JP2556148Y2 - 笠木装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は高さの異なる隣接する建
物の一方の壁面と他方の建物の上面との間を覆う笠木装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の笠木装置は建物の一方の
壁面に固定された該一方の建物の壁面と他方の建物の上
面との間を覆うカバーと、このカバーの両端部に固定さ
れた他方の建物の上部側の側面を覆う一対の小口キャッ
プとで構成されている。

【０００３】

【本考案が解決しようとする課題】従来の笠木装置は地
震等で隣接する建物が揺れ動いた場合、小口キャップが
カバーに固定されているため、他方の建物の上部側面が
小口キャップに衝突し、小口キャップやカバーを損傷す
るという欠点があった。

【０００４】本考案は以上のような従来の欠点に鑑み、
地震等で隣接する建物が揺れ動いても小口キャップやカ
バーが損傷することなく、かつ見苦しくなったりするの
を防止することができる笠木装置を提供することを目的
としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案は隣接する一方の建物の壁面と他方の建物の
上面との間を覆うことができる後端部が上方に突出され
先端部が下方に突出されたほぼ軽Ｚ形鋼形状で一方の建
物の壁面に固定されたカバーと、このカバーの両端部の
後端部寄りの内側面部位および先端部あるいは先端部寄
りの内側面部位に形成された一対のガイドレールと、前
記カバーの両端部を覆う一対の小口キャップと、この一
対の小口キャップの内壁面にそれぞれ外方に突出するよ
うに固定された前記一対のガイドレールに支持される両
端部が下方に突出するほぼチャンネル状の支持片と、前
記一対の小口キャップをそれぞれ常時前記カバーの端部
に常時押し圧するように付勢する付勢機構とで笠木装置
を構成している。

【０００６】

【作用】上記のように構成された笠木装置は地震等で建
物が揺れ動いた場合、他方の建物が小口キャップに当っ
て、該小口キャップを付勢機構によって、カバーより出
没するスライド移動するとともに、付勢機構によって小
口キャップがカバーの端部に常時押し圧される。

【０００７】

【本考案の実施例】以下、図面に示す実施例により、本
考案を詳細に説明する。

【０００８】図１ないし図１０の本考案の第１の実施例
において、１、１Ａは高さの異なる隣接する建物であ
る。

【０００９】２は前記高い方の一方の建物１の側壁３と
前記低い方の他方の建物１Ａの上部との間の目地部４を
覆う本考案の笠木装置で、この笠木装置２は前記一方の
建物１の側壁３に固定された所定間隔で配置された複数
個の取付け金具５と、これらの複数個の取付け金具５を
覆いかつ該複数個の取付け金具５および前記一方の建物
１の側壁３に固定される前記目地部４を覆うカバー６
と、このカバー６の両端部にスライド可能に取付けられ
た該カバー６の両端部をそれぞれ覆う一対の小口キャッ
プ７、７と、この一対の小口キャップ７、７を常時前記
カバー６の両端部へそれぞれ押付けるように付勢する付
勢機構８とから構成されている。

【００１０】前記複数個の取付け金具５は図５および図
６に示すようにアングル状に形成された取付け金具本体
９と、この取付け金具本体９の後端部に形成した前記一
方の建物１の側壁３に複数個のアンカーボルト１０等で
取付けられる固定部１１と、前記取付け金具本体９の先
端部に形成された前記カバー６の先端部とビス１２等に
よって取付けられる取付け部１３とから構成されてい
る。

【００１１】前記カバー６は図７に示すようにほぼ軽Ｚ
形鋼形状に形成されたもので、前記目地部４を覆うステ
ンレス材あるいはアルミ合金材等で形成された板状のカ
バー本体１４と、このカバー本体１４の後端部より上方
に突出するように一体形成された前記一方の建物１の側
壁３に複数個のアンカーボルト１０によって固定される
固定板１５と、前記カバー本体１４の前端部より下方へ
突出するように一体成形されたカバー板１６と、前記カ
バー本体１４の両端部の後端部寄りの内側面部位および
先端部の内側面部に形成した一対のガイドレール１７、
１７とから構成されている。

【００１２】前記一対の小口キャップ７、７は図８およ
び図９に示すように、前記カバー６の両端部および前記
他方の建物１Ａの上端部を覆う周壁板１８を有する小口
キャップ本体１９と、この小口キャップ本体１９の内側
上面にスポット溶接等で固定された前記ガイドレール１
７に沿ってスライド移動する両端部が下方に突出するほ
ぼチャンネル状の支持片２０とから構成されている。

【００１３】前記付勢機構８は図１０に示すように、前
記カバー６の両端部寄りのほぼ中央部にスポット溶接等
で固定されたスプリングカバー２１と、このスプリング
カバー２１の一端部より出没可能に取付けられた連結杆
２２と、この連結杆２２を常時スプリングカバー２１内
に収納するように付勢する該スプリングカバー２１内に
収納された付勢スプリング２３と、前記連結杆２２の先
端部を前記小口キャップ本体１９あるいは支持片２０、
本実施例では支持片２０に取付ける取付け具２４とから
構成されている。

【００１４】上記構成の笠木装置２は地震等で一方の建
物１と他方の建物１Ａとが揺れ動いた場合、上下方向の
動きは他方の建物１Ａの上面と取付け金具５との間の隙
間によって吸収し、左右方向の動きは他方の建物１Ａの
パラペット１ａの内壁面とカバー６のカバー板１６と間
の隙間によって吸収し、前後方向の動きは一対の小口キ
ャップ７、７のカバー６とのスライド移動によって吸収
する。

【００１５】

【本考案の異なる実施例】次に図１１ないし図１７に示
す本考案の異なる実施例につき説明する。なお、これら
の本考案の異なる実施例の説明に当って、前記本考案の
第１の実施例と同一構成部分には同一符号を付して重複
する説明を省略する。

【００１６】図１１ないし図１３の本考案の第２の実施
例において、前記本考案の第１の実施例と主に異なる点
は、両端部にフランジ部２５、２５を形成したカバー６
Ａと、このカバー６Ａの先端部寄りの内側面部にガイド
レール１７形成するとともに、板状の小口キャップ７Ａ
とを用いた点で、このように形成されたカバー６Ａを用
いて構成した笠木装置２Ａにしても、前記本考案の第１
の実施例と同様な作用効果が得られる。

【００１７】図１４および図１５の本考案の第３の実施
例において、前記本考案の第１の実施例と主に異なる点
はスプリングカバー２１を支持片２０に固定するととも
に、取付け具２４をカバー６の端部寄りのほぼ中央部に
固定した付勢機構８を用いた点で、このように構成され
た笠木装置２Ｂにしても、前記本考案の第１の実施例と
同様な作用効果が得られる。

【００１８】図１６および図１７の本考案の第４の実施
例において、前記本考案の第１の実施例と主に異なる点
は一方の建物の壁面に複数本のアンカーボルト２６で固
定された固定金具２７と、この固定金具２７に回動可能
に取付けられる可動金具２８とからなる取付け金具２９
を用いてカバー６の一端部を取り付けるとともに、他方
の建物の上面に固定されたスライド溝３０を有するスラ
イド金具３１と、このスライド金具３１のスライド溝３
０にスライド可能に挿入されたスライド板３２と、この
スライド板３２の先端部に回動可能に取付けられたカバ
ー６の他端部を取付ける可動金具３３とからなる支持金
具３４を用いて取付けた点で、このようにしてカバー６
を取付けた笠木装置２Ｃにしても、前記本考案の第１の
実施例と同様な作用効果が得られる。

【００１９】なお、前記本考案の各実施例では付勢機構
８として、スプリングカバー２１、連結杆２２および圧
縮付勢スプリング２３を用いたものに付いて説明した
が、本考案はこれに限らず、連結杆を用いない引っ張り
付勢スプリングを用いたもの、スプリングカバーを使用
しないで、連結杆をスライド可能に支持する支持板と連
結杆と間に圧縮付勢スプリングを用いて構成したものを
使用しても同様な作用効果が得られる。

【００２０】

【本考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考
案にあっては次に列挙する効果が得られる。

【００２１】（１）隣接する一方の建物の壁面と他方の
建物の上面との間を覆うことができる後端部が上方に突
出され先端部が下方に突出されたほぼ軽Ｚ形鋼形状で一
方の建物の壁面に固定されたカバーと、このカバーの両
端部の後端部寄りの内側面部位および先端部あるいは先
端部寄りの内側面部位に形成された一対のガイドレール
と、前記カバーの両端部を覆う一対の小口キャップと、
この一対の小口キャップの内壁面にそれぞれ外方に突出
するように固定された前記一対のガイドレールに支持さ
れる両端部が下方に突出するほぼチャンネル状の支持片
と、前記一対の小口キャップをそれぞれ常時前記カバー
の端部に常時押し圧するように付勢する付勢機構とで構
成されているので、地震等で隣り合う建物が揺れ動いて
も小口キャップがスライド移動してその動きを吸収し、
従来のように小口キャップやカバーが損傷するのを確実
に防止することができる。

【００２２】（２）前記（１）によって、小口キャップ
は付勢機構によってカバーの両端部を押し圧するように
常時付勢するので、小口キャップとカバーとの隙間が生
じるのを阻止でき、見苦しくなるのを効率よく防止する
ことができる。

【００２３】（３）前記（１）によって、一対の小口キ
ャップの内壁面にそれぞれ外方に突出するように両端部
が下方に突出するほぼチャンネル状の支持片を固定させ
ているので、カバーと小口キャップとの接触面積を小さ
く設定することができるとともに、スライド部分をカバ
ーと小口キャップとのスライド部以外のカバー内に設置
して、スライド部分への雨水等の侵入を確実に阻止する
ことができる。したがって、従来のようにカバーと小口
キャップとの接触面積が大きく、かつカバーと小口キャ
ップとの接触部がスライド部分となるもののように、長
期間の使用によって、錆付き動作不良を起したりする事
故を、確実に防止することができる。

【００２４】（４）請求項２も前記（１）〜（３）と同
様な効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例を示す斜視図。

【図２】本考案の第１の実施例の側面図。

【図３】本考案の第１の実施例を示す平面図。

【図４】図１の４−４線に沿う断面図。

【図５】取付け金具の説明図。

【図６】図５の６−６線に沿う断面図。

【図７】カバーの説明図。

【図８】小口キャップの説明図。

【図９】小口キャップの断面図。

【図１０】付勢機構の説明図。

【図１１ないし図１３】本考案の第２の実施例を示す説
明図。

【図１４および図１５】本考案の第３の実施例を示す説
明図。

【図１６および図１７】本考案の第４の実施例を示す説
明図。

【符号の説明】

１：一方の建物、１Ａ：他方の建物、２、２Ａ、２Ｂ、
２Ｃ：笠木装置、３：側壁、４：目地部、５：取付け金
具、６、６Ａ：カバー、７、７Ａ：小口キャップ、８：
付勢機構、９：取付け金具本体、１０：アンカーボル
ト、１１：固定部、１２：ビス、１３：取付け部、１
４：カバー本体、１５：固定板、１６：カバー板、１
７：ガイドレール、１８：周壁板、１９：小口キャップ
本体、２０：支持片、２１：スプリングカバー、２２：
連結杆、２３：付勢スプリング、２４：取付け具、２
５：フランジ部、２６：アンカーボルト、２７：固定金
具、２８：可動金具、２９：取付け金具、３０：スライ
ド溝、３１：スライド金具、３２：スライド板、３３：
可動金具、３４：支持金具。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 隣接する一方の建物の壁面と他方の建物
   の上面との間を覆うことができる後端部が上方に突出さ
   れ先端部が下方に突出されたほぼ軽Ｚ形鋼形状で一方の
   建物の壁面に固定されたカバーと、このカバーの両端部
   の後端部寄りの内側面部位および先端部あるいは先端部
   寄りの内側面部位に形成された一対のガイドレールと、
   前記カバーの両端部を覆う一対の小口キャップと、この
   一対の小口キャップの内壁面にそれぞれ外方に突出する
   ように固定された前記一対のガイドレールに支持される
   両端部が下方に突出するほぼチャンネル状の支持片と、
   前記一対の小口キャップをそれぞれ常時前記カバーの端
   部に常時押し圧するように付勢する付勢機構とからなる
   ことを特徴とする笠木装置。
2. 【請求項２】 隣接する一方の建物の壁面と他方の建物
   の上面との間を覆うことができる後端部が上方に突出さ
   れ先端部が下方に突出されたほぼ軽Ｚ形鋼形状のカバー
   と、このカバーの後端部を前記一方の建物の壁面に回動
   可能に取付ける取付け金具と、前記カバーの先端部を他
   方の建物の上面にスライド移動可能でかっ回動可能に支
   持する支持金具と、前記カバーの両端部の後端部寄りの
   内側面部位および先端部あるいは先端部寄りの内側面部
   位に形成された一対のガイドレールと、前記カバーの両
   端部を覆う一対の小口キャップと、この一対の小口キャ
   ップの内壁面にそれぞれ外方に突出するように固定され
   た前記一対のガイドレールに支持される両端部が下方に
   突出するほぼチャンネル状の支持片と、前記一対の小口
   キャップをそれぞれ常時前記カバーの端部に常時押し圧
   するように付勢する付勢機構とからなることを特徴とす
   る笠木装置。