JP2555305B2 - 苗植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、苗タンク下端側の苗分割口部において、
苗植付具が一株分の苗を取り出す苗植装置を有する苗植
機に関する。特に、苗タンク中にポット状の苗を載置収
容して一個づつポット苗を取り出して植付ける場合にお
いて、苗の姿勢がくずれるのを防止して適切に苗を取り
出し得るようにしたものである。

〔従来技術〕

従来、紙筒群からなる育苗器で育苗された苗（一般的
にはポット苗と呼ぶ）を左右に往復動する苗タンクに載
置収容して一個づつ取り出す場合の手段として、特開昭
59−2616号公報に見られるものがある。

即ち、苗植付具の苗分割爪が当該苗分割口へ介入する
ときに左右の苗分割爪の外側に位置して隣接するポット
苗の境目に当接して苗を支える苗根部受止杆を設けたも
のがある。

〔発明が解決しようとする課題〕

然し乍ら、上記の従来例のものは、２本の受止杆が１
組に構成されてポット苗の境目を支持し、苗取り出し後
は上動するものである。従って、苗を取り出す時に、左
右の苗分割爪の両側外側に位置してポット苗の境目を支
持する状態と、左右の苗分割爪の片側外側にのみ位置し
てポット苗の境目片側のみを支持する状態とが発生する
ものである。何れにしても、左右の苗分割爪の外側に位
置してポット苗の境目を支持するものであるから、苗分
割爪が苗を取り出すときに隣接する苗も引きずり出して
しまい隣接苗の姿勢を乱す場合があり、また、苗分割爪
の外側のポット苗の境目しか支持できないので、直ぐに
苗が受止杆から外れてしまい苗分割口から重力によって
くずれ落ちようとして適確にその苗が苗分割爪で掴えら
れず、正確な植付けができないという問題点があった。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明は、上記課題を解決すべく、苗分割口９を形
成した苗受止枠８に対して苗タンク２を左右横方向へ往
復動するよう構成し、前記苗受止枠８の苗分割口９に
は、左右一対の苗分割爪10b・10cが上側方から介入する
よう伝動される苗植付具10を設けた苗植機において、該
苗植付具10の苗分割爪10b・10cが当該苗分割口９へ介入
するときにおいて左右の苗分割爪10b・10c間に位置して
苗の根元側前面に当接して取り出される苗の根部側姿勢
のくずれを防止する苗根部受止杆23を、苗タンク２と一
体的に左右往復動するように設けたことを特徴とする苗
植機としたものである。

〔発明の作用及び効果〕

この発明は、苗植付具10の苗分割爪10b・10cが当該苗
分割口９へ介入するときにおいて左右の苗分割爪10b・1
0c間に位置して苗の根元側前面に当接して取り出される
苗の根部側姿勢のくずれを防止する苗根部受止杆23を苗
タンク２と一体的に左右往復動するように設けたから、
苗根部受止杆23が苗タンク２に収容されて左右往復動さ
れながら苗受止枠８の苗分割口９へ繰出される一株分の
苗の先端面部を受止め、その一株分の苗を受け止めた苗
根部受止杆23の左右両側に左右の苗分割爪10b・10cが介
入して苗を取り出すので、取り出される苗はその先端面
中央部が苗根部受止杆23にて適確に支持された状態で左
右の苗分割爪10b・10cにて取り出されることになる。従
って、苗は、苗分割爪10b・10cで取り出される前に苗分
割口９から落下したり、垂れ下ったりしてその姿勢がく
ずれることが防止され、然も、取り出される時も姿勢の
乱れが少なくなる。

即ち、この発明によれば、苗タンク中の苗が苗植付具
に供給されるときに、安定した所定の姿勢に保持されて
供給でき、確実な植付けを行わしめる作用効果を奏す
る。

〔実施例〕

（１）は田植装置のギヤーボックスであって、後述す
る苗タンクを左右往復動する往復動機構部を内装する主
ギヤーボックス部（1a）とこの主ギヤーボックス部（1
a）から後方へ延びていて後述する苗植付具を伝動する
副ギヤーボックス部（1b）とからできており、この主ギ
ヤーボックス部（1a）の左右中間部前端部が牽引車体に
リンク機構などで連結されている。

（２）は苗タンクで、左右の立設枠（2a）と底板（2
b）とで前後端側が開口される状態に形成されていて、
前記ギヤーボックス（１）に支持レール（3a）、（3b）
で左右に往復動できるように支架されている。（４）は
ベルトで、苗タンク（２）の底板（2b）部を切開して、
そこに巻回し、ラチェット送り機構（５）によって駆動
されるものである。

（６）は連結アームで、前記主ギヤーボックス（1a）
中の往復動機構と苗タンク（２）とを連接するものであ
り、これによって苗タンク（２）が左右に往復動され
る。

（７）は苗送り駆動回転子で、苗タンク（２）が左右
横端に達すると、前記ラチェット送り機構（５）のアー
ム（5a）がこの回転子（７）と係合して前記ベルト
（４）が回転されるよう構成している。

（８）は苗受止枠で、底面（8a）と立設面（8b）とで
側面Ｌ型状にできていて、これが、前記苗タンク（２）
の下端開口部に対向設置され、苗タンク中に載置収容さ
れる苗の先端面と裏面とが受けられるよう構成されてい
る。

そして、この苗受止枠（８）には苗タンク（２）の左
右内側幅間隔で苗分割口（９）、（９）が穿設されてい
る。

（10）は苗植付具で、作動ケース部（10a）と一対の
苗分割爪（10b）、（10c）部とからなり、作動ケース
（10a）が前記副ギヤーボックス（1b）に揺動アーム（1
1）とクランク（12）とで装着されている。そして、こ
の苗植付具（10）の左右一対の苗分割爪（10b）、（10
c）のうち、苗分割爪（10b）はケース部（10a）に固定
であり、他方の苗分割爪（10c）はカムフロアー付きの
回動軸（13）に取付けられて、ケース部（10a）内のク
ランクピン（14）に止着のカム（15）によって回動作動
されるようになっている。（16）はばねである。そし
て、この左右一対の苗分割爪（10b）、（10c）は前記苗
受止枠（８）の苗分割口（９）内へ左右に広く開いた状
態で上方から介入し、下端部に達したときにばね（16）
の付勢力で開くようになっている。

（17）は葉茎部受止体で、図例では横杆になってい
て、前記苗タンク（２）の立設枠（2a）に金具（18）を
介して立設したポール（19）に上下調節可能に取付けら
れている。（20）は苗床面押え杆で、前記葉茎部受止体
（17）に一体的に取付けられ、苗タンク（２）中へ載置
収容される苗の浮上りを防止するものである。

（21）は支持枠で、前記金具（18）と一体にできてい
て前記ポール（19）よりも苗タンク先端部開口側に位置
している。そして、これにはナット（22）が溶接されて
いる。

（23）は苗根部受止杆で、前記支持枠（21）に前後方
向へ移動調節可能にボルト（24）で取付けられた板（2
5）に、前記左右の苗分割爪（10b）、（10c）間隔と略
々同一間隔で下方の苗受止枠（８）側へ延びるように設
けられていて、その先端は前記苗受止枠（８）の立設面
（8b）に近接するよう設けられていている。尚、この櫛
状の受止枠（23）、（23）・・・は前記苗分割口（９）
に苗分割爪（10b）、（10c）が介入する時点において、
丁度その左右の苗分割爪（10b）、（10c）間に位置する
ように設けられている。

尚、図中（26）は整地フロートを示す。

上例の作用を説明すると、苗タンク（２）中へ第３図
あるいは第４図等で示した紙製の育苗ポットで育苗した
ポット状苗（Ａ）を載置収容する。すると、このポット
状苗（Ａ）の底面は苗タンク（２）の底板（2b）で受け
られ、下端側のものは、第３図及び第４図で示された通
り、苗受止枠（８）の底面（8a）と立設面（8b）とで受
けられる恰好になる。しかし、苗根部受止杆（23）が前
記立設面（8b）側に接近あるいは当接して各ポット苗と
同間隔にあるから、ポット（A1）の先端面の左右中央部
は該苗根部受止枠（23）でそれぞれ受止められることに
なり、苗受止枠（８）の苗分割口（９）に位置するポッ
ト（A1）も第６図のように受止杆（23）で受けられて下
方へ傾むいて落下してしまったり、姿勢が変ることがな
い。

この状態で、田植機の各部を伝動回転すると、苗タン
ク（２）が左右に往復動されて、次々と苗分割口（９）
へポット苗（Ａ）が繰出される。そして、この繰出され
た苗（Ａ）は苗植付具（10）の左右苗分割爪（10b）、
（10c）によって挟み出され整地フロート（26）で整地
された土壌面へ植付けられて行く。

このとき、苗タンク（２）中のポット苗（Ａ）は苗分
割口（９）の下側へ抜きとれられて分割されるから問題
なく容易に分割され、しかも、苗根部受止杆（23）によ
って、苗分割時においても姿勢がしっかりと所定通り保
持されているから、苗植付時でも植付姿勢が狂わず確実
に植付けられる。

また、苗タンク（２）が左右に往復動するときも、ポ
ット（A1）の先端面が直接苗受止枠（８）の立設面（8
b）で擦られないために、左右側へ倒れることもなく確
実に立設状態が保持されることになる。

【図面の簡単な説明】

図は、この発明の一実施例を示したもので、第１図は側
面図、第２図は要部の側断面図、第３図は要部の側断面
図、第４図は要部の平面図、第５図は要部の斜面図、第
６図は要部の側断面図、第７図は要部の正面図である。 図中記号、（２）は苗タンク、（2a）は苗タンクの立設
枠、（2b）は苗タンクの底板、（８）は苗受止枠、（8
a）は苗受止枠の底板、（8b）は苗受止枠の立設面、
（９）は苗分割口、（10）は苗植付具、（10b）、（10
c）は苗分割爪、（17）は葉茎部受止体、（23）は苗根
部受止杆を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−2616（ＪＰ，Ａ) 特公 昭49−17804（ＪＰ，Ｂ１) 実願 昭56−69876号（実開 昭57− 180519号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】苗分割口９を形成した苗受止枠８に対して
   苗タンク２を左右横方向へ往復動するよう構成し、前記
   苗受止枠８の苗分割口９には、左右一対の苗分割爪10b
   ・10cが上側方から介入するように伝動される苗植付具1
   0を設けた苗植機において、該苗植付具10の苗分割爪10b
   ・10cが当該苗分割口９へ介入するときにおいて左右の
   苗分割爪10b・10c間に位置して苗の根元側前面に当接し
   て取り出される苗の根部側姿勢のくずれを防止する苗根
   部受止杆23を、苗タンク２と一体的に左右往復動するよ
   うに設けたことを特徴とする苗植機。