JP2565303B2 - 緑膿菌感染症の予防治療剤 - Google Patents

緑膿菌感染症の予防治療剤

Info

Publication number
JP2565303B2
JP2565303B2 JP59104811A JP10481184A JP2565303B2 JP 2565303 B2 JP2565303 B2 JP 2565303B2 JP 59104811 A JP59104811 A JP 59104811A JP 10481184 A JP10481184 A JP 10481184A JP 2565303 B2 JP2565303 B2 JP 2565303B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pseudomonas aeruginosa
monoclonal antibody
type
human
antibody
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP59104811A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS60248626A (ja
Inventor
忠 須藤
士郎 茂田
保 福田
保幸 黒岩
弘明 奥谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP59104811A priority Critical patent/JP2565303B2/ja
Publication of JPS60248626A publication Critical patent/JPS60248626A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2565303B2 publication Critical patent/JP2565303B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔I〕発明の背景 本発明は緑膿菌感染症の予防治療に有効性を示す、ヒ
ト由来のモノクローナル抗体に関するものである。
緑膿菌(以下、シュードモナス・アエルギノーサとい
うことがある)は自然界に広く存在し、水、下水等又ヒ
ト、動物の口腔、腸内からも高率に見い出される。この
菌が病原性を発揮するのはこの菌自体の菌力による一般
感染患者におけるよりもむしろ感染抵抗の低下した患
者、即ち癌患者、免疫抑制療法下の人、移植患者、熱傷
患者および新生児等である。
現在、緑膿菌感染症は最も治療の困難な感染症と考え
られている。すなわち、緑膿菌はこれまで常用されて来
た抗生物質のほとんどすべてに対して耐性を示すばかり
でなく、近年開発された抗生物質に対しても容易に緑膿
菌が耐性型に誘導される症例が多いからである。又、抗
生物質療法の限界に立って、宿主側の緑膿菌処理能力の
増強をめざした菌体成分による感染防御剤すなわちワク
チンの開発、例えば、13種類以上ある血清型別緑膿菌の
表在抗原をそれぞれ精製して混合した緑膿菌多価ワクチ
ンや緑膿菌の血清学的共通抗原としてタンパクを主成分
とするOEP、あるいはOEPに本菌から調製したプロテアー
ゼトキソイド、エラスターゼトキソイドあるいはエクソ
トキソイドを加えた3種あるいは4種混合ワクチン等が
ある。しかしながら、いずれのワクチンも感染防御能あ
るいは安全性が不十分で、実用性のあるすぐれたものが
待望されていると言っても過言でない。さらに、健常人
の血清から製造したヒト血清免疫グロブリン製剤の受動
免疫による免疫グロブリン療法も研究されているが実際
の製剤中には緑膿菌に対する抗体価が低いものが多く、
その予防・治療効果を疑問視する向きも少なくない。
〔II〕発明の概要 1. 要旨 本発明は緑膿菌血清型別抗原に対して特異的な親和性
をもち、グロブリンクラスがIgGあるいはIgMからなるヒ
トモノクローナル抗体を作り単品又はそれらを組み合せ
ることにより予防および治療剤に使用して目的を達成し
ようとするものである。
目的とする緑膿菌に対するヒトモノクローナル抗体
は、ヒト由来B細胞をEBウィルス(Epstein−Barr Viru
s)でトランスフォームさせたりして抗体産生細胞を作
り、それが産生する抗体の中から血清型別抗原に対して
特異的に反応するもので、グロブリンクラスがIgGまた
はIgMクラスからなる抗体を選択して作製される。
2. 効果 本発明によるヒトモノクローナル抗体の単剤又は2剤
以上の組み合せ製剤により、緑膿菌感染症に対するすぐ
れた予防治療効果が達成される。
本発明で注目すべきことは、緑膿菌の血清型別抗原に
対して特異的に反応するモノクローナル抗体として、マ
ウス等の動物ではなくヒト由来のモノクローナル抗体を
作製するのにはじめて成功した点で非常に特徴的であ
り、しかもこれらのヒト由来のモノクローナル抗体の中
で、特にグロブリンクラスがIgG及びIgMである抗体が有
効であり、更に、これらのグロブリンクラスがIgG、IgM
であって且つ緑膿菌菌体に直接凝集活性をもつ抗体は、
その抗体と反応する緑膿菌に対して極めて低濃度・低用
量で予防、および治療効果を発揮することを本発明者ら
がはじめて見い出したことである。
〔III〕 発明の具体的説明 1. 使用緑膿菌 本発明では使用緑膿菌の分類を緑膿菌研究会主催の血
清型別検討委員会の決定(1975)による血清学的分類に
従った(第1表)。
2. ヒトモノクローナル抗体の製造 本発明による緑膿菌に対するヒトモノクローナル抗体
はヒトB細胞をEBウィルスでトランスフォームすること
により作られる。
一般にヒトモノクローナル抗体作製法としては、ヒ
ト−ヒト ハイブリドーマ法 マウス−ヒト ハイブ
リドーマ法 EBウィルスによるトランスフォーメーシ
ョン法等がある。
の方法は現在までのところ、すぐれたヒトミエロー
マ細胞が存在していないため目的とするハイブリドーマ
増殖性の悪さや遺伝子の欠落等があり完成度の低い技術
となっている。の方法はマウス−ヒトのため遺伝子が
組み込まれても直ちに遺伝子の欠落現象が起きて安定な
株の樹立がむずかしいという問題を含んでいる。そこで
本発明者らは比較的安定な抗体産生細胞株を作製するこ
とが出来るといわれているEBウィルストランスフォーメ
ーション法でヒト由来の本発明のモノクローナル抗体を
作製した。ヒトB細胞の材料は血清中に抗緑膿菌抗体の
産生がみられる健常人の末梢血や不要になった患者の摘
出リンパ節(例えば扁桃腺)を使用し、出来るだけB細
胞濃度を高めるためファイコール・コンレイ比重遠心法
などによりB細胞を含む単核細胞画分を濃縮して用い
た。
EBウィルスによるヒトB細胞のトランスフォーメーシ
ョン法の基本術式は公知の方法(たとえばNature 267,5
2,1977,第4回日本免疫学会総会記録399頁、1974)に準
拠し、EBウィルス持続産生細胞株の培養上清をウィルス
源としてヒトB細胞に感染させ、増殖型に変異した細胞
集団の中から既知のアッセイ法にしたがってモノクロー
ナル抗体の検出を行うことにより目的抗体産生細胞集団
をスクリーニングし、さらに公知の抗原感作ヒツジ赤血
球を用いたロゼット形成法および軟寒天コロニー形成法
によりモノクローンになった本発明のモノクローナル抗
体産生クローン細胞株を取得した。
モノクローナル抗体の検出のためのアッセイ方法とし
ては以下のような方法がある。1つはプロテインAを結
合させた赤血球を用いる方法で、特異抗体を検出する方
法の中で優れた鋭敏度、特異性を示す方法である。また
凝集の程度を観察し抗体価を決める凝集反応法、グロブ
リンクラスあるいはサブクラスを決めるのに最も簡単な
方法で、一般に培養上清を10倍程度濃縮しなければなら
ないが、放射能標識された上清を抗体で沈降させ、それ
をSDS−ポリアクリルアミドゲルなどで展開し確認する
ことも出来るオクタロニー法である。また、ポリビニル
クロライド製のU字型マイクロタイタープレートに抗原
もしくは細胞を固定しておき、そこへ培養上清を加えイ
ンキュベートして抗原−抗体反応させた後125I又は酵素
で標識した抗マウス抗体あるいはProtein Aを加え洗浄
後、各ウエル中の放射活性又は酵素活性を調べるラジオ
イムノアッセイ法や酵素免疫測定法(EIA法)もある。
種々のアッセイ法の中で目的に合った方法を選択すれば
よい。基本的には短時間で、感度がよく安価であること
が重要なことである。本発明者らは、次のようなEIA法
を用いている。
すなわち、緑膿菌菌体を抗原としてメンブランフィル
ターに一定量ドットして用い、これにハイブリドーマの
培養上清を反応させた後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗
ヒトイムノグロブリン抗体(カッペル社)を作用させ酵
素反応の呈色割合により抗体産生量を測定できるドット
イムノバインディングアッセイ法(DIBA法、Analytical
Biochem.,119,142,1982)を用いている。
このようにして目的とするヒトモノクローナル抗体産
生クローン細胞株、つまり緑膿菌に対するヒトモノクロ
ーナル抗体を産生するEBウィルス形質転換細胞が樹立さ
れた。
かくして得られた該抗体産生クローン細胞株からの本
発明のヒトモノクローナル抗体の大量調製は、スピンナ
ーフラスコ、ローラーボルトを用いた大量培養等により
培養液を集め、これを以下に述べるような非特異的精製
法及び/又は特異的精製法によって精製することによ
り、目的とするヒトモノクローナル抗体が精製された状
態で得られる。
非特異的精製 培養上清等からの本発明のモノクローナル抗体の精製
はゲル濾過法、イオン交換セルロースクロマトグラフィ
ー、硫酸アンモニウムによる塩析法などの公知の方法の
組み合わせにより行うことが出来る。
特異的精製 臭化シアンで活性化したセファロース4B(フアルマシ
ア社)あるいはアフィゲル−10(バイオラッド社)に抗
原を結合させ不溶化したカラムに免疫グロブリン画分又
は培養上清を流入し抗体を結合させた後、尿素溶液など
で吸着抗体を溶出させて精製するアフィニテイクロマト
グラフィーも必要に応じて使用出来る。また本発明のヒ
トモノクローナル抗体がIgGの場合、プロテインAを固
定化したアフィニティカラムを用いると精製が容易であ
るという点で推奨される。
また、本発明のヒトモノクローナル抗体がIgMの場
合、例えばセファクリルS300(ファルマシア社)を用い
るゲル濾過による精製法のほか、ハイドロキシアパタイ
トカラムを用いたりして、更に精製度を上げる精製方法
も利用される。
なお、本発明のモノクローナル抗体は、上述のように
ヒト由来のものであって、緑膿菌の血清型別抗原に対し
て特異的な親和性を有し、かつ緑膿菌菌体に対して直接
凝集活性を持つグロブリンクラスがIgG又はIgMからなる
ものであるが、これらの性質は下記に示す方法により規
定することが出来る。すなわち、緑膿菌の血清型別抗原
に対する特異的な親和性とは第1表のA〜M群の緑膿菌
の血清型別菌のうち、1つの群に属する菌株とのみ反応
し、他の群に属する菌株とは反応しないこと(例えばA
群の菌とのみ反応し、他のB−M群とは反応しないこ
と)を意味している。
また、本発明のヒトモノクローナル抗体の緑膿菌菌体
に対する直接凝集活性とは実施例1に示すように、96ウ
エルのU底マイクロプレート中で緑膿菌のホルマリン処
理又は加熱処理による死菌体をそれぞれ直接凝集する抗
体制を意味する。
さらに本発明のヒトモノクローナル抗体のグロブリン
クラスは、該精製抗体のセファクリルS−300によるゲ
ル濾過パターンおよびパーオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒト
IgG又はIgM抗体(カッペル社)によるDIBA法でそれぞれ
IgG又はIgMと同定されたものを意味している。
本発明のヒトモノクローナル抗体が緑膿菌感染に対し
てすぐれた予防および治療効果を示すことは試験例に例
示する如くであるが、該抗体を緑膿菌感染症の予防、治
療剤として用いる場合は注射剤の型で用いるのが好まし
い。尚、ヒトへの投与量は0.01〜20mg/kgで、皮下注、
筋注及び静脈内投与等の投与方法が選択できる。以下に
実施例及び試験例を例示し、本発明をさらに具体的に説
明する。
実施例1 各血清型緑膿菌に対するヒトモノクローナル
抗体の作製とその性質 1) EBウィルス EBウィルス(以下EBV)を産生放出しているB95−8細
胞をRPMI−1640に20%FCSを加えた培地で培養し、静止
期に近い7日目の培養上清を分離してウィルス源とし
た。
2) リンパ球の分離 健常人であらかじめ抗緑膿菌抗体価の高い人から採血
したヘパリン加末梢血を生理食塩水あるいはPBS(−)
で2倍に希釈後、1/4〜1/3量のリンフォプレップ上に界
面がみだれないようにゆっくりと重層した。重層後、15
50rpm、30分間、室温で遠心した。遠沈後、界面層の白
く濁った細胞層をパスツールピペットでとり出し、細胞
はPBS(−)で1400rpm、10分間(1回目)、次に1000rp
m、10分間(2、3回目)で遠心洗浄した。細胞はRPMI
1640液に5×106個/mlで再浮遊した。
3) Tリンパ球の除去(Bリンパ球濃縮) 0.5%AET処理SRBC 1容、単核球細胞浮遊液(5×10
6個/ml)1容、SRBC吸収FCS 0.2容を遠心管(尖底)内
で混和し、5分間、室温に放置後、次いで1000rpm、5
分間、4℃で遠心した。遠沈後、氷中に1時間静置し
た。反応後、細胞ペレットをパスツールピペットで静か
に撹拌し、浮遊液を作りリンフォプレップ上にのせ、15
50rpm、30分間、4℃で遠心した。遠沈後、界面上のロ
ゼットを作らなかった細胞(Bリンパ球)をとり出し、
PBS(−)で上記2と同様に3回遠心洗浄した。細胞は
1×107個/ml(多い時)〜2.5×106個/ml(少ない時)
となる様に培養液に浮遊した。
4) EBV感染による細胞株の樹立 培養プレート(24穴)の1穴に対し、Bリンパ球浮遊
液(1×107〜2.5×106個/ml)0.1mlにEBV液0.1mlを加
え、炭酸ガス培養器で37℃、60分間インキュベーション
した。インキュベーション後、0.8mlの培養液を加え全
量を1mlとし、CO2ガス培養器で37℃、静置培養を行っ
た。EBV感染後4〜5日目に1mlの培養液を加えた。その
後4〜5日毎に1/2量の培養液交換を行ない培養を継続
し、そして6週間後、旺盛な細胞増殖が認められる培養
プレートについて培養上清の抗緑膿菌モノクローナル抗
体の存在の有無を、酵素免疫測定法であるドットイムノ
バインディングアッセイ法で測定した。
DIBA法は、96穴U底マルチプレートを用い、1ドット
当り0.4μgの0.3%ホリマリン処理各血清型緑膿菌の全
菌体を抗原として固定したメンブランフィルター(3.1m
m角)と上記の培養上清100μを室温で30分、ついでパ
ーオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトイムノグロブリン抗体
(カッペル社製)と30分反応後、クロルナフトールを基
質として発色させ、抗原を固定したメンブランフィルタ
ー上に肉眼観察で発色を認めたものを抗体産生が陽性と
判定した。
尚、緑膿菌の血清型別抗原に対する特異的な親和性
は、第1表のA〜Mの13種の血清型菌を抗原として固定
したメンブレンフィルターそれぞれについて試験し、単
一の血清型菌の抗原とのみ反応することにより確認し
た。
該抗体産生がみられた細胞集団はロゼット形成法およ
び軟寒天コロニー形成法でクローニングした。クローニ
ングにより増殖能が旺盛なクローンは、スターリングシ
ステム(インターメット社製)にて拡大培養し、培養上
清を各型緑膿菌を抗原としたアフィニティーカラム(Ig
G向)およびセファクリルS300(IgG向)にて精製した。
得られた抗体培養液はポアサイズ0.22ミクロンのメンブ
ランフィルターで濾過し、動物実験使用時まで4℃で保
存した。
本発明者らは緑膿菌の血清学的分類各型に特異的に反
応するヒトモノクローナル抗体を産生する形質転換細胞
を14株見い出した。このうちE型、B型、G型、I型に
特異的に反応する形質転換細胞はそれぞれ4株、5株、
2株、3株であった。それぞれの細胞から得られた抗体
のうち、E血清型緑膿菌特異反応抗体の性質を第2表
に、B血清型緑膿菌特異反応抗体の性質を第3表に、G
血清型緑膿菌特異反応抗体の性質を第4表に、I血清型
緑膿菌特異反応抗体の性質を第5表に、それぞれ示す。
なお、緑膿菌菌体に対するヒトモノクローナル抗体の
直接凝集活性の測定は、次の方法で行った。
96穴U底マルチプレート(ファルコン社)に各血清型
の緑膿菌の0.3%ホルマリン処理あるいは120℃加熱処理
による死菌体の懸濁液(PBS(−)に懸濁、OD540が0.
4)を50μづつ分注した。ついでこれにヒトモノクロ
ーナル抗体のPBS(−)による希釈系列を50μずつ分
注し、プレート表面をシーラー(リンブロ社プレートシ
ーラー)でカバーし、室温で10分間振とうし37℃で1時
間静置した。さらにこれを4℃〜10℃で15時間以上放置
した後プレートを室温にもどしプレートの裏面より透か
して菌体の凝集反応像を観察し判定した。
試験例1 各血清型緑膿菌に特異的に反応するヒトモノ
クローナル抗体の緑膿菌感染に対する防御活性 実施例1で得られた各型に特異的に反応するヒトモノ
クローナル抗体の緑膿菌感染に対する防御効果について
検討した。
先ず、生後、10週令のBALB/C雌性マウス1群5匹に各
菌型に特異的に反応するヒトモノクローナル抗体をマウ
ス1匹当り50ng、500ng、5μg、50μg、500μg、5m
gをそれぞれ腹腔内へ投与し、2時間後にそれぞれの菌
型に特異な菌株を(IID1130(E型)、IID1002(B
型)、ATCC10145(G型)、IID1010(I型))1×106
腹腔内へチャレンジした。対照群はモノクローナル抗体
のかわりに生理食塩液のみ投与した。緑膿菌感染後、7
日目に各投与群のマウスの生存率から50%有効投与量
(ED50値)を求めた。結果は第2〜5表に示すとおり
で、グロブリンクラスがIgG及びIgMのヒトモノクローナ
ル抗体はいずれも有効であり、また上記の結果からみる
と、ヒト由来のモノクローナル抗体の中でグロブリンク
ラスがIgGで、強い凝集能活性をもつ抗体に極めて、強
力な緑膿菌感染防御効果が認められた。
実施例2 モノクローナル抗体Iおよびモノクローナル抗体Yを
産生する細胞を実施例1の方法に従って培養し、これを
ハイドロキシアパタイトカラムで精製した。得られたIg
M溶液は、ポアサイズ0.22ミクロンのメンブランフィル
ターで濾過し、動物実験使用時まで−80℃で凍結保存し
た。試験例1の方法に従って緑膿菌に対する感染予防活
性を調べた。ただし、ヒトモノクローナル抗体Iは0.4
μg、2μg、10μg含む溶液を、ヒトモノクローナル
抗体Yは1.25μg、5μg、20μg含む溶液を投与し
た。
結果を第6表に示した。
上記から明らかなように、実施例1とは精製法を変え
て更に抗体の精製度を上げて夾雑物を除去し、それとと
もに、精製抗体の動物実験までの保存温度を更に低下せ
しめて−80℃として抗体活性の減少を防止したところ、
試験例1の場合に比してIgMも極めて強力な緑膿菌防御
効果が認められ、その値はIgGよりも高い場合も認めら
れた。
実施例3 E血清型緑膿菌に特異的に反応するヒトモノ
クローナル抗体の液剤及び凍結乾燥製剤 1) ヒトモノクローナル抗体の大量調製 (a) 大量培養 実施例1で得られたモノクローナル抗体No.3を産生す
る株を3〜4ケ月の長時間をかけて無血清培地に(HB10
1TM培地 富士レビオ社製)馴化した。次に馴化した細
胞を5のスターリングシステム(インターメッド社
製)で培養して下記の精製に供与した。
(b) 大量精製 ProteinA−Sepharose 4 B(ファルマシア社製)又はD
EAE Sephacelを使用してグロブリン画分を約15mg得た。
2) 液剤 上記によって得たモノクローナル抗体を3/10Mアミノ
酢酸液で溶かし、グロブリン画分濃度が100μg/mlにな
るようにした。このようにして得られたものを、メンブ
ランフィルター(ニュクリポアーNo.20、ヌクリポア社
製)を用いて無菌濾過して1mlずつバイアルに無菌的に
分注して本発明物質の液剤を得た。
3) 凍結乾燥製剤 上記方法にて大量精製して得られたグロブリン画分を
最終濃度3/10Mになるようにアミノ酢酸を加えた生理食
塩に溶かし、100μg/mlとし、さらにマンニトールを50m
g/ml濃度になるよう添加して、メンブランフィルター
(ニュクリポアーNo.20、ヌクリポア社製)を用いて無
菌濾過し、2mlずつバイアルに無菌的に分注して凍結乾
燥して本発明物質の凍結乾燥製剤を得た。
試験例2 各血清型緑膿菌特異ヒトモノクローナル抗体
を利用した治療効果 試験例1で予防効果の認められたモノクローナル抗体
No.3、IV、A、Xにつき、それぞれ治療効果の実験を行
った。
すなわち、生後10週令のBALB/C雌性マウス1群5匹に
試験例1と同様にそれぞれのモノクローナル抗体に反応
する菌を1×106腹腔内へチャレンジして2時間後に、
上記のモノクローナル抗体を各々100ng〜10mg腹腔内に
投与し、7日目でED50値を求めた。結果を第7表に示し
た。
上記から明らかなように、これらのモノクローナル抗
体はいずれも強い予防効果を示すことが認められた。ま
た、試験例2で強い予防効果を示した各々のモノクロー
ナル抗体の治療効果は約1/10に低下するものの治療効果
も認められた。
尚、最大投与量70mg/kgでもマウスの行動には何の変
化も認められなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/577 9162−4B C12N 15/00 A (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 奥谷 弘明 茂原市東郷2142番地 (56)参考文献 特開 昭59−29622(JP,A) Nature,269,419−422(1977)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血清学的分類によるB・E・G又はI型の
    内の一つの型の緑膿菌に対して特異的な親和性を有し、
    前記一つの型の緑膿菌に対して直接凝集性を持つグロブ
    リンクラスがIgGもしくはIgMであるヒトモノクローナル
    抗体。
  2. 【請求項2】トランスフォーメーション法にしたがって
    EBウィルスをヒトB細胞に感染させ作製したモノクロー
    ナル抗体産生クローン細胞株を培養して得られる特許請
    求の範囲第1項に記載のモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】EBウィルス持続産生細胞株の培養液をウィ
    ルス源としてヒトB細胞に感染させ、増殖型に変異した
    細胞株からモノクローナル抗体産生クローン細胞株を
    得、該クローン細胞株を培養することを特徴とする、血
    清学的分類によるB・E・G又はI型の内の一つの型の
    緑膿菌に対して特異的な親和性を有し、前記一つの型の
    緑膿菌に対して直接凝集性を持つグロブリンクラスがIg
    GもしくはIgMであるヒトモノクローナル抗体の製造法。
  4. 【請求項4】血清学的分類によるB・E・G又はI型の
    内の一つの型の緑膿菌に対して特異的な親和性を有し、
    前記一つの型の緑膿菌に対して直接凝集性を持つグロブ
    リンクラスがIgGもしくはIgMであるヒトモノクローナル
    抗体を少なくとも1種含有することを特徴とする緑膿菌
    感染症の予防治療剤。
JP59104811A 1984-05-25 1984-05-25 緑膿菌感染症の予防治療剤 Expired - Lifetime JP2565303B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP59104811A JP2565303B2 (ja) 1984-05-25 1984-05-25 緑膿菌感染症の予防治療剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP59104811A JP2565303B2 (ja) 1984-05-25 1984-05-25 緑膿菌感染症の予防治療剤

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5148343A Division JP2587770B2 (ja) 1993-05-28 1993-05-28 形質転換細胞

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS60248626A JPS60248626A (ja) 1985-12-09
JP2565303B2 true JP2565303B2 (ja) 1996-12-18

Family

ID=14390796

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP59104811A Expired - Lifetime JP2565303B2 (ja) 1984-05-25 1984-05-25 緑膿菌感染症の予防治療剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2565303B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61152280A (ja) * 1984-12-26 1986-07-10 Teijin Ltd 抗緑膿菌ヒト抗体を産生する形質転換細胞及びその製造法並びにその使用方法
JPS61155398A (ja) * 1984-12-28 1986-07-15 Teijin Ltd 抗緑膿菌ヒトモノクロ−ナル抗体及びその製造法並びにそれを有効成分とする治療剤
NZ218499A (en) * 1985-12-10 1990-04-26 Genetic Systems Corp Monoclonal antibodies against pseudomonas aeruginosa, pharmaceutical compositions and detection methods
US5521085A (en) * 1986-12-15 1996-05-28 Mitsui Toatsu Chemicals, Inc. Transformed cell lines producing human monoclonal antibodies specific for Pseudomonas aeruginosa serotypes
CA2028815A1 (en) * 1989-03-20 1990-09-21 Yuko Mizuno Human monoclonal antibodies having reactivity with pseudomonas aeruginosa, cells capable of producing the same, methods for production thereof and pharmaceutical preparations thereof
JPH0565233A (ja) * 1991-03-08 1993-03-19 Mitsui Toatsu Chem Inc モノクローナル抗体含有凍結乾燥製剤
US6165467A (en) * 1991-07-20 2000-12-26 Yoshihide Hagiwara Stabilized human monoclonal antibody preparation
TWI434855B (zh) * 2006-11-21 2014-04-21 Hoffmann La Roche 結合物及其在免疫分析中作為參考標準之用途

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5929622A (ja) * 1982-08-10 1984-02-16 Meiji Seika Kaisha Ltd モノクロ−ナル抗体、その製造法およびその用途

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Nature,269,419−422(1977)

Also Published As

Publication number Publication date
JPS60248626A (ja) 1985-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Teng et al. Protection against gram-negative bacteremia and endotoxemia with human monoclonal IgM antibodies.
US5196337A (en) Human monoclonal antibody, and its production and use
FI111336B (fi) Menetelmä Staphylococcus epidermidis tyyppi I:n polysakkaridiantigeenin sisältävän rokotteen ja antigeeninvastaisen hyperimmunoglobuliinin valmistamiseksi
US5571511A (en) Broadly reactive opsonic antibodies that react with common staphylococcal antigens
US5627067A (en) Monoclonal antibodies cross-reactive and cross-protective against human monoclonal antibodies against pseudomonas aeruginosa serotypes
US4455296A (en) Hybrid cell lines producing monoclonal antibodies directed against Haemophilus influenzae
JPH0662844A (ja) エンドトキシンコアーと反応性のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
Morrison-Plummer et al. Biological effects of anti-lipid and anti-protein monoclonal antibodies on Mycoplasma pneumoniae
Mitsuhashi et al. Transfer Agent of Immunity: I. Immune Ribonucleic Acid which induces Antibody Formation to Salmonella Flagella
JP2565303B2 (ja) 緑膿菌感染症の予防治療剤
Hasty et al. Hybridoma antibodies against protective and nonprotective antigenic determinants of a structurally defined polypeptide fragment of streptococcal M protein.
JPS5989697A (ja) ポリリボシルリビト−ルホスフエ−トと反応性のヒトモノクロ−ナル抗体
JP2639422B2 (ja) シュードモナスアエルギノーザ鞭毛に対するモノクローナル抗体
JP2725041B2 (ja) ヒトモノクローナル抗体とそれを有効成分とする感染症の予防、治療剤
US5004694A (en) Complement-dependent cytolytic anti-Trichomonas vaginalis monoclonal antibodies
JP2587770B2 (ja) 形質転換細胞
CA2200691C (en) Broadly reactive opsonic antibodies reactive with common staphylococcal antigens
Teti et al. Specificity and protective activity of murine monoclonal antibodies directed against the capsular polysaccharide of type III group B streptococci
AU662917B2 (en) Antibodies to streptolysin O derivatives and variants
RU2341288C1 (ru) СРЕДСТВО, ОБЛАДАЮЩЕЕ СВОЙСТВОМ ФОРМИРОВАТЬ КЛЕТОЧНЫЙ ИММУНИТЕТ ПРОТИВ MYCOBACTERIUM TUBERCULOSIS H37 Rv, СПОСОБ ПОЛУЧЕНИЯ ЕГО (ВАРИАНТЫ), РЕКОМБИНАНТНЫЙ ШТАММ И СРЕДСТВО ДЛЯ ДИАГНОСТИКИ ТУБЕРКУЛЕЗА
GB2214509A (en) Human monoclonal antibody and its production and use.
JP2949291B2 (ja) グラム陰性菌感染の処置および予防用組成物ならびに方法
RU2012594C1 (ru) Штамм гибридных культивируемых клеток животных mus musculus l - продуцент моноклональных антител к 146s-компоненту вируса ящура азия-1
JPH0475583A (ja) ハイブリドーマ系細胞とその細胞により産生されるモノクローナル抗体
JPH0662886A (ja) モノクロ−ナル抗体及びその用途