JP2558981B2 - 低音再生装置 - Google Patents

低音再生装置

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JP2558981B2
JP2558981B2 JP3342676A JP34267691A JP2558981B2 JP 2558981 B2 JP2558981 B2 JP 2558981B2 JP 3342676 A JP3342676 A JP 3342676A JP 34267691 A JP34267691 A JP 34267691A JP 2558981 B2 JP2558981 B2 JP 2558981B2
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  • Obtaining Desirable Characteristics In Audible-Bandwidth Transducers (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は小型ながら超低音を高い
最大出力音圧レベルで再生する、MFB(モーショナル
フィードバック)を利用した低音再生装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、音楽ソースやAVソースに入って
いる超低音を、一般家庭でも十分な音量で再生すること
が重要視され、小型ながら超低音を高い音圧レベルで再
生できる低音再生装置が要望されてきている。
【0003】以下に従来の低音再生装置について、図面
を参照しながら説明する。図10に示すように、ドライ
バユニット41がキャビネット43の内部を2分割する
キャビティ分割部材43cに取り付けられ、パッシブラ
ジエータ42が外側に取り付けられている。また、ドラ
イバユニット41は電力増幅器44により駆動され、電
力増幅器44の前段にはローパスフィルタ45が挿入さ
れている。
【0004】この従来の低音再生装置の動作を、図11
に示す従来の低音再生装置のスピーカシステムの等価回
路で説明する。
【0005】低い方のある周波数f1 ではMd,Mpと
Cd,Cc1,Cc2,CpとでVdとVpの位相がほぼ同
じになるような共振が、高い方のある周波数f2 ではM
d,MpとCc2,CpとでVdとVpの位相が逆になる
ような共振が起こり、この2つの共振周波数より外側の
帯域では12dB/oct以上で音圧が減衰する特性が
得られる。また、f1 ,f2 のほぼ中間の周波数fr
(通称、反共振周波数と呼ぶ)においてはMpとCp,
Cc2とで共振が起こり、このときVdは極小になる。
【0006】Md,Cc1,Red,Cc2,Mpを適当な値
に設計する(通常、Cd≪Cc1、Cp≪Cc2、Rmd,R
c1,Rc2,Rp≪Redなので、前記パラメータに着目す
ればよい。)ことにより、つまり、Md,Cc1,Cc2
Mpの値を適当なバランスにしてf1 ,f2 の共振ピー
クの高さをそろえ、Redを十分大きくして(Md,Mp
が大きいほど、また、Cc1,Cc2が小さいほど共振のQ
が高くなり、Redはより大きな値が必要になる。)各々
の共振ピークをダンプすることにより、f1 ,f2 の間
の1.5〜2.5オクターブの帯域でフラットな音圧周
波数特性を得ることができる。
【0007】再生周波数帯域を超低域側にシフトさせる
には、Mp,Md,Cc1,Cc2を大きくすることにより
1 ,f2 を下げればよい。ただし、Md,Mpだけを
大きくすると共振のQが高くなるので、Cc1,Cc2も大
きくする必要がある。
【0008】このスピーカシステムは共振を利用してい
るので密閉型スピーカシステムより能率が高く、かつ、
バンドパス特性を有しているので低音再生用として適し
ている。また音響理論上公知であるが、ドライバユニッ
トの後方が密閉されているので、いかに低い周波数であ
ろうとドライバユニット後方の逆相音圧が前方に回り込
んで干渉することがない。従って他の形式の共鳴型キャ
ビネット(バスレフ型や、ドライバユニット後方のキャ
ビティと前方のキャビティの両方にポートを有するタイ
プ)で生じるような超低域での著しい音圧低下がなく、
帯域を超低域側にシフトするのに非常に適している。
【0009】このスピーカシステムを電力増幅器24で
駆動することにより、超低域を再生する低音再生装置を
構成している。なお、周波数が数百Hzになるとキャビ
ネット内部に定在波がのって特性が乱れることもあり、
ローパスフィルタ25を入れて不要な高い周波数を十分
減衰させている。
【0010】なお、電磁制動抵抗Redとはドライバユニ
ットの振動系が振動するときに発生するボイスコイルの
逆起電力による電磁ブレーキを意味し、電磁制動抵抗R
ed=(磁気回路の磁束密度×ボイスコイル有効導体長)
2/ボイスコイル直流抵抗 であるので、一般的に磁気回
路の強力なドライバユニットほどRedが大きい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、超低域でフラットな音圧周波数特性を得る
ためにはMd,Mp,Cc1,Cc2,Redを大きくする必
要があるので、ドライバユニットとパッシブラジエータ
の実効振動質量を大きくし、ドライバユニットの磁気回
路を強力にするとともに、Cc1=第1のキャビティの容
積/(空気密度×空気音速2×S12)、Cc2=第2のキ
ャビティの容積/(空気密度×空気音速2×S12)であ
るので、キャビティを大きくせずにCc1,Cc2を大きく
するためには、ドライバユニットの実効振動面積S1を
小さくせざるを得なかった。
【0012】従って、昨今大出力な電力増幅器が実現容
易な状況であるにもかかわらず、ドライバユニットの実
効振動面積が小さいがために超低域では最大出力音圧レ
ベルを高くすることができない、ドライバユニットの振
動板の振幅が非常に大きくなるので歪が多い、ドライバ
ユニットの実効振動質量、磁気回路ともに大きくなるの
でドライバユニットの実現が困難であるといった数々の
問題点を有していた。
【0013】あるいは、逆に超低域での最大出力音圧レ
ベルを高くするためにドライバユニットの実効振動面積
を無理に大きくすると、Cc1,Cc2が小さくなるばかり
でなく、共振周波数が高くならないようにするためにM
d,Mpを大きくする必要があるので上述した2つの共振
周波数f1 ,f2 の共振のQが非常に高くなり、Redを
少々大きくしてもダンプしきれないほどの大きなピーク
が発生して、また特にf 1 のピークの方が高くなる傾向
があり、フラットな音圧周波数特性が得られないという
問題点も有していた。
【0014】図10に従来の低音再生装置の一例を示
す。ドライバユニット41は実効振動半径78mm、実
効振動質量14.5g、磁気回路の磁束密度0.8テス
ラ(=8000ガウス)、ボイスコイルの有効導体長8
m、直流抵抗5Ω、無歪最大振幅±4mm(一般に、口
径が小さいスピーカほど無歪最大振幅が小さい)、最低
共振周波数30Hzなる口径20cmのスピーカであ
り、このドライバユニット41がキャビティ分割部材4
3cに取り付けられ、大振幅が可能な口径40cmで実
効振動半径165mm、実効振動質量598gなるパッ
シブラジエータ42がキャビネット43の外側に取り付
けられている。第1のキャビティ43aは内容積35リ
ットル、第2のキャビティ43bの内容積15リットル
である。
【0015】ドライバユニット41は出力100Wの電
力増幅器44で駆動され、その前段にはカットオフ周波
数320Hzのローパスフィルタ45が挿入されてい
る。
【0016】この従来の低音再生装置の実測した音圧周
波数特性を図8に示す。30Hzから120Hz程度に
わたってほぼフラットな特性が得られているが、30H
zにおける無歪最大出力音圧レベルは約89dBしかな
い。最大出力音圧レベルが低いのは電力増幅器の出力が
足りないためではなく、ドライバユニットの振幅で制限
されるためである。
【0017】最大出力音圧レベルを高くするために、実
効振動半径125mm、実効振動質量46g、磁気回路
の磁束密度0.8テスラ、ボイスコイルの有効導体長1
0m、直流抵抗5Ω、無歪最大振幅±6mm、最低共振
周波数30Hzなる口径30cmのスピーカを、上記口
径20cmのスピーカの代わりに取り付けた場合の音圧
周波数特性を図11に示す。30Hzと140Hz付近
に磁気回路を少々強力にしてもダンプできないほど高い
ピークが生じており、また特に30Hzの方のピークが
高くなり、実用にならないことがわかる。
【0018】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、小型ながら超低音を高い最大出力音圧レベルでフラ
ットに再生する低音再生装置を提供することを目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の低音再生装置は、ドライバユニットと、パッ
シブラジエータと、内部を2分割するキャビティ分割部
材に前記ドライバユニットを取り付けてこれの後方を密
閉するとともに前記パッシブラジエータを外側に取り付
けるキャビネットと、前記ドライバユニットを駆動する
電力増幅器と、前記ドライバユニットの振動系の振動を
検出して電圧を発生するセンサと、前記センサの出力電
圧を前記電力増幅器に帰還して低域の2つの共振周波数
のピークのレベルを同じにする量の加速度型帰還と、さ
らに前記加速度型帰還をかけた時の前記ピークが平坦化
される量の速度型帰還とを同時にかける帰還回路と、を
備えている。
【0020】
【作用】この構成によって、ドライバユニットにMFB
がかかり、ドライバユニットの電磁制動抵抗と実効振動
質量を等価的に非常に大きくすることができるので、2
つの共振周波数f1 ,f2 を下げるだけでなく 1 ,f
2 のピークを等しく抑えることができる。またドライバ
ユニットの後方が密閉されているので、いかに低い周波
数であろうとドライバユニット後方の音圧が前方へ回り
込んで干渉することがないので、超低域でフラットな音
圧周波数特性をドライバユニットの実効振動面積が大き
い状態でつまり高い最大出力大音圧で得られる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。
【0022】図1に本発明の低音再生装置の第1の実施
例を示す。ドライバユニット1は実効振動半径125m
m、実効振動質量46g、磁気回路の磁束密度0.8
テスラ、ボイスコイルの有効導体長10m、直流抵抗5
Ω(電磁制動抵抗=(磁束密度×有効導体長)2/直流
抵抗 であるので、このドライバユニットの電磁制動抵
抗は12.8機械Ωである。)、無歪最大振幅±6m
m、最低共振周波数30Hzなる口径30cmのスピー
カであり、このドライバユニット1がキャビティ分割部
材3cに取り付けられ、大振幅が可能な口径40cmで
実効振動半径165mm、実効振動質量598gなるパ
ッシブラジエータ2がキャビネット3の外側に取り付け
られている。第1のキャビティ3aは内容積35リット
ル、第2のキャビティ3bの内容積15リットルであ
る。
【0023】ドライバユニット1は出力200Wの電力
増幅器4で駆動される。また、ドライバユニット1の振
動板中央には圧電型のセンサ5が取り付けられ、ドライ
バユニット1の振動系の振動を検出する。この検出電圧
は、圧電型センサの場合はドライバユニット1の振動系
の加速度に比例した電圧であるが、これを積分回路に通
すことにより振動板の速度に比例した電圧が得られる。
そこで検出回路4の出力電圧は、ドライバユニット1の
実効振動質量が等価的に76gになるような、つまり2
つの共振周波数f 1 ,f 2 のピークのレベルを同じにす
る量の加速度型帰還がかかるゲイン調整回路と、ドライ
バユニット1の電磁制動抵抗が等価的に51.2機械Ω
になるような、つまり上記の加速度型帰還をかけた時の
1 ,f 2 のピークを平坦化する量の速度型帰還がかか
るようにゲイン調整された積分回路とが合成された帰還
回路6で電力増幅器4に帰還している。なお、約40
0Hz以上では不安定にならないよう帰還量を減衰させ
ている。
【0024】また、電力増幅器4の前段にはカットオフ
周波数320Hzのローパスフィルタ7が挿入され、不
要な帯域を減衰させている。
【0025】以下、図2,図3および図11を参照し
て、MFBによる効果を詳しく説明する。
【0026】ドライバユニットの振動系の速度は図11
の等価回路のVdで表わされるが、周波数が非常に低い
と等価回路のCc1のリアクタンス成分が支配的になり、
周波数が1/2倍になるとVdが1/2倍になるという
関係になり、6dB/octで減衰する特性になる。逆
に、周波数が非常に高いと等価回路のMdのリアクタン
ス成分が支配的になり、周波数が2倍になるとVdが1
/2になるという関係になり、こちらも6dB/oct
で減衰する特性になる。
【0027】一方、f1 ,f2 付近の周波数において
は、音圧周波数特性にピークがある場合Vdもf1 ,f
2 においてピークを持ち、反共振周波数frにおいては
極小になる。つまり、パッシブラジエータの音圧周波数
特性が図2の(A)のようになる時、ドライバユニット
の振動系の速度Vdは図2の(B)のようになる。
【0028】ここで、前記構成のようにしてドライバユ
ニットの振動系速度に比例した電圧を検出して速度型帰
還(負帰還)をかけると、ドライバユニットの振動系の
速度を一定にする方向にサーボがかかるので、 1 ,f
2 のピークのレベルが同じである場合、ドライバユニッ
トの振動系の速度はf1 ,f2 のピークが等しく平らに
なって図2の(D)のようになる。つまり、音圧周波数
特性はこれに従って図2の(C)のようになり、f1
2 のピークのとれたフラットなものになる。これはち
ょうど図11の等価回路のドライバユニットの電磁制動
抵抗Redを大きくしたことと等価であり、ドライバユニ
ットの磁気回路を強力にしたことに相当する。帰還量を
大きくすることによりドライバユニットの電磁制動抵抗
Redを等価的に非常に大きくすることができる。
【0029】また、加速度型帰還(負帰還)をかける
と、ドライバユニットの振動系加速度を一定にする方向
にサーボがかかる。加速度は速度を角周波数で微分した
ものなので、図2の(B)の特性全体が6dB/oct
ほど左下がりになる。つまり、振動系加速度は、f2
上でフラットでf1 以下で12dB/octで減衰する
(E)のような特性である。これが一定になる方向にサ
ーボがかかるので、より低い周波数まで振動系加速度が
フラットな帯域が広がることとなり、これはちょうど図
11の等価回路のドライバユニットの実効振動質量Md
を大きくしたことと等価であり、ドライバユニットの振
動系を重くしたことに相当する。帰還量を大きくするこ
とによりドライバユニットの実効振動質量Mdを等価的
に非常に大きくすることができる。ただし共振のQは高
くなるのでf 1 ,f 2 のピークレベルは高くなり、特に
2 の方が帰還量が大きくなるためピークがより高くな
る。
【0030】従って、上記のように速度型、加速度型帰
還を併用してかけることにより、ドライバユニットの電
磁制動抵抗と実効振動質量を等価的に非常に大きくする
ことができる。
【0031】以下、図3を参照しながらドライバユニッ
トの実効振動面積が大きい場合でも、速度型、加速度型
帰還を併用して超低域でフラットな音圧周波数特性が得
られることを説明する。図3の(A)はドライバユニッ
トの実効振動面積が大きい状態で帰還なしの音圧周波数
特性を示すが、f1 ,f2 の周波数が高くピークもあ
り、一般的にf 1 のピークの方がレベルが高い。これに
加速度型帰還をかけるとドライバユニットの実効振動質
量が等価的に大きくなる。さらに、パッシブラジエータ
実効振動質量Mpを大きくすることにより、(A)の2
つの共振周波数f1 ,f2 が下がり、またf 2 のピーク
のレベルの方がより大きくなり(B)のように、f 1
2 のピークのレベルが揃った特性になる。
【0032】実際には、帰還をあまり高い周波数までか
けると動作が不安定になり、発振することもあるので、
ある周波数fc以上は帰還量を減少させる。従って、
(B)のようにfc以上でゲインが上がる特性になる。
【0033】これにさらに速度型帰還をかけることによ
り、ドライバユニットの電磁制動抵抗が等価的大きく
なり、 1 ,f 2 のピークのレベルが揃っているために
1,f2 のピークを同じように抑えることができる。
さらに、ローパスフィルタで不要なfc以上を減衰させ
ることにより、最終的には(C)のように超低域でフラ
ットな音圧周波数特性が得られることになるのである。
【0034】以上のように構成された低音再生装置は、
ドライバユニットにMFBがかかり、ドライバユニット
の電磁制動抵抗と実効振動質量を等価的に非常に大きく
することができる(たとえば、電磁制動抵抗を12.8
から51.2機械Ωにすることは磁気回路の磁束密度を
2倍にもすることに相当し、これを従来のように磁気回
路自体で実現することは極めて困難であり、とてつもな
いコストアップを招く。)ので、2つの共振周波数f
1 ,f2 を下げるだけでなくピークを抑えることがで
き、超低域でフラットな音圧周波数特性をドライバユニ
ットの実効振動面積が大きい状態で得られる。
【0035】以上のように構成された低音再生装置の実
測した音圧周波数特性を図6に示す。図6から明らかな
ように、30Hzから120Hz程度にわたってほぼフ
ラットな特性が得られているばかりでなく、キャビネッ
ト内容積合計50リットルという小型でありながら30
Hzにおいて約100dBの無歪最大出力音圧レベルを
得ることができる。
【0036】なお、本実施例においてはセンサを圧電型
としたが、ムービングコイル型、光量検出型、静電型等
としてよいことは言うまでもない。たとえば、ムービン
グコイル型センサの場合にはドライバユニット振動系の
速度に比例した電圧が得られるので、帰還回路で微分回
路を通すことにより振動系の加速度に比例した電圧を得
ることができる。あるいは、光量検出型、静電型センサ
の場合には振動系の変位に比例した電圧が得られるの
で、帰還回路で一回微分回路を通すことで速度、さらに
もう一回微分回路を通すことで加速度に比例した電圧を
得ることができる。また、センサをドライバユニットの
振動板中央に取り付けたが、振動板の外周部、ボイスボ
ビンなどの振動系の任意の部分に取り付けてもかまわな
い。
【0037】では次に、本発明の第2の実施例につい
て、図4を参照しながら説明する。ドライバユニット1
1は実効振動半径176mm、実効振動質量85g、磁
気回路の磁束密度1テスラ、ボイスコイルの有効導体長
14m、直流抵抗5Ω(電磁制動抵抗=(磁束密度×有
効導体長)2/直流抵抗 であるので、このドライバユニ
ットの電磁制動抵抗は39.2機械Ωである)、無歪最
大振幅±8mm、最低共振周波数20Hzなる口径40
cmのスピーカであり、このドライバユニット11がキ
ャビティ分割部材13cに取り付けられ、大振幅が可能
な口径46cmで実効振動半径185mm、実効振動質
量3.63Kgなるパッシブラジエータ12aと、これ
と同じ実効振動面積と実効振動質量をもつパッシブラジ
エータ12bがキャビネット13の外側の相対向する面
にそれぞれ取り付けられている。第1のキャビティ13
aは内容積62リットル、第2のキャビティ13bの内
容積14リットルである。
【0038】ドライバユニット11は出力600Wの電
力増幅器14で駆動される。また、ドライバユニット1
1の振動板の裏側には圧電型のセンサ15が取り付けら
れ、ドライバユニット11の振動系の振動を検出し、上
述した第1の実施例と同様のプロセスで、ドライバユニ
ット11の実効振動質量が等価的に350gになるよう
な、つまり2つの共振周波数f 1 ,f 2 のピークのレベ
ルを同じにする量の加速度型帰還がかかるように、ま
た、ドライバユニット11の電磁制動抵抗が等価的に2
18機械Ωになるような、つまり上記の加速度型帰還を
かけた時のf 1 ,f 2 のピークを平坦化する量の速度型
帰還がかかるように、帰還回路16で電力増幅器14に
帰還している。なお、約400Hz以上では不安定にな
らないよう帰還量を減衰させている。
【0039】また、電力増幅器14の前段にはカットオ
フ周波数320Hzのローパスフィルタ17が挿入さ
れ、不要な帯域を減衰させている。
【0040】以上にように構成された低音再生装置は、
ドライバユニットにMFBがかかり、ドライバユニット
の電磁制動抵抗と実効振動質量を等価的に非常に大きく
することができるので、2つの共振周波数f1 ,f2
下げるだけでなく2つのピークを等しく抑えることがで
る。またドライバユニットの後方が密閉されているの
で、いかに低い周波数であろうとドライバユニット後方
の音圧が前方へ回り込んで干渉することがないので、超
低域でフラットな音圧周波数特性をドライバユニット
実効振動面積が大きい状態でつまり高い最大出力大音圧
得られる。またそればかりではなく、本実施例ではキ
ャビネットの外側の相対向する面に実効振動質量と実効
振動面積が同等であるパッシブラジエータを各々取り付
けたことにより、実効振動質量の非常に大きなパッシ
ブラジエータがキャビネットに与える振動反作用力が互
いに打ち消し合うので、大出力時のキャビネットの振動
が極めて小さくなり、不要な共振音や雑音を発生しない
という効果を有している。
【0041】以上のように構成された低音再生装置の実
測した音圧周波数特性を図9に示す。図9から明らかな
ように、20Hzという超低音から100Hz程度にわ
たってほぼフラットな特性が得られているばかりでな
く、キャビネット内容積合計76リットルという小型で
ありながら20Hzにおいて約100dBの無歪最大出
力音圧レベルを、30Hzにおいては約111dBとい
う強大な無歪最大出力音圧レベル得ることができる。
【0042】また、キャビネットの振動は、パッシブラ
ジエータをキャビネットの外側の片面にまとめて取り付
けた場合の100分の1程度となり、無歪最大出力音圧
レベルを出したときにおいても不要な共振音や雑音がほ
とんど発生しない。
【0043】なお、本実施例においてはセンサを圧電型
としたが、ムービングコイル型、光量検出型、静電型等
としてよいことは言うまでもない。また、センサをドラ
イバユニットの振動板の裏側に取り付けたが、振動板の
表面、ボイスボビンなどの振動系の任意の部分に取り付
けてもかまわない。
【0044】次に、本発明の第3の実施例について図5
を参照しながら説明する。その構成は図1の第1の実施
例において、振動板に取り付けられていたセンサをマイ
クロホン25とし、第1のキャビティ23a内部に設け
たもので、その他はまったく同じである。
【0045】マイクロホン25は第1のキャビティ23
a内部の音圧つまりドライバユニット21後方を密閉し
たキャビティ内部の音圧を検出するが、キャビティ1内
部の音圧は音の波長が第1のキャビティ23aの各辺の
長さよりも十分大きい範囲つまり低音域では、ドライバ
ユニットの振動系の変位に比例する。マイクロホン25
の検出電圧を帰還回路26で一回微分回路を通すことで
速度、さらにもう一回微分回路を通すことで加速度に比
例した電圧を得た後、これらをゲイン調節して帰還する
ことにより電磁制動抵抗、実効振動質量を等価的に第1
の実施例と同じ値にしている。
【0046】従って、動作、効果も第1の実施例とまっ
たく同じであるが、センサをマイクロホンとしたことに
より、これをドライバユニット21の振動系に取り付け
る必要がなくなり、センサからのリード線の処理が容易
になる、低音再生装置の組立が容易になるといった効果
を有している。
【0047】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明は、センサによりドライバユニットの振動系の振動を
検出して電圧を発生し、その出力電圧を帰還回路により
電力増幅器に帰還して低域の2つの共振周波数f 1 ,f 2
のピークのレベルを同じにする量の加速度型帰還と、さ
らに前記加速度型帰還をかけた時の前記ピークが平坦化
される量の速度型帰還とを同時にかける構成としたこと
により、ドライバユニットの電磁制動抵抗と実効振動質
量を等価的に非常に大きくすることができ、2つの共振
周波数 1 ,f 2 を下げるだけでなく 1 ,f 2 ピー
クを等しく抑えることができるので、またドライバユニ
ットの後方が密閉されているので、いかに低い周波数で
あろうとドライバユニット後方の音圧が前方へ回り込ん
で干渉することがないので、超低域でフラットな音圧周
波数特性をドライバユニットの実効振動面積が大きい状
態で得られ、小型ながら超低域を高い最大出力大音圧レ
ベルでフラットに再生できる低音再生装置を実現できる
ものである。
【0048】さらに、キャビネットの外側の相対向する
面に実効振動質量と実効振動面積が同等であるパッシブ
ラジエータを各々取り付けたことにより、実効振動質量
の非常に大きなパッシブラジエータがキャビネットに
与える振動反作用力が互いに打ち消し合うので、大出力
時においてもキャビネットの振動が極めて小さく不要な
共振音や雑音を発生しない低音再生装置を実現すること
ができる。
【0049】さらにまた、センサをマイクロホンとする
ことにより、これをドライバユニットの振動系に取り付
ける必要がなくなり、センサからのリード線の処理が容
易で、組立の容易な低音再生装置を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における低音再生装置の
構成を示すブロック図
【図2】同第1の実施例におけるMFBの効果を説明す
るための特性図
【図3】同第1の実施例におけるMFBの効果を説明す
るための特性図
【図4】本発明の第2の実施例における低音再生装置の
構成を示すブロック図
【図5】本発明の第3の実施例における低音再生装置の
構成を示すブロック図
【図6】本発明の第1の実施例における実測した音圧周
波数特性を示す特性図
【図7】従来の低音再生装置における実測した音圧周波
数特性を示す特性図
【図8】従来の低音再生装置における実測した音圧周波
数特性を示す特性図
【図9】本発明の第2の実施例における実測した音圧周
波数特性を示す特性図
【図10】従来の低音再生装置の構成を示すブロック図
【図11】従来の低音再生装置のスピーカシステムの等
価回路図
【符号の説明】
1 ドライバユニット 2 パッシブラジエータ 3 キャビネット 4 電力増幅器 5 センサ 6 帰還回路 7 ローパスフィルタ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドライバユニットと、パッシブラジエー
    タと、内部を2分割するキャビティ分割部材に前記ドラ
    イバユニットを取り付けてこれの後方を密閉するととも
    に前記パッシブラジエータを外側に取り付けるキャビネ
    ットと、 前記ドライバユニットを駆動する電力増幅器と、 前記ドライバユニットの振動系の振動を検出して電圧を
    発生するセンサと、 前記センサの出力電圧を前記電力増幅器に帰還して低域
    の2つの共振周波数のピークのレベルを同じにする量の
    加速度型帰還と、さらに前記加速度型帰還をかけた時の
    前記ピークが平坦化される量の速度型帰還とを同時に
    ける帰還回路と、を備えたことを特徴とする低音再生装
    置。
  2. 【請求項2】 キャビネットの外側の相対向する面に実
    効振動質量と実効振動面積が同等であるパッシブラジエ
    ータを各々取り付けたことを特徴とする請求項1に記載
    の低音再生装置。
  3. 【請求項3】 ドライバユニットの振動系の振動を検出
    するセンサをマイクロホンとし、前記マイクロホンをキ
    ャビネットのドライバユニット後方のキャビティの中に
    設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の低音
    再生装置。
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