JP2558405Y2 - 対物レンズ駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、光ディスクなどの情報記録媒体に対して情
報の記録や情報の読取りを行うため、情報記録媒体にレ
ーザ光を出射する対物レンズの駆動装置に関する。

〔従来の技術〕

光ディスクなどの情報記録媒体には光学的な情報トラ
ックが同心円状に記録されており、光ディスクドライブ
では出射レーザ光を対物レンズによって情報トラック上
に集光させ、この反射光によって情報を読取っている。
したがって、光ディスクドライブでは所望の情報トラッ
クへのレーザ光の集光のために、対物レンズをその光軸
と直交する方向（トラッキング方向）と、光軸と同一方
向（フォーカス方向）とに移動させる必要があるため、
対物レンズ駆動装置が光ヘッドに取り付けられている。

従来の対物レンズ駆動装置は、たとえば実開平1-1332
23号公報に示されるように、対物レンズが取り付けられ
たレンズ支持部材を板ばねにより弾性的に支持するとと
もに、レンズ支持部材をトラッキング方向およびフォー
カス方向に移動させるため磁気回路から構成される駆動
機構を備えている。この場合、対物レンズからのレーザ
光を対象の情報トラックに正確に一致させる必要がある
ため、レーザ光の情報トラックに対するずれ量を検出
し、この検出値を駆動機構にフィードバックして、トラ
ッキング方向のサーボおよびフォーカス方向のサーボを
行っている。

かかる対物レンズ駆動装置によって、対物レンズをフ
ォーカスイン（フォーカス方向への合焦）する場合、駆
動機構に正弦波電流を供給してレンズ支持部材をフォー
カス方向に進退移動させるとともに、ピックアップから
前記対物レンズの進退移動にともなう、フォーカスＳ字
カーブの検出信号を出力している。これにより、基本的
には第２図に符号Fiで示すようなフォーカスインが行わ
れる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来の対物レンズ駆動装置
にあっては、フォーカスインするまでは、フォーカスサ
ーボが作動していないため、外乱振動が作用するとレン
ズ支持部材を支持している板ばねが共振する。このた
め、第５図に示すようにフォーカスＳ字カーブが乱れて
しまい、フォーカスインができない不都合が生じてい
る。

そこで本考案は、このような問題点を解決することを
課題としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するために、本考案は、レーザ光を情
報記録媒体上に集光させる対物レンズが取り付けられる
とともに、この対物レンズにレーザ光を入射させるため
の光路が形成されたレンズ支持部材と、前記光路内に入
射した光の一部を取り出すように前記レンズ支持部材に
設けられた光取出手段と、この光取出手段からの光が入
射するように設けられて前記対物レンズのフォーカス方
向への移動位置を検出する位置センサと、前記対物レン
ズが前記情報記録媒体上にフォーカスインするまで前記
位置センサの出力信号を用いて前記対物レンズをフォー
カス方向にホールド状態にしながら所定の入力信号を印
加して前記対物レンズをフォーカス方向に上下動させる
駆動手段と、前記対物レンズが前記情報記録媒体上にフ
ォーカスインした後に前記情報記録媒体からの反射光を
検出してフォーカスサーボをかけるフォーカスサーボ手
段とを備えたものである。

〔作用〕

このような構成の対物レンズ駆動装置によれば、レン
ズ支持部材の光路内のレーザ光を光取出手段が取り出し
て、位置センサがフォーカス方向の位置を検出し、この
検出信号に基づいて駆動機構を制御するようにしたた
め、振動等の外乱が作用しても対物レンズを確実にフォ
ーカスインさせることができる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例について図面に基づいて説明す
る。第１図および第２図は、本考案による対物レンズ駆
動装置の一実施例を示す図である。

第１図において、対物レンズ１がレンズ支持部材２の
先端部（図中上端部）に嵌め込まれている。レンズ支持
部材２は板ばね（図示せず）により弾性的に支持される
とともに、磁気回路を備えた駆動機構からなる駆動手段
（図示せず）の作動によってトラッキング方向およびフ
ォーカスイン方向に移動し、光ディスク３（情報記録媒
体）に対する対物レンズ１の位置合わせを行う。符号４
は駆動機構の一部を構成するフォーカス方向レンズホー
ルド回路であり、正弦波信号もしくは、三角形波信号
（以後、正弦波信号のみ記述するが、三角形波信号も含
む）の入力に基づいてレンズ支持部材を移動させて、対
物レンズ１のフォーカス方向の位置合わせを行う。

レンズ支持部材２はレーザ光Ｌを対物レンズ１に入射
させる光路を内部に形成しており、このレンズ支持部材
２の光路にはピックアップ６から平行なレーザ光Ｌが入
射するようになっている。また、ピックアップ６はフォ
ーカス受光素子７を有しており、このフォーカス受光素
子７はその受光信号をフォーカスサーボ回路８に出力
し、このフォーカスサーボ回路８によりフォーカス方向
のサーボ制御が行われる。

以上の構成に加えて、レンズ支持部材２の光路内には
ハーフミラー９が配設されているとともに、このハーフ
ミラー９に対応するレンズ支持部材２の側部にはアパー
チャ10が貫通形成されており、レーザ光Ｌの一部がハー
フミラー９に反射されて、アパーチャ10からレンズ支持
部材２の外方に取り出されるようになっている。したが
って、ハーフミラー９はレンズ支持部材２の光路内に入
射したレーザ光の一部を取り出すようにレンズ支持部材
２に設けられた光取出手段を構成する。また、アパーチ
ャ10に対応するレンズ支持部材２の外側には、アパーチ
ャ10からのレーザ光Ｌが入射する位置センサ11が設けら
れている。位置センサ11はレーザ光Ｌが入射した光電素
子からの信号をフォーカス方向レンズホールド回路４に
出力する。フォーカス方向レンズホールド回路４は、こ
の位置センサ11からの信号に基づいて対物レンズ１のフ
ォーカス方向の移動位置を検出して、対物レンズをフォ
ーカスへレンズホールドする。

次に上記構成の作動を説明する。第２図は光ディスク
３にフォーカスインするレーザ光Ｌの正常なフォーカス
Ｓ字カーブを示し、このような形状のカーブを得るに
は、対物レンズ１と光ディスク３との間隔を所定量（例
えば、ノミナル約2.1mmに対して約±1mm）変化させる必
要がある。このため、正弦波信号５をフォーカス方向レ
ンズホールド回路４に入力し、同回路４によって対物レ
ンズ１をレンズ支持部材２とともに、フォーカス方向へ
正弦波的に移動させ、つまり、フォーカス方向に上下動
させる。このような移動では、振動等の外乱が作用して
も共振のない正確な正弦波的駆動を行うことができるた
め、第２図に示すようなＳ字カーブをフォーカスサーボ
回路より得ることができる。このとき、フォーカス方向
レンズホールド回路４は、位置センサ11からの信号を用
いて対物レンズ１をフォーカス方向にホールド状態にし
ており、つまり、対物レンズ１が光ディスク３上にフォ
ーカスインするまで位置センサ11の出力信号を用いて対
物レンズ１をフォーカス方向にホールド状態にしながら
所定の入力信号（正弦波信号）５を印加して対物レンズ
１をフォーカス方向に上下動させる。このようにＳ字カ
ーブを正確に得られた後は、対物レンズ１のフォーカス
イン位置がフォーカス受光素子７により検知されるた
め、これに基づいてフォーカス方向レンズホールド回路
４からフォーカスサーボ回路８に制御を切換え、フォー
カスサーボ回路８によって対物レンズ１を光ディスク３
のフォーカス方向に制御移動させる。したがって、フォ
ーカス受光素子７及びフォーカスサーボ回路８はフォー
カスサーボ手段を構成し、対物レンズ１が光ディスク３
上にフォーカスインした後に光ディスク３からの反射光
がフォーカス受光素子７で検出されてフォーカスサーボ
回路８によりフォーカスサーボがかけられる。

第３図は本考案の他の実施例を示し、前記実施例と同
一の要素は同一の符号で対応させてある。この実施例で
は対物レンズ１の有効径Ｄに対し、レンズ支持部材２の
レーザ光Ｌの光路径が大きくなっている。そして、この
レーザ光Ｌの光路における対物レンズ１の有効径Ｄの外
側に反射ミラー12が配設され、対物レンズ１に入射する
レーザ光Ｌ以外のレーザ光Ｌをアパーチャ10から取り出
すようになっている。このような構成では、対物レンズ
１に入射するレーザ光Ｌの光量を減ずることなく、レン
ズ支持部材２のフォーカス方向の位置を検出することが
できるため、光源であるレーザダイオードの寿命に悪影
響を与えない。

第４図は本考案のさらに他の実施例を示し、位置セン
サ11側のアパーチャ10と連通するガイドアパーチャ13が
レンズ支持部材２に貫通形成されている。また、ガイド
アパーチャ13の外側にはLED（発光ダイオード）14が配
設されており、LED14を出射した光がガイドアパーチャ1
3およびアパーチャ10を通って、位置センサ11に入射す
るようになっている。したがって、この実施例において
も対物レンズ１に入射するレーザ光Ｌの光量が減ずるこ
とがなく、光源であるレーザダイオードの寿命に悪影響
を与えない。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、レーザ光を情報
記録媒体上に集光させる対物レンズが取り付けられると
ともに、この対物レンズにレーザ光を入射させるための
光路が形成されたレンズ支持部材と、前記光路内に入射
した光の一部を取り出すように前記レンズ支持部材に設
けられた光取出手段と、この光取出手段からの光が入射
するように設けられて前記対物レンズのフォーカス方向
への移動位置を検出する位置センサと、前記対物レンズ
が前記情報記録媒体上にフォーカスインするまで前記位
置センサの出力信号を用いて前記対物レンズをフォーカ
ス方向にホールド状態にしながら所定の入力信号を印加
して前記対物レンズをフォーカス方向に上下動させる駆
動手段と、前記対物レンズが前記情報記録媒体上にフォ
ーカスインした後に前記情報記録媒体からの反射光を検
出してフォーカスサーボをかけるフォーカスサーボ手段
とを備えたので、対物レンズをフォーカスインさせる時
に振動等の外乱が発生したとしても正確に対物レンズを
フォーカスインさせることができ、振動等の外乱による
影響を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案による対物レンズ駆動装置
の一実施例を示す図であり、第１図はその要部の構成を
示す断面図、第２図はフォーカスインにおけるフォーカ
スＳ字カーブの特性図、第３図は本考案の他の実施例の
要部を示す断面図、第４図はさらに他の実施例の要部を
示す断面図、第５図は外乱振動が作用した場合のフォー
カスＳ字カーブの特性図である。 １……対物レンズ、２……レンズ支持部材 ３……光ディスク、４……フォーカス方向レンズホール
ド回路（駆動機構） ８……フォーカスサーボ回路（駆動機構） ９……ハーフミラー（光取出手段） 10……アパーチャ（光取出手段） 11……位置センサ 12……反射ミラー（光取出手段） 13……ガイドアパーチャ（光取出手段）

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】レーザ光を情報記録媒体上に集光させる対
   物レンズが取り付けられるとともに、この対物レンズに
   レーザ光を入射させるための光路が形成されたレンズ支
   持部材と、前記光路内に入射した光の一部を取り出すよ
   うに前記レンズ支持部材に設けられた光取出手段と、こ
   の光取出手段からの光が入射するように設けられて前記
   対物レンズのフォーカス方向への移動位置を検出する位
   置センサと、前記対物レンズが前記情報記録媒体上にフ
   ォーカスインするまで前記位置センサの出力信号を用い
   て前記対物レンズをフォーカス方向にホールド状態にし
   ながら所定の入力信号を印加して前記対物レンズをフォ
   ーカス方向に上下動させる駆動手段と、前記対物レンズ
   が前記情報記録媒体上にフォーカスインした後に前記情
   報記録媒体からの反射光を検出してフォーカスサーボを
   かけるフォーカスサーボ手段とを備えたことを特徴とす
   る対物レンズ駆動装置。