステルはまた、その構成成分
として、前記(ハ)の〔3〕式で示される芳香族ジオキ
シ化合物の残基を含有する。〔3〕式中のR2としては、 (R6:Cが1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。 n:置換基数を表わし、n=0〜4の整数である。 X:酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、
アルキレン基、エステル基又は直接結合を示す。) および の中から選ばれる。 〔3〕式で示される芳香族ジオキシ化合物の残基の具
体例としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、
メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,
5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチ
ルハイドロキノン、メチルハイドロキノンジアセテー
ト、t−ブチルハイドロキノンジアセテート、2,4,5−
トリメチルレゾルシン、2,3,5−トリメチルハイドロキ
ノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキ
シナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジ
ヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
クロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エー
テル、(4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシベ
ンゾエート、3,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、3,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン等の残基が挙
げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではな
い、またこれらは2種以上の混合物として使用してもよ
い。 (ハ)の含有比率は、全芳香族成分合計を100当量%
として、10〜52当量%の範囲であり、好ましくは15〜50
当量%、特に好ましくは20〜50当量%である。 本発明の全芳香族ポリエステルは更に、その構成成分
として、前記(ニ)の〔4〕式で示される芳香族オキシ
カルボン酸残基を含有することができる。〔4〕式中の
R3,R4及びR5としては、2価のベンゼン残基、ナフタリ
ン残基、ジフェニル残基等が挙げられる。 〔4〕式で示される芳香族オキシカルボン酸残基の具
体例としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、m−
ヒドロキシ安息香酸、シュリンガー酸、バニリン酸、4
−ヒドロキシ−4′−カルボキシジフェニルエーテル、
4−ドロキシ−4′−カルボキシビフェニル、2,6−ジ
クロロ−p−ヒドロキシ安息香酸、2−クロロ−p−ヒ
ドロキシ安息香酸、2,6−ジフルオロ−p−ヒドロキシ
安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒド
ロキシ−3−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−4−ナフト
エ酸、p−アセトキシ安息香酸等の残基が挙げられ、こ
れ等は混合して使用してもよい。 (ニ)の含有比率は、全芳香族成分合計を100当量%
として、0〜80当量%の範囲であり、好ましくは0〜75
当量%、とくに好ましくは10〜70当量%である。 本発明の全芳香族ポリエステルを構成する、前述の成
分(イ),(ロ),(ハ)及び(ニ)の含有比率を要約
すると次の通りである。 2≦〔イ〕≦50当量%、0≦〔ロ〕≦50当量%、 10≦〔ハ〕≦52当量%、0≦〔ニ〕≦80当量% 本発明の全芳香族ポリエステルを製造するには、所定
比率の(イ)の3,3′−ビフェニルジカルボン酸、
(ロ)の残基を含む芳香族ジカルボン酸、(ハ)の残基
を含む芳香族ジオキシ化合物及び(ニ)の残基を含む芳
香族オキシカルボン酸、あるいはこれ等の誘導体を原料
として、周知の重合方法、例えば、溶融重合法、溶融重
合法または界面重合法等に従って処理すればよい。とく
に溶融重合法は、重合反応後の後処理が不要であるため
工業的生産上有利であり、また、溶融重合法及び界面重
合法は、重合反応が比較的低温で実施し得る利点があ
る。 溶融重合法の場合は、前記の原料成分の一部を、アシ
ル化物又はエステルとして使用し、200〜400℃の温度で
重合する方法、あるいは前記原料成分にアシル化剤を加
えて重合する方法が採られる。 また、溶液重合法または界面重合法では、カルボン酸
残基に対応する原料モノマーとして、一般に酸ハライド
とくに酸クロライドが用いられ、界面重合法では原料の
オキシ残基は塩にしておく要がある。 本発明の全芳香族ポリエステルは275℃、100sec-1
の溶融粘度が50ポイズ以上であることが必須であり、50
ポイズ未満では充分な強度が得られない。275℃、100se
c-1での好ましい溶融粘度は100ポイズ以上、特に100〜5
0,000ポイズが成形性の点で好適である。特に好ましく
は320℃、100sec-1での溶融粘度で、50ポイズ以上であ
る。275℃で溶融しない場合は溶融粘度は∞ということ
とし、その場合もこの範ちゅうに入るものとする。 本発明の第1の好ましい態様としては、溶融相におい
て光学的に異方性を示し(つまり液晶相を示し)そのた
め成形性(流動性)にすぐれ、かつ高弾性率を有し、さ
らに耐熱性の良好で且つ従来の装置で製造可能な全芳香
族ポリエステルである。 このような全芳香族ポリエステルにおいては、その構
成成分として、前記(イ)の3,3′−ビフェニルジカル
ボン酸残基を必ず含有し、かつその構成成分として、前
記(ホ)の〔5〕式で示される芳香族ジカルボン酸残基
を含有することが必須である。 又、この全芳香族ポリエステルは、その構成成分とし
て前記(ヘ)の〔6〕式で示される芳香族オキシカルボ
ン酸残基を含有することが必須である。すなわち、 (イ) 次式〔1〕で表わされる3,3′−ビフェニルジ
カルボン酸残基 (ホ) 次式〔2〕で表わされる芳香族ジカルボン酸残
(ハ) 次式〔3〕で表わされる芳香族ジオキシ化合物
残基 O−R2−O …〔3〕 (ヘ) 次式〔4〕で表わされる芳香族オキシカルボン
酸残基 (〔3〕式におけるR2は前述と同義) から主に構成される全芳香族ポリエステルであって、か
つ該芳香族ポリエステル中における前記(イ),
(ホ),(ハ)及び(ヘ)の残基の割合が((イ),
(ホ),(ハ),(ヘ)の当量%をそれぞれ〔イ〕,
〔ホ〕,〔ハ〕,〔ヘ〕で表わす) 2〔イ〕40当量%、5〔ホ〕45当量%、 12〔ハ〕45当量%、10〔ヘ〕75当量%、 90〔イ〕+〔ホ〕+〔ハ〕+〔ヘ〕100当量% である全芳香族ポリエステルである。 これらの構成成分を含有することにより、驚くべきこ
とに、生成ポリマーは溶融相において光学的に異方性を
示し(液晶性を示し)、そのため成形性にすぐれ、かつ
高弾性率を有し、さらに耐熱性の良好な全芳香族ポリエ
ステルが得られ、かつ従来の装置で製造できることを見
出した。 特に、前記(イ)の3,3′−ビフェニルジカルボン酸
残基を含有することにより、従来のポリエステル製造装
置(例えば、たて型のポリエチレンテレフタレート製造
装置)を利用しても槽の底からポリマーを抜き出すこと
ができるという大きなメリットがあることがわかった。
(以下、抜出し性と表現する) それは(イ)の3,3′−ビフェニルジカルボン酸残基
と(ホ)及び(ヘ)の成分を組み合わせることにより、
流動開始温度が低くなることによると考えられる。 一方、物性的には耐熱性にすぐれるポリマーが得られ
る。例えばパイブロン(110Hz)で測定した40℃、100℃
における複素弾性率1E1をそれぞれ1E140,1E1100
とすると でかつ 1E11003.0×1010dyne/cm2 1E1407.0×1010dyne/cm2 という特徴を有する。組成を選べば かつ1E11005.0×1010、1E1409.0×1010であ
る。 またレオロジー的には溶融粘度が低く、成形性が良好
である。またηinhは測定できない場合も多いが、一般
に後に定義される値で1.5以下とさほど高くない。 これらの結果は、3,3′−ビフェニルジカルボン酸特
有の構造に由来するものである。 USP4,447,593によると3,3′−ビフェニルジカルボン
酸残基をパラ配向性化合物と規定しているが、分子構造
型を組んでみるとよくわかるようにパラ配向というより
もメタ配向に近く、メタ配向のイソフタル酸残基や2,6
−ナフタレンジカルボン酸残基が、同一面内にカルボン
酸残基があるのに対し、3,3′−ビフェニルジカルボン
酸残基はねじれが生じ、カルボン酸残基は同一面内に存
在しない。 このため、前述のような興味深い現象を与えるものと
思われる。 又、2,2′−ビフェニルジカルボン酸残基を用いた場
合は槽からの抜出し性が悪く、かつ溶融相において液晶
性を示さないということからしても3,3′−ビフェニル
ジカルボン酸残基の使用がいかに意味あるものか明らか
であろう。 3,3′−ビフェニルジカルボン酸の含有比率は、全芳
香族成分合計を100当量%として、2〜40当量%であ
り、好ましくは2〜35当量%、特に好ましくは3〜30当
量%である。2当量%未満の場合は、抜出し性が低下
し、好ましくない。40当量%をこえると溶融相において
液晶性を示さず好ましくない。 この全芳香族ポリエステルは、その構成成分として、
前記(ホ)の〔5〕式で示される芳香族ジカルボン酸残
基を含有することが必須である。 この成分と(イ)成分を組み合わせることにより、前
述のようなすなわち抜出し性が向上し、流動開始温度が
低下する等多くの特徴を付与できたことは大きなメリッ
トである。この成分がない場合は溶融相において液晶性
を示さず、そのため流動性が悪く、又弾性率も低い。 〔5〕式で示される芳香族ジカルボン酸残基の具体例
としては、テレフタル酸、イソフタル酸残基である。こ
れらは2種混合して使用してもよいがテレフタル酸を用
いるのが好ましい。 (ホ)の成分の含有比率〔ホ〕は、全芳香族成分合計
を100当量%として、5〜45当量%の範囲であり、好ま
しくは8〜40当量%、特に好ましくは10〜35当量%であ
る。 この全芳香族ポリエステルはまた、その構成成分とし
て、前記(ハ)の〔3〕式で示される芳香族ジオキシ化
合物の残基を含有する。 O−R2−O …〔3〕 〔〔3〕式におけるR2(R6:Cが1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。 n:置換基数を表わし、n=0〜4の整数である。 X:酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、
アルキレン基、エステル基又は直接結合を示す) および から選ばれる〕 〔3〕式で示される芳香族ジオキシ化合物の残基の具
体例としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、メ
チルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,5
−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチ
ルハイドロキノン、メチルハイドロキノンジアセテー
ト、t−ブチルハイドロキノンジアセテート、2,4,5−
トリメチルレゾルシン、2,3,5−トリメチルハイドロキ
ノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキ
シナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジ
ヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、3,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、3,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−
ジヒドロキシフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−ヒドロキシベンゾエート等の残基が
挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではな
い、またこれらは混合物として使用してもよい。 これらの中でハイドロキノン、t−ブチルハイドロキ
ノン、メチルハイドロキノン、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレン等が特に望ま
しい。 ハイドロキノンに置換基を入れた場合、置換基がかさ
高すぎると液晶性を示しにくくなったり、流動開始温度
が高くなったりして好ましくない。 (ハ)の含有比率〔ハ〕は全芳香族成分合計を100当
量%として12〜45当量%の範囲であり、好ましくは15〜
40当量%、特に好ましくは20〜40当量%である。 本発明の全芳香族ポリエステルは更に、その構成成分
として、前記(ヘ)の〔6〕式で示される芳香族オキシ
カルボン酸残基を含有することができる。 〔6〕式で示される芳香族オキシカルボン酸残基の具
体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキ
シ安息香酸の残基が挙げられ、これらは混合して使用し
てもよい。 特に、p−ヒドロキシ安息香酸の残基を使用すること
が好ましい。 (ヘ)の含有比率〔ヘ〕は、全芳香族成分合計を100
当量%として、10〜75当量%の範囲であり、好ましくは
15〜70当量%、とくに好ましくは20〜60当量%である。 (イ),(ホ),(ハ),(ヘ)の当量%の和として
は 90〔イ〕+〔ホ〕+〔ハ〕+〔ヘ〕100当量% であって (イ),(ホ),(ハ),(ヘ)以外の成分の全体を
(ル)とし、その当量%を〔ル〕とすると 0〔ル〕10当量% であり、かつ(ル)の成分は (R7はR1のなかから 成分を除いたもの) および/又は (R8はR3のなかから 成分を除いたもの) である。 また〔11〕の当量%<〔ホ〕、かつ〔12〕の当量%<
〔へ〕が好ましい。 R7,R8としては (X:酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル
基、エステル基又は直接結合を示す。) が好ましい。 また、本発明の第2の好ましい態様としては液晶性ポ
リマーとして弾性率が高い上に異方性が緩和された。す
なわちEMD/ETD比の小さい全芳香族ポリエステルであ
る。 このような全芳香族ポリエステルにおいては、その構
成成分として、前記(イ)の3,3′−ビフェニルジカル
ボン酸残基を含有することを必須とし、かつその構成成
分として、前記(ホ)の〔5〕式で示される芳香族ジカ
ルボン酸残基を含有することを必須とし 又、上記(ニ)の〔4〕式で示される芳香族オキシカ
ルボン酸残基を含有しないことが必須である。 すなわち (イ) 次式〔1〕で表わされる3,3′−ビフェニルジ
カルボン酸残基 (ホ) 次式〔5〕で表わされる芳香族ジカルボン酸残
(ハ) 次式〔3〕で表わされる芳香族ジオキシ化合物
残基 O−R2−O 〔3〕 (〔3〕式におけるR2は前述と同義) から主に構成される全芳香族ポリエステルであって、か
つ該芳香族ポリエステル中における前記(イ),
(ホ),(ハ)の残基の割合が((イ),(ホ),
(ハ)の当量%をそれぞれ〔イ〕,〔ホ〕,〔ハ〕で表
わす) 2〔イ〕45当量%、5〔ホ〕48当量% 〔ハ〕50当量%、〔イ〕+〔ホ〕〔ハ〕 90〔イ〕+〔ホ〕+〔ハ〕100当量% である全芳香族ポリエステルである。 (ニ)の成分を含有しないことにより驚くべきことに
耐熱性が向上し、かつ異方性が緩和された液晶ポリエス
テルが製造される。 (イ)成分の量としては 2≦〔イ〕≦45当量%、好ましくは 5≦〔イ〕≦40当量%、さらに好ましくは 10≦〔イ〕≦35当量%である。 2当量%未満の場合は異方性緩和の度合が小さく、45
当量%をこえると溶融相において液晶性を示さず好まし
くない。 用いる(ホ)の〔5〕式の芳香族ジカルボン酸残基と
(ハ)の〔3〕式で示される芳香族ジオキシ化合物の残
基の具体例は前述のタイプのものと同じである。(ハ)
として特に好ましくはハイドロキノン、t−ブチルハイ
ドロキノン、メチルハイドロキノン、4,4′−ジヒドロ
キシジフェニル及び2,6−ジヒドロキシナフタレン残基
から選ばれる。 これらの構成成分を含有することにより、驚くべきこ
とに、生成ポリマーは溶融相において光学的に異方性を
示し、(液晶性を示し)、そのため成形性にすぐれ、か
つ高弾性率を有し、さらに耐熱性の良好な全芳香族ポリ
エステルを得ること及び液晶性ポリマーとして弾性率が
高い上に異方性がある程度緩和されたすなわちEMD/ETD
比の小さい全芳香族ポリエステルが得られる。 この全芳香族ポリエステルは、その構成成分として、
前記(ホ)の〔5〕式で示される芳香族ジカルボン酸残
基を含有することが必須である。 この成分と(イ)成分を組み合わせることにより、前
述のような特徴が発揮される。この成分がない場合は溶
融相において液晶性を示さず、そのため流動性が悪く、
又弾性率も低い。 〔5〕式で示される芳香族ジカルボン酸残基の具体例
としては、テレフタル酸、イソフタル酸である。これら
は2種混合して使用してもよいがテレフタル酸を用いる
のが好ましい。 (ホ)の成分の含有比率〔ホ〕は、全芳香族成分合計
を100当量%として、5〜48当量%、好ましくは10〜45
当量%さらに好ましくは15〜40当量%である。5当量%
未満の場合は異方性緩和の度合が小さく、48当量%を超
えると溶融相において液晶性を示さず好ましくない。
(ハ)の含有比率は約50当量%である。 (イ),(ホ),(ハ)の当量%としては 90<〔イ〕+〔ホ〕+〔ハ〕<100当量% であって (イ),(ホ),(ハ)以外の成分の全体を(オ)と
し、その当量%を〔オ〕とすると 0〔オ〕10当量%であり、より好ましくは 0〔オ〕5当量%である。 かつ(オ)の成分は (R9はR7と同一) であること しかも〔オ〕の当量数<〔ホ〕が好ましい。 R9としては (X:酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル
基、エステル基又は直接結合を示す。) が好ましい。 本発明の第3の好ましい態様としては、従来のテレフ
タル酸、イソフタル酸を組合わせた全芳香族ポリエステ
ルより溶融粘度は低く、また従来の装置で製造可能で流
動性がよく(成形性がよく)耐熱性と成形性のバランス
のとれたポリマーである。 このような全芳香族ポリエステルは (イ) 次式〔1〕で示される3,3′−ジフェニルジカ
ルボン酸残基 (ホ) 次式〔5〕で表わされる芳香族ジカルボン酸残
(ハ) 芳香族ジオキシ化合物残基として、 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン残基、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン残基、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル残基、又はレゾル
シン残基から選ばれるもの から構成される全芳香族ポリエステルであって、かつ該
芳香族ポリエステル中における前記(イ),(ホ),
(ハ)の残基の割合が、((イ),(ホ),(ハ)の当
量%をそれぞれ〔イ〕,〔ホ〕,〔ハ〕で表わす。〕 5≦〔イ〕≦45当量%、5≦〔ホ〕≦45当量%、 〔ハ〕50当量%、〔イ〕+〔ホ〕50当量%、 〔イ〕+〔ホ〕+〔ハ〕=100当量% であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の全
芳香族ポリエステルである。 また、この全芳香族ポリエステルはガラス転移温度
(Tg)が150℃以上であることを特徴とする。 本発明の全芳香族ポリエステルを製造するには、前述
のとおり所定比率の(イ)の3,3′−ビフェニルジカル
ボン酸、(ロ)の残基を含む芳香族ジカルボン酸、
(ハ)の残基を含む芳香族ジオキシ化合物及び(ニ)の
残基を含む芳香族オキシカルボン酸、あるいはこれ等の
誘導体を原料として、周知の重合方法、例えば、溶融重
合法、溶液重合法または界面重合法等に従って処理すれ
ばよい。とくに溶融重合法は、重合反応後の後処理が不
要であるため工業的生産上有利であり、また、溶液重合
法及に界面重合法は、重合反応が比較的低温で実施し得
る利点がある。 溶融重合法の場合は、前記の原料成分の一部を、アシ
ル化物又はエステルとして使用し、200〜400℃の温度で
重合する方法、あるいは前記原料成分にアシル化剤を加
えて重合する方法が採られる。 また、溶液重合法または界面重合法では、カルボン酸
残基に対応する原料モノマーとして、一般に酸ハライド
とくに酸クロライドが用いられ、界面重合法では原料の
オキシ残基は塩にしておく必要がある。 特に本発明における製造法はコスト、作業性等の面か
らすぐれている。すなわち本発明である製造法は 原料として (ト) 次式〔7〕で表わされる3,3′−ビフェニルジ
カルボン酸 (チ) 次式〔8〕で表わされる芳香族ジカルボン酸 (リ) 次式
〔9〕で表わされる芳香族ジヒドロキシ化
合物 HO−R2−OH
〔9〕 (ヌ) 次式〔10〕で表わされる芳香族ヒドロキシカル
ボン酸 (R,R2,R3は前述と同一) 又はこれらの誘導体を使用し、系中で酸無水物を添加
して100〜400℃の温度において酸及び酸無水物を留去し
つつ反応させる。 これらの混合比は生成ポリマーの組成比が 2〔イ〕50当量%、0〔ロ〕50当量%、 10〔ハ〕52当量%、0〔ニ〕80当量% になるように仕込めばよい。 触媒としてはBuSnOOH,Bu2SnO,Ti(OiPr)4,Zn(OAc)
2,Sn(OAc)等が用いられるが使用しなくてもよい。 酸無水物(ワ)としては無水酢酸、無水プロピオン
酸、無水安息香酸等を挙げることができる。特に無水酢
酸(カ)が好ましい。使用する酸無水物のモル数を
〔カ〕とすると 0.8〔カ〕/(2〔ハ〕+〔ニ〕)2.0(モル比) 特に1.0以上1.5以下が好ましい。 反応温度としては100℃〜400℃の温度いずれも使用す
ることが可能であるが、酸無水物を添加して、アシル化
を主に行うときは100〜200℃程度、その後縮合を主に行
うときは昇温し、250〜400℃を使用することが好まし
い。酸や酸無水物の留去のためにN2やAr等の不活性ガス
をフローしたり、減圧を適用したりすることが可能であ
る。 以上のような製造法をとることにより、従来のポリエ
ステル特にポリエチレンテレフタレート製造用のイカリ
翼やヘリカル翼をもったたて型撹拌装置を使用しても、
本発明のポリマーは反応器からとり出すことが可能であ
るという操作上の利点のあることがわかった。 またさらに重合度を高めたい場合は固相重合を適用す
ることも可能である。 〔発明の効果〕 本発明の全芳香族ポリエステルは優れた耐熱性を有
し、ガラス転移温度(Tg)としては100℃以上を示し、
原料モノマーの種類及び組成比率によってはTgは150℃
以上を示す。 また、本発明の全芳香族ポリエステルは、成形性が優
れるという大きな長所を有する。 即ち、従来知られている、4,4′−ビフェニルジカル
ボン酸残基を含有する全芳香族ポリエステル成形には、
一般に330℃を超える高温を要するが、本発明の全芳香
族ポリエステルでは、より低温で充分成形が可能であ
る。 以上の性状に基づいて、本発明の全芳香族ポリエステ
ルは、射出成形体、フィルム、繊維等の用途に利用され
る。 また、本発明の全芳香族ポリエステルは、一般に330
℃以下の温度で溶融状態を示すことから、溶融重合法に
より製造した場合、反応後、加圧することにより、ある
いは自重により、生成ポリマーを反応容器から容易に取
り出すことができる操作上の利点を有することがわかっ
た。 更に、原料モノマーの種類、組成比率を適切に選ぶこ
とにより、溶融相において光学的に異方性、液晶性を示
すこと(直交偏光子を利用した慣用の偏光法により確認
し得る)もあり、その場合、その温度域で成形すれば、
高弾性率の成形体、フィルム、繊維等を得ることが可能
である。 〔実施例〕 次に本発明を実施例について更に詳細に説明するが、
本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定さ
れるものではない。 なお、実施例中の溶融粘度の測定には、キャピラリー
レオメーター(インテスコ社製)を用い、温度320℃、
剪断速度()100sec-1、シリンダーノズルの長さ/直
径=30を使用した。また、走査熱量計(DSC)はデュポ
ン社製9900型を用いて20℃/分で昇温してガラス転移温
度(Tg)を求めた。 溶液粘度(ηinh)はフェノールとテトラクロロエタ
ン=1:1(重量比)の混合液中0.5g/dlの濃度において30
℃で測定した値である。 赤外分光光度計はNicolet社製の20DXBFT−IRを使用し
た。ポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールに溶解
させるか、又はKBrディスクにてテストサンプルとし
た。 NMRは日本電子製のJNM−GX270を使用した。ポリマー
をトリフルオロ酢酸に溶解させることによりテストサン
プルとした。 成形は日本製鋼社製0.1oz射出成形機を用いて行い、
成形片を作成した。 バイブロンは東洋ボールドウィン社製のレオバイブロ
ンを用い上の成形片を110Hz下で使用した。 光学異方性及び流動開始温度はホットステージ付き偏
光顕微鏡を用いて行った。 又、成形片は流れ方向(MD)とそれに垂直な方向(T
D)が測定できるようにした。 実施例1 撹拌翼、減圧口、N2導入口を備えた反応器に 3,3′−ビフェニルジカルボン酸 0.115モル(27.83g) テレフタル酸 0.115モル(19.09g) 4,4′−ジヒドロキシジフェニル 0.23モル(42.78g) p−ヒドロキシ安息香酸 0.23モル(31.74g) を仕込み、減圧下窒素置換した後、窒素シールしその
後、無水酢酸0.759モル(77.42g)を投入した。 以下撹拌下で重合管145℃の油浴に浸漬して1時間反
応させた後1.5時間かけて320℃まで昇温する。 次いで30分かけて圧力を常圧から0.3mmHgまで減圧
し、さらに0.3mmHgで30分間320℃で反応させ重合反応を
終了させた。 このポリマーは自重で流れ、反応器の底からとりだす
ことが可能であった。こうして得られたポリマーの溶融
粘度(320℃、100sec-1)は920ポイズであった。 さらにこのポリマーを0.1oz射出成形機で成形し、そ
の成形片のバイブロンを測定した。このチャートを図−
1に示す。 バイブロンより 1E140=21.1GPa 1E1100=15.5GPa であった。 またこのポリマーは約275℃以上で流動開始し、光学
異方性を示した。このポリマーのIRチャートを図−2に
示す。 実施例2 実施例1と同様にして製造したポリマーを取り出し粉
砕し、265℃で12時間固相重合を行った。このポリマー
の溶融粘度は320℃、100sec-1で29400ポイズと大幅に上
昇した。 実施例1と同様に射出成形し、その成形片のバイブロ
ンを測定した。 このポリマーも光学異方性を示した。 比較例1 実施例1の3,3′−ビフェニルジカルボン酸のかわり
にイソフタル酸0.115モル(19.09モル)を用いた以外は
実施例1のとうりに行った。 このポリマーは0.3mmHgにするまでに固化してしま
い、反応器の底から抜出すことはできなかった。 比較例2 実施例1の3,3′−ビフェニルジカルボン酸のかわり
に2,2′−ビフェニルジカルボン酸0.115モル(27.83g)
を用いた以外は実施例1のとおりに行った。 このポリマーも0.3mmHgにするまでに固化してしまい
反応器の底から抜出すことはできなかった。 また溶融時液晶性を示さなかった。 比較例3 実施例1の3,3′−ビフェニルジカルボン酸のかわり
に4,4′−ビフェニルジカルボン酸0.115モル(27.83g)
を用いた以外は実施例1のとうりに行った。 このポリマーは0.3mmHgにするまでに固化してしまい
反応器の底から抜出すことはできなかった。 実施例3〜19及び比較例4 構造単位(イ)(ロ)(ハ)(ニ)と、その組成比を
表−1のようにした以外は、実施例1と同様にして行っ
た。 結果を表−1に示す。 実施例20 ダブルヘリカル撹拌翼、減圧口、N2導入口を備えた内
容積20のたて型反応器に 3,3′−ビフェニルジカルボン酸 5.75モル(1392g) テレフタル酸 5.75モル( 955g) 4,4′−ジヒドロキシジフェニル 11.50モル(2139g) p−ヒドロキシ安息香酸 11.50モル(1587g) を仕込み、減圧下窒素置換した後窒素シールし、その後
無水酢酸38.0モル(3871g)を投入した。以下、撹拌下
で反応系内を145℃にて1時間反応させた後25時間かけ
て320℃まで昇温した。 次いで、90分かけて圧力を常圧から0.3mmHgまで減圧
しさらに0.3mmHg320℃で1時間反応させ、重合反応を終
了させた。 このポリマーは、通常のポリエステルのように、反応
器下部についた反応物抜出口より、自重で流れ出し、と
りだすことが可能であった。こうして得られたポリマー
の溶融粘度は320℃100sec-1で1020ポイズであった。 このポリマーを0.1oz射出成形機で成形し、バイブロ
ンを測定したところ1E140=20.3GPa,1E1100=14.4G
Paと実施例1を再現した。 実施例21〜30、比較例5,6 構造単位(イ)(ロ)(ハ)とその組成を表−2,表−
3のようにした以外は実施例1と同様にして行った。 結果を表に併記する。 実施例31〜34 組成を表−4のようにした以外は実施例1と同じ方法
でポリマーを得た。 結果を表−4に併記する。
【図面の簡単な説明】
図−1は実施例 1のバイブロンチャート図 図−2は 〃 1のIRチャート図 図−3は 〃 4 〃 図−4は 〃 5 〃 図−5は 〃 8 〃 図−6は 〃 10 〃 図−7は 〃 11 〃 図−8は 〃 14 〃 図−9は 〃 15 〃 図−10は 〃 16 〃 図−11は 〃 17 〃 図−12は 〃 18 〃 図−13は 〃 8のNMRチャート図 図−14は 〃 11 〃 図−15は 〃 15 〃 図−16は 〃 26のIRチャート図 図−17は 〃 26のNMRチャート図 を各々を示す。

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ) 次式〔1〕で表わされる3,3′−
    ビフェニルジカルボン酸残基、 (ロ) 次式〔2〕で表わされるジカルボン酸残基、 (ハ) 次式〔3〕で表わされるジオキシ化合物残基、 O−R2−O …〔3〕 (ニ) 次式〔4〕で表わされるオキシカルボン酸残
    基、 〔〔2〕及び〔4〕式におけるR1及びR3は、夫々2価の
    芳香族炭化水素基または、式−R4−X−R5−(R4及びR5
    は2価の芳香族炭化水素基であり、Xは酸素原子、硫黄
    原子、スルホニル基、カルボニル基、アルキレン基、エ
    ステル残基又は直接結合を示す) で示される基を示す。 但しR1が3,3′−ビフェニル基であることはない。 又、〔3〕式におけるR2 (R6:炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示
    す。 n:置換基数を表わし、n=0〜4の整数である。 X:前述と同義) で示される基を表わす。〕 から構成される全芳香族ポリエステルであって、かつ該
    全芳香族ポリエステル中における前記(イ)、(ロ)、
    (ハ)及び(ニ)の残基の割合が、((イ),(ロ),
    (ハ),(ニ)の当量%をそれぞれ〔イ〕,〔ロ〕,
    〔ハ〕,〔ニ〕で表わす) 2≦〔イ〕≦50当量%、0≦〔ロ〕≦50当量%、 10≦〔ハ〕≦52当量%、0≦〔ニ〕≦80当量% であり、また275℃、100sec-1における溶融粘度が50ポ
    イズ以上であることを特徴とする全芳香族ポリエステ
    ル。
  2. 【請求項2】溶融相において光学的に異方性である特許
    請求の範囲第1項記載の全芳香族ポリエステル。
  3. 【請求項3】(ロ)のR1であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の全
    芳香族ポリエステル。
  4. 【請求項4】(ニ)のR3であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の全
    芳香族ポリエステル。
  5. 【請求項5】(ヘ)の成分の割合が 0〔ヘ〕75当量% であることを特徴とする特許請求の範囲第4項記載の全
    芳香族ポリエステル。
  6. 【請求項6】ガラス転移温度(Tg)が100℃以上である
    特許請求の範囲第1項記載の全芳香族ポリエステル。
  7. 【請求項7】(イ) 次式〔1〕で表わされる3,3′−
    ビフェニルジカルボン酸残基 (ホ) 次式〔5〕で表わされる芳香族ジカルボン酸残
    (ハ) 次式〔3〕で表わされる芳香族ジオキシ化合物
    残基 O−R2−O …〔3〕 (ヘ) 次式〔4〕で表わされる芳香族オキシカルボン
    酸残基 (〔3〕式におけるR2は前述と同義) から主に構成される全芳香族ポリエステルであって、か
    つ該芳香族ポリエステル中における前記(イ),
    (ホ),(ハ)及び(ヘ)の残基の割合が((イ),
    (ホ),(ハ),(ヘ)の当量%をそれぞれ〔イ〕,
    〔ホ〕,〔ハ〕,〔ヘ〕で表わす) 2〔イ〕40当量%、5〔ホ〕45当量%、 12〔ハ〕45当量%、10〔ヘ〕75当量% 90〔イ〕+〔ホ〕+〔ハ〕+〔ヘ〕100当量%であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の全芳香
    族ポリエステル。
  8. 【請求項8】溶融相において光学的に異方性である特許
    請求の範囲第(7)項記載の全芳香族ポリエステル。
  9. 【請求項9】(イ),(ホ),(ハ),(ヘ)以外の成
    分の全体を(ル)とし、その当量%を〔ル〕とすると 0〔ル〕10当量% であり、かつ(ル)の成分は (R7;R1のなかから 成分を除いたもの) および/又は (R8;R3のなかから 成分を除いたもの) であることを特徴とする特許請求の範囲第7項記載の全
    芳香族ポリエステル。
  10. 【請求項10】(イ) 次式〔1〕で表わされる3,3′
    −ビフェニルジカルボン酸残基 (ホ) 次式〔5〕で表わされる芳香族ジカルボン酸残
    (ハ) 次式〔3〕で表わされる芳香族ジオキシ化合物
    残基 O−R2−O …〔3〕 (〔3〕式におけるR2は前述と同義) から主に構成される全芳香族ポリエステルであって、か
    つ該芳香族ポリエステル中における前記(イ),
    (ホ),(ハ)の残基の割合が((イ),(ホ),
    (ハ)の当量%をそれぞれ〔イ〕,〔ホ〕,〔ハ〕で表
    わす) 2〔イ〕45当量%、5〔ホ〕48当量%、 〔ハ〕50当量%、〔イ〕+〔ホ〕〔ハ〕、 95〔イ〕+〔ホ〕+〔ハ〕100当量% であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の全
    芳香族ポリエステル。
  11. 【請求項11】溶融相において光学的に異方性である特
    許請求の範囲第10項記載の全芳香族ポリエステル
  12. 【請求項12】ガラス転移温度(Tg)が120℃以上であ
    る特許請求の範囲第10項記載の全芳香族ポリエステル。
  13. 【請求項13】(イ),(ホ),(ハ)以外の成分の全
    体を(オ)とし、その当量%を〔オ〕とすると 0〔オ〕10当量% であり、かつ(オ)の成分は (R9は式〔11〕のR7と同一) であることを特徴とする特許請求の範囲第10項記載の全
    芳香族ポリエステル。
  14. 【請求項14】(イ) 次式〔1〕で示される3,3′−
    ジフェニルジカルボン酸残基 (ホ) 次式〔5〕で表わされる芳香族ジカルボン酸残
    (ハ) 芳香族ジオキシ化合物残基として、 2,2,−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン残基、
    ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン残基、ビス
    (4−ヒドロキシフェニル)エーテル残基、又はレゾル
    シンから選ばれるもの から構成される全芳香族ポリエステルであって、かつ該
    芳香族ポリエステル中における前記(イ),(ホ),
    (ハ)の残基の割合が、((イ),(ホ),(ハ)の当
    量%をそれぞれ〔イ〕,〔ホ〕,〔ハ〕で表わす。) 5≦〔イ〕≦45当量%、5≦〔ホ〕≦45当量%、 〔ハ〕50当量%、〔イ〕+〔ホ〕50当量%、 〔イ〕+〔ホ〕+〔ハ〕=100当量% であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の全
    芳香族ポリエステル。
  15. 【請求項15】ガラス転移温度(Tg)が150℃以上であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第(14)項記載の全
    芳香族ポリエステル。
  16. 【請求項16】出発原料として (ト) 次式〔7〕で表わされる3,3′−ビフェニルジ
    カルボン酸 (チ) 次式〔8〕で表わされる芳香族ジカルボン酸 (リ) 次式〔9〕で表わされる芳香族ジヒドロキシ化
    合物 HO−R2−OH …〔9〕 (ヌ) 次式〔10〕で表わされる芳香族ヒドロキシカル
    ボン酸 〔〔8〕及び〔10〕式におけるR1及びR3はそれぞれ2価
    の芳香族炭化水素基または式R4−X−R5(R4及びR5は2
    価の芳香族炭化水素基であり、Xは酸素原子、硫黄原
    子、スルホニル基、カルボニル基、アルキレン基、エス
    テル残基又は直接結合を示す)で示される基を示す。但
    しR1が3,3′−ビフェニル基であることはない。 又、〔9〕式におけるR2 (R6:Cが1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。 n:置換基数を表わし、n=0〜4の整数である。 X:前述と同義) で示される基を表わす。〕 またはこれらの誘導体を使用し、系中で酸無水物を添加
    して反応させ、100〜400℃の温度において酸及び酸無水
    物を留去しつつ反応させることを特徴とする全芳香族ポ
    リエステルの製造法。
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