JP2562730B2 - 高機能薄膜の形成方法 - Google Patents

高機能薄膜の形成方法

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JP2562730B2 JP2332294A JP33229490A JP2562730B2 JP 2562730 B2 JP2562730 B2 JP 2562730B2 JP 2332294 A JP2332294 A JP 2332294A JP 33229490 A JP33229490 A JP 33229490A JP 2562730 B2 JP2562730 B2 JP 2562730B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は電気かみそり刃やその他の刃物に高硬度を有
する材料の被膜を形成する方法に係り、特に表面の色調
の制御に関する。
(ロ)従来の技術 例えば、特開昭61−106767号公報や、特開昭62−382
号公報に、刃先に真空蒸着処理を施しながらイオン注入
処理を施し、刃先表面に硬質の混合層を形成する技術が
開示されている。ところが上記方法では、注入されるイ
オンによって真空蒸着される金属原子が逆スパッタされ
てしまうので成膜速度が遅くなるという問題点があっ
た。
しかもこの方法では大きなエネルギーを有するイオン
が基板、若しくは母材に衝突するためその表面温度が大
きくなり、これら基板あるいは母材の耐熱性を要求され
るという材料上の制限が生じる問題点もあった。
さらに、従来の真空蒸着処理を施しながらイオン注入
を施すという方法で形成された被膜は、基板の種類によ
って結晶性、配向性等の所謂膜質が決定され、また、こ
れらの特性を制御するには従来イオンビーム照射やイオ
ンビームエネルギー等のパラメータを変化する方法しか
なく、制御が複雑で、且つ困難である欠点があった。
一方低温化のみを考えると、単に気体ガス雰囲気中で
金属原子を蒸発させたり、イオンビーム等によりターゲ
ット材料をスパッタして、高硬度材料を形成する方法も
あるが、この方法では基板と膜との密着性が悪く、形成
された膜にクラックや剥離が生じるという欠点があっ
た。
(ハ)発明が解決しようとする課題 以上の如く従来の方法では成膜速度、剥離の改善、膜
質の制御等に主眼を置いたものがほとんどである。
ところがどの方法を採っても、硬度や密着性等の諸特
性は向上するものの、膜表面の色調を出すのが困難であ
った。
本発明は斯かる点に鑑み、早い成膜速度、高い密着
性、高硬度を保ちながら、膜表面の色調調整を行い、よ
り付加価値のある膜の形成方法を提供することを目的と
する。
(ニ)課題を解決するための手段 本発明は、常温で気体となる原子のイオンを薄膜に形
成するための基板に向けて照射すると同時に、蒸発源よ
り高硬度材料の原子を前記基板にむけて放射することに
よって、該基板の表面に前記イオンの作用を受けた高硬
度材料原子から成る第1薄膜層を形成する第1工程と、
前記気体の原子雰囲気中で前記蒸発源より高硬度材料原
子を前記第1薄膜層に向けて放射することによって該第
1薄膜層の表面に第2薄膜層を形成する第2工程と、前
記イオンを前記第2薄膜層に向けて照射し、前記高硬度
材料原子を該第2薄膜層に向けて放射することによっ
て、この第2薄膜層の表面に0.05〜0.15μmの厚み寸法
を有する第3薄膜層を形成する第3工程と、からなるこ
とを特徴とする。
(ホ)作用 第1薄膜層の形成に用いられる方法はイオンのエネル
ギーを利用するため、真空蒸着原子が逆スパッタされ、
成膜速度が遅くなるとともに、長時間に亘って実施する
と基板の表面温度以上に高くなってしまうので、短時間
で切り上げる。
その代わりに蒸発源のみを用いた第2薄膜層の形成方
法を用いて低温、且つ高速で膜を成長させる。この工程
により、第1薄膜層がイオンエネルギーによって基板と
強固に密着する。
さらに、色調を調整することが可能な相対的に薄い膜
を0.05〜0.15μmの厚み寸法で、第2薄膜層の表面に形
成することにより、所望の色を呈した高機能性被膜の形
成が可能となる。
(ヘ)実施例 以下本発明の高機能性薄膜の形成方法を電気かみそり
刃に対する窒化ジルコニウム(ZrN)被膜の形成方法に
ついて図面を用いて詳細に説明する。
第1図は上記窒化ジルコニウムの薄膜を形成するため
の真空蒸着及びイオン注入装置を示し、1は10-5〜10-7
Torrに排気される真空チャンバ、2は該真空チャンバ1
内に配置され、図の矢印方向に10〜20rpmの速度で回転
可能にされた基板ホルダ、3はニッケル(Ni)の基板、
4は電子ビームによってジルコニウム(Zr)原子を蒸発
させ前記基板3に向けて放射する蒸発源、5は前記基板
3の方向に窒素イオン(N+)を放射するか、あるいは窒
素ガス(N2)を供給するかのいずれかを行うことができ
るアシストイオンガンである。
次に上記装置を用いて第2図に示すようなNi素材の表
面にZrN被膜を形成する方法について説明する。
まず、真空チャンバ1内を10-5〜10-7Torrに排気し、
アシストイオンガン5にN2ガスを供給し、N+イオンを取
り出して、これを基板3の表面に照射する。この時のN+
イオンの加速電圧は、700eV、イオン電流密度は0.38mA/
cm2に設定した。
一方、N+イオンの照射と同時に蒸発源4を駆動し、Zr
原子を蒸発させて前記基板3の表面に放射する。この時
のZrの蒸発速度は基板3上での成膜速度に換算して650
Å/min.に設定した。
以上の工程を30秒から1分程度行い、基板3の表面に
膜厚0.025〜0.05μmのZrNの第1薄膜層6を形成した。
次にN+イオンの照射を止めて、前記イオンガン5より
イオン化されていないN2ガスを前記チャンバ1内に供給
するとともに、このN2雰囲気中で蒸発源4よりZrN原子
を基板3上の前記第1薄膜層6表面に向かって放射し
た。この時のZrの蒸発速度は第1薄膜層6表面での成膜
速度に換算して650Å/min.に設定した。
以上の工程を4分から4分30秒程度行い、前記ZrNの
第1薄膜層6表面に、膜厚0.26〜0.29μmを有するもう
1層のZrNの第2薄膜層7を形成した。
以上の二つの工程の結果、基板3表面に膜厚0.3μm
のZrN被膜が形成されることになる。
ところで、一般にアシストイオンを用いたときには基
板3での温度上昇が7℃/min.、ガス雰囲気のみの利用
では2℃/min.である。
さらに第1薄膜層6を形成したときと同じ方法を用い
て前記第2薄膜層7の表面に膜厚0.05〜0.15μmの第3
薄膜層8を形成した。この時の成膜時間は1分から2分
程度が望ましい。またイオンエネルギーは700eV、イオ
ン電流密度は0.38mA/cm2が望ましい。
また第3図に成膜時間に対する基板3裏面温度を、特
定のエネルギーを持ったアシストイオンを用いて行う場
合と、本発明の方法を用いて行う場合とに分けてグラフ
化した図を示す。
同図において、折線(1)はアシストイオンエネルギ
ー900eV、折線(2)は700eV、折線(3)は500eV、折
線(4)は250eVで、ガラス基板に成膜した場合を示
し、折線(5)は本発明を用いて成膜した場合を示す。
同じイオンエネルギー(700eV)を用いたの場合の折
線(2)と折線(5)を比較すると、アシストイオンを
用いて形成する方法と、本発明方法では、5分間のプロ
セスで、基板3の裏面において略20℃の温度差が生じ
る。従って本発明方法によれば、基板3を低温に保持し
たまま成膜を行うことが可能となる。
また、窒素イオンエネルギーは700eV、Zr蒸着速度は6
50Å/min.に設定したときのアシストイオン(窒素)電
流密度に対する成膜速度、及びN/Zr組成比の関係を第4
図(a)(b)に夫々示す。
この図から成膜速度はガス雰囲気のみの方がアシスト
イオンを用いた方より大きいことが明らかであり、N/Zr
組成比は、アシストイオン電流密度の大きさには差ほど
影響を受けないことが分かる。
また、アシストイオンを用いるとその大きなエネルギ
ーとイオン注入効果により、基板3と形成被膜との密着
性がガス雰囲気に比べて良好である。
さらに、結晶性の点ではアシストイオンを用いたもの
は余り良くなく、ガス雰囲気を用いたものの方が良好で
ある。
第5図は、第1薄膜層6(界面)の形成条件を変化さ
せて、本発明方法により形成したZrN被膜のX線回折結
果である。
同図において、曲線(a)は第1薄膜層6のN/Zr到達
比が0.33、曲線(bb)は2.1の場合を示している。ここ
でZrN(111)とZrN(200)、及びZrN(220)のピークは
曲線(a)(b)で略同じ2θの値で現れているが、そ
のピークの高さは曲線(a)の方が曲線(b)よりも高
い。即ちN/Zrの到達比が小さいほどできた第1薄膜層6
の結晶性が良くなることが分かる。
第6図は先の第5図で示された曲線(a)と曲線
(b)の特性を有する第1薄膜層6に、第2薄膜層7を
形成したときの第1薄膜層6及び第2薄膜層7のトータ
ルでのZrN被膜のX線回折結果である。
この図において第2薄膜層7の形成条件は曲線(1)
(2)で同じであり、曲線(2)の方がZrN(111)のピ
ーク強度がシャープであり、このことにより第1薄膜層
6の結晶性が良いほどトータルとしてのZrN被膜の結晶
性は悪くなるということができる。
このように第1薄膜層6を変化させることにより、同
じ基板3を用いて、同じ条件で第2薄膜層7を形成して
も、ZrN被膜の配向性を調整することが可能である。
以上の点から上記工程をアシストイオンを用いる工程
では基板3の温度が余り上昇しないように極短時間の工
程として密着性のみを向上させ、ガス雰囲気を用いる工
程を相対的に長時間として成膜速度、良好な結晶性、及
び低温形成の4拍子揃った形成方法となった。
さらに、第1薄膜層6(界面)を制御することによっ
て結晶性、配向性等の膜質を変化させることができ、従
来にない薄膜の形成方法が得られた。
一方、第3薄膜層8は被膜表面の色調を変化させるの
に有効である。第7図は縦軸に色調の変化(暗い金色
明るい金色)を取り、横軸に膜厚を取った特性図であ
る。膜厚が厚くなればなるほど表面の色は鮮やかな金色
になるが、分厚い膜になるほど成膜時間が長くなり、基
板3の表面温度は高くなる。第7図中の斜めの直線は膜
厚に対する基板表面温度の変化を示したものであり、膜
厚が0.15μmで80℃にも達する。また膜厚0.05μm以上
では被膜表面の色調の変化は飽和する。このことより、
第3薄膜層8の膜厚は0.05〜0.15μmにするのが望まし
いと言える。
また、本発明方法は、ZrN膜のみならず、TiとN2等の
反応の容易な金属と気体原子、あるいはイオン全てにお
いて形成可能な方法であることは言うまでもない。
(ト)発明の効果 本発明は以上の説明の如く、基板と被膜との密着性に
優れたアシストイオン利用の被膜形成方法と、成膜速度
が早くて結晶性の良い被膜が形成できるガス雰囲気利用
の被膜成形方法とを組み合わせることにより、基板と被
膜の密着性が良いと共に、低温で成膜速度が早く、且つ
結晶性にも優れた薄膜の形成方法が得られ、さらに膜表
面の色調を自由に変化させることのできる効果が期待で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するための装置を示す図、第2図
は成形された基板表面の被膜を示す断面図、第3図は成
膜時間に対する基板裏面温度の変化を示す図、第4図
(a)(b)は夫々アシストイオン電流密度に対する成
膜温度及びN/Zr組成比の関係を示す図、第5図は第1薄
膜層の形成条件を変化させたときのX線回折結果を示す
図、第6図は同じく第1薄膜層と第2薄膜層とのトータ
ルでの被膜のX線回折結果を示す図、第7図は第3薄膜
層の厚みと表面の色調との関係を示す図である。 1……チャンバ、2……基板ホルダ、 3……基板、4……蒸発源、 5……アシストイオンガン、6……第1薄膜層、 7……第2薄膜層、8……第3薄膜層。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】常温で気体となる原子のイオンを薄膜に形
    成するための基板に向けて照射すると同時に、蒸発源よ
    り高硬度材料の原子を前記基板にむけて放射することに
    よって、該基板の表面に前記イオンの作用を受けた高硬
    度材料原子から成る第1薄膜層を形成する第1工程と、 前記気体の原子雰囲気中で前記蒸発源より高硬度材料原
    子を前記第1薄膜層に向けて放射することによって該第
    1薄膜層の表面に第2薄膜層を形成する第2工程と、 前記イオンを前記第2薄膜層に向けて照射し、前記高硬
    度材料原子を該第2薄膜層に向けて放射することによっ
    て、この第2薄膜層の表面に0.05〜0.15μmの厚み寸法
    を有する第3薄膜層を形成する第3工程と、からなるこ
    とを特徴とする高機能薄膜の形成方法。
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