JP2554551B2 - 発泡樹脂を基材とする皮膚貼付薬シート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、皮膚貼付薬シートに関し、詳しくは、ポリ
塩化ビニル樹脂発泡体からなる基材シート上に薬剤を含
むジエン系共重合体からなる粘着剤が接着されてなり、
風合及び柔軟性にすぐれるのみならず、皮膚に貼着した
とき、暖かい感触を与える皮膚貼付薬シートを提供する
ことを目的とする。

（従来の技術） 粘着シートは種々の用途に使用されているが、例え
ば、皮膚刺激剤や消炎鎮痛剤等の薬剤を含有する粘着剤
を基材シート上に積層してなる皮膚貼付薬シートが医療
用途に使用されている。このような皮膚貼付薬シートに
おいては、例えば、特開昭54−138124号公報に記載され
ているように、貼付薬を皮膚に貼付した際に良好な粘着
性及び弾性を有するのみならず、剥離時に皮膚に刺激を
与えず、容易に剥離し得るところから、粘着剤としては
ジエン系共重合体、特に、ジエン系ブロツク共重合体が
好適であることが知られている。

一方、上記のような皮膚貼付薬シートにおいては、そ
の基材シートとしては、柔軟で皮膚になじみよい塩化ビ
ニル系樹脂が好適であるが、反面、塩化ビニル系樹脂シ
ートは、皮膚に貼着したとき、感触が冷たく、暖かさに
欠ける。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は、上記した問題を解決するためになされたも
のであつて、風合及び柔軟性にすぐれるのみならず、皮
膚に貼着したとき、暖かい感触を与える粘着シートを提
供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本発明による皮膚貼付薬シートは、ポリ塩化ビニル10
0重量部に対して、可塑剤を50〜100重量部の範囲で含む
と共に、充填剤を５〜40重量部含み、発泡倍率1.5〜５
倍であり、厚さが0.2〜0.8mmの範囲にあるポリ塩化ビニ
ル樹脂発泡体からなる基材シート上に接着処理が施さ
れ、その上に薬剤を含むスチレン−ジエン−スチレンブ
ロック共重合体よりなる粘着層が積層接着されているこ
とを特徴とする。

本発明において、ポリ塩化ビニル樹脂発泡体は、例え
ば、フタル酸ジオクチルや分子量が約800以上の高分子
量ポリエステル系可塑剤をポリ塩化ビニル100重量部に
対して50〜100重量部含有し、発泡倍率が1.5〜５倍、特
に、２〜４倍であるものが好ましく、更に、その厚み
は、皮膚貼付薬シートとしての実用性を考慮すれば、0.
2〜0.8mm程度が好ましい。このような発泡体は、柔軟で
皮膚へのなじみがよいのみならず、皮膚に貼着したと
き、暖かく、違和感がない。

本発明による皮膚貼付薬シートは、かかるポリ塩化ビ
ニル樹脂発泡体からなる基材シート上に接着処理が施さ
れており、その上に薬剤を含む粘着剤としてのスチレン
−ジエン−スチレンブロツク共重合体の層が積層接着さ
れている。上記接着処理は、ポリ塩化ビニル樹脂発泡体
からなる基材シート上にプライマー層を設けることによ
つて行なわれる。このようなプライマーとしては、例え
ば、特開昭60−255872号公報に記載されているような塩
化ビニル系樹脂とジエン系共重合体、特に、スチレン−
ブタジエンブロツク共重合体やスチレン−イソプレンブ
ロツク共重合体等のジエン系ブロツク共重合体とを接着
するためのプライマーが好適に用いられる。

本発明において、粘着剤を構成するスチレン−ジエン
−スチレンブロツク共重合体としては、具体例として、
スチレン−ブタジエン−スチレンブロツク共重合体及び
スチレン−イソプレン−スチレンブロツク共重合体を挙
げることができる。これらスチレン−ジエン−スチレン
ブロツク共重合体は、必要な薬剤を含有しており、皮膚
に貼着したとき、皮膚貼付薬シートとして機能する。上
記ブロツク共重合体は、単独又は混合物として用いられ
てもよく、必要に応じて、可塑剤、粘着付与樹脂、充填
剤、老化防止剤等を配合してもよい。

かかるスチレン−ジエン−スチレンブロツク共重合体
は、例えば、前記した特開昭54−138124号公報に詳細に
記載されているように既に知られており、Ａをスチレン
からなるガラス状或いは硬質の非弾性熱可塑性重合体の
ブロツクとし、Ｂをブタジエン又はイソプレンのような
共役ジエンの弾性重合体のブロツクとするとき、Ａ−Ｂ
−Ａの構造を有するブロツク共重合体であつて、ブロツ
クＡが全重合体重量の10〜50重量％を占める。このよう
なスチレン−ブタジエン−スチレンブロツク共重合体は
カリフレツクスTR−1101、TR−1102等として、また、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロツク共重合体はカリ
フレツクスTR−1107（いずれもシエル化学（株）製）と
して市販されており、入手することができる。

本発明による皮膚貼付薬シートは、可塑剤のほか、安
定剤や充填剤等を含むことが好ましい。特に、炭酸カル
シウムのような充填剤をポリ塩化ビニル100重量部に対
して、５〜40重量部、好ましくは10〜30重量部含有させ
ることによつて、所謂手切れ性のよい皮膚貼付薬シート
を得ることができる。

本発明による皮膚貼付薬シートは、可塑剤のほか、安
定剤や充填剤等の添加剤と共に、目的とする発泡倍率に
応じて適宜量の発泡剤を含有するポリ塩化ビニルペース
トゾルを離型紙上に塗布し、加熱発泡させて、ポリ塩化
ビニル樹脂発泡体からなる基材シートを調製し、次い
で、この上にプライマーを塗布乾燥させて、接着処理を
施し、この後、必要に応じて薬剤及びその他の添加剤を
含有するジエン系ブロツク共重合体よりなる粘着剤を溶
融塗布し、乾燥することによつて得ることができる。

（発明の効果） 以上のように、本発明による皮膚貼付薬シートによれ
ば、基材シートがポリ塩化ビニル樹脂発泡体からなるの
で、風合及び柔軟性にすぐれ、皮膚に貼着したとき、暖
かい感触を与える。

また、ジエン系ブロツク共重合体よりなる粘着剤がプ
ライマー層を介して強固に基材シートに接着されてお
り、この粘着剤は、本発明による皮膚貼付薬シートを皮
膚に貼着したとき、良好な粘着性及び弾性を有するのみ
ならず、剥離時に皮膚に刺激を与えず、容易に剥離する
ことができる。

更に、本発明によれば、充填剤、特に、炭酸カルシウ
ムを基材シートに配合したので、手切れ性のよい皮膚貼
付薬シートを得ることができる。

以下に参考例を挙げて本発明を説明する。

参考例１、２及び比較例１、２ 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とポリメタクリル酸
メチルの等重量混合物12重量部、スチレン−ブタジエン
ブロツク共重合体18重量部及びトルエン／メチルエチル
ケトン／酢酸エチル等重量混合物からなる溶剤70重量部
からなるプライマーを調製した。

他方、第１表に示すように、ポリ塩化ビニル、可塑
剤、安定剤、発泡剤及び充填剤からなるペーストゾルを
調製し、これを離型紙上に0.2mm厚さに塗布し、190℃で
３分間加熱して発泡させ（発泡倍率２倍）、厚さ0.4mm
のポリ塩化ビニル樹脂発泡体からなる基材シートを得
た。

次いで、この基材シート上に上記プライマーを30g/m²
の割合で塗布し、120℃で加熱乾燥させ、次いで、この
プライマー層の上に上記と同じスチレン−ブタジエンブ
ロツク共重合体を厚さ0.1mmに溶融塗布し、冷却して、
粘着シートを得た。

比較例のために、第１表に示すように、ポリ塩化ビニ
ル、可塑剤及び安定剤からなる樹脂組成物をカレンダー
加工によつて、厚さ0.1mmのシートに成形し、これに上
記と同じプライマー処理を施した後、スチレン−ブタジ
エンブロツク共重合体を厚さ0.1mmに溶融塗布し、冷却
して、比較のためのポリ塩化ビニル樹脂粘着シートを得
た。

本発明に従って、基材シートとして、ポリ塩化ビニル
樹脂発泡体からなるシートを用いることによって、得ら
れる粘着シートにおいては、粘着剤が基材シートに強固
に接着されており、温度50℃、相対湿度95％の環境下に
１か月放置しても、相互に容易には剥離しない。また、
上記のようにして得たそれぞれのポリ塩化ビニル樹脂粘
着シートについて、機械的性質（JIS Ｋ−6732）を第
１表に示す。50％及び100％モジユラス、引張破断強度
及び延びが小さく、手切れ性のよいことが示される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ０９Ｊ 7/02 ＪＪＹ Ｃ０９Ｊ 7/02 ＪＪＹ ＪＫＫ ＪＫＫ ＪＬＥ ＪＬＥ (56)参考文献 特開 昭61−215682（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−224313（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−255872（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−255883（ＪＰ，Ａ) 実開 昭54−116577（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−198242（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ポリ塩化ビニル100重量部に対して、可塑
   剤を50〜100重量部の範囲で含むと共に、充填剤を５〜4
   0重量部含み、発泡倍率1.5〜５倍であり、厚さが0.2〜
   0.8mmの範囲にあるポリ塩化ビニル樹脂発泡体からなる
   基材シート上に接着処理が施され、その上に薬剤を含む
   スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体よりなる
   粘着層が積層接着されていることを特徴とする発泡樹脂
   を基材とする皮膚貼付薬シート。
2. 【請求項２】充填剤が炭酸カルシウムである請求項１記
   載の皮膚貼付薬シート。