JP2554399B2 - ラケット、特に、テニスラケット - Google Patents

ラケット、特に、テニスラケット

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JP2554399B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ハンドルと、スロートの領域を介してハン
ドルに固定された、ガットを張るためのフレームとを有
し、ガット面に対して垂直方向に測ったフレームの断面
が少なくとも一つの厚い部分を有する、ラケット、特
に、テニスラケットに関する。
上記冒頭に述べた種類のテニスラケットでは、例えば
欧州特許出願176021号に示されている。この既知のテニ
スラケットでは、フレーム本体の幅は、ハンドルから始
まってガットの長円部の中間部分まで増大し、ラケット
ヘッドに向けて再び実質的に縮小する。この既知の設計
の目的は、ハンドルに取付けられたガットが張られたラ
ケットの共振周波数を、ボールがガットに接触している
時間長にほぼ適応させることにある。というのは、ラケ
ットの共振周波数の半周期とボールの接触時間とが一致
しないと反撥が良くないからであり、或いは、グリップ
部の振動を少なくするためである。もっとも、このこと
は経験則上判明したものであって、(出願人において)
その理由が物理的に完全に解明されているわけではな
い。
ラケットを作るときには、ハンドル、かくして、プレ
ーヤーの手、或いは、腕に不快な振動をあたえないこと
が重要である。このような不快の振動を避けることがで
きるならば、結果として、ハンドル領域での振動を制御
することができる。同時に、ラケットは、大抵、できる
だけ軽く、ガット面に対して垂直方向に幅狭の構造体を
有するように作られるけれども、このことによって、ラ
ケットは全体的に脆弱になり、振動の回避すら不十分に
なる。
本発明は、フレーム本体が軽量で薄くても、ハンドル
領域の振動を良好に制御することができる、冒頭に述べ
た種類のラケットを提供することを目的とする。この課
題を解決するために、本発明によるラケットは、スロー
トの領域及びハンドルから離れたラケットヘッドの領域
のフレームの断面が、スロートの領域とラケットヘッド
の領域との間に位置するフレームの領域の断面よりも厚
く、ハンドルから離れたラケットヘッドの領域の断面
が、スロートの領域の断面よりも厚くなるように設計さ
れている。通例、ヘッド領域及びスロートの領域におけ
るフレームの丸みによるものとされるフレームの脆弱さ
は、スロートの領域及びスロートの領域から離れたラケ
ットヘッドの領域におけるフレームの断面が、スロート
の領域とラケットヘッド領域との間に位置するフレーム
の領域におけるよりも厚いことによって補償される。か
くして、脆弱部分は強化されることになったが、これに
より、理論的には明確でないけれども、ハンドルからヘ
ッドまでのラケットの長さに亘り撓み特性が均一化さ
れ、振動の調節が容易になることがわかった。強く丸み
の付けられたラケットヘッドの領域及びスロートの領域
の断面を増大させる、すなわち、厚くすることに加え
て、本発明の好ましい実施例に従って、これらの領域の
曲げ抵抗を他の手段によってより良好にすることもでき
る。これらの領域の曲げ抵抗を良好にする設計の唯一の
制約は、曲げ抵抗を良好にすると増大する重量である。
ラケットヘッド領域におけるフレームの厚みがスロート
の領域におけるよりも厚いため、ハンドル領域からの距
離に応じたラケットの撓み関係を線形にしながら、同時
に、スロートの領域の振動量を減らす。ハンドルからの
距離に応じた撓み関係は、在来のラケットでは、通例、
一定ではなく、特に、ガットの長円部への移行箇所にお
いて種々の徴候を有するのに対して、一定微分が、ラケ
ットの長さに亘って一定の徴候を有するか、或いは、非
常に狭い範囲にあるならば、広い範囲に亘って線形が達
成される。
実施例の利点は、ラケットの長さに亘る撓みの変化が
0.5mm以下、特に、0.3mm以下になり、HSTM規格(ヘッド
社内部試験規格)197−Aによる試験状態では、撓み
は、0.4mm〜0.9mm、好ましくは、0.5mm〜0.8mmにあると
いうことである。
本発明によれば、スロートの領域のフレーム本体の断
面が基本的に一定であるようにラケットを設計するのが
有利である。かかる設計により、スロートの領域の質量
を著しく増大させることなく断面積を比較的少ししか増
加させずに、スロートの領域の弱い箇所に高度の強化を
保障することができる。
所定の荷重の下、撓みが、ハンドル領域の握り部分か
らの距離に応じて基本的に線形に増加するような仕方
で、ハンドルからラケットヘッドまでの個々の領域の剛
性を調整するように、更に好ましい構成に従って実施例
を設計するならば、所望の最適な減衰特性が達成され
る。
所望の剛性及び所望の重量分布に関して、適当な材料
を選択することによって設計を変えることができる。在
来のフレームと比較すると、重量減をも達成しながら、
特に、繊維強化中空フレーム、例えば、炭素繊維強化中
空フレームを使用することによって、同時に、剛性を向
上させることができる。重量は、フレームに使用される
材料の繊維部分を変えることによって、或いは、重量増
加挿入物を使用することによって調節することができ
る。本発明によるラケットの好ましい実施例では、ラケ
ットヘッドの領域の断面及びスロートの領域の断面、す
なわち、厚みの増加比率は、ラケットのガット面積の増
加比率に正比例し、スロートの領域から離れたラケット
ヘッドの領域におけるラケットのガット面積の関数とし
ての厚みの増加比率は、スロートの領域におけるラケッ
トのガットの面積の関数としての増加比率よりも大き
い。理論的には明確ではないけれども、驚くべきこと
に、かかる設計により、ハンドルからの距離に応じた撓
みの関係を良好に線形にし、質量調整を行ったところ、
不快な振動を殆ど完全にハンドル領域からなくすことが
できた。この設計は、どんな場合にもボールコントロー
ル及びプレー特性に影響を与えないようにするため、ス
イートスポットが本質的に一定(均一)の幅狭の断面、
すなわち、厚さであるフレーム領域内に位置するという
利点を提供しながらも、ハンドル領域への不快な振動の
広がりを、ラケットヘッドの領域の単位長さ当たりのフ
レームの重量が、スロートの領域の単位長さ当たりのフ
レームの重量よりも重くなるような特に簡単な仕方によ
って、回避することができることがわかった。
スロートの領域から離れたラケットヘッドの領域及び
/又は、スロートの領域からガットの長円部への移行部
の単位長さ当たりの最大重量の領域を、ラケットの長手
方向軸線の外方且つ対称に配置することにより良好なボ
ールコントロールを達成することができ、質量集中を偏
心配置することにより、特にパワフルなプレイが可能に
なる。換言すると、かかる構造によれば、ボールがガッ
トに偏心的に当たった、すなわち、ガットの長手方向軸
線を越えて(該軸線上にではなく)当たった場合、振動
を減ずることができる。この意味において、捩じれ振動
の恐れ及び手の中でのラケットの捩じれの恐れを最小に
することができる。
ハンドルからの距離に応じた撓みの所望な線形は、断
面、すなわち、厚みの増加を、夫々のガット面積の関数
として異にさせ、これによって、600cm2〜720cm2のガッ
ト面積においては、スロートの領域から離れたラケット
ヘッドの領域とスロートの領域との間に位置するフレー
ムの領域のフレームの厚みよりも、スロートの領域の厚
みが16%〜24%、好ましくは、約20%厚く、スロートの
領域から離れたラケットヘッドの領域厚みが20%〜40
%、好ましくは、約30%厚くなるような仕方で実施例を
設計するのが有利である。スロートの領域の振動量が実
質的に減らしながら、同時に、かかる領域に高度の剛性
を有することができるようにするためには、実施例は、
スロートの領域の単位長さ当たりのフレームの重量が、
スロートの領域とスロートから離れたラケットヘッドの
領域との間の単位長さ当たりのフレームの重量よりも軽
い、或いは、これと等しいのが有利である。これは、断
面が大きい、すなわち、厚い領域に使用される材料と小
さい断面、すなわち、薄い領域に用いられる材料の重量
を変えるという簡単な仕方で達成することができる。
以下に、図面に示した例示の実施例に基づいて本発明
をより詳細に説明する。
第1図は、テニスラケットフレームの外観を示し、 第2図は、テニスラケットに関して測定された撓み特
性のグラフを示し、 第3図は、本発明によるラケットの側面を示し、 第4図、5図及び6図は、夫々、第3図のIV−IV線、
V−V線、VI−VI線における断面を示し、 第7図は、本発明によるラケットの質量の分布を概略
的に示す。
第8図は、撓み試験装置の概略斜視図である。
第9図は、第1図に相当するテニスラケットの外観を
示す図である。
第10図は、試験すべきテニスラケットを撓み試験装置
の三点式バー取付体に取り付けた状態で示す概略側断面
図である。
第1図によるラケットはフレーム、すなわち、フレー
ム本体1から形成され、フレーム本体1は、始めに、ス
ロート2を構成し、ハンドルから遠ざかるように向かう
ラケットヘッド3の領域で強く湾曲されている。ラケッ
トの長円部を構成するフレームの部分4がまた、スロー
トの領域で強く湾曲されている。第1図による例示で
は、第2図に表された撓み値に相当する領域がmm単位で
記されている。ここでは、曲げ試験をHSTM規格197−A
に従って行い、ラケットフレーム用の剛性支持部を、測
定される領域の左右約50mmの距離に夫々形成し、かかる
領域に所定力の1000Nを荷重することによって各撓み値
を測定した。
HSTM規格197−Aによる曲げ試験では、直径38mmのバ
ーの形態の、150mm間隔を隔てた2つの支持部材からな
る下方支持部材と、同じ直径のバーとして形成された上
方支持部材とを使用することによって、7つの領域に分
割されたラケットの曲げ特性を測定する。
ここで、本発明とは直接関係するものではないが、参
考のため、HSTM規格197−Aによる試験方法を第8図乃
至第10図に示す例を用いて簡単に説明する。この試験で
は、第8図に全体的に参照番号20で示される撓み試験装
置が使用され、この試験装置20は、ロードセル(荷重検
出器)21と、三点式バー取付体22とを有する。バー取付
体は、上方支持部材を構成する中央荷重バー23と、下方
支持部材を構成する底部荷重バー24、24とを有する。
試験を行うに当たっては、先ず、第9図に示すラケッ
トフレームの領域Iが中央荷重バー23の真下にくるよう
に、ラケットフレームをバー取付体22に位置決めする。
次いで、フレームの長手方向軸線CLをロードセル21と整
合させ、フレームを各荷重バーに対して垂直にする。次
いで、第10図に最も良く示すように、毎分10mmの速度で
ラケットフレームに所定力F(テニスラケットの場合は
1000N)の荷重をかける。全荷重に達したら1秒〜5秒
以内に0.01mm単位でラケットフレームの撓みを記録す
る。記録後、荷重を解放し、以下、同様に試験領域II、
III、IVにおける撓みを記録する。
第2図では、グラフ5が、本発明による改良が施され
ていない在来のラケットに対応し、これにより、ラケッ
トの軸線方向長さに亘って変化する撓みが個々の領域で
明瞭に観察される。特に、ここでは、領域150mm〜250mm
の測定値が比較的一定であり、ラケットヘッドの領域で
は剛性が明瞭、且つ、急速に低下することが明白であ
る。比較して、点線グラフ7a、7b、7cは、異なるガット
面積のものである本発明によるラケットの測定値に基づ
いて測定され、撓み特性が、軸線方向長さに亘って0.25
mmの狭い範囲内で大部分一定に延びていることを明瞭に
示す。これらの撓み特性は、第3図に示すような構造か
ら生ずる。グラフ7aは、720cm2の面積を持つラケットに
関して測定され、グラフ7bは660cm2、グラフ7Cは600cm2
の面積を持つラケットに関して測定された。
第3図は、側部からのラケットフレーム本体1を示
し、ラケットヘッド3の領域のフレーム本体の断面C
は、隣接した領域の厚みaよりも約30%厚い。通常、フ
レーム1のガット面にある厚みbもまた、スロート2の
領域において厚い。ラケットのハンドルを参照番号8に
よって示す。
フレームの各断面形状は、第4図、5図及び6図によ
り詳細に示され、これによって、狭い範囲内での直線的
な撓み特性、すなわち、一定な撓み特性を得るために、
ガットが張られた面積の関数として、以下の表による厚
みを使用する。
これによって、スロートの領域の断面bは、同じ方向
で測定されたハンドルの厚さよりも全体的に厚くなって
いる。
第7図はラケットの質量分布を概略的に示し、これに
よって、各ラケットにおけるハッチ領域の範囲は、ラケ
ットの各領域の質量の割合を示す。これによって、単位
長さ当たりにおいて大きな質量を持つ領域10は、長手方
向軸線9を対称にラケットヘッドの領域をなし、この領
域は、フレームを多層に設計するという手段、及び/又
は、拡大断面領域に付加的な重量を加えるという手段に
よって達成される。同様に、単位長さ当たりにおいて大
きな質量を持つ領域11が、所望の振動・撓み特性を達成
するため、スロート2の領域からガットの長円部への移
行部に設けられている。ヘッド領域3の単位長さ当たり
の重量は、一般的に、スロート2の領域におけるよりも
大きく、ヘッド領域の厚い厚さcでは最大の剛性が達成
され、スロート2の領域の大きな断面bでは重量の低減
を伴った高度の剛性が達成される。丸みのついた弱い領
域は、ヘッド領域及びスロートの領域の補強によって意
図的に強化され、かくして、第2図に示すように、ハン
ドルからの距離の関数として0.5mm〜0.8mmの狭い範内で
の実質的に真っ直ぐな、とりわけ、一定な形の撓みが得
られる。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハンドル8と、スロート2を介して連結さ
    れた、ガットを張るためのフレームとを有し、ガット面
    に対して垂直方向に測ったフレームの断面が少なくとも
    一つの厚い部分を有する、ラケット、特にテニス用ラケ
    ットにおいて、 スロート2の領域及びハンドル8から離れたラケットヘ
    ッド3の領域のフレーム1の断面b、cが、スロート2
    の領域とラケットヘッド3の領域との間に位置するフレ
    ーム1の領域の断面aよりも厚く、ハンドル8から離れ
    たラケットヘッド3の領域の断面cが、スロートの領域
    の断面bよりも厚いことを特徴とするラケット。
  2. 【請求項2】フレームの断面b、cを厚くした領域の曲
    げ抵抗を向上させたことを特徴とする請求の範囲第1項
    に記載のラケット。
  3. 【請求項3】フレーム1のスロート2の領域の断面b
    が、ほぼ一定の厚みを有していることを特徴とする請求
    の範囲第1又は2項に記載のラケット。
  4. 【請求項4】所定の負荷を加えた場合の撓みがラケット
    の軸線長さに亘って実質的に均一であるように、ハンド
    ル8からラケットヘッド3に至る個々の部分の剛性を調
    整することを特徴とする請求の範囲第1、2又は3項に
    記載のラケット。
  5. 【請求項5】ラケットの全長にわたる撓みの変動が0.5m
    m以下、特に0.3mm以下であり、HSTM規格197−Aに基づ
    く試験状態での撓みは0.4mm〜0.9mm、好ましくは0.5mm
    〜0.8mmであることを特徴とする請求の範囲第1〜4項
    のいずれか一項に記載のラケット。
  6. 【請求項6】ハンドル8から離れたラケットヘッド3の
    領域の断面cとスロート2の領域の断面bの増加率が、
    ラケットのガット面積の増加率とほぼ正比例し、ハンド
    ル8から離れたラケットヘッド3の領域のガット面積に
    応じた、厚みの増加率は、スロート2の領域の厚みの増
    加率よりも大きいことを特徴とする請求の範囲第1〜5
    項のいずれか一項に記載のラケット。
  7. 【請求項7】スイートスポットを、薄く、ほぼ一定のフ
    レーム1の断面aの領域に配置したことを特徴とする請
    求の範囲第1〜6項のいずれか一項に記載のラケット。
  8. 【請求項8】ラケットヘッド3の領域のフレーム1の単
    位長さ当たりの重さが、スロート2の領域のフレーム1
    の単位長さ当たりの重さよりも重いことを特徴とする請
    求の範囲第1〜7項のいずれか一項に記載のラケット。
  9. 【請求項9】ハンドル8から離れたラケットヘッド3の
    領域及びスロート3の領域からガット面の長円部へ移行
    する部分の、単位長さ当たりの最大重量がある領域を、
    ラケットの長手方向軸線の外側に、且つ、該長手方向軸
    線を中心に対称に配置したことを特徴とする請求の範囲
    第1〜8項のいずれか一項に記載のラケット。
  10. 【請求項10】ガット面積が600cm2〜720cm2の場合、ハ
    ンドル8から離れたラケットヘッド3の領域とフレーム
    のスロット2の領域との間に位置する領域のフレーム1
    の厚さよりも、スロート2の領域の厚みが、16%〜24
    %、好ましくは約20%、ハンドル8から離れたラケット
    ヘッド3の領域の厚みが20%〜44%、好ましくは約30%
    厚いことを特徴とする請求の範囲第1〜9項のいずれか
    一項に記載のラケット。
  11. 【請求項11】スロート2の領域の単位長さ当たりのフ
    レーム1の重量を、スロート2の領域とハンドル8から
    離れたラケットヘッド3の領域との間の単位長さ当たり
    のフレーム1の重量よりも軽く、或いは、等しくしたこ
    とを特徴とする請求の範囲第1〜10項のいずれか一項に
    記載のラケット。
JP2512322A 1989-09-11 1990-09-11 ラケット、特に、テニスラケット Expired - Lifetime JP2554399B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
AT2123/89 1989-09-11
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JPH04501820A JPH04501820A (ja) 1992-04-02
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