JP2554751B2 - 貼付剤 - Google Patents

貼付剤

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JP2554751B2
JP2554751B2 JP1250951A JP25095189A JP2554751B2 JP 2554751 B2 JP2554751 B2 JP 2554751B2 JP 1250951 A JP1250951 A JP 1250951A JP 25095189 A JP25095189 A JP 25095189A JP 2554751 B2 JP2554751 B2 JP 2554751B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、多量の薬剤が溶解され、そして薬剤の放出
性が高い粘着剤層が設けられた貼付剤に関する。この貼
付剤の粘着剤剤は、皮膚への貼付性に優れ、粘着性およ
び凝集性のバランスが良好である。
(従来の技術) 薬剤を含有する粘着剤の粘着性を利用して皮膚に貼付
し、薬剤の薬効を発現させる貼付剤は、以前から多く提
案されている。この種の貼付剤は、一般に、裏打支持体
層と、粘着剤および薬剤を含有する粘着剤層とから構成
される。薬剤は、粘着剤層に、溶解状態、分散状態、マ
イクロカプセル化された分散状態、隔壁容器中に封入さ
れた状態などで存在する。このような貼付剤の例には、
抗炎症性コルチコステロイドおよび特定のアクリル系共
重合体を含有する接着層と基材とからなる皮膚疾患治療
貼付剤(特公昭52−18813号公報、帝人社)、抗炎症性
ステロイドおよびアクリル系共重合体を含有する感圧接
着性材料を、不透過性支持体フィルム上に形成した接着
テープ(特公昭52−31405号公報、イーライ・リリー
社)、裏打部材および感圧接着剤層を有し、さらに薬剤
貯蔵層が設けられた医薬包帯(特公昭54−16566号公
報、スチーブン・デビット・ゴールドビイ)、特定のア
クリル酸エステル共重合物を主体とする薬物含有貼着剤
層と担持体とを構成要素とする医薬部材(特開昭56−45
412号、日東電工社)、およびガラス転移温度(Tg)が
−70℃〜−10℃の重合物およびプロパチルニトレートを
含む基剤を担持体上に形成してなる医薬製剤(特開昭57
−183714号公報、日東電工社)が挙げられる。
しかしながら、これらの貼付剤で用いられている粘着
剤の物理的性質は、他の通常の粘着テープ(例えば、一
般の文具テープ、包装用テープ、絶縁ビニルなどのプラ
スチックテープ、工業用テープ)に用いられる粘着剤と
全く変わらない。例えば、この種の粘着剤のガラス転移
温度(Tg)は、ほぼ−70℃〜−15℃の範囲である。この
範囲をはずれるガラス転移温度(Tg)をもった粘着剤
は、粘着性や保持性などの点で、実用に供し得ないと考
えられている。しかし、この範囲のTgを有する粘着剤
は、一般に薬剤との相溶性が悪いため充分な量の薬剤を
含有し得ない。多量の薬剤を粘着剤中に含有させようと
試みても、この粘着剤は薬剤を充分に溶解し得ない。溶
解した少量の薬剤も粘着剤中に移行・拡散されにくい。
それゆえ、粘着剤層の薬剤放出性は低く、薬剤が皮膚面
に到達して皮膚に吸収される割合が小さい。従って、こ
のような粘着剤層を有する貼付剤を皮膚に適用しても、
充分な薬効が得られない。また、例えば、裏打支持体上
に形成された粘着剤層の表面に薬剤を塗布または噴霧す
る貼付剤製造工程を採用する場合、この粘着剤層が薬剤
を充分に吸収し得ない。それゆえ、粘着剤層の表面に貯
留された薬剤が、粘着剤の表面粘着性を低下させる。ま
た、得られた貼付剤を人体皮膚に貼付したとき、表面に
存在する大量の薬剤のために、異常な薬効を呈するおそ
れもある。さらに、この粘着剤層は軟らかさに乏しいた
め、得られた貼付剤は、皮膚への馴染みが少なく、付着
性が悪い。従って、この貼付剤を人体の皮膚に貼付する
と、貼付剤の周辺部にて浮き上がり現象(すなわち、剥
がれ)が生じる。この現象は、貼付剤の薬効低下につな
がる。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、そ
の目的は、多量の薬剤が溶解され、そして薬剤の放出性
が高い粘着剤層を有し、しかも皮膚への馴染みが良好で
あり、付着性に優れる貼付剤を提供することにある。本
発明のさらに他の目的は、粘着性および凝集性のバラン
スが良好な粘着剤層を有する貼付剤を提供することにあ
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、これまで使用されていなかったガラス転移
温度(Tg)が−71℃以下の粘着剤を用いることにより、
粘着剤と薬剤との相溶性が著しく向上し多量の薬剤な粘
着剤層に溶解され得る;粘着剤層に溶解された薬剤は、
移行・拡散しやすいため高い放出性を有する;この粘着
剤層は皮膚への馴染みが良好であり、粘着性や付着性に
優れる(例えば、皮膚を伸びちじみしても、貼付剤がず
れにくい);そして、化学架橋手段によってこの粘着剤
層を構成するポリマーの少なくとも一部に架橋を施すこ
とにより、Tgの低い粘着剤を用いる欠点が改善され、粘
着剤層の粘着性および凝集性のバランスが維持される;
との発明者の知見に基づいて完成された。
本発明の貼付剤は、粘着剤と薬剤とを含有する粘着剤
層が、裏打支持体上に設けられている貼付剤において、
該粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステルポリマーから
主として構成され、該ポリマーの少なくとも一部に化学
的架橋が施されており、架橋後の粘着剤のガラス転移温
度(Tg)が−71℃以下であり、該粘着剤層の保持力値
(H)および粘着力値(F)は以下のa式およびb式の
関係を満足し、そのことにより上記目的が達成される。
H/F>0.3(秒/g) …a F>200(g) …b ただし、粘着剤層の保持力値(H)および粘着力値
(F)は、以下のようにして測定される。
保持力値(H) 次の条件を用いたこと以外は、JIS−Z−0237に従っ
て、粘着剤層の保持力値(H)を試験する。
試料の大きさ:幅25±0.5mm 試験板への試料の貼付面積:25mm×25mm 吊り下げ荷重:1000g 試験中の温度:30±1℃ 測定値:荷重を加えてから、試料の貼付部分が“ズレ”
によって外れ、そして荷重が落下するまでの時間(秒)
を保持力値(H)とする。
粘着力値(F) 次の条件を用いたこと以外は、JIS−Z−0237に従っ
て、粘着剤層の粘着力値(F)を試験する。
試料の大きさ:幅25±0.5mm 試験中の温度:23±2℃ 測定値:引きはがしがなされる荷重のg(グラム)で表
示する。
上記粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステルポリマー
から主として構成される。貼付剤の粘着剤としては、一
般に、低刺激性または無刺激性、皮膚への粘着性、耐劣
化性、多くの薬剤との相溶性、成形容易性などに優れて
いるため、アクリル系化合物が最適と考えられている。
ガラス転移温度(Tg)が−71℃以下の粘着剤を得るに
は、Tgが−71℃以下の上記(メタ)アクリル酸アルキル
エステルポリマーを用いることがまず考えられる。しか
し、実際には、Tgが−71℃を越える上記(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルポリマーに、Tg低下効果を有する
軟化剤(Tg低下剤)などを添加することにより、Tgが−
71℃以下の粘着剤が調製される。得られる粘着剤の物性
を維持するべく、このTg低下剤の添加量を少なくするた
めに、Tgが−71℃以上であっても−71℃に近い(メタ)
アクリル酸アルキルエステルポリマーが用いられる。な
お、本発明で規定されるTgは、JISK−7121−1987に基づ
いてDSC法により測定されたものである。
上記ポリマーの構成成分としては、(メタ)アクリル
酸エステルが用いられる。アクリル酸アルキルエステル
は、エステル残基として、炭素原子数が4〜9の直鎖状
アルキル基を有するエステル、および炭素原子数が6〜
9の非第3級の分枝鎖アルキル基を有するエステルなど
が適している。また、メタクリル酸アルキルエステルに
は、炭素原子数が10〜12の直鎖状アルキル基を有するエ
ステルが好ましい。これらのアクリル酸アルキルエステ
ルおよびメタクリル酸アルキルエステルは、ポリマー全
体の70重量%以上を構成するのが望ましい。また、この
アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキ
ルエステルのみから構成されるポリマーのTgは、少なく
とも−50℃以下であることが好ましい。
上記粘着剤層で用いられるアクリル酸エステルポリマ
ーのエステル残基としては、n−プロピル、n−ブチ
ル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシ
ル、イソオクチル、n−ノニル、イソノニルなどが挙げ
られる。メタクリル酸エステルポリマーのエステル残基
としては、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシ
ルなどがある。
このポリマーの少なくとも一部に化学的架橋を施す手
段には、例えば、少なくとも一部にカルボキシル基を含
有するポリマーを用い、このポリマーに対し、2価以上
のイオン性金属の塩を添加して、カルボキシル基同士を
架橋させることが挙げられる。この方法を行うために、
アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル
酸アルキルエステルを単独重合または共重合させてポリ
マーを合成する際に、カルボキシル基または酸無水物基
を含有する共重合可能なモノマーが、上記エステルに少
量割合で添加される。そして、これらのモノマーの重合
後、得られたポリマーに、2価以上のイオン性金属の塩
(好ましくは、10-5以上の解離定数を有する有機酸の金
属塩)が添加され、架橋がなされる。この共重合可能な
モノマーには、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ク
ロトン酸、フマル酸、マレイン酸、半エステル化マレイ
ン酸、無水マレイン酸がある。また、2価以上のイオン
性金属には、例えば、マグネシウム、カルシウム、亜
鉛、チタン、錫などがある。また、このイオン性金属の
塩としては、例えば、ラウリン酸マグネシウム、オレイ
ン酸カルシウム、樹脂酸亜鉛が挙げられる。
このような化学的架橋を施す他の手段には、(i)少
なくとも一部にカルボキシル基を含有するポリマーを用
い、カルボキシル基間を多官能性イソシアネート化合物
で架橋させる方法;(ii)ポリマー分子に−OH基を導入
し、この−OH基間を多官能性イソシアネート化合物で架
橋させる方法;および(iii)ポリマー分子にグリシジ
ル基を導入し、このグリシジル基間を非第3級アミンを
用いて架橋させる方法などがある。(メタ)アクリル酸
アルキルエステルの重合中にて、多官能性の(メタ)ア
クリル酸エステル類を0.3モル%以下の量で加えて共重
合させ、わずかに架橋させる方法も使用可能である。こ
れらの方法と、上記のイオン性金属を用いる架橋方法と
を併用するのが有効となる。
粘着剤のTgを−71℃以下に調節するために添加される
Tg低下剤には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルポ
リマーの相溶性のある軟化剤(または樹脂性タツキファ
イヤー)、液状可塑剤などが用いられる。このTg低下剤
には、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレ
ートのようなフタル酸エステル系可塑剤;ジブチルセバ
ケートのようなセバチン酸エステル系可塑剤;ジオクチ
ルアジペートのようなアジピン酸エステル系可塑剤;ト
リブチルホスフェートのようなリン酸エステル系可塑
剤;オリーブ油、綿実油のような植物油;ミリスチン酸
イソプロピルやクエン酸トリエチルのようなエステル系
液状可塑剤;およびエステルガムのようなタツキファイ
ヤー類などがある。また、(メタ)アクリル酸エステル
オリゴマーのような液状ポリマーも、(メタ)アクリル
酸アルキルエステルポリマーのTgを低下させ得るTg低下
剤として作用する。
また、粘着剤には、必要に応じて、充填剤、薬剤移行
促進剤および吸収促進剤、界面活性剤、老化防止剤、安
定化剤、染料または顔料などが添加されてもよい。
充填剤は、粘着剤のTgを大きく変えることなく、その
物性(例えば、粘着剤の軟らかさ、粘着性など)を微調
整するために加えられる。この充填剤は、補強性充填剤
と非補強性充填剤、繊維質充填剤と非繊維質充填剤、そ
して無機質充填剤と有機質充填剤とに分けられる。充填
剤は、目的に応じて、適量で用いられる。
本発明の粘着剤は、Tgが−71℃以下であるため、優れ
た薬剤移行効果および吸収効果を有するものの、この効
果をさらに高めるために、薬剤移行および吸収促進剤が
加えられる。また、薬剤による皮膚の湿潤を促進するた
めに、界面活性剤が適量で用いられる。
老化防止剤や安定化剤は、ポリマー、薬剤や添加剤の
老化防止および安定化のために、適量で用いられる。
さらに、粘着剤は(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル系ポリマーを主体とするものの、その物性を修正する
ために、全ポリマー成分の30%以下の量で、このポリマ
ーに他のポリマー(例えば、ゴム成分)が添加されても
よい。
本発明の粘着剤層に加えられる薬剤には、例えば、鎮
痛消炎剤、ステロイドホルモン剤、抗アレルギー剤、抗
ヒスタミン剤、冠血管拡張剤、カルシウム拮抗剤、抗・
殺菌剤、抗生物質類、解毒剤、鎮咳剤、鎮痒剤、催眠
剤、精神活力剤、精神安定剤、血圧調整剤、利尿剤、ぜ
んそく剤、抗てんかん剤、ホルモン分泌促進剤、抗潰瘍
剤、結石溶解剤、制癌剤、ビタミン剤、血行促進剤、麻
酔剤などが挙げられる。
裏打支持体層の支持体は、皮膚の伸びちじみに応じた
柔軟性や伸長性を有し、さらに貼付日数(通常、1〜3
日程度)に耐えるシート状物質とされる。これには、プ
ラスチックフィルムやスポンジシート、柔軟な織布、編
布、不織布、またはそれらの積層体が好ましい。支持体
の素材には、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体(EVA)、軟質ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、
ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、熱可塑性ブロ
ック共重合体などが用いられる。支持体の厚さは、フィ
ルムでは0.03〜0.3mm、スポンジシートや織布、編布、
不織布では、0.3〜3mmとされる。
本発明の貼付剤は、裏打支持体および粘着剤層を主体
とし、粘着剤層の表面に剥離性保護紙またはシートを付
着させて提供される。保護紙またはシートは適宜滅菌処
理が施される。
このようにして設けられた粘着剤層の保持力値(H)
および粘着力値(F)は、上述のように、以下のa式お
よびb式の関係を有する。
H/F>0.3(秒/g) …a F>200(g) …b ここで、条件aは、粘着剤層に凝集破壊が生じないこ
とを、そして条件bは、粘着剤層が充分な粘着力を有す
ることを示す。粘着剤層の保持力値(H)および粘着力
値(F)は、以下のようにして測定される: (a)保持力値(H) 次の条件を用いたこと以外は、JIS−Z−0237(保持
力)に従って、粘着剤層の保持力値(H)を試験した。
試料の大きさ:幅25±0.5mm 試験板への試料の貼付面積:25mm×25mm 吊り下げ荷重:1000g 試験中の温度:30±1℃(加温) 測定値:荷重を加えてから、試料の貼付部分が“ズレ”
によって外れ、そして荷重が落下するまでの時間(秒)
を保持力値(H)とする。但し、測定は、18000秒(5
時間)までとする。
(b)粘着力値(F) 次の条件を用いたこと以外は、JIS−Z−0237(180度
引きはがし法粘着力)に従って、粘着剤層の粘着力値
(F)を試験した。
試料の大きさ:幅25±0.5mm 試験中の温度:23±2℃(室温) 測定値:引きはがしがなされる荷重のg(グラム)で表
示する。
上記保持力値(H)および粘着力値(F)は、それぞ
れ、粘着剤層の凝集力および粘着力の基準となる。例え
ば、この保持力値(H)が低ければ、粘着剤層は凝集破
壊を起こし易くなり、粘着力値(F)が低ければ、粘着
剤層は皮膚への貼付に必要かつ充分な粘着力を有しなく
なる。しかし、凝集力と粘着力とは互いに相関関係にあ
るため、粘着剤層の保持力値(H)および粘着力値
(F)が一定以上の値を示しても、それが必ずしも実用
に適するとは限らない。例えば、粘着剤層の保持力値
(H)が高い値を示しても、それがさらに高い粘着力値
(F)を有していれば、粘着剤は凝集破壊を起こす。逆
に、粘着剤層の保持力値(H)が低くても、粘着力値
(F)も同様に低ければ、粘着剤は凝集破壊を起こさな
い。このようなことから、粘着剤層が一定の粘着力を有
するべく、上記の条件bを設定し、そして粘着剤が凝集
破壊を起こさない程度に粘着剤層の粘着性および凝集性
のバランスを保つべく、上記の条件aを設定した。ここ
で、上記の条件aおよびbの数値は、その値を境として
貼付剤の物性が著しく変わることを意味しない。しか
し、少なくとも上記の条件aおよびbに適合する貼付剤
は充分な粘着力を有し、かつ実用に耐えられないような
凝集破壊を起こさない(すなわち、粘着性と凝集性のバ
ランスに優れている)。
また、本発明の貼付剤を貼付けした後、剥離したとき
に、粘着剤層に凝集破壊現象が生じるかどうかは、以下
のように判定される。
まず、前述のように貼付剤の粘着力値を測定する際
に、引き剥された試験面に、層状または部分的に粘着剤
が残留するかどうかを目視観察する。粘着剤の残留程度
により、粘着剤層の凝集破壊の程度を判定する。この方
法にて、粘着剤層の凝集破壊が判別できないときは、次
のようなチョーク粉試験を採用する。すなわち、貼付剤
を剥離した試験面上に、チョーク粉(特に、着色チョー
ク粉)をふりかけ、粉の付着状況を観察する。チョーク
粉が試験面に著しく付着する場合には、貼付剤の粘着剤
層が凝集破壊を起こしたと認められる。
このようにして得られた粘着剤において、上記化学架
橋後の粘着剤層に含まれる粘着剤は−71℃以下のガラス
転移温度(Tg)を有するため、粘着剤層は多量の薬剤を
溶解し得る。粘着剤層に溶解された薬剤は、移行・拡散
しやすいため、高い放出性も有する。これは、Tgの低い
粘着剤中では、薬剤分子が自由で活発に運動し得るため
であると考えられる。このような低いTgの粘着剤を含有
する粘着剤層は、柔軟であるため皮膚への馴染みが良好
であり付着性に優れる。これは、この粘着剤を主として
構成するポリマー分子やその集団が、セグメント単位で
動き易くなるためであると推測される。それにより、ポ
リマー分子の運動の自由度が大きくなり、薬剤分子との
相溶性が高まるうえに、皮膚との馴染みが向上する。さ
らに、Tgの低下に伴って粘着剤の凝集力が低下するた
め、凝集力を維持するべく、化学架橋により、この粘着
剤層を構成するポリマーの少なくとも一部に架橋が施さ
れる。それにより、凝集力の低下により粘着剤層に発生
する種々の欠点(例えば、滲み出し、ずれ、糸引き、粘
着剤の皮膚への残留)が改善される。また、架橋が施さ
れた箇所は、ポリマー全体の分子鎖の数に比べると、際
めて僅か(例えば、分子鎖数百〜数千に対し、架橋点が
1個)であるため、ポリマー分子の運動が妨げられるこ
とはない。この架橋により、粘着剤のTgが著しく高くな
ることもない。その結果、薬剤溶解性や放出性、皮膚へ
の馴染みなどを良好に保ちつつ、粘着性と凝集性のバラ
ンスが維持された粘着剤層が得られる。さらに、粘着剤
および薬剤の組成や含有量と化学架橋剤とを選択するこ
とにより架橋密度を変えることができ、目的に応じた種
々の異なる物性を有する貼付剤が提供される。
(実施例) 以下に本発明の実施例について述べる。
実施例1 (1−1)ポリマーの合成 アクリル酸−2−エチルヘキシル(主モノマー) 184.0
重量部 メタクリル酸(補助モノマー) 6.0重量部 酢酸エチル 170 重量部 n−ヘキサン 10 重量部 上記処方を反応容器に仕込み、N2気流中にて、60℃で
8時間、70℃で8時間、そして系の還流温度(約73℃)
で8時間にわたり、各反応物を重合させた。反応容器に
は、重合触媒として、上記モノマーの全量の0.4モル%
のアゾビスイソブチロニトリルを、8回に分けて18時間
値内に加えた。全反応時間24時間のうち、最後の6時間
で撹拌および還流を行い、触媒を充分に分解させて、反
応を完結させた。重合反応後、粘稠なポリマー溶液が得
られた。このポリマー溶液の極限粘度(トルエン溶媒
系)は1.684であり、そしてTgは約−53℃であった。
(1−2)粘着剤溶液の調製 (1−1)で得られたポリマー溶液に、この溶液のポ
リマー成分100重量部あたり、Tg低下剤としてミリスチ
ン酸イソプロピル55重量部、および架橋化剤としてオレ
イン酸マグネシウムのエチルアルコール−n−ヘキサン
1:1混合溶媒の4%溶液48部(オレイン酸マグネシウム
は1.9部;これは、上記ポリマーのカルボキシル基1モ
ルあたり、約0.09モルに相当する量である)を加えて、
撹拌した。撹拌中にて架橋により増粘現象が生じるた
め、適当な粘度の溶液を得るべく適量の酢酸エチルを追
加し、24.2%の濃度および約25,000cpsの粘度を有する
粘着剤溶液を調製した。この粘着剤のTg(乾燥後)は、
−84℃であった。
この粘着剤溶液に薬剤を加えて粘着性膏剤とし、裏打
支持体上に一定厚で塗布すれば、貼付剤が得られる。
(1−3)粘着剤の指触圧着・再剥離試験 (1−2)で得られた粘着剤溶液を、70μm厚のポリ
エチレンフィルム上に、一定厚(60μm)になるように
塗布し、粘着シートを作製した。この粘着シートの粘着
剤層を指先に貼付した後、剥離したとき、指先に残る粘
着剤を調べた。その結果、指先には、粘着剤は全く残留
しなかった。粘着剤は糸引き現象を生じず、また、指先
が感じる粘着力も強力であった。この粘着シートを、人
体皮膚に長時間(例えば、2日間)貼付した後、剥離し
ても、皮膚面には粘着剤の残留は認められなかった。
(1−4)粘着剤の貼付性試験 (1−3)で作製された粘着シートから、4cm×4cmの
正方形の試験片を切り取り、各試料を人体の左右胸部、
両上腕内部および外部、両大腿外部の計8箇所に貼付し
た。24時間後に、貼付した試料の状態を観察したとこ
ろ、いずれの箇所でも“浮き”や“剥がれ”は全く認め
られなかった。試料周辺への粘着剤の滲み出し幅は、最
大でも約2mm以下であった。この試料を剥す際に、人体
は苦痛を感じなかった。また、試料の剥離後に、人体の
皮膚に粘着剤が残留することも認められなかった。
(1−5)粘着剤の薬剤含有試験 (1−2)で得られた粘着剤溶液を複数個用意し、各
粘着剤固形分100重量部あたり、薬剤としてインドメタ
シン(抗炎症剤)の5%エタノール溶液を、薬剤固形分
として2重量部、4重量部、6重量部…と2重量部間隔
でそれぞれ添加し混合した。混合は、ディソルバー撹拌
機で10分間以上撹拌することによりなされた。この混合
物を、PETフィルムのような透明フィルム上に、乾燥後
の厚さが60〜80μmになるように流延し乾燥することに
より、試験片を作製した。この試験片を、35℃7日間放
置して、顕微鏡などにより薬剤結晶の析出状況を調べ
た。そして、薬剤結晶が析出しない最大の薬剤添加部数
を求めた。最大部数は26重量部であった。この数値を、
薬剤最大含有量として表1に示す。
(1−6)粘着剤の薬剤放出性試験 (1−5)で求められた薬剤最大含有量を含む上記試
験片から、直径6cmφの円形の試験片を打ち抜いた。打
ち抜きは、この試験片の粘着剤層上に剥離性保護紙を付
着させた状態で行った。この試験片から剥離性保護紙を
剥して、エチルアルコール−水の混合溶媒(重量比;50:
50)100mlに、35℃にて6時間静置し浸せきさせた。そ
の後、試験片を混合溶媒から取り出し、液体クロマトグ
ラフィー法により、溶媒中に抽出された薬剤量を定量し
た。試験片に含有されていると計算されつ薬剤量に対す
る、抽出された薬剤量の割合(%)を、粘着剤の薬剤放
出性の評価とした。抽出された薬剤量の割合は、77%で
あった。この結果を表2に示す。
(1−7)粘着剤の保持力試験 (1−3)で得られた粘着シートから、幅25mmの試料
を切り出し、次の条件を用いたこと以外は、JIS−Z−0
237(保持力)に従って、粘着剤の保持力値(H)を試
験した。但し、この粘着シートは、試料の裏打支持体側
にPETテープを張り付けて、伸び易さを防止し(裏面補
強)、試験に供した。
試験板への試料の貼付面積:25mm×25mm 吊り下げ荷重:1000g 試験中の温度:30±1℃(加温) 測定値:荷重を加えてから、試料の貼付部分が“ズレ”
によって外れ、そして荷重が落下するまでの時間(秒)
を保持力値(H)とする。保持力値は1127(秒)であっ
た。この結果を表3に示す。
(1−8)粘着剤の粘着力試験 (1−3)で得られた粘着シートから、幅25mmの試料
を切り出し、次の条件を用いたこと以外は、JIS−Z−0
237(180度引きはがし法粘着力)に従って、粘着剤の粘
着力値(F)を試験した。但し、試料には、(1−7)
と同様に裏面補強を施した。
試験中の温度:23±2℃(室温) 測定値:引き剥される荷重のg(グラム)で表示する。
粘着力値は、655(g/25mm)であった。
(1−7)の保持力試験およびこの粘着力試験でそれ
ぞれ得られた保持力値(H)および粘着力値(F)に基
づいて、H/Fの値を算出した。H/Fは1.72であった。ま
た、この粘着力試験で引き剥された後の粘着剤の凝集破
壊状況について目視観察したところ、粘着剤の凝集破壊
は認められなかった。この結果を表3に示す。
比較例1−1 架橋化剤としてのオレイン酸マグネシウムを加えなか
ったこと以外は、実施例1の(1−1)および(1−
2)と同様にして、ポリマー溶液を合成し粘着剤溶液を
調製した。この粘着剤(乾燥後)のTgは−86℃であっ
た。この粘着剤溶液を用いて、実施例1の(1−3)と
同様の方法により、粘着シートを作製し指触圧着試験・
再剥離試験を行った。その結果、糸状となった粘着剤が
指先に付着し(足引き現象)、指先表面に凝集破壊した
粘着剤が残留した。
比較例1−2 実施例1の(1−1)と同様にして、ポリマー溶液を
合成した。このポリマー溶液(Tg低下剤および架橋化剤
が加えられていない:Tgは約−53℃)について、実施例
1の(1−5)と同様の方法により、粘着剤の薬剤含有
試験を行った。薬剤結晶が析出しない最大部数は14重量
部であった。この数値を、薬剤最大含有量として表1に
示す。
比較例1−3 実施例1の(1−1)と同様にして、ポリマー溶液を
合成した。このポリマー溶液(Tg低下剤および架橋化剤
が加えられていない:Tgは約−53℃)について、実施例
1の(1−6)と同様の方法により、比較例1−2で算
出された薬剤最大含有量を参照して、粘着剤の薬剤放出
性試験を行った。抽出された薬剤量の割合は51%であっ
た。この結果を表2に示す。
比較例1−4 架橋化剤としてのオレイン酸マグネシウムを加えなか
ったこと以外は、実施例1の(1−1)および(1−
2)と同様にして、ポリマー溶液を合成し粘着剤溶液を
調製した。この粘着剤(乾燥後)のTgは−86℃であっ
た。この粘着剤溶液を用いて、実施例1の(1−3)と
同様の方法により、粘着シートを作製した。この粘着シ
ートに対し、実施例1の(1−7)および(1−8)と
同様の方法により、それぞれ保持力値(H)および粘着
力値(F)を測定しそしてH/Fの値を算出した。保持力
値は58(秒)であったものの、粘着力値は、粘着剤の凝
集破壊のため、測定できなかった。この結果、H/Fは0.1
以下であった。また、この粘着力試験で引きはがしがさ
れた後の粘着剤の凝集破壊状況について目視観察したと
ころ、粘着剤の凝集破壊が認められた。この結果を表3
に示す。
実施例2 (2−1)ポリマーの合成 メタクリル酸−n−デシル 180.8重量部 メタクリル酸−n−ドデシル 50.8重量部 アクリル酸 7.2重量部 酢酸エチル 80.0重量部 n−ヘキサン 30.0重量部 上記処方を反応容器に仕込み、N2気流中にて、60℃で
8時間、70℃で8時間、そして系の還流温度(約74℃)
で8時間にわたり、各反応物を重合させた。反応容器に
は、重合触媒として、上記モノマーの全量の0.4モル%
の過酸化ラウロイルを、8回に分けて18時間以内に加え
た。全反応時間24時間のうち、最後の6時間で撹拌およ
び還流を行い、触媒を充分に分解させて、反応を完結さ
せた。重合反応後、粘稠なポリマー溶液が得られた。こ
のポリマー溶液の極限粘度(トルエン溶媒系)は1.729
であり、そしてTgは約−65℃であった。
(2−2)粘着剤溶液の調製 (2−1)で得られたポリマー溶液に、この溶液のポ
リマー成分100重量部あたり、Tg低下剤としてジオクチ
ルフタレート50重量部、および架橋化剤として樹脂酸亜
鉛(これは、5重量%の亜鉛を含有している)の10%ト
ルエン溶液27重量部(これは、上記ポリマーのカルボキ
シル基1モルあたり、亜鉛の0.05モルに相当する量であ
る)を加えて、撹拌した。撹拌中に架橋により増粘現象
が生じるため、適当な粘度の溶液を得るため適量の酢酸
エチルを追加し、21.8%の濃度および約27,000cpsの粘
度を有する粘着剤溶液を調製した。この粘着剤のTg(乾
燥後)は、−89℃であった。
この粘着剤溶液に薬剤を加えて軟着性膏剤とし、裏打
支持体上に一定厚で塗布すれば、貼付剤が得られる。
(2−3)粘着剤の指触圧着・再剥離試験 (2−2)で得られた粘着剤溶液を用いたこと以外
は、実施例1の(1−3)と同様の方法により、粘着シ
ートを作製し、粘着剤の指触圧着・再剥離試験を行っ
た。その結果、僅かに足引き現象が生じたものの、粘着
シートを剥離後の指先には、粘着剤は全く残留しなかっ
た。この粘着シートを、人体皮膚に長時間(例えば、2
日間)貼付した後、剥離しても、皮膚面には粘着剤の残
留は認められなかった。
(2−4)粘着剤の貼付性試験 (2−3)で作製された粘着シートを用いたこと以外
は、実施例1の(1−4)と同様の方法により、粘着剤
の貼付性試験を行った。その結果、粘着シートを貼付し
たいずれの箇所でも“浮き”や“剥がれ”は全く認めら
れなかった。試料周辺への粘着剤の滲み出し幅は、最大
でも約3mm以下であった、この試料を剥す際に、皮膚が
引っ張られるというよりも粘着シート自体が引き伸ばさ
れる状態で剥がれていったために、人体は苦痛を感じな
かった。また、試料の剥離後に、人体の皮膚に粘着剤が
残留することも認められなかった。
(2−5)粘着剤の薬剤含有試験 (2−2)で得られた粘着剤溶液を用いたこと以外
は、実施例1と同様の方法により、薬剤結晶が析出しな
い最大の部数を求めた。最大部数は22重量部であった。
この数値を、薬剤最大含有量として表1に示す。
(2−6)粘着剤の薬剤放出性試験 (2−2)で得られた粘着剤溶液に対し、(2−5)
で算出された薬剤最大含有量のインドメタシンを加えた
こと以外は、実施例1と同様の方法により、粘着剤の薬
剤放出性を評価した。抽出された薬剤量の割合は、80%
であった。この結果を表2に示す。
(2−7)粘着剤の保持力試験 (2−4)で得られた粘着シートを用いたこと以外
は、実施例1と同様にして、粘着剤の保持力値(H)を
測定した。保持力値998(秒)であった。
(2−8)粘着剤の粘着力試験 (2−4)で得られた粘着シートを用いたこと以外
は、実施例1と同様にして、粘着剤の粘着力値(H)を
測定した。粘着力値は750(g/25mm)であった。
(2−7)の保持力試験およびこの粘着力試験でそれ
ぞれ得られた保持力値(H)および粘着力値(F)に基
づいて、H/Fの値を算出した。H/Fは1.33であった。ま
た、この粘着力試験で引きはがしがなされた後の粘着剤
の凝集破壊状況について目視観察したところ、粘着剤の
凝集破壊は認められなかった。この結果を表3に示す。
比較例2−1 架橋化剤としての樹脂酸亜鉛を加えなかったこと以外
は、実施例2の(2−1)および(2−2)と同様にし
て、ポリマー溶液を合成し粘着剤溶液を調製した。この
粘着剤溶液を用いて、実施例1の(1−3)と同様の方
法により、粘着シートを作製し指触圧着試験・再剥離試
験を行った。その結果、糸状となった粘着剤が指先に付
着し(足引き現象)、指先表面の全体にわたって凝集破
壊した粘着剤が残留した。
比較例2−2 実施例2の(2−1)と同様にして、ポリマー溶液を
合成した。このポリマー溶液(Tg低下剤および架橋化剤
が加えられていない:Tgは約−65℃)について、実施例
1の(1−5)と同様の方法により、粘着剤の薬剤含有
試験を行った。薬剤結晶が析出しない最大部数は10重量
部であった。この数値を、薬剤最大含有量として表1に
示す。
比較例2−3 実施例2の(2−1)と同様にして、ポリマー溶液を
合成した。このポリマー溶液(Tg低下剤および架橋化剤
が加えられていない:Tgは約−65℃)について、実施例
1の(1−6)と同様の方法により、比較例2−2で算
出された薬剤最大含有量を参照して、粘着剤の薬剤放出
性試験を行った。抽出された薬剤量の割合は55%であっ
た。この結果を表2に示す。
比較例2−4 架橋化剤としての樹脂酸亜鉛を加えなかったこと以外
は、実施例2の(2−1)および(2−2)と同様にし
て、ポリマー溶液を合成し粘着剤溶液を調製した。この
粘着剤溶液を用いて、実施例1の(1−3)と同様の方
法により、粘着シートを作製した。この粘着シートに対
し、実施例1の(1−7)および(1−8)と同様の方
法により、それぞれ粘着剤の保持力値(H)および粘着
力値(F)を測定しそしてH/Fの値を算出した。保持力
値は41(秒)であったものの、粘着力値は、粘着剤の凝
集破壊のため、測定できなかった。この結果、H/Fは0.1
以下であった。また、この粘着力試験で引きはがしがな
された後の粘着剤の凝集破壊状況について目視観察した
ところ、粘着剤の凝集破壊が認められた。この結果を表
3に示す。
実施例および比較例から明らかなように、本実施例の
貼付剤用粘着剤は、−71℃以下のガラス転移温度(Tg)
を有するため、多量の薬剤を溶解し得るうえに、薬剤の
放出性に優れている。この粘着剤は、皮膚への馴染みが
良好であり、付着性に優れる。また、この粘着剤は、ポ
リマーの少なくとも一部に架橋が施されているため、粘
着性と凝集性のバランスに優れている。このことは、こ
の粘着剤を含有する粘着剤層の粘着力値(F)が200g以
上であると共に、保持力値(H)と粘着力値(F)の
比:H/F>0.3であることから、証明される。それゆえ、
粘着剤の指触圧着・再剥離試験でも、糸引き現象や粘着
剤の皮膚への残留は認められない。また、この粘着剤か
ら得られる貼付剤を人体に貼付しても粘着剤の滲み出し
が少ない。貼付剤の“浮き”や“剥がれ”も見られな
い。これを人体の皮膚から剥す際には、人体は苦痛を感
じない。しかも、貼付剤の剥離後に、人体の皮膚に粘着
剤が残留することもない。
ガラス転移温度(Tg)が−71℃を越える粘着剤は、多
量の薬剤を含有し得ない。しかも、薬剤の放出性にも劣
る。化学的架橋が施されていないポリマーから構成され
る粘着剤は、粘着性と凝集性のバランスが悪い。従っ
て、この粘着剤から得られる貼付剤を人体に貼付した
後、これを剥離する際には、粘着剤が糸状となる足引き
現象が見られる。また、貼付剤の剥離後には、人体の皮
膚に粘着剤が残留し、汚れとなる。粘着剤の凝集破壊現
象も著しく、粘着力は測定できない。
(発明の効果) 本発明は、このような粘着剤のガラス転移温度(Tg)
が−71℃以下であるため、多量の薬剤が溶解され得、そ
して薬剤の放出性も高い。しかも、この粘着剤は、皮膚
への馴染みが良好であり、付着性に優れる。また、この
粘着剤は、ポリマーの少なくとも一部に架橋が施されて
いるため、粘着性と凝集性のバランスに優れている。従
って、この粘着剤から得られる貼付剤を用いれば、薬効
が高まるために薬剤の利用効率が増大する。1つの粘着
剤に多量の薬剤が含有され得るため、経済的でもある。
さらに、この粘着剤を含有する貼付剤を人体の皮膚に貼
付しても、粘着剤の滲み出しや貼付剤のずれが少ない。
貼付剤の“浮き”や“剥がれ”も見られない。皮膚を伸
びちじみしても、貼付剤がずれることもない。貼付剤を
皮膚から剥離する際に、人体は苦痛を感じない。貼付剤
の剥離後に、粘着剤が皮膚に残留することもない。従っ
て、この貼付剤によれば、患者は、痛みや不快感を感じ
ることがなくなる。粘着剤のTg値と、ポリマーの化学的
架橋密度とを組合せることにより、粘着剤の素材として
用いられる物質の選択範囲も広げられる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粘着剤と薬剤とを含有する粘着剤層が、裏
    打支持体上に設けられている貼付剤において、 該粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステルポリマーから
    主として構成され、該ポリマーの少なくとも一部に化学
    的架橋が施されており、架橋後の粘着剤のガラス転移温
    度(Tg)が−71℃以下であり、 該粘着剤層の保持力値(H)および粘着力値(F)は以
    下のa式およびb式の関係を満足する貼付剤。 H/F>0.3(秒/g) …a F>200(g) …b
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