JP2559842B2 - 半導体装置およびこれを用いた光電変換装置 - Google Patents

半導体装置およびこれを用いた光電変換装置

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JP2559842B2 JP1079932A JP7993289A JP2559842B2 JP 2559842 B2 JP2559842 B2 JP 2559842B2 JP 1079932 A JP1079932 A JP 1079932A JP 7993289 A JP7993289 A JP 7993289A JP 2559842 B2 JP2559842 B2 JP 2559842B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は半導体装置およびこれを用いた光電変換装置
に関するものである。
[従来の技術] 従来の半導体装置として、バイポーラトランジスタ
(以下、BPT)を例にとって説明する。
従来のBPTとしては、DOPOS BPT(Doped Poly Silico
n BPT)が、接合のシャロー化および高集積化の点で優
れたBPTとして知られている。
第12図は、従来のBPTの一例を示す概略断面図であ
る。図において、1は基板、2はn+埋め込み領域、3は
不純物濃度の低いn-領域、4はベース領域となるp領
域、5はエミッタ領域となるn+領域、6はチャネル・ス
トップとなるn領域、7はバイポーラトランジスタのコ
レクタ抵抗を下げるためのn+領域、101,102,103,104は
素子、電極および配線をそれぞれ分離するための絶縁
膜、200は金属、シリサイド、ポリサイド等により形成
された電極である。
ここで、基板1は、リン(Ph)、アンチモン(Sb)、
ヒ素(As)等の不純物をドープしてn型とされるか、あ
るいは、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム
(Ga)等の不純物をドープしてp型とされている。埋め
込み領域2は、必ずしもある必要はない。n-領域3はエ
ピタキシャル技術等により形成されている。ベース領域
4には、ボロン(B)、ガリウム(Ga)、アルミニウル
ム(Al)等とゲルマニウム(Ge)がドープされている。
なお、従来、エミッタ領域5としては、多結晶が用いら
れている。
このような従来の半導体装置において、ベース電流
は、主として以下に示す2成分からなる。
まず、ベースからエミッタへの正孔の拡散電流は、 JB1={(q・ni 2・DP)/(NE・LP)} ×cosh(WE/LP){exp(VBE/kT)−1} ……(1) で近似的に表される。また、エミッタから注入された電
子の再結合電流は JB2=(q・ni 2・Dn/NB・Ln) ×[{cosh(WB/LN)−1}/{sinh(WB/LN)}] ×[exp(VBE/kT)−1] ……(2) で表される。
一方、コレクタ電流は JC={(q・ni 2・Dn・)/(NB・Ln)} ×cosech(WB/LN){exp(VBE/kT)−1} ……(3) となる。ここで、qは電荷、niは真性半導体電荷密度
(Si)、NEはエミッタの不純物密度、NBはベースの不純
物密度、DPは正孔の拡散係数、DNは電子の拡散係数、LP
は正孔の拡散長(≒(DPτ1/2)、LNは電子の拡散
長、(≒(DNτ1/2),kはボルツマン定数、T絶対
温度、VBEはベース・エミッタ順バイアス電子、WBはベ
ースの厚み、WEはエミッタの厚みである。なお、τ
よびτは正孔および電子の少数キャリア寿命である。
[発明が解決しようとする課題] しかし、このような従来のBPTは、以下のような課題
を有していた。
(1)従来のBPTでは、エミッタ領域5の不純物濃度は1
019〜1021cm-3、ベース領域の不純物濃度は1016〜1018c
m-3、コレクタ領域の不純物濃度は1014〜1016cm-3程度
であったが、このようなBPTにおいては、エミッタ領域
の不純物濃度が高い(1019cm-3以上)ためにバンドギャ
ップのナローイングが起こり、このためエミッタからベ
ースへのキャリアの注入効率が低下する(すなわち電流
増幅率hFEが下がる)という課題があった。
半導体中の不純物濃度を増加してゆくと、自由キャリ
ア密度は増加(少数キャリア移動度は徐々に低下し、か
つ、バンドギャップ(禁止帯幅))の現少が出てくる。
不純物密度が1017〜1018以上では、n形あるいはP形半
導体で伝導帯、価電子帯の端からのバンド・テーリング
がおこる。
第13図(a),(b)に、半導体中のバンド構造を示
す。図において、縦軸はエネルギー、横軸は状態密度
(キャリアの入ることができる数/単位体積)を示す。
第2図(a)は不純物密度の低いn型の半導体の場合を
示す例であり、n形のドナー準位は導電帯から分離して
いる。一方、第2図(b)は高密度の不純物を含む半導
体の場合であり、ドナー準位の幅が広がってドナー帯と
なり、本来の半導体の伝導帯とエネルギー的につながっ
てしまっている。すなわち図中の縮退伝導帯を形成す
る。その結果、バンド端テーリングがおこり、バンドギ
ャップはEgからEg′になり、ΔEg=Eg−Eg′のバンドナ
ローイングがおこる。
第13図ではn形半導体の場合について説明したが、P
形半導体の高密度ドーピングにおいては価電子帯の方で
同様なバンド・テーリング生じ、バンド幅(禁止帯幅)
Egのナローイングが生ずる。
バンドナローイングの値は近似的に次式で表わせる。
ΔEg={3q2/(16πε)}{(q2・N)/(εSkT)}1/2 ……(4) なお、qは電荷、εは半導体の誘電率、kはボルツマ
ン定数、Tは絶対温度、Nは不純物密度である。
ここで、室温で、かつ、シリコン半導体の場合は、 ΔEg=22.5(N/10181/2meV ……(5) で表わされる。例えば、N=1018cm-3であれば、ΔEg
22.5meVとなる。
第14図にSiにおいてボロン(B)を高濃度ドーピング
した場合のバンドギャップのナローイングの幅を(5)
式を使って計算した例を示す。図において、横軸に不純
物密度(cm-3)、縦軸はバンドギャップのナロー化され
た幅ΔEg(meV)を示す。
バンドギャップナローイングがおこったときの本質的
なキャリア密度niは、ナローイングがない場合に比
較して、 ni=ni 2exp(ΔEg/kT) ……(6) となる。
ここで、通常、WB<Lnでかつ、JB1>JB2であるので、
電流増幅率は、概略的に hFE≒JC/JB1 ≒(LP・Dn・NE・niB 2)/(WB・Dp・NB・nie 2)× tanh(WE/Lp) =(LpDnNE/WBDpNB)tanh(WE/Lp) ×exp{(ΔEgb−ΔEge)/kT} ……(7) であり、バンドギャップのナローイングのみを考慮して
表わすと、次式となる。
hFE≒hFEO・exp{(ΔEgb−ΔEge)/kT} ……(8) なお、hFEOはバンドギャップのナローイングがない時
の電流増幅率である。
従来のBPTはエミッタの不純物濃度が1020〜1021cm-3
程度であり、ベースの不純物濃度が1016〜1018cm-3であ
るため、ΔEgeが大きく、ΔEgbはほとんどなかった。そ
のため、hPEが本質的な値より小さくなっていたのであ
る。
(2)BPTのシャロウ化を行った場合には、電流増幅率h
FEを大きくするためにはベースの不純物濃度を大きくす
る必要がある。しかし、ベースの不純物濃度を大きくす
ると、ベース・エミッタ間の耐圧が低下し、さらにベー
ス・エミッタ間のキャパシタンスが大きくなるという問
題があった。
(3)さらに、従来のBPTを用いた光電変換装置は、周
波数fTが1GHZ程度しかないため、HD(High Division;ハ
イビジョン対応のエリアセンサ)に対応できないという
課題も有していた。
これに対して、電流増幅率hFEをを大きくするための
方法として、エミッタ領域とベース領域との間に膜厚10
〜20Å程度のシリコン酸化物を形成する方法が従来試み
られていた。このようなBPTは、ベースとエミッタとの
界面形成された酸化膜により価電子帯に形成される電位
障壁によってベースからエミッタへの正孔の浸入を阻止
することができ、このため、電流増幅率を向上させるこ
とができるという長所を有していた。
第15図は、第12図に示した半導体装置のエミッタ領域
とベース領域との間にシリコン酸化物を形成した場合
の、第12図A−A′断面における通常動作時の電位を示
す図である。図において、WEはエミッタ中性領域の厚さ
を示し、WBはベース中性領域の厚さを示している。ま
た、図に示したように、エミッタ領域とベース領域との
間にシリコン酸化物が形成されていることにより、WE
の位置に電位障壁が存在する。
しかし、酸化膜による電位障壁は、価電子帯のみなら
ず伝導帯にも形成されるので、エミッタ中の多数キャリ
アである電子の流れの障害ともなり、エミッタ抵抗の原
因となっていた。従ってコレクタ電流ICの流れの障害と
もなり、電流増幅率hFEの電流依存性に傾きを生じる原
因(すなわちhFEがベース・エミッタ間電圧VBEに依存し
てしまう原因)となっていた。
また、酸化膜の酸素含有量を均一に形成することが困
難であり、さらには個々のBPTによって酸素含有量にバ
ラツキが生じるため、BPTの特性にバラツキが生じると
いう課題も有していた。
特に、個々のBPTの特性バラツキが問題となる線形I
C、ラインセンサ等においては、この影響が顕著であ
り、重要視されていた。
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するために
なされたものであり、特性のバラツキが少なく、電流増
幅率hFEが高く、かつ、周波数の大きい半導体装置およ
びそれを用いた光電変換装置を提供することを目的とす
る。
[課題を解決するための手段] 本発明の半導体装置は、第1導電型を有するエミッタ
領域と、第2導電型を有するベース領域と、第1導電型
を有するコレクタ領域と、エミッタ電極とを少なくとも
具備した半導体装置であって、 前記エミッタ領域が単結晶により形成され、 少なくとも前記エミッタ領域内の前記ベース領域との
界面近傍において、キャリア濃度が1×1019cm-3以下で
あり、 前記エミッタ電極と前記エミッタ領域との間に不純物
濃度が1×1019〜1×1021cm-3の高濃度エミッタ領域を
有し、 前記ベース領域に不純物としてBおよびGeが添加さ
れ、かつ、該Geの濃度が該Bの濃度よりも大きいことを
特徴とする。
上記特徴において、ベースの不純物濃度は1×1018cm
-3以上である。
上記特徴において、ベースの不純物濃度は1×1020cm
-3以下である。
上記特徴において、前記Geの濃度が前記Bの濃度の8.
25倍以上である。
上記特徴において、前記エミッタ領域内の前記高濃度
エミッタ領域との界面付近の不純物濃度をNE1とし、前
記高濃度エミッタ領域の不純物濃度をNE2としたとき、N
E2>eNE1である。
本発明の光線変換装置は、上記の特徴を有する半導体
装置を用いたことを特徴とする。
[作用] 本発明によれば、以下の理由により、特性のバラツキ
が少なく、電流増幅率hFEが高く、かつ、周波数の大き
い半導体装置およびそれを用いた光電変換装置を提供す
ることができる。
従来、ベースとエミッタとの界面形成されていた酸化
膜を除去したので、特性のバラツキを少なくすることが
でき、また、電流増幅率hFEがVBEに依存しないようにす
ることができる。
エミッタ領域が単結晶により形成したことにより、少
数キャリア(正孔)の拡散長を多結晶シリコンにより形
成した場合よりも大きくすることができ、これによっ
て、ベースからエミッタへの正孔の拡散電流を増加させ
ることができるので、電流増幅率hFEを向上させること
ができる。
エミッタ領域内の前記ベース領域との界面近傍におい
て、キャリア濃度を1×1019cm-3以下としたので、バン
ドギャップナイローイングが起こらないようにすること
ができる。
エミッタ電極と前記エミッタ領域との間に不純物濃度
が1×1019〜10×1021cm-3の高濃度エミッタ領域を設け
たので、正孔を阻止し、オーミック抵抗を小さくするこ
とができる。
ベース領域に不純物としてBおよびGeを添加したの
で、混晶の効果とバンドギャップナローイングの効果と
を同時にもたせることができ、したがって、ベースのバ
ンドギャップを小さくし、同時にエミッタ注入効率を向
上させることができる。
このようなBPTを用いて光電変換装置を構成すること
により、周波数の大きい光電変換装置を提供することが
できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(エミッタ領域) 本発明のBPTでは、上記およびに示したように、
ベースとエミッタとの界面に形成されていた酸化膜を除
去し、かつ、エミッタ領域を単結晶シリコンにより形成
した。
上述のように、従来のBPTではベースとエミッタとの
界面に酸化膜が形成されていたので、電流増幅率hFE
大きくすることができた。上記(1)式で、エミッタの
厚みWE′を微小にしてゆくと、JB1′が小さくなり、従
ってhFEは次式で表わされる。
hFE=JC/(JB1+JB2) ……(9) ベースとエミッタとの界面に酸化膜が形成されている
場合、ベースからエミッタへの正孔の拡散電流は、以下
のようになる。
JB1={(q・ni 2・Dp)/(NE・Lp)} ×tanh(WE/Lp){exp(VBF/kT)−1} ……(10) ここで酸化膜を取り除くと、ベースからエミッタへの
正孔の拡散電流は上記(1)式で表されるようになり、
少数キャリアである正孔の拡散長LPが小さくなり、この
ためJB1が大きくなり、従って電流増幅率hFEは小さくな
る。
この課題を解決するために、本発明ではエミッタを単
結晶シリコンにより形成した。エミッタを単結晶シリコ
ンにより形成した場合、エミッタ中の少数キャリアであ
る正孔の拡散長LPが大きくなり、従って、電流増幅率h
FEはエミッタを酸化膜のない多結晶シリコンにより形成
した場合よりも大きくなる。
また酸化膜を除去したことにより、電流増幅率hFEがV
BEに依存しないようにすることができる(但し、exp(V
BE/kT)〉〉1の条件下)。
第2図は、hFEのVBE依存性を模式的に示したグラフで
ある。図において、縦軸はhFE、横軸はVBEである。図
中、の領域は通常(1)〜(3)および(9)式で表
わせる電流領域であり、の領域は大電流領域なので
(1)〜(3)および(9)式では表わしきれない。
例えば、従来のDOPOS BPTでシリコン酸化膜が10Å程
度のときには、図中(b)で示したように、領域で電
流増幅率hFEがVBEに依存する。さらにSiO2を厚くする
と、図中(a)で示したように依存性は大きくなる。こ
れにたいして、全く酸化膜をなくした場合は、hFEのVBE
依存性は、図中(c)で示したように無視できる程に小
さくなった。hFEがVBE依存性をもつ原因をJBとJCに分け
て検討したところ、ベース電流JBはexp(VBE/kT)にほ
ぼ比例していたが、コレクタ電流JCはJC∝exp(VBE/nk
T)で表わされることが解った。n値は、薄いシリコン
酸化膜(10〜30Å)があるときには、1.01〜1.05程度に
なり、通常より1〜5%程度大きくなっていた。このた
めに、hFEがVBE依存性を有していたのである。すなわ
ち、薄いシリコン酸化膜を取り除くことによりhFEのVBE
依存性をなくすことができたのは、このためであると思
われる。また、薄いシリコン酸化膜があるときにn値が
大きくなるのは、シリコン酸化膜による伝導帯側の電位
障壁がエミッタからベースへの電子注入に影響を及ぼし
ているためであると思われる。
ここで、n値をn=1+δ(δ≪1)とし、 JB≒JBO・exp(VBE/kT) ……(11) JC≒JCO・exp(VBE/(1+δ)kT) ……(12) として、hFE=JC/JBを求めると、 hFE≒(IEO/IBO)(1−δ/kT・VBE) ≒hFEO(1−δ/kT・VBE) ……(13) となり、hFEのVBE依存性を求めることができる。常温で
はkT≒0.025Vであるため、δ=0.01(n=1.01),VBE
1Vであるとすると、hFE=0.6hFEOとなり、VBE=0Vのと
きに対して40%も変化することになる。VBE=1VでのhFE
の変化を5%以内におさえるにためは、δ≦1.25×10-3
でなければならない。このように、エミッタ中の電位障
壁はBPTのhFE特性に非常に大きな影響を与える。
BPTをセンサーとして使用する場合はhFEのVBE依存性
は光入力対電気出力比(r値)に大きな影響を及ぼす。
また、各素子を均一に製造する場合も大きな問題とな
る。
この電位障壁の大きさは、n+型エミッタにおいては伝
導体でkT程度までは許すことができるが、それ以上であ
ると電気特性に影響が出ると言える。p+形エミッタにお
いては当然価電子帯の電位障壁が問題となる。
半導体のフェルミレベルは近似的に次式で表わされ
る。
n型半導体 EF−Ei=kT・ln(ND/ni) ……(14) p型半導体 Ei−EF=kT・ln(NA/ni) ……(15) ここに、EFはフェルミレベル、NDはn形不純物の密
度、NAはp形不純物の密度である。
しかし、上記(14)式および(15)式はボルツマン統
計の使用できる範囲でのみ成立し、不純物密度がフェル
ミディラック統計が適用されるような高濃度であるばあ
いには上記(14)式および(15)式からずれてしまう。
第3図にSiにおけるフェルミレベルEFとキャリア密度
との関係を示す。図において、横軸は、kTで規格化され
たエネルギーであり、n形半導体の場合は(EF−EC)/k
T、p形半導体の場合は(EV−EF)/kTである。なお、
EC,Evはそれぞれ伝導体、価電子帯端のエネルギーであ
る。また、縦軸はキャリア密度(cm-3)であり、常温で
は不純物密度とほぼ等しい。図からわかるように、規格
化エネルギーが零のときはフェルミレベルがEC,Evと一
致し、それより高濃度であるとEFは帯止帯の中にはな
く、バンド帯の中に入り込む。このときの不純物濃度
は、n形で2.1×1019cm-3、p形で8×1018cm-3であ
る。
図中、1点鎖線で示した線はボルツマン統計を使用し
た場合を示すが、規格化エネルギーが−1より大きい場
合には、両方の統計で差が生じ、フェルミディラック統
計を使わないとフェルミエネルギーは正確に評価できな
い。
n形とp形の差はバンド構造の違いおよび有効質量の
差から生ずる。また、材料が異なれば当然この値は異な
る。
(高濃度領域) 本発明ではエミッタ表面に1019cm-3以上の高濃度領域
を作成している。このときの電位分布図は、第4図に示
すようになり、エミッタ中に電位障壁ΔEBができてい
る。この電位障壁は第4図で示したキャリア濃度に対す
るフェルミ準位差によって生ずる。この電位障壁により
ベースから注入された正孔が阻止され、ベース電流が減
少し、hFEが改善される。
正孔阻止の効果を得るためには、ΔEB>kTとなるよう
に不純物濃度を設定すればよい。また、ΔEB>2kTにす
ると効果が大きくなり、ベースから注入された正孔の再
結合による電流はベースとエミッタとの間に薄いシリコ
ン酸化膜を形成した場合と近似的に同じ式、すなわち
(1)式で表わすことができるようになる。このとき、
WE′≪LPとすると、JB1は小さくなり、BPTのhFEが改善
される。
エミッタ内のベース近傍の不純物濃度をNE1とし、高
濃度領域の不純物濃度をNE2とすると、(14)式より、
近似的に NE2>eNE1 ……(16) の条件で、ΔEB>kTとなる。正確には、第3図のデータ
を使いてNE1、NE2を決めることができる。ここに、ΔEB
≧kTはNE2≧eNE1と等価である。なお、WE′は<少なく
とも、2WE′≦LPとしなければ、効果は少ない。
(ベース領域) 本発明では、ベースの不純物濃度を高くすることによ
り、電流増幅率hFEを向上させることができる。
例えば、上述の(8)式において、エミッタの不純物
密度を1018cm-3とし、ベースの不純物密度を1019cm-3
すると、ΔEgb−ΔEge≒50meVであり、従ってhFE≒74h
FEOとなる。
ベースの不純物としては、Bを用いることが望まし
い。
P形不純物は、n形不純物であるリン(P)、ヒ素
(As)に比較して、シリコン中の溶解度が低い。第5図
にシリコン中の不純物の固相での溶解度のデータを示
す。横軸に温度(T℃)、縦軸に固相中の溶解度を示
す。P形不純物としては、B、Ga、Al等があるが、Bが
最も高濃度まで溶解することができる。固溶度以上にド
ープすると、半導体装置の製−造工程中にSi中に析出
し、欠陥ができ、BPTの特性に悪影響を及ぼす(但し、
プロセスの温度に依存する)。
以上の理由により、最も安定に高濃度までドープでき
るBが、P形不純物として最適である。
また、本発明では、Bとともに、Geをベースに添加す
る。Geを添加するのは、 本発明では、Bと同時にGeをベース領域にドープす
る。
Geをドープするのは、バンドギャップを狭くするため
である。
GeはSiよりバンドギャップが小さい。Siのバンドギャ
ップがEgSi≒1.1eVであるのに対し、Geのバンドギャッ
プはEgGe≒0.7eVである。また、Si1-xGexと結晶組成を
すると、近似的に次式で表わされる。
Eg′=EgSi−X(EgSi−EgGe) ……(17) したがって、X=0.1であるとすれば、ΔEg(=Eg
−EgSi)は約20meVである。
次に、Geの濃度限定について説明する。
本発明においては、Geの濃度は、Bの濃度の8.25倍以
上にすることが望ましい。以下、この理由について説明
する。
高濃度に不純物をドープした場合、その不純物の、Si
中における四面体原子半径が問題となる。Siはダイヤモ
ンド結晶なので、四面体結合を組み、その時の原子半径
rが問題となる。原子半径の差を100×(rGe−rSi)/r
Siで表わすと、Bの場合、ほぼ−25である。
Geの100×(rGe−rSi)/rSiは、ほぼ+4である。す
なわち、Siよりも4%大きい。理想的には、Bに対する
Geのドープ量を25/4=8.25倍にすると、完全に格子の歪
補正ができる。
しかし、本発明では、例えばイオン注入によりベース
のp領域も不純物濃度の分布をもたせる如く作製するの
で、上記格子歪が発生しにくい構造になり、Geをこのよ
うな濃度に限定する必要はない。従って、バンドギャッ
プを狭くするために、Geのドープ量は、Bのドープ量の
8.25倍よりも大きくしたほうがよい。
なお、Al,GaをP形不純物として使用した場合には(A
l,Gaともに、100・(r−rSi)/rSi≒+8)、格子歪を
補正するための添加物として、原子半径が小さいもの、
例えばカーボン(C)が使用可能であるが、Si1-xCx
バンドギャップが大になる方向であるため、バンドギャ
ップナローイングと反対の性質をもち、良い組み合わせ
でない。BとGeがP形ベースとして最も良いといえる。
ベース濃度の下限値は、バンドテーリングで決めるの
で、1×1018cm-3である。一方ベース濃度の上限は、第
5図の固溶限であるので、ほぼ1×1020となる。
(エミッタ濃度) ベースの濃度を高くすると、エミッタとの接合の耐圧
が下がる。通常のICで使用するときは耐圧は少なくとも
2V以上必要である。安全をみて、3Vとした方がよい。
pn接合の耐圧は、通常、1017cm-3以下ではなだれ増倍
で決まるが、1017cm-3以上ではトンネル電流も影響する
ようになる。さらに、1018cm-3以上の場合はトンネル電
流だけで決まる。従って、3V程度の耐圧となる領域で
は、耐圧は主にトンネル電流によって決まる。ここに、
トンネル電流は、近似的に次式で表わされる。
Jt={(2m1/2q3・ε・V}/{4・π・h・Eg 1/2} ×exp{(−4・m*1/2・Eg 3/2)/(3・q・ε・h)} ……(18) 但し、εは電界(V/m)、Egはバンドギャップ、Vは
印加電圧、mは有効質量、qは電荷、hは(ブランク
定数/2π)である。シリコンの場合であれば、(18)式
は、以下のようになる。
Jt=1.649×104・ε・V・exp[−3.052×109/ε]……
(19) ここで、V=3[V]とすれば、ε=1MV/cmとすると
Jt=2.75×10-5A/cm2である。ε=1.5MV/cmとするとJt
=1.02A/cm2、ε=2MV/cmとするとJt=2.33×102A/cm2
である。
集積回路では、ベース・エミッタ間の耐圧は、少なく
とも2V以上は必要であるが、安全のためには、エミッタ
−ベース間の印加電圧を3Vとし、電界ε=1MV/cmとした
場合のエミッタの不純物濃度の下限よりも高い濃度とす
ることが望ましい。なぜなら、実際の半導体装置等では
エミッタサイズが小さくなり(例えば3×3μm2等)、
かつエミッタ接合の深さが浅く(例えば0.5μm近傍以
下)になると、エミッタ周辺の電流が影響して、電流が
上記(18)式および(11)式のよりも大きくなるからで
ある。
まず、エミッタの不純物濃度の下限について説明す
る。
上述のように、コレクタ電流は(3)式で表わされる
が、WB≪Ln,VBE≫kTの条件下では、 JC={(q・ni 2・Dn)/(NB・WB)}exp(VBE/kT)…
…(20) となる。通常、この式がなりたつのは少数キャリア近似
の ND≫(ni 2/NB)exp(VBE/kT) ……(21) (NDはエミッタの不純物濃度) がなりたつ範囲であり、これがくずれる領域がこのトラ
ンジスタの電流駆動限界となる。
従って、(ni 2/NB)exp(VBE/kT)をエミッタ濃度ND
でおきかえた、 JC≒q・(Dn/WB)・ND ……(22) が、このトランジスタのエミッタ濃度規定の電流駆動限
界となる。
通常のトランジスタにおいては、JCとして1×104〜1
05A/cm2は必要である。
Dn=(kT/q)μnであるからμnとして従来のデータを
用いてDnを計算し、WB=0.05,0.1,0.2μmとしてNDの下
限を計算すると、第6図(a)のようになる。
すなわち、第7図のV=6V,ε=1MV/mのNDの上限濃
度と第6図(a)の下限濃度がWBの値によって一義的に
決まる。第6図(b)は、WB=0.1μmとしてJCをパラ
メータとした資料である。
集積回路では少なくとも2V以上の耐圧は必要である
が、安全のためには、エミッタ−ベース間の印加電圧を
3Vとし、電界ε=1MV/cmとした場合のエミッタの不純物
濃度の下限よりも高い濃度とすることが望ましい。なぜ
なら、実際の半導体装置等ではエミッタサイズが小さく
なり(例えば3×3μm2等)、かつエミッタ接合の深さ
が浅く(例えば0.5μm近傍以下)になると、エミッタ
周辺の電流が影響して電流が大となるからである。
次に、エミッタの不純物濃度の上限について説明す
る。
p−n接合の最大電界(階段接合近似)εと空乏層
幅Wは、次式で示すことができる。
ε=[{2q(Vbi+V)/ε}{(NB・ND)/(NB+ND)}]1/2……(23) W=[{2εs/q}{(NB・ND)/(NB+ND)}{Vbi
V}]1/2 ……(24) 但し、Vbiは拡散電位、εは誘電率、NBはベース濃
度、NDはエミッタ濃度、Vは印加電圧である。
第7図は、ε=1MV/cmとした場合のベース濃度NB
エミッタ濃度NDの関係を示すグラフであり、印加電圧V
=1、2、3、4.5Vについて示した。例えば、印加電圧
を3V以上とする場合、ベース濃度が1×1018cm-3では、
エミッタ濃度は4.5×1018cm-3以下とすればよい。ま
た、ベース濃度が5×1018cm-3であればエミッタ濃度は
1×1018cm-3以下、ベース濃度1×1019cm-3であれば9
×1017cm-3以下とすればよい。さらに、ベース濃度を1
×1018cm-3以上とするとエミッタ濃度は4.5×1018cm-3
以下がよいことになり、これが上限である。
また、加圧電圧が2.5Vで、ε=1MV/cmの場合にはエ
ミッタ濃度は1×1019cm-3となり、この場合はこれが上
限となる。
(コレクタの不純物濃度) ベース濃度を上述の如く高くすると、コレクタに対す
るベース・コレクタの耐圧が問題となる。
コレクタの濃度の上限はこの耐圧により決まる。BPT
のエミッタ・コレクタ(E−C)間の耐圧はベース濃度
が高くなるとベース・コレクタ(B−C)間の耐圧によ
り決まる。通常の5V駆動のBPTであれば、E−C間耐圧
は安全のため10Vは必要である。耐圧を10V以上とするた
めにはコレクタの濃度はNC<1.5×1017cm-3とな。3V駆
動の場合には、耐圧は6V以上あればよいから、NCは、お
よそ3×1017cm-3となる。
コレクタ濃度の下限は、電流の限界から決まる。コレ
クタ側では、ベースコレクタの接合において加速電界が
あり、高電界(105V/cm以上)ではキャリアが飽和速度V
S≒107cm/secで走行し、次の式に従う。
JC=q・n・VS ……(25) ここで、nはキャリアの数である。またnの下限はコ
レクタのキャリア濃度となる。(すなわち、n=NDが限
界)なぜなら、キャリア濃度がこれ以下の場合には、キ
ャリアによって半導体中の電荷中性が保つことができな
くなり、コレクタ抵抗が非常に高くなるからである(空
間電荷効果と呼ばれている)。しかし、空間電荷効果が
おこっても、ベースからの正孔の注入がおこり、(ベー
ス広がり効果)、この影響が緩和されるので、JCの限界
を10000A/cm2とすると、コレクタの不純物濃度は、(2
5)式から略々6×1015cm-3以上であればよい。しか
し、光電変換素子等の光の感度を優先してJCの電流限界
を犠牲にする場合は、上記下限に拘束される必要はな
い。
(ベース幅) ベース幅は、hFEの要求によって決められるものであ
るから、あえて限定はしない。
(BPTの高速化) BPTの高速化を行うときの限界を以上に述べる。
BPTの遮断周波数fTについて説明する。
一般的に解析的にfTは次式で表わされる。
1/(2πfT)={(k・T)/(q・IC) +rEE}(Cbe+Cbc)+τ+τ+rcc・Cbc ……(2
6) ここに、ICはコレクタ電流、Cbeはエミッタ・ベース
間容量、Cbcはベース・コレクタ間容量、rEEはエミッタ
の直列抵抗、rCCはコレクタの直列抵抗、LBはベース走
行時間、LCはコレクタ空乏層中の走行時間である。
fTを大にするためには、(1)式右辺の項を小さくし
なければならない。
rEEは、ほとんどオーミック接触における抵抗であ
り、表面濃度と電極に依存する。表面はn++であること
が望ましい。
rCCは、第1図中2および7で示したn+領域よりも、n
-領域の厚みに、より大きく影響される。
fTの物理的意味は、エミッタからコレクタへのキャリ
アの時間遅れであり、それをτecで表わすと、 fT=1/(2πτec) ……(27) となる。一例としてfT=10GHZをすると、τec=16psec
となる。以下、これを基準に述べる。
τはベース走行時間であり、次式で表わされる。
τ=WB 2/(ηDB) ……(28) ベースが一様ドープの場合、η=2であり、電位勾配
εb1がある場合は、ηが次式となる。
η≒2{1+(εb13/2} ……(29) ここに、ε=2DBBWBである。εbi=0であり、
かつ、NB=1018cm-3、μn=300cm2/sec・V、WE0=0.1
μmとすると、τ=13psecとなり、ベースの走行時間
は非常に長い。拡散で走行するため遅いのである。
τVCはコレクタ空乏層の走行速度であり、次式で表わ
せる。
τVC=WBC/2vS ……(30) ここに、WBCはベースコレクタ間空乏層幅、VSは走行
速度である。通常、VSの飽和速度は107cm/sec(但し、
>105V/m)なので、WBC=0.1μm,0.5μm,1μmとする
と、τVC=0.5psec,2.5psec,5psecである。WBCは、1μ
m以下になるようにベース、コレクタの濃度を決める。
τ(エミッタ充電時間)について説明する。
通常、Cbe≫Cbc、エミッタ面積AE=1.5×1.5μm2であ
れば、JC=104〜105A/cm2の高電流まで使用するので、I
C=JC・AE=0.225〜2.25mA、kT/qICは111〜11.1Ωとな
る。
ここで、エミッタ充電時間は、 τe={kT/(q・IC)+γEE}{Cbe+Cbc} ≒(kT/qIC+rEE)Cbe ……(31) であるから、JC=104A/cm2、kT/q・IC・γ≫γEEより、
τe<5psecとすると、kT/qIC・Cbe<5psecとなり、Cbe
<5×10-12・qIC/kT=4.5×10-14Fとなる。従って、例
えばcbeが45fF以下ならτは5psec以下、cbeが10fFの
場合、τは1psecとなる。Cbeは10fF以下のときは、τ
のスピードは全く問題ない。また、高電流ではτ
全く問題ない。
コレクタ充電時間τは(1)式右辺の最終項であ
り、 τ=rCC・(ε・S)/WBC ……(32) である。ここで、S=4×4μm2とすれば、LC=r
CC(1.66×10-19)/WBC<1psecよりrCC<6×106WBC
あるから、WBC=0.1μmであってもrCC<60Ω以下とす
れば問題なくなる。
ベースのキャリア濃度は、注入少数キャリアの数ni 2/
NBexp(VBE+ΔEg/kT)より多ければよい。この場合、
電荷中性を保つことができる。すなわち、 NB≫ni 2/NBexp(VBE+ΔEg/kT) ……(33) であればよい。
NBがniexp(V+ΔEg/2kT)近傍になると、空間電荷
効果が表われて、ベース中の抵抗が急激に高くなる。
次に、ベースコレクタ間の空乏層の幅WBCにより、ベ
ースコレクタの不純物密度を検討する。
WBCと、ベースに広がる空乏層幅xpは、 WBC=[{(2ε)/q}{(1/NB)+(1/NC)} ×{(kT/q)・ln(NB・NC/ni 2)+VR}]1/2 ……(3
4) xp={NC/(NB+NC)}・WBC ……(35) により表わすことができる。
ΔEg=0.1eV,室温,VR=5Vの一定条件下での、コレク
タ不純物密度NBが1×1016cm-3,3×1016cm-3,6×1016cm
-3のときの、空乏層厚みWBCとxp(μm)との関係を第
8図に示す。例えばNC=3×1016cm-3ではWBC=0.35μ
mとなり、(29)式のτVCは、1.75psecとなり、問題な
い。また、WBは(27)式より0.1μm以下でなければな
らないから、ベース・コレクタ間の印加電圧が5Vの場
合、xpは少なくともxp<WBとなり、第11図から、NBはほ
ぼ2×1017cm-3以上である必要がある。
以上の説明から明らかなように、本発明BPTでは、電
流駆動条件をJC=5×104A/cm2とすると、 コレクタ不純物密度 NC>3×1016cm-3 ベース不純物密度 NB>2×1017cm-3 (但し、ベース幅WB=0.1μm) エミッタ不純物密度 ND>2×1717cm-3 とまとめることができる。
また、エミッタサイズをAE=1.5×1.5μm2、ベース面
積をAB=4×4μm2、エミッタベースを電バイアス、ベ
ース・コレクタ=+5Vとすると、 Cbe=3.6fF Cbc=4.9fF WBC=0.35μm であり、CVCは充分小さくなる。また、τは基本
的にはτに逆比例し、大電流域では極めて小さくな
る。τecの下限を決めるのはベースの走行時間τであ
る。通常は拡散によるためτがfTの上限を決めてしま
う。
[実施例] (実施例1) 第1図は本発明の一実施例に係わる半導体装置を示す
概略的断面図である。図において、第15図を同じ符号を
付した部分は、それぞれ第15図と同じものを示す。但
し、本実施例に係わる半導体装置は、以下の点で従来の
半導体装置とことなる。
ベース領域4とエミッタ領域5との界面に形成されて
いたシリコン酸化膜を除去した。
エミッタ領域5を単結晶シリコンにより形成した。
エミッタ領域5内のベース領域4との界面近傍の不純
物濃度を1×1019cm-3以下とし、バンドギャップナロー
イングが起こらないようにした。
エミッタ電極200とエミッタ領域5との間に不純物濃
度が1×1019〜1×1021cm-3の高濃度エミッタ領域9を
設けた。
ベース領域4に不純物としてBおよびGeを添加し、ベ
ース領域の格子歪を補正し、バンドギャップがナロー化
をおこるようにした。
次に、第1図に示した半導体装置の製造プロセスにつ
いて説明する。
p型あるいはn型基板1に、As,Sb,P等をイオン注
入、不純物拡散等することにより、n+埋め込み領域2
(不純物濃度1×1016〜1019cm-3)を作製した。
エピタキシャル技術等により、n-領域3(不純物濃度
1×1014〜1017cm-3)を作製した。
コレクタの抵抗を減少させるためのn+領域7(不純物
濃度1×1017〜1020cm-3)を形成した。
イオン注入、熱拡散等により、チャンネルストップ6
を形成した。
素子分離領域101を、選択酸化法、CVD法等により作成
した。
ベース領域4を作製し、GeとB(Bの代りにBF2,Gu等
を用いてもよい)をイオン注入し(例えばBであれば、
3×1014/cm2、40keV)、900℃で20分間の熱処理を行な
った。
酸化膜102にエミッタ・コンタクトを開口した後、薄
い酸化膜が介在しない様にエミッタ領域5を作成した。
本実施例では、900℃、10Torr、H2雰囲気の条件下でエ
ピタキシャル法により表面清浄化を行なった後、850〜9
00℃、50Torr、SiH2Cl2+H2雰囲気で、エピタキシャル
成長により、エミッタ層5を作成した。このとき、エミ
ッタ開口部は単結晶シリコンになるが、SiO2は多結晶シ
リコンになる。
シリコンに、As,Ph等のn型不純物をイオン注入(例
えばPhであれば、不純物濃度2.5×1014cm-2、加速電圧6
0kV)し、1000℃で30分の熱処理を行なった後、再度表
面にn型不純物をイオン注入し、急速加熱(1000℃、30
分)によりエミッタ、ベースの不純物分布をくずさない
ように熱処理を行なう。
追加熱処理を行なった後、絶縁膜103を堆積し、これ
をアニールした後、コンタクトの開口を行なった。
電極200となるAl−Siをスパッタし、その後、Al−Si
のパターン化を行なった。
Al−Si電極のアロイ後104のパッシベーション膜を作
成した。
以上のプロセスにより第1図に示したBPTを作成し
た。ここで、本発明で最も重要なプロセスは、ベースを
作製する工程、エミッタの単結晶を作成する工程お
よびエミッタ中の不純物の分布を作成する工程であ
る。以下、これらの工程について、より詳細に説明す
る。
ベースを作製する工程は、Geのイオン注入によって
プリアモルファス化することによりベースの浅化と、Ge
をドープすることによる結晶的な効果がある。BPTの高
速化をはかるためには、ベースを高濃度化し、しかも浅
くする必要がある。
エミッタ作成工程では、下部シリコンの間にうすい
酸化膜を介在さると、よい単結晶Siが堆積できない。上
記プロセスでは、H2減圧下の還元作用によって、自然酸
化膜を除去したが、他の方法としては、HFガス、真空中
での元素イオンによるスパッタ等の表面清浄化も有る。
また、堆積法とそても、プラズマCVD、スパッタによるC
VD等、種々の方法が有る。重要なのは、堆積中のベース
からエミッタへの不純物の拡散をおさえることであり、
通常900℃以下のプロセスであれば、この拡散をおさえ
ることができる。
エミッタ中の不純物の分布を作成する工程で、エミ
ッタベース接合部から不純物濃度の低い領域(LO)と高
い表面積(HI)を作成(LO−HI構造)する方法として
は、不純物導入法、熱処理条件等があり、分布を作成す
るためには最も重要である。
エミッタSiの堆積、不純物分布、不純物活性化等は、
低温熱工程(<900℃程度)または急速熱処理法(例え
ばランプ加熱、レーザ熱処理等)によって達成できる。
以上のようにして作製したBPTについて、特性の評価
を行なったところ、電流増幅率および周波数特性が向上
していた。
(実施例2) 第9図は本発明の他の実施例である。
本実施例は、エミッタが102の絶縁中に埋め込まれて
いる点で実施例1と異なる。
このようなBPTの特性を評価したところ、実施例1で
示したBPTと同等の特性を示した。
(実施例3) 本発明の第3の実施例として、実施例1に示したBPT
を用いた光電変換装置の一例について説明する。
第10図は、本実施例に係わる光電変換装置の概略的回
路図である。
本実施例では、センサS(S1、S2…)がライン状に配
列されたラインセンサについて説明する。
各センサSは、バイポーラトランジスタと、そのベー
スに接続されたリセットトランジスタQresとから構成さ
れる。バイポーラトランジスタのベースに入射光により
励起されたキャリアが蓄積され、エミッタへ続出され、
そしてQresをONすることで一定電位にリセットされる。
各センサSのQresのゲート電極には、ON/OFF制御する
ためのパルスφresが入力し、Qresの他方の主電極に
は、一定電圧Vbgが印加されている。
各センサSのコレクタ電極には一定の正電圧が印加さ
れており、エミッタ電極は垂直ラインL(L1、L2…)に
各々接続されている。
各垂直ラインLには、トランジスタQvrsを介して、一
定電圧Vegが印加され、Qvrsのゲート電極にはON/OFF制
御のためのパルスφvrsが入力する。
また、各垂直ラインLには、蓄積用キャパシタCtに各
々接続され、更にトランジスタQtを介して、BPT2から信
号を出力する。
(実施例4) 第11図は、固体撮像装置に第1実施例に示したBPTを
用いた場合を示す回路図である。第11図において、Trで
示した部分に、実施例1で示したBPTを使用した。
すなわち、本実施例では、BPTを光電変換素子として
用いた。
例えば、第11図に示したエリアセンサをカラーカメラ
として使用する場合には、同一の光電変換素子の光情報
を複数回読み出す動作を行う。この際、同一素子から複
数回読み出すために、1回目の読み出し時と2回目以降
の読み出し時との電気出力の比が問題となる。この値が
小さくなると、信号の補正が必要となる。
上記1回目と2回目との読み出し出力の比を非破壊度
と定義すると、非破壊度は次式で表される。
非破壊度=(Ctot×hFE)/(Ctot×hFE+Cv) ……(3
6) ここで、Ctotは第14図中Trで示される光電変換素子の
ベースに接続されている全容量を示し、ベース・エミッ
タ間容量Cbeとベース・コレクタ間容量CbcとCoxにより
決まる。CvはVL1・・・VLnで示される読み出し線路の浮
遊容量である。ただし、Coxは回路方式によっては存在
しない場合もある。
非破壊度はhFEを大きくすることにより容易に改善で
きる。すなわち、hFEを大きくすることにより非破壊度
を大きくすることができる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、半導体装置の
電流増幅率および周波数特性を飛躍的に向上させること
ができる。
従って、本発明によれば、高性能の半導体装置および
これを用いた光電変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の1実施例に係るBPTの構成を表わす概
略断面図、第2図はhFEのVBE依存性を模式的に示したグ
ラフ、第3図はSiにおけるフェルミレベルEFとキャリア
密度との関係を示す図、第4図は高濃度領域の電位分布
を示す図、第5図はシリコン中の不純物の固相での溶解
度を示すグラフ、第6図(a)はエミッタ濃度の下限と
ベース濃度との関係を示すグラフ、第6図(b)はWB
0.1のときのエミッタ濃度の下限とベース濃度との関係
を示すグラフ、第7図はε=1MV/cmのときのベース濃
度とエミッタ濃度の関係を示す図、第8図は空乏層の厚
みと空乏層の幅との関係を示す図、第9図は本発明の第
2の実施例に係るBPTの構成を示す概略断面図、第10図
は本発明の第3の実施例に係るラインセンサを示す回路
図、第11図は本発明の第4の実施例に係るエリアセンサ
を示す回路図、第12図は従来のBPTの一例を示す概略断
面図、第13図(a),(b)は半導体中のバンド構造を
示す図、第14図はシリコンにボロンを高濃度ドーピング
した場合のバンドギャップのナローイングの幅の計算値
を示すグラフ、第15図は第12図に示したBPTのエミッタ
領域とベース領域との間にシリコン酸化物を形成した場
合の第12図A−A′断面における通常動作時の電位を表
す図である。 1……基板、2……n+埋め込み領域、3……不純物濃度
の低いn-領域、4……ベース領域となるp領域、5……
エミッタ領域となるn+領域、6……チャネル・ストップ
となるn領域、7……バイポーラトランジスタのコレク
タ抵抗を下げるためのn+領域、9……高濃度エミッタ領
域、101,102,103,104……素子、電極および配線をそれ
ぞれ分離するための絶縁膜、200……金属、シリサイ
ド、ポリサイド等により形成された電極。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1導電型を有するエミッタ領域と、第2
    導電型を有するベース領域と、第1導電型を有するコレ
    クタ領域と、エミッタ電極とを少なくとも具備した半導
    体装置であって、 前記エミッタ領域が単結晶により形成され、 少なくとも前記エミッタ領域内の前記ベース領域との界
    面近傍において、キャリア濃度が1×1019cm-3以下であ
    り、 前記エミッタ電極と前記エミッタ領域との間に不純物濃
    度が1×1019〜1×1021cm-3の高濃度エミッタ領域を有
    し、 前記ベース領域に不純物としてBおよびGeが添加され、
    かつ、該Geの濃度が該Bの濃度よりも大きいことを特徴
    とする半導体装置
  2. 【請求項2】ベースの不純物濃度が1×1018cm-3以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置
  3. 【請求項3】ベースの不純物濃度が1×1020cm-3以上で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体
    装置
  4. 【請求項4】前記Geの濃度が前記Bの濃度の8.25倍以上
    であることを特徴とする請求項1〜3に記載の半導体装
  5. 【請求項5】前記エミッタ領域内の前記高濃度エミッタ
    領域との界面付近の不純物濃度をNE1とし、前記高濃度
    エミッタ領域の不純物濃度をNE2としたとき、NE2>eNE1
    であることを特徴とする請求項1〜4に記載の半導体装
  6. 【請求項6】請求項1〜5に記載の半導体装置を用いた
    ことを特徴とする光電変換装置
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