JP2703419B2 - 高機能材料膜 - Google Patents
高機能材料膜Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気かみそり刃やその他
の刃物に形成される高硬度を有する材料の被膜に関する
ものである。
の刃物に形成される高硬度を有する材料の被膜に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、特開昭61-106767号公報や、特
開昭62-382号公報に、刃先に真空蒸着処理を施しながら
イオン注入処理を施し、刃先表面に硬質の混合層を形成
する技術が開示されている。
開昭62-382号公報に、刃先に真空蒸着処理を施しながら
イオン注入処理を施し、刃先表面に硬質の混合層を形成
する技術が開示されている。
【0003】ところが前者においては真空蒸着処理、及
びイオン注入処理を効果的に行うための具体的な諸条件
が開示されておらず、単なる刃先表面の改質方法の概念
の説明が開示されているだけである。
びイオン注入処理を効果的に行うための具体的な諸条件
が開示されておらず、単なる刃先表面の改質方法の概念
の説明が開示されているだけである。
【0004】また後者においては蒸着条件、イオン加速
電圧、イオン注入量等の条件が示されているものの、こ
れらの条件とは左記の硬度との関係、膜の構造と硬度及
び色調との関係については開示されておらず、どの条件
が刃物に対してもっとも適しているのかが不明瞭であ
る。
電圧、イオン注入量等の条件が示されているものの、こ
れらの条件とは左記の硬度との関係、膜の構造と硬度及
び色調との関係については開示されておらず、どの条件
が刃物に対してもっとも適しているのかが不明瞭であ
る。
【0005】このように従来の技術では刃先に高硬度の
被膜処理を行う場合において、膜の構造と硬度あるいは
色調等との関係については十分な研究がなされていなか
った。
被膜処理を行う場合において、膜の構造と硬度あるいは
色調等との関係については十分な研究がなされていなか
った。
【0006】しかも最近の電気製品の傾向として、搭載
される技術レベルの高さが商品の付加価値を高める重要
なファクタ−になっており、特に消費者に対して有効な
ファクタ−はその製品の概観及び色彩であるから、この
色彩を被膜で制御することができれば好都合となる。
される技術レベルの高さが商品の付加価値を高める重要
なファクタ−になっており、特に消費者に対して有効な
ファクタ−はその製品の概観及び色彩であるから、この
色彩を被膜で制御することができれば好都合となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記従来技術に鑑み、被膜の色彩と硬度
を、該被膜の組成により調整し、製品の付加価値を高め
る被膜を形成することである。
する課題は、上記従来技術に鑑み、被膜の色彩と硬度
を、該被膜の組成により調整し、製品の付加価値を高め
る被膜を形成することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に形成
される、高硬度材料原子と、窒素と、酸素とを成分とす
る高機能材料膜において、上記高機能材料膜の上記基板
との界面近傍は、上記高硬度材料原子と、窒素と、酸素
とを成分とし、上記膜中に含まれる酸素の割合を(膜中
の酸素の重量)/{(膜中の窒素の重量)+(膜中の酸
素の重量)}で表したときにその値が5〜80%の範囲
にあり、上記高機能材料膜の干渉によりその色調を変化
させることを特徴とする。また、上記高硬度材料原子は
ジルコニウムまたはチタンであることを特徴とする。
される、高硬度材料原子と、窒素と、酸素とを成分とす
る高機能材料膜において、上記高機能材料膜の上記基板
との界面近傍は、上記高硬度材料原子と、窒素と、酸素
とを成分とし、上記膜中に含まれる酸素の割合を(膜中
の酸素の重量)/{(膜中の窒素の重量)+(膜中の酸
素の重量)}で表したときにその値が5〜80%の範囲
にあり、上記高機能材料膜の干渉によりその色調を変化
させることを特徴とする。また、上記高硬度材料原子は
ジルコニウムまたはチタンであることを特徴とする。
【0009】
【作用】このような高硬度の被膜を刃物等に形成するこ
とにより、耐摩耗性を向上できるとともに所望の色を自
由に作ることができる。
とにより、耐摩耗性を向上できるとともに所望の色を自
由に作ることができる。
【0010】
【実施例】以下本発明の高機能材料膜を電気かみそり刃
に対する窒化ジルコニウム(ZrN)被膜について図面
を用いて詳細に説明する。
に対する窒化ジルコニウム(ZrN)被膜について図面
を用いて詳細に説明する。
【0011】図1は上記窒化ジルコニウム(ZrN)被
膜を形成するための真空蒸着及びイオン注入装置を示
し、1は10-5〜10-7Torrに排気される真空チャ
ンバ、2は該真空チャンバ1内に配置されて図の矢印方
向に10〜20rpmの速度で回転可能にされた基板ホ
ルダ、3はニッケル(Ni)の基板、4は電子ビームに
よって高硬度材料原子としてのジルコニウム(Zr)原
子を蒸発させ前記基板3に向けて放射する蒸発源、5は
前記基板3の方向に窒素イオン(N+)あるいは酸素イ
オン(O+)を放射するか、または窒素ガス(N2)ある
いは酸素ガス(O 2)を供給するかのいずれかを行うこ
とができるアシストイオンガンである。
膜を形成するための真空蒸着及びイオン注入装置を示
し、1は10-5〜10-7Torrに排気される真空チャ
ンバ、2は該真空チャンバ1内に配置されて図の矢印方
向に10〜20rpmの速度で回転可能にされた基板ホ
ルダ、3はニッケル(Ni)の基板、4は電子ビームに
よって高硬度材料原子としてのジルコニウム(Zr)原
子を蒸発させ前記基板3に向けて放射する蒸発源、5は
前記基板3の方向に窒素イオン(N+)あるいは酸素イ
オン(O+)を放射するか、または窒素ガス(N2)ある
いは酸素ガス(O 2)を供給するかのいずれかを行うこ
とができるアシストイオンガンである。
【0012】次に上記の装置を用いて本発明の高機能材
料膜を形成するいくつかの実施例について説明する。 [第1実施例]気体雰囲気中で蒸発源4より高硬度材料
の原子を基板3に向けて放射することによって被膜を形
成する方法について説明する。この時の気体としてはN
2及びO2の混合ガスを用い、蒸発源4からはZrを蒸発
させるものとする。
料膜を形成するいくつかの実施例について説明する。 [第1実施例]気体雰囲気中で蒸発源4より高硬度材料
の原子を基板3に向けて放射することによって被膜を形
成する方法について説明する。この時の気体としてはN
2及びO2の混合ガスを用い、蒸発源4からはZrを蒸発
させるものとする。
【0013】まず真空チャンバ1内にN2ガス及びO2ガ
スを1.5×10-4Torrの分圧になるように供給す
る。
スを1.5×10-4Torrの分圧になるように供給す
る。
【0014】続いて蒸発源4を駆動し、高硬度材料原子
としてZr原子を蒸発させて前記基板3の表面に放射す
る。この時のZr原子の蒸発速度は基板3上での成膜速
度に換算して650Å/min.に設定した。これによ
りZr原子とN2ガス及びO2ガスが反応し、基板3上に
O2が含まれたZrN被膜が形成される。
としてZr原子を蒸発させて前記基板3の表面に放射す
る。この時のZr原子の蒸発速度は基板3上での成膜速
度に換算して650Å/min.に設定した。これによ
りZr原子とN2ガス及びO2ガスが反応し、基板3上に
O2が含まれたZrN被膜が形成される。
【0015】以上の工程を4分30秒ほど行い、基板3
の表面に膜厚約0.3μmの、酸素を含むZrNの薄膜
を形成した。この薄膜は透光性の膜であり、硬度はビッ
カ−スで1400Hvであった。
の表面に膜厚約0.3μmの、酸素を含むZrNの薄膜
を形成した。この薄膜は透光性の膜であり、硬度はビッ
カ−スで1400Hvであった。
【0016】一方、上記の方法においてN2及びO2の混
合ガスの代わりにN2ガスのみを3.0×10-4Tor
rの分圧になるように供給するほかは同様にして被膜の
形成を行った結果、透光性の膜ができ、そのビッカ−ス
硬度は1500Hvであった。
合ガスの代わりにN2ガスのみを3.0×10-4Tor
rの分圧になるように供給するほかは同様にして被膜の
形成を行った結果、透光性の膜ができ、そのビッカ−ス
硬度は1500Hvであった。
【0017】上記の方法において膜に含まれるOのN+
Oに対する比を5〜80%の範囲で変化させることによ
って、膜の色調を変化させることができるがこのことに
ついては後述する。 [第2実施例]気体のアシストイオンを薄膜を形成する
ための基板に向けて照射すると同時に、蒸発源4より高
硬度材料の原子を基板3に向けて放射することによって
該基板3の表面に気体イオンの作用を受けた高硬度材料
原子からなる被膜を形成する方法について説明する。
Oに対する比を5〜80%の範囲で変化させることによ
って、膜の色調を変化させることができるがこのことに
ついては後述する。 [第2実施例]気体のアシストイオンを薄膜を形成する
ための基板に向けて照射すると同時に、蒸発源4より高
硬度材料の原子を基板3に向けて放射することによって
該基板3の表面に気体イオンの作用を受けた高硬度材料
原子からなる被膜を形成する方法について説明する。
【0018】まず真空チャンバ1内を10-5〜10-7T
orrに排気し、アシストイオンガン5にN2及びO2ガ
スを共に1.5×10-4Torrになるように供給する
ことによってN+及びO+イオンを取り出し、これら各イ
オンを基板3の表面に照射する。この時のN+及びO+イ
オンの加速電圧は250eV、イオン電流密度は0.2
mA/cm2で設定した。
orrに排気し、アシストイオンガン5にN2及びO2ガ
スを共に1.5×10-4Torrになるように供給する
ことによってN+及びO+イオンを取り出し、これら各イ
オンを基板3の表面に照射する。この時のN+及びO+イ
オンの加速電圧は250eV、イオン電流密度は0.2
mA/cm2で設定した。
【0019】また、前記N+及びO+イオンの照射と同時
に蒸発源4を駆動し、Zr原子を蒸発させて基板3の表
面に放射する。この時のZrの蒸発速度は基板3上での
成膜速度に換算して650Å/min.に設定した。
に蒸発源4を駆動し、Zr原子を蒸発させて基板3の表
面に放射する。この時のZrの蒸発速度は基板3上での
成膜速度に換算して650Å/min.に設定した。
【0020】以上の工程を4分30秒程度行い、基板3
の表面に膜厚約0.3μmの、酸素を含むZrNの薄膜
を形成した。この膜もやはり透光性を有しビッカ−ス硬
度は1450Hvであった。
の表面に膜厚約0.3μmの、酸素を含むZrNの薄膜
を形成した。この膜もやはり透光性を有しビッカ−ス硬
度は1450Hvであった。
【0021】一方、上記の方法においてO2ガスの供給
を行わず、N2ガスを3.0×10-4Torrの分圧に
なるようにアシストイオンガンに供給する他は同様にし
て被膜の形成を行った結果、透光性の膜ができ、そのビ
ッカ−ス硬度は1500Hvであった。
を行わず、N2ガスを3.0×10-4Torrの分圧に
なるようにアシストイオンガンに供給する他は同様にし
て被膜の形成を行った結果、透光性の膜ができ、そのビ
ッカ−ス硬度は1500Hvであった。
【0022】上記の方法においても膜に含まれるOのN
+Oに対する比を5〜80%の範囲で変化させることに
よって、膜の色調を変化させることができるがこのこと
については後述する。 [第3実施例]常温で気体となる原子のイオンを薄膜に
形成するための基板に向けて照射すると同時に蒸発源よ
り高硬度材料の原子を前記基板に向けて放射することに
よって、該基板の表面に前記イオンの作用を受けた高硬
度材料原子からなる第1薄膜層を形成するとともに、前
記気体の雰囲気中で前記蒸発源より高硬度材料を前記第
1薄膜層に向けて放射することによって該第1薄膜層の
表面に第2薄膜層を形成する被膜の形成方法について説
明する。尚、この時の被膜の断面図を図2に示す。
+Oに対する比を5〜80%の範囲で変化させることに
よって、膜の色調を変化させることができるがこのこと
については後述する。 [第3実施例]常温で気体となる原子のイオンを薄膜に
形成するための基板に向けて照射すると同時に蒸発源よ
り高硬度材料の原子を前記基板に向けて放射することに
よって、該基板の表面に前記イオンの作用を受けた高硬
度材料原子からなる第1薄膜層を形成するとともに、前
記気体の雰囲気中で前記蒸発源より高硬度材料を前記第
1薄膜層に向けて放射することによって該第1薄膜層の
表面に第2薄膜層を形成する被膜の形成方法について説
明する。尚、この時の被膜の断面図を図2に示す。
【0023】まず、10-5Torrに排気し、アシスト
イオンガン5にN2ガスを3.0×10-4Torrの分
圧になるように供給し、N+イオンを取り出して、これ
を基板3の表面に照射する。この時のN+イオンの加速
電圧は700eV、イオン電流密度は0.38mA/c
m2に設定した。
イオンガン5にN2ガスを3.0×10-4Torrの分
圧になるように供給し、N+イオンを取り出して、これ
を基板3の表面に照射する。この時のN+イオンの加速
電圧は700eV、イオン電流密度は0.38mA/c
m2に設定した。
【0024】また、N+イオンの照射と同時に蒸発源4
を駆動し、高硬度材料原子としてのZr原子を蒸発させ
て前記基板3の表面に放射する。この時のZrの蒸発速
度は基板3上での成膜速度に換算して650Å/mi
n.に設定した。
を駆動し、高硬度材料原子としてのZr原子を蒸発させ
て前記基板3の表面に放射する。この時のZrの蒸発速
度は基板3上での成膜速度に換算して650Å/mi
n.に設定した。
【0025】以上の工程を30秒から1分程度行い、基
板3の表面に膜厚0.025〜0.05μmのZrNの
第1薄膜層6を形成した。
板3の表面に膜厚0.025〜0.05μmのZrNの
第1薄膜層6を形成した。
【0026】次にN+イオンの照射を止めて、前記イオ
ンガン5よりイオン化されていないN2ガスを前記チャ
ンバ1内に供給するとともに、このN2雰囲気中で蒸発
源4よりZr原子を基板3上の前記第1薄膜層6表面に
向かって放射した。この時のZrの蒸発速度は第1薄膜
層6表面での成膜速度に換算して650Å/min.に
設定した。
ンガン5よりイオン化されていないN2ガスを前記チャ
ンバ1内に供給するとともに、このN2雰囲気中で蒸発
源4よりZr原子を基板3上の前記第1薄膜層6表面に
向かって放射した。この時のZrの蒸発速度は第1薄膜
層6表面での成膜速度に換算して650Å/min.に
設定した。
【0027】以上の工程を4分から4分30秒程度行
い、前記ZrNの第1薄膜層6表面に、膜厚0.26〜
0.29μmを有するもう1層のZrNの第2薄膜層7
を形成した。
い、前記ZrNの第1薄膜層6表面に、膜厚0.26〜
0.29μmを有するもう1層のZrNの第2薄膜層7
を形成した。
【0028】以上の二つの工程の結果、基板3表面に膜
厚0.3μmの酸素を含むZrN被膜が形成されること
になる。この時の被膜のビッカ−ス硬度は約1500H
vであり、透光性を有する膜であった。
厚0.3μmの酸素を含むZrN被膜が形成されること
になる。この時の被膜のビッカ−ス硬度は約1500H
vであり、透光性を有する膜であった。
【0029】尚、上記のように一般にアシストイオンを
用いたときには基板3での温度上昇が7℃/min.、
ガス雰囲気のみの利用では2℃/min.である。
用いたときには基板3での温度上昇が7℃/min.、
ガス雰囲気のみの利用では2℃/min.である。
【0030】図3は第3実施例においてN2ガスの分圧
を1.3×10-4〜5.0×10-4Torrまで変化さ
せて形成した膜の電気抵抗率の測定結果を示したもので
ある。この図を見るとN2ガスの分圧1.3×10-4の
とき電気抵抗率が1.5×10-3Ωcmで、また5.0
×10-4Torrのときは1.5Ωcmであってこの間
N2ガスの分圧に対して電気抵抗率の対数は比例関係に
あり、しかもN2ガスの分圧が大きくなるほど膜の抵抗
率が増大することが分かる。
を1.3×10-4〜5.0×10-4Torrまで変化さ
せて形成した膜の電気抵抗率の測定結果を示したもので
ある。この図を見るとN2ガスの分圧1.3×10-4の
とき電気抵抗率が1.5×10-3Ωcmで、また5.0
×10-4Torrのときは1.5Ωcmであってこの間
N2ガスの分圧に対して電気抵抗率の対数は比例関係に
あり、しかもN2ガスの分圧が大きくなるほど膜の抵抗
率が増大することが分かる。
【0031】ところで一般的にZrN膜の電気抵抗率は
21.1μΩcmであり、且つZrO2は絶縁体である
ことが知られている。しかも前記形成膜の組成を分析し
た結果、酸素が検出された。これらのことにより形成さ
れた膜は酸素を含んだZrN膜であることが分かった。
そして第3実施例においてN2ガスの代わりにN2ガスと
O2ガスとを用いても同様の膜が形成されることも確認
されており、第3実施例においてはチャンバ1内に残留
している酸素が膜の形成に関与したと思われる。
21.1μΩcmであり、且つZrO2は絶縁体である
ことが知られている。しかも前記形成膜の組成を分析し
た結果、酸素が検出された。これらのことにより形成さ
れた膜は酸素を含んだZrN膜であることが分かった。
そして第3実施例においてN2ガスの代わりにN2ガスと
O2ガスとを用いても同様の膜が形成されることも確認
されており、第3実施例においてはチャンバ1内に残留
している酸素が膜の形成に関与したと思われる。
【0032】上記の方法において膜に含まれるOのN+
Oに対する比を5〜80%の範囲で変化させることによ
って、膜の色調を変化させることができるがこのことに
ついては後述する。 [膜の色調調整1] 図4は上記第1〜第3実施例に記載の形成方法を用いて
酸素を含むZrN膜を形成するに際し、形成された膜中
のN及びOの総重量に対するOの重量の構成比(O/N
+O)(%)を変えて膜を形成したときのビッカ−ス硬
度(Hv)及び色調の変化を示したものである。例えば
構成比が5%のときビッカ−ス硬度は約1600Hvで
あり、色調は金色である。また構成比が80%のときビ
ッカ−ス硬度は約1150Hvであり、色調は透明度の
高い干渉色である。そして構成比が5〜80%の間では
その構成比を変化させることによって高いビッカ−ス硬
度の範囲を維持したまま透明度を変えて色調を変化させ
ることができるので、必要に応じて種々の色(金色から
干渉色にわたる)を呈する膜を形成することが可能とな
る。尚構成比が5%以下あるいは80%以上ではビッカ
−ス硬度及び色調とも殆ど変化がみられず色調の調整に
は好ましくない。 [第4実施例] 次にTiN被膜について、気体のアシストイオンを薄膜
を形成するための基板に向けて照射すると同時に、蒸発
源より高硬度材料の原子を前記基板に向けて放射するこ
とによって該基板の表面に前記気体イオンの作用を受け
た高硬度材料原子からなる膜を形成する方法について説
明する。
Oに対する比を5〜80%の範囲で変化させることによ
って、膜の色調を変化させることができるがこのことに
ついては後述する。 [膜の色調調整1] 図4は上記第1〜第3実施例に記載の形成方法を用いて
酸素を含むZrN膜を形成するに際し、形成された膜中
のN及びOの総重量に対するOの重量の構成比(O/N
+O)(%)を変えて膜を形成したときのビッカ−ス硬
度(Hv)及び色調の変化を示したものである。例えば
構成比が5%のときビッカ−ス硬度は約1600Hvで
あり、色調は金色である。また構成比が80%のときビ
ッカ−ス硬度は約1150Hvであり、色調は透明度の
高い干渉色である。そして構成比が5〜80%の間では
その構成比を変化させることによって高いビッカ−ス硬
度の範囲を維持したまま透明度を変えて色調を変化させ
ることができるので、必要に応じて種々の色(金色から
干渉色にわたる)を呈する膜を形成することが可能とな
る。尚構成比が5%以下あるいは80%以上ではビッカ
−ス硬度及び色調とも殆ど変化がみられず色調の調整に
は好ましくない。 [第4実施例] 次にTiN被膜について、気体のアシストイオンを薄膜
を形成するための基板に向けて照射すると同時に、蒸発
源より高硬度材料の原子を前記基板に向けて放射するこ
とによって該基板の表面に前記気体イオンの作用を受け
た高硬度材料原子からなる膜を形成する方法について説
明する。
【0033】真空チャンバ1内を10-5〜10-7Tor
rに排気し、アシストイオンガン5にN2ガス及びO2ガ
スをともに1.5×10-4Torrになるように供給
し、N +イオンを取り出して、これを基板3の表面に照
射する。この時のN+とO+イオンの加速電圧は250e
V、イオン電流密度0.3mA/cm2に設定した。
rに排気し、アシストイオンガン5にN2ガス及びO2ガ
スをともに1.5×10-4Torrになるように供給
し、N +イオンを取り出して、これを基板3の表面に照
射する。この時のN+とO+イオンの加速電圧は250e
V、イオン電流密度0.3mA/cm2に設定した。
【0034】一方、N+イオンの照射と同時に蒸発源4
を駆動し、高硬度材料原子としてのTi原子を蒸発させ
て前記基板3の表面に放射する。この時のTiの蒸発速
度は基板3上での成膜速度に換算して750Å/mi
n.に設定した。
を駆動し、高硬度材料原子としてのTi原子を蒸発させ
て前記基板3の表面に放射する。この時のTiの蒸発速
度は基板3上での成膜速度に換算して750Å/mi
n.に設定した。
【0035】以上の工程を4分程度行い、基板3の表面
に約0.3μmの酸素が含まれたTiN薄膜を形成し
た。この時の膜は透光性の膜であり、ビッカ−ス硬度は
1850Hvであった。
に約0.3μmの酸素が含まれたTiN薄膜を形成し
た。この時の膜は透光性の膜であり、ビッカ−ス硬度は
1850Hvであった。
【0036】又上記において、O2ガスを供給せずにN2
分圧を3.0×10-4Torrの分圧になるように供給
し、同様に膜形成を行った場合でも、透光性の膜が得ら
れそのビッカ−ス硬度は1900Hvであった。 [膜の色調調整2] 図5は上記第4実施例に記載の形成方法を用いて酸素を
含むTiN被膜を形成するに際し、形成された膜中のN
及びOの総重量に対するOの重量の構成比(O/N+
O)(%)を変えて膜を形成した時のビッカ−ス硬度
(Hv)及び色調の変化を示したものである。
分圧を3.0×10-4Torrの分圧になるように供給
し、同様に膜形成を行った場合でも、透光性の膜が得ら
れそのビッカ−ス硬度は1900Hvであった。 [膜の色調調整2] 図5は上記第4実施例に記載の形成方法を用いて酸素を
含むTiN被膜を形成するに際し、形成された膜中のN
及びOの総重量に対するOの重量の構成比(O/N+
O)(%)を変えて膜を形成した時のビッカ−ス硬度
(Hv)及び色調の変化を示したものである。
【0037】例えば構成比が5%のときビッカ−ス硬度
は約2100Hvであり、色調は透明度の高い干渉色で
ある。そして構成比が5〜80%の間ではその構成比を
変化させることによって高いビッカ−ス硬度の範囲を維
持したまま透明度を変えて色調を変化させることができ
るので、必要に応じて種々の色(金色から干渉色にわた
る)を呈する膜を形成することが可能となる。
は約2100Hvであり、色調は透明度の高い干渉色で
ある。そして構成比が5〜80%の間ではその構成比を
変化させることによって高いビッカ−ス硬度の範囲を維
持したまま透明度を変えて色調を変化させることができ
るので、必要に応じて種々の色(金色から干渉色にわた
る)を呈する膜を形成することが可能となる。
【0038】尚、構成比が5%以下あるいは80%以上
ではビッカ−ス硬度及び色調とも殆ど変化が見られず色
調の調整には好ましくない。
ではビッカ−ス硬度及び色調とも殆ど変化が見られず色
調の調整には好ましくない。
【0039】
【発明の効果】本発明は以上の説明の如く、高硬度材料
原子と、窒素と、酸素とを成分とする膜であって、該膜
中に含まれる酸素の割合を(膜中の酸素の重量)/
{(膜中の窒素の重量)+(膜中の酸素の重量)}で表
したときにその値が5〜80%の範囲にある膜であるか
ら高い硬度を有し、且つ酸素の含有量を制御するだけで
簡単に表面の色調を変化させることのできる膜が得ら
れ、電気かみそりの刃等の刃物に対し耐摩耗性能性を高
め、且つ色調の付加価値を高めることが可能となる。
原子と、窒素と、酸素とを成分とする膜であって、該膜
中に含まれる酸素の割合を(膜中の酸素の重量)/
{(膜中の窒素の重量)+(膜中の酸素の重量)}で表
したときにその値が5〜80%の範囲にある膜であるか
ら高い硬度を有し、且つ酸素の含有量を制御するだけで
簡単に表面の色調を変化させることのできる膜が得ら
れ、電気かみそりの刃等の刃物に対し耐摩耗性能性を高
め、且つ色調の付加価値を高めることが可能となる。
【図1】本発明の高機能材料膜を形成する装置の一実施
例を示す図である。
例を示す図である。
【図2】形成された基板表面の被膜を示す断面図であ
る。
る。
【図3】膜形成時の窒素分圧と膜の電気抵抗率の関係を
示す図である。
示す図である。
【図4】ZrN膜中の酸素重量構成比と膜の硬度及び色
調との関係を示す図である。
調との関係を示す図である。
【図5】TiN膜中の酸素重量構成比と膜の硬度及び色
調との関係を示す図である。
調との関係を示す図である。
1 チャンバ 2 基板ホルダ 3 基板 4 蒸発源 5 アシストイオンガン 6 第1薄膜層 7 第2薄膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−247350(JP,A) 特開 昭52−149159(JP,A) 特開 昭63−72866(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】基板上に形成される、高硬度材料原子と、
窒素と、酸素とを成分とする高機能材料膜において、 上記高機能材料膜の上記基板との界面近傍は、上記高硬
度材料原子と、窒素と、酸素とを成分とし、 上記 膜中に含まれる酸素の割合を(膜中の酸素の重量)
/{(膜中の窒素の重量)+(膜中の酸素の重量)}で
表したときにその値が5〜80%の範囲にあり、上記高
機能材料膜の干渉によりその色調を変化させることを特
徴とする高機能材料膜。 - 【請求項2】上記高硬度材料原子はジルコニウムまたは
チタンであることを特徴とする請求項1記載の高機能材
料膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3139071A JP2703419B2 (ja) | 1991-06-11 | 1991-06-11 | 高機能材料膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3139071A JP2703419B2 (ja) | 1991-06-11 | 1991-06-11 | 高機能材料膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04365848A JPH04365848A (ja) | 1992-12-17 |
JP2703419B2 true JP2703419B2 (ja) | 1998-01-26 |
Family
ID=15236817
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3139071A Expired - Fee Related JP2703419B2 (ja) | 1991-06-11 | 1991-06-11 | 高機能材料膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2703419B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109576643A (zh) * | 2018-12-27 | 2019-04-05 | 科汇纳米技术(深圳)有限公司 | 一种TiSiVN多组元复合梯度刀具涂层及其制备方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63247350A (ja) * | 1987-04-03 | 1988-10-14 | Seiko Instr & Electronics Ltd | 外装部品 |
-
1991
- 1991-06-11 JP JP3139071A patent/JP2703419B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04365848A (ja) | 1992-12-17 |
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