JP2657140B2 - 高機能性薄膜の形成方法 - Google Patents
高機能性薄膜の形成方法Info
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- JP2657140B2 JP2657140B2 JP31473391A JP31473391A JP2657140B2 JP 2657140 B2 JP2657140 B2 JP 2657140B2 JP 31473391 A JP31473391 A JP 31473391A JP 31473391 A JP31473391 A JP 31473391A JP 2657140 B2 JP2657140 B2 JP 2657140B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気かみそり刃やその
他の刃物に高硬度を有する材料の被膜を形成する方法に
関する。
他の刃物に高硬度を有する材料の被膜を形成する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の被膜形成方法として、特
開昭61−106767号公報や特開昭62−382号
公報などに示されるように、刃先に真空蒸着処理を施し
ながらイオン注入処理を施し刃先表面に硬質の混合層を
形成する方法が提案されている。
開昭61−106767号公報や特開昭62−382号
公報などに示されるように、刃先に真空蒸着処理を施し
ながらイオン注入処理を施し刃先表面に硬質の混合層を
形成する方法が提案されている。
【0003】しかしながら上記方法では、注入されるイ
オンによって真空蒸着される金属原子が逆スパッタされ
てしまうので成膜速度が遅くなるという問題点があっ
た。
オンによって真空蒸着される金属原子が逆スパッタされ
てしまうので成膜速度が遅くなるという問題点があっ
た。
【0004】しかもこの方法では大きなエネルギーを有
するイオンが基板、若しくは母材に衝突するためその表
面温度が高くなり、これら基板或るいは母材の材料に制
約を受けるという問題点もあった。
するイオンが基板、若しくは母材に衝突するためその表
面温度が高くなり、これら基板或るいは母材の材料に制
約を受けるという問題点もあった。
【0005】更に、従来の真空蒸着処理を施しながらイ
オン注入する方法で形成された被膜は、基板の種類によ
って結晶性、配向性などの所謂膜質が決定され、又、こ
れらの膜質を制御するには、従来イオンビーム照射角や
イオンビームエネルギー等のパラメータを変化させる方
法しかなく、制御が複雑で、且つ困難である欠点があっ
た。
オン注入する方法で形成された被膜は、基板の種類によ
って結晶性、配向性などの所謂膜質が決定され、又、こ
れらの膜質を制御するには、従来イオンビーム照射角や
イオンビームエネルギー等のパラメータを変化させる方
法しかなく、制御が複雑で、且つ困難である欠点があっ
た。
【0006】一方低温化のみを考えると、単に常温で気
体となる原子の雰囲気中で金属原子を蒸発させたり、イ
オンビーム等によりターゲット材料をスパッタして、高
硬度材料を形成する方法もあるが、この方法では基板と
膜との密着性が悪く、形成された膜にクラックや剥離が
生じるという欠点があった。
体となる原子の雰囲気中で金属原子を蒸発させたり、イ
オンビーム等によりターゲット材料をスパッタして、高
硬度材料を形成する方法もあるが、この方法では基板と
膜との密着性が悪く、形成された膜にクラックや剥離が
生じるという欠点があった。
【0007】そこで、本願出願人は特願平2−2557
24号にて、基板と被膜との密着性に優れたアシストイ
オン利用の被膜成形方法と、成膜速度が速くて結晶性の
よい被膜が成形できるガス雰囲気利用の被膜成形方法と
を組み合わせた薄膜の形成方法を提案している。
24号にて、基板と被膜との密着性に優れたアシストイ
オン利用の被膜成形方法と、成膜速度が速くて結晶性の
よい被膜が成形できるガス雰囲気利用の被膜成形方法と
を組み合わせた薄膜の形成方法を提案している。
【0008】この方法は、薄膜形成するための基板表面
に向けて常温で気体となる原子のイオンを放射すると同
時に、蒸発源から高硬度材料の原子を蒸発させて放射し
て、前記基板上に前記イオンの作用を受けた高硬度材料
原子から成る第1薄膜層を形成する第1工程と、次に前
記イオンの放射を止めて、前記常温で気体となる原子の
ガスを供給して、該原子の雰囲気中で前記蒸発源から高
硬度材料の原子を前記第1薄膜層に向けて放射して、該
第1薄膜層の表面に第2薄膜層を形成する第2工程と、
からなる薄膜形成方法である。
に向けて常温で気体となる原子のイオンを放射すると同
時に、蒸発源から高硬度材料の原子を蒸発させて放射し
て、前記基板上に前記イオンの作用を受けた高硬度材料
原子から成る第1薄膜層を形成する第1工程と、次に前
記イオンの放射を止めて、前記常温で気体となる原子の
ガスを供給して、該原子の雰囲気中で前記蒸発源から高
硬度材料の原子を前記第1薄膜層に向けて放射して、該
第1薄膜層の表面に第2薄膜層を形成する第2工程と、
からなる薄膜形成方法である。
【0009】この方法により、被膜形成される基板と被
膜間との密着性を向上せしめ、低温で成膜速度が速く、
且つ結晶性にも優れた薄膜形成が可能であった。
膜間との密着性を向上せしめ、低温で成膜速度が速く、
且つ結晶性にも優れた薄膜形成が可能であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
技術では、前記第1工程において所定のイオンエネルギ
ーを有する前記イオンを放射させ、前記第2工程に移る
と同時に該イオンの放射を止めるため、前記第1薄膜層
と第2薄膜層との界面における前記高硬度材料の原子の
配列状態が異なり、両薄膜間の密着性が良くなかった。
技術では、前記第1工程において所定のイオンエネルギ
ーを有する前記イオンを放射させ、前記第2工程に移る
と同時に該イオンの放射を止めるため、前記第1薄膜層
と第2薄膜層との界面における前記高硬度材料の原子の
配列状態が異なり、両薄膜間の密着性が良くなかった。
【0011】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
であって、被膜形成される基板と被膜間との密着性のみ
ならず、該基板上に形成された被膜間での密着性を向上
させた高機能性薄膜を形成することを目的とする。
であって、被膜形成される基板と被膜間との密着性のみ
ならず、該基板上に形成された被膜間での密着性を向上
させた高機能性薄膜を形成することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、薄膜を形成す
るための基板に向けて常温で気体となる原子のイオンを
放射すると同時に、蒸発源から高硬度材料原子を前記基
板に向けて放射することによって、該基板の表面に前記
常温で気体となる原子のイオンの作用を受けた前記高硬
度材料原子から成る第1薄膜層を形成する第1の工程
と、該第1工程において基板に放射される前記常温で気
体となる原子のイオン量を零値まで漸次低減すると共
に、該常温で気体となる原子のガス供給量を所定値まで
漸次増加させ、同時に前記蒸発源から高硬度材料原子を
前記第1薄膜層に向けて放射することによって該第1薄
膜層の表面に中間薄膜層を形成する第2工程と、前記常
温で気体となる原子のガス雰囲気中で前記蒸発源から高
硬度材料原子を前記中間薄膜層に向けて放射することに
よって該中間薄膜層の表面に第2薄膜層を形成する第3
工程と、よりなる高機能性薄膜の形成方法である。
るための基板に向けて常温で気体となる原子のイオンを
放射すると同時に、蒸発源から高硬度材料原子を前記基
板に向けて放射することによって、該基板の表面に前記
常温で気体となる原子のイオンの作用を受けた前記高硬
度材料原子から成る第1薄膜層を形成する第1の工程
と、該第1工程において基板に放射される前記常温で気
体となる原子のイオン量を零値まで漸次低減すると共
に、該常温で気体となる原子のガス供給量を所定値まで
漸次増加させ、同時に前記蒸発源から高硬度材料原子を
前記第1薄膜層に向けて放射することによって該第1薄
膜層の表面に中間薄膜層を形成する第2工程と、前記常
温で気体となる原子のガス雰囲気中で前記蒸発源から高
硬度材料原子を前記中間薄膜層に向けて放射することに
よって該中間薄膜層の表面に第2薄膜層を形成する第3
工程と、よりなる高機能性薄膜の形成方法である。
【0013】
【作用】本発明によれば、第1工程において第1薄膜層
の形成に用いられる方法は、イオンのエネルギーを利用
するため、イオン注入により基板と強固に密着する。
の形成に用いられる方法は、イオンのエネルギーを利用
するため、イオン注入により基板と強固に密着する。
【0014】また、常温で気体となる原子の雰囲気中で
第2薄膜層を形成する第3工程により、低温、且つ高速
で膜を成長させる。
第2薄膜層を形成する第3工程により、低温、且つ高速
で膜を成長させる。
【0015】そして、第2工程において、イオンエネル
ギー、および前記常温で気体となる原子の雰囲気の利用
により形成した中間薄膜層によって、基板上に形成され
た薄膜層間の密着の強固なものとなる。
ギー、および前記常温で気体となる原子の雰囲気の利用
により形成した中間薄膜層によって、基板上に形成され
た薄膜層間の密着の強固なものとなる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の高機能性薄膜の形成方法を電
気かみそり刃に対する窒化ジルコニウム(ZrN)被膜
の形成方法について図面を用いて詳細に説明する。
気かみそり刃に対する窒化ジルコニウム(ZrN)被膜
の形成方法について図面を用いて詳細に説明する。
【0017】図1は上記窒化ジルコニウムの薄膜を形成
するための真空蒸着及びイオン注入装置を示し、1は1
0-5〜10-7Torrに排気される真空チャンバ、2は該真
空チャンバ1内に配置され、図の矢印方向に10〜20
rpmの速度で回転可能にされた基板ホルダ、3は該ホル
ダ2に取り付けられたニッケル(Ni)の基板、4は電
子ビームによってジルコニウム(Zr)原子を蒸発させ
前記基板3に向けて放射する蒸発源、5は前記基板3の
方向に窒素イオン(N+)及び/または窒素ガス(N2)
を供給することができるアシストイオンガンである。
するための真空蒸着及びイオン注入装置を示し、1は1
0-5〜10-7Torrに排気される真空チャンバ、2は該真
空チャンバ1内に配置され、図の矢印方向に10〜20
rpmの速度で回転可能にされた基板ホルダ、3は該ホル
ダ2に取り付けられたニッケル(Ni)の基板、4は電
子ビームによってジルコニウム(Zr)原子を蒸発させ
前記基板3に向けて放射する蒸発源、5は前記基板3の
方向に窒素イオン(N+)及び/または窒素ガス(N2)
を供給することができるアシストイオンガンである。
【0018】次に上記装置を用いて図2に示すようなN
i素材の表面にZrN被膜を形成する本発明方法(以下I
CVD=Interface Controlled Vapor Deposition法と
略称する)について説明する。
i素材の表面にZrN被膜を形成する本発明方法(以下I
CVD=Interface Controlled Vapor Deposition法と
略称する)について説明する。
【0019】先ず、真空チャンバ1内を10-5〜10-7
Torrに排気し、アシストイオンガン5にN2ガスを供給
し、N+イオンを取り出して、これを基板3の表面に放
射する。この時のN+イオンの加速電圧は700eV、イ
オン電流密度は0.38A/cm2、アシストイオンガン5
へのN2ガス供給量は6sccmに設定した。一方、N+イオ
ンの放射と同時に蒸発源4を駆動し、Zr原子を蒸発さ
せて前記基板3の表面に放射する。この時のZrの蒸発
速度は基板3上での成膜速度に換算して650Å/分に
設定した。
Torrに排気し、アシストイオンガン5にN2ガスを供給
し、N+イオンを取り出して、これを基板3の表面に放
射する。この時のN+イオンの加速電圧は700eV、イ
オン電流密度は0.38A/cm2、アシストイオンガン5
へのN2ガス供給量は6sccmに設定した。一方、N+イオ
ンの放射と同時に蒸発源4を駆動し、Zr原子を蒸発さ
せて前記基板3の表面に放射する。この時のZrの蒸発
速度は基板3上での成膜速度に換算して650Å/分に
設定した。
【0020】以上の工程(第1工程)を30秒から1分
程度行い、基板3の表面に膜厚0.025〜0.05μ
mのZrNの第1薄膜層6を形成した。
程度行い、基板3の表面に膜厚0.025〜0.05μ
mのZrNの第1薄膜層6を形成した。
【0021】次に、アシストイオンガン5から放出され
るN+イオンの加速電圧を、図3に示すように時間経過
に従い漸次低下させてN+イオンの放射量を漸次減少さ
せると共に、N2ガスの放射量を漸次増加させ、最終的
にはN+イオンの放射を止めると共に、N2ガスの放射量
を6sccmとする。そして、N+イオン及び/またはN2ガ
スの放射と同時に、蒸発源4よりZr原子を蒸発させて
前記基板3の表面に放射する。この時のZrの蒸発速度
は基板3上での成膜速度に換算して650Å/分に設定
した。
るN+イオンの加速電圧を、図3に示すように時間経過
に従い漸次低下させてN+イオンの放射量を漸次減少さ
せると共に、N2ガスの放射量を漸次増加させ、最終的
にはN+イオンの放射を止めると共に、N2ガスの放射量
を6sccmとする。そして、N+イオン及び/またはN2ガ
スの放射と同時に、蒸発源4よりZr原子を蒸発させて
前記基板3の表面に放射する。この時のZrの蒸発速度
は基板3上での成膜速度に換算して650Å/分に設定
した。
【0022】以上の工程(第2工程)を1分程度行い、
前記ZrNの第1薄膜層6の表面に、膜厚0.05μm
を有するもう一層のZrNの中間薄膜層7を形成した。
前記ZrNの第1薄膜層6の表面に、膜厚0.05μm
を有するもう一層のZrNの中間薄膜層7を形成した。
【0023】この後、前記イオンガン5よりN2ガスの
みを前記チャンバ1内に供給すると共に、このN2ガス
雰囲気中で蒸発源4よりZr原子を基板3の表面に向か
って放射した。この時のZrの蒸発速度は基板3表面で
の成膜速度に換算して650Å/分に設定した。
みを前記チャンバ1内に供給すると共に、このN2ガス
雰囲気中で蒸発源4よりZr原子を基板3の表面に向か
って放射した。この時のZrの蒸発速度は基板3表面で
の成膜速度に換算して650Å/分に設定した。
【0024】以上の工程(第3工程)を3分から3分3
0秒程度行い、前記ZrNの中間層7の表面に、膜厚
0.20〜0.23μmを有するもう一層のZrNの第2
薄膜層8を形成した。
0秒程度行い、前記ZrNの中間層7の表面に、膜厚
0.20〜0.23μmを有するもう一層のZrNの第2
薄膜層8を形成した。
【0025】以上の三つの工程の結果、基板3表面に成
膜工程の相異なる合計膜厚0.3μmの3層のZrN被膜
が形成されることになる。
膜工程の相異なる合計膜厚0.3μmの3層のZrN被膜
が形成されることになる。
【0026】ところで、一般にアシストイオンを用いた
ときには基板3での温度上昇が7℃/分、ガス雰囲気の
みの利用では2℃/分である。
ときには基板3での温度上昇が7℃/分、ガス雰囲気の
みの利用では2℃/分である。
【0027】図4に成膜時間に対応する基板3裏面温度
を、特定のエネルギーを持ったアシストイオンを継続し
て行う場合と、ICVD法を用いて行う場合とに分けて
グラフ化した図を示す。
を、特定のエネルギーを持ったアシストイオンを継続し
て行う場合と、ICVD法を用いて行う場合とに分けて
グラフ化した図を示す。
【0028】同図において、折線1はアシストイオンエ
ネルギー900eV、折線2は700eV、折線3は500
eVで、全時間アシストイオンを供給しながらガラス基板
に成膜した場合を、折線4は従来のICVD法を用いて
最初の30秒で700eVのアシストイオンを供給し、そ
の後はアシストイオンの供給を止めてガス雰囲気中で成
膜した場合を示し、折線5は本発明のICVD法を用い
て最初の30秒で700eVのアシストイオンを供給し、
次の1分で加速電圧を700eVから漸次低下させると共
に、ガス供給量を漸次増加させ、その後はアシストイオ
ンの供給を止めてガス雰囲気中で成膜した場合を示す。
ネルギー900eV、折線2は700eV、折線3は500
eVで、全時間アシストイオンを供給しながらガラス基板
に成膜した場合を、折線4は従来のICVD法を用いて
最初の30秒で700eVのアシストイオンを供給し、そ
の後はアシストイオンの供給を止めてガス雰囲気中で成
膜した場合を示し、折線5は本発明のICVD法を用い
て最初の30秒で700eVのアシストイオンを供給し、
次の1分で加速電圧を700eVから漸次低下させると共
に、ガス供給量を漸次増加させ、その後はアシストイオ
ンの供給を止めてガス雰囲気中で成膜した場合を示す。
【0029】このようにアシストイオンを継続して用い
て形成する方法と、ICVD法を比較すると、5分のプ
ロセスで基板3の裏面では、最大で略20℃の温度差が
生じており、ICVD法によれば基板3表面を低温に保
持したまま成膜を行うことが可能であることが分かる。
また、本発明のICVD法と従来のICVD法とでは、
基板3裏面の温度差がほとんどないことが分かる。
て形成する方法と、ICVD法を比較すると、5分のプ
ロセスで基板3の裏面では、最大で略20℃の温度差が
生じており、ICVD法によれば基板3表面を低温に保
持したまま成膜を行うことが可能であることが分かる。
また、本発明のICVD法と従来のICVD法とでは、
基板3裏面の温度差がほとんどないことが分かる。
【0030】次に、表1に本発明のICVD法と、従来
のICVD法によりガラス基板上に成膜した場合の密着
性評価試験の結果を示す。なお、評価試験はダイヤモン
ド圧子を用いた連続荷重方式(0〜2kg)の引っかき試
験(スクラッチ試験)により行い、表1はこの試験によ
りガラス基板上の被膜に剥離が発生した臨界荷重値を表
している。なお、前記ガラス基板上に形成されたZrN
膜厚は0.3μmとした。
のICVD法によりガラス基板上に成膜した場合の密着
性評価試験の結果を示す。なお、評価試験はダイヤモン
ド圧子を用いた連続荷重方式(0〜2kg)の引っかき試
験(スクラッチ試験)により行い、表1はこの試験によ
りガラス基板上の被膜に剥離が発生した臨界荷重値を表
している。なお、前記ガラス基板上に形成されたZrN
膜厚は0.3μmとした。
【0031】
【表1】
【0032】表1より、従来のICVD法では臨界荷重
値が1kgであったのが、本発明のICVD法によると
1.2kgとなっており、本発明方法によればガラス基板
上に形成された被膜の密着性が向上していることが分か
る。
値が1kgであったのが、本発明のICVD法によると
1.2kgとなっており、本発明方法によればガラス基板
上に形成された被膜の密着性が向上していることが分か
る。
【0033】また、図5にアシストイオン(窒素)電流
密度に対する成膜速度、及びN/Zr組成比の関係を示
す。この時のN+イオンエネルギーは700eV、Zr蒸着
速度は650Å/分に設定した。
密度に対する成膜速度、及びN/Zr組成比の関係を示
す。この時のN+イオンエネルギーは700eV、Zr蒸着
速度は650Å/分に設定した。
【0034】この図から成膜速度はガス雰囲気のみ、即
ちアシストイオン電流密度がゼロのときの方がアシスト
イオンを用いた方より大きいことが明らかであり、N/
Zr組成比は、アシストイオン電流密度の大きさに差ほ
ど影響を受けていないことが分かる。
ちアシストイオン電流密度がゼロのときの方がアシスト
イオンを用いた方より大きいことが明らかであり、N/
Zr組成比は、アシストイオン電流密度の大きさに差ほ
ど影響を受けていないことが分かる。
【0035】斯様にして、第1工程および第2工程では
基板3の温度が余り上昇しないように極短時間の工程と
し、ガス雰囲気を用いる第3工程を相対的に長時間とし
て成膜速度と結晶性を向上させると同時に低温での形成
を可能とした。
基板3の温度が余り上昇しないように極短時間の工程と
し、ガス雰囲気を用いる第3工程を相対的に長時間とし
て成膜速度と結晶性を向上させると同時に低温での形成
を可能とした。
【0036】また、第2工程として、イオン放射量を第
1工程における放射量から漸次低減させるとともに、ガ
ス供給量を第3工程における供給量まで漸次増加させて
中間薄膜層を形成したので、第1工程で形成された第1
薄膜層との界面では、第1薄膜層と同一のZrN構造を
持ち、第3工程で形成された第2薄膜層との界面では、
第2薄膜層と同一のZrN構造を持つので、ZrN被膜間
の密着性を向上させることができる。
1工程における放射量から漸次低減させるとともに、ガ
ス供給量を第3工程における供給量まで漸次増加させて
中間薄膜層を形成したので、第1工程で形成された第1
薄膜層との界面では、第1薄膜層と同一のZrN構造を
持ち、第3工程で形成された第2薄膜層との界面では、
第2薄膜層と同一のZrN構造を持つので、ZrN被膜間
の密着性を向上させることができる。
【0037】なお、本発明の方法は、ZrN膜のみなら
ず、TiとN2等の反応の容易な金属と常温で気体となる
原子、或るいはイオン全てにおいて形成可能な方法であ
ることはいうまでもない。
ず、TiとN2等の反応の容易な金属と常温で気体となる
原子、或るいはイオン全てにおいて形成可能な方法であ
ることはいうまでもない。
【0038】
【発明の効果】以上述べた通り本発明によれば基板と被
膜との密着性に優れたアシストイオン利用の被膜形成方
法と、成膜速度が速くて結晶性のよい被膜が成形できる
ガス雰囲気利用の被膜形成方法と、アシストイオンおよ
びガス雰囲気利用の被膜形成方法と、を組み合わせるこ
とにより、基板と被膜との密着性、および被膜間での密
着性を向上させると共に、低温で成膜速度が速く、且つ
結晶性にも優れた薄膜形成方法が得られるという効果が
生まれる。
膜との密着性に優れたアシストイオン利用の被膜形成方
法と、成膜速度が速くて結晶性のよい被膜が成形できる
ガス雰囲気利用の被膜形成方法と、アシストイオンおよ
びガス雰囲気利用の被膜形成方法と、を組み合わせるこ
とにより、基板と被膜との密着性、および被膜間での密
着性を向上させると共に、低温で成膜速度が速く、且つ
結晶性にも優れた薄膜形成方法が得られるという効果が
生まれる。
【0039】従って、電気かみそり等の刃先への被膜形
成に本発明を用いることにより、刃先の摩耗を阻止し、
長期間安定した切れ味を得ることができる。
成に本発明を用いることにより、刃先の摩耗を阻止し、
長期間安定した切れ味を得ることができる。
【図1】本発明の製造方法を実施するための装置を示す
の概略断面図である。
の概略断面図である。
【図2】図1実施例の装置を用いて形成された基板表面
の被膜を示す断面図である。
の被膜を示す断面図である。
【図3】本発明の第2工程における、図1実施例の装置
を用いた場合の時間とアシストイオンガンから放出され
るN+イオンの加速電圧との関係を示す図である。
を用いた場合の時間とアシストイオンガンから放出され
るN+イオンの加速電圧との関係を示す図である。
【図4】成膜時間に対する基板裏面温度の変化を示す図
である。
である。
【図5】アシストイオン電流密度に対する成膜速度及び
N/Zr組成比の関係を示す図である。
N/Zr組成比の関係を示す図である。
1 真空チャンバ 2 基板ホルダ 3 基板 4 蒸発源 5 アシストイオンガン 6 第1薄膜層 7 中間薄膜層 8 第2薄膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−261(JP,A) 特開 昭62−164869(JP,A) 特開 平3−104884(JP,A) 特開 平3−153861(JP,A) 特開 平3−150360(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】薄膜を形成するための基板に向けて常温で
気体となる原子のイオンを放射すると同時に、蒸発源か
ら高硬度材料原子を前記基板に向けて放射することによ
って、該基板の表面に前記常温で気体となる原子のイオ
ンの作用を受けた前記高硬度材料原子から成る第1薄膜
層を形成する第1の工程と、 該第1工程において基板に放射される前記常温で気体と
なる原子のイオン量を零値まで漸次低減すると共に、該
常温で気体となる原子のガス供給量を所定値まで漸次増
加させ、同時に前記蒸発源から高硬度材料原子を前記第
1薄膜層に向けて放射することによって該第1薄膜層の
表面に中間薄膜層を形成する第2工程と、 前記常温で気体となる原子のガス雰囲気中で前記蒸発源
から高硬度材料原子を前記中間薄膜層に向けて放射する
ことによって該中間薄膜層の表面に第2薄膜層を形成す
る第3工程と、よりなる高機能性薄膜の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31473391A JP2657140B2 (ja) | 1991-11-28 | 1991-11-28 | 高機能性薄膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31473391A JP2657140B2 (ja) | 1991-11-28 | 1991-11-28 | 高機能性薄膜の形成方法 |
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1991
- 1991-11-28 JP JP31473391A patent/JP2657140B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH05148620A (ja) | 1993-06-15 |
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