JP2558416B2 - コンパクト収納型鋼製クレート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンパクト収納型鋼製
クレートに関するもので、特に、サイドフレームとエン
ドフレームの一方が他方をその厚みの中に収めることが
できるコンパクト収納型鋼製クレート（透し型輸送容
器）に関するものである。

【０００２】

【発明の背景】簡単な作業によって組立てることが容易
であり、従って逆の手順で分解もまた容易である鋼製輸
送容器は本発明者らによってこれまで多数開発されてい
る。例えば実願昭６１−７２７６１号（実開昭６２−１
８５２９５）、実願昭６１−１３９７５１号（実開昭６
３−４６３２９）又は特願平２−２７０４４９）などに
このような組立て分解容易な鋼製輸送容器の例が開示さ
れている。これらの輸送容器の特徴の１つは、側壁を床
台上に立設するのに、床構造の四周辺に設けたグリップ
部材に側壁下縁を噛ませるだけで、ボルトやネジを使わ
ずに箱形構造が容易に組立てられ、また逆の手順で容易
に分解できることにある。

【０００３】また、前記特願平２−２７０４４９号に
は、分解された輸送容器の種々な構成要素を小体積の統
合されたユニットとし、このユニットを何段にも積み上
げることができるようにした、リターナブル輸送容器が
開示されている。しかし、このリターナブル輸送容器の
場合は、分解した４枚のパネルを床構造上に横たえて蓋
を被せ、全体を組立て箱形に比べれば小体積にすること
はできるが、その体積は本質的にパネル４枚の合計厚み
以下には減少することができない。また、段積み可能な
ユニット化するのに、回収セット金具（７０）という特
製の別体部品４個を必要とするので、その組付け作業に
意外に手間取るという問題があり、またこの別体部品が
容器を組立てた後も分解した後も常に外部に露出してい
て目につきやすいという不都合もあり、さらには別体部
品であるため紛失や散逸のおそれもあることが難点であ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、組立
てが容易で、分解した時全体の厚みを４枚の側壁の和よ
り小さくすることができるコンパクト収納型鋼製クレー
トを提供することを課題としてなされたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このため本発明は、床台
の四周辺のサイドフレーム支持表面とエンドフレーム支
持表面とにそれぞれ、サイドグリップアングル材と、エ
ンドグリップアングル材を取付けて、これにサイドフレ
ーム及びエンドフレームを噛ませるだけで簡単にフレー
ムの立設ができるようにすると共に、床台の四隅には中
空角形の短支柱を固設して組立て作業時にサイドフレー
ムの安定化を図るようにし、且つ分解時にはこの短支柱
の上に天蓋を容易に位置ぎめして被せることができるよ
うにし、さらにサイドフレームは、その構成要素である
上枠材とその中央から下枠材に向け延設した中央直材と
その両脇の斜材とを同一面側に開口している比較的広幅
の型材、例えば断面がコ字状又はＵ字状のチャネル材、
又はＶ字状もしくはＬ字状等をなす型材、を以って構成
し、他方エンドフレームは前記上枠材と直材と斜材との
中に納まる細幅の材料を以って構成し、且つエンドフレ
ームの左右縦枠材がサイドフレームの縦枠材を抱持する
ように構成して、コンパクト収納型鋼製クレートとした
ものである。こうして、分解した際は、１枚のサイドフ
レームの中に１枚のエンドフレームが納まるので、４枚
のフレームを分解して積み重ねても、実質２枚分の厚み
を呈するだけで床台上にコンパクトに収納することがで
きるようになる。好適に、前記短支柱の４本に内接する
四角形の面積、すなわち床台の実質部分の面積は、前記
サイドフレーム及びエンドフレームを横たえて収納する
のに丁度よい面積とするのがよい。

【０００６】

【実施例】図面を参照して本発明の実施例について説明
する。図１は、本発明に係るコンパクト収納型クレート
の諸要素（天蓋を除く）を分解して示す斜視図である。
床台１０は、中央の床板１の四周にサイドフレーム支持
表面２とエンドフレーム支持表面１２とを有し、それぞ
れの支持表面にサイドグリップアングル材３及びエンド
グリップアングル材１３が設けられている。床台の四隅
に台脚５が取付けられ、その上に好適に角パイプから成
る短支柱６が固着される。この短支柱６はサイドフレー
ム２０を立てる時それを安定に保持する働きをすると共
に、後述のように分解した４枚のフレームを床台上に収
納してコンパクトな単位体とした時それら単位体を段積
みする支えとなるものである。サイドフレームの安定保
持のため、短支柱の各々のエンド側に仮固定凸起７が突
設され、これに対応して後述するようにサイドフレーム
の縦枠材２１の側壁に穴又は凹部２１ａが設けられる。
床板１は平板として図示してあるが、波形鋼板で製作し
てもよい。４本の短支柱６は床台１０の一体的部分であ
るから、クレートの使用のたびに取付け取外しする必要
がなく、また紛失するおそれもない。

【０００７】サイドフレーム２０は、左右の縦枠材２１
が断面コ字状をなし、その中央側へ取付け板２２が張り
出している。縦枠材２１の外壁一部に切り起した突縁２
３は後述するエンドフレームのスロット３３と係合する
ものである。両縦枠材の間には上枠材２４が張り渡さ
れ、その中央から下方へ中央直材２５が延設される。中
央直材２５は下枠材２８まで届かせずに空間を残して中
央取付け部２７に固着する。中央直材の両脇に斜材２６
が前記張り出し取付け板２２と中央取付け部２７との間
に固着される。斜材２６の下端も下枠材２８に届かせ
ず、空間を残しておく。これら直材及び斜材はすべて同
一面側、図示の例では箱の外面側に開口を有する比較的
広幅の型材、好適にチャネル材をもって構成される。斜
材２６の上端は、図５から明らかなように上枠材２４に
達しないで、やはり空間を残して取付け板２２に固着さ
れている。下枠材２８は例えばＬ型材で構成され、その
外縁はフレームを立設する時前記サイドグリップアング
ル材３の下へ噛み込むようにされる。

【０００８】エンドフレーム３０は、分解した時サイド
フレーム２０の厚みの中に納まる構成とされる。すなわ
ち左右の短縦枠材３１の間に固着される上枠材３４は、
サイドフレーム２０の上枠材２４より細幅の型材で製作
され、その中央から延設した中央直材３５もサイドフレ
ームの中央直材２５の幅に納まる細幅の材料で製作さ
れ、斜材３６も同様に斜材２６の幅の中に納まる細幅材
で製作される。斜材３６の上端は縦枠材から内方へ張り
出した取付け板３２に固着され、直材３５、斜材３６の
下端は比較的小さい下方取付け板３７に固着される。こ
れら取付け板３２及び３７を収容するため、前記したよ
うにサイドフレーム２０の左右上隅と中央部に空間が残
されている。下方取付け板３７の外縁は、床台１０のエ
ンドグリップアングル材１３のエッジの下へ噛み込む係
合縁３８である。左右の耳３８ａはエンドフレーム３０
の床台上でのずれを防止するものである。

【０００９】本発明のクレートを組立てるには、まず一
対のサイドフレーム２０を床台１０上のグリップアング
ル材３と短支柱６の助けにより立設する。サイドフレー
ム２０を少し外側へ倒しながら、下端の下枠材２８の外
縁をグリップアングル材３のエッジの下へ噛み込ませ
る。フレームを立てていくと、左右の縦枠材の穴２１ａ
が短支柱６の凸起７に噛み合って、手を離しても倒れな
いように仮固定される。ついで、エンドフレーム３０
を、同じく少し倒しつつその係合縁３８を床台のエンド
グリップアングル材１３に噛ませつつ立てていくと、そ
の短縦枠材３１がサイドフレームの縦枠材２１を抱くよ
うに係合して、サイドフレームの切り起し突縁２３と縦
枠材３１のスロット３３とが係合してクレートの基本的
箱形が形成される。箱の四隅には、図１に１個だけ示す
コーナー固定金具４０が嵌め込まれ、突片４１，４２が
それぞれサイドフレーム上枠材とエンドフレーム上枠材
のスロット２４ａ，３４ａに差し込まれる。さらに、対
向するフレーム、例えばサイドフレーム２０，２０間に
適当な梁材４５がさし渡される。物品を収容した後、図
４に略示するような天蓋５０を被冠してクレートが完成
する。天蓋の四隅には、段積みを安定させるための凸起
５１が突設されている。これに対応して台脚５の底面は
凹部又は中空部とされる。

【００１０】本発明の特徴は、クレートを分解してコン
パクトな単位体とする時に発揮される。まず、エンドフ
レーム３０を外し、次にサイドフレーム２０を外した
ら、図２に示すようにサイドフレームの外面側を上にし
て横たえ、その上にエンドフレーム３０を同じく外面側
を上にして横たえる。破線で略示するところから理解さ
れるように、エンドフレーム３０をサイドフレーム２０
の上に重ねると、短縦枠材３１が縦枠材２１を股ぐよう
にかぶさり、エンドフレームの直材３５、斜材３６はサ
イドフレームの直材２５、斜材２６の幅の中に入ってし
まう。取付け板３２は取付け板２２上の空間に、下方取
付け板３７は中央取付け部２７の空間にちょうどよく納
まる。図３には、サイドフレームの上枠材２４及び直材
２５の中にエンドフレームの上枠材３４及び直材３５が
スッポリ納まった状態を部分斜視図で示してある。こう
して２枚のフレーム２０，３０の厚みはほゞ１枚分に減
じられる。

【００１１】図４は、このように減厚したフレーム２
０，３０の２組を床台上に載置し、上から天蓋５０を被
せようとしている状態を略示する。前記したように、床
台上の短支柱６は、ほゞフレーム２枚分の厚みに相当す
る長さであり、この上に天蓋５０を載せても分解集積し
た単位体はきわめて小さい体積になる。比較として、図
５には１枚ずつではほゞ同じ厚さの従来のフレーム４枚
を寝かせて積み上げた状態を示してあるが、床台を入れ
なくても、本発明のコンパクト型クレートより大きい厚
みになってしなう。リターナブル輸送容器として使用す
ることを考えればこの体積の差は重大である。

【００１２】以上本発明のクレートは基本的に鋼製とし
て説明したが、構造、形状の特徴が実質的に同じである
限りその他の金属材、例えばアルミ材、軽量金属材など
を用いることもでき、さらには均等な強度硬度を有する
ものであるればプラスチック材を用いることもできる。
また、短支柱６の仮固定凸起７と縦枠材２１の穴２１ａ
とは逆にして、縦枠材外壁の内面に凸起、短支柱の外壁
に凹又は穴を形成しても同等の作用が得られる。

【００１３】

【発明の効果】以上説明のように本発明によれば、サイ
ドフレームとエンドフレームとが互いに嵌まり合う幅寸
法の素材から製作され、重ね合わせた時、２枚の厚さが
ほゞ１枚分に減少するから、分解して返送する際の取扱
い作業、重量、運賃等が著しく軽減される著大な効果が
奏せられる。また、フレーム４枚を重ねるより、２枚を
重ねる方が、荷のガタつきがすくなく、荷扱いが容易で
ある。さらに、エンドフレームを細幅材で製作し、必要
最小限の素材量としたことはクレート全体の軽量化につ
ながり、クレートとしての使用時も分解した単位体とし
ても重量を軽減し得る利点がある。また、短支柱は、床
台構造と本来一体なものとして設けられるから使用に当
り取付け取外しの手間が必要なく、また別体部品でない
から不使用時に紛失したり散逸したりする不都合がな
い。本来一体なものとして固設した短支柱は、サイドフ
レームを立設する時の左右の位置ぎめを容易にする効果
もある。本発明における台脚、短支柱、フレーム素材
は、特注部品としてではなく、一般規格の鋼管（角パイ
プ）や型材を用いることができるから、製作コストを低
減させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明に係るコンパクト収納型鋼製クレ
ートの構成諸要素を分解して示す斜視図である（天蓋は
除く）。

【図２】図２は本発明のクレートのエンドフレームをサ
イドフレームの中に重ね合わせてコンパクトに収納する
方法を説明する斜視図である。

【図３】図３は図２の一部を拡大して示す部分斜視図で
ある。

【図４】図４は分解された諸要素がコンパクトな単位体
として収納される状態を説明する略示側面図（天蓋は断
面略図）である。

【図５】図５は比較のため従来例を略示する側面図であ
る。

【符号の説明】

１０…床台 １…床板 ２…サイドフレーム支持表面 １２…エンドフレー
ム支持表面 ３…サイドグリップアングル材 １３…エンドグリッ
プアングル材 ５…台脚 ６…短支柱 ７…仮固定凸起 ２０…サイドフレーム ２１…縦枠材 ２２…取付け板 ２３…切り起し突縁 ２４…上枠材 ２５…中央直材 ２６…斜材 ２７…中央取付け部 ２８…下枠材 ３０…エンドフレーム ３１…短縦枠材 ３２…取付け板 ３３…スロット ３４…細い上枠材 ３５…細い中央直材 ３６…細い斜材 ３７…下方取付け板 ３８…係合縁 ４０…コーナー固定金具 ４１，４２…突片 ５０…天蓋

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 重実 敬之 千葉市中央区今井２丁目18番６号 株式 会社シンワコーポレーション千葉営業所 内 (56)参考文献 実開 平２−66424（ＪＰ，Ｕ)

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 床台の四周辺にサイドフレーム支持表面
   とエンドフレーム支持表面とを設け、サイドフレーム支
   持表面の外縁にサイドグリップアングル材を取付け、エ
   ンドフレーム支持表面の外縁にエンドグリップアングル
   材を取付け、床台の四隅に中空角形の短支柱を固設し、 サイドフレームは左右の断面コ字状縦枠材間に上枠材を
   固着し、上枠材から中央直材を下方へ延設し、中央直材
   の下端に中央取付け部を設けてその下に空間を残して下
   枠材を固着し、中央取付け部から上枠材の左右隅に向け
   斜材を取付け、各斜材の上端と上枠材との間に空間を残
   し、これら中央直材及び斜材は比較的広幅で同一面側に
   開口している型材を以って構成し、 エンドフレームは前記縦枠材を抱持する幅の左右の短縦
   枠材間に前記上枠材の幅に納まる細幅の上枠材を固着
   し、中央から前記中央直材の幅に納まる細幅の直材を下
   方へ延設し、下端に固着した取付け板から前記短縦枠材
   に向け前記サイドフレームの斜材の幅に納まる細幅の斜
   材を取付け、 以って分解した際は、１枚のサイドフレームの中に１枚
   のエンドフレームが重なって納まるようにして分解単位
   体の厚さを減じたことを特徴とするコンパクト収納型鋼
   製クレート。
2. 【請求項２】 前記型材が、断面コ字状又はＵ字状のチ
   ャネル材である請求項１に記載の鋼製クレート。
3. 【請求項３】 前記型材が、断面Ｌ又はＶ字状である請
   求項１に記載の鋼製クレート。
4. 【請求項４】 前記短支柱は、２枚ずつ重ねたサイドフ
   レームとエンドフレーム２組の厚さに少なくとも等しい
   長さとする請求項１に記載の鋼製クレート。
5. 【請求項５】 前記短支柱の４本に内接する四角形の面
   積が、前記サイドフレーム及びエンドフレームを横たえ
   て収納するに十分な大きさである請求項４に記載の鋼製
   クレート。