JP2562020B2 - 番号印刷機の番号変換制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は紙幣や有価証券などの印刷物に一連番号を印
刷する番号印刷機において、番号器の番号変換を制御す
る番号変換制御装置に関するものである。

〔従来の技術〕

紙幣や有価証券などの印刷物に一連番号を印刷する場
合には、絵柄を印刷する枚葉印刷機に付設した番号印刷
機かあるいは独立した番号印刷機が用いられる。この種
の番号印刷機は１個または複数個の番号器が外周部に装
着された番号胴と、この番号胴と周面を対接させた圧胴
とを備えており、インキ装置で番号器の印字に供給され
たインキは、番号胴と圧胴との間を通過する紙に転写さ
れて番号印刷が施される。そして番号器の印字は、機台
フレーム側に設けられた番号変換装置によつて番号胴の
１回転に１回ずつ番号変換され、これによつて紙には一
連番号が印刷される。そしてこのような番号器の印字を
変換させる番号変換装置としては、例えば特公昭58−50
870号公報に開示されたものが知られている。この番号
変換装置は、フレーム側に回動自在に枢着された円弧径
溝状の変換カムを備えており、番号器は周回時にこの変
換カムを通過することにより番号が変換されるように構
成されている。また変換カムには、ソレノイドが付設さ
れており、吸引によりレバーを介し変換カムを番号器の
周回軌跡外に回動させて番号を非変換にするように構成
されている。

また、特公昭51−17084号公報に開示されているもの
は、フレーム側に回動自在に枢着された円弧形溝状の変
換カムと、この変換カムを番号胴１回転につき１回ずつ
揺動させるカム機構と、胴抜きなどの印刷停止動作に連
動して変換カムを非作動位置で係止する係止機構とを備
えている。このように構成されていることにより、印刷
中は変換カムの揺動休止が解かれているので、番号胴が
回転すると、その１回転につき１回ずつ変換カムが揺動
して番号器の番号が変換される。印刷が停止されると、
変換カムが非作動状態で揺動を係止されるので、番号器
が周回しても番号が変換されない。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような従来の番号印刷機において
は、いずれも複数個の番号器を番号胴の外周部に円周方
向に並列させて装着した場合、そのうちの何個かが変換
した状態で停止することがあり、印刷再開時に番号が欠
番になつて印刷されると言う不都合が発生することがあ
つた。また、変換カムの作動，非作動とを胴の着脱に連
動させるものにおいては、色合わせのための試し刷り時
にも番号が変換してしまつた正規の印刷物が連番になら
ないと言う問題があつた。さらにソレノイドで変換カム
を直接揺動させるものにおいては、高速運転の場合にソ
レノイドが信号を受けてから動作が終了するまでの時間
が胴周切欠き通過時間より長いと、切欠きが来る前のタ
イミングで信号を受けなければならないが、このように
調整しておくと、低速運転の場合、切欠き部が来る前に
動作が始まつてしまうことがあつて切替タイミングの制
御が難しいと言う問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために本発明では、外周
部に番号器が円周方向に複数個設けられた番号胴と、こ
の番号胴の周面近傍にこれと平行に回動自在に軸架され
た番号変換軸と、この番号変換軸に固定され、この番号
変換軸の回動により前記番号器の番号変換用部材と係合
・非係合する番号変換部材と、この番号変換部材と前記
複数の番号器のうち回転方向における先頭の番号器の番
号変換用部材とが係合する以前に番号変換部材を係合可
能位置へ移動させ、かつ最後尾の番号器の番号変換用部
材との係合が終了したら番号変換部材を非係合位置へ移
動させるように前記番号変換軸を回動させるカム機構
と、このカム機構により前記番号変換部材を非係合位置
へ移動させるように回動させた前記番号変換軸の回動を
規制・許容する番号変換軸制御手段とを備えた。

〔作 用〕

機械が運転されて番号胴が回転すると、本刷り前の色
合わせなどのための試し刷り中は、番号変換軸制御手段
が番号変換軸の回動を規制しているので、番号器の番号
変換用部材は番号変換部材と係合せず、番号は変換され
ない。印刷が安定した時点で押釦を押すと、番号変換軸
制御手段が作動し番号変換軸の回動規制が解かれ、番号
変換部材が、複数の番号器のうち回転方向における先頭
の番号器の番号変換用部材とに係合する以前に係合可能
位置へ移動する。印刷終了に際して押釦操作または胴抜
き動作に連動して番号変換軸制御手段が作動し、最後尾
の番号器の番号変換用部材が番号変換部材との係合が終
了したらカム機構によって番号変換部材が非係合位置へ
移動し、この非係合状態が保持される。したがって、次
回の運転再開時には運転停止前に連続する連番の印字が
行われる。

〔実施例〕

第１図ないし第３図は本発明に係る番号印刷機の番号
変換制御装置の実施例を示し、第１図はこれを実施した
番号印刷機の番号胴近傍の一部破断展開正面図、第２図
は第１図のAA拡大縦断面図、第３図は第１図のＢ視側面
図である。これらの図において左右のフレーム1,2に偏
心軸受3,4を介して回転自在に軸支された番号胴５は、
中空状の胴軸６と、フレーム1,2間に位置して胴軸６上
にキーと割締めとで固定されたそれぞれ複数個ずつの番
号器装着板7,8とを備えており、各番号器装着板7,8の外
周部には、それぞれ複数個ずつの番号器9,10が、円周方
向に並列して装着されている。11は胴軸６に軸着された
胴ギアであつて、原動側のギア12と噛合つており、これ
により番号胴５は原動側から駆動されている。また、左
右の偏心軸受3,4のフレーム外突出部には、フレーム1,2
側の枢着のレバー13に一端を枢着されたリンク14の他端
が枢着されており、フレーム側のカム機構でレバー15を
揺動させることにより、レバー13とリンク14とを介して
偏心軸受3,4が回動し、番号胴５が、番号器9,10を対接
させた圧胴16に対して胴入れ，胴抜きされるように構成
されている。

番号胴５の周面近傍には、番号変換軸17が、カラー1
8,19で軸方向への移動を規制されて左右のフレーム1,2
間に回動自在に軸架されており、そのフレーム１からの
突出端には、遊端部にカムフオロア20が枢着されたカム
レバー21が軸着されている。一方、前記胴ギア11には、
小径部22aと大径部22bとからなるカム面を有する揺動用
カム22がボルト23,24で固定されており、カムフオロア2
0は、この揺動用カム22のカム面に対接されている。カ
ムレバー21の遊端部に一端を枢着されたばね軸25の他端
は、フレーム１側のスタツド26に摺動自在に嵌入されて
おり、このばね軸25上には、カムフオロア20を揺動用カ
ム22のカム面に圧接させる方向の回動力をカムレバー21
に付与する圧縮コイルばね27が装着されている。さらに
番号変換軸17上には、円弧状の係合面28aを有する複数
個の番号変換部材28が、各番号器装着板7,8に対応して
キーと割締めとで固定されており、上記カム機構で揺動
するカムレバー21と一体となつて第２図の実線位置と鎖
線位置との間で揺動するように構成されている。そして
カムフオロア20がカム面の小径部22aに対応していて番
号変換部材28が実線位置にあるときに番号胴５とともに
周回する番号器9,10が係合面28aを通過すると、番号器
9,10の番号変換用部材としてのころ29が第２図に符号29
a〜29cで示すような軌跡で移動し、番号器9,10の番号が
変換するように構成されている。すなわち、番号変換部
材28の係合面28aがころ29と係合する位置に進出するこ
とによって、ころ29が係合面28aに係合し係合面28aよっ
て押圧されころ29が移動して、番号器9,10の番号が変化
する。また、カムフオロア20がカム面の大径部22bに対
応していて番号変換部材28が鎖線位置にあるときは、番
号器9,10が周回しても番号が変換されない。そして、最
初、すなわち、番号胴５の回転方向における先頭の番号
器9,10が係合面28aに対応する面に係合面28aが鎖線位置
から実線位置へ移動し、最初、すなわち、番号胴５の回
転方向における最後尾の番号器9,10が係合面28aを通過
し終わつたときに、係合面28aが実線位置から鎖線位置
へ移動するように、揺動用カム22のカム面円周角度なら
びに位相が設定されている。

このような番号変換カム機構には、カムレバー21の揺
動を許したり移動を規制したりする番号変換軸制御手段
が設けられている。すなわち、前記番号変換軸17の下方
には、Ｌ字状に形成された作動部材としてのストツパ30
がピン31で回動自在に枢着されており、その一方の遊端
部に形成された係止片30aは、前記カムレバー21の突片2
1aと対応している。一方、ストッパ30の下方に位置して
フレーム１側に固定されたブラケツト32には、押ボタン
操作でON,OFFされるソレノイド33が装着されており、そ
のアクチユエータ34はストツパ30の他方の遊端部に枢着
されたスタツド35に摺動自在に挿入されており、アクチ
ユエータ34の先端のカラー36とスタツド35との間には、
アクチユエータ34をソレノイド33の反吸引方向に付勢す
る圧縮コイルばね37が介装されている。38は係止片30a
と突片21aとを係合させる方向の回動力をストツパ30に
付勢する引つ張りばねであつて、ストツパ30の遊端部と
フレーム１側のばね受け39との間に張架されており、カ
ムフオロア20が揺動用カム22の大径部22bに対接してい
るときに係止片30aと突片21aとの間にすき間ができてこ
れらが係合するように構成されている。

圧胴16と周面を対接させた紙取胴40と同軸上には、左
右一対のスプロケツト41が軸着されており、各スプロケ
ツト41と図示しない排紙装置側のスプロケツトとの間に
は、図に矢印で示す方向に走行する排紙チエーン42が張
架されており、左右の排紙チエーン42間には爪軸43と爪
台軸44とからなる複数組の爪竿45が一定間隔で支架され
ており、各爪軸43と爪台軸44とには、複数個の爪46と爪
台47とが互いに対応してそれぞれ並設されている。

以上のように構成された番号印刷機の動作を説明す
る。絵柄が印刷された紙は、矢印方向に回転する圧胴16
と番号胴５との間を通過するときに番号を印刷され、圧
胴16の爪から排紙チエーン42の爪46と爪台47とにくわえ
替えられ排紙チエーン42の走行により搬送されて排紙さ
れる。このような番号印刷作業においては、本刷りに先
立ち色合わせなどのための何枚かの試し刷りが行われ
る。すなわち、給紙が開始されるとカム機構によりレバ
ー15が揺動して偏心軸受が回動し、圧胴16に対し番号胴
５が胴入れされる。このとき、押ボタンによりソレノイ
ド33がOFFになつていて、ストツパ30が引つ張ばね38の
引つ張り力で第３図における反時計方向の回動力を付与
されているので、揺動用カム22の回転によりその大径部
22bがカムフオロア20に対応してカムレバー21が反時計
方向に回動して係止片30aと突片21aとが係合し、カムレ
バー21の回動が規制される。したがつて揺動用カム22が
回動しても空転しているだけであつてカムレバー21は回
動しない。この結果、番号変換部材28は第２図の鎖線位
置に回動しており、番号器9,10が周回しても番号が変換
されない。色合わせが終わり、押ボタンを押してソレノ
イド33をONにすると、アクチユエータ34が吸引されてス
トツパ30に第３図における時計方向の回動力が付与され
るので、揺動用カム22が回動してその大径部22bがカム
フオロア20に対応すると、係止片30aと突片21aとの間に
すき間ができ、ストツパ30が第３図の時計方向に回動す
る。したがつて係止片30aと突片21aとの係合が解けてこ
のあとはカムレバー21が揺動用カム22のカム面どおりの
運動をする。すなわちカムフオロア20が大径部22bから
下り傾斜面を下つて小径部22aに対応すると、カムレバ
ー21を介して番号変換部材28が第２図の実線位置へ移動
し、複数個の番号器9,10のうちの最初の番号器10から番
号が変換される。途中の番号器９（10）から番号変換が
始まることがない。

給紙不良等によつて番号胴５が胴抜きされるか、ある
いは押ボタンを押すと、ソレノイド33がOFFになり、ス
トツパ30は引つ張りばね38により第３図における反時計
方向の回動力を付与される。そして、揺動用カム22が回
動を続けてその大径部22bがカムフオロア20に対応する
と、カムレバー21が回動して突片21aが上昇するので、
ストツパ30が回動して係止片30aが突片21aと係合し、カ
ムレバー21および番号変換部材28の回動が規制される。
したがつて揺動用カム22が回動しても番号器9,10の番号
が変換されない。この場合、番号の変換停止は複数個の
うちの最初の番号器10から開始され、途中の番号器９
（10）から開始されることがない。運転再開の場合は、
前記本刷り開始の場合と同様に大径部22bを過ぎた最初
の番号器10から番号変換が開始されるので、運転停止前
と運転再開後とで印刷番号が飛び番になることがない。

なお、本実施例ではカムレバー制御手段の駆動装置と
してソレノイド33を例示したが、エアシリンダや油圧シ
リンダなどでもよい。

〔発明の効果〕

以上の説明により明らかなように、本発明によれば番
号印刷機の番号変換装置において、外周部に番号器が円
周方向に複数個設けられた番号胴と、この番号胴の周面
近傍にこれと平行に回動自在に軸架された番号変換軸
と、この番号変換軸に固定され、この番号変換軸の回動
により前記番号器の番号変換用部材と係合・非係合する
番号変換部材と、この番号変換部材と前記複数の番号器
のうち回転方向における先頭の番号器の番号変換用部材
とが係合する以前に番号変換部材を係合可能位置へ移動
させ、かつ最後尾の番号器の番号変換用部材との係合が
終了したら番号変換部材を非係合位置へ移動させるよう
に前記番号変換軸を回動させるカム機構と、このカム機
構により前記番号変換部材を非係合位置へ移動させるよ
うに回動させた前記番号変換軸の回動を規制・許容する
番号変換軸制御手段とを備えたことにより、色合わせな
どの試し刷りの場合には番号器の番号が変換せず、本刷
り開始と同時に最初の番号器から番号変換が開始される
とともに、給紙不良などによる機械停止のときには、最
後の紙まで番号変換が行われ運転再開時には最初の番号
器から番号変換が開始されるので、試し刷り紙や不正紙
などのために番号が欠番となることがなく確実に連番で
番号変換が行われ、番号印刷機としての機能が向上す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明に係る番号印刷機の番号変
換制御装置の実施例を示し、第１図はこれを実施した番
号印刷機の番号胴近傍の一部破断展開正面図、第２図は
第１図のAA拡大縦断面図、第３図は第１図のＢ視側面図
である。 ５……番号胴、9,10……番号器、17……番号変換軸、20
……カムフオロア、21……カムレバー、21a……突片、2
2……揺動用カバー、22a……小径部、22b……大径部、2
8……番号変換部材、29……ころ、30……ストツパ、30a
……係止片、33……ソレノイド、37……圧縮コイルば
ね。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外周部に番号器が円周方向に複数個設けら
   れた番号胴と、この番号胴の周面近傍にこれと平行に回
   動自在に軸架された番号変換軸と、この番号変換軸に固
   定され、この番号変換軸の回動により前記番号器の番号
   変換用部材と係合・非係合する番号変換部材と、この番
   号変換部材と前記複数の番号器のうち回転方向における
   先頭の番号器の番号変換用部材とが係合する以前に番号
   変換部材を係合可能位置へ移動させ、かつ最後尾の番号
   器の番号変換用部材との係合が終了したら番号変換部材
   を非係合位置へ移動させるように前記番号変換軸を回動
   させるカム機構と、このカム機構により前記番号変換部
   材を非係合位置へ移動させるように回動させた前記番号
   変換軸の回動を規制・許容する番号変換軸制御手段とを
   備えたことを特徴とする番号印刷機の番号変換制御装
   置。