JP2565739B2 - ロープ固定金具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ロープ固定金具に関するものである。

〔従来の技術〕

例えば、送電線工事，土木建設工事，塗装工事等の高
所作業現場においては、第１図に示すように手摺間や柱
４間に親綱１（合成繊維製や綿製のロープ）を水平に張
設し、この親鋼１に命網２を掛けて作業者の墜落防止や
高所作業の安全を図っている。

この時に親綱１を水平に張設するため固定金具３（通
称親綱張設金具）を使用している。

この固定金具３はロープ支承体にカム体を圧接したも
ので、このロープ支承体とカム体の円弧状の圧接面とで
ロープを圧接してロープを固定しているものであるが、
カム体の圧接面にはロープが滑らないようにノコギリ歯
状の滑止歯を設けたり、滑止突起を散在したりしてい
る。

ところが、ロープに強い張力が働くとロープが滑って
しまう欠点があり、と云って強く圧接し過ぎるとロープ
表面を滑止歯や滑止突起で切断（つぶし切り）したり、
摩耗させたりするからロープの張力が低下して切断して
しまうこともあり、安全性に大きく欠け、非常に危険で
あった。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明は、かかる欠点を解消したもので、簡単な構造
であり乍らロープを滑らないようにまた、ロープに切損
させたり、摩耗させたりすることなく、しっかりと安全
に固定することが出来るロープ固定金具を提供すること
が技術的な課題である。

〔課題を解決するための手段〕

添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。

本体に設けたロープ支承体10に対してカム体11を対向
状態に回動自在に設け、このロープ支承体10の円弧状の
支承面10aとカム体11の円弧状の圧接面11aとでロープ12
を挾持圧接して固定する固定金具において、前記ロープ
支承体10の支承面10aと前記カム体11の圧接面11aとの間
に、略水平に架設張設したロープ12の一端を前記支承面
10aの上部から下方へ略90度折曲して垂下配設しその垂
下先端を前記支承面10aの下部から引き出し垂下し得る
ように構成し、前記カム体11の形状を略扇形形状に設定
し、このカム体11の扇形の中心基部位置を本体に枢着し
て少なくとも下法へ回動可能に設け、この枢着部分に常
時カム体11を上方へ戻り回動付勢するバネ体16を設ける
と共に、このカム体11の圧接面11aである円弧外周面と
枢着部15との距離が上方から下方へ行く程長くなる扇形
状に設定し、ロープ12の撚り合わせ凹凸などの外周面の
凹凸形状に合致してロープが嵌合する嵌合凹凸部をカム
体11の圧接面11aに形成したことを特徴とするロープ固
定金具に係るものである。

〔作 用〕

第４図はロープ12が固定されている状態であり、カム
体11の圧接面11aがロープ12の撚り部分12aに嵌合圧接さ
れていて、しかもこのカム体11の圧接面11aである円弧
外周面と枢着部15との距離が上方から下方へ行く程長く
なる扇形状に設定してあるから、このカム体11が上方へ
戻り回動しようとするとロープ12への締め付け圧接作用
が働き、ロープ12は強固に固定されており、矢印の方向
に牽引しようとしても牽引されることがない。

逆に、レバー13を矢印の方向に回動させてその先端部
13aをカム体11の背部の嵌合溝14の底面を押圧するか、
或いはそのままロープ12の垂下先端を引き下げると、カ
ム体11は枢着部15を支点にし、バネ体16に抗して矢印の
方向に回動するからロープ12の固定は解除され、ロープ
12を下方へ引き出すことができ、ロープ12の張設度を上
げることができることになる。

尚、実施例のようにレバー13を再び元の位置に戻すと
バネ体16の復帰力によってカム体11が上方に戻り回動し
て圧接面11aでロープ12を嵌合圧接してロープ12を再び
前述のように強固に固定する。

〔実施例〕

ロープ支承体10は２枚の基板17の一端部間に数本の鋲
18で固定しているもので、このロープ支承体10はステン
レス製にして、ロストワックスで形成し、その形状は円
形にして、その外周に凹状の支承面10aを形成し、この
支承面10aのロープ12が圧接される一部分10bを直接線状
に形成している。

カム体11もステンレス製にして、ロストワックスで形
成し、後端部を基板17の中程間に架設した枢着部15（枢
着軸15）に枢着している。

尚、ロープ支承体10、カム体11は硬質材であれば良い
のであるから材料やその製造を限定するものではない。

図面のロープ12は普通の縄状の撚り方をしたものを図
示しているからカム体11の圧接面11aの形状もこの撚り
に合わせているが、編状ロープ12の場合には圧接面11a
の形状を編状に合わせて形成すると良い。

図中19はカム体11の横ぶれとスプリング止めを兼ねた
突起、20は軸孔、21はストッパー、22は連結ピンであ
る。

〔発明の効果〕

本発明は、上述のようにカム体の圧接面に、ロープの
撚り合わせ凹凸などの外周面の凹凸形状に合致してロー
プが嵌合する嵌合凹凸部を形成したから、圧接面はロー
プの撚り部分などの外周凹凸になじんで嵌合圧接される
ため、ロープの滑りを完全に止めることが出来る上、い
くら圧接面でロープを強く圧接しても嵌合状態で圧接す
るものであるから、ロープの摩耗や損傷が少なく、この
ためロープが摩耗したり、切れたりすることがないから
安全に使用することが出来ると共に耐久性に使用出来る
から経済的でもある。

構造的にもカム体の圧接面の形状をロープの撚り合わ
せて形成するだけで良いのであるからロストワックスに
より量産可能で、それだけ製品を安価に提供し得る等秀
れた特長を有するものである。

しかも、本発明はこのようなロープの圧接嵌合構成に
加えて、前記カム体の形状を略扇形形状に設定し、この
カム体の扇形の中心基部位置を本体に枢着して少なくと
も下方へ回動可能に設け、この枢着部分に常時カム体を
上方へ戻り回動付勢するバネ体を設けると共に、このカ
ム体の圧接面である円弧外周面と枢着部との距離が上方
から下方へ行く程長くなる扇形状に設定したから、常に
カム体はバネ体により付勢されているため、不用意にカ
ム体が下方へ回動解放せず、またロープ張設力による戻
り引っ張り力や垂下したロープを引き上げるような使用
に際しての戻り引っ張り力が働いて、カム体が上方へ回
動しようとしても、ロープに締め付け圧接作用が働き、
ロープの張設度が緩むことが確実に阻止され、極めて堅
固にロープを張設固定できる安全性の高い秀れたロープ
固定金具となる。

また、この略水平に架設張設したロープを略90度折曲
した垂下先端を引き下げれば、そのままロープの張設度
を高めることができ、再びカム体がロープを圧接すれ
ば、前記締め付け圧接作用が再び発揮されるため、引き
締め操作が非常に簡単であるとと共に、この引き締め固
定強度が著しく強い構造となるから、操作性に極めて秀
れ、安全性も極めて高い画期的なロープ固定金具とな
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は本実施
例の使用状態を示す傾斜図、第２図は本実施例の正面
図、第３図は本実施例の平面図、第４図は本実施例の要
部の正断面図、第５図は本実施例の側断面図、第６図は
本実施例のカム体の斜面図である。 10……ロープ支承体、10a……支承面、11……カム体、1
1a……圧接面、12……ロープ、15……枢着部、16……バ
ネ体。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】本体に設けたロープ支承体に対してカム体
   を対向状態に回動自在に設け、このロープ支承体の円弧
   状の支承面とカム体の円弧状の圧接面とでロープを挾持
   圧接して固定する固定金具において、前記ロープ支承体
   の支承面と前記カム体の圧接面との間に、略水平に架設
   張設したロープの一端を前記支承面の上部から下方へ略
   90度折曲して垂下配設しその垂下先端を前記支承面の下
   部から引き出し垂下し得るように構成し、前記カム体の
   形状を略扇形形状に設定し、このカム体の扇形の中心基
   部位置を本体に枢着して少なくとも下方へ回動可能に設
   け、この枢着部分に常時カム体を上方へ戻り回動付勢す
   るバネ体を設けると共に、このカム体の圧接面である円
   弧外周面と枢着部との距離が上方から下方へ行く程長く
   なる扇形状に設定し、ロープの撚り合わせ凹凸などの外
   周面の凹凸形状に合致してロープが嵌合する嵌合凹凸部
   をカム体の圧接面に形成したことを特徴とするロープ固
   定金具。