JP2558987B2 - 産業車両用ソリッドタイヤ用の加硫金型 - Google Patents

産業車両用ソリッドタイヤ用の加硫金型

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JP2558987B2
JP2558987B2 JP4040153A JP4015392A JP2558987B2 JP 2558987 B2 JP2558987 B2 JP 2558987B2 JP 4040153 A JP4040153 A JP 4040153A JP 4015392 A JP4015392 A JP 4015392A JP 2558987 B2 JP2558987 B2 JP 2558987B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加硫成形時において、
産業車両用ソリッドタイヤの表面に生じがちであった割
れの発生を防止でき、耐久性の高いタイヤを生産しうる
産業車両用ソリッドタイヤ用の加硫金型に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、空気入りタイヤを加硫するとき
は、図5に示すように、生タイヤカバーaの内部に薄い
ゴムバッグよりなる所謂ブラダーbを挿入し、このブラ
ダーbに高圧スチームを押し付けて加硫する。このブラ
ダーbは生タイヤカバーaを挿入した初期はシェーピン
グの作用をなし、加硫後はバキュームで先に充填した蒸
気を吸引して小さく折り畳む方式になっている。このた
め、生タイヤカバーaのゴム量はブラダーbの収縮量に
より調節吸収されるので、熱で膨張してもゴムが金型c
の合わせ目dから金型外にフローすることはない。
【0003】他方、ソリッドタイヤeにあっては、フォ
ークリフト等の産業車両用タイヤとして、比較的低速か
つ高荷重の下で、しかもときには釘、木片、岩石等の散
在する悪路の走行に使用されることから、損傷をうけや
すく、従ってタイヤ内部までゴムが充填された中実のノ
ーパンクのタイヤであり、耐カット性、耐摩耗性等の諸
特性とともに、リムへの挿着、嵌合が強固であり、リム
スリップを防止することが要求される。
【0004】従ってこのようなソリッドタイヤeは接地
面側fに、耐摩耗性、耐損傷性に優れたゴムからなるト
レッドゴムe1を使用し、その内側にはリムとの嵌合圧
を高めるために圧縮弾性率の高いベースゴムe2を使用
し、夫々のゴムによって要求特性を分担させてきた。
【0005】従って、このような中実に形成されたソリ
ッドタイヤを金型g内で加硫するとき前記空気入りタイ
ヤのようにブラダーを使用することができない。このた
め生タイヤの加硫中のゴムの膨張によるゴムの増加量は
金型内の容量が一定であるため、空気入りタイヤのよう
にブラダーの変形によってゴムは金型内では吸収されず
上、下モールドの合わせ目においてオーバーフローが過
剰になったとき火山の噴火口のように割れ目が生じ、タ
イヤの外観を著しく損なうことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は叙上の問題に
鑑みて加硫後のソリッドタイヤの上下金型の合わせ目に
おけるトレッド部の割れを防止しタイヤ外観を向上しう
る作業車両用ソリッドタイヤ用の加硫金型を提供とする
ことを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、リムに装着さ
れかつゴム組成物からなる環状のベースゴム層と、該ベ
ースゴム層のタイヤ半径方向外側を囲みかつ外周面がト
レッド面をなすトレッドゴム層とからなる産業車両用ソ
リッドタイヤを加硫成形するための産業車両用ソリッド
タイヤの加硫金型であって、タイヤ赤道面近傍に位置す
る合わせ面により2つ割りされた上型モールドと下型モ
ールドとを具える型本体に、前記タイヤのトレッド面を
形成しうる内向き面からタイヤ半径方向外型にのびかつ
前記合わせ面を通るゴム溜りを設けたことを特徴とする
産業車両用ソリッドタイヤ用の加硫金型である。
【0008】
【作用】従って、加硫によるゴムの膨張、又はゴムの仕
込量の変動による金型内に介在する過剰となったゴム
は、ゴム溜まりにフローして調節され、かつそのまま加
硫される。加硫後このゴム溜りにできた加硫ゴムをカッ
トすることにより、従来、発生しがちであったトレッド
ゴム層外周面の上下金型が衝合する合わせ目近傍にでき
ていたゴム割れを防止することが出来る。
【0009】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づき説明す
る。本発明に係る金型を用いて形成される産業車両用ソ
リッドタイヤ1は、図4に示す如くリムRに取付けられ
る環状のベースゴム層2と、その半径方向外側を囲むト
レッドゴム層3とからなるタイヤ基体4を具え、又タイ
ヤ基体4には本実施例ではコード補強層6が配される。
【0010】またベースゴム層2は、ビードベースライ
ンBLからの高さTCを、前記リムRのフランジRFの
ビードベースラインBLからの高さHよりも高く、タイ
ヤの半径方向断面高さTHの30〜70%の範囲に形成
される。又ベースゴム層2は、カーボンで補強され、J
ISA硬度が75度かつ90度以下のゴム組成物を用い
て形成され、該ベースゴム層2は、その内周面に、前記
リムRが嵌入、押圧されることにより該リムRに取付け
られる。なお前記ゴム組成物には短繊維等を混入して補
強することも出来る。
【0011】前記トレッドゴム層3は、その外周面がト
レッド面3Fをなし、又本実施例では、耐カット性及び
耐摩耗性に優れたゴムからなりかつタイヤのトレッド面
を形成するキャップトレッド9と、その内側のクッショ
ン性に優れるクッションゴム層10との2層体として形
成することにより車両の乗心地を改善している。
【0012】クッションゴム層10は、JISA硬度4
0〜65度の軟質ゴムとし、該ゴム層10の厚さTBは
タイヤの半径方向断面高さTHの25〜50%の範囲と
することが望ましい。又クッションゴム層10は、天然
ゴム又はブタジエン系のゴムにカーボンブラックを30
〜50PHR配合した柔軟なゴム組成物が好適に使用さ
れる。
【0013】前記キャップトレッド9は、JISA硬度
が60〜75度程度、かつ耐摩耗性、耐カット性に優れ
たゴム組成物を用いるのが好ましい。JIS硬度が60
度以下になると耐カット性、耐摩耗性に劣り、又JIS
硬度75度をこえるとグリップ性能が低下することがあ
るからである。
【0014】なおトレッドゴム層3は、クッションゴム
層10を設けることなく、キャップトレッド9のみによ
って形成することもできる。
【0015】前記コード補強層6は、有機繊維コード
を、タイヤ周方向に対して0〜5°の角度で傾けてプラ
イ6A,6Bによって、本例では、2層体として形成さ
れている。
【0016】有機繊維コードは、例えばナイロン、ポリ
エステルなどのタイヤファブリック用のコードであり、
引揃えて30%モジュラスが40〜150kg/cm2 のゴ
ムをコーティングすることにより帯状のプライ6A,6
Bが形成される。
【0017】なおコード補強層6は、2層以上の複数層
巻としてもよく、又複数回巻きするときにおいて長尺の
プライを連続して複数回巻回させてよく、短尺の1周長
さのプライを重ねて巻くのもよい。さらに1本乃至複数
本の有機繊維コードを揃えた小巾の帯状ストリップを、
螺旋状に巻装することによりプライを形成することもで
きる。
【0018】前記産業車両用ソリッドタイヤ1は、その
成形に際して加硫金型11を用いて加硫される。
【0019】加硫金型11は、合せ面Mにより衝合する
上型モールド12、下型モールド12Bとからなる型本
体12及び前記産業車両用ソリッドタイヤ1のビードベ
ース面3Fを形成しうるクリップ部13とからなり、又
クリップ部13も前記合せ面Mと略面一な分割面により
2つ割りされた上型クリップリング15と下型クリップ
リング16とによって形成される。なお本実施例では型
本体12の前記合せ面Mはタイヤ赤道C上に位置する。
【0020】型本体12には、図2に詳示する如く前記
産業車両用ソリッドタイヤ1の前記トレッド面3Fと向
き合う内向き面17にタイヤ半径方向外型にのびるゴム
溜まりRが設けられる。ゴム溜まりRは、その巾寸法t
を1.0mm〜3.0mmとしかつタイヤ半径方向の長さl
を10〜20mmとした、本実施例では断面が方形かつ内
向き面の全周に亘り環状に形成される。又ゴム溜まりR
は、上型モールド12A、下型モールド12Bの前記合
わせ目Mを通る位置に形設される。
【0021】然して加硫金型11の下型モールド12B
を図示しないプレスの下部材に、又上型モールド12A
をプレスの上部材にそれぞれ取付けるとともに、下部
材、上部材を互いに近離される動作を行うことにより、
上型、下型各モールド12A、12Bも近離し、かつ近
接により上型、下型各モールド12A、12Bは前記合
わせ面Mが図1に示す如く衝合する。
【0022】上型、下型各モールド12A、12B間に
未加硫状態の生タイヤ10Rを装填するとともに上型、
下型モールド12A、12Bを密着させ、所定の時間、
一定の加硫温度、例えば160℃で加硫される。
【0023】なお図6に示す従来の金型gを用いた場合
にはこの加硫作業により生タイヤeは に100kg/cm
2 の圧力をうけているので生タイヤeが熱で膨張された
ゴムがこの金型gの合わせ目hよりオーバーフローして
金型内の体積を一定にする。又トレッド表面のゴムから
加硫されながらトレッドゴムが内部のオーバーフローす
るため、先に加硫したトレッド面のゴムが割れ目を形成
し、この割れ目より内部のゴムがオーバーフローしてい
たのである。
【0024】しかし、ゴム溜りRを型本体12の合わせ
目Mに設けることにより、余剰なゴムがこのゴム溜まり
Rにオーバーフローすることになり、ゴム溜りR中のゴ
ムに割れ目が形成され、ソリッドタイヤ本体11のトレ
ッド面3Fには割れ目が生じなくなる。
【0025】従って、加硫後このゴム溜りRの余剰ゴム
をトレッド面3Fから切断することによりトレッド3の
表面はキレイに滑らかに仕上げることができる。
【0026】なお前記ゴム溜まりRの巾tが1.0mm未
満では、余剰ゴムのゴム溜まり切断作業に手間を要し、
作業能率が低下する。又長さlが10mm未満では、トレ
ッド面に割れ目が生じる危険があり20mmをこえると余
剰ゴムのゴム溜まりRへの進入が不完全となるからであ
る。
【0027】ゴム溜まりRは図3に示す如く半径方向外
外側に向かって巾寸度が漸減する台形状の断面に形成す
ることも出来る。巾寸度は開口側t1、奥部t2とも
1.0〜3.0mmの範囲とするのが好ましい。
【0028】
【発明の効果】叙上の如く本発明の産業車両用ソリッド
タイヤの加硫金型は、2つ割りされた上型モールド、下
型モールドを具える型本体に、タイヤのトレッド面を形
成しうる内向き面にゴム溜まりを設けることを要旨とし
ているため、生タイヤの余剰ゴムはゴム溜まりに進入し
ゴム溜まりのゴムに割れ目が生じ、この割れ目の部分を
除去することによって従来発生しがちであったトレッド
面の割れを防止でき、タイヤの見映えを向上し、かつ耐
久性を高めうる産業車両用ソリッドタイヤを経済的に提
供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す加硫金型の断面図であ
る。
【図2】本発明のゴム溜りの一実施例を拡大して示す断
面図である。
【図3】ゴム溜まりの他の実施例を拡大して示す断面図
である。
【図4】産業車両用ソリッドタイヤの断面図である。
【図5】従来の空気入りタイヤ用金型の左半分を示す断
面図である。
【図6】従来の産業車両用ソリッドタイヤ用金型の左半
分を示す断面図である。
【符号の説明】
1 産業用ソリッドタイヤ 2 ベースゴム層 3 トレッドゴム層 3A トレッド面 4 タイヤ基体 12 型本体 12A 上型モールド 12B 下型モールド 17 内向き面 C タイヤ赤道面 M 合わせ面 R ゴム溜まり l 長さ t 巾
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:24 B29L 30:00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リムに装着されかつゴム組成物からなる環
    状のベースゴム層と、該ベースゴム層のタイヤ半径方向
    外側を囲みかつ外周面がトレッド面をなすトレッドゴム
    層とからなる産業車両用ソリッドタイヤを加硫成形する
    ための産業車両用ソリッドタイヤの加硫金型であって、
    タイヤ赤道面近傍に位置する合わせ面により2つ割りさ
    れた上型モールドと下型モールドとを具える型本体に、
    前記タイヤのトレッド面を形成しうる内向き面からタイ
    ヤ半径方向外型にのびかつ前記合わせ面を通るゴム溜り
    を設けたことを特徴とする産業車両用ソリッドタイヤ用
    の加硫金型。
  2. 【請求項2】前記ゴム溜りは、その巾寸法を1.0〜
    3.0mm、かつタイヤ半径方向の長さを10〜20mmと
    したリング状に形成したことを特徴とする産業車両用ソ
    リッドタイヤ用の加硫金型。
JP4040153A 1992-01-29 1992-01-29 産業車両用ソリッドタイヤ用の加硫金型 Expired - Lifetime JP2558987B2 (ja)

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