JP2563120Y2 - 鼻隠板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は屋根の軒先に取り付けら
れる鼻隠板に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来屋根裏に通気層を設けた屋根の軒先
の施工は、軒先を覆う鼻隠板を取り付けた後に、この鼻
隠板に、上記通気層へ通じる通気口を設けている。しか
し、この通気口から雨水が浸入し、屋根裏に雨水が溜ま
りやすい問題がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】本考案は上述の事実に
鑑みてなされたもので、その目的とするところは、野地
板の下面に通気層を備える屋根の軒先に取り付けられる
鼻隠板において、屋根裏の通気が良好で、且つ、屋根裏
に雨水が溜まらない鼻隠板を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案の鼻隠板は、野地
板（９）の下面に通気層（１０）を備える屋根の軒先に
取り付けられる鼻隠板であって、上記通気層（１０）に
連通する通気口（２）が設けられた立直片（１）、及
び、この立直片（１）の下端に建屋側に延設した天井板
受片（４）を備え、この天井板受片（４）に貫通孔
（３）が形成されていることを特徴とする。

【０００５】

【作用】本考案の鼻隠板は、通気層（１０）に連通する
通気口（２）が備えるれれているので、上記通気口
（２）から屋根の野地板（９）の下面に備えられた通気
層（１０）に空気が出入りし、屋根裏の換気ができると
共に、上記鼻隠板の立直片（１）の下端に備えた天井板
受片（４）に貫通孔（３）が形成されているので、上記
通気口（２）から浸入した雨水が排水できる。さらに、
この貫通孔（３）は排水以外の際は、空気が出入りする
ので、屋根裏の換気の補助としても有効に働く。

【０００６】

【実施例】以下、本考案を図面に基づいて詳細に説明す
る。

【０００７】図１は本考案の一実施例に係る鼻隠板の斜
視図であり、図２は本考案の鼻隠板を用いて施工した軒
先の要部断面図であり、図３は本考案の他の実施例に係
る鼻隠板の斜視図であり、図４は本考案の他の実施例に
係る鼻隠板を用いた雨樋の吊着状態を示した断面図であ
り、図５は本考案の鼻隠板の施工前の軒先の断面斜視図
である。

【０００８】本考案の鼻隠板は屋根の軒先に用いられ
る。上記屋根は、図５に示す如く、野地板（９）上に平
板の瓦（８）が葺設され、上記野地板（９）の下に垂木
（１５）が設けられ、この垂木（１５）間に、上記野地
板（９）の下面との間に通気層（１０）を備える天井板
（１１）が設けられている。上記天井板（１１）は木材
のみに限定されず、断熱性を保つため合板上にグラスウ
ール等の断熱層を形成したものでもよい。上記軒先の瓦
（８）と野地板（９）の間に、一連の水切板（１７）が
挿着される。

【０００９】本考案の鼻隠板は、図１に示す如く、通気
口（２）が設けられた立直片（１）を備える。この通気
口（２）は、図２に示す如く、上記野地板（９）の下面
に備えられた通気層（１０）に連通する。上記通気口
（２）から通気層（１０）に空気が出入りすることで、
屋根裏の換気が行われる。この通気口（２）に金網等で
作製された防虫ネットが付設されていると、上記通気層
（１０）内へ虫の浸入を防ぐことができ好ましい。上記
通気口（２）の形状は限定されず、通気層（１０）の広
さ等により適宜決定される。上記鼻隠板の材質は木製、
金属製、及びこれらの併用等、限定されない。

【００１０】上記立直片（１）の下端に天井板受片
（４）を備える。上記天井板受片（４）は、軒先の天井
板（１１）より低位に位置する立直片（１）の下端から
建屋側に延設して、天井板（１１）の軒先下面の端部を
覆う。この天井板受片（４）に所望の模様を施すことに
より、軒先の外観に美観を与えることができる。

【００１１】本考案においては、図１に示す如く、上記
天井板受片（４）に貫通孔（３）が形成されている。こ
の貫通孔（３）が形成されていると、鼻隠板の上記通気
口（２）から雨水が浸入しても、屋根裏に溜まることな
く、排水ができる。また、上記立直片（１）の建屋側背
面（１ａ）に、上記通気口（２）の下端と上記貫通孔
（３）と連通する縦溝（１３）が形成されている。この
縦溝（１３）が形成されていると、上記通気口（２）に
沿って、立直片（１）の建屋側背面（１ａ）に回り込ん
だ雨水を排水することができる。さらに、上記貫通孔
（３）は、排水以外の際は、空気が出入りするので、屋
根裏の換気の補助としても有効に働く。

【００１２】図１に示す如く、上記鼻隠板の立直片
（１）は、上記通気口（２）より下方の立直片（１）の
前面（１ｂ）の全長に渡って、雨樋（７）の吊り金具
（６）を取り付けるレール（５）が形成されている。こ
のレール（５）は、立直片（１）との間に上側に開口し
た上係止溝（５１）を備えた上係止片（５ａ）を上向き
に形成し、この上係止片（５ａ）の下方に下側に開口し
た下係止溝（５２）を備えた下係止片（５ｂ）を下向き
に形成する。このレール（５）が形成されていると、こ
のレール（５）の所望の位置に、吊り金具（６）を取り
付け、素早く雨樋（７）を設置することができる。

【００１３】本考案の鼻隠板は上記実施例に限定されな
い。鼻隠板に、軒先の施工に用いられる部材を備えてい
ると、施工が素早くでき好ましい。

【００１４】図３に本考案の他の実施例に係る鼻隠板を
示す。鼻隠板の立直片（１）の上端に、水切り片（１
２）を備えている。上記水切り片（１２）は、立直片
（１）の上端に建屋と反対側に延設した天上片（１２
ａ）、この天上片（１２ａ）の先端から垂下した折曲片
（１２ｂ）を備える。この水切り片（１２）により、上
記通気口（２）の前面との間に下方に開口した間隙（１
６）を形成すると共に、通気口（２）の前方を覆う。そ
の結果、水切り片（１２）は間隙（１６）を備えている
ので、通気口（２）への空気の出入りを妨げないと共
に、この通気口（２）から屋根裏に浸入する雨水を防止
することができる。上記水切り片（１２）の形状は上記
実施例に限定されない。

【００１５】さらに、図３に示す如く、上記鼻隠板は上
記立直片（１）の下端に樋受片（１４）を備える。上記
樋受片（１４）は上記立直片（１）の下端から、上記立
直片（１）を基準にして、上記天井板受片（４）と反対
側に突き出ている。上記樋受片（１４）は、図４に示
す、軒先に取り付けられた雨樋（７）と上記立直片
（１）の隙間（２０）を塞ぐものである。この樋受片
（１４）に貫通孔（２１）が形成されている。上記貫通
孔（２１）が形成されていると、上記雨樋（７）と上記
立直片（１）の隙間（２０）に浸入した雨水を排水でき
る。

【００１６】次に、図３に示す鼻隠板を用いて、雨樋
（７）を吊着する一例を、図４に基づいて説明する。上
記鼻隠板のレール（５）に吊り金具（６）が取り付けら
れる。この吊り金具（６）はレール（５）に取着する取
着部材（６ａ）、及び雨樋を吊着する吊着部材（６ｂ）
から構成され、上記取着部材（６ａ）は上記レール
（５）を上下に覆う立直片（６２）、この立直片（６
２）の上端にレール（５）の上係止溝（５１）に挿着さ
れる上挿着片（６１）、及び、上記立直片（６２）の下
端にレール（５）の下係止溝（５２）に挿着される下挿
着片（６３）を備える。上記吊り金具（６）の上挿着片
（６１）をレール（５）の上係止溝（５１）に、下挿着
片（６３）をレール（５）の下係止溝（５２）に挿着し
て吊り金具（６）を取り付ける。このようにして、上記
レール（５）の所望の位置に吊り金具（６）を取り付け
ることができる。さらに、上記吊着部材（６ｂ）は、上
記立直片（６２）の上端から、立直片（６２）を基準に
して上挿着片（６１）と反対側に突き出した支持片（６
６）、この支持片（６６）の先端から延設し、雨樋
（７）の軒先の内側に沿って上方に折曲した挿入片（６
７）、及び、上記支持片（６６）の下面との間に間隙
（６４）を形成し、立直片（６２）から突き出た挟持片
（６５）を備える。

【００１７】雨樋（７）は雨樋本体（７５）、この雨樋
本体（７５）の鼻隠板側の先端に設けられた凸部（７
１）、及び上記雨樋本体（７５）の上記凸部（７１）と
反対方向の先端に内側に折曲した、上記雨樋本体（７
５）の先端に係止溝（７３）を形成する係止片（７２）
からなる。上記雨樋（７）の凸部（７１）を、上記吊り
金具（６）の支持片（６６）の下面と挟持片（６５）で
形成された間隙（６４）に挿入し、上記支持片（６６）
に備えられたネジ（１９）の側面で上記凸部（７１）を
押圧して固定する。また、雨樋（７）の係止溝（７３）
に上記吊り金具（６）の挿入片（６７）の先端を挿入し
固定する。

【００１８】上記吊り金具（６）、及び雨樋（７）は上
記実施例に限定されず、上記鼻隠板のレール（５）に取
着する吊り金具（６）であればよい。従って、雨樋
（７）も用いられる吊り金具（６）により適宜決められ
る。

【００１９】本考案の鼻隠板は、上記通気口（２）を備
えた立直片（１）、及び貫通孔（３）が形成された天井
板受片（４）からなり、通気が良好で、且つ、屋根裏に
雨水が溜まらない。さらに、必要により、上記立直片
（１）にレール（５）、水切り片（１２）、及び樋受片
（４１）を備えると、鼻隠板を取る付けるだけで、軒先
の施工が素早くでき、好ましい。

【００２０】

【考案の効果】本考案の鼻隠板を、野地板（９）の下面
に通気層（１０）を備える屋根に取り付けると、屋根裏
の通気が良好で、且つ、屋根裏に雨水が溜まらない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る鼻隠板の背面側からの
斜視図である。

【図２】本考案の鼻隠板を用いて施工した軒先の要部断
面図である。

【図３】本考案の他の実施例に係る鼻隠板の斜視図であ
る。

【図４】本考案の他の実施例に係る鼻隠板を用いた雨樋
の吊着状態を示した断面図である。

【図５】本考案の鼻隠板の施工前の軒先の断面斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ 立直片 １ａ 背面 １ｂ 前面 ２ 通気口 ３ 貫通孔 ４ 天井板受片 ５ レール ５ａ 上係止片 ５ｂ 下係止片 ７ 雨樋 ８ 瓦 ９ 野地板 １０ 通気層 １１ 天井板 １２ 水切り片 １３ 縦溝 １４ 樋受片 ５１ 上係止溝 ５２ 下係止溝

Claims (5)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 野地板（９）の下面に通気層（１０）を
   備える屋根の軒先に取り付けられる鼻隠板であって、上
   記通気層（１０）に連通する通気口（２）が設けられた
   立直片（１）、及び、この立直片（１）の下端に建屋側
   に延設した天井板受片（４）を備え、この天井板受片
   （４）に貫通孔（３）が形成されていることを特徴とす
   る鼻隠板。
2. 【請求項２】 上記立直片（１）の建屋側の背面（１
   ａ）に、上記貫通孔（３）と連通する縦溝（１３）が形
   成されていることを特徴とする請求項１記載の鼻隠板。
3. 【請求項３】 上記通気口（２）より下方の上記立直片
   （１）に、雨樋（７）の吊り金具（６）を取り付けるレ
   ール（５）を備えることを特徴とする請求項１記載又は
   請求項２記載の鼻隠板。
4. 【請求項４】 上記立直片（１）の下端に延設して、軒
   先に取り付けられた雨樋（７）と上記立直片（１）の隙
   間（２０）を塞ぐ樋受片（１４）を備え、この樋受片
   （１４）に貫通孔（２１）が形成されていることを特徴
   とする請求項１乃至請求項３いずれか記載の鼻隠板。
5. 【請求項５】 上記通気口（２）より上位に位置する立
   直片（１）から延設して、上記通気口（２）の前面との
   間に、下方に開口した間隙（１６）を形成する水切り片
   （１２）を備えることを特徴とする請求項１乃至請求項
   ４いずれか記載の鼻隠板。