JP2567329B2 - 全表面に天然石を配置した人工巨石の製造方法 - Google Patents

全表面に天然石を配置した人工巨石の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に河川敷や堤防法面
等に使用される全表面に天然石を配置した人工巨石の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、河川敷は、巨石の他、玉石、砂利
等種々の大きさや形状を有する自然石により構成されて
いる。ところが、近年では、巨石や玉石が造園用等とし
て河川敷より採取され続けた結果、水の流れが単調にな
り、河川の中に魚類が生息し易い瀬、渕、岩かげ等が少
なくなってきている。このため、このような河川では、
生息する魚類の数が減っている。また従来は、護岸等を
目的として巨大なコンクリートブロックをそのまま河川
敷や、或いは堤防法面等として採用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のコンクリートブロックは、河川等の護岸としての効
果を有するものの、コンクリートの地肌が見えるので、
河川敷、或いは堤防法面等川辺の自然の景観が損われる
という欠点があった。またさらに、この従来のコンクリ
ートブロックは、単調な平面からなるものが多く、この
ため魚類が生息する場所としては不適当であった。
【0004】そこで案出されたのが本発明であり、その
目的とするところは、河川敷に魚類等の生息し易い環境
をつくることができると共に、この河川敷、或いは堤防
法面等の自然の景観を損わない全表面に天然石を配置し
た人工巨石を容易かつ安価に製造する全表面に天然石を
配置した人工巨石の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の採った手段について実施例に対応する図面
に用いた符号を付して以下に説明する。即ち、本発明の
構成は、図1乃至図6に示す如く、「河川敷や堤防法面
等に使用する全表面に天然石を配置した人工巨石100
の製造方法であって、下記の工程を備えていることを特
徴とする。 1,地表G上に下段の型枠31を設置し、地表G面及び
型枠31内側面に天然の玉石10等をさざれ石状に並
べ、これら玉石10の内部に生コンクリート21を注入
する工程。 2,下段の型枠31の上に順次中段の型枠32を設置
し、この型枠32内側面に天然の玉石10等をさざれ石
状に並べ、これら玉石10の内部に生コンクリート21
を注入する工程。 3,最上段の型枠33内に注入した生コンクリート21
の上面に天然の玉石10等をさざれ石状に並べ、これら
玉石10の表面に生コンクリート21を注入する工程。 4,生コンクリート21が硬化した後、型枠31,3
2,33を取り外して、全表面に天然の玉石等を配置し
た人工巨石を取り出す工程。」を内容とするものであ
る。
【0006】上記発明において、天然の玉石10等と
は、河原やその他地表又は地中に存する天然石の他に、
岩石が砕けて形成される栗石を含むものである。また、
さざれ石状とは、コンクリートブロック表面に大きさが
不揃いな多数の天然石が無作為に並べられている状態を
いう。
【0007】
【作用】上記の手段により、全表面に天然石を配置した
人工巨石の製造方法においては、地表G上面、型枠31
〜33内側面及び上面にさざれ石状に並べられた天然の
玉石10等が、生コンクリート21により固着されるの
で、全表面に天然の玉石10等が配置される。また、型
枠31〜33に応じた一定の大きさの人工巨石100が
簡単に製作できる。また、型枠31〜33を取外せば、
全表面に天然の玉石10等を配置し人工巨石100をた
ただちに取り出すことができる。
【0008】
【実施例】以下、図1乃至図6を参照して、本発明に係
る人工巨石の製造方法の第1の実施例を説明する。これ
は、移動可能な巨石100に適用するもので、まず、図
2に示す如く、地表Gに下段の型枠として第1の型枠3
1を固定する。このとき地表Gの一部を凹状に形成しし
てもよい。次に、型枠31内の地表G上に玉石10等を
配置する。さらに、第1の型枠31の内面に沿って玉石
10等を積み上げながら並べる。この場合、玉石10と
第1の型枠31の内面との間に小石や粘土等の充填材1
1を配置させると、人工巨石100の形状に合わせて玉
石10等が並べ易く、また、生コンクリート21を注入
したとき、玉石10等の移動が防止でき、更に、玉石1
0間から生コンクリート21が流出することが防止でき
て玉石10の固着が確実なものとなし得る。玉石10等
が並べ終えたら、玉石10等の内側に生コンクリート2
1を注入する。尚、第1の型枠31は、地表Gの上面に
直接置いてもよく、また、地表Gの上に載置した鉄板或
は吸出し防止用のマット上に設置してもよい。
【0009】つぎに、図3に示すように、第1の型枠3
1の上に第2の型枠32を固定する。そして、第2の型
枠32の内面に沿って前述と同様に玉石10等を積み上
げながら並べる。この場合、前述と同様に第2の型枠3
2の内面と玉石10との間に適宜小石や粘土等の充填材
11を配置させてもよい。玉石10等が並べ終えたら、
玉石10等の内側に生コンクリート21を注入して、第
1の型枠31内の生コンクリート21と結合する。場合
によっては、図示はしないが、いわゆる差し筋を用いて
もよい。
【0010】つぎに、図1に示すように、第2の型枠3
2の上に第3の型枠33を固定する。そして、第3の型
枠33の内面に沿って前述と同様に玉石10等を積み上
げながら並べる。この場合、第3の型枠33の内面と玉
石10との間に適宜小石や粘土等の充填材11を配置さ
せてもよい。玉石10等が並べ終えたら、玉石10等の
内側に生コンクリート21を注入する。この型枠31,
32,33は、人工巨石100の大きさに応じて中段の
型枠段数を適宜選定すれば良く、また、上、下段の型枠
31,33で構成してもよい。第3の型枠33が最上段
の型枠に相当する場合は、図1に示す如く、注入された
生コンクリート21の上面に、天然の玉石10等を配置
し、天然の玉石10等を連結するようにこれらの間に生
コンクリート21を注入する。さらに、この上を、土砂
等12により覆えばコンクリートの養生に有効である。
【0011】次いで、生コンクリート21が硬化してコ
ンクリ一トブロックとなったとき、型枠31,32,3
3を取り外せば、図4に示すように、表面に玉石10等
をさざれ石状に固着した人工巨石100が現れる。玉石
10等の表面には、あまり生コンクリート21が付着し
ていないので、そのまま河川敷に敷設できる。特に、外
観の仕上げが要求される場合は、図5に示すように、高
圧の水を表面に吹き付け、小石や粘土等の充填材11及
び土砂等12を取り除くと、全表面に天然の玉石10等
をさざれ石状に設けた人工巨石100が取り出される。
尚、図に示す如く、コンクリートの打設時に吊り上げ用
のアンカー(図示せず)を配置しておけば、クレーン等
を使用してこの人工巨石100が運搬し易くなる。
【0012】この人工巨石100により構成された河川
敷は、図6に示す如く、同巨石100間、或いは、玉石
10間に空隙70が形成される。この空隙70は、魚類
の生息し易い場所となる。また、この河川敷は、巨石に
より形成されているため水流を大きく変化させることが
可能となると共に、河川敷の中に魚類の生息し易い渕や
岩かげを形成することが可能となる。この人工巨石10
0の玉石10に水流が当たって水泡が発生し、この水泡
は、河川中に酸素を供給するので魚類等の生息条件が向
上する。さらに、人工巨石100は、その表面に天然の
玉石10等がさざれ石状に設けてあるので、この玉石1
0面に魚類の餌となる苔等が自然に生育する。
【0013】そして、この玉石10により河川の中及び
外のいずれにおいても自然の景観に優れる。人工巨石1
00表面の玉石10間等に溜った土の上には自然に草木
が生育し、さらに自然の景観が向上する。また、この人
工巨石100は、河川敷以外に河川等の堤防法面に使用
することも可能であり、この場合、表面に設けたさざれ
石状の玉石10等によりコンクリートブロック20の地
肌が見えないので自然の景観が損われない。
【0014】さらに、人工巨石100は、型枠31,3
2,33によってほぼ均等な大きさ及び形状に形成され
るので、護岸工事等の施工上きわめて便利である。
【0015】図7及び図8は、請求項1に係る発明の第
2の実施例を示すもので、これは、人工巨石101が地
表Gに一体に固定された実施例を示すものである。この
実施例においては、地表Gに連続して斜め上方に地山を
掘削した掘削面38が形成されている。型枠34は地表
Gの上面に設置され、側端部を掘削面38に突き合わせ
ている。そして、型枠34の内面に沿って玉石10を並
べ、玉石10と型枠34との間に、玉石10を保持する
ための充填材11を充填する。そして、玉石10と掘削
面38の内側に生コンクリート21を注入する。
【0016】つぎに、型枠34の上部に型枠35を設置
し、上述と同様に、玉石10を並ベ、充填材11を充填
して玉石10を保持し、玉石10と掘削面38の内側に
生コンクリート21を注入する。この工程を繰返し、型
枠35の上に設置した型枠36,37の内部に玉石10
を並べ、生コンクリート21を注入する。最上段の型枠
37の内部に生コンクリート21を注入したら、生コン
クリート21の上面に、天然の玉石10等を配置し、さ
らに、この上を土砂等12により覆う。この生コンクリ
ート21は、硬化すると地表G及び掘削面38に対し一
体に固定される。そこで、型枠34,35,36,37
を取外し、高圧水で充填材11及び土砂等12を吹き飛
ばせば、地表Gに一体に固定された人工巨石101が形
成される。この人工巨石101を堀割の両側に形成すれ
ば、表面に天然の玉石10等がさざれ石状に並べられた
水路Wが構成される。
【0017】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によると以下
の効果を奏する。全表面に天然石を配置した人工巨石の
製造方法にあっては、地表上に設置した型枠内に天然の
玉石等をさざれ石状に並べ、これら玉石の内部に生コン
クリートを注入して硬化させた後、順次上方に型枠を積
み上げて内部に玉石を並べて内部に生コンクリートを注
入、硬化させるので、ほぼ均等な大きさ及び形状の全表
面に天然石を配置した人工巨石を多数効率よく生産で
き、護岸工事等の施工上きわめて便利である。また、型
枠を取除けば、人工巨石が簡単に取り出せるという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る人工巨石を製造する第1の実施
例の第3の工程を示す断面図である。
【図2】 図1における工程の第1の工程を示す断面図
である。
【図3】 図1における工程の第2の工程を示す断面図
である。
【図4】 図1における工程から型枠を取外した断面図
である。
【図5】 図4における工程から表面を清掃している状
態を示す断面図である。
【図6】 本発明に係る人工巨石を使用して構成した河
川敷の断面図である。
【図7】 本発明に係る人工巨石を製造する第2の実施
例の一工程を示す断面図である。
【図8】 図7に示す工程とは別の一工程を示す断面図
である。
【符号の説明】
10 天然の玉石等 20 コンクリートブロック 21 生コンクリート 31 型枠 32 型枠 33 型枠 34 型枠 35 型枠 36 型枠 37 型枠 38 型枠 39 型枠 100 本発明に係る人工巨石 101 本発明に係る人工巨 地表

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 河川敷や堤防法面等に使用する全表面に
    天然石を配置した人工巨石の製造方法であって、下記の
    工程を備えていることを特徴とする。 1,地表上に下段の型枠を設置し、地表面及び型枠内側
    面に天然の玉石等をさざれ石状に並べ、これら玉石の内
    部に生コンクリートを注入する工程。 2,下段の型枠の上に順次型枠を設置し、この型枠内側
    面に天然の玉石等をさざれ石状に並べ、これら玉石の内
    部に生コンクリートを注入する工程。 3,最上段の型枠内に注入した生コンクリートの上面に
    天然の玉石等をさざれ石状に並べ、これら玉石の表面に
    生コンクリートを注入する工程。 4,生コンクリートが硬化した後、型枠を取り外して、
    全表面に天然の玉石等を配置した人工巨石を取り出す工
    程。
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