JP2587770B2 - 形質転換細胞 - Google Patents

形質転換細胞

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JP2587770B2 JP5148343A JP14834393A JP2587770B2 JP 2587770 B2 JP2587770 B2 JP 2587770B2 JP 5148343 A JP5148343 A JP 5148343A JP 14834393 A JP14834393 A JP 14834393A JP 2587770 B2 JP2587770 B2 JP 2587770B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、形質転換細胞に関する
ものであり、更に詳細には、本発明は緑膿菌感染症の予
防治療に有効性を示す、ヒト由来のモノクローナル抗体
を産生する形質転換細胞に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明の背景】緑膿菌(以下、シュード
モナス・アエルギノーサということがある)は自然界に
広く存在し、水、下水等又ヒト、動物の口腔、腸内から
も高率に見い出される。この菌が病原性を発揮するのは
この菌自体の菌力による一般感染患者におけるよりもむ
しろ感染抵抗の低下した患者、即ち癌患者、免疫抑制療
法下の人、移植患者、熱傷患者および新生児等である。
【0003】現在、緑膿菌感染症は最も治療の困難な感
染症と考えられている。すなわち、緑膿菌はこれまで常
用されて来た抗生物質のほとんどすべてに対して耐性を
示すばかりでなく、近年開発された抗生物質に対しても
容易に緑膿菌が耐性型に誘導される症例が多いからであ
る。又、抗生物質療法の限界に立って、宿主側の緑膿菌
処理能力の増強をめざした菌体成分による感染防御剤す
なわちワクチンの開発、例えば、13種類以上ある血清
型別緑膿菌の表在抗原をそれぞれ精製して混合した緑膿
菌多価ワクチンや緑膿菌の血清学的共通抗原としてタン
パクを主成分とするOEP、あるいはOEPに本菌から
調製したプロテアーゼトキソイド、エラスターゼトキソ
イドあるいはエクソトキソイドを加えた3種あるいは4
種混合ワクチン等がある。しかしながら、いずれのワク
チンも感染防御能あるいは安全性が不十分で、実用性の
あるすぐれたものが待望されていると言っても過言でな
い。さらに、健常人の血清から製造したヒト血清免疫グ
ロブリン製剤の受動免疫による免疫グロブリン療法も研
究されているが実際の製剤中には緑膿菌に対する抗体価
が低いものが多く、その予防・治療効果を疑問視する向
きも少なくない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、緑膿菌の血
清型別抗原に対して特異的な親和性を有するヒトモノク
ローナル抗体を産生する形質転換細胞を新たに開発する
こと、をその目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものである。以下、本発明につい
て詳述する。
【0006】I.発明の概要
【0007】1.要 旨 本発明は、緑膿菌血清型別抗原に対して特異的な親和性
をもち、グロブリンクラスがIgGあるいはIgMから
なるヒトモノクローナル抗体を産生する形質転換細胞の
創製を目的としてなされたものであり、本発明に係る形
質転換細胞を利用すれば、上記した新規なヒトモノクロ
ーナル抗体を効率的に作製することができ、これを単品
で又は組み合せることにより緑膿菌の予防及び/又は治
療剤を創製することができる。
【0008】目的とする緑膿菌に対するヒトモノクロー
ナル抗体産生細胞は、ヒト由来B細胞をEBウィルス
(Epstein−Barr Virus)でトランス
フォームさせたりして作製するものであって、それが産
生する抗体の中から血清型別抗原に対して特異的に反応
するもので、グロブリンクラスがIgGまたはIgMク
ラスからなる抗体を選択すれば、上記した緑膿菌に対す
るヒトモノクローナル抗体が作製される。
【0009】2.効 果 本発明に係る形質転換細胞によって得られるヒトモノク
ローナル抗体は、これを単剤又は2剤以上組み合せるこ
とにより、緑膿菌感染症に対するすぐれた予防治療効果
が達成される。
【0010】本発明で注目すべきことは、緑膿菌の血清
型別抗原に対して特異的に反応するモノクローナル抗体
として、マウス等の動物ではなくヒト由来のモノクロー
ナル抗体を産生する形質転換細胞を作製するのにはじめ
て成功した点で非常に特徴的であり、しかも該細胞が産
生するヒト由来のモノクローナル抗体の中で、特にグロ
ブリンクラスがIgG及びIgMである抗体が有効であ
り、更に、これらのグロブリンクラスがIgG、IgM
であって且つ緑膿菌菌体に直接凝集活性をもつ抗体は、
その抗体と反応する緑膿菌に対して極めて低濃度・低用
量で予防、および治療効果を発揮することを本発明者ら
がはじめて見い出したことである。
【0011】II.発明の具体的説明
【0012】1.使用緑膿菌 本発明では使用緑膿菌の分類を緑膿菌研究会主催の血清
型別検討委員会の決定(1975)による血清学的分類
に従った(下記表1に示される第1表)。
【0013】
【表1】
【0014】2.ヒトモノクローナル抗体産生細胞の作
製 本発明による緑膿菌に対するヒトモノクローナル抗体産
生細胞はヒトB細胞をEBウィルスでトランスフォーム
することにより作られる。
【0015】一般にヒトモノクローナル抗体作製法とし
ては、ヒト−ヒト ハイブリドーマ法 マウス−ヒ
ト ハイブリドーマ法 EBウィルスによるトランス
フォーメーション法等がある。
【0016】の方法は現在までのところ、すぐれたヒ
トミエローマ細胞が存在していないため目的とするハイ
ブリドーマ増殖性の悪さや遺伝子の欠落等があり完成度
の低い技術となっている。の方法はマウス−ヒトのた
め遺伝子が組み込まれても直ちに遺伝子の欠落現象が起
きて安定な株の樹立がむずかしいという問題を含んでい
る。そこで本発明者らは比較的安定な抗体産生細胞株を
作製することが出来るといわれているEBウィルストラ
ンスフォーメーション法でヒト由来の本発明のモノクロ
ーナル抗体を作製した。ヒトB細胞の材料は血清中に抗
緑膿菌抗体の産生がみられる健常人の末梢血や不要にな
った患者の摘出リンパ節(例えば扁桃腺)を使用し、出
来るだけB細胞濃度を高めるためファイルコール・コン
レイ比重遠心法などによりB細胞を含む単核細胞画分を
濃縮して用いた。
【0017】EBウィルスによるヒトB細胞のトランス
フォーメーション法の基本術式は公知の方法(たとえば
Nature 267,52,1977,第4回日本免
疫学会総会記録399頁、1974)に準拠し、EBウ
ィルス持続産生細胞株の培養上清をウィルス源としてヒ
トB細胞に感染させ、増殖型に変異した細胞集団の中か
ら既知のアッセイ法にしたがってモノクローナル抗体の
検出を行うことにより目的抗体産生細胞集団をスクリー
ニングし、さらに公知の抗原感作ヒツジ赤血球を用いた
ロゼット形成法および軟寒天コロニー形成法によりモノ
クローンになった本発明のモノクローナル抗体産生クロ
ーン細胞株を取得した。
【0018】モノクローナル抗体の検出のためのアッセ
イ方法としては以下のような方法がある。1つはプロテ
インAを結合させた赤血球を用いる方法で、特異抗体を
検出する方法の中で優れた鋭敏度、特異性を示す方法で
ある。また凝集の程度を観察し抗体価を決める凝集反応
法、グロブリンクラスあるいはサブクラスを決めるのに
最も簡単な方法で、一般に培養上清を10倍程度濃縮し
なければならないが、放射能標識された上清を抗体で沈
降させ、それをSDS−ポリアクリルアミドゲルなどで
展開し確認することも出来るオクタロニー法である。ま
た、ポリビニルクロライド製のU字型マイクロタイター
プレートに抗原もしくは細胞を固定しておき、そこへ培
養上清を加えインキュベートして抗原−抗体反応させた
125I又は酵素で標識した抗マウス抗体あるいはPr
otein Aを加え洗浄後、各ウエル中の放射活性又
は酵素活性を調べるラジオイムノアッセイ法や酵素免疫
測定法(EIA法)もある。種々のアッセイ法の中で目
的に合った方法を選択すればよい。基本的には短時間
で、感度がよく安価であることが重要なことである。本
発明者らは、次のようなEIA法を用いている。
【0019】すなわち、緑膿菌菌体を抗原としてメンブ
ランフィルターに一定量ドットして用い、これにハイブ
リドーマの培養上清を反応させた後、ペルオキシダーゼ
標識ヤギ抗ヒトイムノグロブリン抗体(カッペル社)を
作用させ酵素反応の呈色割合により抗体産生量を測定で
きるドットイムノバインディングアッセイ法(DIBA
法、Analytical Biochem.,11
0,142,1082)を用いている。
【0020】このようにして目的とするヒトモノクロー
ナル抗体産生クローン細胞株、つまり緑膿菌に対するヒ
トモノクローナル抗体を産生するEBウィルス形質転換
細胞が樹立された。
【0021】3.ヒトモノクローナル抗体の製造 このようにして本発明の目的とする形質転換細胞が得ら
れるが、該細胞を利用すれば、効率的に緑膿菌に対する
ヒトモノクローナル抗体を製造することができる。
【0022】つまり、得られた該抗体産生クローン細胞
株からのヒトモノクローナル抗体の大量調製は、例えば
スピンナーフラスコ、ローラーボトルを用いた大量培養
等により培養液を集め、これを以下に述べるような非特
異的精製法及び/又は特異的精製法によって精製するこ
とにより、目的とするヒトモノクローナル抗体が精製さ
れた状態で得られる。
【0023】非特異的精製:培養上清等からの目的とす
るモノクローナル抗体の精製はゲル濾過法、イオン交換
セルロースクロマトグラフィー、硫酸アンモニウムによ
る塩析法などの公知の方法の組み合わせにより行うこと
が出来る。
【0024】特異的精製:臭化シアンで活性化したセフ
ァロース4B(ファルマシア社)あるいはアフィゲル−
10(バイオラッド社)に抗原を結合させ不溶化したカ
ラムに免疫グロブリン画分又は培養上清を流入し抗体を
結合させた後、尿素溶液などで吸着抗体を溶出させて精
製するアフィニテイクロマトグラフィーも必要に応じて
使用出来る。また、目的とするヒトモノクローナル抗体
がIgGの場合、プロテインAを固定化したアフィニテ
ィカラムを用いると精製が容易であるという点で推奨さ
れる。
【0025】また、目的とするヒトモノクローナル抗体
がIgMの場合、例えばセファクリルS300(ファル
マシア社)を用いるゲル濾過による精製法のほか、ハイ
ドロキシアパタイトカラムを用いたりして、更に精製度
を上げる精製方法も利用される。
【0026】なお、本発明の細胞から得られるモノクロ
ーナル抗体は、上述のようにヒト由来のものであって、
緑膿菌の血清型別抗原に対して特異的な親和性を有し、
かつ緑膿菌菌体に対して直接凝集活性を持つグロブリン
クラスがIgG又はIgMからなるものであるが、これ
らの性質は下記に示す方法により規定することが出来
る。すなわち、緑膿菌の血清型別抗原に対する特異的な
親和性とは第1表のA〜M群の緑膿菌の血清型別菌のう
ち、1つの群に属する菌株とのみ反応し、他の群に属す
菌株とは反応しないこと(例えばA群の菌とのみ反応
し、他のB〜M群とは反応しないこと)を意味してい
る。
【0027】また、本発明の細胞から得られるヒトモノ
クローナル抗体の緑膿菌菌体に対する直接凝集活性とは
実施例1に示すように、96ウエルのU底マイクロプレ
ート中で緑膿菌のホルマリン処理又は加熱処理による死
菌体をそれぞれ直接凝集する抗体活性を意味する。
【0028】さらに本発明の細胞から得られるヒトモノ
クローナル抗体のグロブリンクラスは、該精製抗体のセ
ファクリルS−300によるゲル濾過パターンおよびパ
ーオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG又はIgM抗体
(カッペル社)によるDIBA法でそれぞれIgG又は
IgMと同定されたものを意味している。
【0029】本発明の細胞から得られるヒトモノクロー
ナル抗体が緑膿菌感染に対してすぐれた予防および治療
効果を示すことは試験例に例示する如くであるが、該抗
体を緑膿菌感染症の予防、治療剤として用いる場合は注
射剤の型で用いるのが好ましい。尚、ヒトへの投与量は
0.01〜20mg/kgで、皮下注、筋注及び静脈内
投与等の投与方法が選択できる。以下に実施例、製造
例、応用例及び試験例を例示し、本発明をさらに具体的
に説明する。
【0030】
【実施例1】各血清型緑膿菌に対するヒトモノクローナ
ル抗体の作製とその性質
【0031】1)EBウィルス EBウィルス(以下EBV)を産生放出しているB95
−8細胞をRPMI−1640に20%FCSを加えた
培地で培養し、静止期に近い7日目の培養上清を分離し
てウィルス源とした。
【0032】2)リンパ球の分離 健常人であらかじめ抗緑膿菌抗体価の高い人から採血し
たヘパリン加末梢血を生理食塩水あるいはPBS(−)
で2倍に希釈後、1/4〜1/3量のリンフォプレップ
上に界面がみだれないようにゆっくりと重層した。重層
後、1550rpm、30分間、室温で遠心した。遠沈
後、界面層の白く濁った細胞層をパスツールピペットで
とり出し、細胞はPBS(−)で1400rpm、10
分間(1回目)、次に1000rpm、10分間(2、
3回目)で遠心洗浄した。細胞はRPMI 1640液
に5×106個/mlで再浮遊した。
【0033】3)Tリンパ球の除去(Bリンパ球濃縮) 0.5%AET処理のSRBC 1容、単核球細胞浮遊
液(5×106個/ml)1容、SRBC吸収FCS
0.2容を遠心管(尖底)内で混和し、5分間、室温に
放置後、次いで1000rpm、5分間、4℃で遠心し
た。遠沈後、氷中に1時間静置した。反応後、細胞ペレ
ットをパスツールピペットで静かに攪拌し、浮遊液を作
りリンフォプレップ上にのせ、1550rpm、30分
間、4℃で遠心した。遠沈後、界面上のロゼットを作ら
なかった細胞(Bリンパ球)をとり出し、PBS(−)
で上記2と同様に3回遠心洗浄した。細胞は1×107
個/ml(多い時)〜2.5×106個/ml(少ない
時)となる様に培養液に浮遊した。
【0034】4)EBV感染による細胞株の樹立 培養プレート(24穴)の1穴に対し、Bリンパ球浮遊
液(1×107〜2.5×106個/ml)0.1mlに
EBV液0.1mlを加え、炭酸ガス培養器で37℃、
60分間インキュベーションした。インキュベーション
後、0.8mlの培養液を加え全量を1mlとし、CO
2ガス培養器で37℃、静置培養を行った。EBV感染
後4〜5日目に1mlの培養液を加えた。その後4〜5
日毎に1/2量の培養液交換を行ない培養を継続し、そ
して6週間後、旺盛な細胞増殖が認められる培養プレー
トについて培養上清の抗緑膿菌モノクローナル抗体の存
在の有無を、酵素免疫測定法であるドットイムノバイン
ディングアッセイ法で測定した。
【0035】DIBA法は、96穴U底マルチプレート
を用い、1ドット当たり0.4μgの0.3%ホルマリ
ン処理各血清型緑膿菌の全菌体を抗原として固定したメ
ンブランフィルター(3.1mm角)と上記の培養上清
100μlを室温で30分、ついでパーオキシダーゼ標
識ヤギ抗ヒトイムノグロブリン抗体(カッペル社製)と
30分反応後、クロルナフトールを基質として発色さ
せ、抗原を固定したメンブランフィルター上に肉眼観察
で発色を認めたものを抗体産生が陽性と判定した。
【0036】尚、緑膿菌の血清型別抗原に対する特異的
な親和性は、第1表のA〜Mの13種の血清型菌を抗原
として固定したメンブランフィルターそれぞれについて
試験し、単一の血清型菌の抗原とのみ反応することによ
り確認した。
【0037】該抗体産生がみられた細胞集団はロゼット
形成法および軟寒天コロニー形成法でクローニングし
た。クローニングにより増殖能が旺盛なクローンは、ス
ターリングシステム(インターメット社製)にて拡大培
養し、培養上清を各型緑膿菌を抗原としたアフィニティ
ーカラム(IgG向)およびセファクリルS3000
(IgM向)にて精製した。得られた抗体培養液はポア
サイズ0.22ミクロンのメンブランフィルターで濾過
し、動物実験使用時まで4℃で保存した。
【0038】本発明者らは緑膿菌の血清学的分類各型に
特異的に反応するヒトモノクローナル抗体を産生する形
質転換細胞を14株見い出した。このうちE型、B型、
G型、I型に特異的に反応する形質転換細胞はそれぞれ
4株、5株、2株、3株であった。
【0039】それぞれの細胞から得られた抗体のうち、
E血清型緑膿菌特異反応抗体の性質を下記表2に示され
る第2表に、B血清型緑膿菌特異反応抗体の性質を下記
表3に示される第3表に、G血清型緑膿菌特異反応抗体
の性質を下記表4に示される第4表に、I血清型緑膿菌
特異反応抗体の性質を下記表5に示される第5表に、そ
れぞれ示す。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】なお、緑膿菌菌体に対するヒトモノクロー
ナル抗体の直接凝集活性の測定は、次の方法で行った。
【0045】96穴U底マルチプレート(ファルコン
社)に各血清型の緑膿菌の0.3%ホルマリン処理ある
いは120℃加熱処理による死菌体の懸濁液(PBS
(−)に懸濁、OD540が0.4)を50μlずつ分注
した。ついでこれにヒトモノクローナル抗体のPBS
(−)による希釈系列を50μlずつ分注し、プレート
表面をシーラー(リンブロ社プレートシーラー)でカバ
ーし、室温で10分間振とうし37℃で1時間静置し
た。さらにこれを4℃〜10℃で15時間以上放置した
後プレートを室温にもどしプレートの裏面より透かして
菌体の凝集反応像を観察し判定した。
【0046】
【試験例1】各血清型緑膿菌に特異的に反応するヒトモ
ノクローナル抗体の緑膿菌感染に対する防御活性
【0047】実施例1で得られた各型に特異的に反応す
るヒトモノクローナル抗体の緑膿菌感染に対する防御効
果について検討した。
【0048】先ず、生後、10週令のBALB/C雌性
マウス1群5匹に各菌型に特異的に反応するヒトモノク
ローナル抗体をマウス1匹当り50ng、500ng、
5μg、50μg、5mgをそれぞれ腹腔内へ投与し
た。
【0049】2時間後にそれぞれの菌型に特異的な菌株
を(IID1130(E型)、IID1002(B
型)、ATCC10145(G型)、IID1010
(I型))1×106腹腔内へチャレンジした。対照群
はモノクローナル抗体のかわりに生理食塩液のみ投与し
た。緑膿菌感染後、7日目に各投与群のマウスの生存率
から50%有効投与量(ED50値)を求めた。結果は第
2〜5表に示すとおりで、グロブリンクラスがIgG及
びIgMのヒトモノクローナル抗体はいずれも有効であ
り、また上記の結果からみると、ヒト由来のモノクロー
ナル抗体の中でグロブリンクラスがIgGで、強い凝集
能活性をもつ抗体に極めて、強力な緑膿菌感染防御効果
が認められた。
【0050】
【製造例1】モノクローナル抗体Iおよびモノクローナ
ル抗体Yを産生する細胞を実施例1の方法に従って培養
し、これをハイドロキシアパタイトカラムで精製した。
得られたIgM溶液は、ポアサイズ0.22ミクロンの
メンブランフィルターで濾過し、動物実験使用時まで−
80℃で凍結保存した。試験例1の方法に従って緑膿菌
に対する感染予防活性を調べた。ただし、ヒトモノクロ
ーナル抗体Iは0.4μg、2μg、10μg含む溶液
を、ヒトモノクローナル抗体Yは1.25μg、5μ
g、20μg含む溶液を投与した。
【0051】結果を下記表6に示される第6表に示し
た。
【0052】
【表6】
【0053】上記から明らかなように、実施例1とは精
製法を変えて更に抗体の精製度を上げて夾雑物を除去
し、それとともに、精製抗体の動物実験までの保存温度
を更に低下せしめて−80℃として抗体活性の減少を防
止したところ、試験例1の場合に比してIgMも極めて
強力な緑膿菌防御効果が認められ、その値はIgGより
も高い場合も認められた。
【0054】
【応用例1】E血清型緑膿菌に特異的に反応するヒトモ
ノクローナル抗体の液剤および凍結乾燥製剤
【0055】1)ヒトモノクローナル抗体の大量調製
【0056】(a)大量培養 実施例1で得られたモノクローナル抗体No.3を産生
する株を3〜4ケ月の長時間をかけて無血清培地に(H
B101TM培地 富士レビオ社製)馴化した。次に馴
化した細胞を5lのスターリングシステム(インターメ
ッド社製)で培養して下記の精製に供与した。
【0057】(b)大量精製 Protein A−Sepharose 4 B(フ
ァルマシア社製)又はDEAE Sephacelを使
用してグロブリン画分を約15mg得た。
【0058】2)液 剤 上記によって得たモノクローナル抗体を3/10Mアミ
ノ酢酸液で溶かし、グロブリン画分濃度が100μg/
mlになるようにした。このようにして得られたもの
を、メンブランフィルター(ニュクリポアーNo.2
0、ヌクリポア社製)を用いて無菌濾過して1mlずつ
バイアルに無菌的に分注して本発明物質の液剤を得た。
【0059】3)凍結乾燥製剤 上記方法にて大量精製して得られたグロブリン画分を最
終濃度3/10Mになるようにアミノ酢酸を加えた生理
食塩に溶かし、100μg/mlとし、さらにマンニト
ールを50mg/ml濃度になるように添加して、メン
ブランフィルター(ニュクリポアーNo.20、ヌクリ
ポア社製)を用いて無菌濾過し、2mlずつバイアルに
無菌的に分注して凍結乾燥して本発明物質の凍結乾燥製
剤を得た。
【0060】
【試験例2】各血清型緑膿菌特異ヒトモノクローナル抗
体を利用した治療効果
【0061】試験例1で予防効果の認められたモノクロ
ーナル抗体No.3、IV、A、Xにつき、それぞれ治療
効果の実験を行った。
【0062】すなわち、生後10週令のBALB/C雌
性マウス1群5匹に試験例1と同様にそれぞれのモノク
ローナル抗体に反応する菌を1×106腹腔内へチャレ
ンジして2時間後に、上記のモノクローナル抗体を各々
100ng〜10mg腹腔内に投与し、7日目でED50
値を求めた。結果を下記表7に示される第7表に示し
た。
【0063】
【表7】
【0064】上記から明らかなように、これらのモノク
ローナル抗体はいずれも強い予防効果を示すことが認め
られた。また、試験例2で強い予防効果を示した各々の
モノクローナル抗体の治療効果は約1/10に低下する
ものの治療効果も認められた。
【0065】尚、最大投与量70mg/kgでもマウス
の行動には何の変化も認められなかった。
【0066】
【発明の効果】本発明によりはじめて、緑膿菌の血清型
別抗原に対して特異的な親和性を有するヒトモノクロー
ナル抗体を産生する形質転換細胞が得られた。
【0067】この細胞を培養することによって、緑膿菌
に対する新規なヒトモノクローナル抗体を効率的に得る
ことが可能となり、緑膿菌感染症に対する予防及び/又
は治療にこの抗体を利用することができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緑膿菌のB・E・G又はI型の血清型別
    抗原に対して特異的な親和性を有し、前記一つの型の
    膿菌に対して直接凝集性を持つグロブリンクラスがIg
    GもしくはIgMであるヒトモノクローナル抗体を産生
    するEBウィルス形質転換細胞。
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