JP2557407Y2 - センターディファレンシャル装置付4輪駆動車 - Google Patents

センターディファレンシャル装置付4輪駆動車

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JP2557407Y2
JP2557407Y2 JP9455191U JP9455191U JP2557407Y2 JP 2557407 Y2 JP2557407 Y2 JP 2557407Y2 JP 9455191 U JP9455191 U JP 9455191U JP 9455191 U JP9455191 U JP 9455191U JP 2557407 Y2 JP2557407 Y2 JP 2557407Y2
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利雄 小林
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Fuji Jukogyo KK
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、センターディファレン
シャル装置を備えた4輪駆動車に関し、詳しくは、複合
プラネタリギヤ式センターディファレンシャル装置の多
重に配置されるブッシュやベアリングの潤滑に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、センターディファレンシャル装置
を備えた4輪駆動車においては、センターディファレン
シャル装置に差動機能や前後輪へのトルク分割機能を付
与する以外に、前後輪のトルク配分を可変制御したり、
減速または増速装置として利用して、走行性能、操縦
性、安定性、制動性等を一段と向上させることが提案さ
れている。このように、センターディファレンシャル装
置に種々の機能が付与されると、出力要素、及びそれを
支持するベアリング等の個数も増大するため、特に中心
のオイル通路から遠い箇所のベアリング等の潤滑を適確
に行うように構成することが必要になる。
【0003】従来、上記多機能を備えたセンターディフ
ァレンシャル装置付4輪駆動車に関しては、例えば特願
平2−134306号のものがある。ここで、センター
ディファレンシャル装置が複合プラネタリギヤ式に構成
されて、一方の出力側に前輪に常に動力伝達するギヤが
装着され、他方の出力側に差動制限すると共に前後輪へ
のトルク配分を可変制御する第1の中間軸と、後輪に動
力伝達する第2の中間軸と、キャリヤボス部とが3重に
配置される。そして、両中間軸の間にはブッシュが、第
2の中間軸とキャリヤボス部、及びキャリヤボス部とケ
ースの間にはそれぞれボールベアリングが介設される。
ここで、第1の中間軸の内部のオイル通路からオイル孔
等を介してブッシュや内側のボールベアリングには直接
給油して潤滑し、外側のボールベアリングに対してはキ
ャリヤ側に形成される開口部等により飛散オイルを供給
して潤滑することが示されている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】ところで、上記先行技
術のものにあっては、3重に配置されるブッシュと2つ
のボールベアリングにおいて、中心に近いブッシュと内
側のボールベアリングには直接給油されて良好に潤滑す
ることができるが、中心から遠い外側のボールベアリン
グでは飛散オイルの捕集が不充分であり、このため充分
に潤滑することが難しい等の問題がある。
【0005】本考案は、この点に鑑みてなされたもの
で、複合プラネタリギヤ式センターディファレンシャル
装置で多重に配置されるブッシュやベアリングを充分に
潤滑することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案は、前後輪への駆動系の途中に、複合プラネ
タリギヤ式センターディファレンシャル装置が配置さ
れ、この複合プラネタリギヤ式センターディファレンシ
ャル装置は、一方の出力側に2つの出力要素とキャリヤ
ボス部が3重に配置され、2つの出力要素の間にはブッ
シュが、外側の出力要素とキャリヤボス部の間には第1
のベアリングが、キャリヤボス部の外側とケースの間に
は第2のベアリングがそれぞれ回転自在に支持するよう
に介設される構成において、内側の出力要素の内部のオ
イル通路からブッシュと第1のベアリングに直接給油す
るように潤滑経路が設けられ、この第2のベアリングの
少なくとも下部に第1のベアリングに給油されるオイル
の一部を捕集して供給する油溜が付設されるものである
【0007】
【作用】上記構成に基づき、複合プラネタリギヤ式セン
ターディファレンシャル装置により、例えば差動、前後
輪へのトルク配分制御、所定の変速段等の種々の機能を
付与して4輪駆動走行される。そして、センターディフ
ァレンシャル装置で3重に配置される内側のブッシュと
ベアリングには潤滑経路により直接給油され、外側のベ
アリングには油溜により飛散オイルを捕集して常に確実
に給油されるようになり、こうしてこれらのブッシュと
ベアリングは良好に潤滑することが可能になる。
【0008】
【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図1において、本考案が適用されるセンターディ
ファレンシャル装置付4輪駆動車として、エンジン、自
動変速機を車両前後方向に縦置き配置した第1の実施例
の駆動系について説明する。先ず、トルクコンバータケ
ース1、ディファレンシャルケース2の後部にトランス
ミッションケース3が接合し、トランスミッションケー
ス3の後部にトランスファケース4およびエクステンシ
ョンケース6が接合し、トランスミッションケース3の
下部にはオイルパン5が取付けられる。
【0009】符号10はエンジンであり、このエンジン
10のクランク軸11がトルクコンバータケース1内部
のロックアップクラッチ12を備えたトルクコンバータ
13に連結し、トルクコンバータ13からの入力軸14
がトランスミッションケース3内部の自動変速機30に
入力する。自動変速機30からの変速機出力軸15は入
力軸14と同軸上に出力し、この変速機出力軸15がト
ランスファケース4内部のセンターディファレンシャル
装置50に同軸上に連結する。
【0010】トランスミッションケース3内部におい
て、入,出力軸14,15に対してフロントドライブ軸
16が平行配置され、このフロントドライブ軸16の後
端はセンターディファレンシャル装置50に一対のリダ
クションギヤ17,18を介して連結し、フロントドラ
イブ軸16の前端はディファレンシャルケース2内部の
フロントディファレンシャル装置19を介して前輪に伝
動構成される。一方、センターディファレンシャル装置
50の後部には油圧多板クラッチ装置60が設けられ
て、この油圧多板クラッチ装置60から出力するリヤド
ライブ軸20は、プロペラ軸21、リヤディファレンシ
ャル装置22等を介して後輪に伝動構成される。
【0011】自動変速機30は、2組のフロントプラネ
タリギヤ31,リヤプラネタリギヤ32により前進4段
と後進1段を得る構成である。即ち、入力軸14がリヤ
プラネタリギヤ32のサンギヤ32aに、フロントプラ
ネタリギヤ31のリングギヤ31bおよびリヤプラネタ
リギヤ32のキャリア32cが変速機出力軸15に連結
する。そしてフロントプラネタリギヤ31のキャリア3
1cと一体的な連結要素33と、リングギヤ32bとの
間に、第1のワンウエイクラッチ34、フォワードクラ
ッチ35が直列的に設けられ、連結要素33と固定部材
であるケース側との間に、第2のワンウエイクラッチ3
6、ローリバースブレーキ37が並列的に設けられる。
連結要素33とリングギヤ32bとの間には、オーバラ
ンニングクラッチ38がバイパスして設けてある。
【0012】また、サンギヤ31aと一体的な連結要素
39には、バンドブレーキ40が設けられ、入力軸14
と一体的な連結要素41およびキャリア31cと一体的
な連結要素42との間には、ハイクラッチ43が設けら
れる。更に連結要素39と41との間には、リバースク
ラッチ44が設けられている。
【0013】この自動変速機30の構成により、Dレン
ジまたは3レンジと2レンジの1速ではフォワードクラ
ッチ35が係合し、加速の場合は、両ワンウエイクラッ
チ34,36の作用で連結要素33と共にリングギヤ3
2bをロックすることで、入力軸14からサンギヤ32
a,キャリア32cを介して変速機出力軸15に動力伝
達する。このとき、惰行時は第1のワンウエイクラッチ
34がフリーになり、オーバランニングクラッチ38を
係合して第1のワンウエイクラッチ34のフリー回転を
規制しても、第2のワンウエイクラッチ36がフリーに
なってエンジンブレーキは作用しない。1レンジの1速
では、ローリバースクラッチ37の係合でオーバランニ
ングクラッチ38を介してリングギヤ32bを常にロッ
クするため、エンジンブレーキが作用する。
【0014】Dレンジまたは3レンジと2レンジの2速
では、上記フォワードクラッチ35とバンドブレーキ4
0とが係合し、このバンドブレーキ40によりサンギヤ
31aをロックする。そこで、キャリア31cとリング
ギヤ32bとが、連結要素33、フォワードクラッチ3
5、第1のワンウエイクラッチ34を介して回転し、1
速時よりもリングギヤ32bが回転する分だけ増速した
動力が出力する。このとき減速時には、オーバランニン
グクラッチ38の係合により連結要素33とリングギヤ
32bとを連結状態に保つことで、エンジン側に逆駆動
力が伝達してエンジンブレーキが作用する。
【0015】Dレンジまたは3レンジの3速では、フォ
ワードクラッチ35とハイクラッチ43とが係合し、こ
のハイクラッチ43により入力軸14が連結要素41,
42、キャリア31c、連結要素33、フォワードクラ
ッチ35、第1のワンウエイクラッチ34を介してリン
グギヤ32bに連結する。このため、リヤプラネタリギ
ヤ32は一体化して、入力軸14と変速機出力軸15と
は直結する。この時、減速時にオーバランニングクラッ
チ38の結合で第1のワンウエイクラッチ34の空転を
規制することで、2速と同様にエンジンブレーキが作用
する。
【0016】Dレンジの4速では、上述に加えてバンド
ブレーキ40の係合でサンギヤ31aをロックする。こ
のため、フロントプラネタリギヤ31でハイクラッチ4
3によりキャリア31cに入力した動力でリングギヤ3
1bを増速することになり、これが変速機出力軸15に
伝達する。この場合は、第1、第2のワンウエイクラッ
チ34,36を介しないため常にエンジンブレーキが作
用する。
【0017】Rレンジでは、リバースクラッチ44の結
合でサンギヤ31aに入力軸14の動力が入力する。ま
た、ローリバースクラッチ37の係合で連結要素33と
共にキャリア31cをロックするため、フロントプラネ
タリギヤ31でリングギヤ31bに逆転してギヤ比の大
きい動力が出力し、この逆転動力が変速機出力軸15に
伝達して後進速になる。こうして、自動変速機30にお
いて前進4段後進1段の変速段が得られる。
【0018】一方、自動変速機30の前方にはオイルポ
ンプ45が設置され、トルクコンバータ13のポンプイ
ンペラ側のドライブ軸46で常に駆動される。オイルパ
ン5にはコントロールバルブボデー47が収容され、上
述の各クラッチ、ブレーキに給排油して選択的に係合す
るようになっている。
【0019】図2において、センターディファレンシャ
ル装置50、油圧多板クラッチ装置60の部分について
説明する。先ず、変速機出力軸15の後方に第1、第2
の中間軸23,24を介してリヤドライブ軸20が同軸
上に配置される。また、変速機出力軸15には前輪側の
リダクションギヤ17が回転自在に嵌合し、これらの変
速機出力軸15、リダクションギヤ17及び第1、第2
の中間軸23,24の間に、センターディファレンシャ
ル装置50が同軸上に配置される。
【0020】センターディファレンシャル装置50は複
合プラネタリギヤに構成されるものであり、変速機出力
軸15に形成される第1のサンギヤ51と、第2の中間
軸24に形成される第2のサンギヤ53を有する。また
キャリヤ55は左右のフランジ55a,55bをアーム
55cにより一体化して成り、両フランジ55a,55
bの間に装架されたピニオン軸56に、軸方向に一体形
成される第1、第2のピニオン52,54がニードルベ
アリング27を介して回転自在に装着される。そして、
第1のサンギヤ51に第1のピニオン52が、第2のサ
ンギヤ53に第2のピニオン54がそれぞれ噛合い、ト
ルク配分した動力を第2の中間軸24に出力するように
構成される。
【0021】一方、第2の中間軸24の内部には更に第
1の中間軸23が遊嵌され、この第1の中間軸23の前
端で2つのサンギヤ51,53の間隙の箇所に連結部材
57が結合され、この連結部材57がキャリヤ55のア
ーム55cに一体的にスプライン結合して、差動制限等
の作用を行うようになっている。更に、キャリヤ55の
一方のフランジ55aにはリダクションギヤ17が、キ
ャリヤ55の動力を出力するように結合される。ここ
で、キャリヤ55の前方はそれと一体的なリダクション
ギヤ17がトランスミッションケース3の壁部3aでボ
ールベアリング26aにより支持され、後方はフランジ
55bのボス部55dの外周がトランスファケース4の
壁部4aによりボールベアリング26bで支持され、且
つ内周が第2の中間軸24に対しボールベアリング26
cで支持され、両端支持で回転自在に設置される。
【0022】このセンターディファレンシャル装置50
の構成により、第1のサンギヤ51に入力する動力を、
第1、第2のサンギヤ51,53と、第1、第2のピニ
オン52,54との歯車諸元によるトルク配分比でキャ
リヤ55と第2のサンギヤ53に伝達して、前後輪へ不
等トルク配分する機能を有する。また第1,第2のピニ
オン52,54の遊星回転により、旋回時の旋回半径の
差によって生じるキャリヤ55と第2のサンギヤ53と
の回転数差を吸収する差動機能を有する。
【0023】ここで、図4の略図を用いてセンターディ
ファレンシャル装置50の不等トルク配分機能について
詳記する。第1のサンギヤ51の入力トルクをTi、そ
の噛合いピッチ半径をrs1、キャリヤ55のフロント
側トルクをTF、第1,第2のピニオン52,54の噛
合いピッチ半径をrp1,rp2、第2のサンギヤ53
のリヤ側トルクをTR、その噛合いピッチ半径をrs2
とすると、 Ti=TF+TR (1) rs1+rp1=rs2+rp2 (2) が成立する。
【0024】また、第1のサンギヤ51と第1のピニオ
ン52との噛合点に作用する接線方向荷重Pは、キャリ
ヤ55に作用する接線方向荷重P1と、第2のサンギヤ
53と第2のピニオン54との噛合点に作用する接線方
向荷重P2との和に等しいので、次式が成立する。 P=Ti/rs1 P1=TF/(rs1+rp1) P2=TR/rs2 Ti/rs 1={(TF/(rs1+rp1)}+TR/rs2 (3) そこで、(1),(2)式を(3)式に代入して整理す
ると、以下のようになる。 TF=(1−rp1・rs2/rs1・rp2)×Ti TR=(rp1・rs2/rs1・rp2)×Ti
【0025】このことから、第1,第2のサンギヤ5
1,53と、第1、第2のピニオン52,54との噛合
いピッチ半径により、フロント側トルクTFおよびリヤ
側トルクTRの基準トルク配分比を自由に設定し得るこ
とがわかる。ここで、rs1、rp1、rp2、rs2
は各歯数Zs1、Zp1、Zp2、Zs2に置き換える
ことができ、Zp1=Zp2=21、Zs1=33、Z
s2=21とすると、 TF:TR=36.4:63.6 になる。従って充分に後輪偏重の基準トルク配分比に設
定し得る。
【0026】次に、センターディファレンシャル装置5
0を増速機として使用する場合について説明する。この
複合プラネタリギヤ式センターディファレンシャル装置
50では、第2の中間軸24を固定することで所定の増
速ギヤ比を得ることができ、この増速ギヤ比単独または
自動変速機30の所定の変速段との共動により更に第5
速に変速するようになっている。そこで、例えば第2速
の変速段を用いる場合について説明すると、第2速のギ
ヤ比i2、センターディファレンシャル装置50の増速
ギヤ比ipにより、第5速のギヤ比i5は以下のように
なる。 i5=i2・ip ここで、センターディファレンシャル装置50の歯車諸
元に上述のものを用いると、ip=(33−21)/3
3=0.363になり、例えばi2=1.545とする
と、i5=0.561になり、第4速よりギヤ比の小さ
い第5速が適正なギ比間隔で得られることになる。一
方、この第5速では、油圧多板クラッチ62を走行状態
や路面状況に応じて油圧を制御することで伝達トルクを
生じ、前後輪のトルク配分が制御可能な4輪駆動とな
る。
【0027】図3において、油圧多板クラッチ装置60
について説明する。先ず、第2の中間軸24とリヤドラ
イブ軸20の間に介設され、トルク伝達用の摩擦係合要
素としての油圧多板クラッチ61と、第1の中間軸23
とリヤドライブ軸20との間に介設され、差動制限とト
ルク移動用の摩擦係合要素としての油圧多板クラッチ6
2と、第2の中間軸24に設けられ、センターディファ
レンシャル装置50の差動機能を阻止してキャリヤ55
を増速回転させる摩擦係合要素としての第5速用ブレー
キ63とを有する。そして、これらの油圧多板クラッチ
61,62と第5速用ブレーキ63は、センターディフ
ァレンシャル装置50の直後において、第1中間軸23
等の周囲の径方向に3重に重合して同軸上に配置され
る。即ち、油圧多板クラッチ61,62は共にリヤドラ
イブ軸20に連結され、油圧多板クラッチ61と第5速
用ブレーキ63は共に第2の中間軸24に連結されるこ
とから、油圧多板クラッチ61が中間に配置され、この
油圧多板クラッチ61の外側に第5速用ブレーキ63
が、内側に油圧多板クラッチ62が配置される。
【0028】そこで、第2の中間軸24にドラム部材6
4がスプライン結合され、このドラム部材64の内側に
リヤドライブ軸20の前端に一体形成されるドラム部材
65が配置され、これらのドラム部材64,65の間に
油圧多板クラッチ61が設けられる。油圧多板クラッチ
61はドラム部材64,65の間にドライブプレート6
1aとドリブンプレート61bが交互に設けられ、ドラ
ム部材64の内部に油圧室61c、ピストン61d、リ
ターンスプリング61eが設けられ、第2の中間軸24
をリヤドライブ軸20に連結または遮断するように構成
される。
【0029】第5速用ブレーキ63は、ドラム部材64
とトランスファケース4との間に交互にドライブプレー
ト63aとドリブンプレート63bが設けられ、トラン
スファケース4の壁部4aの内部に油圧室63c、ピス
トン63d、リターンスプリング63eが設けられ、第
2の中間軸24を固定またはフリーにするように構成さ
れる。
【0030】油圧多板クラッチ62は、第1の中間軸2
3にスプライン結合するハブ部材66とドラム部材65
との間に、ドライブプレート62aとドリブンプレート
62bが交互に設けられる。また、固定側のエクステン
ションケース6のボス部6aの内部に、油圧室62c、
ピストン62d、リターンスプリング62eが、大きい
押圧力を発生すると共に、遠心油圧の影響のない状態で
油圧を正確に制御することが可能に設けられる。そし
て、このピストン62dがボールベアリング62f、押
圧部材62gを介してプレート側に連結され、可変制御
される差動制限トルクや伝達トルクを生じるように構成
される。尚、軸嵌合部にはブッシュ28が介設され、軸
同志や軸と他の部材との突き当て部にはスラストベアリ
ング25が介設されている。
【0031】これらの油圧多板クラッチ61,62及び
第5速用ブレーキ63は、コントロールバルブボデー4
7で自動変速機30の変速制御等と共に油圧制御され
る。即ち、自動変速機30で前進4段後進1段に変速さ
れる場合は、第5速用ブレーキ63を解放して油圧多板
クラッチ61を係合し、このとき後輪スリップ等に応じ
て油圧多板クラッチ62に差動制限トルクを生じる。ま
た、第4速で車速が設定値より上昇すると、逆に第5速
用ブレーキ63を係合して油圧多板クラッチ61を解放
し、このとき前輪スリップ等に応じて油圧多板クラッチ
62に伝達トルクを生じる。
【0032】以上、自動変速機30とセンターディファ
レンシャル装置50のDレンジと、Rレンジの各変速段
におけるクラッチ、ブレーキ動作をまとめて示すと、表
1のようになる。
【表1】 この表1において、○印はクラッチ,ブレーキの係合動
作を、●は油圧多板クラッチ62による差動制限トルク
の発生を、◎は油圧多板クラッチ62による前後輪への
駆動力配分制御をする場合の伝達トルク状態をそれぞれ
示す。
【0033】また各変速段におけるギヤ比、ギヤ比の
例、トルク配分率をまとめて示すと、表2のようにな
る。
【表2】 この表2において、α1はフロントプラネタリギヤ31
のサンギヤ31aの歯数Zs1とリングギヤ31bの歯
数Zr1の比で、α1=Zs1/Zr1、α2はリヤプ
ラネタリギヤ32のサンギヤ32aの歯数Zs2とリン
グギヤ32bの歯数Zr2の比で、α2=Zs2/Zr
2を示す。
【0034】フロントプラネタリギヤ31の各要素の回
転数の関係を示すと、次式のようになる。 Nr1+α1・Ns1=(1+α1)・Nc1 但し、α1=Zs1/Zr1 リヤプラネタリギヤ32の各要素の回転数の関係を示す
と、次式のようになる。 Nr2+α2・Ns2=(1+α2)・Nc2 但し、α2=Zs2/Zr2 ここで、フロントプラネタリギヤ31のリングギヤ31
bの回転数Nr1、サンギヤ31aの回転数Ns1、キ
ャリヤ31cの回転数Nc1であり、またリヤプラネタ
リギヤ32のリングギヤ32bの回転数Nr2、サンギ
ヤ32aの回転数Ns2、キャリヤ32cの回転数Nc
2である。
【0035】更に、潤滑系について説明する。先ず、ト
ランスミッションケース3の壁部3aに油圧源からのオ
イルが流入するオイル通路70、そのオイルの潤滑圧を
調整するリリーフ弁71が設けられ、このオイルが自動
変速機30の後部に供給されると共に、オイル孔72等
を介して変速機出力軸15の内部中心のオイル通路73
に供給される。この変速機出力軸15のオイル通路73
はオリフィス部材74を有して、後方が第1の中間軸2
3のオイル通路75に連通され、オイル通路73からオ
イル孔76等を介してセンターディファレンシャル装置
50のキャリヤ55内部の各ギヤ51〜54、スラスト
ベアリング25に給油される。また、リダクションギヤ
17の内側の隙間からブッシュ28に給油され、且つそ
のギヤ17、フランジ55a及びピニオン軸56に連通
して設けられるオイル通路77、オイル孔78を介して
ニードルベアリング27に給油される。
【0036】センターディファレンシャル装置50の後
部には、ブッシュ28、ボールベアリング26c,26
bが3重に配置されており、第1の中間軸23のオイル
通路75からオイル孔79を介してブッシュ28に直接
給油される。また、このブッシュ28から軸間隙間、第
2の中間軸24のオイル孔80、ドラム部材64の切欠
き81を介してキャリヤボス部55dの内側のボールベ
アリング等26cに給油されると共に、その外側のボー
ルベアリング26b側にオイル飛散するようになってい
る。ここで、そのボールベアリング26bが嵌着される
トランスファケース4の壁部4aには、第5速用ブレー
キ63のピストン63d等を設ける円筒部4bが突設さ
れており、この円筒部4bの内側にベアリング径より小
径のリブ82が補強を兼ねて円形に設けられ、このリブ
82により飛散オイルを捕集して給油するように油溜8
3が形成される。
【0037】次いで、油圧多板クラッチ装置60の部分
の潤滑系について説明すると、第1の中間軸23のオイ
ル通路75からオイル孔90により3つの経路で、ドラ
ム部材64,65やハブ部材66の内部、スラストベア
リング25に給油される。また3重に重合されるドラム
部材64,65とハブ部材66の筒部の円周上には、ス
プライン溝と各別またはその溝を兼ねたオイル孔91,
92,93がそれぞれ設けられ、これらの部材64〜6
6が回転する際に遠心力によりオイルを内側から外側に
連続的に供給するようになっている。
【0038】次に、この実施例の作用について説明す
る。先ず、エンジン10の動力はトルクコンバータ1
3、入力軸14を介して自動変速機30に入力し、2組
のフロントプラネタリギヤ31とリヤプラネタリギヤ3
2の作動、クラッチ44,43,35,38,36,3
4とブレーキ40,37の選択的係合により、Dレンジ
にシフトすると前進速の第1速ないし第4速に自動変速
され、Rレンジにシフトする場合は後進速になる。そし
てこの変速動力が、変速機出力軸15からセンターディ
ファレンシャル装置50の第1のサンギヤ51に入力し
て、トルク配分される。またこの場合は、油圧多板クラ
ッチ装置60の油圧多板クラッチ61が係合して、セン
ターディファレンシャル装置50の第2のサンギヤ53
がリヤドライブ軸20に連結される。
【0039】ここでセンターディファレンシャル装置5
0の各歯車諸元により、例えばTF:TR=36.4:
63.6に設定されているため、変速動力の36.4%
がキャリヤ55に、63.6%が第2のサンギヤ53に
それぞれ配分して出力される。そしてキャリヤ55の動
力は、リダクションドライブギヤ17、リダクションド
リブンギヤ18、フロントドライブ軸16、フロントデ
ィファレンシャル装置19を介して前輪に伝達する。ま
た、第2のサンギヤ53の動力は、第2の中間軸24、
油圧多板クラッチ61、リヤドライブ軸20以降の後輪
に伝達し、後輪偏重の4輪駆動走行になり、このトルク
配分ではオーバステア気味になって回頭性、操縦性等が
良好になる。この4輪駆動走行の旋回時には、センター
ディファレンシャル装置50の第1、第2のピニオン5
2,54の遊星回転により、旋回時に生じる前後輪の回
転数差が吸収され、自由に旋回可能になる。
【0040】次いで、滑り易い路面走行時には、基準ト
ルク配分が後輪偏重のトルク配分のため通常は後輪が先
にスリップし、この場合に油圧多板クラッチ62の差動
制限トルクTcがスリップ状態に応じて制御される。す
ると、センターディファレンシャル装置50のキャリヤ
55と第2のサンギヤ53との間に、キャリヤ55、連
結部材57、第1の中間軸23及び油圧多板クラッチ6
2による他の伝動系路がバイパスして形成され、高回転
の第2のサンギヤ53の後輪側から低回転のキャリヤ5
5の前輪側に、差動制限トルクTcに応じてトルクバイ
パスする。そこで、前輪寄りにトルク配分制御されて後
輪スリップが防止され、走破性を向上する。
【0041】このとき差動制限トルクTcが最大になる
と、第2のサンギヤ53とキャリヤ55との直結により
センターディファレンシャル装置50はロックして直結
式4輪駆動になり、前後輪の輪荷重配分に相当したトル
ク配分になる。こうして差動制限トルクTcを制御する
ことにより、後輪偏重と直結式との間でトルク配分が可
変制御されることになる。
【0042】一方、第4速の走行条件より更に高速にな
ると、自動変速機30が第2速の状態になり、同時に第
5速用ブレーキ63の係合によりセンターディファレン
シャル装置50の第2のサンギヤ53が固定して、キャ
リヤ55が増速回転する。このため、自動変速機30の
第2速の動力が、センターディファレンシャル装置50
で大幅に増速されてキャリヤ55以降の前輪に伝達し、
第4速よりギヤ比の小さいオーバドライブの第5速に変
速されて高速走行することが可能になるのであり、この
場合はアンダーステア気味になって高速安定性を向上す
る。この時、走行状態や前輪スリップの状況等に応じて
油圧多板クラッチ62に所定の油圧が供給されると、上
述と同様に伝達トルクTD が可変制御されて、キャリヤ
55から第1の中間軸23、油圧多板クラッチ62を介
して後輪にもトルク伝達される。そこで、前輪スリップ
を防止すると共に、同様に前後輪のトルク配分が制御可
能な4輪駆動走行になる。
【0043】上記4輪駆動での走行時等においては、油
圧源からのオイルがリリーフ弁71、オリフィス部材7
4により所定の圧力、流量に調整して、中心の変速機出
力軸15と第1の中間軸23のオイル通路73,75に
常に導入されている。そしてオイル通路73のオイル
が、センターディファレンシャル装置50の各ギヤ51
〜54、ブッシュ28、ベアリング25,27等に供給
され、オイル通路75のオイルが3重に配置されるブッ
シュ28、ボールベアリング26cに直接供給される。
また、切欠き81から飛散するオイルが円形のリブ82
により捕集されて油溜83に溜まり、この油溜83のオ
イルが中心から遠いボールベアリング26bにも常に確
実に供給されることになり、こうしてセンターディファ
レンシャル装置50の各部が良好に潤滑される。
【0044】また、オイル通路75のオイルが油圧多板
クラッチ装置60のスラストベアリング25等に供給さ
れ、且つドラム部材64,65とハブ部材66の内部に
3つの経路で流入する。そして、ドラム部材64に流入
する2つの経路のオイルで、油圧多板クラッチ61,6
2の主としてピストン側が強制潤滑される。また、特に
走行中では各部材64〜66が高速回転しているため、
1つの経路でハブ部材66の内部に流入するオイルは遠
心力により自動的に外方に飛散され、オイル孔91〜9
3により先ず内側の油圧多板クラッチ62、次いで中間
の油圧多板クラッチ61、更に外側の第5速用ブレーキ
63のプレート部とピストン側にオイルが順次連続的に
流れて良好に強制潤滑される。
【0045】図5において、本考案の他の実施例につい
て説明すると、(a)に示すように円弧状の部材に取付
け片を設けて油溜が各別に構成され、この油溜が(b)
に示すようにボールベアリングの下部で円筒部に装着さ
れる。従って、この実施例の油溜によっても同様に飛散
オイルを捕集して、ボールベアリングに給油することが
可能になる。
【0046】
【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
センターディファレンシャル装置付4輪駆動車におい
て、複合プラネタリギヤ式センターディファレンシャル
装置の3重に配置されるブッシュ、2つのボールベアリ
ングの中心から遠いボールベアリングには油溜により給
油するように構成されるので、そのボールベアリングを
常に良好に潤滑することができて、耐久性、信頼性が向
上する。油溜は内側のボールベアリングに供給されるオ
イルを捕集して外側のボールベアリングに供給する構成
であるから、構造が簡単で、常に多量のオイルを確実に
供給することができる。ケース円筒部の内側全周にリブ
を突設して油溜を形成する実施例では、円筒部を補強す
ることもできて好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係るセンターディファレンシャル装置
付4輪駆動車として、縦置き配置の実施例の全体を示す
スケルトン図である。
【図2】センターディファレンシャル装置と油圧多板ク
ラッチ装置の部分の拡大断面図である。
【図3】油圧多板クラッチ装置の部分の拡大断面図であ
る。
【図4】トルク配分状態,差動制限と直結用伝達トルク
の流れを説明する略図である。
【図5】本考案の他の実施例を示す要部の斜視図と断面
図である。
【符号の説明】
15 変速機出力軸 16 フロントドライブ軸 17,18 リダクションギヤ 20 リヤドライブ軸 30 自動変速機 50 センターディファレンシャル装置 23 第1の中間軸(出力要素) 24 第2の中間軸(出力要素) 55 キャリヤ 55d ボス部 28 ブッシュ 26b,26c ボールベアリング 75 オイル通路 79,80 オイル孔 81 切欠き 82 リブ 83 油溜

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前後輪への駆動系の途中に、複合プラネ
    タリギヤ式センターディファレンシャル装置が配置さ
    れ、この複合プラネタリギヤ式センターディファレンシ
    ャル装置は、一方の出力側に2つの出力要素とキャリヤ
    ボス部が3重に配置され、2つの出力要素の間にはブッ
    シュが、外側の出力要素とキャリヤボス部の間には第1
    のベアリングが、キャリヤボス部の外側とケースの間に
    は第2のベアリングがそれぞれ回転自在に支持するよう
    に介設される構成において、内側の出力要素の内部のオ
    イル通路からブッシュと第1のベアリングに直接給油す
    るように潤滑経路が設けられ、この第2のベアリングの
    少なくとも下部に第1のベアリングに給油されるオイル
    の一部を捕集して供給する油溜が付設されることを特徴
    とするセンターディファレンシャル装置付4輪駆動車。
  2. 【請求項2】 上記油溜は、ケースの壁部で第2のベア
    リングが嵌着される部分に、その第2のベアリングより
    小径の円形リブを突設したり、または円弧状部材を装着
    して形成されることを特徴とする請求項1記載のセンタ
    ーディファレンシャル装置付4輪駆動車。
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