JPH0535445U - センターデイフアレンシヤル装置付4輪駆動車 - Google Patents
センターデイフアレンシヤル装置付4輪駆動車Info
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- JPH0535445U JPH0535445U JP9455191U JP9455191U JPH0535445U JP H0535445 U JPH0535445 U JP H0535445U JP 9455191 U JP9455191 U JP 9455191U JP 9455191 U JP9455191 U JP 9455191U JP H0535445 U JPH0535445 U JP H0535445U
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 複合プラネタリギヤ式センターディファレン
シャル装置で多重に配置されるブッシュやベアリングを
充分に潤滑する。 【構成】 複合プラネタリギヤ式センターディファレン
シャル装置50において、3重に配置される第1と第2
の中間軸23,24の間のブッシュ28、第2の中間軸
24とキャリヤボス部55dの間のボールベアリング2
6cには、第1の中間軸23のオイル通路75により直
接給油し、キャリヤボス部55dとケース4との間のボ
ールベアリング26bには、飛散オイルを捕集する油溜
83により給油して潤滑する。
シャル装置で多重に配置されるブッシュやベアリングを
充分に潤滑する。 【構成】 複合プラネタリギヤ式センターディファレン
シャル装置50において、3重に配置される第1と第2
の中間軸23,24の間のブッシュ28、第2の中間軸
24とキャリヤボス部55dの間のボールベアリング2
6cには、第1の中間軸23のオイル通路75により直
接給油し、キャリヤボス部55dとケース4との間のボ
ールベアリング26bには、飛散オイルを捕集する油溜
83により給油して潤滑する。
Description
【0001】
本考案は、センターディファレンシャル装置を備えた4輪駆動車に関し、詳し くは、複合プラネタリギヤ式センターディファレンシャル装置の多重に配置され るブッシュやベアリングの潤滑に関する。
【0002】
近年、センターディファレンシャル装置を備えた4輪駆動車においては、セン ターディファレンシャル装置に差動機能や前後輪へのトルク分割機能を付与する 以外に、前後輪のトルク配分を可変制御したり、減速または増速装置として利用 して、走行性能、操縦性、安定性、制動性等を一段と向上させることが提案され ている。このように、センターディファレンシャル装置に種々の機能が付与され ると、出力要素、及びそれを支持するベアリング等の個数も増大するため、特に 中心のオイル通路から遠い箇所のベアリング等の潤滑を適確に行うように構成す ることが必要になる。
【0003】 従来、上記多機能を備えたセンターディファレンシャル装置付4輪駆動車に関 しては、例えば特願平2−134306号のものがある。ここで、センターディ ファレンシャル装置が複合プラネタリギヤ式に構成されて、一方の出力側に前輪 に常に動力伝達するギヤが装着され、他方の出力側に差動制限すると共に前後輪 へのトルク配分を可変制御する第1の中間軸と、後輪に動力伝達する第2の中間 軸と、キャリヤボス部とが3重に配置される。そして、両中間軸の間にはブッシ ュが、第2の中間軸とキャリヤボス部、及びキャリヤボス部とケースの間にはそ れぞれボールベアリングが介設される。ここで、第1の中間軸の内部のオイル通 路からオイル孔等を介してブッシュや内側のボールベアリングには直接給油して 潤滑し、外側のボールベアリングに対してはキャリヤ側に形成される開口部等に より飛散オイルを供給して潤滑することが示されている。
【0004】
ところで、上記先行技術のものにあっては、3重に配置されるブッシュと2つ のボールベアリングにおいて、中心に近いブッシュと内側のボールベアリングに は直接給油されて良好に潤滑することができるが、中心から遠い外側のボールベ アリングでは飛散オイルの捕集が不充分であり、このため充分に潤滑することが 難しい等の問題がある。
【0005】 本考案は、この点に鑑みてなされたもので、複合プラネタリギヤ式センターデ ィファレンシャル装置で多重に配置されるブッシュやベアリングを充分に潤滑す ることを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本考案は、前後輪への駆動系の途中に、複合プラネ タリギヤ式センターディファレンシャル装置が配置され、この複合プラネタリギ ヤ式センターディファレンシャル装置は、一方の出力側に2つの出力要素とキャ リヤボス部が3重に配置され、2つの出力要素の間にはブッシュが、外側の出力 要素とキャリヤボス部の間には第1のベアリングが、キャリヤボス部の外側とケ ースの間には第2のベアリングがそれぞれ回転自在に支持するように介設される 構成において、内側の出力要素の内部のオイル通路からブッシュと第1のベアリ ングに直接給油するように潤滑経路が設けられ、この第2のベアリングの少なく とも下部に第1のベアリングに給油されるオイルの一部を捕集して供給する油溜 が付設されるものである
【0007】
上記構成に基づき、複合プラネタリギヤ式センターディファレンシャル装置に より、例えば差動、前後輪へのトルク配分制御、所定の変速段等の種々の機能を 付与して4輪駆動走行される。そして、センターディファレンシャル装置で3重 に配置される内側のブッシュとベアリングには潤滑経路により直接給油され、外 側のベアリングには油溜により飛散オイルを捕集して常に確実に給油されるよう になり、こうしてこれらのブッシュとベアリングは良好に潤滑することが可能に なる。
【0008】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図1において、本考案が適 用されるセンターディファレンシャル装置付4輪駆動車として、エンジン、自動 変速機を車両前後方向に縦置き配置した第1の実施例の駆動系について説明する 。先ず、トルクコンバータケース1、ディファレンシャルケース2の後部にトラ ンスミッションケース3が接合し、トランスミッションケース3の後部にトラン スファケース4およびエクステンションケース6が接合し、トランスミッション ケース3の下部にはオイルパン5が取付けられる。
【0009】 符号10はエンジンであり、このエンジン10のクランク軸11がトルクコン バータケース1内部のロックアップクラッチ12を備えたトルクコンバータ13 に連結し、トルクコンバータ13からの入力軸14がトランスミッションケース 3内部の自動変速機30に入力する。自動変速機30からの変速機出力軸15は 入力軸14と同軸上に出力し、この変速機出力軸15がトランスファケース4内 部のセンターディファレンシャル装置50に同軸上に連結する。
【0010】 トランスミッションケース3内部において、入,出力軸14,15に対してフ ロントドライブ軸16が平行配置され、このフロントドライブ軸16の後端はセ ンターディファレンシャル装置50に一対のリダクションギヤ17,18を介し て連結し、フロントドライブ軸16の前端はディファレンシャルケース2内部の フロントディファレンシャル装置19を介して前輪に伝動構成される。一方、セ ンターディファレンシャル装置50の後部には油圧多板クラッチ装置60が設け られて、この油圧多板クラッチ装置60から出力するリヤドライブ軸20は、プ ロペラ軸21、リヤディファレンシャル装置22等を介して後輪に伝動構成され る。
【0011】 自動変速機30は、2組のフロントプラネタリギヤ31,リヤプラネタリギヤ 32により前進4段と後進1段を得る構成である。即ち、入力軸14がリヤプラ ネタリギヤ32のサンギヤ32aに、フロントプラネタリギヤ31のリングギヤ 31bおよびリヤプラネタリギヤ32のキャリア32cが変速機出力軸15に連 結する。そしてフロントプラネタリギヤ31のキャリア31cと一体的な連結要 素33と、リングギヤ32bとの間に、第1のワンウエイクラッチ34、フォワ ードクラッチ35が直列的に設けられ、連結要素33と固定部材であるケース側 との間に、第2のワンウエイクラッチ36、ローリバースブレーキ37が並列的 に設けられる。連結要素33とリングギヤ32bとの間には、オーバランニング クラッチ38がバイパスして設けてある。
【0012】 また、サンギヤ31aと一体的な連結要素39には、バンドブレーキ40が設 けられ、入力軸14と一体的な連結要素41およびキャリア31cと一体的な連 結要素42との間には、ハイクラッチ43が設けられる。更に連結要素39と4 1との間には、リバースクラッチ44が設けられている。
【0013】 この自動変速機30の構成により、Dレンジまたは3レンジと2レンジの1速 ではフォワードクラッチ35が係合し、加速の場合は、両ワンウエイクラッチ3 4,36の作用で連結要素33と共にリングギヤ32bをロックすることで、入 力軸14からサンギヤ32a,キャリア32cを介して変速機出力軸15に動力 伝達する。このとき、惰行時は第1のワンウエイクラッチ34がフリーになり、 オーバランニングクラッチ38を係合して第1のワンウエイクラッチ34のフリ ー回転を規制しても、第2のワンウエイクラッチ36がフリーになってエンジン ブレーキは作用しない。1レンジの1速では、ローリバースクラッチ37の係合 でオーバランニングクラッチ38を介してリングギヤ32bを常にロックするた め、エンジンブレーキが作用する。
【0014】 Dレンジまたは3レンジと2レンジの2速では、上記フォワードクラッチ35 とバンドブレーキ40とが係合し、このバンドブレーキ40によりサンギヤ31 aをロックする。そこで、キャリア31cとリングギヤ32bとが、連結要素3 3、フォワードクラッチ35、第1のワンウエイクラッチ34を介して回転し、 1速時よりもリングギヤ32bが回転する分だけ増速した動力が出力する。この とき減速時には、オーバランニングクラッチ38の係合により連結要素33とリ ングギヤ32bとを連結状態に保つことで、エンジン側に逆駆動力が伝達してエ ンジンブレーキが作用する。
【0015】 Dレンジまたは3レンジの3速では、フォワードクラッチ35とハイクラッチ 43とが係合し、このハイクラッチ43により入力軸14が連結要素41,42 、キャリア31c、連結要素33、フォワードクラッチ35、第1のワンウエイ クラッチ34を介してリングギヤ32bに連結する。このため、リヤプラネタリ ギヤ32は一体化して、入力軸14と変速機出力軸15とは直結する。この時、 減速時にオーバランニングクラッチ38の結合で第1のワンウエイクラッチ34 の空転を規制することで、2速と同様にエンジンブレーキが作用する。
【0016】 Dレンジの4速では、上述に加えてバンドブレーキ40の係合でサンギヤ31 aをロックする。このため、フロントプラネタリギヤ31でハイクラッチ43に よりキャリア31cに入力した動力でリングギヤ31bを増速することになり、 これが変速機出力軸15に伝達する。この場合は、第1、第2のワンウエイクラ ッチ34,36を介しないため常にエンジンブレーキが作用する。
【0017】 Rレンジでは、リバースクラッチ44の結合でサンギヤ31aに入力軸14の 動力が入力する。また、ローリバースクラッチ37の係合で連結要素33と共に キャリア31cをロックするため、フロントプラネタリギヤ31でリングギヤ3 1bに逆転してギヤ比の大きい動力が出力し、この逆転動力が変速機出力軸15 に伝達して後進速になる。こうして、自動変速機30において前進4段後進1段 の変速段が得られる。
【0018】 一方、自動変速機30の前方にはオイルポンプ45が設置され、トルクコンバ ータ13のポンプインペラ側のドライブ軸46で常に駆動される。オイルパン5 にはコントロールバルブボデー47が収容され、上述の各クラッチ、ブレーキに 給排油して選択的に係合するようになっている。
【0019】 図2において、センターディファレンシャル装置50、油圧多板クラッチ装置 60の部分について説明する。先ず、変速機出力軸15の後方に第1、第2の中 間軸23,24を介してリヤドライブ軸20が同軸上に配置される。また、変速 機出力軸15には前輪側のリダクションギヤ17が回転自在に嵌合し、これらの 変速機出力軸15、リダクションギヤ17及び第1、第2の中間軸23,24の 間に、センターディファレンシャル装置50が同軸上に配置される。
【0020】 センターディファレンシャル装置50は複合プラネタリギヤに構成されるもの であり、変速機出力軸15に形成される第1のサンギヤ51と、第2の中間軸2 4に形成される第2のサンギヤ53を有する。またキャリヤ55は左右のフラン ジ55a,55bをアーム55cにより一体化して成り、両フランジ55a,5 5bの間に装架されたピニオン軸56に、軸方向に一体形成される第1、第2の ピニオン52,54がニードルベアリング27を介して回転自在に装着される。 そして、第1のサンギヤ51に第1のピニオン52が、第2のサンギヤ53に第 2のピニオン54がそれぞれ噛合い、トルク配分した動力を第2の中間軸24に 出力するように構成される。
【0021】 一方、第2の中間軸24の内部には更に第1の中間軸23が遊嵌され、この第 1の中間軸23の前端で2つのサンギヤ51,53の間隙の箇所に連結部材57 が結合され、この連結部材57がキャリヤ55のアーム55cに一体的にスプラ イン結合して、差動制限等の作用を行うようになっている。更に、キャリヤ55 の一方のフランジ55aにはリダクションギヤ17が、キャリヤ55の動力を出 力するように結合される。ここで、キャリヤ55の前方はそれと一体的なリダク ションギヤ17がトランスミッションケース3の壁部3aでボールベアリング2 6aにより支持され、後方はフランジ55bのボス部55dの外周がトランスフ ァケース4の壁部4aによりボールベアリング26bで支持され、且つ内周が第 2の中間軸24に対しボールベアリング26cで支持され、両端支持で回転自在 に設置される。
【0022】 このセンターディファレンシャル装置50の構成により、第1のサンギヤ51 に入力する動力を、第1、第2のサンギヤ51,53と、第1、第2のピニオン 52,54との歯車諸元によるトルク配分比でキャリヤ55と第2のサンギヤ5 3に伝達して、前後輪へ不等トルク配分する機能を有する。また第1,第2のピ ニオン52,54の遊星回転により、旋回時の旋回半径の差によって生じるキャ リヤ55と第2のサンギヤ53との回転数差を吸収する差動機能を有する。
【0023】 ここで、図4の略図を用いてセンターディファレンシャル装置50の不等トル ク配分機能について詳記する。第1のサンギヤ51の入力トルクをTi、その噛 合いピッチ半径をrs1、キャリヤ55のフロント側トルクをTF、第1,第2 のピニオン52,54の噛合いピッチ半径をrp1,rp2、第2のサンギヤ5 3のリヤ側トルクをTR、その噛合いピッチ半径をrs2とすると、 Ti=TF+TR (1) rs1+rp1=rs2+rp2 (2) が成立する。
【0024】 また、第1のサンギヤ51と第1のピニオン52との噛合点に作用する接線方 向荷重Pは、キャリヤ55に作用する接線方向荷重P1と、第2のサンギヤ53 と第2のピニオン54との噛合点に作用する接線方向荷重P2との和に等しいの で、次式が成立する。 P=Ti/rs1 P1=TF/(rs1+rp1) P2=TR/rs2 Ti/rs 1={(TF/(rs1+rp1)}+TR/rs2 (3) そこで、(1),(2)式を(3)式に代入して整理すると、以下のようになる 。 TF=(1−rp1・rs2/rs1・rp2)×Ti TR=(rp1・rs2/rs1・rp2)×Ti
【0025】 このことから、第1,第2のサンギヤ51,53と、第1、第2のピニオン5 2,54との噛合いピッチ半径により、フロント側トルクTFおよびリヤ側トル クTRの基準トルク配分比を自由に設定し得ることがわかる。ここで、rs1、 rp1、rp2、rs2は各歯数Zs1、Zp1、Zp2、Zs2に置き換える ことができ、Zp1=Zp2=21、Zs1=33、Zs2=21とすると、 TF:TR=36.4:63.6 になる。従って充分に後輪偏重の基準トルク配分比に設定し得る。
【0026】 次に、センターディファレンシャル装置50を増速機として使用する場合につ いて説明する。この複合プラネタリギヤ式センターディファレンシャル装置50 では、第2の中間軸24を固定することで所定の増速ギヤ比を得ることができ、 この増速ギヤ比単独または自動変速機30の所定の変速段との共動により更に第 5速に変速するようになっている。そこで、例えば第2速の変速段を用いる場合 について説明すると、第2速のギヤ比i2、センターディファレンシャル装置5 0の増速ギヤ比ipにより、第5速のギヤ比i5は以下のようになる。 i5=i2・ip ここで、センターディファレンシャル装置50の歯車諸元に上述のものを用いる と、ip=(33−21)/33=0.363になり、例えばi2=1.545 とすると、i5=0.561になり、第4速よりギヤ比の小さい第5速が適正な ギ比間隔で得られることになる。一方、この第5速では、油圧多板クラッチ62 を走行状態や路面状況に応じて油圧を制御することで伝達トルクを生じ、前後輪 のトルク配分が制御可能な4輪駆動となる。
【0027】 図3において、油圧多板クラッチ装置60について説明する。先ず、第2の中 間軸24とリヤドライブ軸20の間に介設され、トルク伝達用の摩擦係合要素と しての油圧多板クラッチ61と、第1の中間軸23とリヤドライブ軸20との間 に介設され、差動制限とトルク移動用の摩擦係合要素としての油圧多板クラッチ 62と、第2の中間軸24に設けられ、センターディファレンシャル装置50の 差動機能を阻止してキャリヤ55を増速回転させる摩擦係合要素としての第5速 用ブレーキ63とを有する。そして、これらの油圧多板クラッチ61,62と第 5速用ブレーキ63は、センターディファレンシャル装置50の直後において、 第1中間軸23等の周囲の径方向に3重に重合して同軸上に配置される。即ち、 油圧多板クラッチ61,62は共にリヤドライブ軸20に連結され、油圧多板ク ラッチ61と第5速用ブレーキ63は共に第2の中間軸24に連結されることか ら、油圧多板クラッチ61が中間に配置され、この油圧多板クラッチ61の外側 に第5速用ブレーキ63が、内側に油圧多板クラッチ62が配置される。
【0028】 そこで、第2の中間軸24にドラム部材64がスプライン結合され、このドラ ム部材64の内側にリヤドライブ軸20の前端に一体形成されるドラム部材65 が配置され、これらのドラム部材64,65の間に油圧多板クラッチ61が設け られる。油圧多板クラッチ61はドラム部材64,65の間にドライブプレート 61aとドリブンプレート61bが交互に設けられ、ドラム部材64の内部に油 圧室61c、ピストン61d、リターンスプリング61eが設けられ、第2の中 間軸24をリヤドライブ軸20に連結または遮断するように構成される。
【0029】 第5速用ブレーキ63は、ドラム部材64とトランスファケース4との間に交 互にドライブプレート63aとドリブンプレート63bが設けられ、トランスフ ァケース4の壁部4aの内部に油圧室63c、ピストン63d、リターンスプリ ング63eが設けられ、第2の中間軸24を固定またはフリーにするように構成 される。
【0030】 油圧多板クラッチ62は、第1の中間軸23にスプライン結合するハブ部材6 6とドラム部材65との間に、ドライブプレート62aとドリブンプレート62 bが交互に設けられる。また、固定側のエクステンションケース6のボス部6a の内部に、油圧室62c、ピストン62d、リターンスプリング62eが、大き い押圧力を発生すると共に、遠心油圧の影響のない状態で油圧を正確に制御する ことが可能に設けられる。そして、このピストン62dがボールベアリング62 f、押圧部材62gを介してプレート側に連結され、可変制御される差動制限ト ルクや伝達トルクを生じるように構成される。尚、軸嵌合部にはブッシュ28が 介設され、軸同志や軸と他の部材との突き当て部にはスラストベアリング25が 介設されている。
【0031】 これらの油圧多板クラッチ61,62及び第5速用ブレーキ63は、コントロ ールバルブボデー47で自動変速機30の変速制御等と共に油圧制御される。即 ち、自動変速機30で前進4段後進1段に変速される場合は、第5速用ブレーキ 63を解放して油圧多板クラッチ61を係合し、このとき後輪スリップ等に応じ て油圧多板クラッチ62に差動制限トルクを生じる。また、第4速で車速が設定 値より上昇すると、逆に第5速用ブレーキ63を係合して油圧多板クラッチ61 を解放し、このとき前輪スリップ等に応じて油圧多板クラッチ62に伝達トルク を生じる。
【0032】 以上、自動変速機30とセンターディファレンシャル装置50のDレンジと、 Rレンジの各変速段におけるクラッチ、ブレーキ動作をまとめて示すと、表1の ようになる。
【表1】 この表1において、○印はクラッチ,ブレーキの係合動作を、●は油圧多板ク ラッチ62による差動制限トルクの発生を、◎は油圧多板クラッチ62による前 後輪への駆動力配分制御をする場合の伝達トルク状態をそれぞれ示す。
【0033】 また各変速段におけるギヤ比、ギヤ比の例、トルク配分率をまとめて示すと、 表2のようになる。
【表2】 この表2において、α1はフロントプラネタリギヤ31のサンギヤ31aの歯 数Zs1とリングギヤ31bの歯数Zr1の比で、α1=Zs1/Zr1、α2 はリヤプラネタリギヤ32のサンギヤ32aの歯数Zs2とリングギヤ32bの 歯数Zr2の比で、α2=Zs2/Zr2を示す。
【0034】 フロントプラネタリギヤ31の各要素の回転数の関係を示すと、次式のように なる。 Nr1+α1・Ns1=(1+α1)・Nc1 但し、α1=Zs1/Zr1 リヤプラネタリギヤ32の各要素の回転数の関係を示すと、次式のようになる 。 Nr2+α2・Ns2=(1+α2)・Nc2 但し、α2=Zs2/Zr2 ここで、フロントプラネタリギヤ31のリングギヤ31bの回転数Nr1、サン ギヤ31aの回転数Ns1、キャリヤ31cの回転数Nc1であり、またリヤプ ラネタリギヤ32のリングギヤ32bの回転数Nr2、サンギヤ32aの回転数 Ns2、キャリヤ32cの回転数Nc2である。
【0035】 更に、潤滑系について説明する。先ず、トランスミッションケース3の壁部3 aに油圧源からのオイルが流入するオイル通路70、そのオイルの潤滑圧を調整 するリリーフ弁71が設けられ、このオイルが自動変速機30の後部に供給され ると共に、オイル孔72等を介して変速機出力軸15の内部中心のオイル通路7 3に供給される。この変速機出力軸15のオイル通路73はオリフィス部材74 を有して、後方が第1の中間軸23のオイル通路75に連通され、オイル通路7 3からオイル孔76等を介してセンターディファレンシャル装置50のキャリヤ 55内部の各ギヤ51〜54、スラストベアリング25に給油される。また、リ ダクションギヤ17の内側の隙間からブッシュ28に給油され、且つそのギヤ1 7、フランジ55a及びピニオン軸56に連通して設けられるオイル通路77、 オイル孔78を介してニードルベアリング27に給油される。
【0036】 センターディファレンシャル装置50の後部には、ブッシュ28、ボールベア リング26c,26bが3重に配置されており、第1の中間軸23のオイル通路 75からオイル孔79を介してブッシュ28に直接給油される。また、このブッ シュ28から軸間隙間、第2の中間軸24のオイル孔80、ドラム部材64の切 欠き81を介してキャリヤボス部55dの内側のボールベアリング等26cに給 油されると共に、その外側のボールベアリング26b側にオイル飛散するように なっている。ここで、そのボールベアリング26bが嵌着されるトランスファケ ース4の壁部4aには、第5速用ブレーキ63のピストン63d等を設ける円筒 部4bが突設されており、この円筒部4bの内側にベアリング径より小径のリブ 82が補強を兼ねて円形に設けられ、このリブ82により飛散オイルを捕集して 給油するように油溜83が形成される。
【0037】 次いで、油圧多板クラッチ装置60の部分の潤滑系について説明すると、第1 の中間軸23のオイル通路75からオイル孔90により3つの経路で、ドラム部 材64,65やハブ部材66の内部、スラストベアリング25に給油される。ま た3重に重合されるドラム部材64,65とハブ部材66の筒部の円周上には、 スプライン溝と各別またはその溝を兼ねたオイル孔91,92,93がそれぞれ 設けられ、これらの部材64〜66が回転する際に遠心力によりオイルを内側か ら外側に連続的に供給するようになっている。
【0038】 次に、この実施例の作用について説明する。先ず、エンジン10の動力はトル クコンバータ13、入力軸14を介して自動変速機30に入力し、2組のフロン トプラネタリギヤ31とリヤプラネタリギヤ32の作動、クラッチ44,43, 35,38,36,34とブレーキ40,37の選択的係合により、Dレンジに シフトすると前進速の第1速ないし第4速に自動変速され、Rレンジにシフトす る場合は後進速になる。そしてこの変速動力が、変速機出力軸15からセンター ディファレンシャル装置50の第1のサンギヤ51に入力して、トルク配分され る。またこの場合は、油圧多板クラッチ装置60の油圧多板クラッチ61が係合 して、センターディファレンシャル装置50の第2のサンギヤ53がリヤドライ ブ軸20に連結される。
【0039】 ここでセンターディファレンシャル装置50の各歯車諸元により、例えばTF :TR=36.4:63.6に設定されているため、変速動力の36.4%がキ ャリヤ55に、63.6%が第2のサンギヤ53にそれぞれ配分して出力される 。そしてキャリヤ55の動力は、リダクションドライブギヤ17、リダクション ドリブンギヤ18、フロントドライブ軸16、フロントディファレンシャル装置 19を介して前輪に伝達する。また、第2のサンギヤ53の動力は、第2の中間 軸24、油圧多板クラッチ61、リヤドライブ軸20以降の後輪に伝達し、後輪 偏重の4輪駆動走行になり、このトルク配分ではオーバステア気味になって回頭 性、操縦性等が良好になる。この4輪駆動走行の旋回時には、センターディファ レンシャル装置50の第1、第2のピニオン52,54の遊星回転により、旋回 時に生じる前後輪の回転数差が吸収され、自由に旋回可能になる。
【0040】 次いで、滑り易い路面走行時には、基準トルク配分が後輪偏重のトルク配分の ため通常は後輪が先にスリップし、この場合に油圧多板クラッチ62の差動制限 トルクTcがスリップ状態に応じて制御される。すると、センターディファレン シャル装置50のキャリヤ55と第2のサンギヤ53との間に、キャリヤ55、 連結部材57、第1の中間軸23及び油圧多板クラッチ62による他の伝動系路 がバイパスして形成され、高回転の第2のサンギヤ53の後輪側から低回転のキ ャリヤ55の前輪側に、差動制限トルクTcに応じてトルクバイパスする。そこ で、前輪寄りにトルク配分制御されて後輪スリップが防止され、走破性を向上す る。
【0041】 このとき差動制限トルクTcが最大になると、第2のサンギヤ53とキャリヤ 55との直結によりセンターディファレンシャル装置50はロックして直結式4 輪駆動になり、前後輪の輪荷重配分に相当したトルク配分になる。こうして差動 制限トルクTcを制御することにより、後輪偏重と直結式との間でトルク配分が 可変制御されることになる。
【0042】 一方、第4速の走行条件より更に高速になると、自動変速機30が第2速の状 態になり、同時に第5速用ブレーキ63の係合によりセンターディファレンシャ ル装置50の第2のサンギヤ53が固定して、キャリヤ55が増速回転する。こ のため、自動変速機30の第2速の動力が、センターディファレンシャル装置5 0で大幅に増速されてキャリヤ55以降の前輪に伝達し、第4速よりギヤ比の小 さいオーバドライブの第5速に変速されて高速走行することが可能になるのであ り、この場合はアンダーステア気味になって高速安定性を向上する。この時、走 行状態や前輪スリップの状況等に応じて油圧多板クラッチ62に所定の油圧が供 給されると、上述と同様に伝達トルクTD が可変制御されて、キャリヤ55から 第1の中間軸23、油圧多板クラッチ62を介して後輪にもトルク伝達される。 そこで、前輪スリップを防止すると共に、同様に前後輪のトルク配分が制御可能 な4輪駆動走行になる。
【0043】 上記4輪駆動での走行時等においては、油圧源からのオイルがリリーフ弁71 、オリフィス部材74により所定の圧力、流量に調整して、中心の変速機出力軸 15と第1の中間軸23のオイル通路73,75に常に導入されている。そして オイル通路73のオイルが、センターディファレンシャル装置50の各ギヤ51 〜54、ブッシュ28、ベアリング25,27等に供給され、オイル通路75の オイルが3重に配置されるブッシュ28、ボールベアリング26cに直接供給さ れる。また、切欠き81から飛散するオイルが円形のリブ82により捕集されて 油溜83に溜まり、この油溜83のオイルが中心から遠いボールベアリング26 bにも常に確実に供給されることになり、こうしてセンターディファレンシャル 装置50の各部が良好に潤滑される。
【0044】 また、オイル通路75のオイルが油圧多板クラッチ装置60のスラストベアリ ング25等に供給され、且つドラム部材64,65とハブ部材66の内部に3つ の経路で流入する。そして、ドラム部材64に流入する2つの経路のオイルで、 油圧多板クラッチ61,62の主としてピストン側が強制潤滑される。また、特 に走行中では各部材64〜66が高速回転しているため、1つの経路でハブ部材 66の内部に流入するオイルは遠心力により自動的に外方に飛散され、オイル孔 91〜93により先ず内側の油圧多板クラッチ62、次いで中間の油圧多板クラ ッチ61、更に外側の第5速用ブレーキ63のプレート部とピストン側にオイル が順次連続的に流れて良好に強制潤滑される。
【0045】 図5において、本考案の他の実施例について説明すると、(a)に示すように 円弧状の部材に取付け片を設けて油溜が各別に構成され、この油溜が(b)に示 すようにボールベアリングの下部で円筒部に装着される。従って、この実施例の 油溜によっても同様に飛散オイルを捕集して、ボールベアリングに給油すること が可能になる。
【0046】
以上説明したように、本考案によれば、センターディファレンシャル装置付4 輪駆動車において、複合プラネタリギヤ式センターディファレンシャル装置の3 重に配置されるブッシュ、2つのボールベアリングの中心から遠いボールベアリ ングには油溜により給油するように構成されるので、そのボールベアリングを常 に良好に潤滑することができて、耐久性、信頼性が向上する。油溜は内側のボー ルベアリングに供給されるオイルを捕集して外側のボールベアリングに供給する 構成であるから、構造が簡単で、常に多量のオイルを確実に供給することができ る。ケース円筒部の内側全周にリブを突設して油溜を形成する実施例では、円筒 部を補強することもできて好ましい。
【図1】本考案に係るセンターディファレンシャル装置
付4輪駆動車として、縦置き配置の実施例の全体を示す
スケルトン図である。
付4輪駆動車として、縦置き配置の実施例の全体を示す
スケルトン図である。
【図2】センターディファレンシャル装置と油圧多板ク
ラッチ装置の部分の拡大断面図である。
ラッチ装置の部分の拡大断面図である。
【図3】油圧多板クラッチ装置の部分の拡大断面図であ
る。
る。
【図4】トルク配分状態,差動制限と直結用伝達トルク
の流れを説明する略図である。
の流れを説明する略図である。
【図5】本考案の他の実施例を示す要部の斜視図と断面
図である。
図である。
15 変速機出力軸 16 フロントドライブ軸 17,18 リダクションギヤ 20 リヤドライブ軸 30 自動変速機 50 センターディファレンシャル装置 23 第1の中間軸(出力要素) 24 第2の中間軸(出力要素) 55 キャリヤ 55d ボス部 28 ブッシュ 26b,26c ボールベアリング 75 オイル通路 79,80 オイル孔 81 切欠き 82 リブ 83 油溜
Claims (2)
- 【請求項1】 前後輪への駆動系の途中に、複合プラネ
タリギヤ式センターディファレンシャル装置が配置さ
れ、この複合プラネタリギヤ式センターディファレンシ
ャル装置は、一方の出力側に2つの出力要素とキャリヤ
ボス部が3重に配置され、2つの出力要素の間にはブッ
シュが、外側の出力要素とキャリヤボス部の間には第1
のベアリングが、キャリヤボス部の外側とケースの間に
は第2のベアリングがそれぞれ回転自在に支持するよう
に介設される構成において、内側の出力要素の内部のオ
イル通路からブッシュと第1のベアリングに直接給油す
るように潤滑経路が設けられ、この第2のベアリングの
少なくとも下部に第1のベアリングに給油されるオイル
の一部を捕集して供給する油溜が付設されることを特徴
とするセンターディファレンシャル装置付4輪駆動車。 - 【請求項2】 上記油溜は、ケースの壁部で第2のベア
リングが嵌着される部分に、その第2のベアリングより
小径の円形リブを突設したり、または円弧状部材を装着
して形成されることを特徴とする請求項1記載のセンタ
ーディファレンシャル装置付4輪駆動車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9455191U JP2557407Y2 (ja) | 1991-10-22 | 1991-10-22 | センターディファレンシャル装置付4輪駆動車 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9455191U JP2557407Y2 (ja) | 1991-10-22 | 1991-10-22 | センターディファレンシャル装置付4輪駆動車 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0535445U true JPH0535445U (ja) | 1993-05-14 |
JP2557407Y2 JP2557407Y2 (ja) | 1997-12-10 |
Family
ID=14113456
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9455191U Expired - Lifetime JP2557407Y2 (ja) | 1991-10-22 | 1991-10-22 | センターディファレンシャル装置付4輪駆動車 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2557407Y2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010196868A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-09 | Nissan Motor Co Ltd | 車両のクラッチユニット |
-
1991
- 1991-10-22 JP JP9455191U patent/JP2557407Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010196868A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-09 | Nissan Motor Co Ltd | 車両のクラッチユニット |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2557407Y2 (ja) | 1997-12-10 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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EXPY | Cancellation because of completion of term |